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4週連続スペシャル スーパー戦隊最強バトル!! ~『恐竜戦隊ジュウレンジャー』後日談を観たくなったけど、コレでイイのだろう!?

平成スーパー戦隊30年史・序章 ~平成元(1989)年『高速戦隊ターボレンジャー』
『恐竜戦隊ジュウレンジャー』総論 ~子供番組への回帰
『騎士竜戦隊リュウソウジャー』序盤合評
『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』終盤評
『宇宙戦隊キュウレンジャー』総括 ~最後は全宇宙の不運な人々の盾になると誓ってみせた幸運戦隊!
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[戦隊] ~全記事見出し一覧


『4週連続スペシャル スーパー戦隊最強バトル!!』 ~『『恐竜戦隊ジュウレンジャー』後日談を観たくなったけど、コレでイイのだろう!?

(文・T.SATO)


 好評のうちに終了した『快盗戦隊ルパンレンジャーvs(ブイエス)警察戦隊パトレンジャー』(18年)。その後番組『騎士竜戦隊リュウソウジャー』(19年)の製作準備が遅延でもしたのであろうか、今年2019年は珍しく「戦隊」の放映開始が例年通りの2月ではなく、1ヶ月遅れの3月スタートとなった。
 この事態にロートル戦隊オタクであれば、早くも35年近くも前のスーパー戦隊超新星フラッシュマン』(86年)が製作遅延で3月スタートとなった分、前番組の『電撃戦隊チェンジマン』(85年)が延長されたことで全55話となり、そのことで作品自体に1話完結ながらも一応は連続ドラマ性も有していた同作の、終盤の描き込みやボリュームも増えてクオリティアップしたことを思い出す御仁もいるであろう。
 あるいは、もっと古いところだと、後番組『ウルトラマンレオ』(74年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20090405/p1)のヒーローデザインが難航したために、前番組『ウルトラマンタロウ』(73年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20071202/p1)が1話分増量されて、『レオ』は4月の第2週からはじまったことを思い出す御仁は……極少だろうナ(汗)。
 近年のジャンル作品では、シリーズ構成が最終回まで各話単位でキッチリカッチリできているのか、キャストやスタッフの拘束期間も契約でキッチリカッチリ決められているのか、9月スタートであった「第2期平成仮面ライダー」シリーズが『仮面ライダー鎧武(ガイム)』(13年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20140303/p1)からは10月スタートになるにあたって前番組『仮面ライダーウィザード』(12年)の最終回後に、前後編の平成ライダー総登場の番外編の傑作編が作られたことも思い出す。


惑星ネメシス! 大サタン! 『恐竜戦隊ジュウレンジャー』との因縁!


 宇宙の彼方の「惑星ネメシス」に召喚されて、瞬間移動させられた歴代スーパー戦隊がメンバーシャッフルされてバトルロイヤルするという特別企画。そのネタだけで云うなら、なかなかにワクワクさせられる企画ではナイか!? 実際に鑑賞してみたら、バトルロイヤルの部分は少々印象がウスかったというのは置いといて(笑)。


 そして、「惑星ネメシス」! ロートルの戦隊オタクであればご存じであろう。この惑星は『恐竜戦隊ジュウレンジャー』(92年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20120220/p1)の宿敵・魔女バンドーラ一味の出身地というのか、彼らが封印されていた星であり、その#1で彼らが復活を果たした星と同じ名前でもあるのだ――原典では砂丘の星という感じだったので、野っ原の星のイメージであった本作とは異なるけど、そこはまぁマニア諸氏であればドーとでも同じ星だとも異なる星だとも解釈できるようにボカしてみた……といったところであろうか?――。


 加えて、終盤にはラスボスとして、「大サタン」ならぬ「究極大サタン』が出現する。
 「大サタン」! 「大サタン」とは『ジュウレンジャー』中盤で故・曽我町子大センセイが演じられた魔女バンドーラが宇宙の彼方から召喚して、終盤にも再登場を果たした、人語は発せず哄笑だけしている超巨大な顔面だけの存在にして、破壊神級のラスボスの名前ではないか!?
 しかも、今回はその名前の先頭に「究極」の語句が付与されて、「究極大~」の名前となっている。「究極大~」! コ、コレは『ジュウレンジャー』の恐竜型メカロボたちが全合体した最終最強形態「究極大獣神(キュウキョクダイジュウジン)」とも対となりうる、新たなるネーミングでもあるか!?


 『ジュウレンジャー』における恐竜型メカロボたちは毎回、その出撃時に地上のドコかの地の果てから出現していたが、戦隊メンバーに訓示を与えるときには、雲海の上から神々しく語りかけることで、その本体なり精神・魂は天上界にあるのであろうことが示唆されていた。
 そして少なくとも1億7千万年前から存在する恐竜型の神々が、現代においての激化する戦いに応じて合体して、はじめて「大獣神」や「獣帝大獣神」や「究極大獣神」の姿に進化したのではなく、そもそもの始原・本来の姿自体が「究極大獣神」なのであり、太古の昔に「大サタン」と激闘を繰り広げた結果として、その姿かたちが分裂、もしくは本地垂迹説を地で行くアバター(分身・化身)として、各「部族神」と化した各個の恐竜型メカロボたちが存在していたことも中盤にて明かされた。
 しかも下手をすると、「究極大獣神」は多神教的な神々の一柱や相対的に優位な「最高神」などではなく、この大宇宙自体を造った「唯一絶対神」である造物主でもあるらしいともいう!?


 余談になるけど、『恐竜戦隊ジュウレンジャー』のメインライターを務めた杉村升(すぎむら・のぼる)センセイは、終戦直後(昭和20年代前半=1940年代後半)生まれの世界的なベビーブーマーの世代であり、いわゆる「団塊の世代」と呼ばれる世代でもある。この世代はその10歳強下の1960(昭和35)年前後の生まれのオタク第1世代(=新人類世代)のように、幼少時にちょうどTV放映や漫画雑誌の週刊誌化がはじまって、SF的な物語を湯水のように浴びてきた世代ではまだナイ。
 よって、恐竜戦隊メンバーが現世人類ではなく爬虫類から進化した超古代人類だとか、「究極大獣神」こそが真の姿であり造物主かもしれない!? というような80年代中盤以降にジャンル作品で一般化してくるオカルト・ニューエイジ的な設定は、刑事ドラマ『太陽にほえろ!』(72年)上がりの杉村センセイではなく、もっと出生年代が下である若きバンダイ側のデザイナーや仲介屋さんの「企画者104」あたりのスタッフが持ち込んだ設定であったのであろうと筆者は勝手に推測している。


 それはさておき、そんな「大サタン」の大設定を知っている身からすれば、本作のラストには対となる「究極大獣神」にも復活してほしい! なぞと思ってしまったモノだ。
 むろん元から自律した意思を持つ存在だとはいえ、「究極大獣神」が無人搭乗で出現するのは寂しい。そーなるとそのコクピットには恐竜戦隊ジュウレンジャーの全員といわずとも最低でも誰かひとりは搭乗してほしかったり、バトルロイヤル面でも最後に生き残ったメンバーという扱いでジュウレンジャーの誰かを登場させ、「現れ出でよ! 究極大獣神!!」との掛け声とともに「究極大獣神」を召喚してほしかったところだ。ドーせ何でもアリのチート能力な「神さま」だったのだから、物理的・時間空間的な制約を超えて宇宙の彼方の異星に出現しても違和感はナイでしょ(笑)。


 むろんナマ身の無名(?)役者さんの顔出しで青白いメイク・化粧をしただけの存在であった「大サタン」の再現はともかく、27年も前の存在である「究極大獣神」はミニチュアからしてもう残っていないであろうし――原典でも着ぐるみ大の全身像の造形物は存在しなかった。アップのシーンのみ6号恐竜メカを王冠としてカブった着ぐるみの恐竜メカ5体合体の「大獣神」こと「獣帝大獣神」とサイズが合う巨大プロップが造形されていた「キングブラキオン」なる首長竜・ブラキオサウルス型7号恐竜メカの白亜の長首&小さな顔面が写り、玩具やミニチュアだと「獣帝大獣神」が搭乗している「キングブラキオン」の巨大な胴体こと中空が空洞の白いハコ型台車部分(笑)は写らないので、予算的にも当時の小さな特撮ステージ的にも造形する気はなかったことがわかる――。
 スペシャルな映画作品や玩具との連動でもナイ、TVでの1話ぽっきりの登場のためだけに、「究極大獣神」のCGデータをカネ&時間をかけて作るワケにもいかなかろうから、製作ウラ事情的にも「究極大獣神」を登場させられなかった、といったところか?
――個人的には多少画質が悪くて映像的に不整合になってもイイので、往年の「究極大獣神」の必殺全弾砲撃「グラン・パニッシャー!!」の黒バックの様式美的なバンクフィルムをハイビジョン・リマスタリングして再使用してほしかったところだが(笑)――


ゲスト少女が『ジュウレン』最終回の敵幹部夫妻の赤ん坊だったらと妄想


 てなワケで、今作に登場したゲスト悪役の少女・リタの正体も、脚本の荒川センセイの初期構想では、『恐竜戦隊ジュウレンジャー』最終回で宇宙に追放されたツボの中で、よろしく仲良くやっていたバンドーラ一味の敵幹部・グリフォーザ&ラミイ夫婦が授かった可愛い赤ん坊の成れの果てであったのではなかろうか?
 今をときめく俳優・高橋一生もとい息子・カイを太古のむかしに恐竜に殺されて以来、子供嫌いになっていた魔女バンドーラでさえも相好を崩した可愛い赤ん坊。その幸福そうな赤ん坊時代が映像化されたことがある彼女だからこそ、その由緒正しい(?)出自ゆえに長じてからは受け容れられずにドコかの星で迫害されて、ヒトを呪い世を呪い世界や宇宙を滅ぼしたいと願ったのであるのなら……!?


 その罪は九族(9親等)におよぶで、戦前はアカ(共産党)の親族を迫害していた日本人が、戦後は手のひらを返して今度はA・B級戦犯の親族であれば教師ぐるみで小学生の子供相手でも暴言を吐き散らかしてイジメ抜いていたなんて記録も多数残っていますから(汗)、古今東西の庶民・大衆・愚民の大多数の皆さんはその時代時代で流行している安っぽい怪しい正義・思想風潮・浅知恵に乗っかって自己正当化・理論武装ができれば、どんなにヒトとしての礼節を欠いた口汚い言葉や人格批判をしてもOKな、叩ける存在を欲(ほっ)して悦(えつ)に入りたいだけの「政策提言力」――それこそが真の意味での民主主義!――のカケラもない、思想の左右がいずれであっても罵詈雑言しか吐けない輩は唾棄すべき品性下劣な存在なのですナ。
 今こそフランス革命前は王侯貴族と戦って、革命後には都落ち没落貴族をリンチせんとする革命派とも戦った少女ヒロインを描いたTVアニメ『ラ・セーヌの星』(75年)を世人は見習うべきだ!(笑)


 冗談はともかく、同じく4度目の恐竜モチーフである次作『騎士竜戦隊リュウソウジャー』とのつながりで、元祖の恐竜戦隊とも接点を持たせて、その四半世紀後の後日談でもあるような、そしてジュウレンジャーからリュウソウジャーへ「君たちに託した!」とバトンタッチもするような特別編。そんな1シーン・点描があるような作品を観てみたかったのは筆者だけではナイであろう!?
 ……ただまぁそれは、いかにも特殊少数のコアな戦隊マニア向けのネタではあり、全スーパー戦隊42作品のうちの1/42の比率の人間しか喜ばないような趣向なのかもしれない。


 アニバーサリーな第35代スーパー戦隊海賊戦隊ゴーカイジャー』(11年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20111107/p1)のゴーカイレッドと、第40代スーパー戦隊動物戦隊ジュウオウジャー』(16年)のレッドことジュウオイーグルがメインなのに、最後の巨大戦だけジュウレンジャー&「究極大獣神」がカッさらっていってしまっても、それはそれで問題はあり(笑)、作品の係り結び感も弱くなってしまうであろう――本編ドラマ部分でも、ジュウレンジャーの誰かがメインキャラ級で活躍しているのならばOKでも、加齢の問題もあるからねぇ――。
 そうなると、ラストで「究極大サタン」に体当たりするのがゴーカイレッドの赤い海賊船・ゴーカイガレオンであるのも作劇的にはむしろ正しいのである。


10年代を主役級に、00年代は豪華ゲストで、90年代は声のみ出演!


 そんな筆者のようなロートル世代の願望はともかく、フツーに現役の子供たちや、現今でもっとも活発な歳若い青年特撮マニアたちのことを考慮すれば、直近の2010年代のスーパー戦隊のメンツを中心に、00年代の先輩戦隊を登場させることを優先して、彼らに見せ場を与える作劇を優先するのも当然。
 そーなると、90年代以前の戦隊の扱いは三の次、四の次になるのもムベなるかな――とはいえ、00年代中では最年長のゴーカイレッドだって8年前の「戦隊」なのだから、『ウルトラセブン』(67年)ことモロボシ・ダン隊員が怪獣攻撃隊の隊長として昇格して、『ウルトラマンレオ』に7年ぶりに出演した事例よりも長い歳月が過ぎたことにはなるのだが(汗)――。


 てなワケで、この『4週連続スペシャル』においては、『動物戦隊ジュウオウジャー』のジュウオウイーグルをキャストの筆頭に、『海賊戦隊ゴーカイジャー』のゴーカイレッド、『手裏剣戦隊ニンニンジャー』(15年)のアカニンジャーの3大レッド!
 そこに赤色系統のバリエーションか、『烈車戦隊トッキュウジャー』(14年)のピンクことトッキュウ5号、歴代戦隊とは別次元の宇宙にある世界から召喚された『宇宙戦隊キュウレンジャー』(17年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20180310/p1)のサソリオレンジも強制的にチームとして組まされて、同じ赤系統でも性格相性的にはかなりカオスに見える(笑)戦隊メンバーが主人公格として活躍。


 あとは#1では、直近の『快盗戦隊ルパンレンジャーvs警察戦隊パトレンジャー』の警察戦隊レッドことパトレン1号の圭一郎クンを#1で登場させることで、現役視聴者の子供たちにも、直近作との地続き感をアピール!
 『獣電戦隊キョウリュウジャー』(13年)の2代目キョウリュウグレーも務めた出合正幸が、ココでは『轟轟(ごうごう)戦隊ボウケンジャー』(06年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20070108/p1)の追加メンバーである6人目の戦士・ボウケンシルバー役として顔出しで再登場!
 最近はNHK-BSの海外列車旅の番組で世界中をまわっている古原靖久も、『炎神(エンジン)戦隊ゴーオンジャー』(08年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20080905/p1)のゴーオンレッド役として顔出しで再登場!
 #2では、『百獣戦隊ガオレンジャー』(01年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20011113/p1)のガオレッドこと獅子走(しし・かける)役で、金子昇が顔出しで再登場!


 いずれも、本作のメインの5人に敗退するも、彼らに希望の言葉を託して退場し、出番は少ないながらもオイシい役回りを務めて、画面もにぎやかにしてくれる。
 そして、人気声優M・A・Oとして出世した市道真央(いちみち・まお)ちゃんが再度、ゴーカイイエローことルカを演じてくれて!


 もちろん我々マニア人種であれは、オープニング主題歌時のキャスト・テロップもついつい読んでしまうことであろう。よって、#2や#3では、『忍者戦隊カクレンジャー』(94年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20120109/p1)のニンジャホワイト・鶴姫! 『五星戦隊ダイレンジャー』(93年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20111010/p1)のレッドことリュウレンジャー・天火星・亮! ともに『ゴーカイジャー』終盤に再登場以来のご本人が、今回は声のみとはいえ再登場してくれることに嬉しくなって、TV本編でもそのご尊声でまた少々ニヤニヤしてしまう(笑)。
 元々、人間体がない着ぐるみのみのキャラである、犬のおまわりさんこと『特捜戦隊デカレンジャー』(04年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20041025/p1)の長官にして戦隊番外戦士・デカマスターにも変身するドギー・クルーガー署長に至っては、ナマ身の役者さんをロケ現場に長時間拘束する懸念もナイので、長々と登場して主にトッキュウ5号のお嬢ちゃんとカラんでドラマ的見せ場も作ってくれていた。


 ガヤの声優さんたちが演じられている戦隊ヒーローたちにはケチを付けたい御仁もいるのだろうけど、バンク音声を許可を取ってサンプリングしてダビングするのも大変ですからネェ(汗)。それよりも、マニア諸氏であれば、あのキャラこのキャラに戦隊番外戦士たちも多数、画面をカスめていくことに感謝して、そして旧世紀戦隊たちのバトルに21世紀の小型軽量ハイビジョンカメラも縦横無尽に動き廻って追いかけて、カメラがフィックス(固定)されていないのに合成が平気でカブって被写体とともに合成も移動する(!)、前世紀には考えられなかった特撮&アクションを十二分に味わおうではないか!?


次作『リュウソウジャー』の先代レッドや敵幹部らも乱入して番狂わせ!


 次作『リュウソウジャー』序盤に登場する先代リュウソウジャーたちを、実写版『美少女戦士セーラームーン』(03年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20041105/p1)のセーラームーン・タキシード仮面・ゲーセン従業員の古幡(ふるはた)クンが務めているけど、このうちから古幡クンこと映画『仮面ライダー THE FIRST』(05年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060316/p1)シリーズの仮面ライダー1号・本郷猛(ほんごう・たけし)に出世した黄川田将也も、マスターレッド役として先行して本作には出演!
 ただ、次作『リュウソウジャー』における人物設定が固まっていない時期におそらく脚本も執筆されたのであろうけど、あんまり目立っていないので勿体ない。後知恵だけど、いっそのこと先代リュウソウレッドとして変身させてあげて無双バトルでもさせればよかったかも!?


 もちろん勝ち抜き頂上決戦を延々と展開するだけでも単調になってくるので、そこに番狂わせで、恐竜&西欧近世の竜騎兵をデザイン・モチーフとした次作『リュウソウジャー』と同族かその6人目の追加戦士にでもなりそうなデザインラインで、しかしてレオタオード地ではなくメタルヒーローみたいな薄紫色のヨロイ戦士・ガイソーグも乱入してきて、戦隊バトルロイヤルをカオス状態にする。
 加えて、コイツの正体は!? というところでナゾに対する興味・関心も作り、#2ではその仮面の中から主役級メンバーであるアカニンジャーこと伊賀埼天晴(いがさき・たかはる)が出てきたり、#3ではサソリオレンジことスティンガー青年が顔を覗かせたりして、ストーリーに意外性&起伏を作っていく。
 そしてその正体は、「サンタクロースは実在する!」「中の人などいない!」パターンで(?)、宇宙の戦闘民族――サイヤ人みたいな呼称だな(汗)――の怨念が宿っていた「意思を持つヨロイ」であり、中身はカラっぽであったとしてみせる。


 かてて加えて、本作最終回で撃退されたあとには、このヨロイの残骸を誰かがひろうことで、次作『リュウソウジャー』に登場する敵キャラクターの先行お披露目でもあったらしいとする。
 続けて放映されている『リュウソウジャー』序盤によれば、恐竜が絶滅した太古に大宇宙に逃れた部族もいたそうだから、コレであのヨロイがリュウソウジャーにも似ていることとの矛盾も出なくて済みそうだ!?


スーパー戦隊最強バトル!!』総括~『リュウソウジャー』序盤と比較


 正義のヒーロー同士がガチンコ対決の生死をかけた凄惨な「死合」を繰り広げるのも観たくはない以上は、あくまでも敗者は死なずに地球に戻り退場するだけの「試合」に留めざるをえない本作においては、仕方がナイところではあるけれども、そして『鳥人戦隊ジェットマン』(91年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20110905/p1)以来、スーパー戦隊を30年近くも支えてきたベテラン脚本家・荒川稔久(あらかわ・なるひさ)センセイの優しい作風とも相まって、それに加えてアクション監督上がりの坂本浩一カントクもアラフィフになってやや軟化してきたのか、本作の脚本&演出の熱血度はそんなに高くはない。
 そこが個人的にはやや不満であり、戦隊メンバーの半分が敵に捕らわれてしまったのでそれを救うために! とか、あるいは我らが「地球」自体を人質に取られてしまったので仕方がなくも、切実な「動機」を持って各位が戦い合うのだ! といった個々人で異なるもキョーレツな「行動原理」やら善vs悪との対決図式を、やはり本作においても持たせた方がよかったやもしれないとも思いはする。


 その伝で云うなら、メインの新世代リュウソウジャー3人の若者が悪の魔手から地球を守る使命を、先代リュウソウジャー3人に命を賭したかたちで託されて、そのスピリッツを義理人情的に継承して「行動原理」とすることを、シンプルながらも#1のドラマの背骨としてみせていた次作『騎士竜戦隊リュウソウジャー』#1の方が、まとまり&ツカミは強かったようには思う。
 だけれども、そこは長じてドラマが理解できるような年齢に達した人間の見解であって、幼児が見ればカラフルな戦隊ヒーローが多数登場してにぎやかな本作の方が、自身の幼少時を振り返ってもみるに、十二分に夢のようなワクワクさせるスペシャル企画だったのではあるまいか?


追伸


 1年かけても芝居が上手くならずに滑舌も悪かった元気一本ヤリのアカニンジャー・天晴こと西川俊介が、本作では実にナチュラルな芝居&滑舌であったことには驚いた(笑)。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2019年春号』(19年3月31日発行)所収『4週連続スペシャル スーパー戦隊最強バトル!!』合評4より抜粋)


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