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ジャスティス・リーグ 〜スーパーマン・バットマン・ワンダーウーマン共演作は、ヒーロー大集合映画の教科書たりえたか!?

(2018年9月13日(木)UP)
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ジャスティス・リーグ

(2017年11月23日(木・祝)・日本封切)

スーパーマンバットマンワンダーウーマン共演作は、ヒーロー大集合映画の教科書たりえたか!?

(文・T.SATO)
(2017年12月3日脱稿。12月20日加筆改訂)


 批判ではなく云うけれど、内容は誰にでも事前に予想がつくもの。


・宇宙から鉄カブトをかぶった強敵超人1体が襲来!――まずは羽ムシ型戦闘員1体が登場。地球各地にある3個のキューブを集めることで、強大な力をゲットするとのご説明。
バットマンワンダーウーマンが対抗メンバー集め。
・その過程で、5人のメンバーの出自や由来を順々に、セリフや回想映像で、ごていねいにもクドく説明(笑)。
・あっさり仲間になる者、シブる者、群れるのを嫌う個人主義者――「スーパー戦隊」シリーズの#1や序盤と同じだ――
・敵との小競り合いやアイテム争奪戦を通じて、徐々に駆け参じてくる新ヒーロー。
・2個のキューブは、ワンダーウーマンの故郷の島&アクアマンの故郷の海底神殿にあって、同族の頑強な抵抗も空しく強奪されてしまう。
・最後のキューブはなぜかアメリカの某都市の地下にあり(笑)、ヒーロー全員集結後に敵も襲来して争奪戦。
・あまりにも強敵だったので、スーパーマンの死体を墓から秘かに暴き出して、禁断の力で復活させんとする倫理的是非&葛藤。
・スーパーマンが復活するも正気は失っており、5大ヒーローと対決!
・スーパーマンの彼女のロイス嬢がご都合主義にも即座にその場に来て訴えて、正気を取り戻すスーパーマン。売却に出された(汗)田舎の実家でしばし休養。
・ラストはロシアの原発事故跡地で、6大ヒーローvs強敵超人&戦闘員軍団が大バトル。
ジャスティスリーグ6人のハイテク秘密基地の候補地となりうる広大な部屋がある旧邸宅だか倉庫をバットマンが購入。
・エンドクレジット後にだけ出てくる、前作には登場したスーパーマンの永遠の宿敵レックス・ルーサー。出獄して別の悪役とリーグ(笑)を結んで幕!


 ベタベタのコテコテ。この作品も既視感バリバリ。新しいことはしていない。
 ヘタなモタつくシメっぽい人間ドラマ&テーマはなく――バットマンが前作でのスーパーマン死亡をいつまでも自分のせいだと悔やんでいるのを、いくつか点描するくらいで――、主要登場人物が6人もいるからか、ほとんど基本設定の説明――実質的にはそれぞれの主役ヒーロー作品の#1における出自ドラマのリメイク的な列挙!――と、何度もある戦闘シーンの羅列だけ。
 強敵超人にも「強そうな悪」という記号的な属性しか与えられない。悪なりの哲学とか理念などはナイ。


 ……けれども面白い。アクションシーンも工夫があって面白くてカッコいい。体技のシーンになるとほとんどCGで――違和感はナイが――、日本のアニメのアクションシーンのノリ&文法だけれども(笑)。
 なめらかな流れや引きのあるドラマらしいドラマはなく、基本設定のおさらい・再確認と、戦闘シーンしかなかった――悪口ではないよ――、善悪の仮面ヒーロー&怪獣キャラの列挙と順列組み合わせマッチメイクにすぎなかったウルトラマン映画の傑作『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』(09年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101224/p1)みたいな作りだ。


 黒人刑事を主役とした日本古典SF小説『サイボーグ・ブルース』(68年・ASIN:B07BKTFRS1ISBN:4150313172)ならぬ黒人サイボーグ青年くんが、ナゾのキューブにその金属触手経由でハッキングしようとして逆ハックされちゃいそうになるとか、無実の父の罪を晴らそうとしているヒョロヒョロした孤独だけども軽めの白人青年フラッシュくんが、一所懸命に気を遣って気ムズカしげな黒人サイボーグくんと友だちになろうと軽口叩いてハズしちゃうギャグの一連とか、ワンダーウーマンがスーパーマン喪失の悔恨の渦中にあるバットマン社長のリキみすぎをたしなめたら、逆にバットマン社長が「お前だって恋人を失って傷心して100年間も引きこもりだったんだろ!」と子供みたいに逆ギレしてみせたり――大のオトナがそのリアクションはナイだろう(笑)――、登場人物たちの弱点&ヨコ方向の関係性も――主に後者の「ヨコ方向の関係性描写」を主とするかたち、前者の「弱点」を従とするかたちで――、点描レベルで描きつつ……。


 ヒーロー大集合映画は、こーいう素朴でツルっとした点描の羅列ノリで充分だとも思う。むしろそれ以外のウダウダ愁嘆場や敵側にも事情がある! みたいなノイズは極少に留めた方がイイ。
 ただし新参ヒーロー多数なので、その作劇は「スーパー戦隊シリーズ」#1やその序盤といった印象。既成のヒーローが大集合する映画の教科書となりうる作劇ではなかった。


 厳密には、ワンダーウーマンの同族アマゾン族・アクアマンの同族アトランティス族・人間族・天上の神々・異世界の英雄たち、数百数千の大連合軍が結集して、太古にも宇宙から飛来したことがある今回の強敵超人を撃退したとか、3つのキューブはワンダーウーマンの故郷の島・アトランティス族の海底神殿などにあって、そこで同一世界の100年前の前日談を描いた映画『ワンダーウーマン』(17年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170911/p1)におけるアマゾン族の女王ほかを再登場させたり、父母王との折り合いが悪かったアクアマンの出自ドラマも兼ねさせるなどの工夫はある。
 「太古からの歴史ある世界」の大状況&「各ヒーロー個人の事情」の小状況を、一挙に同時に説明できるダブルミーニング。それもそれで今ではベタだが、作品世界に神話的な広大さ&因縁も付与することで、観客をスペクタクル的にもワクワクさせることも事実だ。


 状況は世界滅亡レベルで深刻のハズだが、過剰に暗くはならずにイイ意味でアッサリしている。そーいう意味では、単純比較はできないが、マーベル社のアメコミヒーロー大集合映画ならぬヒーロー分裂騒動映画の『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(16年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160701/p1)などよりかは個人的には娯楽活劇として面白い。その代わり、さして深みもナイけれど(笑)。陰鬱な本作の前日談映画『バットマンvs(ブイエス)スーパーマン』(16年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160911/p1)とは打って変わった佳作だとは思う。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2017年晩秋号』(17年12月3日発行)〜『仮面特攻隊2018年号』(17年12月30日発行)所収『ジャスティス・リーグ』合評1より抜粋)


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