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内山まもるウルトラマン漫画1971~2010総覧! ~『ウルトラコレクションボックス ザ・内山まもる』

(2021年1月26日(火)UP)
『コロコロコミック増刊号 ウルトラマンPART1』&『2』 ~『ザ・ウルトラマン』&『コロコロ増刊』ウルトラ特集記事の時代!
『ウルトラマンメビウス外伝 アーマードダークネス ジャッカル軍団大逆襲!!』 ~前日談『ザ・ウルトラマン』をも上回る!?
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 歴代ウルトラマンたちが大宇宙を舞台に大活躍を繰り広げるネット番組『ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀』(20年)が配信中記念! とカコつけて……。ウルトラ一族が大宇宙を舞台に活躍する作品の元祖でもある、内山まもる先生の『ウルトラマン』漫画1971~2010総覧を発掘アップ!


内山まもるウルトラマン漫画 1971~2010 総覧! ~『ウルトラコレクションボックス ザ・内山まもる

(文・久保達也)
(2010年10月21日脱稿・11月10日改稿)


 当初の2010年8月上旬発売の予定からは大幅に遅れたが、この10月1日にようやく小学館から「完全部数限定」で『ウルトラコレクションボックス ザ・内山まもる』(ASIN:B01CQLG9IC)が発売された。構成は小学館の『てれびくんデラックス愛蔵版』レーベルで、あまたの歴代特撮ヒーローの『超全集』シリーズを手掛けてきた間宮尚彦氏。


 その目玉となるのは、『ウルトラマンタロウ』(73年)放映時期の夏休みに発売された小学館『小学二年生 夏の増刊』(73年9月増刊号・73年9月10日発行(8月10日実売)・定価200円)に掲載されていて、長らく未収録で幻の作品になっていた、


・長編漫画『かがやけウルトラの星 けっせん! ウルトラ兄弟たい怪獣軍団』


 上記作品の「完全復刻」である。同作を当時の『夏の増刊』のカラー表紙も含めて原寸サイズで復刻している。
――『夏の増刊』らしく、水泳帽の男の子と白いサマーハットの女の子を前面に大きく押し出して、左上スミの誌名の直下にまるい枠囲みで「ウルトラマンタロウ」を、右横スミに今では幻の封印作品となってしまった73年版のテレビアニメが放映中だった「ドラえもん」を、左下スミには同じく放映中のバレエを題材とした児童向け30分枠の人気実写連続ドラマ『赤い靴』(72年・TBS)の主人公たちが取り巻いたものだった――



 1970年代の小学館学年誌における『ウルトラマン』シリーズのウラ設定の特集記事や、内山まもる大先生による『ウルトラマン』シリーズのコミカライズやオリジナル展開のストーリー漫画は、20世紀のむかしから特撮同人界の先達たちが散発的に発掘・整理・研究を同人誌などで発表してきた。
 それらもおおいに参照して、彼らの足元にもおよばないので先達には敬意を表しつつも、筆者もここに自分なりの内山ウルトラ漫画の整理をしてみたい。


・その「ヒーロー共演」「ヒーロー大集合」といった華(はな)のある「イベント性」
ウルトラ兄弟の故郷・ウルトラの星にはウルトラ一族が設立した宇宙警備隊の隊員が100万人もいるといった「ウラ設定」をフルに活用したことでの、一般の宇宙警備隊の隊員たちであるウルトラの一般兵士たちも多数登場する「ウルトラ軍団」
・敵宇宙人も同族の別個体が「軍団」(!)として登場してしまうような、後年のリアルロボットアニメの量産型の人型ロボットに対する一応のリアルな肌ざわりにも通じるようなテイストの導入
・そして、それによって生じてくる、単なるヒーローVS怪獣の1VS1の戦いではなく、バトルのステージや作品の「世界観」も宇宙規模で拡張していくようなスケール雄大のワクワク感!


 これらを析出して、それらも踏まえて、今後のウルトラシリーズや、それをも超えた特撮ヒーローもの一般・特撮ジャンル一般における今後の目指すべき「作劇」や「展望」などの提言も行なってみたい。




 内山まもる大先生が1970年代前半に小学館学習雑誌に連載していた、いわゆる第2期ウルトラウルトラシリーズである


・『帰ってきたウルトラマン』(71年)
・『ウルトラマンA(エース)』(72年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070429/p1
・『ウルトラマンタロウ』(73年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071202/p1
・『ウルトラマンレオ』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090405/p1


 などのコミカライズ作品は、小学館コンビニエンスストア売り専用の『My First BIG Special』レーベルの廉価版の単行本で、「完全復刻版」と称して、すでに2004~07年にかけても発売されていた。


 これらのコミカライズの一部は「内山まもるウルトラ傑作選」名義で、1978年初夏の『コロコロコミック特別増刊号 ウルトラマンPART1』(78年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210117/p1)~79年春の特別増刊4号こと『春の特別増刊号 ウルトラマン』(79年)などにも再録されてきた。
 その後にこれらは、78年~80年にかけて発行された『ザ・ウルトラマン』名義で小学館の『てんとう虫コミックス』名義の単行本にも収録されたことで、元原稿なりそれらを撮影した画質のよい印刷用のフィルム製版も残っていることだろう。


 しかし、これらに未収録で終わったコミカライズは、元原稿が行方不明であったのだろう。あるいは、当時の小学館学年誌に掲載時の連載漫画の見開きページの両端の「柱」のキャプションなども含めて、往時の雰囲気の再現することまで目論(もくろ)んでいたのだろう。当時の学年誌の誌面を複写するかたちでの「完全復刻版」としての登場となったのだ。


 この「完全復刻版」は、『小学二年生』1971年5月号~72年4月号に連載された『帰ってきたウルトラマン』を2004年7月30日(金)(7月16日(金)実売)に発行。
 これを皮切りに、『小学二年生』72年5月号から73年3月号に連載された『ウルトラマンA』も、1週間後の同年8月6日(金)(7月23日(金)実売)に続けざまに発行されている。


 ところで、この00年代前中盤の当時は、各巻が通算で10万枚以上も売れていたという、ウルトラシリーズのデジタルリマスター修復版DVDが順次発売されていた――まぁ、2K(水平解像度2000本)のハイビジョン画質ではなく、その半分の1KでのSD(標準)画質での修復だったので、2010年のハイビジョン化された今となっては画質面では見劣りするだろうが――。


 その一環である「デジタルウルトラプロジェクト」から、DVD『ウルトラマンA』Vol.1(asin:B00024JIU2)・Vol.2(asin:B00024JJGK)・Vol.3(asin:B00024JJGU)が2004年7月23日(金)に一挙に同時発売されている。
 『帰ってきたウルトラマン』と『ウルトラマンA』のコミカライズの「完全復刻版」の企画が通ったのは、おそらくこの『A』のDVD発売との相乗効果や広告収入による売上連動のメリットを、担当者が出版社の上層部なり営業にプレゼンした成果だったのではなかろうか? この「完全復刻版」の表紙ウラの広告には、DVD購入特典を派手にうたうのはもちろんのこと、巻末にもこのDVDの紹介記事が設けられていたのだ。


 以降、『ウルトラマンタロウ』と『ウルトラマンレオ』も、「デジタルウルトラプロジェクト」のDVDリリースに合わせるかたちで、『ウルトラマンタロウ』と『ウルトラマンレオ』の内山大先生のコミカライズも復刻されていった。


 『小学二年生』1973年4月号~74年3月号に連載されていた『タロウ』コミカライズの「完全復刻版」は、2005年7月8日(金)(6月24日(金)実売)に発行。
 『小学二年生』と『小学三年生』双方の1974年4月号~75年3月号に連載されていた、それぞれに内容が異なる『レオ』のコミカライズは、1冊の中で前半部分と後半部分のかたちでまとめた「完全復刻版」が、それまで最大の370ページを誇るボリュームで2006年11月10日(金)(10月27日(金)実売)に発行されている。
 これらの「完全復刻版」の構成を担当したのは、老舗同人誌・藤子不二雄FC(ファンクラブ)・ネオユートピア出身の秋山哲茂氏。


 『レオ』では『小学二年生』版と『小学三年生』版の完全収録を遂に果たしたワケなのだ。『A』までは『小学二年生』だけで連載してきた内山大先生だが、『タロウ』では『小学二年生』のみならず『小学五年生』にも連載をしており、惜しくも未収録に終わっているが、こちらの完全収録も期待せずにはいられない。
 ちなみに、この『小学五年生』の『タロウ』コミカライズは、対象年齢が小学校高学年であることからか、『タロウ』本編の内容とは大幅に異なり、タケルなる少年が主役を務めながらも、実にハードタッチの完全オリジナルなストーリー展開の作品となっていた。


 これらの「完全復刻版」により、第2期ウルトラシリーズがリアルタイムで放映されていた時代に小学館学年誌で連載されていた内山大先生のコミカライズは、『小学五年生』版の『タロウ』を除けば、完全収録が果たされたのだった。


 だが、各学年誌の発行部数が100万部を超えていた最盛期でもあった70年代前半の『小学二年生』は、夏休みと冬休み時期の年2回、『増刊号』も発行されており、それらに掲載されていた内山ウルトラ漫画がまだあったのだ! しかし、それらには100ページ近い大長編もあったので、この「完全復刻版」が相応に売れるかどうかが不分明な中では、予算的にもページ数をむやみに増やすワケにはいかなかったのか、残念ながら収録が果たされてはこなかったのであった……


『小学二年生』版『帰ってきたウルトラマン』作品リスト

帰ってきたウルトラマン[完全復刻版]

*71年5月号『必殺! 流星キック』

 古代怪獣キングザウルス三世登場

*71年6月号『アーストロン大逆襲』

 凶暴怪獣アーストロン登場

*71年7月号『怪獣峠を越えろ』

 古代怪獣ツインテール・音波怪獣シュガロン登場

*71年8月号『二大怪獣の恐怖 東京大竜巻』

 津波怪獣シーモンス・竜巻怪獣シーゴラス登場

*71年9月号『復讐のベムスター

 宇宙大怪獣ベムスター登場(ウルトラセブンは登場しない)

*71年9月増刊号『決戦 ウルトラ兄弟対11大怪獣』

 頭脳宇宙人チブル星人・冷凍怪獣ペギラ・有翼怪獣チャンドラー・どくろ怪獣レッドキング・古代怪獣ゴモラ・酋長怪獣ジェロニモン・宇宙恐竜ゼットン・宇宙怪獣エレキング・冷凍怪獣ガンダー・透明怪獣ゴルバゴス・化石怪獣ステゴン・毒ガス怪獣モグネズン・ニセウルトラセブン登場

*71年10月号『戦慄! マンション怪獣誕生』

 マンション怪獣キングストロン登場

*71年11月号『この一発で地獄へ行け!』

 八つ切り怪獣グロンケン登場

*71年12月号『呪いの骨神(ほねがみ)オクスター』

 水牛怪獣オクスター登場

*72年1月号『ウルトラマン夕陽(ゆうひ)に死す』

 変幻怪獣キングマイマイ・竜巻怪獣シーゴラス・用心棒怪獣ブラックキング登場

*72年2月号『ウルトラの星 光る時』

 暗殺宇宙星人ナックル登場(初代マンとセブンは登場しない)

*72年3月号『バルタン星人Jr(ジュニア)の復讐』

 ロボット怪獣ビルガモ・宇宙忍者バルタン星人Jr登場

*72年4月号『魔神 学舎に咆(ほ)える』

 魔神怪獣コダイゴン・発砲怪人グロテス星人登場


 サブタイトルについては初出時はあったりなかったり(汗)、「ひらがな表記」も多いために、「完全復刻版」でのそれに便宜的に統一させていただいた(以降のコミカライズについても同様である)。


『小学二年生』71年9月増刊号『決戦 ウルトラ兄弟対11大怪獣』(『帰ってきたウルトラマン』)


 『小学二年生』71年9月増刊号に掲載された大長編漫画『決戦 ウルトラ兄弟対11大怪獣』の内容は以下の通りである。


 『ウルトラセブン』(67年)第9話『アンドロイド0(ゼロ)指令』に登場した人間大サイズの頭脳宇宙人チブル星人が、ウルトラシリーズの歴代人気怪獣である冷凍怪獣ペギラ・有翼怪獣チャンドラー・どくろ怪獣レッドキング・古代怪獣ゴモラ・酋長怪獣ジェロニモン・宇宙恐竜ゼットン・宇宙怪獣エレキング・冷凍怪獣ガンダー・透明怪獣ゴルバゴス・化石怪獣ステゴン・毒ガス怪獣モグネズンを復活させる!
 のみならず、なんと『セブン』第46話『ダン対セブンの決闘』に登場した巨大ロボット・ニセウルトラセブンまでをも復活させた!
 そして復活した怪獣たちを日本各地で暴れさせ、さらにはウルトラ兄弟の4番目である「帰ってきたウルトラマン」こと防衛組織・MAT(マット)の郷秀樹(ごう・ひでき)隊員を捕らえることに成功する!


 だが、チブル星人の力で同じく復活した友好珍獣ピグモンが、自らを犠牲にして郷隊員を救出!


――初代『ウルトラマン』(66年)第37話『小さな英雄』と同じパターンなのだが、漫画ならではの特撮ステージの広さの限界をはるかに超えた、怪獣の頭数の多さのスケール感では、60匹の怪獣が復活すると喧伝しながら再生怪獣が数匹だけにとどまってしまった『小さな英雄』をはるかに上回る!――


 郷隊員はウルトラマンに変身し、ニセセブンに対しては両腕を十字に組んだ必殺技・スペシウム光線で、最強怪獣であるゼットンには高速回転技であるウルトラスピンで1兆度の火の玉を跳ね返して見事に撃退する!


――71年当時の「帰ってきたウルトラマン」の固有名詞としては、だたの「ウルトラマン」と呼ばれることが多かった。翌72年以降からは初代ウルトラマンと区別するために、「新ウルトラマン」やその略称でもある「新マン」と呼ばれるようになっていく。10数年を経(へ)た84年になると再編集映画『ウルトラマンZOFFY』(84年)合わせで「ウルトラマンジャック」という新たな名称が誕生して、古い世代からの反発を受けるようになる・笑――


 しかし、残った怪獣軍団にウルトラマンはビルの屋上に追いつめられて――体重3万5千トンが乗っかったら、ふつうは崩れるやろ!・笑――、胸の中央にある活動限界を示すカラータイマーが赤く点滅を始める!


 そのとき、巨大な火の玉が飛来した!――初代『ウルトラマン』第1話で初代マンが地球に到来した際や、最終回で故郷へ帰還する際に出現した「赤い光球」のかたちを踏襲!――
 それが3つに分離すると、ウルトラ兄弟の長男であるゾフィー・前のウルトラマンウルトラセブンの3人が現れたのだ!


――当時の学年誌では、「帰ってきたウルトラマン」の方を「ウルトラマン」と呼称して、「初代ウルトラマン」のことは「前のウルトラマン」と呼称していた。中には「古いウルトラマン」などという呼称もあった・笑――


 ゾフィーが「パチッ!」と指を鳴らすという、実に人間クサい演出による号令で、ウルトラ兄弟と怪獣軍団の大激闘がはじまる!
 圧倒的なウルトラ兄弟の強さの前に、怪獣軍団は破れさるのであった!


 73ページ(!)にもおよぶ大長編の原作(シナリオ)は、『帰ってきたウルトラマン』第8話『怪獣時限爆弾』で脚本家デビューを果たして、『タロウ』と『レオ』ではメインライターを務めることになった田口成光(たぐち・しげみつ)である。


 この『夏の増刊』が発売された71年8月には、『帰ってきたウルトラマン』第18話『ウルトラセブン参上!』も放映されている。いわゆるウルトラ兄弟の3番目にあたる先輩ウルトラ戦士・ウルトラセブンがゲスト出演するという快挙をはじめて成し遂げたのだ。しかし、セブンが「ウルトラ兄弟」の一員であるというセリフは映像本編ではまだ登場してはいなかった。
 よって、ウラ設定を紹介する学年誌の記事などではなく、ストーリー性のある商業作品としては、本コミカライズこそが「ウルトラ兄弟」がはじめて大活躍した、歴史的な作品だと云っても過言ではないだろう!


ウルトラ兄弟」の誕生! 小学館学年誌側の人物列伝!


 「ウルトラ兄弟」という設定は、『帰ってきたウルトラマン』放映当時の『小学二年生』編集長・井川浩の発案だったそうである。当時『二年生』に連載中だった母子もの漫画『かあさん星』(作・谷ゆき子)が女子児童の絶大な支持を得ていたことから「親子・兄弟ものはウケる」との確信があったのだそうだ。


 71年8月号(7月1日実売)に掲載された特集記事『なぜなにウルトラマンじてん』では、


ゾフィーが「いちばん上のおにいさん」
・前のウルトラマン初代ウルトラマン)が「二ばんめのおにいさん」
ウルトラセブンを「三ばんめのおにいさん」
ウルトラマン帰ってきたウルトラマン)を「いちばん下のおとうと」


 として、早くも「M78星雲で生まれた四人きょうだいです」と紹介している。


 続く71年9月号の別冊付録『ウルトラ怪獣じてん』にも同様の記事が掲載されていた。


 そして、間髪置かずに夏休み期間中に発売された『小学二年生』71年9月増刊号では、先に紹介した大長編漫画『決戦 ウルトラ兄弟対11大怪獣』が矢継ぎ早に掲載されたのだ!


 「ウルトラ兄弟」の名称が公式設定に昇格して、ウルトラシリーズの映像本編ではじめて語られたのは、飛んで72年3月31日(金)放映の『帰ってきたウルトラマン』最終回(第51話)『ウルトラ5つの誓い』に至ってであった。同話に登場したゲスト悪役・触角宇宙人バット星人による、「ウルトラ抹殺計画」とは「ウルトラ4兄弟(!)を皆殺しにすることだ!」という趣旨のセリフの中でである。



「そんな「ファイト(『ウルトラファイト』(70年))派」の私にとっての次なる「ウルトラ」は学習誌の記事だった。そう考えると、テレビでオンエアされていたオリジナルの番組自体は体験した順位でいくと実は低いのではないか? とさえ思える。二次的な情報が強烈な印象を刻み込み、関連商品がストーリーやドラマを越えて記憶の中核を形成してたりする。何せビデオのない時代だ。開示される情報に日々餓えていた」

(『学年別学習雑誌で見る昭和子どもクロニクル1 ウルトラ博物館』(小学館・03年12月20日発行・ISBN:4093874824)「ウルトラコラム4 書き下ろし 私を映画の現場に飛び込ませた「ウルトラ」と学年誌記事」映画監督 樋口真嗣



 怪獣映画・平成『ガメラ』シリーズ3部作(95~99年)でも名を上げた樋口真嗣(ひぐち・しんじ)も発言しているように、ひょっとしたら我々は円谷プロが製作した「ウルトラ」そのものではなく、小学館の「ウルトラ」を愛していたのではないのか? 最近はそんな気もしてくるのだ。
 第2期ウルトラをリアルタイムで体感した世代は、小学館学年誌に掲載された魅惑的なカラーグラビア記事や、内山大先生が描いていたような、いわばキレイな「夢の世界」で、実は子供番組としてはいささかヘビーでシビアな展開(汗)にも満ち満ちていたドロくさい「地ベタの世界」でもあった第2期ウルトラシリーズの印象を、良い意味で上書きしていた面もあったのではなかろうか?



「当時デスクだった上野(明雄)さんの提唱で、入社一、二年目の若手社員が中心になってウルトラマンを専門に扱うセクションを作っていたんです。番組にならって「MATチーム」なんていってましたね。
 毎晩遅くまで、時には泊まり込みで残業の連続だったけど、まだ大学の延長気分も残っていてクラブ活動みたいで楽しかったですよ。『A(エース)』でTAC(タック)チームに変わっても、僕らは習慣的にMATチームを名乗り続けていましたね。
 学年誌の記事や絵本まで、当時はまだデザイナーという役割がありませんでしたから、なにからなにまで、全部自分たちで手がけていたんです。
 当時の学年誌に二百票調査というのがあってね。一番良かった記事を、男女別に集計したものなんです。ウルトラの記事は、最高の時は男児で百八十票以上獲得していましたからね。無効投票も何票かあるから、これは驚異的な数字でした。(中略)
 当時のウルトラ人気は凄かったですから、かなりの量のページが用意されているわけです。学年誌自体ページ数が多かったこともあるんだけど、4色のカラーで始まった特集が1色ページまで続いているなんて構成は、この頃ならではだと思います。『三年生』では『ウルトラ五兄弟強さくらべ』(昭和48(1973)年2月号)、『二年生』でいうと『ゾフィー物語』(昭和48年10月号)なんかは大受けでした。(中略)
 ウルトラの国は確か学年誌の記事で先に模型を作りました。それ以前から何度も記事で取り扱って、徐々に姿が固まってきたんだよね。もちろん途中で円谷プロさんの方で設定固めはしてもらって、「この建物の後ろはこれ」なんていう図面を作ってもらってね。学年誌の記事を裏付ける形で、TVの方に登場した記憶があります」

(『学年別学習雑誌で見る昭和子どもクロニクル1 ウルトラ博物館』「ウルトラコラム5 語り下ろし 最強部隊、小学館MATチーム」小学館出版局プロデューサー 八巻孝夫)



ウルトラ兄弟の設定については学年誌が先行した企画ですね。そうした扱いをしたいとの問い合わせが、当時の『小学二年生』の井川編集長からあってね、こちらとしては「まぁいいでしょう」とご返事しました。ただ「本当の兄弟ではない」ことのエクスキューズは出してもらうようお願いしたと思います。学年誌はいろいろな記事展開があって、僕ら作り手側も読んでいて「そうだったのか!」とヒザを叩くことの多い雑誌でしたね(笑)。
 それで、こちらも少しは関連づけをしようか、なんてことになって、『A(エース)』第1話でサブタイトルに「ウルトラ5兄弟」の文字を取り込んだり、「タロウは父と母の実の子」だとか、「セブンとタロウはいとこである」なんて設定を作りましたね。(中略)
 飲みに行った時など、「こんな記事で展開しておいてね」なんてリクエストをして、後々ドラマで逆輸入できそうな企画をやっておいてもらうなんていうことも稀にはありましたね。
 『タロウ』でウルトラの国を登場させましたけれども、時間的な制限のあるテレビでは、細々とした説明はできないわけです。その点、雑誌の記事であれば、一軒一軒の建物にくわしい説明書きが加えられます。(中略)いわばゲームの「攻略本」のような役割を果たしていてくれたんじゃないでしょうか」

(『学年別学習雑誌で見る昭和子どもクロニクル1 ウルトラ博物館』「ウルトラコラム3 語り下ろし 学年誌ウルトラシリーズの攻略本だった!!」円谷プロ顧問 満田かずほ)



 『帰ってきたウルトラマン』は序盤はともかく、そのやや地味な内容が祟ってか、第1クールで視聴率は低落していきTBS側が想定していた初代『ウルトラマン』のような超高視聴率がとれなかったために、第2クールいっぱいでの放映打ち切り(!)が検討されたころもあったという。
 しかし、第2クール中盤から視聴率はじょじょに上昇をはじめる。そして、特撮マニア間での評価は低かった最終第4クールが、その世評に反して実は最高平均視聴率を叩き出してもいる(笑)。
 もしも『小二』の井川編集長が「ウルトラ兄弟」という設定を考案して、それを学年誌の各誌のカラーグラビア記事で展開していなかったならば、児童間での盛り上がりにはいささか欠けてしまって、『帰ってきたウルトラマン』の第3クール以降の放映どころか、その後のウルトラシリーズ自体が存在しなかっのたかもしれない!?


 学年誌からの働きかけで「ウルトラ兄弟」の設定が成立したことは、マニア向け書籍の草創期から当時の第1期ウルトラシリーズ至上主義の文脈でやや否定的に語られてきたことだったのだが(汗)、前述した2003年に発行された書籍『ウルトラ博物館』での各種インタビューによって、その具体的な功労者たちのお名前も遂に特定されたのだった!


 第1期ウルトラシリーズである初代『ウルトラマン』と『ウルトラセブン』は、本編だけを純粋に観るかぎりではその内容に連続性はないともいえるのだが、初代ウルトラマンウルトラセブンのその故郷はともに共通で、M78星雲・光の国とされていた。
 だから、これらを共通の世界観として前面に押し出す発想があってもよさそうなものだし、『週刊少年マガジン』に連載された名漫画家・桑田次郎先生による『ウルトラセブン』コミカライズの第1話冒頭では、その共通設定に触発されたのだろう、地球上空の宇宙空間で初代ウルトラマンウルトラセブンが共演して初代マンがセブンにあとを託すという、出自設定的にもありうべき描写がすでに登場もしているのだ。


 しかし、先の満田氏の発言から見て、ウルトラシリーズを製作していた円谷プロダクション側は、『帰ってきたウルトラマン』第18話『ウルトラセブン参上!』でウルトラセブンをゲスト出演させていたのにも関わらず、小学館側からの働きかけと、そしてその後の雑誌展開の大成功を見てから「ウルトラ兄弟」の設定に本腰を入れたようでもあり、そのへんの良い意味でチャイルディッシュなヒーロー共演を前面に押し出すような発想は当初はあまりなかったのが事実のようだ。


 「ヒーローとはひとりで戦う者」であるという意識が、当時は根強かったのだろう。
 加えて、複数の作品を同一世界での出来事として連結して「世界観」が拡張されていくような、児童レベルでの知的なワクワク感を、視聴者や子供たちにも醸(かも)し出していくような、良い意味での「童心」や「SFマインド」に訴えかけていくような発想も、当時は全然一般的ではなかったのだろう。


 しかし、この「ウルトラ兄弟」という設定で歴代ウルトラシリーズを連結する発想に早くも触発・インスパイアされたのだろう。翌72年4月から放映される『ウルトラマンA』の企画段階になると、ウルトラシリーズのみならず円谷プロの特撮ヒーローである『ミラーマン』(71年)や『トリプルファイター』(72年)なども含めて、自社製作の作品群を「銀河連邦」という名称で、同一世界での出来事だとして売り出していこうという動きが早くも観られるようになっていく――とはいえ、この動きは全然定着しなかったのだが・笑――


 こうした異なる作品を同一世界での出来事だとして連結・シリーズ化していく手法は、オタク第1世代や第1期ウルトラシリーズ至上主義者たちによる「1回性」=「ファースト・コンタクト」ものを重視するテーゼによって、「ヒーローの神秘性」や「怪獣の恐怖性」を損なうものだとして、70年代末期から90年代にかけては、個人的には大変残念なことだったのだが、完全否定をされてしまう(汗)。


 しかし、昭和ウルトラシリーズの25年ぶりの正当続編として製作された『ウルトラマンメビウス』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070506/p1)の登場を皮切りに、昭和ウルトラシリーズは完全復活を果たした。
 加えて、映画『ウルトラ銀河 THE MOVIE(ザ・ムービー)』(09年・ワーナー・ワーナー・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101224/p1)では「SF」における「平行宇宙」の概念を導入! 昭和ウルトラとは異なる世界観であった平成ウルトラ世界のウルトラマンダイナことアスカ・シン隊員が、その看板作品『ウルトラマンダイナ』(97年)の最終回(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971211/p1)で高次元世界へと移行していったことをうまく活かして、昭和ウルトラの世界に颯爽と登場したのだ!
 そして、近々上映予定である映画『ウルトラマンゼロ THE MOVIE』(10年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20111204/p1)では、また別の平行宇宙で『ミラーマン』(71年)や『ファイヤーマン』(73年)や『ジャンボーグA(エース)』(73年)の同族のようなキャラクターたちとも共演をするらしい!
 これは往年の「ウルトラ兄弟」や「銀河連邦」を構築した際の発想とも相似形なのである。単なる善と悪とのド突き合いを超えて、スケール雄大なワクワク感も惹起させてくれる試みではないか!?(笑)


『小学二年生』版『ウルトラマンA』作品リスト

ウルトラマンA [完全復刻版]

*72年5月号『輝け! ウルトラ5兄弟』

 ミサイル超獣ベロクロン・古代超獣カメレキング登場

*72年6月号『変身超獣の謎を追え!』

 変身超獣ブロッケン登場

*72年7月号『二次元超獣の奇襲!』

 忍者超獣ガマス登場

*72年8月号『死刑! ウルトラ5兄弟』

 殺し屋超獣バラバ・異次元超人エースキラー登場

*72年9月号『鳩を返せ!』

 大鳩超獣ブラックピジョン登場

*72年9月増刊号『ウルトラ5兄弟たいヤプール人』

 殺し屋超獣バラバ・異次元超人エースキラー・宇宙恐竜ゼットン・宇宙ロボットキングジョー・宇宙大怪獣ベムスター・用心棒怪獣ブラックキング登場

*72年10月号『復讐鬼ヤプール

 凶悪超獣ブラックサタン・銀(シルバー)星人宇宙仮面登場

*72年11月号『全滅! ウルトラ5兄弟』

 地獄星人ヒッポリト星人・ウルトラの父登場

*72年12月号『ウルトラの星に祈りを込めて』

 超獣人間コオクス登場

*73年1月号『この超獣 10,000ホーン』

 騒音超獣サウンドギラー登場

*73年1月増刊号『怪獣はか場のけっとう ウルトラ五兄弟たい40大怪獣!!』

 異次元超人巨大ヤプール・地獄星人ヒッポリト星人・40大怪獣超獣・ウルトラ軍団(!)登場

*73年2月号『神秘! 怪獣ウーの復活』

 火炎超獣ファイヤーモンス・雪女怪獣スノーゴン・伝説怪獣ウー(二代目)登場

*73年3月号『大超獣最後の逆襲!』

 ミサイル超獣ベロクロン登場


『小学二年生』72年9月増刊号『ウルトラマンA ウルトラ5兄弟たいヤプール人』


 『ウルトラ5兄弟たい(対)ヤプール人』も長らく幻の作品であった。


 のっけから話は飛ぶのだが、第2期ウルトラシリーズ最終作である『ウルトラマンレオ』が放映終了した直後の1975年度の『小学三年生』に『さよならウルトラ兄弟』というタイトルで連載されて、1978年には創刊間もない時期の児童漫画誌コロコロコミック』に『ザ・ウルトラマン』名義でも再連載を果たして大ヒットを放った、通称『ジャッカル大魔王』編。


 2007年にこの作品もコンビニエンスストア売りの『My First BIG』レーベルの単行本として、『ザ・ウルトラマン 死闘!ジャッカル対ウルトラ兄弟!!編』(小学館・07年11月21日発行・ISBN:4091087183)と銘打って再刊されている。
――ただし、「DVDウルトラシリーズ」発売との連動ではなく、「コロコロコミック30周年シリーズ」の連動企画としての刊行だった。当時はガレージトイメーカー・インスパイアから「レジェンドヒーローリターンズ」として、同作に登場する内山大先生のオリジナルキャラクターである宇宙警備隊アンドロメダ星雲支部隊長のウルトラ戦士・メロスや、その宿敵であるジャッカル大魔王のソフビ人形も発売されており、この単行本の応募抽選による読者プレゼントにも採用されていた――


 オリジナル展開のウルトラ漫画の嚆矢(こうし)にして、その中でも最も人気が高いであろう「ジャッカル大魔王」編は、今までにも何度も再刊されてきたので、すでに単行本を所有しているマニア諸氏も多かったことだろう。よって、今回の再刊はパスしようと思った御仁も多かったことと思う。
 しかし、そんなマニア心理を見透かしてウラをかいたのだろう(笑)。この単行本の巻末には、今まで幻だった『小学二年生』72年9月増刊号掲載の『ウルトラマンA ウルトラ5兄弟たいヤプール人』が、併せて完全復刻を果たしていたのである!


――なお、この作品は第3次怪獣ブームがピークに達していた『小学二年生』78年12月号にも、『ウルトラ兄弟物語 勝利のウルトラサイン』と改題して再録されたことがあるので念のため――。




 異次元人ヤプールがウルトラの星の軌道を狂わせ、地球に衝突させようとする!――なんと後年の『ウルトラマンレオ』(74年)第38話『決闘! レオ兄弟対ウルトラ兄弟』~第39話『レオ兄弟ウルトラ兄弟勝利の時』前後編の先駆けの発想が、この72年の時点ですでにあったのだ!――
 全世界に衝撃が走る中、『A』第13話『死刑! ウルトラ5兄弟』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060803/p1)~第14話『銀河に散った5つの星』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060805/p1)の前後編に登場した殺し屋超獣バラバが復活! 東京に出現して暴れ始めた!
 ウルトラ兄弟の5番目・ウルトラマンエースが登場するや、同じ前後編ではこの宇宙のウラ側にあるというマイナス宇宙のゴルゴダ星でウルトラ5兄弟と対戦した悪のヒーロー・異次元超人エースキラーまでもが復活して東京に出現する!


エース「エースキラーに勝つには(ウルトラ5兄弟の合体エネルギー光球である)スペースQしかない。にいさんたちをよぼう!」


 ウルトラ4兄弟の能力をコピーされている超強敵・エースキラー相手ならば、ウルトラ兄弟が助っ人参戦する必然性も出ようというもの! 決して大勢でする弱いものイジメではないのだ!(笑)
 エースが宇宙空間に発したウルトラサインをキャッチした、「帰ってきたウルトラマン」と同一のデザインである「ウルトラ警備隊」の長官(!)はウルトラ4兄弟を地球に派遣する!


――こんなにも早い時点で、ウルトラ兄弟以外のウルトラ一族の同族別個体を登場させるという、ウルトラ世界の広大な「世界観」といったものを読者に想起させる発想がすでにあったのだ! ただし、『ウルトラセブン』に登場した防衛組織と同一の名称になってしまっているのだが、当時の学年誌ではウルトラ一族が設立した「宇宙警備隊」の名称を「ウルトラ警備隊」として誤って記述してしまうことが多かった・汗――


 超獣バラバの右手のムチに首を絞められ、エースキラーが発したウルトラ兄弟の長男・ゾフィーの必殺技であるM87光線を浴びて苦しむエース!
 エースキラー帰ってきたウルトラマンの武器であるウルトラブレスレットを繰り出そうとする!


 そのとき、ウルトラセブンがそのトサカ部分を分離して投擲(とうてき)する宇宙ブーメラン・アイスラッガーが宙を舞って、バラバのムチを切断した!
 ウルトラ兄弟の登場にあわてふためいたヤプールエースキラーを消滅させ、バラバはセブンが両腕をL字型に組んで放つ必殺光線・ワイドショットで砕け散った!


 だが、新たに宇宙恐竜ゼットン・宇宙ロボットキングジョー・宇宙大怪獣ベムスター・用心棒怪獣ブラックキングが出現!
 なんとテレビ本編の初期話数での超獣出現シーンのように空を割って出現させることで、異次元人ヤプールの手先として登場したことも表現しているのだ! こうして単なるテレビ本編のビジュアルを再現するだけでなく、クドクドと説明しなくてもそこに二重・三重の作劇的な意味あいも込めてくれる手法は、実にうまいし子供たちにも嬉しい趣向だろう!


ゾフィー「われわれを地きゅうにひきとめる気だ! (初代)ウルトラマン、光の国へ帰れ!」


 同じころ、同作の防衛組織・TAC(タック)基地本部では、ウルトラの星を破壊するミサイルの発射秒読みが開始されていた!
 ミサイル発射に反対する竜隊長と、第2期ウルトラ恒例の「悪い長官(笑)」が、激しく対立する場面がきちんと描かれているのもナイスである。
 ただ、この場面にはエースに合体変身する北斗隊員と南夕子隊員も描かれており、何の説明もないままエースが突然戦いの舞台から姿を消しているのは困ったものだけど(笑)。


ゾフィー VS ベムスター&ブラックキング!
ウルトラセブン VS ゼットン


 帰ってきたウルトラマンがその必殺武器・ウルトラブレスレットで遂にキングジョーを倒した!


 これらもパノラマ風の見開きページで描かれている!


 彼らの大決闘の最中、遂にウルトラの星に向けてミサイルが発射された!


 再びエースが登場し、ウルトラ兄弟たちにウルトラの星が爆破されてしまったことを告げる(汗)。


 ブラックキングはセブンのエメリウム光線に、ベムスターはエースのキングキック――本放映当時に設定されていた映像本編では未使用に終わった技――とタイマービーム――タイマーショットの誤まりだろう・笑――に倒される!


 残ったゼットンと再度その姿を見せるエースキラー


ゾフィー「(初代)ウルトラマンがもどらなければ」
エース「スペースQは、つかえない」


 のちの東映スーパー戦隊シリーズ、たとえば『バトルフィーバーJ』(79年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120130/p1)第37話『電光剣対風車剣』における、曙四郎(あけぼの・しろう)=バトルケニアが欠けているから必殺技のペンタ・フォースが使えない! みたいな、ヒーロー一般の魅力でもある「万能性」にはやや欠けてしまうというきらいはあるのだが、無敵の必殺技にも使用上の縛りや弱点や欠点がある! という、それはそれでウルトラシリーズではともかく、後年のヒーローものではよくあるパターンをここでもすでにやっているのだ(笑)。


 ゼットンはTACの戦闘機・タックアローの攻撃にやられる!――初代ウルトラマンをその最終回で倒した超強敵怪獣が、いくらなんでもその弱すぎる扱いはダメだろう!・笑――


 初代ウルトラマンもなんとか戻ってきた!
 そして、ウルトラ兄弟は5兄弟の合体エネルギー光球技・スペースQでエースキラーを遂に葬り去った!



 初代マンはゾフィーに「地球に迫っていたウルトラの星は、実はヤプール人が作った偽もの」であったことを報告し、ゾフィーは「やはり、そうだったのか」とひとりごちて、ウルトラ4兄弟はウルトラの星へと帰っていくのであった……


――「やはり、そうだったのか」って…… 絶対にゾフィー兄さんの後出しジャンケン発言だろ!?・笑――


『小学二年生』73年1月増刊号『ウルトラマンA 怪獣はか場のけっとう ウルトラ五兄弟たい40大怪獣!!』


 『小学二年生』73年1月増刊号に掲載された『ウルトラマンA 怪獣はか場のけっとう ウルトラ五兄弟たい(対)40大怪獣!!』では、『A』本編における2大強豪宇宙人であった異次元超人・巨大ヤプールと地獄星人ヒッポリト星人がタッグを組んで(!)、宇宙の「怪獣墓場」(!)に眠っている40匹以上の怪獣・超獣を甦らせる!


――この「怪獣墓場」とは、初代『ウルトラマン』第35話で初登場した宇宙空間に存在する怪獣たちの墓場である。飛んで73年の円谷特撮巨大ヒーロー『ジャンボーグA(エース)』(73年)での登場を皮切りに、さらに飛んで『ザ★ウルトラマン』(79年)第27話『怪獣島(じま)浮上!!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091102/p1)や、『ウルトラマン80(エイティ)』(80年)第15話『悪魔博士の実験室』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100808/p1)、またまた飛んで『ウルトラマンメビウス』(06年)第21話『虚空(こくう)の叫び』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061026/p1)や、映画『ウルトラ銀河 THE MOVIE』(09年)などにも再登場を果たしている。人間ドラマ的・社会派テーマ的には意味はないのだし(笑)、「SF」というよりかは「呪術」的な舞台装置でもあるのだが、エンタメ作品としては実に「童心」に訴えかけてもくる魅惑的な設定ではあったのだ。この作品ではそれらを先駆けること1972年の時点で、早くも『怪獣墓場』ネタを採用していたのだった!――


 さらに、ヤプールウルトラマンエースに化けて、『A』第3クールから第4クール前半にかけてのレギュラーであった梅津ダン少年(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061120/p1)をはじめとする多くの子供たちを誘拐!
 泣きわめく子供たちの中で、ダンだけはただひとりコラえることができていて、「ウルトラ5つの誓い」を叫び続けていた! このあたりの「負けん気」は、テレビ本編でのダン少年の描写を見事に引き継いでもいる。


 この「ウルトラ5つの誓い」は、『帰ってきたウルトラマン』最終回と、その後日談でもあリ同作の子役レギュラー・次郎少年をゲスト出演させた『ウルトラマンA』第10話『決戦! エース対郷秀樹』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060709/p1)でも披露されたものである。
 とはいえ、ダン少年が「ウルトラ5つの誓い」を知っていたというのは初耳なのだが、本編では描かれてはいなくても、第10話のラストで次郎少年から「ウルトラ5つの誓い」を聞かされていたウルトラマンエースこと防衛組織・TAC(タック)の北斗星司(ほくと・せいじ)隊員の兄ちゃんが、ダン少年に直々に伝授していたとしても全然不思議じゃないだろう!(笑)


 地球の危機を察知したウルトラの父は、ウルトラ4兄弟を地球へと派遣! 北斗隊員の前になんと彼ら4人は変身前の人間体の姿で現れた!
 しかも、背広スーツ姿のゾフィー以外、ハヤタ隊員(初代ウルトラマン)、モロボシ・ダン隊員(ウルトラセブン)、郷秀樹隊員(帰ってきたウルトラマン)は、変身前の防衛組織の隊員服姿での登場なのだ!(涙)


 空中に浮遊するヒッポリト星人からの挑戦状を受けて、ウルトラ5兄弟は怪獣墓場に急行する! だが子供たちを人質にとられており、怪獣&超獣軍団には手も足も出せない!
 ウルトラ兄弟のピンチにウルトラの父が颯爽(さっそう)と登場! ウルトラ兄弟たちに子供たちを地球に送り届けるように命じて、自身は自ら40匹もの怪獣&超獣軍団にたったひとりで立ち向かっていく!


 無事に子供たちを地球に送り届けて、怪獣墓場に戻ってきたウルトラ5兄弟は、力を使い果たして倒れているウルトラの父の姿を見た…… ウルトラ兄弟たちの怒りが爆発!


ゾフィー VS 変身超獣ブロッケン&台風怪獣バリケーン
初代ウルトラマン VS 対昆虫怪獣ノコギリン&宇宙牛人ケンタウルス星人!(後者がなぜだか悪役・笑)
ウルトラセブン VS 宇宙大怪獣ベムスター&変幻怪獣キングマイマイ&吸血宇宙星人ドラキュラス!
帰ってきたウルトラマン VS 古代超獣カメレキング&一角超獣バキシム
ウルトラマンエース VS 怪魚超獣ガラン!


 これらが見開きページで、パノラマ的にダイナミックに描かれているのだ! この迫力ある構図は先述した『決戦 ウルトラ兄弟対11大怪獣』や、『小学二年生』75年3月号に載された『ウルトラマンレオ』コミカライズ同誌版の最終話『ウルトラ兄弟大勝利!』などでも用いられており、編集部から相応にページ数を与えれており、紙幅に余裕があったがゆえの画面演出でもある!


 ウルトラ5兄弟の応援に、ウルトラ兄弟の故郷・光の国から数十人ものウルトラ戦士の一団「ウルトラ軍団」(!)も駆けつける!


 巨大ヤプールとヒッポリト星人の頭上を覆い尽くすように、映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE(ザ・ムービー)』(09年・ワーナー・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101224/p1)ではじめて実写映像化された多数の「雑魚(ざこ・笑)ウルトラマン」こと、当時の学年誌でも公表されていた宇宙警備隊の一般隊員たちは100万人もいる! というウラ設定を合理的に活用して、彼らの一部を空一面に登場させて逆転勝利の勝機とする描写が、これまた見開きページで描かれることとなったのだ!


 ところで、現在の作品では、いわゆる「マント」はウルトラの父やウルトラ6兄弟などしか着用していない。
 こうしたコミカライズでの「雑魚ウルトラマン」たちまで「マント」をまとっていた印象があまりに鮮烈な記憶として残っている筆者としては、光の国ではみんなが「マント」を着用しているのだという印象があるので、少しだけ複雑なものはある……
 とはいえ、遂にウルトラ6兄弟がマントをまとった姿で実写映像されたことにはたしかに感動したので、今後はこの新設定の軍門に降ることとしよう!(笑) 


『小学二年生』版『ウルトラマンタロウ』作品リスト

ウルトラマンタロウ [完全復刻版]

*73年4月号『ウルトラの母は太陽のように』

 ウルトラ5兄弟・宇宙大怪獣アストロモンス・オイル超獣オイルドリンカー登場(ウルトラの母もシルエットで登場)

*73年5月号『恐怖のはらぺこ大怪獣!』

 再生怪獣ライブキング登場(テレビ本編とは異なりウルトラの母は登場しない)

*73年6月号『液体怪獣を追え!』

 液体大怪獣コスモリキッド登場

*73年7月号『東京の崩れる日』

 ゾフィー・大羽蟻怪獣アリンドウ登場

*73年8月号『怪獣墓場からの脱走者』

 ゾフィー・噴煙怪獣ボルケラー・虫歯怪獣シェルター登場

*73年9月号『涙のストリウム光線』

 ゾフィー・銀十字軍団(!)・火山怪鳥バードン登場

*73年9月増刊号『かがやけウルトラの星 けっせん! ウルトラ兄弟たい怪獣軍団』

 悪質宇宙人メフィラス星人・宇宙忍者バルタン星人・反重力宇宙人ゴドラ星人・暗殺宇宙人ナックル星人・分身宇宙人ガッツ星人・異次元超人巨大ヤプール・幻覚宇宙人メトロン星人・総数120匹の怪獣軍団登場

*73年10月号『消えた車は怪獣のエサだ!』

 しんきろう怪獣ロードラ登場

*73年11月号『ウルトラの泉の秘密』

 宇宙大怪獣ムルロア・ウルトラの母ウルトラセブン登場(セブンは1コマのみ。他のウルトラ兄弟は登場しない)

*73年12月号『神の子になった少年』

 悪質宇宙人メフィラス星人(二代目)登場

*74年1月号『ウルトラ7番目の兄弟』

 宇宙犬ラビドッグ(!)・極悪宇宙人テンペラー星人ウルトラ兄弟ウルトラの父ウルトラの母登場

*74年2月号『ウルトラ兄弟を超えてゆけ!』

 ウルトラ5兄弟・暴君怪獣タイラント登場

*74年3月号『地球が沈む! タロウ最後の戦い!』

 ウルトラ軍団(!)・熱怪獣ファイアント登場



 内山大先生の『帰ってきたウルトラマン』や『ウルトラマンA』時代のコミカライズは、比較的オーソドックスな内容であり、怪獣が1匹余分に出たりする程度でそれほどの冒険はしていなかった。
 『小学二年生』増刊号ではウルトラ兄弟が勢ぞろいする長編漫画を執筆してきたものの、『ウルトラマンタロウ』や『ウルトラマンレオ』のころになると、『小学二年生』の通常号でも頻繁にウルトラ兄弟をゲストに登場させるようになる。


 しかも、テレビ本編のように先輩ヒーローが助っ人参戦しても苦戦してしまって子供たちに歯がゆい思いをさせることもなく(汗)、颯爽とした大活躍をさせており、先輩ヒーローとしての「強さ」や「頼もしさ」を鮮烈に感じさせるように魅力的に演出されているのだ! 我々はテレビ本編でもこんな先輩ウルトラ兄弟たちの助っ人参戦編が観たかったのである!


 『小学二年生』版『タロウ』では7月号~9月号にかけては、なんと3号連続でウルトラ兄弟の長男・ゾフィー兄さんが登場するのだ!



 7月号掲載の『東京の崩れる日』は、ストーリー自体は基となったテレビ本編の第9話『東京の崩れる日』に忠実なのだが、タロウと大羽蟻怪獣アリンドウとの戦いを光の国で見ていたゾフィーがブラザーズ・マント――という名称は当時はないが・笑――を颯爽と脱ぎ捨てて、地球へと飛来!
 アリンドウにウルトラキックを豪快にかます
 タロウにアリンドウの弱点が脇腹であることを伝えると、タロウはそれを目がけて両腕を逆L字型に組んで放つ必殺技であるストリウム光線を発射した!
 ウルトラ兄弟の華麗なる連係プレーが遂にアリンドウにトドメを刺した!



 8月号掲載の『怪獣墓場からの脱走者』は、テレビ本編の第12話『怪獣ひとり旅』と第13話『怪獣の虫歯が痛い!』の設定をミックスしてアレンジしたオリジナル作品となっている。


 なんと噴煙怪獣ボルケラーは「怪獣墓場」(!)を脱走し、ゾフィーに追いかけられる存在として登場!
 地上に落下してきた際に、少年の息子を助けようとした父親を飲みこんでしまった怪獣ボルケラーに対して、ゾフィーは思うように戦うことができない。
 『タロウ』の防衛組織・ZAT(ザット)がボルケラー攻撃に出動するが、ゾフィーはそれを制止してボルケラーの思うがままにされてしまう!


 主人公であるZATの東光太郎(ひがし・こうたろう)隊員はウルトラマンタロウに変身!
 ボルケラーにスワローキックを喰らわし、ストリウム光線を浴びせようとするが、ゾフィーからボルケラーの腹の中に少年の父がいることを聞いて、なんとミクロ化(!)してボルケラーの体内に侵入!
 タロウが無事救出に成功するや、ゾフィーはボルケラーを幻の必殺技であるM87光線(!)で倒した!!


 あとはタロウに任せて、光の国へと帰還するゾフィー……


 ゾフィーの登場はここまでなのだが、このあとタロウはなんと! 劇中ではオープニング主題歌バックのZAT基地格納庫内での映像のみで本編では未登場に終わってしまったZATの海底メカ・アイアンフィッシュ(!)の危機を救うために、海中で虫歯怪獣シェルターと戦うのである!
 たまにはこういう地底メカや海底メカも活躍する、目先の戦場を変えたエピソードも観てみたい! そんな子供たちの願望に応えてみせたバトル・シチュエーションをここぞとばかりに実現してみせる旺盛なサービス精神!――内山大先生や学年誌の担当編集者たちも、自分たち自身こそがそれを観てみたかった!?――



 9月号掲載の『涙のストリウム光線』は、テレビ本編の第18話『ゾフィが死んだ! タロウも死んだ!』~第19話『ウルトラの母 愛の奇跡!』の超短縮バージョンである――この2話を含む3部作の第1話であった第17話『2大怪獣タロウに迫る!』のことをカウントに入れなかったのは、食葉怪獣ケムジラが登場しないから・笑――。
 よって、ゾフィーが登場するのは当然なのだが、これがまた本編以上に涙を誘う展開になっている!


 火山怪鳥バードンに苦戦するタロウのもとに、颯爽と登場するゾフィー


ゾフィー「タロウ 大丈夫か!?」
タロウ「ゾフィーにいさん」
ゾフィー「タロウ、光の国へ帰ってけがをなおしてこい。その間(あいだ)、わたしがくいとめる。ウルトラの母がまっているぞ」
タロウ「しかしにいさん」
ゾフィー「きずをなおして、早くもどってきてくれ」


 ゾフィーの透明な球形状のウルトラバーリヤに包まれたタロウは光の国へと向かい、ゾフィーは単身バードンに立ち向かう!
 しかし、バードンの鋭い爪で、胸の中央にあるウルトラ一族の命でもあるカラータイマーを破壊されてしまった!


 そこに治療を終えたタロウが戻ってきた!


 ゾフィーバードンをがっちりと組み伏せ、「タロウ、今だ! ストリューム光線をうて!」と叫ぶ!――正式名称であるストリウム光線ではない・笑――


タロウ「ええっ!? それはできない……。怪獣からはなれてくれ!」
ゾフィー「かまわん うつんだ! 今をのがしたらチャンスはない! カラータイマーをこわされた。わたしの命もあとわずかなのだ。はやくうつんだ! タロウ! これは警備隊隊長としてのめいれいだ!」
タロウ「にいさん……」
ゾフィー「頼む うってくれタロウ!」
タロウ「ゾフィーにいさん!」


 ゾフィーごとバードンにストリウム光線を放ってしまうタロウ!


タロウ「ゾフィーにいさん ゆるして……」


 ガックリと膝を落としてしまうタロウ。


 そのとき、空の彼方から、光の国の看護組織・銀十字軍の長でもあるウルトラの母と、ウルトラの母の姿に似た女性ウルトラ族である銀十字軍の数十名もの一団(!)が現れる……


ウルトラの母ゾフィー……。りっぱでしたよ……」(泣)



 泣かせるのはこればかりではないのだ!


 74年1月号掲載の『ウルトラ7番目の兄弟』は、テレビ本編の第33話『ウルトラの国大爆発5秒前!』~第34話『ウルトラ6兄弟最後の日!』前後編の後日談(!)ともなっており、この前後編に登場した極悪宇宙人テンペラー星人が軍団(!)としてリベンジしてきて、光の国を占領してしまうのだ!
 ウルトラの父ウルトラの母・ウルトラ5兄弟、そして第25話『燃えろ! ウルトラ6兄弟』で光の国に帰還したタロウを出迎えた宇宙犬ラビドッグ(!)を殺人バリアーに閉じこめ、ニセのウルトラサインでタロウをおびき出す。


 バリアーを壊そうとするタロウだが、そのときラビドッグがバリヤーに突撃! 高圧電流でラビドッグはひとたまりもなかったが、バリヤーの発生装置が破壊された!


 タロウはテンペラー星人の隊長をストリウム光線で倒して、ラビドッグの仇をとる!


 バリヤーから脱出したウルトラ5兄弟とタロウは、兄弟全員の力を合わせた光線技・ウルトラビッグパワーでテンペラー星人の宇宙船を粉砕した!


 ラビドッグの墓前で回想にふけるタロウ……


ウルトラの父「わたしたちは、ラビドッグをウルトラ7番めの兄弟とよぶことにしよう。ラビドッグの名は、いつまでもウルトラの国にのこるであろう」


 翌年度にウルトラ7番目の兄弟に加入したのは、獅子座L77星出身のウルトラマンレオなので、今となってはその部分は不整合ではある。
 しかし、テレビの純粋コミカライズではなく、個別のイベント編の後日談でもあるオリジナルエピソードであり、テンペラー星人も軍団(!)として登場するという、ある意味では後年の量産型の敵ロボットが大挙登場するようなリアルロボットアニメ的な発想のエピソードには、スケールも実に大きく感じられてワクワクとしてくるのだ!


 テレビの映像本編の各話の時系列の隙間を埋めていたとしても全然不思議ではない、語られざる「準・本編」や「番外編」といった、子供たちの歴史年表的な興味関心をも惹起する手法。
 それは洋の東西を問わない、後年の『ウルトラマン』シリーズ・『スター・ウォーズ』シリーズ(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200105/p1)・『スタートレック』シリーズ・『宇宙戦艦ヤマト』シリーズ(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101207/p1)・『機動戦士ガンダム』シリーズ(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990801/p1)などにおける、映画やテレビの本編だけではなく、漫画や小説やオリジナルビデオでシリーズの隙間を埋めて、脇役キャラクターたちにも焦点を当てていき、その「世界観」や「歴史観」を広大に拡大していくような、その後に世界的にも隆盛を極めていく手法の先駆け・萌芽ではなかっただろうか!?



 そして74年3月号掲載の『地球が沈む! タロウ最後の戦い!』(最終回)では、南極に現れた熱怪獣ファイアントのために南極の氷が溶け出し、日本各地を津波が襲う!
 ZATが攻撃に向かうが、ファイアントが発する熱はミサイルすらも溶かしてしまった!


 そこに現れるウルトラ5兄弟をはじめとする数百人の「ウルトラ軍団」!
――なんと今回はウルトラ5兄弟のみが「マント」を着用していた! アレッ? 映画『ウルトラ銀河伝説』における「ブラザーズ・マント」の設定はこのエピソードからの引用だった?・笑――


 ウルトラ戦士数百人が全員で怪獣ファイアントを目がけて、一斉に冷凍光線・ウルトラフリーザーを発射する!


 だが、ファイアントの繰り出す熱攻撃に、雑魚ウルトラマンたちは次々に倒れていく!


 光太郎は戦闘機・スーパースワローでファイアントに突撃! そのままタロウに変身して、捨て身の自爆必殺技・ウルトラダイナマイトを放った!!


 崩れおちるタロウを抱え、ゾフィーとウルトラ軍団は光の国へと帰っていくのであった……


『小学二年生』73年9月増刊号『かがやけウルトラの星 けっせん! ウルトラ兄弟たい怪獣軍団』(『ウルトラマンタロウ』)


 2010年10月1日に発売された『ウルトラコレクションボックス ザ・内山まもる』では、先にもふれた『小学二年生』73年9月増刊号に掲載された大長編漫画『かがやけウルトラの星 けっせん! ウルトラ兄弟たい怪獣軍団』も遂に完全復刻されていた。


 この『かがやけウルトラの星』も、当時の雑誌からダイレクトに復刻されていることから、元の原稿は現在行方不明なのだろう。しかし、この長編漫画のイントロでもあったカラーグラビアの発色の良さも含めて、比較的きれいな状態で復刻されているのは実に喜ばしいことだ。


 そのカラーグラビアは、タロウが力強くパンチを決める扉に


「絵・内山まもるとウルトラグループ(!)」


 とクレジットされている。


 ウルトラグループの中には当時、内山大先生のアシスタントを務めており、のちに内山大先生に代わって『コロコロコミック』や小学館学年誌ウルトラシリーズのオリジナル漫画やコミカライズを描き続けた、かたおか徹治先生の名前もあり、これは今回の新たな発見である。


――後日編註:こちらも事実誤認でして大変申し訳ございません。2022年6月24日(金)付の発行である『ザ・ウルトラマン 単行本初収録&傑作選 下』(小学館クリエイティブISBN:4778038711電子書籍ASIN:B0B34CZ343)の巻末に付された特撮ライター・ガイガン山崎による「解説」によれば、かたおか徹治先生は内山まもる先生のアシスタントではなく、学年誌の編集部側からの要請による「1回限りのヘルプ」だったそうだ。ググってみると、氏もまたすでに前年1972年度から当時放映中の『ミラーマン』『アイアンキング』『ファイヤーマン』『科学忍者隊ガッチャマン』のコミカライズを学年誌で量産しており、すでに一本立ちしていた身でもあった!――


 ページをめくると、


メフィラス星人「うふふ、地きゅうはおれたちのものだ!」
ウルトラマンタロウ「行くぞ、怪獣軍団をたたきつぶすぞ」


 と、見開きの2色で向き合う両雄のグラビア姿が!


 このメフィラス星人は、初代『ウルトラマン』第33話『禁じられた言葉』におけるメフィラス円盤内での、初代マンことハヤタ隊員との会話場面からコラージュしたものかと思われるが――この『夏の増刊』はメフィラス星人2代目が登場する『タロウ』第27話『出た! メフィラス星人だ!』が放映される前の発売なのである――、タロウとの構図もバッチリと決まっており、これは今回の大長編漫画の予告編の意味も兼ねていて、いっそうの期待が高まる!


 そして「さあ、読もう!」とウルトラ6兄弟ががっちりスクラムを組む写真の下には、若かりし日の内山大先生のお姿も! 内山大先生は1949(昭和24)年1月生まれのいわゆる第2次世界大戦が終結した直後の世界的なベビーブーマー世代のいわゆる「団塊の世代」なので、当時まだ24歳なのだが、けっこう今で云うイケメンであるのがまた憎い!(笑)




 ZATのZATバルーンなるこの大長編漫画オリジナルの大きな気球の試運転中、東光太郎隊員は海底火山の爆発と円盤の大群に遭遇! さらに付近の島に『帰ってきたウルトラマン』に登場した水牛怪獣オクスターが上陸する!


 島民の危機に光太郎はウルトラマンタロウに変身するが、もうひとり、島民の脱出に力を貸していた謎の青年がウルトラキング(!)なる巨大超人に変身する!


――ここで登場するウルトラキングはもちろん、ウルトラ一族の長老・ウルトラマンキングのことではない。ウルトラマンキングは翌74年の『ウルトラマンレオ』の中盤で初登場したキャラクターなので、ここでのネーミングの一部重複は仕方がないので見逃そう・笑――


 ウルトラキングはクロスした両腕から放ったスター光線で怪獣オクスターを倒すが、怪獣軍団が地球に向かいつつあり、ウルトラ兄弟もすぐ日本に向かうとのウルトラサインがタロウに届く!


 相次ぐ地球の異変に、ZATは謎の青年・げんすけを先の戦いの功績からZAT隊員(!)として迎え入れた。


 同じころ、


・北海道に宇宙忍者バルタン星人!
・東北地方に反重力宇宙人ゴドラ星人!
・東京に暗殺宇宙人ナックル星人!
中部地方に分身宇宙人ガッツ星人
・四国に異次元超人巨大ヤプール
・九州に幻覚宇宙人メトロン星人


 そして、それぞれが率いる総数120匹もの怪獣軍団が現れ、総攻撃を開始した!!


 関西と中国地方にはいっさい怪獣が出現していないのはナゼだ!?(笑)


・北海道に初代ウルトラマン
・東北地方にウルトラセブン
中部地方帰ってきたウルトラマン
四国地方ウルトラマンエース
・九州にウルトラ兄弟の長男であるゾフィー


 そして東京にはウルトラマンタロウが現れ、次々に怪獣軍団を撃退していく!


 かの脚本家・長谷川圭一が映画『大決戦! 超ウルトラ8兄弟』(08年・松竹)の製作前に練り上げていた流産プロット『ウルトラマンメビウスウルトラ兄弟2』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20130317/p1)では、


・横浜に宇宙大怪獣アストロモンス!
・北海道に宇宙怪獣エレキング
・京都に古代怪獣ゴモラ
・名古屋に古代怪獣ツインテール
・沖縄に一角超獣バキシム


 といった、歴代ウルトラシリーズの人気怪獣たちが登場して、


初代ウルトラマンが京都に!
ウルトラセブンが北海道に!
帰ってきたウルトラマンが名古屋に!
ウルトラマンエースが沖縄に!


 それぞれが急行して、横浜では当時最新のウルトラマンメビウスがアストロモンスと対戦! などという、まさに夢の対決が描かれていたものだ。


 このようなパノラミックなエンタメ活劇優先の同作が、実現ができなかったことがいまだに惜しまれる……(涙) 中年オヤジの第1期ウルトラシリーズや1960年代リスペクトなノスタルジードラマだった『超8兄弟』よりも、大画面で鑑賞する映画では複数ヒーローVS複数怪獣の高揚感こそを作劇の中心に据えるべきだっただろう!


 まぁ、こういった複数ヒーローVS複数怪獣ものは、別に長谷川先生や内山大先生だけではなく、1960年代の第1期ウルトラシリーズの各種の怪獣図鑑の時代から、パノラミックな見開きページの挿絵画像などでも描かれてきたものだし、そういったものに仮にまったく遭遇していなかったとしても、往時の子供たちは「ごっこ遊び」やソフトビニール人形や落書きなどで、ヒーロー集団VS怪獣軍団の戦いを妄想してワクワクしてきたのであったのだが……



 そして、げんすけはウルトラキングに変身し、日本各地に飛び回ってウルトラ兄弟たちを助けて大活躍する!
 東京に戻ってきたウルトラキングはタロウとともに怪獣軍団を撃退し、東京侵略隊長のナックル星人を絞めあげるが……


ウルトラキング「おい、このへんでひきあげろ」
ナックル星人「わかった。うまくやれよ キング」


 空の彼方へと逃げ去っていくナックル星人率いる怪獣軍団。


 地上に平和が戻り、ウルトラキングとげんすけの人気が人々の間で高まる。
 ZATバルーンで飛行中だった光太郎と南原(なんばら)隊員、そしてげんすけは、途中でテレビ本編でもレギュラー・キャラクターであった健一少年をはじめとする子供たちを乗せてあげる。


 しかし、げんすけは子供たちを利用して光太郎の左腕に付けている変身アイテム・ウルトラバッジを地上へと落下させてしまい、バッジを取ろうとした健一は頭をぶつけて気絶してしまう!


光太郎「おまえの正体はなんだ!」
げんすけ「知りたいか 光太郎」


 げんすけがバルーンから後ろずさりに飛び降りて変身する! げんすけの正体は悪質宇宙人メフィラス星人であったのだ!


 初代『ウルトラマン』第33話『禁じられた言葉』に登場したメフィラス星人が、東京・丸の内の28番街に出現させたバルタン星人3代目・凶悪宇宙人ザラブ星人2代目・誘拐怪人ケムール人2代目は、近年の一部の特撮マニアたちからは実体のないホログラフィー(立体映像)であったとする説も唱えられている。云われてみれば、彼らは物理的な破壊活動はしておらず、メフィラス星人のブラフ(ハッタリ)であった可能性も高いワケであり、それはそれでありうべき合理的な推論ではある。
 しかし、やはり幼いころに我々はこれらの配下の宇宙人たちを実在の存在として捉えていた。そして、それらの強力な宇宙人を配下に従える上位の存在として、メフィラス星人のことを捉えていた子供たちが大勢だろう。


 メフィラス星人が近年に至って、『ウルトラマンメビウス』や『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY(ネバー・エンディング・オデッセイ)』(08年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100331/p1)などに繰り返して同族の別個体が登場するようになったほどに、いまだに高い人気を保ち続けているのは、別に「知的」で「紳士的」だからだという理由ばかりではなく、バルタンやザラブやケムールを配下に従えたことがあり、その黒光りした体色ともあいまって、こういう怪獣軍団や宇宙人軍団のトップに君臨しそうなマフィアのボス的なスゴ味や貫禄もあるからなのだろう。


 内山大先生的には「メフィラス星人は黒ベタ中心の配色であることから、漫画で使いやすいデザインなので好きだった」とのことだそうだが、やはり当時の学年誌の担当編集者も含めて、宇宙人・怪獣軍団のボスとしてふさわしいキャラクターだと考えていたのだろう。



 筆者のあいまいな記憶で申し訳がないのだが、たしか『小学一年生』74年2月号に掲載された『タロウ』のコミカライズでも、怪獣軍団のボスはこのメフィラス星人であった!


 ちなみに、この『小学一年生』版の『タロウ』コミカライズは、小学館の『週刊少年サンデー』73年4月15日号~8月12日号でも、ほとんど『デビルマン』(72年・東映 NET→現テレビ朝日)の永井豪(ながい・ごう)氏による原作漫画版(72年)と同じようなノリの(笑)、実におぞましいオリジナルの『タロウ』コミカラズを描いていた石川賢(いしかわ・けん)氏が担当していた――よりにもよってなぜ高学年誌ではなく『小学一年生』に!?・笑――。


 鬼才・石川賢氏は、合体ロボットアニメの元祖『ゲッターロボ』(74年)の原作漫画版――まぁ、実際には当時の『仮面ライダー』や『マジンガーZ』などとも同様、原作名義ではあっても同時進行である今で云うメディアミックス展開の作品である――でも知られている永井豪氏のアシスタントで、永井氏のダイナミックプロに所属していた漫画家でもある。
 この異形(いぎょう)でベビーな内容である石川賢版は、第3次怪獣ブームにおける熱狂的なウルトラ大ブームに便乗して、79年3月1日にも単行本として再販(ASIN:B000J8IR8U)されたことがあったことから、当時の子供たちや特撮マニア間でも相応に知られてはおり、テレビ本編の牧歌的な内容とは真逆なシビアな内容はマニア間での評価も高くて、定期的に出版社を変えて再販もされてきた(86年・ISBN:488653323X、99年・ISBN:4575936553、16年・ISBN:4778033094)。


 マニア向け書籍『まんが秘宝Vol.2 つっぱりアナーキー王』(洋泉社・97年9月発行・ISBN:4896912772)において特撮ライター・切通理作(きりどおし・りさく)は、石川賢版『タロウ』終盤でのタロウの顔面に生じた亀裂から漏れてきた強烈な「光」を指して、昭和のウルトラシリーズとは世界観が異なる平成ウルトラシリーズ第1弾である『ウルトラマンティガ』(96年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961201/p1)におけるウルトラマンの神秘性や「光」の概念にも通じるものがあるという趣旨の文章を書き下ろしている。
 その一点だけを取れば、たしかにこの「光」はシャープでクールでハイセンスな「SF」の香りがするのだが、しかし基本的には「SF」ではなく下世話な「エログロ・バイオレンス」(笑)な方向性での異色作として優れているのにすぎない石川賢版のグロさこそが、ヤバさにも接近していてそこに抵触(ていしょく)しているから実は『ウルトラマン』の秘められた本質にも接近していた正道・本道でもあったのだ! 作品としてのクオリティーも高いのだ! と云わんばかりの持ち上げ方をしているようにも取れるその論法には、石川賢版『タロウ』を持ち上げたいという切なる気持ちは実によく伝わってくるのだが、失礼ながら少々ムリがある論法だと思えて首を傾げてしまうところもあるのだが……



 メフィラス星人に蹴飛ばされて、海へと落下していくZATバルーン!
 その衝撃で正気に戻った健一の手には、落下したと思われていたウルトラバッジがしっかりと握られていた!(笑)
 健一からバッジを受け取り、光太郎はタロウへと変身!


 いやぁ、この華麗なる連係プレー! 『タロウ』には欠かせない存在であったレギュラー少年・健一くんに、足手まといなだけの人質要員ではなく、きちんとした活躍の場を与えてくれているのもさすがである!
 ……と云いたいところなのだが、この描写では健一くんに光太郎の正体がタロウだとバレてしまうよ~(汗)。今回はパターン破り的に無言で変身して、変身の瞬間についてはその閃光で目撃しなかった! などのウマいエクスキューズ描写はほしかったところだなぁ。


 メフィラス星人はウルトラキングへと変身、空中でタロウとの激しい死闘が展開される!


 そして再び姿を見せる宇宙人&怪獣軍団! そこに颯爽と登場するウルトラ5兄弟!


ゾフィー VS ブラックキング!
・初代マン VS ベムスター
・セブン VS エレキング
・新マン VS ブラックサタン!
・エース VS ヒッポリト星人!


 これまた見開きの一大パノラマで描かれている! 実にカッコいい!


タロウ「キング、いやメフィラス、このしょうぶ(勝負)はあとでつけよう」
キング「ふふふ、すきなようにしろ。どうせおまえたちは、しぬのだ」


 ウルトラキングから本来の姿に戻るメフィラス星人。このあたりはきちんと「紳士的」なメフィラス星人が描かれている(笑)。メフィラス星人としばし休戦し、怪獣軍団に向かっていくタロウ!


 タロウは地底怪獣テレスドンに後ろからはがい締めにされる!――その傍らには弟の地底怪獣デットンの姿も! ちなみに、デットンの着ぐるみはテレスドンの流用であることから、当時の学年誌怪獣図鑑のウラ設定ではこの2匹は「兄弟」とされ、70~80年代の子供たちは皆そういう設定なのだと知っていたのであった・笑――


 前方からは古代怪獣ツインテールのムチで胴体を巻かれて、絶体絶命の初代マン!
 初代マンはテレスドン一本背負いをかけて、ツインテールは下敷きになるが、初代マンはテレスドンに組みつかれたまま海中に落下!
 そこにやってきた竜巻怪獣シーゴラスが、なんと初代マンのカラータイマーをツノで突き刺してしまう!


メフィラス星人「うわっははは、ウルトラ兄弟よ! (初代)ウルトラマンはし(死)んだぞ!」


 初代マンの死がテレビ・ラジオを通じて一般大衆にも知らされるという地に足の着いたリアルな描写も素晴らしい!


アナウンサー「ウルトラ兄弟は怪獣軍団と、九州おき(沖)でち(血)みどろのたたかいをはじめました! 日本にこれい上(以上)のひがいを出させないためにウルトラ兄弟は、上りく(上陸)しようとする怪獣軍団をくいとめています! そして今、わたしたちのためにウルトラマンは、いのちをなげだしてくれたのです!」


 いやぁ、泣かせるし、燃えますなぁ!
 このような戦闘現場の周辺や、それに対するテレビ中継など、スポーツ根性ものや格闘技漫画や演劇漫画などにはよくあるような、観衆たちの大袈裟な心配や応援といったリアクションや絶叫、暑苦しいスポーツ実況解説(笑)などが、読者や視聴者の気持ちを代弁してくれるどころか煽(あお)ってくれたりもすることで、シーンの盛り上がりはずいぶんと違うものとなってくるのだ!


新マン「にいさん、ウルトラダブルをつかう!」
ゾフィー「やめろ、(新)ウルトラマン!」
新マン「ウルトラダブル!!」


 ウルトラダブルとは身長を2倍の80メートルの大きさにして新マンの力を倍増させるという、『帰ってきたウルトラマン』放映当時に設定だけはあったものの映像本編では描かれることがなく、今回が初披露なのかと思いきや……
 実はこれ、先述の『ウルトラ兄弟対11大怪獣』においても、ゴモラエレキング・ゴルバゴスに崩されそうになった高層ビルを支えるために一度披露していたのだ!


 こういう人間ドラマや社会派テーマではない、ウルトラマンの巨大化能力やミクロ化能力といったヒーローの「万能性」を見せつけて子供たちをワクワクさせたり、その超能力が戦術的にも勝機に結び付くようなかたちで合理的に活かされる戦闘シチュエーション・アクション演出に子供たちはワクワクとさせられるものなのだ!


 後年の映像作品では、テレビアニメシリーズ『ザ★ウルトラマン』第14話『悪魔の星が来た!!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090803/p1)で、通常は身長70メートルサイズで戦う同作の主人公ヒーローであるウルトラマンジョーニアスが、当時の児童誌などでも公表されていた最大120メートルまでは巨大化できるという設定を劇中でも披露! 稚気満々(ちきまんまん)なヒーローの特殊能力を主眼に据えたカッコいいアクション演出で、当時の子供たちも熱狂させている。ヒーローものではこういう「万能性」のカタルシスを感じさせる要素も非常に重要なのだ!


 ちなみに、『ウルトラ兄弟対11大怪獣』では先の高層ビルの中に、映像本編でもレギュラー・キャラクターでメインヒロインでもあった坂田アキとその弟の坂田次郎少年が閉じこめられていた…… って、コレも『ウルトラマンレオ』第48話『恐怖の円盤生物シリーズ! 大怪鳥円盤日本列島を襲う!』で描かれた、円盤生物サタンモアに襲われながらも必死で高層ビルを支え続けるレオの先取りみたいだなぁ。
 まぁ、円谷プロの文芸部にいた田口成光はともかく、円谷プロ外部からの招聘(しょうへい)であった大のオトナである脚本家たちが、学年誌の漫画にまで目を通すことなど当時はありえなかっただろうから、あくまでも偶然の一致だろう。それに、高層ビルを破壊しながら戦う巨大ヒーロー・ウルトラマンVS巨大怪獣という設定を煮詰めていけば、だれでもこのようなシチュエーションにたどりつくものでもあるだろう。
 高層ビルの中にいる人々を守るために戦うウルトラマンというシチュエーションは、たしか『コロコロコミック』特別増刊4号である『春の特別増刊号 ウルトラマン』(79年4月30日発行・3月30日実売)にも掲載されたテレビアニメ作品『ザ★ウルトラマン』(79年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971117/p1)のコミカライズでも存在していたと記憶している。


 本作の2年も前に自身が採用していたウルトラマンの特殊巨大化能力をここ一番というときに採用するとは! 絵的にはスゴいインパクトがあるし、内山大先生もヒーローの特殊能力から来る「万能性」が発揮されるカタルシスを好んでおり、それを自作の作劇にも採用してしまうような「子供心」「童心」が強いのだろう(笑)。それはさておき、このウルトラダブルも、新マンことウルトラマンジャックの取っておきの秘技として、今後の映像作品でも再現してほしいものである!


 棲星怪獣ジャミラ・宇宙怪獣エレキング・凶暴怪獣アーストロン・古代怪獣ダンガーを、ウルトラダブルで一度に粉砕する新マン! だが、それによってエネルギーを使い果たして、海中に没してしまう……――棲星怪獣ジャミラは水に弱いはずなのに、なぜか平気で海で戦っていたりする・笑――


エース「うう くそっ。見ていろ! かたきはとるぞ! ウルトラサンダー!!」


 始祖怪鳥テロチルス・宇宙大怪獣ベムスター・台風怪獣バリケーン・吸血宇宙星人ドラキュラスに、エースの雷撃がトドメを刺す!


バルタン星人「エースめっ!」


 エースの背後に両手のハサミから光線を浴びせかけるバルタン星人! たまらず崩れ落ちるエース……


セブン「アイスラッガー!!」


 バルタン星人のみならず、メトロン星人ガッツ星人・ナックル星人・巨大ヤプールの宇宙人軍団を一度に倒してしまうアイスラッガー!――それまでいたハズのゴドラ星人がここではなぜか不在だが・笑――


「★おこった セブンの アイスラッガーが とぶ。しねっ、星人ども」


 などという欄外のコメントが、学年誌であってもテレビの放送禁止用語などもあまりなかった1970年代前半らしくて乱暴な言葉遣いである――『スペクトルマン』(71年)後期エンディング主題歌『ネビュラの星』の「♪ に~くい怪獣、ぶっ殺せ~~」に通じるものがある・笑――。


 これらのウルトラ兄弟勢ぞろい長編でのセブンは、内山大先生の作品ではかなり活躍が目立ち、おいしい位置を占めているような印象がある。やはりアイスラッガーのような飛び道具は、漫画表現的にもそれだけ華があり、絵にしやすいから……ということなのだろう。
 当時の子供たちの感慨とは異なり、新マンのウルトラブレスレットやタロウのキングブレスレットがすでに中高生の年齢に達していた第1期ウルトラシリーズ至上主義者の特撮マニアたちによって「武器に頼らないと戦えないヒーロー」「ヒーローが単体としては弱く見てしまう」「玩具だ」「商業主義だ」「ご都合主義だ!」などと長年の間、的外れな批判(爆)にさらされてきたためだったのだろうが、平成のウルトラマンたちは光線技ばかりで飛び道具を用いることがなくなってしまったのは、個人的には残念なことであった。
 『ウルトラマンメビウス』では、主人公ヒビノ・ミライ隊員の左腕に変身直前、変身アイテム・メビウスブレスが浮上してきて、変身後のウルトラマンメビウスもそれを左腕に装着しているが、これは同作の第1話の冒頭でウルトラの父から伝授されたものであった。同作に登場する2号ウルトラマンであるウルトラマンヒカリが左腕にハめている変身アイテム・ナイトブレスもまたウルトラ一族の長老・ウルトラマンキングが授与したものだと劇中でも言及されていた。
 長大な歴史を持つシリーズものでは、そのような先輩ヒーローから渡されたアイテムを身にまとっていた方が、それと描かないまでも、その背後にさまざまなヒーロー同士の関係性やドラマ性が想起されてきて、広大な「世界観」をも結果的に提示してくれるものでもあるのだ。あるいは、子供も年長マニアも勝手にそのように妄想してしまうものなのだ(笑)。先輩ウルトラ戦士との因縁付きでのアイテム装備を、今後は一般化させていった方がよいだろう!



メフィラス星人「くそ セブンめ。メフィラス光線をうけてみろ!」


 メフィラス星人が両眼から発した光線を喰らって、遂にセブンも倒れた……


ゾフィーメフィラス星人。よくも弟たちを、こんなめにあわせたな(静かな怒り)」
メフィラス星人「ふふふ。おまえたちも し(死)んでもらう!」
ゾフィー「おまえが生きているかぎり し(死)なん!」


 初代マンも新マンもエースもセブンも倒れたが、ウルトラ兄弟最強の(ハズである・笑)ゾフィー兄さんは最後まで残った! ゾフィーはこうでなければイケナイのである! テレビ本編も見習ってくれ!(笑)


 活動限界を示すカラータイマーが激しく点滅する中、メフィラス星人と一騎打ちでスレ違いざまに一撃のチョップを喰らわすゾフィー
 だが、体勢を崩したかに見えたメフィラス星人が前転しながら、ゾフィーの背後にメフィラス光線の不意打ちを喰らわす!


 ゾフィーがやられた! しかし、そのメフィラス星人の背後から、すかさずダロウが


「ストリューム光線!」


 遂にタロウがメフィラス星人を倒した!


タロウ「やった! ゾフィーにいさん、しっかりして!」
ゾフィー「タロウ、わたしはもうだめだ」


 浅瀬に倒れ伏してしまうゾフィー兄さん……


タロウ「ゾフィーにいさん!」


 夕日が沈んでいく浅瀬に倒れ伏しているウルトラ兄弟たちを、傷心したタロウはひとり見つめているのだった……



「★ウルトラ兄弟が しぬなんて……。でも、また 生きかえって みなさんの 前に あらわれるでしょう」


 などという、欄外の読者へのフォローにはおもわずコケてしまうのだが(笑)。


 実に93ページにもおよぶウルトラ兄弟VS怪獣軍団のバトルを描いた大長編漫画。このような作品を当時の子供たちは映像本編でも観たかったのだ!


 『東映まんがまつり』で上映された映画『5人ライダー対キングダーク』(74年)やアニメ映画『マジンガーZデビルマン』(73年)などに対抗して、1970年代前半の『東宝チャンピオンまつり』あたりで、このようなウルトラ兄弟が勢ぞろいして大バトルを展開する作品を製作していれば、当時の子供たちは手の舞い足の踏むところを知らずで大コーフンして、ひいては『仮面ライダー』や『マジンガーZ』に押されていた『ウルトラマン』人気を挽回して、第2次怪獣ブームもまだまだ延命できたのではなかっただろうか!?


 そのような作品の本格的な実写映像化は、実に35年もの歳月を経てしまったのだが、映画『ウルトラマンメビウスウルトラ兄弟』(06年・松竹・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070128/p1)や『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』に至ってようやく実現した。しかし、70年代前半の時点で漫画媒体であったとはいえ、ウルトラ兄弟VS怪獣軍団を描いたスケール雄大な作品はすでに実現しており、当時の子供たちの心をとらえていたのであったのだ!



・『コロコロコミック特別増刊号 ウルトラマンPART1』(78年7月24日発売・6月24日実売)
・『コロコロコミック特別増刊2号 ウルトラマンPART2』(78年9月24日発売・8月24日実売)
・『オバケのQ太郎』をメインに『ウルトラマン』をサブに据えた『コロコロコミック特別増刊3号』(78年12月15日発売・11月15日実売)
・増刊4号に相当する『コロコロコミック春の特別増刊号 ウルトラマン』(79年4月30日発行・3月30日実売)


 これらの4冊には、70年代前半の『A』・『タロウ』・『レオ』の放映時に学年誌で連載されていた内山大先生によるウルトラシリーズのコミカライズが多数再録されたものだったが、『小学二年生』増刊号で描かれた長編漫画は一切再録されなかった。


 これらの長編漫画が『コロコロコミック特別増刊号』に再録されていれば、『ザ・ウルトラマン』名義の単行本の続刊にも再録されて、後世にも伝わっただろうと考えると非常に残念である。おそらく当時でも、これらの作品は内山大先生の原本となる漫画原稿がすでに散逸していて、発掘ができなかったためだと考えるのが妥当だろう。「金の成る木」でもある内山ウルトラ漫画を、当時の『コロコロコミック』編集部が懸命に捜索していなかったワケがないのだから(笑)。


 内山大先生のウルトラシリーズ最初のコミカライズ作品である『帰ってきたウルトラマン』も、『コロコロ特別増刊号』に一切再録されなかった。これは後年の作品群と比すると作画のクオリティが少々低かったためだとも考えられるのだが、これもやはり元原稿が当時すでに散逸していた可能性の方が高いと推測する。


 ちなみに、『コロコロコミック』一連の『特別増刊号』に再録された学年誌の『A』・『タロウ』・『レオ』のコミカライズは、そのすべてではないのだが、小学館てんとう虫コミックス』レーベルの漫画単行本である『ザ・ウルトラマン』の第1巻(78年11月25日発行・ASIN:B017TYZ8H4)に「ジャッカル大魔王」編こと『ジャッカル対ウルトラ兄弟』と『特別増刊2号』に描き下ろしされた『若きファイタスの挑戦』が収録されたあとの、第2巻(78年12月25日発行・ASIN:B017TYZ8HY)と第3巻(79年1月25日発行・ASIN:B017TYZ8L0)の方に再録されて、以降は90年代前半まで重版を重ねていく――大ロングセラーだったのだ!――。



 『てんとう虫コミックス』の単行本が絶版後、1997年に草創期『映画秘宝』の別冊として『まんが秘宝 ぶっちぎりヒーロー道』(洋泉社・97年5月発行・ISBN:4896912578)で、ヒーロー漫画の名作の一環として同作が紹介されたことの影響なのだろうが、この『ザ・ウルトラマン』は98年にも双葉社から全3巻に再編集して復刻されている(第1巻・98年3月12日、第2巻・98年4月12日、第3巻・98年5月9日発行)。
 この再販の成功を見てか、小学館からも当時流行の文庫本サイズでの名作漫画の再販の流行に乗って、『コロコロ文庫』と題した文庫版サイズで全4巻が復刻されることになった(第1&2巻・98年5月10日、第3&4巻・98年7月10日発行)。


テレビ本編の第2期ウルトラシリーズとは!? TBS・橋本洋二プロデューサーのテーマ&ドラマ至上主義の功と罪!


 内山大先生が小学館学年誌で描いてきたのは「ウルトラマンのドラマ」であった。
 「そんなことは当たり前じゃないか!?」などという声が聞こえてきそうである。しかし、それでは円谷プロが製作し、70年代前半にTBSで放映されていた第2期ウルトラシリーズは、果たして本当に「ウルトラマンのドラマ」だったのであろうか?



「『帰ってきたウルトラマン』は『ウルトラマン』『ウルトラセブン』というあり方と違うものにしようという気持ちがものすごくありました。それには全体にテーマの縛りがないとまた同じになってしまう。だからテーマの縛りをちゃんとしようと考えたんですね。あえて言えば変身のバトンみたいなものはいらない。それよりはドラマとして当然そこではこうなるべきというものを書けばいいんであってね、そういうドラマにしましょうというのがごく最初のスタートですよね。別にバトンをやめるところからスタートしたわけじゃないんだけれども、ウルトラシリーズを僕がやらせてもらうならということで考えると、やはりあれはいらなくなってくるんです。それからなんとかカーとかもいらないと思ったんですが、これはマーチャン(引用者注:マーチャンダイジング・版権収入ビジネス)の都合で作りましたけど(笑)」


「出さなきゃいけないということはない。51回全部出さなくてもかまわない、あえて言えばそういうことです。そういうことよりはドラマ的にきちんとまとめようと。その上でドラマ的に入っても邪魔にならないときは出してもかまわないんです。つまり宇宙基地とかああいうものがあると、みんなあそこに逃げちゃうんですよね。そういうことは僕の考えていることと違うからやめましょう、宇宙基地はなくてもいいよ、なんて誰かに言ったことがあります」


「なんといっても円谷プロですから、ものの中心は要するに怪獣なんですよね。怪獣といっても、例えば僕なんかも大変胸を打った『空の大怪獣ラドン』(56年・東宝)のような作品もできているわけですし、それはそれで大変結構なものだと思うわけです。けれどもそれにプラスアルファーというか、それだけではない円谷プロの引き出しみたいなものを作った方がいいんじゃないかと思っていたものですから、怪獣ありきではなくて、人間ありき。そこに怪獣が出てきて、それぞれの人間が格闘をしてどういう結末になるかという方向にしてくれ、という話をしたんですね。だから特撮班の人はそういう話を聞いてものすごく面白くなかったと思うんですよ。そうかよ、特撮なんかいらないのか、だったらやってみな、みたいな感情があって当然だと思うんだよね。ですから特撮の人たちがなにかを言ってきたら、僕としての意見を言おうと思っていたこともあるんです」


(『KODANSHA Official File Magazine ウルトラマン VOL.5 ウルトラセブン[第2集]』(講談社・05年7月25日発行・ISBN:4063671755) 橋本洋二TBSプロデューサー(現・東放制作プロデューサー)インタビュー)



・変身アイテムはいらない
・防衛組織に専用車はいらない
・宇宙基地もいらない
・怪獣ありきではなく人間ありき……


 人間ドラマを重視するあまりに、これらを否定する…… その志は壮とすべしだが、やや問題もある考え方ではなかろうか?(笑)


 第2期ウルトラシリーズから「人間ドラマ」部分だけを抽出してみれば、その出来は「まず怪獣ありき」「怪事件ありき」で製作された元祖『ウルトラQ』(66年)や初代『ウルトラマン』などと比較すれば、たしかに「事件」や「怪獣」よりも「人間」の方を描いていることから、その完成度は比較にならないくらいに高いとはいえるだろう。たしかにこれは声高に主張できるだけのものではあり、筆者個人もその方面から第2期ウルトラシリーズを擁護したりもしている。


 だが、年長マニアや大のオトナから見ると、ある意味では幼稚で噴飯ものの虚構でもある、変身ヒーロー・変身アイテム・防衛組織のメカ・宇宙基地・巨大怪獣などといった、本来ならば特撮ジャンルや変身ヒーロージャンルの一大特徴・アイデンティティーであり、それらを中核として描いていくべき作品群が、リアルな人間ドラマの方が優先して描いてしまったのならば、それは本末転倒ではなかろうか?


 『帰ってきたウルトラマン』では当初、主人公である郷秀樹隊員は自らの意思ではウルトラマンに変身不可能であった。危機に陥った際に、人間としてできるだけの最大限の努力をはらった結果、光に包まれてウルトラマンに変身するというかたちだった。
 自らの意思で変身できるようになったシリーズ後半以降も右手、あるいは両手を高く掲げて変身するかたちであり、変身アイテムは最後まで登場することはなかった。


 これは膨大な変身ヒーロー作品を観尽くした現在の視点から見ても、あるいは子供のころでも、あまたの変身ヒーロー作品の中では最も地味な類いの変身だろう。いや、放映当時からしてすでにそうであったのだ。
 幼いころにウルトラマンごっこをする際に、初代マンに変身する際は変身アイテム・ベーターカプセルの代わりに懐中電灯(笑)、セブンに変身する際にはボール紙で自作したウルトラアイを使用することがあったが、帰ってきたウルトラマンのシリーズ当初の変身設定は「ごっこ遊び」には使いようがなかったのだ――ウルトラマンエースへの男女合体変身を再現する際にも、近所から女の子を連れてこなければならなかったので大変だったものだが・笑――。


 しかし、これは元祖『仮面ライダー』(71年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20140407/p1)初期の第1クールこと通称「旧1号ライダー」編の設定にも、イコールではないにせよ当てはまることなのだ。
 主人公の本郷猛(ほんごう・たけし)が一定の変身ポーズを取って主体的・能動的に変身するかたちではなく、自身のバイクを駆って変身ベルトの風車に風圧を受けることで自然に仮面ライダーへと変身していく…… これは「ごっこ遊び」で子供たちが猛烈にマネをしたくなるようなシチュエーションではない(笑)。


 当時の視聴者たちが年長マニアとなったことで、「旧1号」編が80年代に入ってから獲得した高いマニア人気とはウラハラに、放映当時は視聴率や人気が低迷したのは暗くて地味な作風ばかりではなく、変身シーンそのものに魅力が乏しかったことも大きいだろう。
 周知の通り、本郷猛を演じていた藤岡弘(ふじおか・ひろし)が撮影中の事故で降板、佐々木剛(ささき・たけし)演じる一文字隼人(いちもんじ・はやと)=仮面ライダー2号が登場する。
 そして、当時の真っ当なオトナの視点からすると、ある意味では幼稚の極致ともいえるこの変身ポーズこそが、子供たちの変身願望・超人願望・万能感を擬似的に満たすことで、『仮面ライダー』の人気を大爆発させ、玩具会社・ポピーの「光る! 回る!」が売り文句であった「変身ベルト」をも大ヒットさせることとなったのである。


 極論すれば、『帰ってきたウルトラマン』が子供たちの変身願望・超人願望を満たしてあげるような変身シーンや玩具的なアイテムには不足があったことが、「第2次怪獣ブーム」が「変身ブーム」にとって代わられていくことの要因のひとつだったのではあるまいか?


『小学五年生』版『ウルトラマンタロウ』作品リスト


*73年4月号(宇宙大怪獣アストロモンス登場)


*73年5月号(再生怪獣ライブキング登場)


*73年6月号(液体大怪獣コスモリキッド登場)


*73年7月号(大羽蟻怪獣アリンドウ登場)


*73年8月号(虫歯怪獣シェルター登場)


*73年9月号(火山怪鳥バードン登場)


*73年10月号(怪獣自体が登場せず!)


*73年11月号(宇宙大怪獣ムルロア登場)


*73年12月号(オリジナル怪獣登場・タロウ登場せず!)


*74年1月号(怪獣もタロウも東光太郎も登場せず!)


*74年2月号(怪獣もタロウも東光太郎も登場せず!)


*74年3月号(怪獣と東光太郎も登場せず・タロウは登場)


 『小学五年生』版は連載時にはサブタイトルが一切なかった。『コロコロコミック特別増刊号 ウルトラマンPART1』にて、4・6・7月号に掲載された分が再録された際に、それぞれに『ねらわれた少年タケル』・『自分の足で歩くんだ!』・『警官インベーダー』とサブタイトルがつけられて、単行本への収録時にもそれを踏襲している。


 実は内山大先生の『小学五年生』版『タロウ』には、小学校高学年向けであるせいか、先のリストにあるように怪獣やタロウ、そして本来の主人公・東光太郎すらもが登場しないという(!)、当時としてもパターン破りな前衛的なエピソードもが存在する!
 そもそも、『小学五年生』版『タロウ』コミカライズの主人公はあくまでもタケル少年なのである! 光太郎はタケルをサポートする存在としてのみ登場しているのだ!


 この『小学五年生』版『タロウ』は、インベーダーに殺された大堀博士の息子・タケルが、博士に託された極秘データをインベーダーに狙われながら、さすらいの旅を続けるという物語なのである。
 とはいえ、その道中でタケルに関わった人々が次々に巻き添えで事件に巻きこまれていくというイジワルな展開は――いたいけな少女までもがインベーダーに殺害されてしまう!――、『タロウ』どころか完全に往年の特撮巨大ヒーロー『シルバー仮面』(71年・宣広社 TBS)であり、再生怪獣ライブキングがインベーダーの変身であったりする点は、完全に『ミラーマン』(71年・円谷プロ フジテレビ)である(笑)。


 内山大先生が小学館学年誌ではじめて手掛けたヒーロー作品のコミカライズは、『小学二年生』70年10月号~71年3月号に連載された、当時小学館円谷プロがテレビ化を念頭に置いて各誌で展開していた『ジャンボーグA(エース)』であった――『小学一年生』70年4月号から中城けんたろうによって先行して描かれていた『ジャンボーX(エックス)』も12月号から『ジャンボーグA』に改題されて71年3月号で完結する――。
 実際には同作のテレビ放映が開始されたのは、2年後の73年1月からであり、『ウルトラマンA 怪獣はか場のけっとう』が掲載された『小学二年生』73年1月増刊号では、この70年版の再編集版と描き下ろし新作漫画がともに掲載されている。ちなみに70年版は「古いジャンボーグA」と紹介されていた(笑)。


 内山大先生は『帰ってきた』と『A』、そして『小学二年生』72年1月増刊号に掲載された読み切り作品『ミラーマン危機一髪!』(作・田口成光)など、一貫して『小学二年生』を中心に活躍されていた。
 その後、『緊急指令10-4・10-10(テンフォー・テンテン)』(72年・円谷プロ NET)を、なんと『小学三年生』・『小学五年生』・『小学六年生』の3誌かけもちで半年間連載しており(72年8月号~73年1月号)、内山大先生の小学校高学年向けの連載自体は実は『タロウ』がはじめてではなかった。
 ただ、『10-4・10-10』は、個人的には「なんだかなぁ~」と頭を抱(かか)えたくなるようなイベント性ほぼ皆無の作品だったので、内山大先生がどれだけ実験的な試みをしたとしても、さして支障はなかったとも思われる。


 内山大先生は並行して、『二年生』版ではテレビ本編を「理想」化した『タロウ』を描いてもいたのだから、『五年生』版がこのような極端に過ぎる厳しい「現実」の世界として、あえて描き分けをしてみせたのも、ある意味では作家としての自然な生理ではある。


 『五年生』版を完全なかたちで全話を読めたワケではないので、トータルでの作品評価を断定することは差し控えるべきだろう――単行本に収録された序盤の数話について読むかぎりでは、あくまでも小学生向けだが、その範疇での子供向けの変化球作品としては実に楽しめるのだが――。
 しかし、当時の『小学五年生』の読者の評判は、その序盤はともかくおそらく芳(かんば)しくはなかったと思えるフシがあるのだ。各所の情報によれば、その最終回は巻頭の扉のページも含めて、たったの4ページで終わっているそうである(汗)。
 しかも、それまでの道中ですっかり疑心暗鬼に陥ってしまったタケルが、出会った人々を片っ端から撃ち殺してしまう(!)という壮絶なオチで締めくくられているのだとか!? もう石川賢の『少年サンデー』版『タロウ』どころの騒ぎではない。こっちの方がよっぽどハードである(爆)。


 内山大先生はその後、再び『二年生』『三年生』を中心に活躍するようになり、高学年向けの連載に一切手をつけていないことから察するに、『五年生』編集部とは連載内容や人気面をめぐって一悶着(ひともんちゃく)があったのかもしれない。


 内山大先生が高学年向けの『ウルトラ』をはじめるにあたって、オリジナル設定やオリジナル展開、怪獣やウルトラマンさえ登場しない回まであるという試みは、おそらくシリーズ途中までは成功していたのではなかろうか?
 あるいは子供が読んだら面白くなくても、中高生以上、もしくはマニア人種が読めば面白いような作品なのかもしれない。その最終回はともかくとして、その志(こころざし)の高さはおおいに評価できることから、個人的には『五年生』版の『タロウ』を完全なかたちでぜひとも読んでみたいと強く願っている。


 だが、内山大先生も我らがウルトラマンと同様に「神」そのものの天才作家ではないのだ。いくら志が高くても、後年に再評価がなされようが、ドラマ志向・テーマ志向が行き過ぎて商業的・視聴率的にも失敗した往年の『シルバー仮面』のような、橋本プロデューサーの理論に通じるものが、『五年生』版『タロウ』には濃厚に感じられなくもないのである。


 先の橋本理論を突き詰めていけば、第2期ウルトラシリーズ自体もこうした『シルバー仮面』のようなノリに陥る危険性があったのだ。それがかろうじてそうはならなかったのは、やはり小学館が「発明」した華麗なる「ウルトラ兄弟の設定」や「ウルトラ一族の魅惑的なウラ設定」の存在による、実作品に対する上書き作用&刷り込み作用も大きかったのだろう。
 実作品の外側での現実世界での子供たちの受容のされ方も含めて、実にきわどい瀬戸際で「娯楽性」と「ドラマ性」が絶妙に両立・中和されていたことが――時には乖離もしていたが・汗――、第2期ウルトラシリーズが相応の人気を維持できていたことの原因であった……と今は思えるのである。


――後日編註:苦節、ウン十年。幻の『小学五年生』版『ウルトラマンタロウ』も、2022年5月20日(金)付の発行で、『ザ・ウルトラマン 単行本初収録&傑作選 上』(小学館クリエイティブISBN:4778038703電子書籍ASIN:B09YRFP8CZ)の末尾に収録されるかたちで遂に復刻を果たした。
 前述した「しかも、それまでの道中ですっかり疑心暗鬼に陥ってしまったタケルが、出会った人々を片っ端から撃ち殺してしまう(!)という壮絶なオチで締めくくられているのだとか!?」。大変申し訳ございません。事実誤認でした。そこまでのヒドいオチではございませんでした。謹んでお詫びを申し上げます次第です(平身低頭・汗)――


『小学二年生』版『ウルトラマンレオ』作品リスト

ウルトラマンレオ[完全復刻版]

*74年4月号『登場! ウルトラマンレオ

 サーベル暴君マグマ星人・双子怪獣レッドギラス&ブラックギラス・ウルトラセブン登場

*74年5月号『逆襲! マグマ星人

 サーベル暴君マグマ星人・双子怪獣レッドギラス&ブラックギラス登場

*74年6月号『爆走! ツルクライダー隊』

 怪奇宇宙人ツルク星人登場

*74年7月号『ウルトラマンレオ七つの武器』

 サーベル暴君マグマ星人・宇宙星獣ギロ登場

*74年8月号『必殺拳! 嵐を呼ぶ少年』

 サーベル暴君マグマ星人・さそり怪獣アンタレス登場

*74年9月号『裏切りのふるさと』

 こうもり怪獣バットン・ウルトラ兄弟登場

*74年10月号『レオ兄弟対怪獣兄弟』

 兄怪獣ガロン・弟怪獣リットル・アストラ登場

*74年11月号『伝説の長老対魔法使い』

 怪獣人プレッシャー星人ウルトラマンキング登場

*74年12月号『帰ってきたウルトラマンの贈り物』

 二面凶悪怪獣アシュラン・怪獣ボールセブンガー・新ウルトラマンウルトラマンジャック)登場

*75年1月号『卑劣なるババルウの罠』

 暗黒星人ババルウ星人・怪獣ボールセブンガー・ウルトラ兄弟・アストラ・ウルトラの父ウルトラマンキング登場

*75年2月号『ウルトラセブン最後の日』

 暗黒星人ババルウ星人・ブラック指令・円盤生物シルバーブルーメウルトラセブン登場

*75年3月号『ウルトラ兄弟大勝利!』

 暗黒星人ババルウ星人・ブラック指令・再生円盤生物軍団(!)・ウルトラ兄弟登場



 ウルトラファミリーやウルトラの国の登場により、『タロウ』がエンターテイメントとして充分に成功をおさめながらも、『レオ』は一転して孤独な戦いを強いられる主人公・おおとりゲン=ウルトラマンレオ(とモロボシ・ダン隊長=変身できないウルトラセブン)を描く物語となった。


 前年73年の第一次石油ショックや世紀末思想の流行といった、当時の時代背景が色濃く影響したのである。
 筆者も今では『レオ』に対してカルト的な執着と好意を覚えているが、そのやや偏ったものでもドラマ的には非常に高い完成度はともかく、ウルトラシリーズもしょせんは子供向けの番組なのだから、ここまでヘビーな方向に振り切るのではなく、ただでさえ当時は第2次怪獣ブームと変身ブームがロボットアニメブームに押されて衰退しつつあった中で、年少の視聴者をつなぎとめるための工夫は、もっと明るいエンタメ的なものであった方がよかったとは思っている。
――もっともオタク予備軍である「暗い」小学2年生であった筆者は、あのような『レオ』本編の陰惨な作風も、リアルタイムで充分に楽しんではいましたが・笑――


・当時の子供たちも期待していた『レオ』本編へのウルトラ兄弟の頻繁なる助っ人参戦といったイベント編を増やすことでのエンタメ性の増量!
・第2話ラストのナレーションで、『エース』前半における異次元人ヤプールのようなシリーズを通じた宿敵となるのかと思われた、レオの故郷・L77星をも滅ぼしたサーベル暴君マグマ星人のレギュラー化と連続大河ドラマ性!
マグマ星人たちとの激戦による重傷で、変身ができなくなっていたモロボシ・ダン隊長が、遂にウルトラセブンに再変身!


 実はそのような明るいエンタメ的な方向性でのオルタナティブな、本編でもありえたかもしれない、むしろかくあるべきでもあった『ウルトラマンレオ』が、内山大先生のコミカライズではやはり達成されてもいたのだ!



 『小学二年生』74年9月号に掲載された、こうもり怪獣バットンが登場する『裏切りのふるさと』――『二年生』連載作品とは思えないシブいサブタイトルだが、初出時にはその年間連載の約半数にサブタイトルがなく、本話もそのひとつであった・汗――。


 マグマ星人によって、星そのものが爆発で滅亡させられてしまったレオの故郷である獅子座・L77星人の生き残りたち(!)が登場して、なんと我らが地球を襲撃する! しかし、レオがこれをなんとか制止をした!


 レオの身体の大半を占める赤い部分は毎回黒ベタで、輪郭に白い影のようなラインが描かれているのだが、今回登場したL77星人たちは同様に大半を占めている赤いであろう部分を斜線で表現することで、主役とゲストを絵的にも微妙に差別化して描き分けをしている。
 それにしても、内山大先生は歴代ウルトラ兄弟たちの口をあえて人間の口のように描いて、その代わりに絶対に開けないことで非人間性を表現していたのだが、レオはその口が人間のようにやわらかそうで開閉するかたちで表現されており、白い「歯」まで見せている!(笑)
 レオの頭部のデザイン自体が複雑な突起状なので、見た目をやわらかくして、漫画的な感情表現やお芝居をさせるための改変であろうが、レオの若者ゆえの未熟さを表現するのにも絶大な効果をあげている。


ゾフィー「その五人組は、わたしたちがおっている わるい星人たちだ。見ろ」


 テレビ本編では第3クールの終わりまで、歴代ウルトラ兄弟たちが複数で登場することはなかったのだが、ここではゾフィー・初代マン・新マン・エースのウルトラ兄弟が早くも登場してイベント編ともしているのだ!


 そしてL77星人たちは、こうもり星人バットンとしての正体を現した!


レオ「どうしてL77星人に、へんそう(変装)したのだ。答えろ!」
バットン「宇宙でおまえそっくりな奴にあったのさ」
レオ「えっ?」
バットン「そいつから、いろいろ聞き出したあとで、かるく いきのね(息の根)をとめてやった。ふふふ」
レオ「なんだと……。生きていたわたしのなかまを、よってたかって、きさまたちは。おのれ! ウルトラレオナマイト!」


 なんとレオはバットンたちを両脇にかかえて、タロウのウルトラダイナマイトのような捨て身の自爆技・ウルトラレオナマイトを炸裂させる!
――これは内山大先生によるオリジナル必殺技! 映像的には派手な必殺技に欠けており、子供たちにとっても爽快感には乏しかった『レオ』のバトルなので、このような大技は映像本編でも見たかったところだ!――


 勝利しながらも傷心しているレオに、


ゾフィー「レオ、きみのつらい気もちはわかる」
レオ「ゾフィー……。L77星人はほかにもまだ……」
ゾフィー「それは、もう すぐわかる(微笑)」


 光の国へと帰っていくウルトラ兄弟


レオ「ぼくのほかにまだL77星人が生きていたんだ。ぼくはひとりぼっちじゃなかった。もしかしたら、弟・アストラもどこかで…… アストラ!」


 なんと、レオの弟・アストラが生き残っているのであれば、アストラ以外の同族が生き残っていても不思議ではないという、幼児はともかく子供たちでも直観的にやっている程度の合理的な推論を拡張した、レオの同族の姿を模した悪役を登場させて、なおかつウルトラ兄弟たちがゲスト出演するイベント編の高揚感をも確保しつつ、彼らにレオの同族の生存可能性まで示唆させるというオイシい役回りもふっているのだ!
 テレビ本編でも個別・単発のアンソロジー話ばかりではなく、このような作品の基本設定を活かして膨らませて小出しにしていくような「連続性」を感じさせるエピソードを、幼児はともかく小学生であれば無意識にでも『レオ』本編に期待していたのは、当時の児童としても強く証言をしておきたい!


 そして本話はなんと続く74年10月号『レオ兄弟対怪獣兄弟』の伏線として描かれた物語ともなっているのだ! やはり年少の視聴者たちは「地球人のドラマ」などよりも、こうした「ウルトラマンのドラマ」も求めていたのではなかろうか!?


『小学三年生』版『ウルトラマンレオ』作品リスト


*74年4月号『レオの誕生に朝日は昇る!』

 サーベル暴君マグマ星人・双子怪獣レッドギラス&ブラックギラス・ウルトラセブン登場

*74年5月号『危機一髪! モロボシダン』

 サーベル暴君マグマ星人登場

*74年6月号『暴走! ウルトラマンレオ

 怪奇宇宙人ツルク星人・ウルトラ兄弟登場

*74年7月号『マシンロボギリシャス』

 サーベル暴君マグマ星人・ロボットギリシャス・宇宙星獣ギロ登場

*74年8月号『復活! ウルトラセブン

 風船怪獣バンゴ・ウルトラセブンウルトラの父登場

*74年9月号『ウルトラキラーゴルゴ』

 サーベル暴君マグマ星人・地獄星人ゴルゴ・ウルトラマンタロウ登場

*74年10月号『弟・アストラは生きていた!』

 兄怪獣ガロン・弟怪獣リットル・アストラ登場

*74年11月号『伝説の長老・ウルトラマンキング

 怪獣人プレッシャー星人ウルトラマンキング登場

*74年12月号『怪獣ボール』

 二面凶悪怪獣アシュラン・怪獣ボールセブンガー登場(新マンは郷秀樹の姿で登場し、扉絵のみに新マンが描かれている)

*75年1月号『奪われたウルトラキー』

 暗黒星人ババルウ星人・怪獣ボールセブンガー・ウルトラ兄弟・アストラ・ウルトラマンキング登場

*75年2月号『襲撃! 謎の宇宙人』

 暗殺宇宙人シャドウマン・ウルトラ兄弟登場

*75年3月号『全滅! ウルトラ兄弟

 暗殺宇宙人サイボーグナックル星人・ウルトラ兄弟・アストラ登場



 『小学三年生』版74年6月号『暴走! ウルトラマンレオ』は初出時にはやはりサブタイトルがなく、『コロコロコミック特別増刊2号 ウルトラマンPART2』に再録時は『レオ発狂!』(汗)というサブタイトルが付けられた。2006年発行の『My First BIG』レーベルの単行本への再録時には、「発狂」という言葉は差別用語放送禁止用語となって久しかったからだろうが、『暴走! ウルトラマンレオ』へと改題されている。


 このエピソードでは、ゲンが奇怪宇宙人ツルク星人に仕掛けられた催眠装置で操られ、ゲン自身がレオに変身してしまって街を破壊する!


モロボシ・ダン「レオをくいとめるのは、ウルトラ兄弟しかいない。そうだ、ウルトラ兄弟をよぼう」


 なんとモロボシ・ダン隊長はレオの頭のトサカ部分に乗っかる!――前作『タロウ』で東光太郎がよく怪獣に乗っかっていて、それまでのシリーズとのリアリティーの基準線とは異なる破天荒な描写にはやや違和感があったところもあるのだが(笑)、このエピソードではダン自身がふつうの人間ではなく元はセブンであるから違和感も緩和できるのだろうか、それを踏襲!――
 しかし、ツルク星人に操られたレオにひねりつぶされそうになる!


 そこにウルトラ兄弟たちが登場!


 接近してきたレオの左耳を目がけて、ゾフィーは両腕を十字型に組んだスペシウム光線発射型のスタイルでスポット的にM87光線を発射する!


 催眠装置が破壊されて正気に戻ったレオは、やはりツルク星人の軍団(!)と大激闘!


 たまらずツルク星人はこともあろうにウルトラ兄弟に助けを請うが……


ゾフィー「いやだね」(爆)


 なんとゾフィーは破壊された低いビルに座っており、頬杖をついて拒否するポーズ。頭身もやや低くてデフォルメされた姿でのギャグ演出が投入されている(笑)。「漫画」というジャンル本来の、こんなお茶目な描写が時折見られるのも内山ウルトラ漫画の魅力のひとつなのだ。



 74年8月号『復活! ウルトラセブン』では、ゲンと子供たちを飲みこんだ風船怪獣バンゴを前に、


モロボシ・ダン「こんなとき、セブンになれたら、セブンになれたら……」


 と願ったダンの前に、ウルトラの父がテレパシー映像で出現!


ウルトラの父「それほど、セブンになりたいか」
ダン「ほかに方ほうがありません」
ウルトラの父「ウルトラの国より、一分間だけなら、エネルギーを送れる。だが、よく聞けダン。一分が一秒でもすぎたとき、おまえのからだは消めつする」


 ウルトラの父の警告を受けつつ、ダンはウルトラアイを着眼!


ウルトラセブン「わたしがどうなろうと、わたしはたたかう! かならず一分間で怪獣を、たおす!」


 『レオ』を観ていた当時の子供たちの誰もが期待していたダンのセブンへの再変身を一時的にではあっても、内山大先生は見事に実現してくれていたのだ!(涙)
 ところで、セブンの身体も黒ベタだが影の部分は斜線で区別、しかし実物のセブンの目の複雑な構成は、全体的に未熟な熱血漢としての擬人化の度合いが強かったレオの描写とは異なり、タロウと同様に実写作品に準じるかたちで見事に描かれていた。



 さらにさらに! 74年9月号『ウルトラキラーゴルゴ』では、マグマ星人がレオ抹殺のために、宇宙の殺し屋・地獄星人ゴルゴを雇う!


ダン「やつに、勝つにはひとりでは、ぜったいにだめだ。なんとかなるのは、5兄弟のスペースQぐらいだろう。おまえでは、どんなことをしてもか(勝)てっこない」
ゲン「では、どうすれば……」
ダン「うむ。そうだ、この地球には、タロウがまだいたはずだ。タロウのストリウム光線に、おまえのエネルギーがくわわれば、少しは勝負ができるかもしれない。そうだ、テレビで、タロウを呼び出そう」


 この会話、まるでテレビ本編から抜き出してきたみたいに、ふたりの人物像や会話の口調の雰囲気も、それらしく出せている。


 ここでもウルトラ兄弟の最強の必殺技は、ウルトラ5兄弟の力をウルトラマンエースの頭頂部のトサカ部分のまるい穴であるエネルギーホールに集約して放つ光の球であるスペースQであることがキチンと押さえられてもいる!
 こういうあたり、「人間ドラマ性」や「社会派テーマ性」とは異なるものだが、劇中内での「技の強弱」といった「合理性」については踏まえたものではあるので、これによって逆説的にウルトラキラーゴルゴの強さを、そして引退していたタロウが助っ人参戦までしなければならなくなる必然性をクドクドとした説明ヌキでも端的に表現できており、幼児はともかく小学生にもなればこういう描写に虚構作品なりの「合理性」といった知的快感を覚えてしまうものなのだ!


 そして、モロボシ隊長はテレビニュースを利用して、直前作の主人公・ウルトラマンタロウこと東光太郎に協力を呼びかけるのである! ……しかし仮にもウルトラ兄弟の間柄なのだから、テレパシーやウルトラサインで呼びかけた方が早いような気もするのだが(笑)。


光太郎「連絡はしないよ! ダン。いまのぼくは、もう、怪獣なんかとはたたかいたくない。ぼくは、もうふつうの人間なんだ。ふつうの人間として、この地球でくらしていたいんだ。ごめんよ」


 安アパートと思われる、当時の若者らしくアコースティックギターも立て掛けられた一室で、ひとりつぶやく光太郎。


 『タロウ』最終回(第53話)『さらばタロウよ! ウルトラの母よ!』のラストを、きっちりと踏襲している設定も素晴らしいが、


欄外「きみたち、おぼえているかい。ウルトラマンT(タロウ)の最終回で、東光太郎がバッジをすてて人ごみにまぎれていったのを」


 などというキャプションは、おもわず『タロウ』と『レオ』のナレーションを務めていた名俳優・瑳川哲朗(さがわ・てつろう)の声で読みたくなる(笑)。


 遂に名作人気劇画『ゴルゴ13(サーティーン)』(68年~)の顔に酷似(笑)した、人間体型のスマートでカッコいい悪の超人・ゴルゴとウルトラマンレオとの決戦の火ぶたが切って落とされる!


 広大な特撮スタジオのようなパノラミックな広がりをも感じさせる、浅い高低もある山裾を舞台にバトルを繰り広げている構図がまた、壮大で迫力も増している!


 ゴルゴが両腕をX字型にして放つ、宇宙最強のクロスレーザーの威力に、レオは絶体絶命のピンチに!


 それを見ていた光太郎は……


「だめだ、こんどこそやられる」


 光太郎は意を決して、遂にウルトラマンタロウに変身する!(涙)


タロウ「レオ、ストリウム光線に、エネルギーをかしてくれ!」


 タロウとレオは空中高く飛び上がり、並んで片腕を接しあって、またしても内山大先生のオリジナル必殺技・ダブルストリウム光線(!)が炸裂する!!(快感)


 戦いが終わって、レオは自身の左腕を見つめて「ぼくも、すごい光線がうてた」と驚いている描写もはさんでいる。テレビ本編でも当初は光線技が放てなかったレオの設定を踏襲しながら、それに対するエクスキューズ・言い訳(笑)も入れてみせて、接ぎ木であっても漫画独自の設定とも接合してみせる、実にていねいな点描(てんびょう)でもある。


ダン「ありがとう、光太郎。また、われわれといっしょに怪獣とたたかってくれ」
光太郎「いえ。ざんねんですが、また、ぼくはふつうの人にもどります。とめないでください」


 『レオ』本編でもこのような先輩ヒーローとの高揚感あふれる共闘を観たかったなぁ。先輩ヒーローが苦戦したり悪役を務めるのではなく、出来のよい爽快な客演エピソードが月に1回くらいはあれば、その高揚感を担保に当時の子供たちもまた、このような胸が躍るエピソードがいずれあるだろうと観たくなって、『レオ』から脱落せずに視聴を継続したのではなかろうか!?


 東光太郎を演じた篠田三郎をゲストに呼ばず、いやウルトラ兄弟が助けに来ないというストイック(禁欲的)な作劇に徹した『レオ』の本編は、ゲンとダン隊長の関係だけに特化して多少の歪(いびつ)さはあってもドラマ的・テーマ的には非常に高度なものがあったのだと今となっては思う。よって、同作のことがカルト的に好きでもあるのだが、近年の『ウルトラマンネクサス』(04年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041108/p1)などよりもはるかにヘビーな内容ではあり、その意味では子供番組としてはおおいに問題もあったのだ(爆)。
 そこまで突き詰めて描かなくても、もう少しだけ軟化・妥協して、数話に1回は先輩ウルトラ兄弟がゲスト出演して子供たちもワクワクとさせようなる、子供番組としての華がある「イベント編」をもっと頻繁に配置するようなシリーズ構成を、『レオ』のテレビ本編こそが目指すべきではなかったか!? そうすれば視聴率はあそこまで急落せずに、第2期ウルトラシリーズもまだまだ延命できたのではなかろうか?


「タロウ、ほんとにありがとう。でも、あんまりかたいこといわないで たまには、出てきてね」


 という欄外のコメントの一部文言を、タロウこと東光太郎を演じた篠田三郎に代入してみせれば、今現在の特撮マニアの大半が思っていることでもあるだろう(笑)。



 このエピソードは人間体型のカッコいいダークヒーローが登場する一大バトル編でありながら、前作の主人公・東光太郎のウェットな人間性にもスポットを当てた人間ドラマでもあった。


 しかし、たとえ「人間ドラマ」が中心の作劇ではあっても、こうした華のある「ヒーロー共闘」を描いていくことも可能であることは、21世紀の平成ライダーシリーズでも見事に証明されている。
 どうひいき目に見ても就学前の幼児には理解できるはずがない、複雑怪奇で高度な劣情(笑)による群像劇までもが描かれていたりもするのだが、その登場人間同士の感情的な衝突を、即座に双方が仮面ライダーへと変身してライダー同士の戦い・バトルシーンとしてしまうことによってドラマ&バトルも一体化しており、子供たちも退屈はしないだろう(笑)。そして、それによってアクションシーンも双方が戦う動機・行動原理が反映されることでおおいに盛り上がってもいるのだし、これら複数のライダーたちが用いている変身ベルトも大ヒットしている! 一石二鳥どころではなく、一石三鳥ですらあるのだ!


 本稿執筆中に放映されている『仮面ライダーW(ダブル)』(09年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100809/p1)のUSBメモリー型アイテムである「地球の記憶」(爆)が記録されているという、そのSF的・科学的な原理そのものは実にデタラメなものに思える(笑)、劇中でのコレクション・アイテム「ガイアメモリ」を付録にしたホビー誌『フィギュア王』(ワールドフォトプレス)は即完売して、ネットオークションでプレミア付きで売られるような現象まで起きているのだ。


 変身アイテムのみならず、変身やヒーローのタイプチェンジをサポートするコレクション性もあるマーチャンダイジングを意識した玩具の隆盛! 「変身のバトンはいらない」などと云っている場合ではないのである!(笑)




 『小学三年生』版『レオ』は、75年2月号『襲撃! 謎の宇宙人』~3月号『全滅! ウルトラ兄弟』の前後編で幕を閉じている。


 エース・新マン・初代マンがサイボーグナックル星人に次々と惨殺されていく!
 ゾフィーは赤と銀のペンキで(笑)新マンに変装し、ナックル星人を罠にかけて、レオ・アストラ兄弟とタロウとともに兄弟の仇を討たんとする!――ウルトラキラーゴルゴの回のラストにおける、タロウこと東光太郎の去就との整合性についてはこの際、置いておこう・笑――


 だが、タロウとアストラが倒され、ゾフィーは宇宙空間でようやくナックル星人を捕らえるや……


ゾフィー「レオ、ふたりをめがけてうて!」
レオ「そんな、ばかな、はなれろゾフィー!」
ゾフィー「ばか、はなれたらおまえもわたしもやられる!」


 これは『ウルトラマンタロウ』コミカライズの一編でもある、先述の『涙のストリウム光線』の再現でもある! ジャンル作品や劇画などではむかしからよくある、いわゆる「俺ごと刈れ!」のパターンであり、よくあるネタだともいえるのだが、それゆえに人々の心を打つ普遍的なパターンだともいえるのだ。


 ウルトラ兄弟の最強戦士といえば、古い世代は即座にゾフィーを挙げるだろうが、実は本編でそれを発揮していたのは『ウルトラマンA』第5話『大蟻超獣対ウルトラ兄弟』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060604/p1)くらいのものであり、小学館学年誌でのウルトラ兄弟の設定スペックや、内山大先生が描いていた本当に強かったゾフィーを見続けていたことによる「刷り込み」効果も大きかったのではなかろうか?


 『タロウ』の一部コミカライズでもあったのだが、この『小学三年生』版『レオ』コミカライズの最終回前後編は、大宇宙やウルトラの星を舞台に地球人ではなくウルトラ兄弟だけが活躍することから、同誌『小学三年生』新年度の75年4月号から継続して連載が開始された『さよならウルトラ兄弟』(『ザ・ウルトラマン』こと『ジャッカル大魔王』編)のプロトタイプだとも受け取れる。


第2期ウルトラ各作の最終回、特に『レオ』最終回は、コミカライズのような集団総力戦であるべきだった!


 先にもふれたが、『小三』ならぬ『小学二年生』版の『ウルトラマンレオ』コミカライズの終盤は、3部作の壮大なる連続ストーリーともなっていた!


 75年1月号掲載の『卑劣なるババルウの罠』から3月号掲載の最終回『ウルトラ兄弟大勝利!』である。
 この3部作では、テレビ本編では第38話『決闘! レオ兄弟対ウルトラ兄弟』~第39話『レオ兄弟ウルトラ兄弟勝利の時』の前後編に登場した強敵である


・暗黒星人ババルウ星人


 第40話『恐怖の円盤生物シリーズ! MAC(マック)全滅! 円盤は生物だった!』から最終回(第51話)『恐怖の円盤生物シリーズ! さようならレオ! 太陽への出発(たびだち)』に登場したレギュラー敵であるブラックスター出身の


・ブラック指令


 この2大巨頭が2大ラスボスとして君臨して、タッグを組んだ軍団として、ウルトラマンレオウルトラ兄弟たちに前に立ちはだかるのだ!


――テレビ本編でも第2期ウルトラシリーズの完結にふさわしい、こんなストーリーを展開してほしかった!――


 そして最後は、彼らが連れてきた円盤生物の大軍団とウルトラ兄弟との見開きパノラマでの大決戦となるのだ!


 その3部作の中編である75年2月号掲載『ウルトラセブン最後の日!』で、円盤生物シルバーブルーメに突攻して果ててしまったウルトラセブン
 しかし、最終回『ウルトラ兄弟大勝利!』では、セブン以外の歴代のウルトラ兄弟たち全員が人間体として再登場する! しかもテレビ本編で活躍していた当時の防衛組織の隊員服姿なのだ!
 『タロウ』最終回で「ウルトラの力」を捨てて変身道具・ウルトラバッジをウルトラの母に返したはずのタロウこと東光太郎隊員までもが、防衛組織・ZATの隊員服姿で描かれているのだ!(笑)


 そして、彼らが改めて歴代ウルトラマンたちに変身することでの集団バトルを繰り広げる!!


 戦いの最中に彼らの円盤のひとつが爆発して、中に閉じこめられていたウルトラマンレオの父と母が、レオと感動の再会まで果たす!
 ウルトラ兄弟全員登場のスケール感やイベント性のみならず、主役ヒーローであるウルトラマンレオのプライベート・ドラマも並行させることで、人間(?)ドラマ性も充実させて主人公キャラを立ててみせてもいるのだ!


 亡国の民であるウルトラマンレオの設定を煮詰めていけば、獅子座・L77星の出身で流浪の果てに悪に落ちてしまった同族や、死亡してしまったと思われていた親族との再会などのエピソードも、M78星雲・ウルトラの星のウラ設定や歴史を拡充させていったのと同様の手法で、あってしかるべきシチュエーションではあった。
 そのあたりについては、テレビ本編よりも内山大先生のコミカライズにおける作劇の方が、よりドラマチックでもあり、数段勝(まさ)っていたともいえるだろう!


 このレオの両親は、3部作の第1話である『卑劣なるババルウの罠』でもババルウ星で捕らわれの身となっている描写があることで、その後の伏線が与えられていた。


 ちなみに、ババルウ星人はレオの故郷・L77星を滅ぼしたマグマ星人の着ぐるみの改造だそうである。怪獣図鑑などではババルウ星人となっているが、テレビ本編での登場回のオープニング映像の最後に出てくる登場怪獣の字幕では、実は「ババルウ星人」ではなく「暗黒星人ババルウ」となっている。
 よって、本来はババルウ星人ではなくマグマ星人と同族であり、その上位個体の固有名詞がババルウだったのでは? などという深読みが80年代以降の特撮評論同人界などではなされてきた。
 しかし、内山大先生のコミカライズではマグマ星とも別にババルウ星が登場してしまったことで、この仮説は少なくともこのコミカライズには当てはまらないことになってしまった(笑)。しかし、やはりL77星の生き残りを籠絡しているババルウ星人は、L77星を滅ぼしたサーベル暴君マグマ星人とも深い関係にあったということにはなるのだろう!


 ウルトラ兄弟たちは大量に出現した円盤生物たちを次々と倒していく!
 しかし、『レオ』全編におけるドラマ面を背負っていたセブンのことも忘れてはいない。最後はセブンの想いがこもっている形見の武器・アイスラッガーをその手に堅く握って、レオの弟・アストラに待ち伏せされて地球上空の宇宙空間で立ち往生していた巨大化しているブラック指令を切り裂いてみせた!!


 バトル面でもドラマ面でも、最終回としては極めて充実度が高い内容ともなったのだ!



 当時の子供たちが観たがっていた、ウルトラシリーズが終焉を迎えるにあたっての集大成としての『レオ』の最終回とは、このような歴代ウルトラ兄弟たちが駆けつけてくるような作品でもあっただろう。
 第1期・仮面ライダーシリーズ最終作である『仮面ライダーストロンガー』(75年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20201231/p1)の終盤や、第2期・仮面ライダーシリーズの第1作目である『(新)仮面ライダー』(79年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210102/p1)の終盤においては、5部作や3部作の連続ストーリーで、歴代の仮面ライダーたちが変身後のヒーローとしての姿を見せるのみならず、変身前の人間体の姿も込みで登場して盛り上げていたのだが、それよりも以前に内山大先生はすでにコミカライズで同様のことをやってのけていたのである!



 『仮面ライダー』最終回(第98話)『ゲルショッカー全滅! 首領の最後!!』では、敵組織・ゲルショッカーのアジトに捕らわれた立花藤兵衛(たちばな・とうべえ)や少年仮面ライダー隊の前で、ショッカー幹部・ブラック将軍の正体である怪人・ヒルカメレオンに変身を阻止された、第53話から主役ヒーローに返り咲いた仮面ライダー1号こと本郷猛を助けに、第14話~第52話までの主人公を務めていた仮面ライダー2号が参上していた!


 静岡県浜松市のかんざんじ遊園地・パルパルにて、数々の遊具を稼働させながらのダブルライダーVSヒルカメレオン&ゲルショッカー戦闘員との大激闘に、ピーカンの青空の下で子門正人(しもん・まさと)がシャウトする『仮面ライダー』の主題歌『レッツゴー! ライダーキック』が流される中、ダブルライダーVS再生怪人軍団(!)の壮絶な死闘も展開されている! まさに最終回にふさわしいスケールも大きな豪華絢爛(ごうかけんらん)なバトルであったのだ。


 やはり東映特撮ヒーローである、『キカイダー01(ゼロワン)』(73年・東映 NET)最終回(第46話)『よい子の友達 人造人間万才(ばんざい)!』でも、キカイダーゼロワンと前作の主人公であるキカイダーの「キカイダー兄弟」と『01』で登場した女性型の人造人間ビジンダーが、最後には勢ぞろいを遂げていた! そして一致団結して、大犯罪組織・シャドウを壊滅させたのだ!


 巨大ロボットアニメの元祖『マジンガーZ』(72年・東映動画→現東映アニメーション フジテレビ・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200119/p1)の最終回を、劇場で先行公開したアニメ映画『マジンガーZ対暗黒大将軍』(74年・東映)では、次作『グレートマジンガー』(74年・東映動画 フジテレビ)の主人公ロボットが先行登場してマジンガーZの危機を救うことで、その圧倒的な強さを魅せつけてもくれていた!


 先輩ヒーローを登場させた元祖であった第2期ウルトラシリーズは、各々の最終回においてそのウルトラ兄弟といった要素を、バトルのスケールを拡大させる舞台装置として有効に活用させることができずに、後発の東映作品の方がそういった要素を活かしてイベント編や最終回で複数のヒーローを登場させて盛り上がりをつくることで、「有終の美」を飾ることができていたのである。


 たしかに『タロウ』の最終回や『レオ』の最終回は、長じてから鑑賞するとドラマ的・テーマ的には優れている。今となっては個人的にも大好きではある。しかしそれは高校生以上になってからの再視聴での感想である。
 それまでは、初代ウルトラマンを倒してしまう宇宙恐竜ゼットンが登場する初代『ウルトラマン』最終回(第39話)『さらばウルトラマン』や、幽霊怪人ゴース星人が世界各国の都市を地底ミサイルで吹っ飛ばす『ウルトラセブン』最終回(第49話)『史上最大の侵略(後編)』に遠くおよばないと思っていたものだ(汗)。


 だからこそ、第2期ウルトラ各作の最終回は、内山大先生が小学館学年誌で描いていたような、最強怪獣軍団VSウルトラ兄弟の大決戦を主体に前後編で描くべきだったのではなかったか!?
 しかも、第2期ウルトラ各作の最終回が共通して描いてきた、少年や子供たちへのメッセージや自立テーマも、ウルトラ兄弟や怪獣軍団が総登場するような大スケールの大バトルとも平行して描いていくようなことも、充二分に可能だったのではなかろうか?


 そうすれば、子供のころにはその少年の自立テーマや人間ドラマの切実さがよくわからなくても、大バトルでの高揚感の記憶をよすがにして、長じてからも再視聴を幾度も繰り返して、


「第2期ウルトラシリーズにも意外と高度なドラマやテーマがある!」(笑)
ウルトラマンはただの戦っているだけの作品ではない!」(爆)


 などといった、それはそれで今となっては通俗的でややヌルくもある、少々皮相的な批評のされ方ではあっても(笑)、長年の酷評に見舞われてきた第2期ウルトラシリーズの評価はもっと高まり、あるいは後年における再評価の開始時期ももっと早まったのではなかろうか?


 かのシリーズ最高傑作(笑)と名高い『ウルトラセブン』にしろ、『狙われた街』や『盗まれたウルトラアイ』や『ノンマルトの使者』などのようヒーローやメカや怪獣があまり活躍しないアンチテーゼ編ばかりが『セブン』の本質であったハズがない。あれらはあくまでも異色作やアンチテーゼ編としての魅力なのである。
 3機に分離合体するウルトラ警備隊の戦闘機・ウルトラホーク1号や、ウルトラ警備隊の専用車・ポインターなど、子供たちが玩具で遊びたくなるような、シャープでクールなスーパーメカや、隊員たちのスマートな制服などの意匠がなかったならば、第1期ウルトラシリーズをつくったスタッフの残党たちがつくった往年の『シルバー仮面』のような地味な作品になっていただろう(笑)。


 『帰ってきたウルトラマン』第18話『ウルトラセブン参上!』などは、MATが宇宙ステーションを浮遊させているといった「SF設定」がなければ生みだされない話である――同話の脚本を担当した市川森一(いちかわ・しんいち)先生は橋本プロデューサーとは折り合いが悪かったそうだから、「宇宙基地はいらない」と云われてワザと出したのだろうか?・笑――。


 ドラマ的な必然性がなければ、「なんとかカーはいらない」「宇宙基地はいらない」なぞという発想。それ自体は今考えてみると、やや漫画アニメ的・記号的な方向性でそのキャラを立てていた登場人物たちであった初代『ウルトラマン』の防衛組織・科学特捜隊の隊員たちとは異なり、MATやTACやMACの隊員たちの間における現実世界に存在する人間にも近しい人物像や、彼らによる不和描写や対立劇をも可能とさせるものでもあった。そして、イヤミなだけの同僚かと思われていた隊員などにも意外性のある人間クサい一面を与えるなどのドラマ性を与えるような功の部分もたしかにあったのだ。


 それらが長じてからでも、オトナの鑑賞に耐えうる高いドラマ性を達成できており、我々が幾度となく昭和のウルトラシリーズを観返してきた理由のひとつでもある。しかしそれと同時に、幼児や子供たちが鑑賞したときには、やや重苦しくて爽快な戦闘のカタルシスが得られないという欠点をハラませてしまってもいたのだ……


 『ウルトラマンタロウ』ではオープニング主題歌の映像のみにしか登場しなかった特殊潜水艇・アイアンフィッシュを登場させたり、『ウルトラマンレオ』の第2話ラストではシリーズを通じた宿敵かと思わせてそうはならなかったサーベル暴君マグマ星人をレギュラーとして登場させてみせていた、内山大先生のウルトラシリーズのコミカライズでの作劇。そういった要素を当の円谷プロや橋本洋二プロデューサーの方こそが見習うべきだったのではなかろうか?


 橋本洋二氏の述懐では、特撮現場の人間たちが氏に対して苦情を云ってきたことは結局なかったそうだ。それを当時の故・円谷一つぶらや・はじめ)社長がウラ側でうまくまとめてくれたり、円谷プロ側の熊谷健(くまがい・けん)プロデューサーが橋本イズムとイコールではなくても理解は示してくれていたから「割と好き勝手にやることができたんだろうな」と氏も冷静に自己分析はしている。


 本邦初のマニア向け書籍が発行された1970年代末期以降~90年代後半の平成ウルトラ3部作のころとは異なり、70年代前半当時はウルトラ兄弟の設定を特撮マニアたちが、ウルトラマンの神秘性を毀損(きそん)するものとして問題視をする、などということはもちろんまだなかったハズだ。


 にも関わらず、第2期ウルトラの映像本編における先輩ウルトラ兄弟の助っ人参戦エピソードなどは、同時にゲストたちの重苦しい人間ドラマ性なども高めようとすることで、シンプルな爽快感にはいささか欠如してしまったエピソードが残念ながらも多い。
 これもまた、ウルトラ兄弟の共演や防衛隊のスーパーメカの大活躍といった「イベント性」や「娯楽活劇性」よりも「人間ドラマ性」の方を重視してしまった、橋本洋二のポリシーが仇(あだ)となってしまったゆえだろう。


 これこそが第2期ウルトラシリーズが抱える最大の弱点なのである。しかし、歴史的には第2期ウルトラシリーズを酷評したいがあまりに、「第2期ウルトラシリーズにはドラマがない」なぞという批判もかつてはあったものだ。
 いや、それはまったくの逆ですよ(笑)。むしろ逆にドラマをヤリすぎてヘンに重たくなってしまったことが、「娯楽活劇性」を重視していた『仮面ライダー』や『マジンガーZ』の後塵を拝してしまったことの原因なのだから……


 先の橋本プロデューサーの理論を究極まで押し通すとするならば、人間ドラマ的にきちんとまとまってさえいれば、「怪獣ありきではなく人間ありき」どころか「怪獣さえもいらない」などということにもなってしまう。もっと云うならドラマ的にきちんとまとまってさえいれば、怪獣どころかヒーローさえもいらないということになってしまう。
 後年の『仮面ライダークウガ』(00年)最終回(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20001111/p1)ではパターン破りとして仮面ライダーが一切登場しなかった。しかし、いくら年長の特撮マニアたちが絶賛しようが、当の就学前の幼児たちが大泣きしたり不信感を抱かせてしまったという声もあった以上は、この最終回は子供番組としてはあまりよろしくなかったのではなかろうか?(汗)


『さよならウルトラ兄弟』(のちに『ザ・ウルトラマン』『ジャッカル対ウルトラ兄弟』に改題)作品リスト

ザ・ウルトラマン 死闘!ジャッカル対ウルトラ兄弟 (My First Big コロコロ30周年シリーズ)

*75年4月号『さい強怪獣あらわるの巻』


*75年5月号『壮絶! ウルトラ兄弟、死闘の巻』


*75年6月号『あばかれたなぞの宇宙人の巻』


*75年7月号『光の国ぜんめつ! の巻』


*75年8月号『第一部さい終回 ふくしゅうのちかいの巻』



『さよならウルトラ兄弟 第二部 たたかえ! ウルトラ戦士』(改題)


*75年9月号『なぞの超人あらわるの巻』


*75年10月号『地球をすくえ! の巻』


*75年11月号『四天王をたおせの巻』


*75年12月号『あやうし! メロスの巻』



『復活! ウルトラ兄弟』(改題・第3部)


*76年1月号『さよならウルトラ兄弟第三部』


*76年2月号(サブタイトルなし)


*76年3月号『ジャッカルは死んだの巻』


第3次怪獣ブーム下の1978年度作品リスト


コロコロコミック特別増刊2号『ザ・ウルトラマン』『若きファイタスの挑戦』


*78年10月号『げきとつ! ウルトラ兄弟』前編


*78年11月号『げきとつ! ウルトラ兄弟』後編



 歴史的な大名作でもある『ザ・ウルトラマン』の『ジャッカル対ウルトラ兄弟』とその続編『若きファイタスの挑戦』、『小学三年生』78年10~11月号に掲載された『げきとつ! ウルトラ兄弟』については、項目を独立して細かく語らせていただいたので、詳細についてはそちらを参照されたい。


katoku99.hatenablog.com



 『小学三年生』75年4月号~76年3月号に『さよならウルトラ兄弟』というタイトルで連載された本作。この作品はその後、『ザ・ウルトラマン』と改題されたことで、このタイトルで後年も流通することとなった。
 小学館の児童漫画誌コロコロコミック』No.5(78年3月15日号・2月15日実売)~No.7(78年7月15日号・6月15日実売)に、その最終章の直前までがいったん再連載されている。この再連載での大反響を受けて、『コロコロコミック特別増刊号 ウルトラマンPART1』(78年7月24日発行・6月24日実売・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210110/p1)が刊行されて、その第1回から最終回までが一挙に収録されたことは、ご承知のことだろう――小学館てんとう虫コミックス』レーベルの単行本に収録された際に、『ジャッカル対ウルトラ兄弟』というサブタイトルが付与された――。


 『コロコロコミック特別増刊号 ウルトラマンPART1』の読者投稿欄を読めば、当時の全国の小学生、一部には中高生、女児や一部のマニアっ気がある女子高生たちにも大反響を巻き起こしていたことがわかる。


 『ザ・ウルトラマン』に改題して再連載されて以降は、単行本での収録時も含めて、


・4~5月号掲載分を『ジャッカル対ウルトラ兄弟 姿なき強敵』
・6~8月号掲載分を『あやうし! ウルトラの国』
・9~2月号掲載分を『なぞの超人現わる!』
・3月号掲載分を『復活! ウルトラ兄弟


 というサブタイトルを付け直して収録している。



――『レオ』の後、オリジナル作品『さよならウルトラ兄弟』が生まれた経緯は?
「TV放映は無くなったけど、円谷プロとの独占契約は続いていたんで何かやらなきゃってことでね。それで内山先生に新たなウルトラを描いてもらおうってことで、私が企画したのが、ウルトラ兄弟最後の戦い『さよならウルトラ兄弟』だったんだ。普通のウルトラマンの話ではおもしろくないんで、どんどん兄弟が死んでいく話にしようって。とにかく、それまでのウルトラマンの常識を破ってやろうって気持ちでね。それを円谷プロに持って行って、承諾をもらってね」


――内山先生との作業はどのように行われていたのですか?
「まず私がシナリオを書いて、それでコマ割りをしてもらうという作業だったんだ。私も入社以来『帰ってきたウルトラマン』からずっとウルトラ担当だったから相当くわしかったからね。ウルトラ兄弟の仇役に苦手な怪獣を出そうとしたりしてね」


――メロスやジャッカルなどオリジナルキャラクターも魅力的でした。
「メロスは西洋甲胄(かっちゅう)のイメージ、但(ただ)し仮面は日本の甲胄の面頬(めんぽお)にしようってことでね。資料をいろいろコピーして渡したのを憶えてるな。本当のことを言うと、メロスの名前は内山先生が『走れメロス』からとって命名したんだけど、私はあんまり気に入ってなかったんだ。まァ、先生がやけに入れ込んでいたんで、じゃあそれでOKって(笑)。まァ、ジャッカルも小説『ジャッカルの日』(引用者註:71年のベストセラー海外小説・73年に映画化)から取ってるんで、案外それと近い思いつきだったんだよね(笑)。
 実は『ザ・ウルトラマン』は『コロコロ』で人気が出てアニメ化するってことで話が進んでたんだ。結局、ウルトラマンは(カラータイマーの)3分間の制約とかさまざまな約束事があって成立してるんだからってことで、円谷プロの方からNGになっちゃったんだ。それがタイトルだけ残した『ザ★ウルトラマン』になったんだよね。あのときは少しがっかりだったな」

(『ウルトラコレクションボックス ザ・内山まもる』特典 特別復刻コミックス『ウルトラ戦士銀河大戦争』「内山まもる担当編集者に聞け!!」「小学三年生」編集部(当時)八巻孝夫インタビュー)



 なんと! 『ザ・ウルトラマン』には原作者がいたのである! 内山大先生はコマ割りをしていたのだともいう! ……まぁ、そんなものなのかもしれないが(笑)。
 もちろん、内山大先生の意向も相応に入っていただろうから、厳密には共作というべきなのかもしれない。この作品にかぎらず、小説や漫画やテレビドラマの脚本などにもいえることだろうが、厳密には担当編集者やプロデューサーからのオーダー(注文)や、彼らとの二人三脚でこれらの作品はつくられているのだと見た方がよいのだろう。


――後日編註:2022年5月20日(金)付の発行である『ザ・ウルトラマン 単行本初収録&傑作選 上』の巻末に付された特撮ライター・ガイガン山崎による「解説」によれば、『小学三年生』版『レオ』の第7話までは「協力」、第8話からは「構成」名義で記されている野辺地健とは、円谷プロ側の『レオ』のプロデューサーであった熊谷健(くまがい・けん)のペンネームであったそうだ。日本の慎ましい小家族を描いてきた名映画監督・小津安二郎(おづ・やすじろう)に傾倒して、『レオ』第26話~第32話の「日本名作民謡シリーズ!」なども手掛けていた氏のイメージとはだいぶ異なる、「ウルトラキラー・ゴルゴ」や「サイボーグ・ナックル星人」などといった戦闘的でイベント性も高いエピソード群も、小学館の編集部側からのオーダーではなく氏の純粋なシナリオだったとすれば、氏の意外な一面に頭が下がると同時に、石油ショックによる当時の物価高の時代の実写特撮では実現が困難であったからこそコミカライズ原作の方ではイベント性が高いエピソードを書き下ろしたのかもしれないなどとも推測してしまう。しかし、もう少しだけ映像本編の方でもがんばってほしかった……などといった気持ちもムラムラと浮上しつつも、やはりそれもまた難しかったのであろうな……などと相反した気持ちが同時に浮上してきて複雑な気持ちになってしまうのであった(笑)――



 ところで、70年代後半の『コロコロ』世代にとっては、ウルトラマンとは着ぐるみのスーツ姿だけではなく、筋肉質の身体にボディペンティングで模様が書いてあるといった趣でありながらも、手袋とブーツのつなぎ目のラインはハッキリと表現されており、やや面長な顔に端正な目をしていた内山ウルトラマンとしての姿の方もインパクトが強かったのではなかろうか?



ウルトラマンを描く時には、とにかく「きれいなラインの体を描こう」と心がけました。あまりマッチョな体型にしてしまうと、ウルトラマンの体に走るラインの美しさが殺されてしまうんです。イメージとしては、女性の体に筋肉をつけた感じで描いていましたね。首元の後ろのラインを少しふくらませて描いたのもこだわりです。ちょっと波打つ感じにしたんですが、首を振った時にこのラインが覗くだけでもアクセントになりますしね。
 ウルトラマンで特に気を使ったのは目や口元の表現です。そのまま絵にしてしまうと、どうしても表情が固いんです。ウルトラマンの口は、かすかに開いた形になっていましたから、真一文字の単調なラインにならないよう、口の中央部分で一度フッと線が途切れるようにペンを入れていました。これは連載を続けていくうちに、まとまっていきました。目に関しては覗き穴のラインも意識して線を描いています。
 ただ、ウルトラセブンに関しては構成するラインも多く、メカニカルなイメージもあって、口元はそのままにしました。何度か他のウルトラマンと同じような口元をセブンにも描いてみたんですけれど、やっぱり似合わなかったんです。
 一番好きなウルトラマンゾフィーでしたね。ウルトラ兄弟の長兄ということもあり、また、なかなか姿を現さない神秘性もあって、子どもたちの人気も高かったんですよ。だから、登場する時はよりカッコ良くと、僕も力を入れて描いていました」

(『帰ってきたウルトラマン完全復刻版』「ボクの青春時代だったウルトラまんが」内山まもる



「私はウルトラマンと怪獣が大好きな高一の女の子です。内山先生のかくウルトラマンはとってもいいんです。ハンサムなんて変ないい方だけど、他のまんが家のウルトラマンは、ブ男だと思います。そして先生のえ(絵)はやさしさがあります。先生はまさしくウルトラまんがの巨匠です。内山まもる バンザーイ!」(東京都・HRさん)

(『コロコロコミック特別増刊号 ウルトラマンPART1』「コロコロウルトラファンプラザ」(読者投稿欄))



 腐女子の元祖(笑)からお墨つきをもらったくらいだから、同時期の第1次アニメブームからはじまる女性マニアたちが執着するような絵柄・線線・ストーリーなどの要素すらも、内山大先生が描いたウルトラマンたちはすでに兼ね備えていたのである!



 そんな世代に向けての新作ウルトラマンが、折りからのアニメブームや予算の問題もあって、アニメによる『ザ★ウルトラマン』となったことは、ある意味では正しい判断ではあった。
 従来のシリーズとは世界観的にはつながりがないこの作品は、オーソドックスな怪獣ものであった第1クールを終えるや第2クールの中盤から、この作品におけるウルトラマンの故郷であるウルトラの星・U40(ユーフォーティ)を登場させて、その歴史や10億年にもわたる因縁の宿敵、爬虫類から進化したためにコミュニケートも不可能だというバデル族が率いる宇宙艦隊数千隻との宇宙大戦争を繰り広げるようになる。
 同作の主人公ウルトラマンの本名がジョーニアスであることもここで明かされて、その母星にはエレク・ロト・アミア・5大戦士――シナリオによれば、ノア・ミゲル・メレグと都合3名の名称が設定されている――といった、ジョーニアスとほぼ同格のウルトラ戦士たちも登場する。
 彼らはシリーズ後半になると度々、ジョーニアスの危機に助っ人参戦を果たすようになり、その最終章4部作(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200508/p1)ではその全員が勢ぞろいして大活躍をしてくれたのだ!


 この作品もまた内山大先生の間接的な影響下にあった作品であったことは間違いがないだろう。しかし同作は、ウルトラシリーズの正当続編ではなかったことが少々水を差していた。


 そこで翌年には『ウルトラマンレオ』の5年後の世界を描いている実写特撮の『ウルトラマン80(エイティ)』(80年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971121/p1)が登場した。
 しかし、70年代末期に発売された本邦初のマニア向け書籍における「ウルトラ兄弟という設定はヒーローの神秘性をスポイルして堕落させるもの」という主張が、誤ったメッセージを製作スタッフたちに与えてしまっていたのだろう。同作では頑なにウルトラ兄弟を客演させることがなかったのであった……


 しかし、この『ザ★ウルトラマン』と『ウルトラマン80』が放映されていた第3次怪獣ブームの時代には、同様に復活を果たした第2期ライダーシリーズの第1作目である『(新)仮面ライダー』こと通称「スカイライダー」も放映されていた。
 そして、そのシリーズ中盤からは、先輩ライダーたちが次々と客演を果たすようになる。1年間の放映期間のちょうど折り返し地点である第27話~第28話の前後編、そしてその最終章3部作では、8人の仮面ライダーが全員集合して巨悪に立ち向かうことで、絶大なるスケールと盛り上がりを達成していたのだ!


 この『スカイライダー』も序盤の原点回帰である怪奇路線が優れていて、シリーズ中盤からの歴代ライダーぞくぞく登場編は堕落である! なぞという寝ぼけた批評が長年まかり通ってきた(笑)。
 しかし、当時の子供たちが観たかったのは、月に1回くらいは先輩ウルトラ兄弟が客演して、シリーズの折り返し地点や最終章ではウルトラ兄弟が全員勢ぞろいをするような、この『スカイライダー』のごとき新作ウルトラマンであったと思うゾ!


 第3次怪獣ブームがある時点で急速に失速していったのは、そういうことが理由だろう。『ウルトラマン80』もたとえ序盤の人間ドラマ重視の「学校編」の中ではあっても、第1話の冒頭でウルトラ兄弟を勢ぞろいさせてエイティを地球へと送り出すシーンがあったり、月に1回は先輩ウルトラ兄弟が助けに来たり、中盤ではウルトラ兄弟全員登場の前後編があったり、ウルトラサインで呼ばれて宇宙の小惑星上などで30分まるまる仮面劇でウルトラ兄弟たちと怪獣軍団が戦っているだけの番外編などがあった方がよかったのではなかろうか!?(笑)


 余談になるが、ウルトラマンエイティは長らくウルトラ兄弟の一員ではないとされてきた。しかし、ウルトラ兄弟の候補生ではあり、その功績次第でウルトラ兄弟に昇格するという設定が存在していたのだ。これは当時の『てれびくん』や『コロコロコミック』でも言及されていない設定である。実はこの設定は『小学三年生』のみでの独自設定であったようなのだ(?)。
 歴代のウルトラ兄弟とも因縁を持たせて、その世界観をワールドワイド・宇宙規模へと拡張したようにも、子供たちに感じさせようとするこの手法。これは先の『ザ・ウルトラマン』こと『さよならウルトラ兄弟』の原作者を名乗る担当編集者・八巻孝夫(やまき・たかお)氏によるアイデアではなかろうか!?――もちろん憶測です・汗――



 なお、ウルトラ一族が操艦する巨大な「ウルトラ戦艦」が登場して宇宙海賊スペース・パイレーツの宇宙戦艦と砲撃戦を展開する、78年の第3次怪獣ブーム時代の『小学三年生』78年10~11月号に掲載された『げきとつ! ウルトラ兄弟』も、『てんとう虫コミックス』レーベルの単行本『ザ・ウルトラマン』第3巻(ASIN:B017TYZ8L0)に『闘え! ウルトラ兄弟』と改題されて収録されている。続く第4巻については後述としたい。


『飛べ! ウルトラ戦士』作品リスト

ザ・ウルトラマン 4 (てんとう虫コミックス)

*79年4月号(サブタイトルなし)


*79年5月号『死闘! ウルトラ月要さいの巻』


*79年6月号『バルタン帝国の巻』


*79年7月号『死闘! エルフ対タロウの巻』


*79年8月号『ウルトラ特攻大作戦の巻』


*79年9月号『のこるは3人の巻』


*79年10月号『最後の決戦の巻』


*79年11月号『暗殺宇宙人の巻』


*79年12月号『たおせ! アサシンの巻』


 これらの作品は、『ザ・ウルトラマン』名義の単行本に収録された際には、


・4~5月号掲載分を『月面要さい大作戦 ――対ベーダー』
・6~7月号掲載分を『友情は永遠に…… ――タロウとエルフ』
・8~10月号掲載分を『1ダースの特攻隊 ――対アヌビス』
・11~12月号掲載分を『ゾフィーの危機 ――対アサシン』


 というサブタイトルに変更されている。


 いずれも宇宙でのウルトラファミリーの中規模のバトルを小気味よく描いた粒ぞろいの良作であり、内山大先生のストーリーテリングもより優れたものとなっている。


 内山大先生による『ザ・ウルトラマン』は、テレビアニメシリーズ『ザ★ウルトラマン』の放映と時を同じくして、79年度の『小学三年生』4月号から12月号にかけて、『飛べ! ウルトラ戦士』というタイトルで連載されて、『てんとう虫コミックス』の『ザ・ウルトラマン』第4巻(ASIN:B017TYZ8I8)として80年1月25日に単行本化されている。


『ウルトラ戦士銀河大戦争』作品リスト

ウルトラコレクションボックス ザ・内山まもる: 完全部数限定 ([BOX商品])

*81年6月号『死ぬな! ゾフィーの巻』

 宇宙忍者バルタン星人軍団・異次元超人エースキラー軍団登場

*81年7月号『宇宙最強のウルトラ戦士 アンドロ・メロス大登場!』

 宇宙忍者バルタン星人軍団・異次元超人エースキラー軍団登場

*81年8月号『なぞの男メロスのすさまじい武器がつぎつぎと登場!!』

 宇宙恐竜巨大ゼットン(!)登場

*81年9月号『ゾフィーが死んだ! セブンが死んだ! どうなるウルトラ戦士!!』

 サーベル暴君マグマ星人軍団&ゴッドマグマ登場

*81年10月号『ウルトラ戦士とメロスのピンチに 新しき味方メロスⅡ大登場!』

 悪質宇宙人メフィラス星人軍団&ツアー・メフィラス登場

*81年11月号『ウルトラ兄弟をすくいに向かったメロスたちに最大のピンチが!』

 凶悪宇宙人ザラブ星人軍団&ザラブ・シーザー登場

*81年12月号『ついにおそるべきてき(敵)ジュダが メロスとウルフを殺す!!』

 凶悪宇宙人ザラブ星人軍団&ザラブ・シーザー、魔人ジュダ登場
 (本号の巻頭グラビアで、メロスⅡの正体がアンドロウルフだと判明する)

*82年1月号『キングジョーのかい力をふせげるか? メロス!』

 暗殺宇宙人ナックル星人軍団&ナックル大帝・宇宙ロボットキングジョージャイアント(!)・魔人ジュダ登場

*82年2月号『ついにジュダとウルトラ戦士の死とうが始まる!!』

 魔人ジュダ登場

*82年3月号『ジュダの剣のえじきになるか? ゾフィー最大のピンチだ!』

 魔人ジュダ登場



 『ウルトラマン80』終了直後の81年度の小学館の『てれびくん』や『コロコロコミック』などの各誌では、内山ウルトラ漫画に登場した宇宙警備隊アンドロメダ星雲支部隊長である鎧(よろい)を着用したウルトラ戦士・メロスから着想を得た、メロス支部隊長とはまた別の新戦士が活躍する、ウルトラシリーズともつながっている番外編である『アンドロメロス』なる企画が展開された。
 それと連動して、『飛べ! ウルトラ戦士』の連載終了から1年半ものブランクを経て、『小学三年生』81年6月号から82年3月号にかけて、再び内山大先生による『ウルトラ戦士銀河大戦争』が巻頭カラーグラビア記事との連動で連載が開始されたのだ。


 『ウルトラ戦士銀河大戦争』は、本来ならば『ザ・ウルトラマン』の第5巻として発売されるべきものであったのにもかかわらず、第3次怪獣ブームの終焉(しゅうえん)もあってか、単行本化がなされなかった。
 以来ずっと復刻の機会には恵まれず、『コミックボンボン』(81~07年)に連載された、90年代の児童向け漫画の大傑作『ウルトラマン超闘士激伝』(原作/瑳川竜 まんが/栗原仁 93~97年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210131/p1)の最終2大編「ゴーデス編」や「エンペラ星人編」のような不遇な作品となってしまっていた。


 今回の『ウルトラコレクションボックス ザ・内山まもる』では、この『ウルトラ戦士銀河大戦争』が特典として、新書版で待望の復刻を果たしている。
 本来ならば、『かがやけウルトラの星』ではなく、こちらの方がメインではなかろうか? と考える80年代世代の方々も相応にいるだろうし、79年度の『飛べ! ウルトラ戦士』も含めて語りたかったのだが、当初の想定を大幅に上回る紙数となってしまったことから、別の機会に言及させていただくこととしよう。


その後の内山ウルトラ作品リスト

ウルトラマンメビウス外伝 超銀河大戦 戦え!ウルトラ兄弟 (内山まもるコレクション)

*『ウルトラマンティガ』『~いざ鎌倉~』

 (『宇宙船』VOL.81(97年))

*『ザ・ウルトラマンメビウス

 (『ウルトラマンメビウスDVD』(06年)VOL.2~13)

*『ザ・ウルトラマンヒカリ』

 (『ウルトラマンメビウス外伝 ヒカリサーガDVD』(07年・ASIN:B000SAXNVU))

*『ウルトラマンメビウス外伝 超銀河大戦 巨大要塞を撃破せよ!!』

 (『コロコロイチバン!』07年14号~15号)

*『ウルトラマンメビウス外伝 超銀河大戦 戦え!ウルトラ兄弟

 (『てれびくん』07年6月号~08年2月号・ASIN:B01CG0VDJI

*『ウルトラマンメビウス外伝 アーマードダークネス ジャッカル軍団大逆襲!!』

 (『てれびくん』08年3月号~09年3月号(08年10月号除く・ASIN:B01CG0VDI4

*『大決戦! 超ウルトラ8兄弟』

 (『てれびくん』08年10月号)

*『ウルトラマンメビウス外伝 ゴーストリバース ウルトラ兄弟VS暗黒大軍団』

 (『てれびくん』09年4月号~09年12月号)

*『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』

 (『てれびくん』10年1月号~10年3月号)

*『戦え!ウルトラ戦士 出撃!宇宙警備隊』

 (『てれびくん』10年4月号)
完全版 ウルトラマンメビウス外伝プラス平成ウルトラマン作品集 (小学館クリエイティブ単行本)



 上記のうち、『ウルトラマンメビウス外伝 アーマードダークネス ジャッカル軍団大逆襲!!』については、項目を独立して細かく語らせていただいたので、詳細についてはそちらを参照されたい。


katoku99.hatenablog.com



・近年のウルトラマン映画における、ウルトラ兄弟やウルトラ一族 VS 怪獣や宇宙人との集団戦!
・巨大ヒーローの身長を上回る、超巨大な怪獣の登場!
・テレビ本編の前日談や後日談!
・人間キャラクターが登場しない仮面劇!
・歴代シリーズのキャラクターが結集してきての最後の総力戦!


 以上の項目を列挙してきて、おわかりになったことと思うが、実はそのほぼすべてが内山ウルトラ漫画がルーツであったのである! 今後のウルトラシリーズの映画やテレビにおけるそのシリーズ構成、イベント編や最終章がどのようにあるべきかについては、もうおわかりになったことと思う。


 これは学年誌の各誌が100万部前後の発行部数を達成して、ご近所での回し読みも入れれば莫大な影響力を発揮していた時代、幼児だけではなく小学生の間でもウルトラマンの人気が高かったころを回想し、「あのころが懐かしい」「あのころはよかった」などという懐古趣味だけを煽っている論述ではない。


 学年誌や児童誌とのメディアミックスによるウラ設定・長大なる歴史・広大なる世界観で、後年の『ビックリマン』や『ポケットモンスター』や『遊☆戯☆王』などのように、幼児のみならず児童の知的関心・収集癖をも惹起して、主役級のヒーローが大挙して共演して、秘術や得意技を尽くしてカッコよく戦うバトルのカタルシスで、娯楽活劇作品としても子供たちを大いに興奮させる、「ウルトラの星」の輝きを取り戻すための、あくまでも未来への提言なのである。


<参考文献>
同人誌『ザ・ウチヤママモル』(宇宙囚人207・02年12月29日発行)ほか


2010.10.21.
(改稿)2010.11.10.


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2010年準備号2』(10年11月23日発行)~『仮面特攻隊2011年号』(10年12月30日発行)所収『内山ウルトラマン漫画総覧』より抜粋)



ザ・ウルトラマン 単行本初収録&傑作選 下 (小学館クリエイティブ単行本)

(往年の『小学二年生』増刊号に掲載されるも幻の作品となっていた『帰ってきたウルトラマン』・『ウルトラマンA』・『ウルトラマンタロウ』の大長編漫画群も、ついに2022年6月24日(金)発行の『ザ・ウルトラマン 単行本初収録&傑作選 下』(小学館クリエイティブ)にて、商業誌レベルでの完全収録が果たされることになった。関係各位の努力には大いに敬意を表したい!)


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