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仮面ライダージオウ最終回・総括 ~先輩続々変身のシリーズ後半・並行宇宙間の自世界ファーストな真相・平成ライダー集大成も達成!

『仮面ライダージオウ』序盤評 ~時間・歴史・時計。モチーフの徹底!
『仮面ライダージオウ』前半評 ~未来ライダー&過去ライダー続々登場!
『仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』 ~並行世界・時間跳躍・現実と虚構を重ねるメタフィクション、全部乗せ!
『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer』 ~平成ライダー・平成時代・歴史それ自体を相対化しつつも、番外ライダーまで含めて全肯定!
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『仮面ライダー』シリーズ評 ~全記事見出し一覧


仮面ライダージオウ』総括 ~先輩続々変身のシリーズ後半・並行宇宙間の自世界ファーストな真相・平成ライダー集大成も達成!

(文・久保達也)
(19年10月5日脱稿)

平成ライダー第20作『仮面ライダージオウ』前半を軽くおさらい!


 「平成」仮面ライダーシリーズの20作記念作品であり、かつ2019年5月1日の改元により、シリーズの最終作となった『仮面ライダージオウ』(18年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190126/p1)がついに大団円を迎えた。


 普通の男子高校生の主人公・常盤(ときわ)ソウゴ=仮面ライダージオウが西暦2068年の未来に「魔王」となって世界を支配するのを阻止するために、明光院(みょうこういん)ゲイツ仮面ライダーゲイツと仲間の美少女・ツクヨミが2018年の世界に来訪(らいほう)したところから『ジオウ』の世界ははじまった。


 本稿では便宜上(べんぎじょう)、


・第1クール=EP(エピソード)01『キングダム2068』~EP14『GO! GO! ゴースト2015』
・第2クール=EP15『バック・トウ・2068』~EP28『オレたちのゴール2019』
・第3クール=EP29『ブレイド・ジョーカー2019』~EP40『2017:グランド・クライマックス!』
・第4クール=EP41『2019:セカイ、リセット』~LAST(ラスト・第49話・最終回)『2019:アポカリプス』


として扱わせて頂くのであらかじめご了承願いたい。


 本作ではソウゴとは別の「時の王者」を擁立(ようりつ)して仮面ライダーの歴史を改変しようとたくらむ組織・タイムジャッカーが悪側として位置づけられ、第1クールではタイムジャッカーが過去の世界へと遡(さかのぼ)り、王者の候補として選んだ一般人と契約することでアナザーライダー(怪人)を誕生させていた。
 それにより、アナザーライダーの元となる歴代「平成」ライダーの主人公たちが仮面ライダーとしての記憶や能力を失ってしまう展開であり、毎回かつてのシリーズに登場したヒーローやヒロインがゲストで登場するのが最大のウリとなっていた。


 それが第2クールでは一転、第1クール末期からセミレギュラー的に登場していた『仮面ライダーディケイド』(09年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20090308/p1)の主人公・門矢士(かどや・つかさ)=仮面ライダーディケイド以外、歴代ライダーの客演は『仮面ライダー龍騎』(02年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20021102/p1)の主人公・城戸真司(きど・しんじ)=仮面ライダー龍騎のみにとどまった。
 代わって続々と登場したのは仮面ライダーシノビ・仮面ライダークイズ・仮面ライダーキカイといった未来の仮面ライダーであり、EP25『アナザージオウ2019』からEP28にはもうひとりのソウゴ的な存在=加古川飛流(かこがわ・ひりゅう)=アナザージオウが登場。
 戦いの中で心の変遷(へんせん)を遂(と)げ、ソウゴの「友達」となったゲイツはソウゴを倒して未来を変えるのではなく、ソウゴと協力して新たな未来をつくるのも悪くないと考えるようになり、ツクヨミを含めた主人公の少年少女たちはその結束(けっそく)を新たにする。


*みなさんお待ちかね! レジェンド平成ライダーふたたび!


 さて第3クールでは第1クールと同様に、以下のように歴代「平成」ライダーのヒーロー&ヒロインが毎回登場することとなった。


・EP29『ブレイド・ジョーカー!? 2019』&EP30『2019:トリニティはじめました!』→『仮面ライダー剣ブレイド)』(04年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20041101/p2)の主人公・剣崎一真(けんざき・かずま)=仮面ライダーブレイド、相川始(あいかわ・はじめ)=仮面ライダーカリス、ヒロイン・栗原天音(くりはら・あまね)
・EP31『2001:めざめろ、そのアギト!』&EP32『2001:アンノウンなキオク』→『仮面ライダーアギト』(01年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20011103/p1)の主人公・津上翔一(つがみ・しょういち)=仮面ライダーアギト、ヒロイン・風谷真魚(かざや・まな)、警視庁未確認生命体対策班G3(ジー・スリー)ユニット隊長・尾室隆弘(おむろ・たかひろ)
・EP33『2005:いわえ! ひびけ! とどろけ!』&EP34『2019:ヘイセイのオニ、レイワのオニ』→『仮面ライダー響鬼(ひびき)』(05年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20070106/p1)のトドロキ=仮面ライダー轟鬼(とどろき)、ヒビキ=仮面ライダー響鬼の弟子だった桐矢京介(きりや・きょうすけ)
・EP35『2008:ハツコイ、ウェイクアップ!』&EP36『2019:ハツコイ、ファイナリー!』→『仮面ライダーキバ』(08年)の主人公ライダー・仮面ライダーキバに仕(つか)えるアームズモンスターの次狼(じろう)=ガルル
・EP37『2006:ネクスト・レベル・カブト』&EP38『2019:カブトにえらばれしもの』→『仮面ライダーカブト』(06年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060806/p1)に登場した加賀美新(かがみ・あらた)=仮面ライダーガタック矢車想(やぐるま・そう)=仮面ライダーキックホッパー影山瞬(かげやま・しゅん)=仮面ライダーパンチホッパー
・EP39『2001:デンライナー・クラッシュ!』&EP40『2019:グランド・クライマックス!』→『仮面ライダー電王』(07年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20080217/p1)の2号ライダー・桜井侑斗(さくらい・ゆうと)=仮面ライダーゼロノス、イマジン(怪人)のモモタロス、ウラタロス、キンタロスリュウタロス、デネブ


 さらにEP28のラストで姿を見せた『仮面ライダーディケイド』の2号ライダー・海東大樹(かいとう・だいき)=仮面ライダーディエンドが士とともに、第3クール以降セミレギュラー的に登場することとなった。
ただ、ゲストライダーたちの描き方は第1クールとは大幅に異なるものとなっていた。
 第1クールでは毎回ソウゴやゲイツツクヨミが、タイムマジーンなる時間移動能力を持つロボット型メカでかつて歴代ライダーたちが活躍した時代にタイムワープしていたが、第3クールでは歴代ライダーは2019年の世界にそのまま登場した。
 つまり、歴代ライダーたちの完全な後日談として描かれており、アナザーライダーが誕生するや、元のヒーローが仮面ライダーとしての能力や記憶を失う第1クールの基本設定もどこかに行ってしまい、歴代レジェンドライダー仮面ライダージオウ仮面ライダーゲイツ、本作のイケメンネタキャラ青年(笑)・ウォズが変身する仮面ライダーウォズらと夢の共闘を演じたのだ!


 EP29で始がかわいがっていた天音がすっかり大人の女に成長した今も始を慕(した)うさまが描かれ、天音がアナザーブレイドと化してジオウが攻撃を加えるや、「そのコに手を出すな」と始が現れたり!
 EP32でアギトがジオウと共闘する際、『アギト』前半のバトル場面に定番で使われた挿入歌(そうにゅうか)・『BELIEVE YOURSELF(ビリーブ・ユアセルフ)』が流れたり!
 EP34で京介がヒビキに認められた証(あかし)として仮面ライダー響鬼に変身、名実ともにヒビキを襲名したり!
 EP38で「オレは戦士だ!」と叫んだ加賀美のもとにカブトムシ型の小型メカ・カブトゼクターが現れ、それを使って加賀美が仮面ライダーカブトに変身してみたり!
 『ディケイド』ではライダーカードでサブライダーを中心に召喚していたディエンドが、『仮面ライダーW(ダブル)』(09年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20100809/p1)の仮面ライダーアクセル、『仮面ライダーOOO(オーズ)』(10年)の仮面ライダーバース、『仮面ライダー鎧武(ガイム)』(13年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20140303/p1)の仮面ライダーバロンなど、『ディケイド』以降の2号ライダーを召喚してみたり!


 なんだよ、最初からこうすりゃぁよかっただろ、第1クールもこんな感じでつくり直してくれよ!(爆) と思ったファンは、おそらくは筆者に限らず相当数にのぼったことだろう。
 毎回のように歴代レジェンド戦隊ヒーロー&ヒロインが登場したのに、皆変身能力を失っていたことで視聴者の一部、いや大半に(笑)プチストレスを与えていた『海賊(かいぞく)戦隊ゴーカイジャー』(11年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20111107/p1)もそうだったのだから。
 「平成」ライダーの第3クールといえば最終展開を前に縦軸となる要素に大きなうねりが生じたものだが、『ジオウ』の場合はあくまで20作記念の「お祭り」として、レジェンドライダー続々登場! を楽しむことこそが正しい見方だったかもしれない。
 ただ、歴代レジェンドライダー登場のイベント編を連続させながらも、『ジオウ』は決してそれだけで終わっていたばかりではなく、レギュラーキャラの出自や境遇・関係性などを歴代ヒーローと対比させたり同一視することで、そのキャラを掘り下げていたかと思えるのだ。


*『仮面ライダー剣』編~剣崎・始・天音の三角関係⇒ジオウトリニティ


 たとえばEP30では、いまだ過去の確執(かくしつ)にとらわれて争っている剣崎と始をウォズが愚(おろ)かだなどと批判するが、ソウゴは「それってウォズとゲイツもそうじゃん」と云い当ててしまう。
 2068年の世界でレジスタンスの隊長だったウォズの偽(いつわ)りの指示で危機に陥(おちい)って以来、ウォズとゲイツの関係性はその「過去」をひきずったままだったからだ。
 だがこの回ではゲイツがそんなウォズとの関係性に「オレはおまえが気に食わん。過去にこだわる自分も」とついに終止符を打ち、その証としてソウゴ・ゲイツ・ウォズが合体変身! を遂げた仮面ライダージオウトリニティが誕生するに至るのだ。
 そしてそればかりではなく、アナザーブレイドが剣崎=ブレイドと始=カリスの力を吸収した三位一体(さんみいったい)の巨大怪獣のような姿となったことが、三位一体のヒーロー・トリニティの誕生により説得力と必然性を与えていたかと思える。


 ゲイツとウォズがともに巨大な腕時計に変化し(笑)、それぞれジオウの右腕と左腕に合体、近年のウルトラマンシリーズで描かれているような主人公の意識空間では3人の中央に時計の文字盤があり、その長針が指す者が主導権をにぎる(爆)。
 以後トリニティの中で3人が云い争うさまがたびたび描かれるが、これは『超人バロム・1(ワン)』(72年・東映 よみうりテレビ)のダブル主人公でガキ大将の木戸猛(きど・たけし)と秀才少年の白鳥健太郎が合体変身したバロムワンの両目の中で、しょっちゅうケンカしていたのを彷彿(ほうふつ)とさせる。
 それを思えば、変身時の主人公の意識空間は決してニュージェネレーションウルトラマンで初めて描かれたワケではなく、70年代初頭の時点ですでに東映がやっていた(!)ことになるのだが。


*『仮面ライダーアギト』編~記憶喪失だった翔一⇒記憶喪失のツクヨミ


 また、レジスタンスとなる以前の記憶がいっさいなく、EP31で尾室をかばった際に突如(とつじょ)として時間停止能力を発動して以降、「本当の私は誰?」と悩んだツクヨミは、EP32で翔一とからめて描かれた。
 『アギト』のすべての発端(ほったん)となった客船・あかつき号の中で翔一はアギトとして覚醒(かくせい)するも、同時に本来の沢木哲也(さわき・てつや)としての記憶をすべて失ってしまい、ツクヨミと同じようにしばらくふさぎこんでいたのだ。
 それがある日目覚めたら、あまりにも良い天気だったことに悩むのが馬鹿馬鹿しくなって前向きに生きることを決意した翔一だけに、ツクヨミにとっての翔一は明るい太陽・澄みきった青空として演出されていたかに思えたものだ。
 今はフランス・パリのエッフェル塔の真下にある(笑)レストランのシェフとなっている翔一の料理に「おいしい」と笑顔を見せたツクヨミを、翔一が「その笑顔、みんなにも。君が君でいるから仲間になった」と励ます描写はその最たるものだろう。
 この回のクライマックスバトルではジオウトリニティにあわせるかたちでアギトまでもが三位一体のトリニティフォームと化す(!)が、これは決してバトルに華(はな)を添えるばかりではなく、ソウゴ・ゲイツツクヨミの絆(きずな)が深まったことの象徴と解釈すべきではあるまいか?


*『仮面ライダーキバ』編~キバに無関係なゲスト(笑)⇒主人公ソウゴ


 もっとも『キバ』のキャラとしては次狼=ガルルしか登場しないどころか、そもそも彼がいなくても立派に成立する(笑)EP35&36なんて例もあったが、まぁ箸(はし)休めとしてたまにはこんなのもいいのかと。
 初恋相手のセーラー服の女子高生・セーラさん(爆)が今では大悪党となっていることにソウゴが傷心する話だが、自分がそんな女になってしまったのは雨がずっと降っているせいと語ったセーラさんにソウゴが叫ぶ「ならオレが傘(かさ)になる!」はカッコよかったし、セーラさんが「傘はいらない。全人類の傘になれ」と告げて目を閉じる係り結びの妙もまた然(しか)りだ。
 ただ、宇宙の果てから何の前振りもなく唐突に仮面ライダーギンガなる、劇場版のラスボス的な強力な敵が登場するも、ジオウ・ゲイツ・ウォズのトリプルキックでアッサリと倒されてしまったり(笑)、そのギンガから力を得たウォズがギンガファイナリーと化し、宇宙の惑星と合体して変身したり、宇宙を背景に必殺技・「超キンガエクスプロージョン!」を放つのはいいが、それらのビジュアルは本編ドラマの流れとは分離していたような……
 まぁ、もうライダーへの復帰はあり得ないと思われていた、第1期で活躍した脚本家・井上敏樹(いのうえ・としき)の作家性バリバリの回といったところか(大爆)。


*『仮面ライダー電王』編~イマジン⇒ウォズ・ゲイツ・グランドジオウ


 あと『仮面ライダー電王』の場合はイマジンたちさえ揃えておけば、ぶっちゃけ『電王』として成立してしまう感があるのだが、EP39&40が久々に一般人のゲストを救うハートウォーミングな話をやることで『電王』の作風を再現していたのには好感をもった。
 モモタロスゲイツやウォズに憑依(ひょうい)する描写こそ、みんなが観たかったものだろうが、ジオウトリニティの意識空間にまで入ってくるとは(笑)。
 そのモモタロスからもらったウォッチでソウゴがすべてのレジェンドウォッチのコレクションを達成したことで、黄金に輝くグランドジオウウォッチが出現、仮面ライダーグランドジオウが誕生するに至る!
 歴代レジェンドライダー変身時の音声ガイダンスが連続して鳴り響く中、ソウゴと並び立つ20人の仮面ライダーが金のレリーフと化してソウゴの全身に装着されるさまは、ウォズが語ったようにまさに言葉は不要、ひたすらその瞬間を味わうよりほかはなかった!


 タイムトラベルや並行宇宙といった技巧SFを縦軸として、すでにキャラが確立された先輩ヒーローや時間軸が異なるヒーローたちの競演を描き、彼らが戦いの中で見せる人格・動機が連続することで化学反応を起こし、ドラマ性の高い群像劇へと昇華するに至る。
 『ジオウ』とはまさにそんな作劇ではなかったか?
 2019年5月の改元後初の仮面ライダーとして『仮面ライダーゼロワン』(19年)がスタートしたが、「新時代」ライダーが10作品を達成する際には、きっと『ジオウ』的なメモリアル作品が製作されることだろう。
 だがそれを10年も待つ(笑)のではなく、劇場版なり子供たちの長期の休み期間に特番を放映するなり、せめて年に一度くらいはこうした作劇を特撮ヒーロー作品の「未来」のために導入することはもはや必須条件ではあるまいか?


 マーベルコミックのヒーローたちが競演する映画『アベンジャーズ』(12年・アメリカ・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190617/p1)以来、ハリウッドでその続編やそれ以外のヒーロー競演ものがいまだ絶えることはない。
 劇場版でオールスター路線を描いてきた、かの女児向けアニメ『プリキュア』シリーズ(04年~・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20040406/p1)の15周年記念作品・『HUG(はぐ)っと! プリキュア』(18年)では、歴代全プリキュア55人が大集合(!)する前後編があったが、公式チャンネルでのアンコール配信を決める人気投票では第1位に輝いた。
 そうした成功例を思えば、2020年代の日本の特撮ヒーローも、やはり同じ方向性に舵(かじ)を切るべきではないのだろうか?


*シリーズ構成面では弱かった白倉ライダー。本作では充実した最終章!


 さて、最終章となる第4クールは従来の前後編形式ではなく、3話完結の話を3連続させる構成であり、それぞれを諸田敏(もろた・びん)・山口恭平(やまぐち・きょうへい)・柴崎貴行(しばさき・たかゆき)と、これまで「平成」ライダーを支えてきた代表的な監督たちが「有終の美」を飾っていた。


 『ジオウ』といえば、初期の『仮面ライダーアギト』や『仮面ライダー555(ファイズ)』(03年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20031102/p1)から『仮面ライダーディケイド』に至るまで、第1期「平成」ライダーの東映側のプロデューサーを務めた白倉伸一郎が久々に返り咲いたことでも話題を集めたものだ。
 ただ第1期の作品群に想い入れの強い古い世代の方々には申し訳ないのだが、白倉氏の作品は縦糸となる謎解き要素を強調した連続ドラマの印象が強かったものの、さんざん張った伏線の多くを回収できなかったり(笑)、結局解明されないままに終わる謎があったりと、実はシリーズ構成的には弱かったかと思える。
 もっともその行き当たりバッタリぶりは、まずは世間の注目を集めることを最優先した氏の確信犯かと個人的には推測する。グダグダに終わったとの声も多い『ディケイド』にしろ、従来のような1年間の放映ではなく、全31話というあまりに中途半端な話数ではキッチリと終われるハズもなく、結末を年末の映画『仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイド MOVIE大戦(ムービー・たいせん)2010』(09年・東映https://katoku99.hatenablog.com/entry/20101220/p1)に持ち越すなんぞ、完全にワザとやっていたのだ(爆)。
 人は氏を詐欺師(さぎし・笑)と呼ぶかもしれないが、作品自体の無責任ぶりはともかく、個人的には当時の氏の手法は営業戦略として高く評価しており、円谷プロこそこれを見習うべきかと思えるのだが。


 それから10年が経過し、まぁ企業コンプライアンスにうるさい昨今ならば当時の氏の詐欺的手法も通用しないのかもしれないが(汗)、『ジオウ』の最終章は同じ白倉氏でも先述した作品群の尻すぼみ状態とは異なり、その世界観を一気に拡大した全世界的・地球的な危機、強者集結によるカタルシスにあふれる大バトル、心暖まる大団円を描いていたのだ!
 「子供番組」としてそのようにビジュアル的には豪華でありつつも、やはり縦糸となる要素にはキッチリと決着がつけられており、年間を通してのシリーズ構成は綿密に行われていたかと思える。もっともこれは『ジオウ』に限らず、第2期「平成」ライダー全般にいえることかもしれないが。


 EP41『2019:セカイ、リセット』&EP42『2019:ミッシング・ワールド』&EP43『2019:ツクヨミ・コンフィデンシャル』では、ソウゴがグランドジオウと化したことへの対抗手段として、タイムジャッカーのリーダ-・スウォルツが第2クール終盤に登場した加古川飛流に力を与え、飛流が「魔王」となる歴史につくりかえられたことによるソウゴの混乱が描かれた。
 EP44『2019:アクアのよびごえ』&EP45『2019:エターナル・パーティ』&EP46『2019:オペレーション・ウォズ』では、後述するが2051年の世界から来た者がゲイツツクヨミを未来に連れ戻そうとしたことで、ふたりが深い葛藤(かっとう)を見せた。
 そしてEP47『2019:きえるウォッチ』&EP48『2068:オーマ・タイム』&LAST『2019:アポカリプス』では、歴代仮面ライダーの歴史が消滅したことで、彼らに倒されたハズの敵組織の怪人大軍団がいっせいに復活! 仮面ライダージオウゲイツ・ウォズ・ディケイド・ディエンドの最終決戦が展開された!
 それらの中で、まさに「青春群像劇」といっても過言ではない『ジオウ』の少年少女たちの物語が、完結を前に一気に加速していった。


*「お宝」争奪戦とシーソーバトルが中心、かつ群像劇でもある最終章!


 EP31を発端として描かれてきたツクヨミの出自をめぐる謎は、EP42からEP43にかけてスウォルツによって明かされた。
 ツクヨミは実はスウォルツの妹であり、彼らは時をつかさどる一族の末裔(まつえい)だった。一族の王位がツクヨミ=本名・アルピナに継承されることが決まったために、スウォルツは自身が王位を継承したいがためにアルピナの記憶を奪い、別の時間軸に追放したというのがその真実だったのだ。
 オーマジオウとは別の王者を擁立するのではなく、スウォルツ自らが王様になるために自分たちが利用されていたと知ったウールとオーラは彼のもとを離れ、反逆を企(くわだ)てるようになる。
 敵が味方に、味方が敵にと、登場キャラの立ち位置をシャッフルさせることでその群像劇を盛りあげてきた「平成」ライダーシリーズだが、スウォルツに時をあやつる力を奪われたオーラが、スウォルツに一時的に奪われていたグランドウォッチを「これであいつ倒せる?」とソウゴに手渡すほど、今回は敵組織が完全に決裂するに至っていた。


 ただそうした群像劇を充実させながらも、EP42以降に海東が再度姿を見せるようになり、飛流から時間書き換え能力を持つ時計を奪うもスウォルツに取り返されたり、その代わりに時間停止能力を与えられた海東がスウォルツに協力するふりをしてソウゴからグランドウォッチを奪うも、すぐにオーラに与えてみたりといった「お宝」争奪戦が描かれたように、あくまで「子供番組」「変身ヒーロー作品」としての魅力は決して忘れられてはいなかった。
 EP41からつづくかたちで仮面ライダークウガを召喚するグランドジオウVS仮面ライダービルドを召喚するオーマジオウにはじまり、飛流が変身したアナザージオウⅡ(ツー)によって次々に召喚されるアナザーライダーと正義側のライダーとのバトルが各所で並行して再三繰り返されていたのだ。
 時間が書き換えられたことで、いわゆる本来の意味での「戦場」と化した2019年の世界では迷彩の軍服姿(笑)でジオウを助けた士だったが、EP42でコンテナ埠頭(ふとう)でアナザービルドとアナザーカブトに襲われるツクヨミを銃撃と回し蹴りで救い、銃を指でクルクル回して腰にしまうと同時に、「通りがかりの仮面ライダーさ」とライダーカードをサッと示す、実にカタルシスあふれる描写は超絶にカッコよかった!


 なんといっても圧巻だったのはEP43のクライマックスで描かれた、レジェンドライダーに囲まれる飛流の像が庭園にある森の中の洋館のバルコニーで待ち受けるアナザーライダー軍団を前に、ソウゴ・ゲイツ・ウォズ・士が横並びで同時変身を遂げ、大乱戦を繰りひろげたことだろう。
 映画『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER(フォーエヴァー)』(18年・東映https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190128/p1)に登場した巨大怪獣型のアナザークウガまでもが描かれたほどに、この一大バトルは『平成ジェネレーションズ』シリーズ(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20171229/p1)が確立する以前の2010年代中盤ごろのライダー映画よりも、はるかに映画的な百花繚乱(ひゃっかりょうらん)の魅力にあふれていた。
 そしてこの大激戦の中で、スウォルツに時間停止能力を与えられたディエンドがディケイドの動きを止めたことでディケイドがスウォルツに力を奪われてしまい、その結果としてアナザーディケイドを誕生させるに至るほどに、海東=ディエンドの立ち位置をシャッフルさせ、正義側を決して優勢ばかりでは終わらせないシーソーバトルの妙技も実にあざやかだった。
 どうしてもグランドジオウ=ソウゴに勝てないと悩むアナザージオウⅡ=飛流に、ソウゴは「おまえが過去のことしか見てないからだ。オレは未来をつくるために戦う!」と叫び、20人のレジェンドライダーを背景に(!)必殺キックを放った!


 「おまえのせいでオレの人生はメチャクチャになった!」と叫ぶ飛流と、どこまでも「未来志向」のソウゴの関係性に、外交交渉で過去の話を出しては謝罪を迫るアジアの某(ぼう)国と、やたらと「未来志向」を口にする宰相(さいしょう)が支配するどこぞの国との悪化する一方の関係を彷彿とする向きもあるかもしれない。
 だが、ソウゴは先述した一大決戦の直前、「ごめん、傷つけたのならあやまるよ」と飛流に謝罪しており、相手国に挑発を繰り返すばかりで「悪いのは向こう」としていっさい謝罪しない、どこぞの国のボンクラ宰相よりもはるかに人間性が高いのだ(爆)。
 そして、「敵」に対してさえも優しい視線を向けるソウゴの姿は、次の章でさらに強調されることとなるのだ。


*宿敵タイムジャッカーとの関係性の変化。より良い「未来」のために…


 そしてEP44ではソウゴと「敵」の少年・ウールの関係性に劇的な変化がおとずれた。
 クジゴジ堂に助けを求めてきたオーラとウールをゲイツは追い返そうとするが、ソウゴは「いいじゃん。にぎやかで楽しいよ」と、あまりにも素直に受け入れてしまう。
 これには「僕たちは敵だろ」と当のウールが驚いてしまうが、ソウゴは人々を苦しめたことは許せないとしながらも、君たちなりに未来をつくろうとしていたのだからと、その動機については理解を示した。
 さらにゲイツには帰る未来があるが、スウォルツによって別の世界から連れてこられたウールたちには帰る場所がないからと、クジゴジ堂を「家」だと思ってもいいよと、ソウゴはウールを笑顔で励ますに至ったのだ。
 やはりどこぞの国の宰相はソウゴを見習うべきかと思えるのだが(大爆)。


 ソウゴのこうした博愛主義が、EP45で逆にゲイツとの関係に一時的に亀裂をもたらすこととなるのも、立ち位置シャッフルの一環として行われたものであり、最終展開をいっそう盛りあげることに貢献(こうけん)していた。
 EP44で現れたアナザードライブの正体がタイムジャッカーの少女・オーラだったことで――アナザードライブに変身するオーラは実は映画『劇場版 仮面ライダードライブ サプライズ・フューチャー』(15年・東映)に登場した、2015年と2035年のロイミュード(怪人)108が融合したパラドックスロイミュード(!)であり、ドライブとグランドジオウの合体キックで敗れた際に「108」のコアが破壊される徹底ぶり!――、ゲイツはウールに疑いをかけて追い出してしまうが、ウールは変わったとするソウゴに、ゲイツは人はそんな簡単には変わらない、どこまでいっても敵は敵だと主張する。
 これに対し、ソウゴは「どこまでも人が変わらないなら、より良い未来なんかつくれるわけがない!」と激アツに叫ぶのだ。


 敵も決して一枚岩ではなく、時にはウィンウィンの関係のために共闘を演じることもあったほどに、「平成」仮面ライダーではキャラの心の変遷や関係性の変化が繰り返し描かれてきたが、それは視聴者により良い未来に向かうための指針を示すためではなかったのか?
 EP44ではアナザードライブに苦戦していたジオウとゲイツを、「助けられっぱなしもシャクだからさ」とウールが救う場面があるが、EP45ではアナザードライブに襲われていたウールをゲイツが「おまえに助けられっぱなしもシャクだからな」と助けるに至っている。
 この係り結び的な会話がまた絶妙だが、ゲイツも、そしてウールも、より良い未来のために一歩前進したのだと解釈すべきところだろう。


 もっともこの時点ではゲイツは「その未来をおまえがこわした」――その前に「フッ」とためいきをつく演技がいい!――とソウゴを非難し、未来ならこれから変えられるとするソウゴに、「あの時代を生きたオレたちの気持ちがおまえにわかるか!」と叫ぶのだが、それが本心ではなかったことがEP46で明らかにされる。
 ダークライダーを生みだすためにスウォルツがつくりだしたアナザーワールド=失われた可能性の世界にゲイツは閉じこめられてしまうが、救出に行ったツクヨミとウォズの前で先述したソウゴとゲイツの会話場面が再現され、ゲイツはソウゴにそのつづきとして、オレはそんな未来から逃げてきた、オレはこの時代に生きることで、おまえといっしょに未来をつくりたい! と叫んだのだ。
 キャラを一面のみではなく、多面的に描いてきた「平成」ライダーだが、EP44からEP46はすでにキャラが完成していたゲイツとソウゴの絆を最終決戦を前にあらためて深めるために、その舞台装置としてアナザーワールドを考案し、そこから逆算してドラマを構築したのではなかろうか?
 EP45ではひとり生き残ろうとしたオーラにウールが命を奪われ、そのオーラもEP46でスウォルツに殺害され、タイムジャッカーはここで崩壊するが、同じEP46で並行して正義側のキャラが結束を固くするさまが描かれたのは対比が効いて実に効果的だった。


 アナザーワールドに閉じこめられたゲイツと救出に行ったウォズ、そして現実世界にいるソウゴが世界の壁を超えてジオウトリニティに合体変身を遂げ、アナザーワールドを破壊することに成功したのだ。
 これは古い世代からすると『ウルトラマンA(エース)』(72年)第14話『銀河に散った5つの星』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060805/p1)で、ゴルゴダ星破壊に向かったロケットに乗る主人公の北斗星司(ほくと・せいじ)と防衛組織・TAC(タック)の基地にいるもうひとりの主人公・南夕子が、たがいにモニター上で手を合わせることでウルトラマンエースに合体変身を遂げたのを彷彿とさせる。
 EP45のラストからEP46にかけ、久々に登場した白ウォズが語ったように、これらは世界の壁を超えられるほどに強い、たがいを想う力を端的に表現したものだ。
 第2クールでは悪役として登場していた白ウォズをアナザーワールド=失われた可能性の世界にからめ、救世主=ゲイツを救うことが私の失われた可能性だとして正義側を助ける活躍をさせたり、ゲイツとウォズが共闘してダークライダー軍団と対決するのもまた然りだ。
 登場人物の関係性の変化・進展を変身前のキャラを演じる役者の芝居のみではなく、こうしたインパクトの強い派手なビジュアルで視聴者に伝えることこそ、「子供番組」の正攻法だろう。


*映画のゲストライダー、アクア・エタナーナル・G4・風魔らも出現!


 またEP44からEP46はソウゴ・ゲイツ・ウォズがそこに至るまでの過程を、以下の思わぬ特別ゲストが盛りあげたことも実に大きかった。


・映画『仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦MEGA MAX(ムービー・たいせん・メガマックス)』(11年・東映)に登場した湊(みなと)ミハル=仮面ライダーアクア
・映画『仮面ライダーW FOREVER AtoZ(フォーエバー・エートゥーゼット)/運命のガイアメモリ』(10年・東映)に登場した大道克己(だいどう・かつみ)=仮面ライダーエターナル


 仮面ライダーエターナルの場合は大道=エターナルを主人公にしたオリジナルビデオ作品『仮面ライダーW RETURNS(リターンズ) 仮面ライダーエターナル』(東映ビデオ・11年7月21日発売)という動きもあったが、それ以外の劇場版に登場したオリジナルライダーは基本的に映画1回こっきりで終わることが圧倒的だったため、今回の快挙に狂喜したファンは多いことだろう。
 「キミはWに倒されたんだよね?」とWアーマーにチェンジしたジオウが、「さあ、おまえの罪を、数えろ!」ならぬ「さあ、おまえの罪を、教えて」とやらかしたのはコケそうになったが(笑)、そこですかさず『W』のバトルシーンで定番だったスウィングジャズ風の名曲BGMが流れたから帳消しとしておこう。
 またスウォルツがアナザーワールドから生みだしたダークライダーまでもが、映画『劇場版 仮面ライダーアギト PROJECT G4(プロジェクト・ジーフォー)』(01年・東映https://katoku99.hatenablog.com/entry/20011104/p1)に登場した仮面ライダーG4や、映画『劇場版 仮面ライダーエグゼイド トゥルー・エンディング』(17年・東映)に登場した仮面ライダー風魔(ふうま)など、劇場版のオリジナルライダーが揃えられたほどの徹底ぶりはまさに圧巻だった。


 特に西暦2051年の世界からツクヨミを未来に連れ戻そうとしたミハルは、ただでさえスウォルツから自身の妹だと聞かされたばかりのツクヨミを、君たちがいたらソウゴがオーマジオウになる未来が確定する、などと激しく動揺させてしまう。
 そして「ミハルは正しい」と、ゲイツに一度は未来に帰る決意をさせたものの、「この時代はもうオレたちの時代だ」と心の変遷をもたらすに至る重要な役回りとして描かれていたのは実にポイントが高かった。
 さらに先述した『フォーゼ&オーズ』で火野映司(ひの・えいじ)=仮面ライダーオーズとミハルが「みんなのあしたを守る」と約束したことでもらった「あしたのパンツ」を点描し、アナザーディケイドに敗れたミハルが「アルピナを、あしたへ……」とソウゴの腕の中でパンツに手が届かずに息絶えるに至るまで、彼の後日談としても満足のいく演出だった。
 ミハルの変身やアクアのバトルで巻きあがる水しぶきのCG演出を印象づけるために、都心の噴水広場に海浜公園、背景に風車が回る砂浜など徹底して水のある場所でロケされたのも効果的だったが、最後の変身でミハルの背景に自然の大波が高くわきあがる描写は実にカッコよかった!


*歴代ライダーの「並行世界」が混入! 『ビルド』終章との相似と相違


 さて先述したように、EP47では過去20年に渡って仮面ライダーに倒されてきた怪人たちが大量に復活することとなったが、その見せ方がまた絶品だった。
 冒頭でまず『仮面ライダービルド』(17年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20180513/p1)で日本を3つに分断した巨大な壁・スカイウォールが現れ、『ビルド』の怪人・スマッシュが人々を襲撃、ソウゴが世話になるクジゴジ堂でタワー状に飾られたビルドウォッチが黒く変色してしまう。
 そしてスマッシュを倒したゲイツとウォズの眼前で、『仮面ライダーW』の舞台・風都(ふうと)にそびえる巨大な風車塔・風都タワーや、『仮面ライダー鎧武』に登場した悪徳企業(笑)・ユグドラシル社のシンボル・ユグドラシルタワーが出現、同時にWウォッチと鎧武ウォッチが黒くなってしまうのだ。
 各作品ごとに差別化された個性豊かな怪人たちはもちろんだが、スカイウォール・風都タワー・ユグドラシルタワーといった、常に作品の背景にシンボル的に描かれてきたモニュメントこそ、実は怪人たち以上に各作品の世界観を端的に象徴するものだろう。
 これは仮面ライダーの歴史が消滅したことで時空が乱れ、世界中が大混乱するさまを表現するにふさわしい、実にスケール感にあふれる演出だった。


 スケールの拡大といえば、同じEP47で2058年の世界で少年時代のスウォルツがソウゴとツクヨミアルピナに語った、スウォルツたちの世界を守るための方法である。
 スウォルツはこの世界を守るためにほかの世界を全部滅ぼすと語るが、ひとつの世界につきひとりの仮面ライダーがいて、それらの世界を全部ひとつにまとめて滅ぼすとする解説映像では、宇宙で円形に並ぶ20個もの地球がひとつに合体するさまが描かれた。
 つまり、西暦2000年の仮面ライダークウガの世界から2018年の仮面ライダージオウの世界が同じ時間軸に並ぶ『ジオウ』の地球は、スウォルツによってそれぞれが別の時間軸に存在する20個の仮面ライダーの世界がひとつにまとめられて誕生したものだったのだ!
 それも主人公のソウゴが小学生のころにスウォルツに時空をあやつる力を与えられて以来、ライダーの世界を引き寄せる片棒をずっとかついでいたという(汗)。


 近年のウルトラマンスーパー戦隊もそうだが、ヒーロー競演となると必ず持ちだされる並行世界=パラレルワールドとは違い、『ジオウ』は完全につながったひとつの世界だと喜んでいただけに、なんだやっぱ別次元かよと、正直個人的にはプチ失望(笑)もしたものだ。
 ただ「平成」ライダー10作記念の『ディケイド』が、士の世界と別次元で並行するそれぞれの仮面ライダーが存在する9つの世界が融合して崩壊するのを防ぐために、士が各世界を旅してライダーたちを倒していたのを、やはり『ジオウ』も踏襲していたのだ、白倉Pの作品として終わったのだ(笑)と、これにはあらためて痛感させられた。


 また複数の地球のビジュアルからして、どうしても前作『ビルド』の終盤にて、桐生戦兎(きりゅう・せんと)=仮面ライダービルドが先述したスカイウォールのない並行世界=レギュラー悪の地球外生命体・エボルトに侵略されなかった世界と現実世界を融合させ、「新世界」をつくりあげて終わったのとモロかぶりの印象も受ける。
 だが新世界でかつての仲間たちや元の世界で犠牲になった人々も生きていて、全ての人々が平和に暮らしていたとはいえ、それを実現させた戦兎と万丈龍我(ばんじょう・りゅうが)= 仮面ライダークローズのことを誰ひとりとして記憶していないオチは、やはり彼らのこれまでの戦いが報(むく)われない悲壮感(ひそうかん)に包まれていた印象が強かった。
 これと比べると、スウォルツによって強引にひとつにまとめられた地球を元通りに20個の地球に分離させるビジュアルが示されたことが象徴するように、『ジオウ』の最終展開は並行世界の解釈を二転三転させることで、まさに知的遊戯としてのSFの楽しさを追求したかのように思えるのだ。
 同じふたつの地球のビジュアルが示され、同じように世界を救っていても、ふたつの地球をぶつけていた(笑)『ビルド』と、ふたつの地球の間に橋をかけ、ソウゴがいる世界からツクヨミのいる世界に何十憶という人々を渡らせて(爆)避難させる案が士によって示され、その作戦計画を一同が実行に移す『ジオウ』とでは、まったく印象が異なることは確かだろう。
 これはどちらがいい悪いということではなく、小学校中学年以上の子供なら理解可能な知的遊戯のバリエーションとして、『ビルド』と『ジオウ』とでは実は微妙な違いがあると気づく楽しさを知ってもらい、SFに親しんでもらうことこそ重要ではないのだろうか?


*ラスボスの妹だったツクヨミ嬢が最後に仮面ライダーツクヨミに変身!


 そしてスウォルツがいる世界=仮面ライダーがいない世界を仮面ライダーがいる世界にするために、そこにとらわれたツクヨミ仮面ライダーにしてしまった(笑)のも、先述した「希望の架(か)け橋」同様に『ジオウ』が『ビルド』に比べ、やや希望的観測が持てる最終展開だったといえるだろう。
 天女(てんにょ)の羽衣(はごろも)のような全身純白で清楚(せいそ)な衣装に包まれたツクヨミが変身した仮面ライダーツクヨミは白鳥のイメージが濃厚だが、白・黒・金を基調としたカラーで羽根のようなマントを翻(ひるがえ)す姿は、映画『劇場版 仮面ライダー龍騎 EPISODE FINAL(エピソード・ファイナル)』(02年・東映https://katoku99.hatenablog.com/entry/20021104/p1)に登場した女性ライダー・仮面ライダーファムのリメイク的デザインだった。
 もっともEP48がツクヨミの変身で終わり、LASTがそのつづきで始まった途端、仮面ライダーツクヨミはいきなり正義側のライダーたちの動きを止め、スウォルツのお役に立ちたいと語ったのだから、これのどこに希望的観測が持てるんだよ(笑)との声もあるかもしれない。
 だがここに至るまでに描き尽くされてきたツクヨミのキャラからすれば、これがスウォルツを油断させるための演技であろうことは大半の視聴者が気づいたであろうし、これを裏切りだと思ったのは劇中キャラだけではなかったのか?(爆)


 元々2068年の世界でオーマジオウに反抗するレジスタンスとして描かれ、ソウゴの世界でも銃を発砲したりタイムマジーンを操縦する勇ましい姿がめだった一方で、ソウゴの天然ボケやウォズの「祝え!」にあきれたツクヨミは、お笑いグループのザ・ドリフターズのリーダーだった故・いかりや長介みたく「ダメだこりゃ」(笑)とボヤいたりしたものだ。
 それが第3クール以降では自身の出自に葛藤することが増え、西暦2058年の世界で少年のころのスウォルツを狙撃できなかったりと女性らしさが強調されるようになり、周囲でも心の変遷や立ち位置シャッフルが多く描かれただけに、ツクヨミが最後の最後に裏切ったと思ってしまった視聴者も中にはいたのかな?
 これもまた並行世界の解釈を二転三転させてきたのと同様に、最後まで登場キャラの立ち位置をシャッフルさせることで視聴者の興味を持続させる、白倉Pらしい詐欺的手法だろう(笑)。
 ソウゴとツクヨミをアナザーディケイドの攻撃からかばった士が死亡(!)したと思ったら、海東がEP43のラストで飛流から奪った時間書き換えウォッチを使って生き返らせ、その副作用(笑)でアナザージオウⅡと化した海東がソウゴたちを襲うとかは、まさにこの二転三転の典型例なのだ。


*児童ならば楽しめる技巧SFが理解不能な幼児でも特撮だけで楽しめる


 だからこれまで述べてきたように、技巧的SFや群像劇としての要素だけでも『ジオウ』が充分におもしろかったのは確かだ。
 ただ、スーツアクターが演じる着ぐるみ怪人が大量に出てきたのみならず、空一面をCGで描かれたモンスター軍団が覆(おお)い尽くす地獄絵図が描かれるとか!
 仮面ライダーディケイドがアナザージオウⅡに対し、「ジオウにはジオウの力だ」とジオウのライダーカード(!)でジオウに変身し、グランドジオウと共闘するとか!
 2068年の世界に飛んだソウゴのもとに、2019年の世界からゲイツとウォズが時空を超えて合体、ジオウトリニティに変身する感動が再現されるとか!
 「どんなに歴史がこわされても、仮面ライダーはこわれない!」と叫んでグランドジオウに変身したソウゴが、各レジェンドライダーの最強フォームを一気に召還して再生怪人大軍団にぶつけるとか!
 これらがあったからこそ、技巧的SFや群像劇の魅力がまだ理解できないであろう、本来のターゲットである就学前の幼児や小学校低学年をおおいに喜ばせたのではないのだろうか?


仮面ライダーチェイサー! 映画ゲストの仮面ライダーマッハと連動!


 また、最終章の放映は例年夏に公開される劇場版の公開時期と重なっていたが、『仮面ライダードライブ』(14年)にスポットをあてた2019年度の夏映画『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer(オーヴァー・クォーツァー)』(19年・東映https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190804/p1)に世界観を完全にリンクさせた商業戦略も秀逸だった。
 先述したアナザードライブにつづき、EP47からEP48にかけては『ドライブ』の怪人・ロイミュードらとともに、『ドライブ』前半のレギュラー悪だったチェイス青年=魔進(マシン)チェイサーが復活した。
 夏映画で詩島剛(しじま・ごう)=仮面ライダーマッハから「友」を救おうとしていると聞かされたゲイツが剛の名をあげたり、ウォズが「この本によれば君も仮面ライダーだった」と語ったことで正義と悪の間で葛藤したチェイスは、仮面ライダーチェイサーではなく、魔進チェイサーの姿のままでアナザーディケイドからツクヨミをかばって絶命した。
 「おまえ、友がいるぞ。助けようとしている友が。おれたちも友だ」と云い聞かせるゲイツの腕の中で、「いいものだな……人間とは……」とチェイスがつぶやく描写は、『ドライブ』の最終展開で剛の腕の中でチェイス=ダチ(友)が絶命した場面の完全再現であり、映画とあわせて感動を倍増させた視聴者も多かったことだろう。


 この剛とチェイスの関係性をそのままソウゴとゲイツにスライドさせ、その感動をさらに増幅(ぞうふく)させた演出もまた大きかった。
 アナザーディケイドからジオウをかばったゲイツはソウゴの腕の中で、ソウゴにオーマジオウ=最高最善の魔王になれと呼びかけ、この時代に来て、おまえの「友」になれて「幸せ」だったとつぶやき、静かに目を閉じる……


 チェイス=「友」を失った剛がその意志を受け継ぎ、仮面ライダーチェイサーマッハと化したように、さっそくゲイツの想いに応えるかたちでソウゴの腰に黄金に輝くベルトが巻かれ、都心の広場に燃えたぎる巨大な時計の文字盤が出現、ソウゴがオーマジオウと化す!
 仲間のみならず、敵にさえ明るい笑顔と優しい言葉で向き合っていたソウゴが変身したオーマジオウが、ウォズに「祝えと云っている」と威圧(いあつ)感たっぷりに命令する声の演技がまた絶妙だが、周囲にライダーウォッチを結集させたオーマジオウが、巨大怪獣さえもパンチひとつで粉砕(ふんさい)してしまうほどに、怪人大軍団を圧倒する絶大なパワーを見せつけるさまは説得力にあふれるものだった。


 さらに『ジオウ』で特筆すべき点としては、EP47で仮面ライダーの力を失ったレジェンドウォッチを順一郎が陰ですべて修理し、LAST=最終回で最後の戦いに赴(おもむ)こうとするソウゴに、「君たちの大事な時計」をお盆にズラリと並べた状態で手渡したことだろう。
 EP39&EP40で時計みたいな電車=デンライナーさえも直した(笑)ことがその伏線であったが、科学者ではない時計屋さん=周辺キャラに全世界的な危機を救うに至るほどの大活躍をさせてしまう演出も実に好印象だった。
 EP48でソウゴが決戦を前に、クジゴジ堂の壁にズラリと並ぶ時計を感慨深くながめる描写も印象が強かったが、「元に戻ったように見えても、時計の針は未来にしか進まない」とのソウゴの深い言葉に至るまで、時計モチーフの仮面ライダーとして初志貫徹したのは称賛されるべきだろう。


*ライダージオウ=最高最善の魔王(笑)が最後に選択した世界とは!?


 そうしたみんなの力で世界を救ったソウゴは、ゲイツツクヨミたちがいない世界で王様になってもしかたがないと、2068年の自身=オーマジオウに対して「魔王」となることを拒絶する。
 そんなソウゴがみんなのいない世界を破壊して創造した「新世界」は、ゲイツツクヨミが同級生であるのみならず、敵だったウールがソウゴを「王様先輩」(笑)として慕(した)い、オーラが「悪い知らせ」(爆)としてみんなが遅刻寸前だと教えてくれる、ソウゴが「普通の高校生」として過ごす明るい学園生活だった。


 EP34で小学校の同級生として描かれたツトムや、EP45&46で久々に登場した高校の同級生・小和田など、決して単なる(ひとり)ボッチではなく、教室で話す相手はなんとかいたものの、「友」と呼べるまでの存在がいなかったソウゴの物語として、これは妥当(だとう)な帰結だったのではあるまいか?


 ソウゴに「楽しかったぞ、おまえに会えて」とつぶやいたのは、決してオーマジオウばかりではないだろう。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2019年初秋号』(19年10月6日発行)所収『仮面ライダージオウ』後半合評3より抜粋)


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