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スーパー戦隊レジェンドヒストリー ~神秘・恐怖から親近感・コミカルへ。日本特撮の画期にして文化・歴史となった「戦隊」!

『劇場版 騎士竜戦隊リュウソウジャーVSルパンレンジャーVSパトレンジャー』合評 ~水準作だが後見人&巨大戦カットをドー見る!?
『魔進戦隊キラメイジャー エピソードZERO』合評 ~劇場先行お披露目で戦隊の起死回生は成功するのか!?(3/22、UP予定)
『騎士竜戦隊リュウソウジャー』最終回・総括 ~ラスボス・終盤・作品自体に対して賛否合評!(3/23、UP予定)
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[戦隊] ~全記事見出し一覧


『企画展 スーパー戦隊レジェンドヒストリー ~ゴレンジャーからリュウソウジャー、そして未来へ~』 ~神秘・恐怖から親近感・コミカルへ。日本特撮の画期にして文化・歴史となった「戦隊」!


(文・犬原 人)
(2020年1月4日脱稿)


 今年度2019年のスーパー戦隊シリーズ『騎士竜戦隊リュウソウジャー』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191102/p1)がシリーズ43作目という中途半端な時期にこの企画展を考えた、横浜情報文化センター・放送ライブラリーにはどういう腹があったのだろう……と考えつつ、入場無料の惹句(じゃっく)に魅かれて行ってしまった。


 知らない人のために解説すると、横浜情報文化センター・放送ライブラリーは神奈川県庁の向かい、みなとみらい線日本大通り駅の真上にある。テレビ放送の歴史やシステムが勉強できるばかりか、さすがに全部というわけにはいかないが、過去66年分のテレビ番組が史料として閲覧できるという施設である。
 付属の情報文化ホールでは「企画展」と称してジャンル別にテレビ番組の歴史を定期的に紹介していたりしているのだが、ついに我らが『スーパー戦隊』がその対象に選ばれたということなのだ。


 ちなみに同施設では、「公開セミナー 制作者に聞く! ~番組制作の現場から~」という不定期枠もあって、今年2020年の2月15日(土)には、スーパー戦隊シリーズの番外(……と言えるのか?)『獅風怒濤ジュウショウワン』……じゃなかった、NHKで放映された隠れ特撮オタク女子を描いたTVドラマ『トクサツガガガ』(2019・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190530/p1)が企画されている。


 来場したのが冬休み二日日の2019年12月26日(木)だったので、親子連れも当然多かったのだが、平日の午後でもあったせいか「かつての我々」ともいえる男子中学生の二人連れだったり、「我々の分身」ともいえる腐女子やサラリーマンのやはり二人連れだったり、こんなところに何故? という感じの六十代の男性だったり、今風の若者と考えれば違和感がないはずの休業中の力士だったり――この寒いのに浴衣姿だった――と、入場者がバラエティに富んでいたあたり、やはり『戦隊』は国民的番組だったのだな……と、妙な一体感に浸る。


 会場に入ると戦隊シリーズ第1作『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975)の立像がまずお出迎え――おそらくは『海賊戦隊ゴーカイジャー』(2011)の第1話(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20111107/p1)で全戦隊が勢揃いの際に新造された奴だろう――。
 それとは別に、奥の方には歴代レッドの立像が並ぶ上映室があったのだが、オリジナルの5人が揃ってのお出迎えは迫力があり、戦隊イベントのエントランスはこうでなくてはと素直に思った。


 で、壁の反対側には『ゴレンジャー』以下の脚本で知られる上原正三氏と吉川 進プロデューサーのコメントが張り出され、それぞれにこの企画展に寄せて、色紙まで下さっていた。
 特に上原氏の登場は、私淑する者としては非常に嬉しかったりする。彼の残したキレンジャーや日輪仮面の誕生秘話には納得のいくものがあった。


 ムードメーカーである三枚目キャラクターのキレンジャー・大岩大太が特に好きだと公言し、子供たちの多くが好物のカレーを大食いさせる趣向も、「神秘性」ではなく「親近感」のある身近なヒーロー像を構築するための道具立てとしての狙いであった。
 敵のゲスト怪人の方も同様である。『ゴレンジャー』も第1クールでは「恐怖性」のあるミステリアスなデザインのクールな怪人だったのだが、原作漫画家・石森章太郎による突飛なデザイン、インカ帝国由来で中南米諸国の国旗にも図版化されている「太陽に顔をあしらったデザイン」を巨大な顔面に据えた真っ赤な全身タイツ姿である、第2クールの前中盤に登場した幹部怪人・日輪仮面の突飛なデザインに、従来のヒーロー番組とは異なるものを感じて、非常に乗り気で書いたのだそうである。
 ド派手な悪役で、キャラクタードラマに新たな地平を築いた『戦隊』ならではのエピソードであったと思う。


 「神秘性」や「恐怖性」ではなく「ギャグ」や「コミカル」でもある存在としてもヒーローや敵怪人を描くことが、一時はマニア間では大いに批判されるも、それを乗り越えて今ではむしろ鉄板の王道にすらなっている。その画期もまた、まさにスーパー戦隊の第1作目『ゴレンジャー』だったのであり、それもまた日本特撮を代表する脚本家であり、マニア間でもシリアス・テーマ志向の巨頭と目されてきた上原正三の筆によるものでもあったのだ!


 そんなゴレンジャーの必殺武器・キック爆弾エンドボールの実物も拝見。ラグビーボールの実物を塗り直して木の翼以下、付属物をつけただけというものであったが、よく45年近く残っていたなと感動。


 以下、続いて1作品1枚という感じでシリーズ各作品がパネル展示されて、『戦隊』の歴史が紹介されていく。過去42作品もあるというのに、どれもオリジナルが主張できている、同じ作品を作らない、ヒットしたからといって続編もリメイクも作らないというスタッフの姿勢には深々と頭が下がる。
 と同時に、その作品解説の下に放送年の出来事や流行語、封切映画の紹介があり、このシリーズが戦後日本人の「示準化石」たりうる証左だということを如実に物語っているともいえた。我々のような「例外」は別として、見ず知らずの相手とチャットするにしても、「貴方の戦隊は?」と訊けば、その答えでその年齢や成育史が、ある程度想像できてしまうのである。


 その合間に戦隊ヒーローの持ち道具や武器といったプロップ、そして巨大ロボットの立像が展示されている。武器類は基本的に木製で、本当に1年間使い込んだのだと分かるくたびれぶりには感じ入るものがあった。
 一方、今回立像として展示されたフラッシュキング(『超新星フラッシュマン』(1986))、オーレンジャーロボ(『超力戦隊オーレンジャー』(1995・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110926/p1))、ガオキング(『百獣戦隊ガオレンジャー』(2001・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20011113/p1))の変遷を見て、作品を追うごとにプロポーションがよくなっていること、顔を小さくしながら「中の人」を感じさせない工夫がなされていることがよく分かった。
 しかし、3体とも「何処から外を見てるんだろう?」ということがわからず、結局は「見えないまま演じていた」と結論付けるよりほかになかった。矢島特撮――特撮研究所・社長の矢島信男による特撮――の伝統で、画面フレームに顔が出ないときは「中の人の顔まる出し」という可能性もあっただろうが。


 そして全シリーズの最終回の台本が一斉展示――『リュウソウジャー』のはさすがになかった――。
 ただこれもまたやはり東映の著作物という意識が芽生えたらしい。『侍戦隊シンケンジャー』(2009・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090712/p1)のそれから表紙に転売、無断公開禁止の警告が載る。『獣電戦隊キョウリュウジャー』(2013)以降は「これを買い取った古物商は警察に届け出ること」という警告文が掲示されるに至っている。
 『まんだらけ』で台本を買って二次創作のモトネタにしていたアマチュア作家の筆者は、「運がよかった」だけだったのだ、いやはや隔世の感……と、ある種の世知辛さを思うのであった。
 まぁ考えてみれば今の世の中、台本を自炊してネットに流せば、ネタバレは避けられないからね。


 そこを過ぎると、歴代レッドの立像が集結する中、巨大モニターで歴代作品のオープニングがエンドレス上映。
 「ヤメヲタ」として『特捜戦隊デカレンジャー』(2004・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041112/p1)あたりで見るのをやめていたので、それ以後を見るのは初めて、家にたまったVHSビデオを整理しているうちになくしてしまった『忍者戦隊カクレンジャー』(1994・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120109/p1)以後のオープニングを見るのは久しぶりで、「あぁあった、こういうの」とノスタルジーに浸ったり、「えっ、こんなのアリ?」と新奇なキャラクターや世界観に驚いたり、「スゴイ、凄い!」と斬新な演出やカット割りに舌を巻いたりと、43本分の長さがあっという間に過ぎてしまった。


 実はこの企画展、1日12話の密度でシリーズの傑作選を別会場で日替わり上映していたのだが、それを忘れるほどに見入ってしまったのである。30代前後のお父さんが『魔法戦隊マジレンジャー』(2005・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110228/p1)を見て「懐かしい」とこぼしていたのを拾い聞きして、ああ自分も年を取ったのだな……とウツ入ったのもいい思い出だ(笑)。


 それを出ると今回招待された過去のシリーズの関係者の記念色紙の掲示
 世代的には、ピンクファイブ・桂木ひかる役の牧野美千子氏(『超電子バイオマン』(1984))、レッドターボ、炎 力(ほのお・りき)役の佐藤健太氏(『高速戦隊ターボレンジャー』(1989・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191014/p1))、ブラックコンドル・結城 凱(ゆうき・がい)役の若松俊秀氏(『鳥人戦隊ジェットマン』(1991・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110905/p1))、メガイエロー・城ケ崎千里(じょうがさき・ちさと)役の田中恵理氏(『電磁戦隊メガレンジャー』(1997・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20111121/p1))、そしてシリーズ育ての親、鈴木武幸(すずき・たけゆき)プロデューサーのサイン色紙が印象に残った。


 有料にしたらもっとすごい展示になっていただろうが、入場無料でもずいぶんお腹一杯になれる展示ではあった。
 規模には劣るが、『特撮博物館・ミニチュアに見る昭和平成の技』(2012・東京都現代美術館ほか)の展示が東宝・円谷に偏重していて、東映作品を全無視していたモヤモヤが、ここでいくぶんか晴れたような気もした。
 このイベントは2020年2月16日(日)まで行われているので、近くの人は足を運んでみるといいかもしれない。



 最後に苦言をふたつ。


 海の向こうでリメイク映画『パワーレンジャー』(2017・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170715/p1)として、日本ではまだ手にしていない「ポリティカル・コレクトネス」をシリーズとして手に入れた『戦隊』だが、『パワーレンジャー』(1993~・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080518/p1)海外放映での反応はどうだったのだろうか? という点にも言及してほしかったように思う。


 そしてあとひとつは、「『アキバレンジャー』(2012・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200223/p1)は、やはり『非公認戦隊』のままだったのか?」という(笑)。


(了)
(初出・『仮面特攻隊2020年冬号』(20年2月9日発行)所収『スーパー戦隊レジェンドヒストリー』展評より抜粋)


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戦隊レジェンドヒストリー2
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戦隊レジェンドヒストリー1
#特撮感想 #戦隊 #ゴレンジャー #スーパー戦隊 #スーパー戦隊レジェンドヒストリー



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