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ウルトラゼロファイト ~おかひでき・アベユーイチ監督がまたまた放った大傑作!

『ウルトラギャラクシーファイト』 ~パチンコ展開まで前史として肯定! 昭和~2010年代のウルトラマンたちを無数の設定因縁劇でつなぐ活劇佳品!
『ウルトラマンタイガ』『ウルトラギャラクシーファイト』『スカイウォーカーの夜明け』『仮面ライダー令和』 ~奇しくも「父超え」物語となった各作の成否は!?
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 『ウルトラマン クロニクル ZERO&GEED(ゼロ・アンド・ジード)』(20年)にて、短編シリーズ『ウルトラゼロファイト』(12年)が放映記念! とカコつけて……。
 『ウルトラゼロファイト』評をアップ!


『ウルトラゼロファイト』 ~おかひでき・アベユーイチ監督がまたまた放った大傑作!


バカかっこいい作劇&映像の『ウルトラゼロファイト』!

(文・久保達也)
(2013年4月10日脱稿)


 ウルトラシリーズの最新ヒーロー・ウルトラマンゼロは、2009年度の映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE(ザ・ムービー)』(09年・ワーナー・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101224/p1)で、かのウルトラセブン(67年)の息子にしてウルトラマンレオ(74年)の弟子である存在として、鮮烈なデビューを飾った。


 2010年度には幼児誌のカラーグラビア記事と連動し、年末には映画『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦! ベリアル銀河帝国』(10年・松竹・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20111204/p1)が公開されて、その前日談として映画に先行してビデオ販売作品『ウルトラ銀河伝説外伝 ウルトラマンゼロVSダークロプスゼロ』(10年・バンダイビジュアルhttps://katoku99.hatenablog.com/entry/20200125/p1)の前後編も発売される。


 つづく2011年度も同様の展開がなされて、公開は年末ならぬ2012年3月にズレこむも、映画『ウルトラマンサーガ』(12年・松竹・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20140113/p1)が公開。やはり現役テレビシリーズがないことによる知名度不足を補って『サーガ』の集客をうながすためか、テレビ東京系で過去のウルトラシリーズのエピソードや総集編を流す週1のテレビシリーズ『ウルトラマン列伝』(11年)の放映も開始。年末には『サーガ』の前日談としての位置付けでビデオ販売作品『ウルトラマンゼロ外伝 キラー ザ ビートスター』(11年・バンダイビジュアル)の前後編も発売されている。


 しかし、思ったような商業的成果が出なかったためか、2012年度は路線を変更した。『ウルトラマンゼロVSダークロプスゼロ』も『キラー ザ ビートスター』もわれわれマニアが見ればおおいなる工夫が見られても、あきらかに低予算な作品であることが透けて見えたが(笑)――そのこと自体は作品のクオリティとはまた別次元の話である――、われらがウルトラマンゼロを主人公とした新作はついにビデオ販売作品や新作映画ではなく、それらよりははるかに桁違いに多くの子供たちの眼にふれるであろう地上波の『ウルトラマン列伝』放映枠の一角を使って、1話3分程度の全8話や全15話といったミニシリーズ『ウルトラゼロファイト』での展開となったのだ!


 この『ウルトラゼロファイト』では、同作のタイトルの元ともなった往年の平日5分枠の帯番組『ウルトラファイト』(70年)を模して、ついに人間の役者の登場は廃され、ヒーローや怪獣・宇宙人たちの着ぐるみだけが登場して、しかも完全新造の着ぐるみはもはや造形されずに既存の着ぐるみだけを流用、ヒーローの方も着ぐるみの色の塗り替えや玩具の型の微改修で安く済ませることができるタイプチェンジによる新キャラクターの登場という方策を採った。
 もちろん費用がかかるロケには外出せず、背景美術も全編を高精細なCG背景の合成にもせず、旧来からのアナログなセットまるだしの特撮スタジオ撮影も適宜用いることで、いかにも厳しい台所事情も忍ばれてくるのだ……


 そんな逆境下でつくられた2012年度の「ウルトラマンゼロ」の商業展開である短編シリーズ『ウルトラゼロファイト』なのだが、驚くなかれ! ここ数年でも桁違いで最も低予算な作品となったが(汗)、それとはウラハラに実に大胆な特撮映像・超絶アクション演出・痛快娯楽活劇としての作劇センスは秀逸なばかりであり、誤解を恐れずに正直に云えば「ウルトラシリーズ」最高傑作にして次代の典範・スタンダードとなりうる作品が遂にここで誕生したのでは!? と思えるほどの出来なのだ!


 ともに大傑作である『ウルトラマンゼロVSダークロプスゼロ』や『ウルトラマンサーガ』も手掛けたおかひでき監督による、2012年8月から9月にかけて『ウルトラマン列伝』の枠内にて全8回の話数で放映された『ウルトラゼロファイト』第1部『新たなる力』。
 やはり大傑作であった『ウルトラマンメビウス』(06年)第24話『復活のヤプール』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20061112/p1)や『ゼロ THE MOVIE』を手掛けたアベユーイチ監督による、同2012年12月から13年3月にかけて、同枠内にて全15回の話数で放映された『ウルトラゼロファイト』第2部『輝きのゼロ』。
 この2作品に共通する特徴は、1970年代後半~2000年前後に特撮マニアの過半が理想としていた「ハードでシリアスでリアルシミュレーションな作風」が「日本特撮の再興」につながる(笑)という、かつては理想とされてきた方向性とは真逆な、良い意味での半分笑ってしまうような「バカっぽさ」と、しかしてそれでも超絶に「カッコいい」という感覚の同時両立なのだ。
 この玄妙なセンスを文中でいちいち表現するのは煩雑にすぎるので、今回は造語として「バカかっこいい」(笑)なる表現とさせていただき、本作の尽きない魅力についておおいに語らせていただくこととする!


『ウルトラゼロファイト 第1部 新たなる力』(12年)


 『ウルトラゼロファイト』第2部『輝きのゼロ』(12年)第1話も、第1部『新たなる力』の総集編であった。


 映画『ウルトラマンサーガ』でウルトラマンダイナ・ウルトラマンコスモスと共演、彼らと合体してウルトラマンサーガなる超存在にも強化変身したウルトラマンゼロは、彼らと分離したあともダイナとコスモスから「新たなる力」を授かったことを心のうちに感じていた。
 そんなゼロが、『サーガ』にも黒幕として登場してそのラストでは宿敵・宇宙恐竜ハイパーゼットンイマーゴとともに倒された触覚宇宙人バット星人の別個体こと個人名・グラシエが操る怪獣軍団との対決を、映画『ウルトラ銀河伝説』にも登場した宇宙の彼方の怪獣墓場で繰り広げるさまを描くという、まさに『サーガ』のストレートな後日談としてつくられたこと自体が喜ばしいし、この第1部もまた実に「バカかっこいい」魅力にあふれていた。


 怪獣墓場という荒野が舞台だからか、まさに「荒野の用心棒」といわんばかりの、西部劇風のボロボロな布製のマントを身につけたウルトラマンゼロ。これは1970年代に児童誌『コロコロコミック』で連載された、かたおか徹治先生が手掛けた宇宙の星々を舞台にウルトラ一族が活躍する漫画『ウルトラ兄弟物語』(78年)からの引用であろう。


 そこに宇宙怪獣ベムラー・地底怪獣テレスドン・岩石怪獣サドラ・古代怪獣グドンが出現!
 前2者は初代『ウルトラマン』(66年)出自、後2者は『帰ってきたウルトラマン』(71年)出自の人気怪獣で、近年のウルトラシリーズ作品で再造形されて再登場してきたものの流用だが、いきなり超豪華!!


 ベムラーが口から放った青い火球を左手で受け止めることでゼロの強さを示しつつ、その手でマントを脱ぎ捨てるゼロ! これこそ「バカかっこいい」!(笑)


 基本形態が赤と青のボディーであるウルトラマンゼロだが、ウルトラマンダイナの赤いパワー形態「ストロングタイプ」とウルトラマンコスモスの赤い戦闘形態「コロナモード」の力を引き継いだ、全身が赤いボディーのその名もそのまんまな「ストロングコロナゼロ」にタイプチェンジ!
 グドンに飛び回し蹴(け)り! サドラに飛びひざ蹴り! これだけで爆発四散する怪獣たち! と序盤から圧倒的な強さが描かれる!


 そして、ウルトラマンダイナの青い高速戦闘形態「ミラクルタイプ」とウルトラマンコスモスの青い慈愛の形態「ルナモード」の力を引き継いだ、全身が青いボディーの「ルナミラクルゼロ」にタイプチェンジ!
 頭頂部のふたつのトサカ部分を外して放ったブーメラン武器であるミラクルゼロスラッガーは、投げられるや一旦ふたつが宙で向き合って高速回転するや花びらのように多数に見えてきて、それが錯覚ではなくホントウに多数に分裂したゼロスラッガーとしてベムラーテレスドンの周囲を渦巻くという芸の細かさ!


 赤い「ストロングコロナゼロ」の力強さと、青い「ルナミラクルゼロ」の幻惑的な能力、それぞれの特性の違いが端的に「バカかっこよく」描かれている!


 さらにどくろ怪獣レッドキング、宇宙大怪獣ベムスター、奇獣ガンQ、フィンディッシュタイプビースト・ガルベロスが一斉に出現!
 怪獣の紹介順でいうと、第1期ウルトラシリーズの初代『ウルトラマン』、第2期シリーズの『帰ってきたウルトラマン』、平成ウルトラ3部作の『ウルトラマンガイア』(98年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/19981206/p1)、21世紀のシリーズである『ウルトラマンネクサス』(04年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060308/p1)と、怪獣のセレクトも一時の第1期ウルトラ怪獣至上主義ではなく実に公平であり、いずれも強敵で知られた人気怪獣たちの復活である!
 そして、バット星人・グラシエによって「地獄の四獣士(よんじゅうし)」と紹介される! って、これまたハイブロウなSF性は皆無でも、暑苦しい少年漫画チックなノリのネーミングであり、実に「バカかっこいい」!


 なんとゼロ、バット星人によって、自身が初登場した映画『ウルトラ銀河伝説』において、師匠(ししょう)のウルトラマンレオから特訓を受けていた際の訓練用拘束アーマーを身につけた「テクターギアゼロ」の姿にされてしまう!
 マニア的に引いて観てしまえば、既存の着ぐるみを次々と流用してタイプチェンジをつづけることで、画面を単調にせず変化を付けるための意図が見て取れる(笑)。しかし、意味もなくその形態が変化したのではなく、ウルトラ一族に倒されてきた怪獣たちの怨霊(おんりょう)が彼に取り憑いて「テクターギア」のかたちを取ったのだ! と科学的・SF的な合理性ではないけれどオカルト的な合理性で――つまりはまったくのデタラメではなく一応のリクツや因果関係はあるのだ!――、この事象がバット星人によって説明されるあたりはていねいだし、敵の策略のスゴさも感じられる趣向なのでカンゲイである。
 しかも、それを受けて立ったゼロに「怪獣たちの恨みも、このオレがすべて引き受けてやる!!」と豪語させて、ゼロの見上げた心意気も描くことで彼のキャラを立て、ドラマ的にも盛り上げるあたりは好印象!


 加えて、怪獣軍団の一体・レッドキングまでもがタイプチェンジ! 長くて太っとい腕が特徴であるEX(イーエックス)レッドキングと対決するハメになる! ――ちなみに、EXレッドキングの初出はゲーム版『大怪獣バトル』、テレビシリーズでの初出は『ウルトラギャラクシー 大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY(ネバー・エンディング・オデッセイ)』(08年)最終回(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20100331/p1)――


 テクターギアゼロの目線、および怪獣墓場でやはり甦った人間大サイズの可愛い怪獣・友好珍獣ピグモンの目線であおりでとらえることにより、EXレッドキングがそれこそバカみたいに長くて太っとい腕でゼロに殴りかかってくる猛威を絶妙に表現できている!


 また、EXレッドキングにやられて倒れこんだテクターギアゼロの顔面の上に舞い降りる、今回の黒幕である人間大サイズのバット星人・グラシエの軽薄な丁寧語でしゃべるふるまいやトークで、その愉快犯的なキャラクターも端的に描くことができている。
 バット星人に「目障りです!」と名指しされてEXレッドキングがふりおろす豪腕でつぶされそうになって、高い岸壁の上で思わず身を伏せた人間大サイズのピグモンを画面手前に配置し、それをとっさに背中で防いだ巨大超人・テクターギアゼロの顔面を中央に、その背後にはEXレッドキングをおさめた特撮合成カットも臨場感にあふれていてよい!


 ストロングコロナゼロに戻ったゼロは「ウルトラハリケーーン!!」と叫んで、マニアならばご存じで驚愕と同時に嬉しくもなってしまう、『帰ってきたウルトラマン』(71年)最終回(第51話)『ウルトラ5つの誓い』で帰ってきたウルトラマンことウルトラマンジャックが宇宙恐竜ゼットン二代目に最後に放ったのと同一の技(!)を披露! EXレッドキングを豪快に宙へと放り投げると、その回転の勢いで軌跡に竜巻まで巻き起こしながらEXレッドキングは上空へと飛んでいく!
 そして、ウルトラマンダイナ・ストロングタイプの必殺技・ガルネイトボンバーを継承した、ストロングコロナゼロの右腕から放つオレンジ色の高熱のエネルギー弾流・ガルネイトバスターで、宙に放り投げられたEXレッドキングにトドメを刺すゼロ!


 その瞬間は地面から見上げた斜めに傾いた構図で、右腕を高々と掲げたゼロと、はるか上空で爆発するEXレッドキングの両者が捉えられることにより、勝利の凱歌(がいか)が絶妙にうたわれる! これまた「バカかっこいい」!


 ラウンド2はガルベロスがつくりだした幻影の偽ストロングコロナゼロ(!)との対決! 本作で初登場したばかりのストロングコロナゼロが早くも偽者として登場してしまう! よほど製作予算がないのだな(笑)。
 なんと本物の赤と青の基本形態のゼロと偽物の赤いストロングコロナゼロの両者、額をぶつけてガン(眼)を飛ばしあったそばから、両者が額(ひたい)のビームランプから黄緑色のシャープな光線技・エメリウムスラッシュをほぼゼロ距離の至近距離でぶつけ合って、横走りで画面手前に駆けてくる!


 まさにタイマンの張り合い! って、いくらなんでもガラ悪すぎやろ! いや、これこそまさに「バカかっこいい」のだ!


 そしてラウンド3。敵の戦闘方法を逆手に取り、ベムスターの五角形の腹に突入してガンQの超巨大な単眼から飛び出して、両者を撃滅するルナミラクルゼロの奇抜なバトル描写は、『ウルトラセブン』(67年)第38話『勇気ある戦い』でゼロの父・ウルトラセブンがミクロ化して、防衛組織・ウルトラ警備隊のフルハシ隊員が手にしていた銃に潜入、銃撃とともに巨大化しながらロボット怪獣クレージーゴンに体当たりしたステップショット戦法を彷彿(ほうふつ)とさせるものがある!
 この必殺技はウルトラシリーズのファンの大勢がきっと幼少のころからとても印象深かったであろう特撮シーンなのだが、あの「マジメでシリアスでSFである」「大人の鑑賞にも堪えうる」(笑)と第1期ウルトラ至上主義者たちに長年絶賛されてきた『セブン』の中でさえも、実はこのような稚気満々(ちきまんまん)でアイデアあふれるカッコいい戦闘が描かれていたんですよ!
 やっぱりドラマやテーマよりも、こうしたビジュアルや戦闘シーン、ヒーローの強さや超越性に対する驚きこそが、「特撮」ジャンルの最大の魅力なんですよ! これこそまさに「バカかっこいい」!


 最終ラウンドは、倒された「地獄の四獣士」こと怪獣たちの赤い人魂を吸収して巨大化したバット星人とゼロとの決闘!
 バット星人は長剣を用い、ゼロもふたつのゼロスラッガーを合体させて半月刀状にしたゼロツインソードで剣戟(けんげき)バトルを展開する!


 「自分を倒せば怪獣墓場から復活させたピグモンも死ぬぞ!」とバット星人はゼロを脅す!
 動揺したゼロはゼロツインソードをはじき飛ばされる! 大地に突き刺さったゼロツインソードを画面中央手前に配し、ロングで両者の対峙をとらえる描写が最高!
 最終決戦だからとばかりに、背景が星々の輝く黄緑の明るい宇宙空間であるCG背景から、セットのホリゾントをライトで照らしただけの夕焼け空に染める演出もマル!


 「自分の命は惜しくない」という健気な想いを抱いていることをピグモンの表情から悟(さと)って、その心意気に打たれたゼロは、なんと背中合わせでストロングコロナゼロとルナミラクルゼロに分身!
 なんでやねん!? そんな超ご都合主義(笑)により、ストロングコロナゼロの光線がバット星人にトドメを刺し、ルナミラクルゼロのバリアーがピグモンを救う!
 超ご都合ではあるけれど、そんな超能力を発揮するのが一般ドラマのふつうの人間キャラであったら興醒めだが(笑)、神秘の超人ヒーローだからこそ好意的に解釈ができて一応許せてもくるし、むしろ爽快感やヒーローに対するあこがれにも昇華していくのである。つまり「バカかっこいい」からこれでいいのだ!(笑)


ゼロ「第2部、楽しみに待っててくれよな!」


 ゼロ、右手人差し指と中指でVサインすることで「2」を表現し、右腕をグルグル回して視聴者の方を指(さ)す!
 これが象徴するように、『ウルトラゼロファイト 第2部 輝きのゼロ』(12年)もまた、監督はアベユーイチに交代するも、やはり「バカかっこいい」展開&特撮ビジュアルが連発する大傑作だったのだ!


『ウルトラゼロファイト 第2部 輝きのゼロ』(12年)


 バット星人に勝利したウルトラマンゼロが映(うつ)る床面の巨大モニターを踏みつける、悪質宇宙人メフィラス星人・魔導のスライ……、って導入部からしてもう「バカかっこいい」!
 メフィラスを中央に、宇宙人軍団が円陣を組んでいるさまは、映画『ウルトラマンメビウスウルトラ兄弟』(06年・松竹・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20070128/p1)の強豪宇宙人軍団を彷彿とさせる!


 敗北したバット星人について、グローザ星系人・氷結のグロッケンが、


「触覚の役目は果たしたってところだな」


と吐(は)くセリフも、アレだけの強敵が触覚=先兵にすぎなかった! という、少年漫画にアリガチな既視感バリバリなセリフなのだが(笑)、それでも彼ら新敵たちが、その戦闘シーンを描かずとも先兵をも上回る強敵たちであることを示唆するワクワクさせられる描写なのであり、実にセンスがいい!


 闇の支配者に仕(つか)える、赤い目をした5人の凶悪宇宙人軍団! その名は、


「われら、ダークネスファイブ!!」


って、スーパー戦隊かおまえら!(笑)


 ダークネスファイブが揃い踏みするや、青い稲妻がほと走り、その背後にはビデオ作品『ウルトラマンメビウス外伝 アーマードダークネス』(08年・バンダイビジュアルhttps://katoku99.hatenablog.com/entry/20080914/p1)前後編やテレビシリーズ『ウルトラギャラクシー 大怪獣バトル NEVER ENDING ODISSAY』(08年)終盤(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20100312/p1)に登場した、巨大な暗黒の鎧(よろい)・アーマードダークネスの幻影が浮かびあがり、その周囲が炎に包まれる!


 超「バカかっこいい」!(笑)


 古代遺跡風の建造物が並ぶ惑星ファネゴンに、テレビシシリーズ『ウルトラマンティガ』(96年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/19961201/p1)第26話や映画『大決戦! 超ウルトラ8兄弟』(08年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101223/p1)に登場した剛力怪獣シルバゴンが出現!
 コイン怪獣カネゴンみたいな提灯(ちょうちん)のように飛び出た目玉にガマ口のような頭部のファネゴン人たちがシルバゴンの手前を逃げまどうが、こうしたかたちで宇宙人の「民間人」が登場するのって、まさに1970~80年代に内山まもる大先生やかたおか徹治先生や居村眞二先生が小学館学年誌や児童誌『コロコロコミック』に幼児誌『てれびくん』などで描いてきた、大宇宙の星々を舞台としたウルトラシリーズのオリジナル漫画作品を彷彿とさせ、実に嬉しいものがある!


 映画『ゼロ THE MOVIE』以降、定番で流れている「ウルトラマンゼロのテーマ」曲とともに、ウルトラマンゼロが登場!
 ウルトラハリケーンでシルバゴンを宙に吹っ飛ばすや、そのシルバゴンの周囲をルナミラクルゼロが高速回転、右手からウルトラマンコスモス・ルナモードの技・フルムーンレクト由来の青い光・フルムーンウェーブを放つことで、その怪獣本来の落ち着いた気持ちを取り戻させて、退治せずに次元の裂け目から元の世界へと戻してあげる優しいゼロ。
 画面左手前にファネゴン人たち、右にゼロ、中央左寄りに裂け目から元の世界へノソノソと帰っていくシルバゴンと、やはり臨場感あふれるカットがよい。


 そこに現れたのはウルトラ兄弟たちの母でもある「ウルトラの母」! 崖(がけ)の上に立つウルトラの母、なんと後光(ごこう)が輝いている! まさに荘厳(そうごん)な趣(おもむき)が感じられるのだが、これまた「バカかっこいい」!


 ウルトラの母からゼロの仲間たち、ミラーナイト・グレンファイヤー・ジャンボット・ジャンナインらで結成した新宇宙警備隊ことウルティメイトフォースゼロに危機が迫っていると聞かされたゼロは、母とともに「ひみつ基地」マイティベースへと急行する!


 このマイティベース、『ウルトラ銀河伝説』以降に描かれてきた実在感あふれる高精細なCGによる光の国の建造物同様、青緑色のクリスタル状であり、ほとんどM78星雲・ウルトラの星にある宇宙警備隊本部の建造物と同じ形態――単にCGデータをそのまま流用?(笑)――であるのが統一感があってマル。
 つーか、「ひみつ基地」なるあまりにも懐かしいフレーズをわざわざ、一周まわった子供向けとして、ひらがな混じりのテロップで流すセンスが「バカかっこいい」!(笑)


 マイティベースに着くや、『ウルトラマンA(エース)』(72年)第26話『全滅! ウルトラ5兄弟』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20061030/p1)~第27話『奇跡! ウルトラの父』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20061105/p1)の前後編や映画『大決戦! 超ウルトラ8兄弟』に登場した地獄星人ヒッポリト星人が、その特殊液体でウルトラ兄弟をブロンズ像として固めてしまったように、ゼロはミラーナイトとグレンファイヤーがブロンズ像として固められていることに仰天(ぎょうてん)する。


ゼロ「おまえたち、そのポーズは!?」


 ブロンズ像として固められてしまった方ではなく、珍妙なポーズの方を議題とすることで、ダブルミーニング大きなお友だち向けのギャグとしての意味合いも持ってきて、「笑い」までをも取りに行ってしまうのがまた、ハードでシリアス一辺倒ではあった20世紀の特撮マニア向けではなく、ネジくれたギャグもまた高踏(こうとう)センスとして許容するように進化した(堕落した?)21世紀の今を生きるスレた特撮マニア向けのギャグ演出でもある(笑)。
 しかし、ゼロが首を傾(かし)げたほど、ミラーナイトとグレンファイヤーはどう見ても、踊っている最中にブロンズ像にされたとしか思えないほど、超ヘンなポーズであった(爆)。


 ウルトラの母、『超ウルトラ8兄弟』に登場した方の地獄星人スーパーヒッポリト星人の別個体としての正体を現して固有名詞も名乗るが、


スーパーヒッポリト星人「地獄のジャタール!」


と名乗るカットに入る、画面の周囲から中央に向かう無数の集中線の画面効果は、ほとんど少年マンガのコマ風だ(笑)。これぞまさに「バカかっこいい」!


 ゼロ、スーパーヒッポリトに右手をブロンズ化されてしまうが、すかさず硬化した右手でヒッポリト星人を殴りつける! 「カ~~ン!!」というコント劇みたいな効果音とともに吹っ飛んでいくヒッポリト(笑)。


 『ゼロ THE MOVIE』に流れた名曲「すすめ! ウルトラマンゼロ」のインストとともに、ゼロの大逆襲が始まる。


ゼロ「ブサイクなツラして、ウルトラの母に化けるたぁ許せねぇ!」


って、いくら相手が悪の宇宙人でも、「ブサイクなツラ」は云うたらいかんやろ(笑)。


 ゼロ、ヒッポリトを連発で殴りつづけたまま、マイティベースを高速で飛び出してくるが、


「ア~ラアラアラアラアラアラアラ~ぁ~!!」


と、例によって、1980年代に集英社週刊少年ジャンプ』に連載されていた名作マンガ『北斗の拳』(83年・84年にテレビアニメ化)の主人公・ケンシロウみたいな、いわゆるカンフー映画の立役者、ブルース・リーにはじまる「怪鳥音」と称される奇声をあげつづける! やっぱ「バカかっこいい」!(笑)


ゼロ「これでトドメだ!」


 殴られた勢いで宙空に浮かんでいた小惑星にメリこんでしまうヒッポリト!
 ゼロ、その右腕から熱弾・ガルネイトバスターを発してヒッポリトを小惑星ごと炎上させる。ゼロが右腕を振りおろすと同時に爆発!
 しつこいようですが、「バカかっこいい」!(笑)


 つづいて登場したのは、『ウルトラマンタロウ』(73年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20071202/p1)第33話『ウルトラの国 大爆発5秒前!』~第34話『ウルトラ6兄弟最後の日!』前後編や映画『ウルトラマンメビウスウルトラ兄弟』に登場した極悪宇宙人テンペラー星人
 そして、『ウルトラマンタロウ』第40話『ウルトラ兄弟を超えてゆけ!』や『ウルトラギャラクシー 大怪獣バトル NEVER ENDING ODISSEY』中盤(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20100211/p1)に映画『ウルトラマンサーガ』で惜しくもカットされた部分(後日編注:初出公開版)にも登場していた暴君怪獣タイラント
 「極悪のヴィラニアス」と固有名詞を名乗ったテンペラー星人。そしてタイラント。それぞれが左腕と右腕を高々と掲げてガッチリとクロスさせて「極暴タッグ!」と名乗りをあげる! この瞬間のシーンでも、やはり無数の集中線の画面効果が合成されて、マンガのコマ風(笑)。


ゼロ「ハハハ、ダッセェ~名前つけやがって、笑っちまうぜ!」


 ゼロはバカにしているが、やっぱりこれも「バカかっこいい」!(笑)
 そもそも『ウルトラマンタロウ』では両者がともにタロウのみならず並みいるウルトラ6兄弟をも窮地に追いやっており、後者に至っては竜巻怪獣シーゴラス・異次元宇宙人イカルス星人・宇宙大怪獣ベムスター・殺し屋超獣バラバ・液汁超獣ハンザギラン・どくろ怪獣レッドキング・大蟹超獣キングクラブの怨念が集合した合体怪獣でもある、通常回よりも格上の宇宙人と怪獣であるテンペラー星人タイラントがタッグを組むこと自体が「バカかっこいい」! いや、「めちゃくちゃカッコいい!」ことではないか!?


 もっとも今回のテンペラー星人の着ぐるみは、『タロウ』版の再現ではなく、『メビウスウルトラ兄弟』版の流用による別個体設定だが、「極悪」宇宙人というより「極道」宇宙人(笑)との別名をつけたくなるほど、『メビウスウルトラ兄弟』版のテンペラーはヤクザ系宇宙人としての風格にあふれており、個人的には大のお気に入りなのである。


 ただ『タロウ』版の、


ウルトラ兄弟!! ……ド~コ~だ~よぉ~~」


のかなりおマヌケなテンペラーを否定しているワケではないので誤解のなきように。あれもまた、「バカかっこいい」のである(笑)。


 いっそのこと、往年の昭和ウルトラ怪獣たちのように、


・『帰ってきたウルトラマン』に登場した用心棒怪獣ブラックキングは「兄」
・初代『ウルトラマン』に登場したどくろ怪獣レッドキング「弟」


・『帰ってきたウルトラマン』に登場した凶暴怪獣アーストロンは「兄」
・同作に登場した爆弾怪獣ゴーストロンは「弟」


・初代『ウルトラマン』に登場した地底怪獣テレスドンは「兄」
・『帰ってきたウルトラマン』に登場した地底怪獣デットンは「弟」


・初代『ウルトラマン』のメフィラス星人は「兄」
・『ウルトラマンタロウ』のメフィラス星人二代目は「弟」


といった、学年誌や子供向け書籍で散々に解説されてきて、当時の子供たちも素朴に喜んで小学校などで吹聴(ふいちょう)してきたウラ設定の数々のように、『ウルトラマンタロウ』のテンペラー星人が「兄」で『メビウス&兄弟』版のテンペラー星人「弟」として、今からでも遅くないので、改めて公式設定にするべきではないか!? と思うのだけれど。


――地球怪獣であるレッドキングと宇宙怪獣であるブラックキングがドーして兄弟なんだよ!? と子供のころはともかく、長じてからはツッコミの余地がある設定の数々なのだが、これも80年代あたりから特撮評論同人界隈では、レッドキングの細胞や遺伝子を操作して誕生したのがブラックキングなのだと当時の作り手たちが考えてもいなかったことを、勝手に好意的に優しいウソに優しいウソを重ねつづけて楽しく解釈してきたものである(笑)――


 ゼロが頭頂部のふたつのゼロスラッガーを放つのと同時に、タイラントがその腕の長いムチをゼロに向けて放つ!
 ゼロは右手でムチをはらいのけ、タイラントも右手でひとつのスラッガーをはらいのけ、テンペラーはもうひとつのスラッガーを堅い背中の甲羅でかわす!
 ゼロが両腕をL字型に組んで光線技・ワイドゼロショットを放つや、テンペラーをすかさずかばったタイラントがその腹部のパーツである宇宙大怪獣ベムスターの五角形の腹で光線を吸収!
 ゼロが額のビームランプから放った必殺光線・エメリウムスラッシュが、往年の大ヒットアニメ『宇宙戦艦ヤマト』(74年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20101207/p1)の冥王星での戦闘で有名な敵・ガミラス帝国による可動式鏡面を備えた人工衛星を経由してレーザー攻撃する「反射衛星砲」のように、宙に浮遊するゼロスラッガーに角度を付けて傾かせてその鏡面状の側面に反射させることで、あらぬ方向からテンペラーを急襲!
 テンペラー両手を組んでかわすが、少々ダメージを受ける!
 ゼロ、ふたつのスラッガーを両手でカチンと鳴らしてから、タイラントに飛びかかる!
 この超スピーディなバトルの流れ、「バカ」、いや、「めちゃくちゃカッコいい」!


 テンペラー、両腕を大きく開いてから、それを同時に前方に突き出すという、原典の『タロウ』で初代テンペラー星人ウルトラ兄弟を攻撃した技の再現でもあるおなじみのポーズで「ウルトラ兄弟必殺光線!」を発射!
 タイラントに羽交(はが)い締めにされたことで、まともにこれを食らうゼロ!


 勝利を確信したテンペラーがヒッポリトを「あんな奴……」とバカにする発言をしたために、ゼロが「奴は仲間じゃなかったのか!?」と問うや、


テンペラー「笑止、弱い者など仲間とは云わん!」


 この発言がゼロに逆転の機会を与えてしまう。そういう不道徳な発言が最もゼロをキレさせて奮起させるってことが、なんでわかんねえのかなぁ(笑)。


ゼロ「おまえみたいなのが一番ムカつくぜ!!」


 ゼロ、タイラントに飛び回し蹴り! その下敷きとなってしまったテンペラー、ついさっきまで仲間扱いしていたタイラントを「役立たず」扱いにする!


ゼロ「コロコロ手のひら返す奴が、仲間の価値を語ってんじゃねえ!!」


 こうした「バカかっこいい」バトルの中でも、ちゃんと必要最小限なメッセージが含まれているのである! つまり、道徳的なメッセージを鼻白(はなじろ)んでしまうような説教くさくて退屈なドラマの中で描くのではなく、こうしてさりげなく子供が最も熱中して見ているバトルの中に織り込ませて退屈させずにスンナリと伝えることこそが、子供向けヒーロー番組や娯楽活劇作品一般におけるテーマの伝え方の理想形ではないだろうか!?


 優勢となったゼロだが、そこにメフィラス星人・魔導のスライが出現! メフィラスの手には人質とされてしまったピグモンの姿が!
 このメフィラスの姿は実は幻影・立体映像であり、ピグモンを助けたければ、メフィラスとピグモンの本体がいる怪獣墓場まで来るように迫られるゼロ!


ゼロ「どいつもこいつもイケすかねえ奴らばかりだぜ!」


 ゼロがテンペラーと決着をつけて怪獣墓場に急行しようとするや、冷気がゼロを襲ってきて右足が凍結してしまう!
 グローザ星系人・氷結のグロッケン、そしてデスレ星雲人・炎上のデスローグが出現!


 両者ともに同族の別個体であるグローザ星系人こと冷凍宇宙人グローザム、デスレ星雲人こと策謀宇宙人デスレムが、『ウルトラマンメビウス』終盤(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20070422/p1)で3万年前に昭和ウルトラマンたちの故郷「光の国」が怪獣軍団に侵略された伝説の戦い「ウルトラ大戦争」のころから暗黒宇宙大皇帝エンペラ星人に仕えていた暗黒四天王の一員として登場していたが(要は着ぐるみの使い回し・笑)、今回は別個体であることからそのキャラクターは完全に変わっている。
 『メビウス』ではクールな印象だった冷凍宇宙人は今回は完全にただのチンピラ型(笑)。一方、ヤクザ系だった策謀宇宙人は今回はナゼか寡黙(かもく)である。
 今回の強豪宇宙人軍団のキャラシフトを考えてみれば、メフィラスは相変わらずの紳士型、テンペラーはヤクザ系、バット星人が愉快犯、スーパーヒッポリトがおマヌケ役(笑)と見事なまでの差別化がなされており、それらの幹部級宇宙人とキャラがかぶらないようにと、グロッケンをどチンピラ、デスローグを無口な奴として、設定が変更されたのは大正解だったと思うのだ!


 テンペラー・タイラント・グロッケン・デスローグは、ゼロを取り囲み、一斉にゼロを袋叩きにする!
 しかし、右足が凍っているにもかかわらず、そいつら相手にいつもと変わらぬ豪快なアクションを展開するゼロ! もう驚くばかりの「バカかっこよさ」である!(笑)


 だが一斉光線を浴びてしまい、さすがのゼロも大ピンチに!


 そこに駆けつけたのは、


グレンファイヤー「じゃじゃ~~ん!」


って、自分で登場ブリッジを叫ぶなっちゅーの!(笑)


 高い崖の上に揃い踏みしているグレンファイヤー・ミラーナイト・ジャンボット・ジャンナイン!
 こちらもまた、ダークネスファイブ同様、スーパー戦隊風の名乗りをあげるのだ!
 これこそまさに、最大限に「バカかっこいい」のである! こうなったら次回作でウルトラ兄弟が登場する際にも、オリジナルキャストの声で「戦隊名乗り」をやってほしいものである!(笑)


 ここですかさず流れるのが「ウルトラマンゼロのテーマ」曲だが、やはりこの名曲は「ウルティメイトフォースゼロのテーマ」として使用される方が、いっそう高揚(こうよう)感が増すのである!
 グレンファイヤーたちが一言ずつゼロに語りかけるが、各キャラが語り掛ける際に各々(おのおの)が画面の中央に来るように、その都度カメラを超高速で歯切れよく横移動させていく演出もカッコいい!


ゼロ「上等だぜ、おまえら!」


 「上等」って、ピンチを救いに来てもらって云うセリフか!?(笑) しかし、鼻をすするような仕草をして、少し感涙しているのかもしれないという芝居を、過剰にシミたったれた域には達しない範疇でカラッとスーツアクターは見せている!


 宇宙人軍団とタイラントを彼らにまかせて、ピグモンを救うために怪獣墓場へと急行するゼロ!


・グレンファイヤーVS氷結のグロッケン!
・ミラーナイトVS炎上のデスローグ!
・ジャン兄弟VS極暴タッグ!


 彼らのバトルと怪獣墓場へと高速飛行するゼロを正面からとらえたカットを交互に交錯させる演出が実にいい! 父であるセブンと同じ飛行音で、ゼロが怪獣墓場へと急行する!


 怪獣墓場にたどり着いたゼロは、メフィラスを前に、


「てめえ、覚悟はできてんだろうなぁ!」


って、いつもと比べて妙にドスのきいた声、しかもメフィラスを指さした右手をクルッと裏返して「コッチへ来やがれ!」という仕草をしながらこのセリフを吐くものだから、マジでコワいぞコレ! いや、実に「バカかっこいい」!


 だが、メフィラスも余裕の表情であり、


「卑怯(ひきょう)もラッキョウもありませんよ」


って、初代メフィラスの紳士型を継承していたハズなのに、『タロウ』に登場した方のメフィラス星人二代目の迷セリフ、かつては中二病的なハードでシリアス志向な第1期ウルトラ至上主義者たちに「ウルトラシリーズの堕落と変節の象徴!」「宇宙の神秘・未知の脅威といったSF性ではなく、単なる宇宙人のチンピラ化の象徴だ!」と散々に酷評されてきたこのセリフが一周まわって許せてしまい、マニアのツボを突いてプッと吹かせてしまうギャグとしての意味合いで流通してしまうとは!? 特撮マニアの価値観も二転三転して成熟していくものなのですねぇ(笑)。


 しかも、メフィラスが名乗りをあげる際、一瞬だけ初代のメフィラスの声を演じた大ベテラン声優・加藤精三(かとう・せいぞう)の声にエコーを付けた「フゥゥンッッッッ!!」なる唸るような掛け声が効果音的に入る演出がまたたまらん!
 本作『ウルトラゼロファイト』が放映されている『ウルトラマン列伝』は基本的にはテレビ放映のみで映像ソフト化はされないので、JASRACジャスラック日本音楽著作権協会)などへの支払は発生しない。しかし、過去のウルトラシリーズの歴代宇宙人の紹介などでは、宇宙人がしゃべるセリフはカットしても、その高笑いや叫びや唸り声だけは「効果音」のような扱いとして使用していることがある。
 けれど、今回の新作『ウルトラゼロファイト』は映像ソフト化が前提のハズだ。ならば、この「フゥゥンッッッッ!!」なる加藤精三による掛け声を「効果音」のように使用してしまってもよいのであろうか?(汗)
 実はこの「フゥゥンッッッッ!!」なるメフィラスの加藤精三の掛け声は、1970年頃に朝日ソノラマから発売されたいくつかのウルトラ関連書籍に添付されていたソノシート(廉価アナログ・レコード)に収録されていた音声ドラマ『ウルトラセブン対宇宙怪獣連合軍』においても、分身宇宙人ガッツ星人の声(笑)として使用されていたものなのである。これは当時飽きずに繰り返して聴いたものであった。
 だから、この掛け声は当時から「効果音」扱いとして録音されたものなのかもしれないと云いたいところだが、1960~70年代に声優の音声を「セリフ」と「効果音」に分けて契約するような商習慣があったとはとても思えない――そもそも契約書があったかすら怪しい(笑)――。
 昭和ウルトラシリーズが1980年代後半~90年代にかけてLD(レーザー・ディスク)化された折りには、セリフ抜きのSE(サウンド・エフェクト)テープのみを収録した音声チャンネルがあったものだ。初代『ウルトラマン』のLDをお持ちの方々は、このメフィラスの掛け声がセリフのテープ側の音声であったかSEテープ側の音声であったか教えていただけないだろうか?
 よって、意味のある言葉である「セリフ」とは異なる「掛け声」だから、勝手に「効果音」として扱っているようでもあり、かぎりなくグレーな気配もするけれど、もちろん個人的には大カンゲイなので、皆さんも関係各位に通報するなどのよけいなことをするのはやめましょうネ――映像ソフト化された際に、加藤精三の掛け声が消されていたらイヤでしょう(笑)――


 しかし、今回の『ウルトラゼロファイト』第2部は、まさに『ウルトラセブン対宇宙怪獣連合軍』ならぬ『ウルティメイトフォースゼロ対凶悪宇宙人連合軍』なんだよなぁ! 四十数年を経(へ)て、あのころの夢がテレビ画面で実現するとは!(感涙)
 なお、今回のメフィラスは、初代『ウルトラマン』や『ウルトラマンメビウス』や『ウルトラギャラクシー大怪獣バトルNEO』で歴代メフィラスのそれぞれ別固体の声を演じつづけてきた加藤精三ではなく別人が演じている。けれども、同時期の携帯電話・auのCMでは、往年の大人気野球アニメ『巨人の星』(68~71年・東京ムービー→現トムスエンタテインメント よみうりテレビ)の主人公・星飛雄馬(ほし・ひゅうま)の父・星一徹(ほし・いってつ)の声を元気に演じていたりする。やはり、超低予算作品ゆえに、おカネのかかる大ベテラン声優は使えなかったといったところか?(爆)


 第1部でガルベロスがつくりだした幻影の偽ストロングコロナゼロと対決したゼロがそうだったように、グレンファイヤーと氷結のグロッケンもまた、頭をぶつけ合ってタイマンを張り合う! 完全にヤンキーとチンピラのケンカである(笑)。


 一方、ミラーナイトを画面手前に配し、彼の背後に左手から炎の球を放とうとしている炎上のデスローグ。炎の球が放たれるやミラーナイトが即座に振り返って十文字型の光の刃(やいば)を放つシルバークロスを発射して、炎の球はあえなく四散! この一連の戦闘を斜め上方から見下ろして1カットで納める映像美もさることながら、ミラーナイトの機敏さと強さを同時に表現ができており、最高にカッコいい!


 そして赤バックで描かれる、ジャン兄弟VS極暴タッグの空中戦!
 ジャンボット、額から光線「ビームエメラルド!」を発射!
 つづいて背部から放った多数の「ジャンミサイル!」を、テンペラーは電磁ムチで次々に叩(たた)きおとす!
 ジャンナインはタイラントめがけて、胸部に6カ所ある発光部から「ジャンフラッシャー!」、右腕の2連装の砲口から「ジャンキャノン!」、腰部が展開して「ジャンバスター!」と次々に光線兵器を繰り出す!
 ジャンボットとジャンナイン、ジャン兄弟の力を合わせて「ダブルジャンナックル!!」なるダブルロケットパンチを発射! 武器や技の名前をいちいち口に出して叫ぶあたりもさりながら、70年代に大隆盛を誇った合体ロボットアニメで育ったわれわれオッサン世代にはたまらない趣向でもある。


ゼロ「オレたちはウルティメイトフォースゼロ! 宇宙のワルは全部ブッ倒す!!」


 もう全部が最高に「バカかっこいい」!(笑)


 ルナミラクルゼロはミラクルゼロスラッガーを、手首のウルトラゼロブレスレットを変形させた槍(やり)・ウルトラゼロランスを振るうことで操って、高速で上空へと離脱していくメフィラスを多数のゼロスラッガーが取り囲む!
 そして、ゼロランスを手にしたゼロがメフィラスに突撃することで、あわやピグモンを見捨てたか!? と思いきや、爆炎が晴れるとウルトラゼロブレスレットの原典であるウルトラマンジャックのウルトラブレスレットが変形した巨大な盾(たて)・ウルトラディフェンダーと同様に、遠隔操作で飛ばしたウルトラゼロディフェンダーピグモンを守っていた!
 ゼロの上半身と小高い岩盤の上のピグモンを、視線を同じ高さに合わせて見せているカットが秀逸(しゅういつ)である!


 だが、青い稲妻が光り、雷鳴が轟(とどろ)く中、そそり立った高い絶壁の頂上に、メフィラスが云うところの「あのお方」が遂に降臨する!


メフィラス「控えよ! 暗黒大皇帝・カイザーダークネス陛下(へいか)の御前(ごぜん)である!」


って、名作長寿時代劇『水戸黄門(みと・こうもん)』(69~11年・東映 TBS)かい!(笑)


 カイザーダークネスの鎧(よろい)の頭部が稲妻の直撃ではじけて落下!
 なんと、自身でそれを踏みつぶすカイザーダークネス!
 そして、鎧をかぶっていた「あのお方」が、地獄の声を響かせる!


ウルトラマンベリアル「久しぶりだな、会いたかったぜ、ゼロ!」


 ベリアル、左手の鋭くとがった爪で右の頬を撫(な)でるや、そこに短く流れるのは『ゼロ THE MOVIE』で多用されたおどろおどろしくて重厚(じゅうこう)な「ベリアルのテーマ」曲! やっぱ、超「バカかっこいい」!


 「つづく」!


 各話のラストで画面を覆い尽くすほどに馬鹿デカい筆書体で「つづく」のテロップが入るが、いまどき「つづく」はないよな。ふつうはやっぱオシャレに「to be continued」のハズだよな。なのに、あえてオシャレに行かずに野趣(やしゅ)あふれる方向を取るあたりのセンスも含めて、『ウルトラゼロファイト』はやはり「バカかっこいい」のである!


 この「つづく」のやたら乱雑な書体を見て、筆者は往年のテレビアニメ『男一匹ガキ大将』(69年・東京テレビ動画 日本テレビ)――ちなみに東京テレビ動画は現在封印されてしまっている『ドラえもん』(73年版)の製作会社でもある――を思い出してしまった。もっともこの作品ではあんなに馬鹿デカい字で「つづく」とは表記されていなかったのだが(笑)。
 この『男一匹ガキ大将』は、もともと本宮ひろ志(もとみや・ひろし)によって、集英社週刊少年ジャンプ』に、創刊当初の1968年から1973年の当時としては異例の5年間もの長期に渡って連載された大人気漫画を原作としている。主人公のガキ大将・戸川万吉(とがわ・まんきち)がケンカを通して次々に子分を増やしていき、日本中の番長を従える総番にまで登りつめ、しまいには日本自体を動かすほどの存在となる(笑)。なんせ連載終了間際の73年秋に起きた第1次石油ショックの際には、全国の不良たちを率いて、中東まで原油の買いつけに行ったくらいなのである(爆)。これぞまさに、元祖「バカかっこいい」なのである!


 思えば『ゼロVSダークロプスゼロ』とか『ゼロ THE MOVIE』も、こういうノリに近かったような気もする。後者と同じく今回の『ウルトラゼロファイト』第2部もアベユーイチが監督しているのだが、ひょっとして氏は「ウルトラ」で『男一匹ガキ大将』をやろうとしているのか!?(笑)


 たしかにピグモンやファネゴン人などの民間人や日常生活を守るための戦いも描かれてはいる。だが、今回のウルティメイトフォースゼロVS宇宙人軍団の戦いは、正義や平和を守るための戦いというよりは、まさに「光の国高校VSダークネス学園の抗争」というノリである。ベリアルなんか完全に番長じゃん!(笑)


 「そんなものは断じてウルトラではない!」、「ウルトラは少年漫画などではなく、巨大怪獣ものなのだ! SF作品なのだ!」とお怒りの御仁(ごじん)もきっといらっしゃることであろう。
 ひと昔前、「ブサイクだけどかわいい」を略した「ブサかわいい」――ピグモンなんかはまさにその部類である――という造語が流行したものであった。今回筆者が多用した「バカかっこいい」は、「バカすぎるけどカッコいい」を要約したものである。バカも度をすぎるとカッコよく見えることもあるのである(笑)。


 筆者個人は世代的にもそんなにくわしくはないのだが、そもそも1980年代以降、児童たちの人気の中心となった一連の『少年ジャンプ』の漫画こそ、往年の学園がリングに変わったり核戦争後の地球に変わったりファンタジックな異世界に変わったり、番長が宇宙人のズッコケ超人になったり神秘の鎧をまとったり北斗神拳やカメハメ波の使い手になったりして表層的な意匠こそ変わったものの、荒唐無稽な秘術や体技を尽くした「戦い」を見世物にするバトル漫画の伝統こそが、この「バカかっこいい」に該当するものではなかったか?
 そして、冷静に振り返ると、どうしようもないほどのバカバカしいバトルばかりが描かれてはいたのだが(笑)、その中には少年の読者たちに向けて、今後の人生の中で大事にしてほしい友情や道徳の大切さなどがさりげなくメッセージとして伝えられていたのではなかったか? 普段があまりにもバカで通されていたからこそ、それらの道徳めいたものがたまに描写されるとよけいに宝石のように輝いて見えたのではなかったか?


 「ウルトラ」の商品的価値がすっかり凋落(ちょうらく)してしまった今、たしかに遅きに失した感は否(いな)めない。だが、その「バカかっこいい」を創刊以来40数年継続させている『少年ジャンプ』に掲載された漫画群が息長く連載されていたり、連載が終了して10数年を経てもいまだに根強い人気を保って続編がつくられたり、再映像化までされている昨今を考えれば、やはりそうしたノリは決して一時的な流行であったのではなく、ヘタをするとSFや怪獣もの以上に、少年たちに受ける普遍的で王道的なものでもあったのだと思う。
 そして、それに近しい作風を持った『ウルトラゼロファイト』を、「ウルトラ」の将来的な展望・可能性・マーケティング性から考えてみても、おおいに支持をしたいと思うのだ。


 テーマやドラマを語るのではなくセリフ漫才を軽妙に演じる声優たちと、それを指先などのコミカルな仕草(しぐさ)と全身を使ったボディランゲージで表現しつつ、豪快な肉体アクションをも披露するスーツアクターたちとの素敵なコラボレーションにより、見事なまでに生命が宿(やど)ったヒーローと悪党キャラクターたちが繰り広げる「夢と冒険の世界」が、華麗なまでの映像表現で描かれる。特殊技術な「特殊映像」と特殊技術な「特技アクション」、やはり「特撮」ジャンルの最大の魅力とは、そのような奇抜なもの・珍奇なものを観てみたい! というところにこそあると考えるのである。


 もっとも、たった数分の枠での週1の放映では、世間での認知度もなかなかあがるものではなく、「平成仮面ライダー」と「スーパー戦隊」の牙城(がじょう)を崩せるものとはなりえないであろう。マジでもったいない!


 ちょうど半分の8回目を終えたところで、ウルトラマンゼロの宿敵・ウルトラマンベリアルが登場! さらに怒濤(どとう)の展開となるのだが、執筆の時間的都合と掲載のキャパの問題もあり、今回はここまでとさせて頂きたい。


 そんなワケで、「つづく」(笑)。


2013.4.10.
(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2013年春号』(13年4月14日発行)~『仮面特攻隊2014年号』(13年12月30日発行)所収『ウルトラゼロファイト』合評2より抜粋)


『ウルトラゼロファイト パーフェクトコレクション』

(文・久保達也)
(2013年6月21日脱稿)


 2013年6月21日(金)にバンダイビジュアルから発売されたDVD『ウルトラゼロファイト パーフェクトコレクション』についてレポートさせていただく。


 『ウルトラマン列伝』(11~13年)の枠で放映された、『ウルトラゼロファイト』(12年)第1部『新たなる力』(監督・おかひでき)全8話、および第2部『輝きのゼロ』(監督・アベユーイチ)全15話を完全収録。
 さらに放映分全23話を両監督の監修によって再構成・一本化した64分の『W(ダブル)ディレクターズ・エディション』、その音声特典として両監督によるオーディオコメンタリーも収録されている。


 このオーディオコメンタリーで語られる裏話がかなり楽しめる内容であり、これは意外なもうけものであった。
 第1部の第1話でウルトラマンゼロが身につけていた、西部劇風のマントは、実はグレンファイヤーからもらったものであるという設定だとか。そのマントを第2部に登場するファネゴン人にまんま流用しているだとか。


 第2部でゼロの危機にウルティメイトフォースゼロが駆けつけた際、グレンファイヤーが、


「じゃじゃ~~ん!」


と叫ぶのは、声を演じる関智一(せき・ともかず)の完全なアドリブだったとか(笑)。


 また、アフレコではウルティメイトフォースゼロを演じる声優たちが全員揃うことがほとんどなく、第2部の最終回の収録は皆が単独で行い、しかもアドリブが続出したらしい。それであの「セリフ漫才」が完成してしまうのだから、彼らの力量には驚くばかりである!


 さて、肝心の『Wディレクターズ・エディション』であるが、当然ながら放映分の各冒頭にあった『ウルトラゼロファイト』のタイトルロゴと、例の「つづく」(笑)はカットされている。
 冒頭には新規のタイトルバックが配されているが、まさに『ウルトラゼロファイト』の元祖である平日夕方の帯番組『ウルトラファイト』(70年)の炎を背景に黒字のタイトルが浮かび上がるオープニングを模したものである。ただし、その書体は「つづく」同様に筆文字のようでもあり、しかも縦書きになっている(笑)。
 あと、第1部の総集編となっていた第2部の第1回も、当然ながら流用映像の部分はまるごとカットされており、第1部と第2部のインターミッションとして、宇宙空間を描写した映像に差し替えられている。


 実は放映分との違いはそれくらいのものであり、『Wディレクターズ・エディション』といいつつ、単につなげたのみという印象が強い。強いて云うなら、放映分の各ラストでブリッジ的に使用されていた短い音楽が、つなぎをよくするためにカット、あるいは別の音楽に差し替えられている程度のものである。本編未使用カットなどがあるんじゃないかと期待していただけに、その面では少々期待はずれではあった。


 むしろオーディオコメンタリーや解説書で語られていた、第1部の当初構想されていた結末の方にこそ、驚くべきものがあった。それは、友好珍獣ピグモンが死ぬという展開である!
 オリジナルビデオ作品『ウルトラ銀河伝説外伝 ウルトラマンゼロVSダークロプスゼロ』(10年・バンダイビジュアル)や、映画『ウルトラマンサーガ』(12年・松竹)などの、おかひでき監督作品で画コンテを担当してきた監督の友人である漫画家・松原朋広(まつばら・ともひろ)による『ウルトラゼロファイト』第1部の当初の画コンテでは、ピグモンが光に包まれて消滅し、空に立ちのぼる光の中を、風船が舞い上がっていくイメージが描かれていたのである!
 だが、メイン視聴者の子供たちへの配慮を大きな理由として「なんとかピグモンを救えないか」とクランクイン前日に急遽(きゅうきょ)完成作品のようなラストに変更になったそうである。


 ゼロがストロングコロナゼロとルナミラクルゼロに分身するのも、ピグモンを生存させるための苦肉の策として編み出されたものであり、むしろこれは「禁じ手」とさえ考えられていたらしい。
 しかしながら、ピグモンの生存がなかったら、第2部『輝きのゼロ』でゼロが大逆転する展開はありえなかったわけであり、それを考えればこの改変は大正解であったと思えるのだ!
 ただ、当初は触覚宇宙人バット星人・グラシエは「地獄の四獣士」の魂を吸収したあと、それらの4大怪獣たちの特殊能力を披露しながらゼロと戦うことになっていたそうであり、これはやはりそのまま残してほしかったようには思う。


 実は『Wディレクターズ・エディション』のラストには、ホンの短いカットではあるのだが、重要な場面が追加されている。ネタバレで申し訳ないのだが、局所的な「時間逆行」によるウルトラマンベリアルの肉体含めての復活と同様に、地獄星人ヒッポリト星人・地獄のジャタールも、ちゃんと生きかえってました! 明らかに放映分と異なる部分って、これくらい(笑)。


 それこそ個人的にはこちらの方がよほど「禁じ手」かと思える、第2部後半戦のクライマックスで描かれた「時間逆行」も――世代人のジャンルファン的には往年の映画『スーパーマン』第1作(78年・日本公開79年)ラストで採用された大ネタという印象が実に強いが――、アベ監督的には今回のベリアルやダークネスファイブはピグモンを人質にしたくらいであり、実際には何も悪事を働いていなかったために(笑)、素直に倒すことができなかったのだそうで……
 そして、やはり「学園バトル漫画」みたいにつくろうという意図はあったようだ。最終回でひみつ基地・マイティベースへと徒歩で帰る際のウルティメイトフォースゼロのメンバーたちの会話は、男子校の通学路における部活帰りの生徒たちのイメージだとか(笑)。


 まぁ、せっかくそこまでしてウルトラマンベリアルやダークネスファイブにトドメを刺さずに、敗退のみで生かしてあげたのだから、今度こそ彼らに徹底的に悪事を働かせて、


ゼロ「オレたちはウルティメイトフォースゼロ! 宇宙のワルは全部ブッ倒す!」


をやる計画がきっとあるのだろう!?


 映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE(ザ・ムービー)』(09年・ワーナー)でのデビュー以来、映画・オリジナルビデオ作品・ライブステージ・短編『ウルトラゼロファイト』など、いささかイレギュラーなかたちでの活躍を強(し)いられてきたウルトラマンゼロ
 しかしながら、それらはすべて世界観が統一され、前作とのつながりもある一連のシリーズ物語として続編が製作されつづけてきたのであった。せっかく紡(つむ)いできたこの連続ドラマを、子供たちやマニアたちの興味関心を持続させるためにも断じて「リセット」してはならないと考えるものである。


『ウルトラゼロファイト』と次作『ウルトラマンギンガ』の関係はドーなる!?


 2013年7月10日は、1966年7月10日に初代『ウルトラマン』(66年)第1話の日曜夜7時の放映を翌週に控えて、同枠で放映された宣伝番組『ウルトラマン前夜祭 ウルトラマン誕生』が放送されたことから、近年では同日は「ウルトラマンの日」とされている――なお、同日にはバンダイビジュアルから初代『ウルトラマン』のブルーレイBOX第1巻(ASIN:B00BLWNH38)も発売される――。
 そんなめでたい日に、同年7月から『新ウルトラマン列伝』(13年)と改題された枠でスタートする新番組『ウルトラマンギンガ』(13年)は、どうやら「ウルトラマンゼロ」が登場してきた作品群とは世界観を共有する設定とはなっていないようである。


 しかしながら、『ギンガ』は2013年の夏休みと年末の時期に集中して、1話30分の作品が全9話で放映されるスケジュールであるとのこと。
 であるならば、その空白期間にぜひとも『ウルトラゼロファイト』第3部を放映し、ウルトラマンゼロを主人公にしてこれまで描かれてきた世界観を継承しつつ、『ギンガ』とも接点を持たせた物語を描くべきではなかろうか!? 「円谷プロ創立50周年」の記念すべき2013年に、商業的失敗を招くことは断じて許されないのである。


 『新ウルトラマン列伝』の主題歌は、これまでゼロの声を務めてきた宮野真守(みやの・まもる)と、THE ALFEE(ジ・アルフィー)の高見沢俊彦(たかみざわ・としひこ)とのコラボレーションによるものになるらしい。
――NHK-FMで毎週水曜(『列伝』放映と同じ曜日!・笑)23時に放送されている『THE ALFEE 終わらない夢』において、高見沢は自身がウルトラファンであることを何度も公言している。そればかりかメンバーの坂崎幸之助(さかざき・こうのすけ)は、まだALFEEが結成される前に高見沢がピグモンのコスプレ姿で六本木の街を歩く姿を目撃したと暴露(ばくろ)している・爆――


 そうなると、まだウルトラマンゼロにも活躍の余地は残されているのかとも思える。
 もし『ウルトラゼロファイト』が第2部で最後だったとしても、それこそ東映が近年展開している新旧「スーパー戦隊」共演映画、新旧「平成ライダー」競演映画や、昭和から平成までのライダー&戦隊が全員集合したオールスター映画のように、たとえ世界観が異なろうとも『ウルトラマンギンガVSウルトラマンゼロ』のようなゴージャス感があり両方のファンもゲットできるような競演映画などをつくるべきではなかろうか?
 最新ウルトラマンであるギンガと直前作ウルトラマンであるゼロを共演させ、『ギンガ』の続編であり『ウルトラゼロファイト』の続編でもあるかのようなストーリーにしたり、あるいは『ウルトラゼロファイト』の続編自体にギンガもゲスト出演させたり、『ギンガ』の方にもゼロをゲスト出演させるくらいの、幼稚園児はともかく小学生レベルであれば理解ができるような、そして年長マニアも喜ぶような、両者の世界観を越境して共演を可能とする知的なSF舞台設定の仕掛けも助走台として用意しつつ、結局は問答無用な大バトルへとなだれこむ(笑)ようなリンクをつくっておかねば、今後もウルトラの商品的価値の凋落(ちょうらく)は避けられないようにも危惧してしまうのだが。


2013.6.21.
(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2013年初夏号』(13年6月23日発行)~『仮面特攻隊2014年号』(13年12月30日発行)所収『ウルトラゼロファイト パーフェクトコレクション』評より抜粋)


『ウルトラゼロファイト』第2部・全15話、怒濤の完結!

(文・T.SATO)


 『ウルトラゼロファイト』第2部の前半戦は大いに盛り上がる!


 往年の『ウルトラマンタロウ』(73年)中盤でその存在が語られて、『ウルトラマンメビウス』(06年)終盤(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20070505/p1)では映像での初登場も果たし、3万年前に昭和ウルトラマンたちの故郷であるM78星雲「光の国」を怪獣軍団を率いて襲ったこともある暗黒宇宙大皇帝エンペラ星人。
 そのエンペラ星人がその身にまとう予定であったと後付けで設定された暗黒の鎧(よろい)、アーマードダークネスがビデオ販売作品『ウルトラマンメビウス外伝 アーマードダークネス』や『ウルトラギャラクシー 大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY』(共に08年)につづいて、本作中盤では再三の登場を果たす!
 しかも、今回その暗黒の鎧をまとったのは、映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』(09年)や『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』(10年)にも連続登場して、遂に肉体を失い霊体のみの存在となっていた悪の黒いウルトラマンこと因縁のウルトラマンベリアルであった!
 さらにベリアルはゼロに憑依(ひょうい)することで、その強靱な肉体を乗っ取り、黒い体色と化したゼロダークネスへと変身して暴虐を働くも、最後はベリアルが闖入しているゼロの精神世界の中に出現した金ピカの最強形態・シャイニングウルトラマンゼロによって撃退される!


 本作の後半戦ももちろん大いに盛り上がりはするのだけれども、チョットだけビミョーな感じもある。いや決して悪くはないし、拙(つたな)い出来でもないし、むしろ演出技巧的にも映像的にも優れてはいるのだけれども。


 各話3分の尺の中で、次々と事件が起きて、畳みかけるようにテンポよく、衝撃! 衝撃! また衝撃!
 優勢! 劣勢! 逆転! 反撃! また劣勢! といった怒濤の展開を魅せてきた本作の前半戦。


 しかし、ドコかシットリとしたエモーション(情緒)にも訴えて、緩急を付けようとしたようにも見える後半戦の演出は、フツーのヒーローもの作品であれば並み以上のハイテンションではあるハズなのだけど、シーソーバトルの連発がつづく前半戦があまりにも「神展開(かみ・てんかい)」だったモノだっただけに、ホンのもうチョッピリだけワリを喰ってしまったようにも思うのだ。


 追いつめられて絶対絶命になった末の、ほとんどご都合主義(笑)の「奇跡の大逆転」! という展開は、このテの娯楽活劇作品の常套なのであり、一時的にでも苦戦・苦悶・閉塞したからこそ、対比として開放・カタルシス(爽快感)も際立ってくるのだから、そこにケチをつける気は毛頭ナイ――終始、優勢のままで勝ち抜いちゃったりしたら、そりゃあイジメだよ(汗)――


 だから、未見の方々にはネタバレになるけれど、あまりにあんまりなほとんど禁じ手であるハズの、物理法則を破っての「時間を逆行」! 渦中のキャラクターたちの精神・記憶はそのままに、もろもろの物理的・肉体的なことどもだけを時間逆行で元に戻して復活させる……、どころかそんなことは無かったことにしてしまう!(笑) という大ネタも、個人的には許容範囲だし、イイ意味で半分笑いながらもカッコえええーーー! と感嘆しつつ観ていることができた。
 ……とはいえ、小学生ならばともかく幼児にはよくわからないであろうネタだけど、要は初代『ウルトラマン』(66年)最終回「さらばウルトラマン」のように、宇宙恐竜ゼットンにやられて一度死んじゃったけど、ウルトラ兄弟の長男・ゾフィー兄さんによって初代ウルトラマンがまた生き返ったのだ! という大スジがわかりさえすればストーリーの理解に支障は生じないので問題はナイのである……。


 しかし、これにつづく、戦闘シーンがなくて最終バトル後の長めなエピローグが描かれる、延長拡大版の最終回はドーなのであろうか?(笑)


 我らが正義のヒーロー・ウルトラマンゼロが率いるヒーロー集団・ウルティメイトフォースゼロこと、復活したミラーナイト・グレンファイヤー・ジャンボット・ジャンナイン、そしてウルトラマンゼロの5大戦士!


 そして、悪のウルトラマンことウルトラマンベリアル率いるダークネスファイブこと、メフィラス星人・魔導のスライ、ヒッポリト星人・地獄のジャタール、テンペラー星人・極悪のヴィラニアス、デスレ星雲人・炎上のデスローグ、グローザ星系人・氷結のグロッケン!


 最終回では、この善悪2大陣営の強者たちのガチンコ集団戦に流れこんで、それまでの鬱憤を晴らすかのように、正義のヒーロー集団が勝って勝って勝ちまくる! そして、ウルティメイトフォースゼロが大勝利!! めでたし、めでたし……の絵になるのが、最終回としてはアリガチ凡庸でも正しかったのではあるまいか?
 多分、幼児であっても、そーいう展開になるだろうと踏むだろうし(笑)、またそーいった展開を心から望んでいたとも思うのだ。
 平成ライダー第1弾の『仮面ライダークウガ』(00年)最終回(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20001111/p1)や、合体ロボットアニメ『勇者指令ダグオン』(96年)最終回などでも、その前話までに最終バトルは終わってしまって、ヒーローも合体ロボットも戦闘も描かれない最終回というのは、すでに長いジャンルの歴史の中では前例はあるのだけれども、年長マニアたちの評判はともかく幼児たちの評判もよかったという話は寡聞にして知らないので(笑)。


 むろん個人的にはウルティメイトフォースゼロのメンツの仮面劇によるユカイでおバカな漫才会話も大スキなので、あの漫才会話だけで終わっていく長尺のシットリとした最終回もキライではないのだけれども。ただ自分の好みをカッコにくくって棚上げして冷静になって振り返ってみれば、「戦闘シーンが観たくて観たくて堪らない子供たちにとってはドーであったのであろうか?」ということに思いが至ってしまうのだ。


 てゆーか、時間を巻き戻したのも、『ウルトラゼロファイト』第2部の前半戦までの時点であろうから(?)、その日の範囲内か、せいぜい2日くらい前までにさかのぼっただけじゃあナイのかとも思うけど。
 にしちゃあ、もっとはるか前の2年3ヶ月前に封切された映画『ゼロ THE MOVIE』ラストで死んでしまって怨霊になっていた悪のウルトラマン・ベリアルさまが、時間逆行のせいで肉体も含めて完全復活したことになっている!! って時間軸的にオカシくないか!?
――ネタとしてツッコミしているだけであって、マジなツッコミではないので念のため。まぁ好意的に解釈するならば、時間逆行にもムラやバラつきがあって、ゼロと近接戦闘していたベリアルさまだけは局所的に最も古い時点に時間逆行してしまったがために肉体を含めて復活ができたのだ、というような好意的なSF考証ができなくもナイのだけれども(笑)――


 てか、ベリアル陛下に至っては2年3ヶ月(笑)もさかのぼってしまったくらいなのだから、近過去の『ウルトラゼロファイト』第2部・前半戦の時点で死亡したダークネスファイブのおひとり、ヒッポリト星人・地獄のジャタールさんは、その復活が描かれなかったけれども、彼も当然復活してるんだよネ? 次回作ではシレッと再登場だよネ? てか復活してくれ!
 もしもそーならば、そもそも本作ではダークネスファイブはひとりも死ななかったことになる!? 『ウルトラゼロファイト』第3部があるのならば、彼らとのリベンジ戦をやることがミエミエじゃん!?――いやまぁ大カンゲイなんですけれどもネ――


次作『ウルトラマンギンガ』にも『大怪獣バトル』や『ウルトラゼロファイト』的なテイストを導入してほしい!


 しかし今年2013年は、この4月にシルエットが雑誌媒体にて解禁されて、2009年デビューのウルトラマンゼロ以来、4年ぶりの新ウルトラマンとして高校生が変身するという(!)“ウルトラマンギンガ”が円谷プロ50周年記念の4月12日(金)にそのお姿を初お披露目した――往年のウルトラマンエース(72年)の頭部に似ているようにも思えるデザイン!?――。


 となると、『ウルトラゼロファイト』の行く末と『ウルトラマンギンガ』との兼ね合いはドーなってしまうのであろうか!? まさかきょうび、ウルトラマンゼロの去就がなしくずし的に雲散霧消して、その決着が描かれないなどという無慈悲な扱いになることもナイと思いたいけれども(汗)。


 マスコミに発表された情報だと、7月以降のリニューアル『新ウルトラマン列伝』週1放映ワク内にて、30分ワクをまるまる使って7~8月と年末に30分ワク6話+5話の全11話という変則的な構成で放映。9月と来春3月に映画版をさらに2本も制作するという。ま、現状の『ウルトラ』の商業的規模・年間売上高で、週1放映・30分ワクの完全新作を半年・1年ゲットできるとも、ゆめ思ってはいなかったけれどもネ。


 もちろん結果的に面白ければナンでもオッケーだし、前例のない実験的なこともドンドンやればイイとは思う。


 けれども、個人的には、


・昭和ウルトラ直系の未来世界でありながらも、「ギャラクシーインパクト」なる宇宙規模での時空異変をウラ設定に、平成ウルトラ怪獣も登場できる世界が舞台で、遠宇宙の未知の惑星を舞台にロケなしのスタジオ撮影、比較的に低予算での製作も可能にした『ウルトラギャラクシー 大怪獣バトル』(07年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20080427/p1)シリーズの路線


・同じく先輩ヒーローが大ピンチのときには駆けつけるであろうという、潜在的にはオールスターものになりうる可能性を感じさせつつ、しかして人間キャスト不要の着ぐるみ仮面コント劇(笑)で、宇宙を舞台に少年マンガ的なバトル&冒険を、映画や外伝ビデオや短編作品で斬新に展開してみせた『ウルトラマンゼロ』シリーズの路線


 これらの作品群は予算面・玩具展開面・映像面・アクション演出面・作劇面でも大いに可能性と鉱脈があったと考える者なので、この偉大なる2大路線とは世界観や連続ストーリー的な接点がなさそうに見える『ウルトラマンギンガ』には少々不安が募るのだ。


 映画『ウルトラマンメビウスウルトラ兄弟』(06年)、映画『大決戦! 超ウルトラ8兄弟』(08年)、映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』(09年)の中ヒット要因のひとつは、やはりそれらの作品がヒーロー大集合モノであり、作品に華(はな)があったがゆえだろう。
 対するに、OBヒーローの顔見せは冒頭と巻末にあったものの、基本は単独ヒーローものとして作られた『ウルトラマンゼロ THE MOVIE ベリアル銀河帝国』(10年)は興行的には大苦戦を強いられた。


 『ゼロ THE MOVIE』自体はクオリティが非常に高い傑作であったと筆者は信じる者だけど、その苦戦の原因のひとつは、やはりオールドヒーローたちの頭数や活躍のボリューム不足、ひいては華の欠如にも一因はあったと思うのだ。もちろん、ミラーナイトやグレンファイヤーにジャンボットらはとてもよいキャラなのだけど、ご存じキャラではなく実質、初登場の新キャラクターではあったので、彼ら新キャラクターのオリジナルであるミラーマン(71年)やファイヤーマン(73年)などが血族のチョイ役としてでも出演してくれないことには、幅広い客層や特撮マニアのロートル層への客引きには弱かったのかもしれない……。
――新作TVシリーズが放映されていなかったという理由はもちろん大前提。でもそれは『超8兄弟』(08年)~『ウルトラマンサーガ』(12年)まで同じ条件下での上映ではあったので――


 東映の『スーパー戦隊VS(バーサス)』映画シリーズにたとえて云うならば、映画『ウルトラ銀河伝説』(09年)の内実は実質的には『大怪獣バトルVSウルトラマンメビウス』であった。つまり、当時の幼児にもっともなじみが深いその時代の最新作『大怪獣バトル』(07年)と準新作『ウルトラマンメビウス』(06年)の2大コラボ作であったワケなのだ。そしてその終盤に、次代の新ヒーロー・ウルトラマンゼロが幼児たちへの宣伝がてらの初お披露目を果たしてバトンタッチをしたワケなのである。


 その伝で行くならば、次の映画『ゼロ THE MOVIE』(10年)はそのものズバリ、『ウルトラマンゼロVS大怪獣バトル』として製作した方が、『大怪獣バトル』になじみがあった子供たちにも接点を持たせられるし、その点でももう少し客引きができたようにも思うのだ。
 ゼロと合体した人間の青年・ラン役の小柳友(こやなぎ・ゆう)もイイ役者さんだとは思うけど、事務所の方針かウルトラ関係のイベントには全然登場せず、『大怪獣バトル』シリーズの主人公・レイ青年の方が毎年毎年、年末年始は休みなく出ずっぱりで東京ドームシティ・プリズムホールでイベント「お正月だよ!ウルトラマン 全員集合!!」などにも出演してくれていたことを思うと、彼にもビデオ作品『ゼロ外伝 キラー ザ ビートスター』までではなく、まだまだ後続作品群にも再登場させて、その功労に報いてあげてほしかったし、ショービジネス的にも相乗効果は高かったハズだとも思うので。
 それこそレイ青年がウルトラマンゼロと一時的に合体してもよかったとすら思うのだ! 『ゼロ THE MOVIE』のラン青年、『サーガ』のタイガ青年、あるいは舞台版『ウルトラマンプレミア2011』のモロボシ・シン青年――その東京公演ではゼロの声をアテていた声優・宮野真守(みやの・まもる)本人が生身で演じた!――につづいて、レイ青年が4人目のゼロと合体した人間となれば、ウルトラシリーズの正史にもハッキリと記録が残ることになる! ドラマ的にも共に同じく悪魔のレイブラッド星人の遺伝子&闘争本能を受け継いで、ウルトラマンベリアルと鏡像関係にあるともいえるレイ青年にこそウルトラマンゼロと合体してもらって、ゼロ以上に強いかもしれないベリアルとの強い因縁や接点を持たせることができたかもしれないのだし!


 その観点から行くと、最近の映画『特命戦隊ゴーバスターズVS(たい)海賊戦隊ゴーカイジャー THE MOVIE』(13年)はエラいと思う。例年だと圧倒的な強さを見せつけこそすれ、脚本執筆&撮影の時期的にも設定がまだ固まっていないからかホンのチョットだけしか顔見せゲスト出演をしない来年度の新スーパー戦隊が、『ゴーバスターズ』の商業的苦戦を受けてか今回は新スーパー戦隊『獣電戦隊キョウリュウジャー』(13年)のバトルを延々と数分かけてジックリと描写しているあたりで、アレは東映さんのそーいう用意周到な熟慮に基づいた幼児たちへの少しでもの導き、マーケティング戦略なのだとも思うけど(笑)。


 東映が新旧ヒーロー2大競演モノどころか、オールスター大集合映画を連発している昨今、番宣写真で主人公の高校生が胸ポケットにウルトラマンタロウのソフビ人形を忍ばせているとはいえ、ウルトラマンギンガを基本的には単独ヒーローものとして放とうとしているあたりに、個人的には危うさを感じなくもない。
 やはり、新ウルトラマンことギンガは、ウルティメイトフォースゼロの新たなるメンバーだ! みたいな前作との連続性なり接点はあった方がイイとも思うのだ。つまりは明確にバトンタッチの描写はあった方がイイ。


 海の向こうのアメコミヒーロー映画だって、ややマイナーなヒーローたちが集合する映画『アベンジャーズ』(12年)なる作品を製作している。そのうちのひとりでもある『アイアンマン3』(13年)は『アベンジャーズ』の戦いから1年後が舞台であるともいう。さらには再来年には『アベンジャーズ2』(15年)の公開も決定しているほどだ――後日付記:のちに正式タイトルが『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』に決定――。
 世界観を共有はするも主役を張る主人公は別であるという作品はメリケンの地でもやっていて、単独作品としても楽しめつつ、シリーズ作品としてもマニア的気質のある人間の関心を長期に渡ってゲットして、かつ関連グッズの売上でイタイケな消費者を搾取(笑)、もとい楽しませてもいるのが現状なのである。


 いや、日本でも江戸時代の歌舞伎のむかしから、「忠臣蔵四十七士」のひとりひとりにスポットを当てたり、そのうちのひとりは「四谷怪談」の幽霊・お岩さんの情夫であったという、「世界観」を共有しつつも主人公は別である! という路線がすでにあったではないか!? それと同じことなのである(……あまりイイ例えではなかったナ・笑)


 制作予算の問題からか、ギャラを安く抑えられる子役同然の高校生キャスト、おカネのかかる防衛隊の基地セットや制服のオミットなども、ひとつのテとしてはよくわかる。よくわかりはするのだけど、子供たちがもっとも見たいであろう熱血バトル面でのパワーダウンについては危惧をするところである――実は少年であろうがオトナであろうが女性ファンであろうが、言語化・意識化していないだけで、タテマエでは良心的なドラマやテーマを! と叫んでいたとはしても、ホントはこーいうカッコいい戦闘シーンをイの一番に観たかったり、イザ観てみればそーいうシーンに最も興奮しているのだとも思うのだけれどもネ(笑)――。


 とはいえ、まだ始まってもいない番組に、先入観やある種の価値観のモノサシを当てハメすぎるものよくはないよネ。とも思いつつ、今どきの飽きっぽいガキんちょどもをタイクツさせないように、従来の『ウルトラマン』らしさに過剰に捉われることなく、よくできたハートウォームな少年青春ドラマ路線に過剰にシフトしたりすることもなく、Aパートから等身大サイズのウルトラマンに変身して敵の戦闘員(仮)と街中や校舎ウラでバトルするようなノリでキビキビ、サクサクと各話を展開させてほしくもあるのだけど(笑)。


 エッ、『仮面ライダーディケイド』(09年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20090308/p1)や『海賊戦隊ゴーカイジャー』(11年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20111107/p1)パターンで、カードやレンジャーキーならぬソフビ人形の新旧ヒーロー&怪獣を、現実世界で実体化させるらしいんだって!?
 コレは古典的な特撮マニアが激怒しそうな設定だけれども、個人的には怪獣ソフビ人形それ自体にSF・魔法的な意味を持たせながら劇中に登場させて重要アイテムとしても扱うことで、子供たちに直接訴求して関連玩具の売上も増大させようとする手法は、たとえ三番煎じではあっても期待はできる。もちろんこの『ウルトラマンギンガ』についても、項を改めて追々語っていく所存である。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2013年春号』(13年4月14日発行)~『仮面特攻隊2014年号』(13年12月30日発行)所収『ウルトラゼロファイト』合評1より抜粋)


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