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快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー中盤合評 ~新戦士ルパンエックス(パトレンエックス)・ノエル君が絶妙!

(2019年5月26日(日)UP)
『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』序盤合評
『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』前半合評
『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』終盤評
『4週連続スペシャル スーパー戦隊最強バトル!!』
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[戦隊] ~全記事見出し一覧


合評1 『快盗戦隊ルパンレンジャーvs警察戦隊パトレンジャー』中盤総括!


(文・T.SATO)
(18年11月4日脱稿)


 2大戦隊が競演する意欲作『快盗戦隊ルパンレンジャーvs(ブイエス)警察戦隊パトレンジャー』(18年)も、早くも全話の3/4である第3クール分まで消化した。残り1クールの終盤戦を控えるのみである。


 シリーズの中盤をふりかえってみると、第2クール後半のトピックとして、まずはこの時期のスーパー戦隊恒例の追加戦士の登場だ。
 そして実質、2クールのシメとなる#25では、「快盗戦隊」・「警察戦隊」・「追加戦士」の全メカが総合体した最強巨大ロボット、グっと来る(笑)、もといグットクルカイザーVSXが登場した!


 整理してみると、


・#20にて銀色の戦士・ルパンエックス=金色の戦士・パトレンエックスでもある「追加戦士」が初登場して、この新戦士の専用メカでもある金と銀の2台の「列車」型メカが貸与され、「快盗戦隊」の巨大ロボ・ルパンカイザーの両腕と換装合体してルパンカイザー・トレインズも初登場!


・#21では、「警察戦隊」の巨大ロボ・パトカイザーの両腕とも換装合体してパトカイザー・トレインズが初登場!


・#22では、追加戦士の金と銀の「列車」だけが活躍! 「X」字型に交差するかたちで合体して、銀色主体の新ロボ、エックスエンペラー・スラッシュが初登場! 側転すると天地・手足が逆となって、金色主体のエックスエンペラー・ガンナーにも変転!


・#25にて、マニアならば誰もが予想していて、ある意味では予定調和(笑)の「怪盗戦隊」・「警察戦隊」・「追加戦士」の全メカが合体した、先にも述べたグットクルカイザーが初登場と来たもんダ。


 コレらの追加戦士や新メカロボたちは、東映テレビ朝日の要望で登場しているワケではない。玩具会社・バンダイ側からの要望で登場している。しかも、6月の最終週には追加戦士をTVで初登場、7月の最終週には全合体ロボを初登場させ、玩具の販売開始もそれらと連動させる、かなりシステマチックで合理的・マーケティング的でもある、細かな年間販売スケジュールが存在しているのもご承知の通りだ。


 とはいえ、作家たるもの、玩具会社の云いなりになって、ノルマ的に味気のナイ段取り劇だけをこなすものでもナイであろう。かといって、ムダに玩具会社に反発して、玩具性まるだしメカをそっちのけに人間ドラマ志向に走ってみせても、今さら特段に優れている行為と賞賛するほどのモノでもない。
 現今では、正→反→合のジンテーゼアウフヘーベンというヤツで、作家も玩具会社もオールハッピー、ウィン・ウィンの関係で、玩具メカも魅力的にカッコよく描くことで売れ行きを伸ばして関係各位の収入や雇用(爆)も確保し、と同時に人間ドラマ面でも同時に盛り上げてみせる、一石二鳥で実にクレバーな作劇が施されてもいる。
 あるいは、バンダイ側のスタッフからも、この新ロボがカッコよく大活躍して売れ行きも上がるように、このようなシチュエーションであのようなギミックを見せつつ活躍させてくれないか? 特撮監督の方でもこの新ロボでこんな派手派手な映像を撮ってみたいと、絵コンテもありきで会議もして、それらを吸い上げるかたちで、というよりも玩具どころか特撮シーンありき! での作劇もしているのであろう。


 初登場の#20では冒頭から出し惜しみせずに、銀色の「列車」で花の都・パリから出撃! コレまたご都合主義にも日本のローカル線の深夜の線路際(笑)で被害に遭っていた親子の目前に、「列車」型巨大メカのお約束で線路の幅をまったく無視して到着(爆)。飛び降りた青年が銀色の戦士・ルパンエックスに変身して、頼もしい姿を見せる。


 #23~25では、来たるべき全合体巨大ロボ登場に備えたその前段にふさわしい強敵として、敵組織・ギャングラーの着ぐるみもボリューミーな上級怪人3人組・ライモン軍団――古い世代であればお察し、往年の大人気アクション刑事ドラマ『西部警察』(79年)のチーム名「大門軍団」からのネーム流用と思われ(笑)――を登場させ、これを1体ずつ撃破していく戦闘・攻防主体の緊迫感のあるお話ともする。
 そして#24の終盤では、最後に残った1体の等身大の強敵怪人が通常回のゲスト怪人の「巨大化」とはスケールをはるかに上回るかたちでの「超巨大化」も果たす! しかも、通常は女敵幹部の特殊能力で「巨大化」するのに、彼はその力を借りずとも独力で「超巨大化」ができ、しかも劇中でもそのことをセリフで各キャラにも念押しさせるために、ますます別格感も際立つ!


 上方から見下ろした雑然とした高層ビル街の実景に、超巨大怪人と戦隊巨大ロボをハメ込むデジタル合成の絵も実にカッコいい! そこに超巨大怪人の猛攻によるデジタル火炎爆発が連発、戦隊ロボも爆風で吹き飛ばされていく!――光学合成が1話につき1カット(巨大ロボ戦を重視したスーパー戦隊超電子バイオマン』(84年)では2カット)しか許されていなかったとおぼしき80年代の「戦隊」とはエラい違いや(笑)――
 コレだけの強敵が登場するからには、既存の「快盗戦隊」の巨大ロボでも「警察戦隊」の巨大ロボでも「追加戦士」の巨大ロボでも役不足であろう! といったところで、それらが全合体した新ロボ登場に、劇中内での戦力比的・物理的・道義的な必然性・説得力をも与える!
――30数年前、スーパー戦隊超新星フラッシュマン』(86年)で、戦隊シリーズ史上初の2号ロボ・タイタンボーイが初登場したまではイイけれど、間髪置かずに同話にて(!)2号ロボを格納する超巨大ロボまでもが、巨大化怪人の背丈の2倍はあろうかという巨体の着ぐるみ(置きもの?)で登場した折りには……あまりにもライト級vsヘビー級に過ぎて、戦隊ヒーロー側の過剰戦力が卑怯に思えたモノであり(笑)――


 全メカが合体することで、両手・両脚が延長され、第2の両腕まで追加された千手観音がごとき超巨大戦隊ロボ・グットクルカイザーが登場!
 白昼の高層ビル街を舞台に、戦隊ロボvs敵怪人の周囲360度をカメラが超高速でグルグルとめまぐるしく動き、敵怪人に至っては高層ビルの頂上をピョンピョンと飛び跳ねて移動していく!――巨大怪人の自重でビルが倒壊しないのかというツッコミのスキはご愛嬌――
 CGはCGでも、戦隊ロボも巨大怪人もあまりに人間クサい動き・仕草・息づかい・ジリジリと身構えもすることから、スーツアクターモーションキャプチャーで演技をしてもらった身体位置データを基に映像を作って、なおかつ今どきだから戦隊ロボや巨大怪人の体表映像もゼロから作らず、着ぐるみの体表の映像をサンプリングすることで質感にも違和感がない映像を構築しているのだと思われるけど……。ナマものの撮影だとレンズのピントを合わせるのが困難どころか不可能そうな、遠近・パースペクティブの強調もCGなのでバッチリ!


快盗戦隊・警察戦隊、ヨコ方向の人間関係描写で肉付け!


 ルパンレンジャーの3人は、ギャングラー怪人に殺された兄弟・恋人・親友を蘇らせるため、パトレンジャーの3人はギャングラー怪人から世界を守るために戦っているという設定だ。
 一方でパトレンジャーという良心的な重心が作品にあるから、差別化も振り切れたのであろうけど、ルパンレンジャーの3人はまぁまぁ仲がよくはありつつも、互いに過剰には馴れ合わず、助け合うこともなく、かといってプロフェッショナル同士の信頼はあって、仲間に背中を任せて戦ってはいる――といっても、実際には劇中ではイヤ~ンな感じを醸さないように、仲間を戦闘中に庇ってはいて、それに対して「(庇うとは)珍しいな」との声掛けをすることで、それまでの彼らの平常運転における非情な水準を逆照射してみせるような描写だが――。
 パトレンジャーの3人もレッドの1号は愚直の熱血、ピンクの3号は女性でも冷静で仕事デキるプライド系、グリーンの2号はやや軽薄でも先輩の1号&3号に憧れていた後輩キャラとして徐々に肉付けしてきた。


 加えて、ルパンレンジャーの3人が世を忍ぶために仮初めに構える洋食屋に通う常連客としてもパトレンジャーの3人を設定し、「警察戦隊」の正体を知る「快盗戦隊」、しかして「快盗戦隊」の正体は知らない「警察戦隊」……という非対称な関係性も構築。
 パトレン1号の「オマエたちは怪盗という手段を選んだ時点で間違ってる!」との言に、「そうかもな」とたじろぐルパンレッドの構図。
 ルパンイエローの変身前の少女にその正体を知らずに懸想をしてしまいアタックを仕掛けるパトレン2号(笑)など、両戦隊のワクを超えたヨコ方向のつながりも構築してきた。


 さらには、戦隊シリーズやジャンル作品ではよくある、敵怪人による憑依ネタの話ごときで、憑依されたルパンブルーを非情にも銃撃した! と思わせて、ルパンレッドは自らの手を緩衝材として貫通させることで衝撃を和らげてもいた! ……というオチも、ダメ押しで手から血を滴らせるショッキングな描写で驚かせる!
 この描写を受けての畳み掛けのバージョンアップ描写でもあろう、幸運を呼び寄せてそれを使い切ると植物のツタに全身が覆われて生命エネルギーも枯渇させる、敵怪人が市井(しせい)の人々に配布したペンダントを、そうとわかって身に付けて敵怪人に捨て身の攻撃をすることで、敵のスキや油断をさそって仲間との連携プレイで勝利するも、その自滅的・破滅的なルパンレッドの戦法を、パトレン3号は驚愕しつつも不穏さを感じて「ブレーキが壊れている」(!)とも危惧をする。
――その前段でルパンレッドの中のヒトの青年クンの実兄がすでに死していることを、番組序盤でルパンレンジャーの3人の正体が洋食屋の3人ではないか? と疑って身辺調査をしたときに知ってしまい、「失礼ながらも気にしていた(大意)」と語ったときの、ルパンレッドの青年クンの一瞬の反発とすぐに軟化して3号の行為をオトナの態度で許容して感謝する多面的でヒューマンな関係性を示す描写もあったモノだから、なおさらに戦隊の仮面をともにかぶっているときに「ブレーキ」うんぬんと危惧した際の対比のエッジも際立つ!――


 ルパンイエローとパトレン3号の女性コンビで、ここ数十年のあまたの日本の刑事ドラマや時代劇に変身ヒーローものでもリメイクされつづけてきた(笑)手錠でつながれた状態のふたりの逃避行を描くことで、同じ女性でも互いの異なる個性をウキボリに、しかして反目ではなく融和もしていくエピソードも用意――オリジンは白人&黒人の囚人の逃避行を描く洋画『手錠のままの脱獄』(58年)――。
 幼少時の近所の警察官 > 1号 > 2号 > ゲスト少年 の四層構造で、それぞれの憧れの対象を通じて、各々が警察官やパトレンジャーを目指した動機を描いたり、しかしてゲスト少年のために戦った1号をさておき、ゲスト少年は2号の方に憧れていたというオチも持ってきて、息抜きや変化球、脱力ギャグを入れるような脱臼も忘れない(笑)。


新戦士・快盗戦隊・警察戦隊、さらなる斜め方向の人間関係描写の巧妙さ!


 ここに異分子として、追加戦士を割り込ませるのは実にムズカしいとも思ったが……。
 初登場の#20では、まず銀色の快盗ルパンエックスの姿を採って、しかも翌朝早々に「警察戦隊」に連行されるも、その場で国際警察フランス本部直属と明かすことで、視聴者に彼は「警察戦隊」寄りかと思わせる。
 しかして、戦い済んで陽が暮れて、同話ラストで優雅に紅茶を飲みつつ件の洋食屋にて待ち受けて、「快盗戦隊」たちを鼻白ませる。
 つづく#21では、「快盗戦隊」側の後見人である温水洋一演じる執事・コグレが、彼もまた自身と同じルパン家に仕える者だと保証し、敵怪人の特殊能力やヒーローへの変身能力に戦隊ウェポン(兵器)の源泉でもあるルパン・コレクションをヒトが使えるように改造したのも彼だと明かす。


 そして追加戦士は、「警察戦隊」に対しては、本来ならギャングラー怪人たちとも同様に検挙すべき「快盗戦隊」ともツルんで、あまつさえ共闘すらしている事情の言い訳&「快盗戦隊」の正体を、極秘任務としての「守秘義務」があり、自分は日本支部ではなくフランス本部直属であり指揮命令系統も異なるから明かさないとの説明でツッパねる!(笑)
 かてて加えて、「警察戦隊」の目前で、「追加戦士」vs「快盗戦隊」の戦いが勃発! 前者が後者を圧倒するが、同話ラストでコレは「警察戦隊」を欺いて信用させるための「追加戦士」&「快盗戦隊」の出来レース八百長試合(爆)であったとも視聴者に明かす。


 なるほど! たしかにココまで描写してくれれば、「警察戦隊」かつ「快盗戦隊」を「追加戦士」が同時に兼務していて、しかも両戦隊ともイーブンで仲良く(?)カラませることも可能となる! ルパンエックス=パトレンエックス同一キャラクターの玩具設定の方が先にありきの無茶ブリで、本作文芸陣がそれを可能とするために設定を後付けでコネくりだしたことはミエミエでも、実に巧妙で技巧的なうまい設定だ。
 ここで従来通りに、「警察戦隊」は「快盗戦隊」の正体を知らずに、「快盗戦隊」のみ「警察戦隊」の正体を知っているという、非対称な関係性も損なわれずに継続。どころか「追加戦士」は「警察戦隊」「快盗戦隊」の両者に精神的には上位に立てている!


 とはいえ、この役を演技力がないド新人が演じたら、説得力には欠けたことであろう。ニコニコ爽やか笑顔の好青年であり、「ボンジュ~ル」「トレビア~ン」「メルシ~」とフランス語を会話に混ぜる漫画的・記号的なキャラ付けもされているとはいえ、妙にコミュ力高くて老成した底知れないサバけた感じも出せている追加戦士・高尾ノエルを演じる元木聖也の演技力……というか、もって生まれた人間力(汗)のようなモノが、この役に説得力を与えているといってもイイだろう。劇中ではスタントを使わずに側転・バク転・バク宙・前宙の一連を余裕でこなしているし、二物ならぬ三物を特定個人に与えたまうお天道さまは実に不平等だ(笑)。


 #22では、以前のパトレン2号によるルパンイエローの変身前の中のヒトへの懸想話を引き継いで、ここにフランス帰りの洒脱な男子でもあるノエルくんが本業を離れて恋のキューピットを演じることで、2号&イエローの深掘りに加えて追加戦士の人間味をも描き込む。
 #23では、ノエルくんが洋食屋の名コックでもあるルパンブルーとともに潜入捜査をすることでの交情と、強敵怪人に破壊されたブルーの変身アイテムを――それはルパン・コレクションでもある――その道の専門家でもあるノエルくんが修理することで、ブルーがノエルくんを認めていく姿も描いていく。
 とはいえ、聞かれたから答えた「自分にも(快盗戦隊の皆さんと同様に)、蘇らせたいヒトがいる!」というノエルくんの発言に、ルパンレッドは「そういうの、自分で云うのが信じられない」とも返す(笑)。


 かように追加戦士の新キャラ登場でも、彼を通じてヨコ方向や斜め方向の人間関係(関係性)をも描き込み、一筋縄ではいかない小さな意外性も連発されるプリプリして粒立った密度感をも作品にもたらす。
 自分たち「快盗戦隊」を利用してくるだけのクールでドライな関係かと思いきや、「追加戦士」の捨て身の行動&動機表明に、「快盗戦隊」側も彼が便益の関係だけではない真摯さを秘めたる者としても認める。
 超強敵との激戦の渦中で、先に「壊れている」とルパンレッドを評したパトレン3号も、天秤にかけて超強敵を倒すためにも一時的ではあっても、奮戦しているルパンレッドをはじめとするルパンレンジャーたちと共闘すべきだと同僚たちを説き伏せる!
 わだかまりがありつつもその意見に一理を認めて、ここに「警察戦隊」・「快盗戦隊」・「追加戦士」の共闘が実現! その流れに、「警察戦隊」や「快盗戦隊」の巨大ロボの素体ともなる知性を持つ機械生命体・グッドストライカーも「グッと来て」(笑)、新たなる能力を披露し、最強合体ロボ・グットクルカイザーに合体を果たして難敵を打倒する流れは実に熱いモノがあった。
 コレぞ玩具販促の特撮バトルアクション&実に高度な人間ドラマとの理想的な融合でもあり、しかもそれがスーパー戦隊史上、最高級のクオリティで達成されたやもしれない瞬間でもあった。


 もちろん彼ら3組が完全融和したワケではなく、本話以降も付かず離れずの関係が維持されることで、この最強合体ロボも連続登場を果たすことがないあたりも実にデリカシーがある配慮だ。どころか、この3組の関係性が少しずつ融和に向かっていて、作品のメインストリームにも関わらない通常編や息抜きの地方ロケ編かとも思わせて、パトレン1号の熱血善人ぶりにルパンレッドが実兄との類似を発見し、そこにプチ反発も惹起されたことで、本作のシリーズ後半戦に波乱をもたらす新たなタネもまかれた。
 シリーズ前半戦ともまた異なる「快盗戦隊」・「警察戦隊」・「追加戦士」の相克と和解の物語が描かれそうであり、楽しみにしたい。


(了)


合評2 バトルもドラマもヒートアップ! 快盗戦隊VS警察戦隊!!

(文・J.SATAKE)


 ふたつのスーパー戦隊がぶつかりあう『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』(18)は、絶妙な対立構図を描きながら物語を展開している。
 序盤での快盗戦隊の正体解明の緊張感を越えた後、六番目の戦士=高尾ノエルがなんと快盗と警察の間に立ち両方の目的をこなす存在として登場! マントを羽織らずマッシヴな印象の銀色の快盗=ルパンエックスと、ロングコートを模したスーツが理知的な金色の警察官=パトレンエックス。
 ふたつの顔を見事に使い分けてルパンレンジャーとパトレンジャーのメンバーとなったノエルを、どう理解し対処すればよいのか揺れ動く快盗と警察! それぞれのメンバーとのエピソードを積み重ねることで、国際警察パリ本部にはルパンコレクションに精通するメカニックマンとしての腕を買われたこと、そしてノエルも失われた「大切な人」を取り戻すために謎の執事=コグレと密約を交わしていることが明かされてゆく。
 これで快盗と警察も壁が取り払われ完全に合流しても……と思わせるが、本作はそうならない。潜入捜査官であるノエルはあくまで独立を貫き、快盗と警察のために最大限の協力は惜しまないが明かしてはならない秘密は守り通す。戦う敵は定まりながら快盗と警察という相容れない立場と目的が異なるために争わねばならないジレンマ。そこを真正面に描いたのが#32「決闘を申し込む」だ。


 これまでにも金色の金庫を備えた敵・ギャングラー=ステイタスゴールドを解錠するために協力し、巨大戦でもグッドストライカー・ダイヤルファイター・トリガーマシン・エックストレインの11機合体ロボ=グットクルカイザーVSXにビルドアップして共闘した快盗と警察。しかしコクピットブロックで同席したルパンレッドとパトレン1号が暴れ出したように、問題を抱えながら一度だけの緊急措置と捉えていた。
 だがギャングラー幹部・ゴーシュは1体の怪人に5個の金庫を移植しルパンコレクションの能力を複合させてきた! 5個同時に解錠しグッディの能力を解放させるには快盗側にもうひとりの協力者が必要なのだ。
 ノエルはパトレン1号=朝加圭一郎に協力を願うが、犯罪者である快盗には従わないと断固拒否。それを受けたノエルは快盗たちの出頭を賭けて「決闘」を申し込んだ!! ふたりが戦うことで可否を決めるのが正しいこととはいえないが警察官である圭一郎と、快盗と警察の狭間に立つノエル、互いの矜持を戦いを通してぶつけるしかない場面でもあるのだ。
 少しづつ秘密が明かされているノエルだが、ルパンコレクションに関わることとなった原因、彼が取り戻したい大切な人は誰なのか、いまだ核心は闇のなかだ。終盤の展開に彼の過去がどう絡んでくるのか、まだまだ対立の構図は崩れない!


 快盗の首を賭けてまで勝負するノエルの本気の戦いに、ルパンコレクションの回収にどれだけの目的が隠されているのか思いを巡らす圭一郎。
 「俺たちにはこれしかないから快盗やってるんだ!」。ルパンレッドとの対決で彼に浴びせられた叫びと、大切な人を取り戻す快盗と平和を守る警察の戦いは両立できると宣言したノエル。そこには快盗一個人の感情を越えた「正義」が宿っているのではないのか?! ルパンエックス渾身の剣技・エックススラッシュを真正面から迎え撃つパトレン1号……。


 結果として金庫解錠作戦に協力するパトレン1号! そして彼に躊躇なくマジックダイヤルファイターを手渡すルパンレッド。
 (ダイヤルファイターを)返さないかもしれないぞ、と皮肉るパトレン1号に、おまわりさんはそんな卑怯なことしないでしょ、と応えるルパンレッド! そこにはチームだからといった通り一遍ではない、これまでの行動からの複雑な感情がにじみ出る「信頼」を感じるやりとりになっている。これこそ「VS」を冠につける本作にふさわしい!!


 巨大戦はもちろん全員でグットクルカイザーVSXに合体。背中から伸びる特徴的な第3・4の腕はビークルを交換することで武装変化し様々な攻撃を繰り出す! そしてファイナルアタックはビークルがエネルギー体となって突撃するビークルラッシュストライクだ。これまでの全合体形態の着ぐるみはほとんど動けない状態だったが、本作はCGモデルで作られており左右のパンチと回し蹴りでエネルギー体を発射する大胆なアクションを展開!


 残り1クールとなれば全合体ロボ連続登場が定番であったわけだが、本作はどうなるか。バンバン参戦させて魅力をアピールする方法もあるが、物語の展開にそうならばここぞという強敵・決戦でこそ合体する特別感で盛り上げるのが向いているであろう。安易にバトルレベルのインフレーションを起こさないためにも、今後も効果的な登場を演出していただきたい。
 そして次々と回収されるルパンコレクションが歴代のスーパー戦隊の変身アイテムであることも注目の本作だが、これはマニアへのちょっとしたサービス・くすぐりといったところであろう。このアイテムだけで毎回バトルアクションの重要な鍵とするのは物語展開の足かせにもなりかねない。本作もスーパー戦隊の歴史の一編ですよ、という軽いアピールと筆者は認識しているが、終盤でレジェンド戦隊を引っ張り出すための伏線でした! という展開でもそれはそれで嬉しいので(マニアの哀しい性ですな~~笑)「アルセーヌ・ルパンの末裔」の正体とともに最後まで注目しておきたい。


 熱くてシリアスな物語のみならずバラエティに富んだエピソードを差し込めるのもスーパー戦隊シリーズの魅力。
 親友をギャングラーに奪われたことで高校を中退、自立すると家を出たルパンイエロー=早見初美花。若さゆえのうっかりもある彼女だが、そのドジっぷりが娘思いの父親ゆずりであることがよくわかる#28「誕生日も戦いで」。
 普段口数の少ないクールな役どころのルパンブルー=宵町透真が敵の術中にはまり真顔のレオタード姿で踊りまくるシュールな画が堪能できる#27「言いなりダンシング」。
 ギャングラーから情報を得るために東映刑事ドラマの主役たちのスタイルを借りて頑張るパトレン2号=陽川咲也がスベりまくる#31「自首してきたギャングラー」。
 ギャングラーの力で子供にされた快盗たちが国際警察に回収されてしまったVSチェンジャーを奪還するため奮闘するドタバタ編――キラキラした瞳に見つめられ母性本能をくすぐられまくってしまうパトレン3号=明神つかさの乙女モードぶりがカワイイ(笑)――#33「僕らは少年快盗団」。
 コグレ氏が良い人・悪い人・普通の人の三つの性格に分身させられ、その極端な行動で快盗たちが振り回されるも、彼の心の内を垣間見ることができる#35「良い人、悪い人、普通の人」。


 基本のヒーローバトルアクションを展開させつつ、こうしたエピソードで各キャラクターの関係性・内面を掘り下げるのが1年通して物語を紡ぐスーパー戦隊シリーズの魅力のひとつ。本作はひとつの事件に3対3プラス1のキャラがどう行動するのかがしっかりと描かれており、それが連続することでドラマに大きなうねりを感じさせてくれる。
 そして立場の異なるヒーローが並び立つことでどのような戦い・共感・離反といったドラマが生まれるかに挑むメインストリームがルパンレッド=夜野魁利とパトレン1号=圭一郎の対立だ。


 バスケットボールで活躍し周りの人々にも優しく接する兄に憧れるも、同じようになれない自分をもどかしく思う魁利。そしてそんな弟にも手を差し伸べてくれる優しさを心の底では理解しつつも、つい反発してしまう心の狭さを呪う……。
 そんな魁利には、自分の信念・正義感にまっすぐ従い行動し続ける圭一郎が兄と重なりまぶしく見えてしまうのだろう。だからこそ魁利としては明るく楽しく圭一郎と接しながら、兄を救う手立てとして快盗にならざるを得なかったルパンレッドとしては警察として正道を進むパトレン1号に厳しく当たってしまう……。
 一方、圭一郎もノエルとの決闘を経て盗人にも三分の理と思い至る。そしてギャングラーによって魁利が兄を失ったことも知ったことで、彼の心の陰・危うさをなんとか支えられないかと動くのだが……その行動力・優しさがまた魁利の心を揺さぶってしまう! こうしたすれ違いのドラマ・心の機微が我々を引きつけるのだ。


 しかしこの魁利の激しい意志がアルセーヌ・ルパンの末裔が求めるもののひとつであることが判明したのが#34「伝説の銃」だ。
 ルパンが愛用したという伝説の銃・ルパンマグナムの封印を解く関門は、「大切な人」を撃ち抜くことができるのか?! 初美花や透真、そしてノエルですらも幻とわかっていながら銃口を向けることができなかった……さらに優しい言葉をかけられたら感情に流されてしまうのが人というものだろう。
 だが魁利は違った。自らの行動から兄を失ったと責任を強く感じるからこそ、どんなことをしてでも兄を取り戻す意思も強く持ち続けているのだ。VSチェンジャーのトリガーを引いた勇気ある者・魁利に与えられたルパンマグナムは分厚い岩壁を撃ち砕く強大な破壊力を持つマグナムモードと、ルパンレッドの指示に従い戦う自律型ロボットモードのふたつを併せ持つルパンコレクションだ! ――このルパンマグナムも両腕をダイヤルファイターに換装することで戦力をアップさせることができる合体システムに組み込まれている――
 大きな目的のため非情に徹することができるか……ルパンやコグレ氏はその資質を魁利に見いだしたようだが、筆者には彼の行動が切迫したこの事態をなんとしても打開しようともがいた末の結果に見える。これは人がヒーローへと変革する重要な道程であるのだろうか……。


 魁利の意思の強さがアルセーヌ・ルパンの興味を引き起こしたが、その強さは命を軽く見積もる危うさにもつながっている。危険に首を突っ込む魁利を戒めるつかさ。彼女は父に憧れ警察官となったが、ふたりの間には任務に際しても生命を第一にするという約束があったのだ(#24「生きて帰る約束」)。
 しかしそれでもルパンレッドは戦いのなか、命を失う可能性の高い道を選び続ける。つかさにとっては自殺行為にも等しい彼の行動は理解しがたいものなのだ……。


 勇敢と無謀は違うもの。しかしその境界をすり抜けなければならないのがギャングラーとの戦いだ。この綱渡りのような魁利の戦いと心の揺れを透真・初美花・ノエル・咲也・つかさ、そして圭一郎はいかに受け止めて彼にどんな思いを返してゆくのか……。
 ますます激しくなる三つ巴の戦いの行方とともに、快盗戦隊と警察戦隊のメンバーが織り成すドラマに注目して終盤もじっくりと楽しんで見てゆきたい。


(了)


合評3 『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』後半所感

(文・戸島竹三)

第37話『君が帰る場所』に唸った。


 『シン・ゴジラ』(2016)の「内閣総辞職ビーム」に匹敵するパワーワード、ギャングラーの怪人ヤドガンの「強制帰宅ビーム」(空間をねじ曲げ、標的を無理やり家に帰らせる能力)が登場。ツイッターには、「俺も強制帰宅したい」と叫ぶ、日曜の社畜の群れ。
 一見、レオタード回(27話)に匹敵するコメディ―かと思いきや、ただ1人、魁利=ルパンレッドだけがビームの影響を受けないという驚きの展開。同じような境遇の仲間2人は、仮の宿であるアジト兼店舗でも「帰るべき、安らぎの場所」と認識できる、ある程度の精神的ゆとりがある。だが、魁利には、それがない。
 それほどまでに、彼の抱える闇(兄へのコンプレックス、罪悪感)は根深いという事実を浮き彫りにした、まるで『バットマン』のような鬱エピソードだった(圭一郎=パトレン1号に兄の面影を重ねてしまう描写も秀逸)。
 さらに言うなら、魁利だけビームが通用しなかった理由を、あえて明確にしなかった点も凄い(おかげで、筆者はこういうグタグダ感想文を書けた)。
 その魁利が、押し掛け兄貴・圭一郎とどうなるのか(薄い本的な意味も含め)期待したい。

やっとノエルの過去が


 これを書いているのが2018年12月14日(金)。ノエルの正体については推測するしかないのだが、正直ここまで過去を匂わせる描写が少なかったとは意外。まぁキャラ立ちは抜群なので、失敗ではなかったが(むしろ、それが過去話を外した原因?)。ルパンだけにクローンなんてベタな説もあるが(アニメ映画『ルパン三世vs複製人間(78)』)、果たして?
 ちなみに脚本家の三谷幸喜が『朝日新聞』の連載コラムで本作を評価していたが、敵対するグループ間を行き来して上手く立ち回るキャラって、いかにも三谷作品っぽい。ノエルのルックスも山本耕史(三谷作品の常連俳優)っぽいし。


(了)


合評4 『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』後半寸評

(文・フラユシュ)


 楽しんで観ているが、ギャグ話の割合があまりにも多く、話が進展していないような心配もある。そろそろ真のラスボスを決めねばならないのだろうが、ギャグばかりやってて本筋がほんの少ししか進んでいないような気もする。
 このままだと敵首領ドグラニオ・ヤーブン、本当にただのバカが決定しそうだな。氷の怪人・ザミーゴがかなり長い間出なかったのも、スタッフがギャグ話作るのに夢中になりすぎておざなりになってしまっているのでは? と邪推してしまう。
 が、ザミーゴに消されたエビ怪人が予告編で復活しているのは、氷漬けにしたやつを消滅させるわけではなく、一時的に消して出したいときに出せるってことで、大切な人復活への伏線か。けれども予告編でやるか……。
 ただそれでも、ルパンレッド=魁利のたとえ幻影だとしても、実の兄でも撃てる覚悟や俺には帰る家はどこにもないというところなど彼の心の闇がかなりエグく、最終回は彼だけ怪盗続けるオチもありうる? ラストが駆け足にならなければいいが。


 で、執筆時点の最新話数まで。まさか後半までギャグで引っ張るとは。
 やっとここに来て共同戦線にて敵幹部デストラ殉職。さすがにボスも喪に服すか……。
 話動くかと思いきや、次回はネット動画版かなんかの話の幻の先代パトレン2号がノエル(=ルパンエックス=パトレンエックス)の秘密をめぐり波乱を起こす。うーむ個人的にこの人選はどうなんだろう。今の子供たちは雑誌か熱心な親のおかげで知ってるんだろうか? 筆者全然知りませんでした。自称特撮ファンとしてはまぁアレですが、何も知らないよりはという感じでしょうかね。予告編でもう少し触れて欲しかったが。


 ここで緊張感ある展開になりつつも、正直誰がラスボスかいまだ不明。なんとなく敵側ではライバル・ザミーゴ以外大きく動きそうにないが、やはりヒーロー側で悶着ありそうだな。
 で、観るとなんとノエルは人間ではない!? そう来るか!! あと伏線というか今回怪人、第1話で凍らせていたモブ(群衆)の皮使っていたとか。取り戻したい人たちの生存率下がりまくりだなー。
 まぁ今回のスパイ騒動、なんとなく誰かは読めるが、初期から情報流してる奴いることは示唆されていたのだから、こんな後半じゃ少し後手に廻りすぎのような?


(了)


合評4 『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』中盤評

(文・久保達也)
(18年11月2日脱稿)

すべてをひっくりかえす新戦士登場!


 かの大快盗、アルセーヌ・ルパンが収集していた、強大な力を秘めるルパンコレクションなるお宝を、異世界からの盗賊集団・ギャングラーから奪還することで、それぞれ兄・婚約者・親友を取り戻そうと、「私」的な動機からギャングラーと戦う快盗戦隊ルパンレンジャー。
 同じくギャングラーを敵視しながらも、世間を騒がす快盗であるルパンレンジャーもまた、市民の平和をおびやかす存在であるとして看過(かんか)できないと、「公(おおやけ)」的な動機からルパンレンジャーの逮捕に執念(しゅうねん)を燃やす警察戦隊パトレンジャー。
 ルパンコレクションをめぐる三つ巴(どもえ)の争奪戦が繰りひろげられてきた『快盗戦隊ルパンレンジャーVS(ブイエス)警察戦隊パトレンジャー』(18年)だが、第20話『新たな快盗は警察官』以降、従来のスーパー戦隊シリーズにおける「6番目の戦士」にあたる新キャラが登場することとなった。


 あさはかな筆者としては、『ルパパト』は第2クール終盤でルパンレンジャーとパトレンジャーが早くも和解して共闘するようになり、追加の新戦士は彼らとはまた立ち位置が異なる第4勢力として登場するのでは? などと当初予想していたのだが、実際に登場した新戦士は、そんなものをはるかに超越する存在だった。
 新戦士・高尾(たかお)ノエルは、国際警察フランス本部に所属する「潜入捜査官」である一方、ルパン家の末裔(まつえい)につかえる執事(しつじ)・コグレや、マスコットメカ・グッドストライカーとも面識があり、ルパンコレクションのエンジニアでもあるという、れっきとした「快盗」でもあるのだ。
 いくらフランス本部所属とはいえ、「ボンジュール」だの「セボン」だの「メルシー」などとフランス語を連発し、好きな食べものはエスカルゴ(笑)とホザき、「僕たちは春のひだまりのような友情を築(きず)くんだから」(爆)などと、やたらと人なつっこい笑顔でルパンレンジャーにもパトレンジャーにも愛嬌(あいきょう)をふりまくノエルの胡散(うさん)くささには、かのイソップ童話で描かれた鳥類と哺乳(ほにゅう)類の戦争話における、コウモリ的な立ち位置が存分に表現されていた。


 これでは双方から信頼されるハズもなく、夜野魁利(やの・かいり)=ルパンレッドからは「たがいに利用しあう間柄(あいだがら)」などと、鼻で「フン」と冷笑され、朝加圭一郎(あさか・けいいちろう)=パトレン1号からは「快盗だと!!!」と、エラい剣幕(けんまく)でギャースカ吠(ほ)えられる(爆)のも当然なのだが、これは実に確信犯的なキャラクター設定となっているのだ。
 ノエルを演じる元木聖也(もとき・せいや)のルックスは、あくまで個人的にではあるのだが、特に笑顔の表情には『仮面ライダードライブ』(14年)の主人公・泊進ノ介(とまり・しんのすけ)=仮面ライダードライブを演じ、現在超売れっ子俳優となってしまったがために、歴代仮面ライダー総登場! をウリにする『仮面ライダージオウ』(18年)へのゲスト出演はほぼ絶望的かと思える竹内涼真(たけうち・りょうま)を金髪パーマにした(笑)かのような印象が強いのだ。
 圭一郎同様の熱血刑事だった進ノ介を演じた竹内氏に酷似(こくじ)した元木氏が、進ノ介とは実に好対照なノエルを熱演しているのには、決してイケメン好きではない筆者(爆)からしてもおもわず注目せずにはいられないものがあり、このキャスティングもまた実に巧妙というべきか?


 元木氏は集英社『少年ジャンプ』連載の人気マンガでアニメ化もされた『テニスの王子様』のミュージカルをはじめ、これまで舞台の出演が多かったこともあってアクロバティックな動きを得意としているようであり、初登場の第20話冒頭で「僕も快盗さ」と、ノエルが魁利の眼前で市民たちのスマホを盗んでしまう場面の路上での宙返りや、ルパンレンジャーが拠点(きょてん)とするビストロ・ジュレの店内で披露する宙返りも、氏が吹き替えなしで演じているようだ。
 このノエルのアクロバティックな「回転」アクションは、変身アクションや巨大ロボの描写にまで徹底されているのである。
 ノエルはX(エックス)チェンジャーなる銃型の変身アイテムを所持しているが、銀と金で構成された本体を「回転」させ、銀の部分を前方に向けて「快盗チェンジ!」と叫ぶことで全身シルバーのルパンエックスに、金の部分を前方にして「警察チェンジ!」と叫ぶと全身ゴールドのパトレンエックスに変身するのだ――なお、銀と金はそれぞれルパンレンジャー、パトレンジャーのシンボルマークの色を出自としているのも絶妙だ――。
 ルパンエックス変身時には「孤高(ここう)にきらめく快盗」、パトレンエックス変身時には「気高(けだか)く輝く警察官」と、ノエルはキザったらしい名乗りセリフと連動して、やはりエレガントに(笑)全身を「回転」させるのである。


 また、ルパンレンジャーが飛行機型、パトレンジャーが自動車型のVSビークルに搭乗するのに対し、ノエルは銀色の新幹線型のエックストレインシルバーにエックストレインファイヤー、金色の蒸気機関車型のエックストレインゴールドにディーゼル機関車型のエックストレインサンダーに乗って活躍する。
 2018年で放映10周年を迎え、オリジナルビデオ作品『炎神(えんじん)戦隊ゴーオンジャー 10 YEARS GRANDPRIX(テン・イヤーズ・グランプリ)』(18年・東映ビデオ)が製作されたり、東映特撮YouTube Official(ユーチューブ・オフィシャル)で無料配信もされている『炎神戦隊ゴーオンジャー』(08年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080824/p1)の「炎神」なる機械生命体も、自動車型・飛行機型・列車型で構成されていたものであり、スーパー戦隊のフォーマット自体に大胆な構造改革を試みた『ルパパト』とはいえ、子供たちが好むモチーフを反復して取り入れる精神が忘れられていないのは好感がもてるというものだ。
 このエックストレインは4両編成の状態で格納庫で待機しているのだが、先述したXチェンジャーの「回転」アクションとターンテーブルの動きが連動しており、ルパンエックス変身時はエックストレインシルバーが、パトレンエックス変身時にはエックストレインゴールドが前方になるよう、ターンテーブル「回転」して発車=出撃するのである。


 さらに、この4両がX字に交差した線路の上でX字状に合体することでエックスエンペラーなる巨大ロボとなるのだが、上半身が銀・下半身が金のエックスエンペラースラッシュが、分離・合体を繰り返すことなく、なんと側転することでそのまま上半身が金・下半身が銀のエックスエンペラーガンナーにチェンジしてしまうのだ。
 エックスエンペラーを「回転」させても同じ形である「X」字に見立てた、CGによるチェンジ描写はわかりやすくて遊び心にもあふれており、子供たちには大好評を得られているかと思えるのだが、これこそ快盗でもあり、国際警察でもある、ノエルの立ち位置を端的に象徴するものだろう。
 変身前の等身大アクション、変身&名乗りアクション、さらにはメカ描写に至るまで、ノエルの動きがひたすら「回転」で徹底されているのは、ギャングラーを共通の敵としながらも、これまで対立してきたルパンレンジャーとパトレンジャーの関係性をひっくりかえす=好転させる役割を、ノエルが担(にな)っているからにほかならないだろう。


イベント性とドラマ性の絶妙なる両立


 第13話『最高で最低な休日』での早見初美花(はやみ・うみか)=ルパンイエローと明神(みょうじん)つかさ=パトレン3号、第17話『秘めた想い』での初美花と圭一郎など、第2クール序盤あたりでもルパンレンジャーとパトレンジャーの関係性に変化の兆(きざ)しが見られたかのような描写があったが、ノエルが登場して以降、それは回を重ねるごとに大きな動きを見せることとなった。


 一方、第20話ではルパンレンジャーの合体ロボ・ルパンカイザーの右腕にエックストレインサンダー、左腕にエックストレインファイヤーが合体したルパンカイザートレインズ、第21話『敵か味方か、乗るか乗らないか』ではパトレンジャーの合体ロボ・パトカイザーの両腕にやはりエックストレインサンダー&ファイヤーが合体したパトカイザートレインズが誕生、第22話『人生に恋はつきもの』ではルパンカイザーもパトカイザーも登場せず、先述したエックスエンペラーの活躍が単独で描かれた。
 また第23話『ステイタス・ゴールド』以降、3週に渡ってギャングラーの最強怪人トリオとしてライモン・ウシバロック・ギーウィが登場し、第25話『最高に強くしてやる』では、ついにグッドストライカーを中心に、ルパンレンジャー&パトレンジャー各3機のVSビークルと、エックストレイン4両が合体した巨大ロボ・グッドクルカイザーVSX(ブイエスエックス)が誕生した。


 もちろんこれらの展開は、玩具がよく売れる夏休みの時期――近年は正月のお年玉並みに、盆の時期に祖父母が孫にこづかいをあげる「お盆玉」なる習慣がすっかり定着したことも追い風となっているのであろう――にあわせて、毎年恒例(こうれい)で連打されるイベント編の一環であることは確かである。
 だが、ノエルがルパンレンジャーとパトレンジャーの双方から段階的に信頼を得たり、ノエルが橋渡しとなって双方のメンバーの関係性に変化が生じたり、それらが良い化学反応となるかたちで、ノエル抜きでも第24話『生きて帰る約束』のように、魁利と同じく幼いころに両親を亡くして祖父母に育てられたと語ったつかさを、魁利が自己と同一視して心の変遷(へんせん)が生じるなどの展開が点描されたことが、よりイベント編を盛りあげることとなったのだ。


 第21話ではノエルが平和のために戦う覚悟を持っていると認識した圭一郎が、ラストで早くもノエルと握手をかわし、第22話では初美花との恋のキューピッドになろうとしたのが、初美花がギャングラーの怪人にとらわれる原因となったことに自責の念を示したノエルに、誠意の深さを感じた陽川咲也(ひかわ・さくや)=パトレン2号が、いっしょに初美花を取り戻そうと、逆にノエルを元気づけるまでに至っている。
 そして第23話では、ウシバロックと料理対決(笑)となった宵町透真(よいまち・とおま)=ルパンブルーを「プロの料理人の顔だったよ」と評し、同じくルパンコレクションを扱うプロだと自称するノエルに、透真は戦闘中に破損したVSビークルを預けることとなった。
 初美花に「ノエルのこと、信じるようになったんだ?」と問われた透真が無言のまま、じっとVSビークルを見つめるラストシーンは実に感慨深いものがあるが、「子供番組」の割には冗長(じょうちょう)な説明セリフがほとんどなく、こうした役者の表情演技や、キャラがつぶやくように放ったちょっとしたひとことのみで、視聴者にその心情を理解させてしまう本編演出は、その分の浮いた尺でアクション演出や特撮演出を充実させることにもつながっており、実は「ドラマ主導」なのであろう印象を良い意味で打ち消して、爽快な活劇エンタメ性を高めるまでに至っているのだ。


 それにしても、第25話でノエルがルパンレンジャー同様に、大事な人を取り戻したいがために快盗になったと魁利に告白し、「これで信じてくれた?」と念押しするも、「そういうの自分で云うのが信じられない」とした魁利の感情は実にリアルなものであり、共感した視聴者も多かろう。
 元々パトレンジャーに対してすらも、やや協力的な態度を示す姿が見られた初美花や、先述した第23話で描かれたように、普段はクールであるも、義理人情・恩義を重んじる傾向が強い透真とは異なり、魁利だけはノエルに信頼の情を寄せたりはしないのだ。
 それどころか、第21話ではルパンレッド=魁利はノエルのことを、「誰かと違ってひきょうなおまわりさん」とまで評している。「誰か」とは魁利がそのアツ苦しさからうっとうしがってはいるものの、いつしか「圭ちゃん」と呼ぶようになったほど、常にひたむきでまっすぐなその姿勢だけは認めている圭一郎のことであり、魁利はノエルを圭一郎以下の存在として認識しているのだ。
 その一方、「ま、いいんじゃね? 利用したりされたりの関係で」と、目的を果たすためなら信頼できないノエルとの共闘もアリだとして、魁利はクール&ドライに割りきってみせたのだ。


 こうしたルパンレンジャーの三者三様のスタンスの違いは、第34話『伝説の銃』でさらに表面化することとなった。
 アルセーヌ・ルパンお気に入りの赤い銃・ルパンマグナムを入手するための試練として、魁利・透真・初美花の前に、それぞれ兄・恋人・親友の幻影が現れ、自分を狙撃するよう彼らに迫る。
 どうしても撃てなかった透真と初美花とは異なり、魁利は兄との思い出の場所である体育館ごと兄を撃つ(!)ことで快盗としての覚悟を見せ、それを認めたルパンの影からルパンマグナムを授(さず)かったのだ。
 『仮面ライダービルド』(17年)の終盤(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20181030/p1)で主人公・桐生戦兎(きりゅう・せんと)=仮面ライダービルドの「父超え」の物語が描かれたように、これとて魁利にとっての立派な「兄超え」の物語なのだろう。
 「オレって快盗向いてんじゃん!」とするセリフ自体は実に軽薄でも、魁利が目的のためなら手段を選ばないほどの非情さをも垣間(かいま)見せたこの描写は、確かに「子供番組」としてはギリギリではあるのだが、キャラの掘り下げとしては秀逸(しゅういつ)だったように思える。


 なお、第25話ではルパンレンジャーたちの大事な人を奪ったザミーゴ・デルマが久々に姿を見せるが、協力を求めるライモンに対し、「おまえはオレを手のうちに置きたいだけだ」と、まさに本心ではノエルに対してそう云いたいのであろう魁利の心情を、敵であるザミーゴが代弁しているかに見えるほど、ザミーゴ&ライモンの関係性を、魁利&ノエルと重ねあわせて描いていたのは実に絶妙だった。
 さらにこの回では、最強怪人のライモンを倒すことを最優先したつかさが、ライモンが持つルパンコレクションをルパンレンジャーが奪うのを援護すると圭一郎と咲也に進言、ルパンレッドに「手を貸す。必ずコレクションを取れ!」と、あまりにもカッコよく云い放つ!
 登場キャラたちの関係性の変化や心の変遷の積み重ねこそが、これまでグッときた方の戦隊についてきたグッドストライカーに、「みんなの力を合わせちゃおうぜ!」と思わせるに至り、グッドクルカイザーVSX誕生! となったワケだが、この密度の濃さはスーパー戦隊史上でも上位を争うほどではあるまいか?


 もっとも圭一郎=パトレン1号だけは、それでも快盗と手を組むことにガマンができず、合体してコクピットの席が隣どうしとなったルパンレッドと口論をやらかしたことから、グッドストライカー=グッティによって「席かえま~す!」(笑)と、ルパンレッドの隣はルパンレンジャーの援護を進言したパトレン3号=つかさに替えられてしまうのだが、ただひとり、断固として信念を曲げようとしない、この頑固(がんこ)一徹な姿こそ、圭一郎、いや、圭ちゃんの最大の魅力だと云っても過言ではあるまい。
 実質的には総集編だった第29話『写真は記憶』で怪人に記憶を奪われ、後輩の咲也や上司のヒルトップ管理官、マスコットメカのジム・カーターらのことは忘れても、ルパンレンジャーの写真にだけは反応を示した圭ちゃんは、記憶を取り戻すや開口一番、「おのれ快盗~~~!!!」(爆)と絶叫したほどだが、これはルパンレンジャーとパトレンジャーの双方にいい顔をしようとするノエルとの絶妙な対比となり、その後魁利の圭ちゃんに対する印象は急変していくのだ。
 ノエルが自分で主催した歓迎会(笑)で、夜空にあがった花火を見つめる魁利と圭ちゃんが視線をかわし、ともに笑顔となるラストシーンは、近年の深夜アニメでキャラの関係性の変化を象徴する終盤の描写として定番となっているものではあるのだが、魁利と圭ちゃんの関係性は、これでそのままハッピーエンドとなるワケではないのである。


「魁利くん」と「圭ちゃん」はどこへ……


 夏休みと称して隠密(おんみつ)捜査でひとり温泉に旅だった圭ちゃんを、ノエルの依頼で魁利が偵察(ていさつ)する第30話『ふたりは旅行中』で、魁利の圭ちゃんに対する感情に劇的な変化がおとずれる。
 迷子になった少女を見かけた圭ちゃんは少女を交番に連れていくが、魁利は幼いころに兄とふたりで旅行した際、魁利をひとりにして同じように迷子の親を捜しに行ってしまった兄のことを思いだしてしまう。
 それまで昼メシをおごってくれた圭ちゃんに「ありがちゅ~~」とホザいたり、迷子の表情をこわばらせてしまった圭ちゃんの両頬(ほほ)をツネって「圭ちゃん、愛嬌(あいきょう)がないよ笑顔に」と変顔にしたりと、旅情感あふれる景勝地(けいしょうち)でさんざんハシャギまくっていた魁利は、圭ちゃんに「本当にどうした?」と心配されてしまうほど、鬱(うつ)な表情をして橋でたたずんでしまうのだ!
 ジュレでの日常場面、特に初美花とからむ描写では表情や言動がかなりチャラくて少々ヤンキーチックな魁利だが、兄を想う場面になると一転してシリアスな表情を見せるような、魁利役の伊藤あさひによる器用な演じわけが、今回は最大の成果を見せたといっても過言ではないだろう。


 よりによって敵であるハズの圭ちゃんを兄=大事な人と同一視してしまった魁利は、圭ちゃんが盗賊団から取り戻した消防車型のVSビークルをルパンレッドとして奪い、パトレン1号=圭ちゃんと対決するも、「おまえにしては甘い戦い方だな!」と云われてしまうほど、動揺の色を隠せない。
 ギャングラー怪人の火の海作戦で市街地に大火災が発生したというパトレン3号からの通信に、VSビークルの奪還よりも消火活動を優先したパトレン1号は、航空機型のVSビークルでルパンレッドが現地に急行した方が早いと主張、現地の方角を指して「行けぇぇぇ~~~!!!」と絶叫する!
 協力を要請するというよりは完全な命令口調ではあったが、迷子を見捨てることができずに方々(ほうぼう)を駆けまわった兄のように、火災に見舞われる市民たちを見捨てることができないパトレン1号=圭ちゃんに、再度兄の姿を見てしまったルパンレッド=魁利がそれを断れなくなり、即座に現地に飛んでいくカタルシスあふれるクライマックスは、本編ドラマと特撮アクションが華麗に融合をとげた絶品な名場面となった。
 「似てんじゃねえよ。めんどくせぇ……」と、やさぐれたセリフをボソッとつぶやきながらも、魁利が複雑に揺れる胸の内を表情で示すラストシーンは、まさに『ルパパト』のターニングポイントと呼ぶべきものだろう。


 一方の圭ちゃんにも、第32話『決闘を申し込む』で最大の転機がおとずれる。
 5つもの金庫を持つ最強怪人が登場、これを倒すには5つの金庫を同時に開けて中のルパンコレクションを取りださねばならず、ノエルを含めても4人しかいないルパンレンジャーとしては、あとひとり誰かに協力を求めねばならない。
 ノエルがパトレンジャーに協力を要請するも、快盗のために多くのギャングラーを取り逃がし、被害を拡大させることになったとして、断固としてそれを拒(こば)む圭ちゃんに、ノエルは決闘を申し込み、ノエルが勝ったら快盗に協力すると約束させる。


 「力ずくなら正しいも正しくないもないからな」なるつかさのセリフがまた実に深いものがあり、話しあうだけムダだとしてはじまった戦争に、「正義」「悪」という概念は決して存在しないということを、たったひとことボソッとつぶやくだけで核心をズバッとついてしまうような演出が、『ルパパト』には実に多い印象が強いのだ。
 第31話『自首してきたギャングラー』で、コミカルな怪人を信用しつづけるつかさについて、「時間が経(た)つほど傷はいっそう深くなる」と、その後の展開を見事に云い当てることとなった透真のセリフもまた然(しか)りだ。


 洞窟(どうくつ)内でパトレン1号と決闘となったルパンエックス=ノエルは、戦闘中に「大事な人を取り戻す」ために快盗になったと明かすが、「そういうの自分で云うのが信じられない」とした魁利と、パトレン1号=圭ちゃんは180度真逆の反応を示すのだ。
 なんと、圭ちゃんはここで序盤の第5話『狙われた国際警察』で、「オレたちはこれしかないから(快盗を)やってんだ! 正論なんかどうでもいいんだ!」と、ルパンレッド=魁利が叫んでいたのを回想してしまう。
 「理由はどうあれ、快盗という手段を選んだ時点でおまえたちはまちがっている!」と、あのとき激アツに叫んだハズの圭ちゃんが、ノエルに対してはそうなるどころか動揺すら見せてしまい、その一瞬の隙(すき)をつかれたことで、圭ちゃんはノエルとの決闘に敗北するのだ。
 圭ちゃんがノエルたちに協力したことで視聴者には決闘の結果がわかるとはいえ、あえてラストまでそれを隠した演出がまた絶妙だったのだが、あのとき「理由はどうあれ」としていた圭ちゃんも、ルパンレンジャーが快盗を選んだ理由を早い時点でつかんでいたならば、魁利を「まちがっている!」と非難することもなかった可能性すらも考えられるほど、圭ちゃんは単なる正義感のかたまりではなく、やはり人情味にあふれるキャラであるという事実が明白になったというところだろう。
 第25話につづき、合体ロボ・グッドクルカイザーVSXでのルパンレンジャーとパトレンジャーの共闘が再度描かれたこの回では、席替え(笑)が行われるどころか、コクピットで隣どうしの席となったルパンレッドとパトレン1号が、「一気にキメるぞ!」と声をそろえ、背後に座るノエルから「いいコンビだね」と評されるまでに至るのだ。


ルパンレッド「これ使いなよ」
パトレン1号「押収すると思わないのか」
ルパンレッド「そんなひきょうなことしないでしょ」


 怪人の5つの金庫を同時に開けるために、ルパンレッドが自身のコレクションをパトレン1号に貸し与える場面で見られたやりとりだが、これも先述した第21話のルパンレッドのセリフとの絶妙な係り結びとなっており、魁利にとっての圭ちゃんは、ノエルのように単に利用したりされたりという関係ではないのだ、と解釈してよいだろう。


 第35話『良い人、悪い人、普通の人』では、前回の第34話で登場したルパンマグナムが、さっそく全身が赤いロボモードへと変型、以降の回ではルパンレンジャーのVSビークルと合体することで、巨大ロボのバリエーションを着実に増やしている。
 さらに第38話『宇宙からのコレクション』では、新たなルパンコレクションが宇宙からやってきたのみならず、ノエルがスーパールパンエックスとしてパワーアップをとげることとなった。


 バンダイから課せられた玩具の販促(はんそく)ノルマを器用にこなしつつ、登場キャラのさまざまな思惑が複雑に交錯する群像劇を巧妙に点描してきた『ルパパト』も、早くも最終展開が近づいてきたが、「魁利くん」と「圭ちゃん」の関係性が、果たしてどのようなかたちで着地するのか、それこそが視聴者の最大の関心事ではないのだろうか?


(了)
(初出・『仮面特攻隊2018年秋号』(18年11月4日発行)~『仮面特攻隊2019年号』(18年12月29日発行)所収『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』中盤合評1~5より抜粋)



『假面特攻隊2019年号』「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」中盤評関係記事の縮小コピー収録一覧
・デイリースポーツ 2018年1月13日(土) 元モー娘。工藤遥 戦隊ヒロインに変身(大枠記事)
・スポーツ報知 2017年12月26日(火) 快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー 史上初のW戦隊(大枠記事)
朝日新聞 2018年6月28日(木)夕刊 三谷幸喜のありふれた生活880 「戦隊」から目が離せない
東京新聞 2018年10月20日(土) 「戦隊見てます」子どもに人気 温水、顔ほころばせる


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  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190402/p1

『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー en film』合評

  (近日中にUP予定)

『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』中盤合評 ~新戦士ルパンエックス(パトレンエックス)・ノエル君が絶妙!

  (当該記事)

『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』終盤評 ~優劣ではない個と公!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190405/p1

『4週連続スペシャル スーパー戦隊最強バトル!!』評 ~『恐竜戦隊ジュウレンジャー』後日談を観たくなったけど、コレでイイのだろう!?

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パワーレンジャーFOREVER RED』(02年) ~坂本浩一監督作品・戦隊を逆照射!

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