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ガーディアンズ 〜酷評のロシアのスーパーヒーロー集合映画を擁護する!

(2018年9月8日(土)UP)
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ガーディアンズ

(18年1月20日(土)・日本封切)

酷評のロシアのスーパーヒーロー集合映画を擁護する!

(文・T.SATO)
(18年6月16日脱稿)


 アメコミ洋画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(14年)シリーズではない。なんとロシアのスーパーヒーローチーム集結映画である。キャッチコピーも、


 「日本よ、これが露(ロシア)映画だ。」(笑)。


 コレはもちろんマーベル社系アメコミヒーロー大集合映画『アベンジャーズ』(12年)のキャッチコピー、「日本よ、これが映画だ。」のパクリではある。
 なのだが、このコピー自体が我らが日本特撮の快作映画『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』(11年)のキャッチコピー、「世界よ、これが日本のヒーローだ!!」の本歌取りであったことを、みんな忘れているゾ。てか、そもそも知られてない?(汗)


 ヒーローとしては4人所帯。


・手の甲からカギ爪を出すX−MENのマッチョなオジサンキャラを少々想起させるヒゲ面のムサい中年は、念動力(磁力?)で石材や鉱物を自在に宙へ浮かせて飛ばし、拳と腕には膨大な瓦礫をまとって、ウルトラ怪獣・EX(イーエックス)レッドキングのように極太長と化した巨腕と巨拳で敵を殴りつける!


超人ハルクを連想させる科学者の兄ちゃんは、ゾアントロピー(獣人化現象)を起こすと、上半身の服がハダけてムキムキマッチョに膨張した裸体をさらし、顔面から両肩が獣毛におおわれたムクつけきクマさんと化して大暴れ!


・DC社のアメコミヒーロー・フラッシュそのまんまな、眼にも止まらぬ超高速で俊敏に移動できる東洋人(だよネ?)の青年は、鎌のような半月刀を二刀流で用いてバッサバッサと敵を斬り裂いていく!


ファンタスティック・フォーの紅一点キャラみたいなクールビューティー・痩身長身の白人美女は、水中をスイスイ泳いで透明人間にもなり、高い身体能力&戦闘力も誇る!


 映像&アクション面では、冒頭に『攻殻機動隊』などでも見たことあるような重厚感・金属感・実在感あふれるCG表現のミリタリックな多脚型戦車が登場して、ジャンル作品のお約束で車輪は超小さいのにインチキにも超高速で走行する!(笑)
 ロシアの各地を舞台に、山間の斜面の森林、ピーカン晴天下の白く乾いてヒビ割れた超広大で平坦な湖底、さらには屋内や屋外で、アクロバティックな超人アクションを戦闘員や強化兵や特殊車両を相手にバッタバッタと大披露!
 あげく、ラストバトルの舞台は、白昼のガラス張りの近代的な超高層のっぽビルで、ついにはそれが横倒しで倒れていくリアルなCG特撮も見せてくれる!


 はてさて、こーいう本作みたいな「メジャー感」というオーラがない作品は、往々にして最初から先入観で下に見られて、マニア間ではボロクソに叩いてもイイ映画として扱われがちだ。ググってみると、やはり本作はボロカスにCG特撮やアクションや演出がチャチで、粗や矛盾や飛躍があると酷評されている。
 たしかに、ハリウッドの大作アメコミ洋画は、カネ&手間をかけたCG特撮&アクロバティックなアクションという側面ではチャチさはナイ。
 しかし、筆者に云わせれば、アメコミ洋画もDC社作品であろうがマーベル社作品であろうが、日本特撮に負けじ劣らじ(笑)、カナリ粗や矛盾や飛躍や作劇的な瑕疵(かし)があったり、バランスやまとまりの悪い作品もあって玉石混淆だとも思うゾ。続編や連続シリーズ作品に至っては、前作での予告と本編に矛盾が生じている作品すらある。


 すでに今となっては、(特にマーベル社の)アメコミ洋画自体がブランド・権威、悪い意味での保守本流ヒエラルキーと化していて、観客やマニアの方でも虚心坦懐ではなくバイアスのかかった見方や思考停止に陥っている面もあるようにも思う。本作よりも面白くないアメコミ洋画だって、けっこうあったと思うのだが(汗)。


本作はドラマ性がウスいのか!? 出自設定的にはむしろ濃ゆいのでは!?


 本作にはドラマ性がウスいという批判もある。筆者個人はドラマ至上主義者ではないので、このテの娯楽活劇作品に辛気クサいドラマが必須だとは思わないけど、いやいやいや、本作にもドラマ性は一応はあったでしょ(笑)。
 そもそも彼らは、今から50年も前、前世紀の東西冷戦時代の旧ソ連の特殊機関で非人道的な遺伝子操作で改造されて誕生した、我らが日本の歴史的名作漫画『サイボーグ009(ゼロゼロナイン)』(64年)のような出自なのだ。加えて、不老もしくは長命の肉体となってしまって、その異形なる正体を隠すために、それぞれが他人と極力交わらず孤独に人里離れた土地に隠れ住んでいたり、サーカスの団員などの定住せずに各地を移ろうのがデフォルトな虚業の職業に就くことで糊口をしのいでいたり……。


 人前にあえて出ることや戦いなどは望んでいなかった彼らだが、冷戦終結から30年後に、50年も前の旧ソ連の「負の遺産」がよみがえり、新生ロシアに危機をもたらさんとする!
 その「負の遺産」とは、4人の産みの親でもある狂気の天才科学者! 彼は自身の肉体をも改造して、電気を操りハッキング攻撃をも可能とする悪の強敵超人と化していたのだ。この国家的危機に際して、ロシアの諜報機関のクールビューティーな姐御上官は、悪の超人に対抗できる因縁の前世紀の4人の超人を探し出していく……「父殺し」の物語が今始まる……といった導入部は、充分にドラマチックではあるまいか!?


 いやまぁアメコミ洋画のように、友人がほしかったからとか、給料が良さそうだったからとか、憧れのヒーローチームだったから加入した、みたいな脱臼した展開も充分アリではあるけれど。
 しかし、それらはもうアメコミ誕生以来の80年をかけて、あらゆるパターンをすでにヤリ尽くしてしまったジャンルの爛熟の果ての代物なのである。
 云うなればそれらの展開は、経済的ピークは過ぎて没落していく予感はあるも、日本でいうなら1980年代以降的な、まだまだ飽食で平和で徒花で高度大衆消費社会な先進国の民のゼイタクな実存上の悩みであったり、ナンちゃって的なメタや反則や楽屋オチねらいの浮き足立った展開なのである。
 よって、こーいうリアルな戦災の傷跡や圧制下の国家の民や貧困・飢餓・不幸・不遇や傷心にヒリヒリと苛まれて、懊悩する陰影のヒダヒダがあるヒーローの出自の方こそが、物語としては本来は王道・古典・普遍であったとは思うゾ。


 とはいえ、そのへんを本作は過剰に重苦しく描いていたワケでもなく、そこはやはり最終的には善と悪の超人たちのド突き合いのカッコよさ・暴力衝動の擬似的発散・爽快感の方をこそ優先するおバカな娯楽活劇作品ではある。
 あくまでもドラマ性は点描に留めて、サクサクと集結劇を進めて、その後の展開もカッタるくなりそうになる寸前になるや、敵さんが現れて脳みそキン肉なアクションにシフトするあたりも悪くない。
 むしろ、集結場面や人間ドラマ部分で空回りしてモタついたり、ウダウダ愁嘆場と化してしまうアメコミ洋画もままあることを思えば、本作の方がその点では拙(つたな)さは少ないようにも私見する。


本作の弱点。ラストバトルの尺がイマイチ短い! 突きや蹴りの一連が粘り足りない!(汗)


 とはいえ、個人的には大きな弱点に思えた点が一点。それはラストバトルの尺が短いことだ(笑)。
 ここを適度にクドくならない程度に粘って、敵vs味方の突きや蹴りの一挙手一投足をもう少しボリュームをもって描いてくれないと、先鋒や中堅の敵キャラとは異なるラスボスの強敵感、ラスボスとの最終バトルでの拮抗&苦戦、ついには大逆転といった爽快感・カタルシスが弱くなってしまうようにも思うのだ。
 このへんは脚本に描ききれるものではない、ドラマやテーマにも還元されない、撮影現場での本編監督とアクション監督の裁量やアイデアやこだわりになるのであろう。だが、こーいったところでの最後の一押しが、ラスボスの強敵感や憎々しげ感と、正義の超人たちのヒロイズムや凜々しさ、両者の力の図り合いや、善悪はいったん棚上げしたところでの双方の器量・度量の認め合いを際立たせ、ひいてはそれが観客の高揚や勧善懲悪感情を満たすことで、作品も彼ら登場人物たちの人物像も観客の心の中で完成・完結させることができるのだとも私見する。
 それを思えば、序盤〜中盤までのアクション演出の疾走感が、終盤ではもう一押しで失速してしまったようにも思えて惜しい。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2018年初夏号』(18年6月17日発行)〜『仮面特攻隊2019年号』(18年12月29日発行)所収『ガーディアンズ』評より抜粋)


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