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劇場版ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス ~ヒーロー大集合映画だが、『タイガ』最終回でもあった!

『ウルトラマンタイガ』序盤総括 ~冒頭から2010年代7大ウルトラマンが宇宙バトルする神話的カッコよさ! 各話のドラマは重めだが豪快な特撮演出が一掃!
『ウルトラマンタイガ』中盤評 ~レギュラー&ゲストの人間ドラマのみならず、ボイスドラマで描かれた3大主役ウルトラマンのドラマも本編に導入すべき!
『ウルトラマンタイガ』最終回「バディ ステディ ゴー」 ~タロウの息子としての物語たりえたか!?
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 ウルトラマンシリーズの正統番外編であるネット配信『ウルトラギャラクシーファイト』(19年)の第2弾『ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀』(20年)が、2021年5月26日(水)にBD&DVD発売記念! そして、同作にウルトラマンタイガも登場記念! とカコつけて、『劇場版ウルトラマンタイガ』評をUP!


『劇場版ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス』 ~ヒーロー大集合映画だが、『タイガ』最終回でもあった!

(松竹系・2020年8月7日(金)公開)
(文・久保達也)
(2020年8月31日脱稿)

*超豪華! 12人ものウルトラマンが大集結!!


 『ウルトラマンタイガ』(19年)の後日談の劇場版として本来2020年3月6日(金)に公開されるハズだった映画『劇場版 ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス』(20年・松竹)が、後述する事情で公開延期の憂(う)き目に遭(あ)い、2020年8月7日(金)にようやく公開された。


 近年のウルトラマンシリーズの劇場版は、直前作のウルトラマンのみがメインゲストであり、新旧2大ヒーロー共演ものではあっても先輩ヒーロー大集合! といった感じの特大イベント性が高い劇場版ではなかった。
 しかし本作では、『ウルトラマンメビウス』(06年)以来、長らく途絶えていたテレビ放映のウルトラシリーズを、ひさしぶりに毎年放映可能な製作体制で樹立した『ウルトラマンギンガ』(13年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200819/p1)以降、直前作『ウルトラマンR/B(ルーブ)』(18年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20180826/p1)、そして本作『ウルトラマンタイガ』までのウルトラシリーズ7作品に登場した主役格のニュージェネレーションウルトラマンが全員登場して勢ぞろい!!


ウルトラマンギンガ
ウルトラマンビクトリー
ウルトラマンエックス
ウルトラマンオーブ
ウルトラマンジー
ウルトラマンロッソ
ウルトラマンブル
・ウルトラウーマングリージョ
ウルトラマンタイガ
ウルトラマンタイタス
ウルトラマンフーマ


 そして、タイガの父で昭和の時代のウルトラマンであるウルトラマンタロウも含めて、合計12人ものウルトラマンが登場するのだ!


 しかも、本作では「声の出演」のみでなく、ウルトラマンギンガに変身する礼堂ヒカル(らいどう・ひかる)からウルトラマンタイガに変身する工藤ヒロユキ(くどう・ひろゆき)に至るまで、変身前の主人公を演じた役者さんが全員出演する快挙も成し遂げた!――ただし湊アサヒ(みなと・あさひ)=ウルトラウーマングリージョを演じた其原有紗(そはら・ありさ)は登場せず、グリージョの声のみを担当されている――


 もちろん本作の企画は、平成仮面ライダーシリーズの年末年始の新旧2大ヒーロー競演映画が興行的にも長期低落傾向にあった中で、直前作の仮面ライダーのみでなく、過去数作品の仮面ライダー複数名を変身前の役者さんも含めて客演させる方向性で、華やかさやイベント性や物語やバトルのスケールも拡大させて、そのタイトルも『仮面ライダー×仮面ライダー』シリーズではなく、『仮面ライダー平成ジェネレーションズ』シリーズに改めたことで、興行収入も右肩上がりに急増していった先例にならっての企画であったことはまず間違いはないだろう――加えて、製作会社・円谷プロ側の主導ではなく、玩具会社・バンダイ側からの売り上げ増が見込める商品点数を増やせるゆえの要望だったりして・笑――


 そういう意味では後追いのモノマネ。二番煎じの企画ですらある。
 しかし、アメコミ(アメリカンコミック)ヒーローが大集合する映画『アベンジャーズ』(12年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190617/p1)シリーズや映画『ジャスティス・リーグ』(17年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20171125/p1)に、女児向けアニメ『プリキュア』シリーズの歴代プリキュアが大挙登場する映画『プリキュア オールスターズDX(デラックス)』(09年)シリーズ(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20201227/p1)など、世界でも日本でもヒーロー大集合映画の企画がここ10年ほどは途切れることなく続いているではないか!?


 70年代~00年代初頭の日本の特撮評論では、シリーズ化やそれに伴うヒーロー共演自体が、ヒーローの神秘性・唯一絶対性を損なう「悪」とされていた時代があった(汗)。今さらではあるのだが、その論法は間違いであり、むしろ世界でも日本でも、そして昭和の時代でも、子供たちだけでなく人々は、時に巨悪に対しては作品を越境してヒーローたちが一致団結して立ち向かうという作品に興奮を覚えてきたのだ。つまりそれは、「普遍の心理」「普遍の真理」であり「普遍の方法論」でもあったのだ!


*『タイガ』の共生テーマを象徴するマグマ星人の大活躍!


 さて、テレビシリーズの『ウルトラマンタイガ』では地球人・宇宙人・アンドロイド・ウルトラマンなどさまざまな生命体の共存がテーマとして描かれていた。
 しかし、映画『劇場版 ウルトラマンR/B セレクト! 絆(きずな)のクリスタル』(19年・松竹・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190407/p1)でデビューを飾り、Web(ウェブ)ドラマ『ウルトラギャラクシーファイト ニュージェネレーションヒーローズ』(19年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200110/p1)でも継続して悪役として登場したレギュラー悪・ウルトラマントレギアにそそのかされ、地球での平和な暮らしを望んでいた宇宙人が悪へと落ちる話があまりに多かったために、個人的には正直今ひとつの印象を感じていたものだ――暗殺宇宙人ナックル星人や触覚宇宙人バット星人、幽霊怪人ゴース星人など昭和のウルトラシリーズでは凶悪だった宇宙人がそんな役回りだったために、よけいに違和感があった――。


 ただ、最終回(第25話)『バディ ステディ ゴー』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210606/p1)ではそのテーマの結晶として、悪の宇宙人の犯罪組織=ヴィラン・ギルドに所属していたサーベル暴君マグマ星人と宇宙商人(あきんど・笑)マーキンド星人が地球に迫りつつあった危機を前にそれまで敵対していた民間警備組織・E.G.I.S.(イージス)に協力・共闘し、そのまま就職するに至っている。
 今回の劇場版では導入部でマグマ星人とマーキンド星人がE.G.I.S.の一員として描かれることでテレビシリーズの続編であることが存分に示されているのだ。


 特にマグマ星人はE.G.I.S.の実働部隊としてヒロユキや正体は宇宙人である宗谷ホマレ(そうや・ほまれ)隊員とともに、「バラージの青い石」――初代『ウルトラマン』(66年)第7話『バラージの青い石』で砂漠の街・バラージを長年に渡って磁力怪獣アントラーから守ってきたアイテムが元ネタ――を博物館から強奪(ごうだつ)した三面怪人ダダが率(ひき)いる一団と対戦し、ホマレをダダの攻撃からかばって負傷するさまが描かれ、しかもホマレがマグマ星人を見舞いに行こうと主張する描写まであり(!)、そのキャラの立ち位置が完全に逆転していた。
 トレギアにそそのかされて悪へと転じた宇宙人たちよりも、元々悪だったキャラクターが正義側へと転じたマグマ星人の方がはるかに感情移入できるよな(笑)と実感したほどに、この場面は映画のツカミとしてもテレビの『タイガ』の続編としても有効に機能しているのだ。


 別個体ではあるもダダが『ウルトラマンジード』(17年)第18話『夢を継ぐ者』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200523/p1)で搭乗していた、元は映画『ウルトラマンゼロ THE MOVIE(ザ・ムービー) 超決戦! ベリアル銀河帝国』(10年・松竹・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20111204/p1)に登場したベリアル軍のロボット兵器で、全身にダダと同じく黒白の縞(しま)模様が新たに塗装されたロボット怪獣レギオノイド・ダダカスタマイズで夜の市街地を破壊したのも個人的には実にうれしいサプライズであり、ウルトラマンタイガ→ウルトラマンタイタス→ウルトラマンフーマと3段変身をとげるヒロユキとの戦いが描かれたことにより、その後の展開に期待をふくらませずにはいられなかったものだ。
 いやホントにダダカスタマイズ、劇場限定ソフビなどで出してほしかったものだけど、今はこういうキャラの商品化はお金持ちのマニアを対象にしたプレミアムバンダイくらいにしか期待できないのか?(苦笑)


*ピンチの度に次々と集結してくる先輩ヒーロー!


ヴィラン・ギルドのアジトに単身潜入したE.G.I.S.の女社長・佐々木カナの危機にはクレナイ・ガイ=ウルトラマンオーブが!
・テレビシリーズ終盤で正体がアンドロイドと判明した――その伏線(ふくせん)はまともに描かれなかったが(爆)――オペレーターの少女・旭川ピリカ(あさひかわ・ぴりか)が機能が狂って踊りつづけるや大空大地=ウルトラマンエックスが!
・湊カツミ(みなと・かつみ)=ウルトラマンロッソからの警護の依頼を受けたヒロユキが屋外のマーケットに出向けば、そこには出店する湊イサミ=ウルトラマンブルと朝倉リク=ウルトラマンジードが!
・本作のメイン怪獣である邪神魔獣グリムドに敗れたヒロユキが宙から転落するや、彼をガッシリと受けとめるショウ=ウルトラマンビクトリーと礼堂ヒカル=ウルトラマンギンガが!……


 メインキャラの周囲に次々と強者が集結するさまは、本作と同じく近年の仮面ライダー役者を揃えることでおおいに盛りあがり、興行的にも大成功した映画『仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL(ファイナル) ビルド&エグゼイド with(ウィズ)レジェンドライダー』(17年・東映http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20171229/p1)には及ばないまでも、それと同趣向の作劇ではあった。


 特にガイがカナ社長をお姫さまダッコ(笑)してカナの足を利用して宇宙人を蹴散らすさまは、『ウルトラマンオーブ』(16年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170415/p1)でもヒロインの夢野ナオミを同様のシチュエーションで救う描写が何度か見られたものだし、坂本浩一監督の演出でよく見られる男女のペアダンス(爆)によるアクションの応用のようでもあり、ガイの風来坊らしさを巧(たく)みに見せた演出といえるだろう。


 アンドロイドであるピリカの不調を、『ウルトラマンX(エックス)』(15年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200405/p1)で防衛組織・Xio(ジオ)の研究開発セクション・ラボチームに所属していた理系男子の主人公・大地が治(なお)すのもまた然(しか)りである。ピリカがラストシーンでもタイガに「大地さんによろしく」と語っていたほどにテレビシリーズでは見せることのなかった恋愛感情が初めて描かれたのも、『タイガ』のヒロインであるピリカを立てつつ、そのお相手が理系男子だというあたりで、それらしくて妥当だろう。
 ちなみに、Xioには健啖(けんたん)宇宙人ファントン星人のグルマン博士が所属していたが、今回ピリカとホマレがヴィラン・ギルドの情報を得ようとしてたずねたのはグルマン博士とは別個体で(着ぐるみは同一)、『タイガ』第4話『群狼(ぐんろう)の挽歌(ばんか)』に登場したファントン星人であり、彼を見て一瞬戸惑うもグルマン博士とは別人だと即座に無言で判断する大地の表情演技が描かれていたのもまたよかった。


 さらに、魔獣グリムドに苦戦するタイガ&ロッソ&ブルを助けるために颯爽(さっそう)とM78星雲・光の国から駆けつけたものの、逆にグリムドの魔力によって闇堕(やみお)ちしたウルトラマンタロウと敵対することとなって悩むタイガ=ヒロユキを励ますことができる役回りは、これはもうタイガ同様に実の父であるウルトラマンベリアルと戦わざるを得なかったウルトラマンジード=リクが一番適切であり、それぞれのキャラ設定を適格に活かすことで観客を感激させる作劇的技巧が存分に発揮されていたといえよう。
 一方、『ウルトラマンギンガ』当時はまだ高校生であり、ファンの方々には申し訳ないが個人的には常にニヤけたチャラ男(爆)という印象が強かったヒカルは、まぁ演じる根岸拓哉(ねぎし・たくや)自身が年齢を重ねたことが大きいだろうが、本作ではニュージェネレーションウルトラマンのリーダーとしての風格を感じさせる精悍(せいかん)な表情も見せており、これは気がつけばもう7年間もウルトラマンシリーズが継続していることの最大の象徴として感慨を深くせずにはいられなかったものだ。


 そのヒカルの「行こうぜ~!」を合図に変身前のニュージェネヒーローが横並びでいっせいに同時変身をとげ、変身バンクが連続して炸裂する描写こそ、子供たちも観客も最も観たかった場面だろう。ヒーロー名を叫ぶだけなどワリとシンプルな変身方法のヒカル・ショウ・大地・ガイに対し、


リク「ジ~ッとしてても、どうにもならねぇ!」
カツミ&イサミ「オレ色に染めあげろ! ルーブ!」


と変身時に長々とした前口上(まえこうじょう)まで口にするのも、マニア的には2010年代のウルトラシリーズも長期に渡ったことによる作風や演出の変遷、そしてそれらの優劣ではなく全肯定をここに感じてしまう。
 変身を果たしたニュージェネウルトラマンたちが順番にズシーン! と着地していくさまがスローで描かれる演出もまた、ウルトラマンたちを有象無象のその他大勢ではなく個々人でも存在感を高めさせている。


*待ってました! 再生怪獣軍団!!


 そして、本作で特筆すべきはウルトラマントレギアや魔獣グリムドのみならず、


・最凶獣ヘルベロス
・毒炎怪獣セグメゲル
・悪夢魔獣ナイトファング
・惑星守護神ギガデロス
・雷撃獣神ゴロサンダー


で構成された再生怪獣軍団が登場したことだろう。


 近年のウルトラマン映画では等身大の宇宙人軍団を登場させることでレギュラーの登場人物たちを人間ドラマのみならずアクション面でも活躍させる演出がなされており、本作もヴィラン・ギルドの構成員として先述したダダ以外にも、


・策略宇宙人ペダン星人
宇宙帝王バド星人
・暗黒星人シャプレー星人
・宇宙怪人ゼラン星人


のほか、もう今となっては一見では名前も出自となる作品もわからないような(汗)宇宙人たちが多数登場している。


 だが、本作のような大所帯の再生怪獣軍団となると、たとえば、


ウルトラマンゼロの相手としてウルトラマンベリアル
ウルトラマンメビウスには暗黒宇宙大皇帝エンペラ星人
ウルトラマンティガウルトラマンダイナとウルトラマンガイアには超合体怪獣ファイブキング


といった因縁の相手をぶつけていた、映画『劇場版 ウルトラマンギンガS(エス) 決戦! ウルトラ10勇士!!』(15年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200404/p1)以来のこととなるのだ。


 『ギンガ』ではじまったテレビシリーズの当初は、円谷プロの倉庫に眠る過去怪獣の着ぐるみの再利用が中心だった(汗)。しかし、作品を重ねるごとに新規にデザイン・造形される怪獣が増えていき、『タイガ』に至ってはそれら新怪獣だけで立派に怪獣軍団を構成できる数に至ったこと自体が実に喜ばしい。


 ただ、怪獣の数ばかりではない。
 第1話に登場したヘルベロスとニュージェネ最初のウルトラマンであるギンガとビクトリーが対戦! コミカルなゴロサンダーとやはりコミカルなロッソ&ブルの兄弟(笑)が戦うようなマッチメイク!
 当初は優勢だったニュージェネウルトラマンたちが魔獣グリムドの力によって凶暴化した怪獣軍団によって劣勢となるシーソーバトル!
 これらにより怪獣軍団が決してにぎやかしなだけ、ましてや昭和の時代にあった「再生怪獣は弱い」という常識(爆)をくつがえすだけの確固とした存在感が示されていたのはやはりうれしい!


 再生怪獣軍団に取り囲まれたニュージェネウルトラマンたちが一斉攻撃を受けて炎に包まれるさまが上空から市街地を俯瞰(ふかん)して描かれる! しかし、その炎の中から、


・ギンガとビクトリーが合体したウルトラマンギンガビクトリー
ウルトラマンエクシードエックス ベータスパークアーマー
ウルトラマンオーブ オーブトリニティ
ウルトラマンジード ウルティメイトファイナル
ウルトラマングルーブ


と、かつてそれぞれの劇場版で披露された各ヒーローの最終&最強フォームが登場!!


 大ピンチに際して最強形態に変身するのも合理的でうれしい! 先ほどとはまったく逆に、ニュージェネウルトラマンの最強形態に取り囲まれた再生怪獣軍団が必殺光線の一斉発射で燃えあがるさまを俯瞰して描く特撮演出も実に対比が効いていた。ニュージェネウルトラマンのカッコよさを最大限に盛りあげる役目を本作の再生怪獣軍団は立派に果たしていたのだ。


*トライスクワッド、そしてウルトラマン合体の感動再び!


 さらに、本作ではウルトラマンタイガ・ウルトラマンタイタス・ウルトラマンフーマがヒロユキの体を長らく借りている間にヒロユキの力なしでもそれぞれが単独で実体化できるようになるまでに回復したとして、


「われら、トライスクワッド!」


と、テレビシリーズではついに描かれなかったタイガ・タイタス・フーマのそろいぶみ・共闘がクライマックスバトルで実現したのも感動的だった。
 72分という短い尺で多数のキャラを登場させているワリには本作は先述した導入部のバトルをはじめ、半透明で人間大サイズやミクロ化した姿となったタイガ・タイタス・フーマのコミカルなやりとりも意外に多く点描(てんびょう)されている。
 テレビシリーズ序盤でこれこそがライト層を『タイガ』に注目させ、作品カラーも明朗にさせたのにもかかわらず、中盤以降これらの点描を省略したことも番組の人気・勢いが失速した一因だったことを思えば、やはり大衆向け作品としてもこれは必要不可欠な要素だったのではなかろうか?


 テレビシリーズではその中盤でヒロユキ・タイガ・タイタス・フーマの4人が合体したウルトラマンタイガトライストリウムが登場した。本作のクライマックスではそのトライストリウムに全ニュージェネウルトラマンが力を結集させることで新ヒーロー・ウルトラマンレイガが誕生する! タイガのやや横長の黄色い目や頭部と目の周囲のヘコみ部分を継承し、両耳のツノは廃したデザインだ。


 ニュージェネウルトラマンがトライストリウムのツノにその力を結集させる場面は、ゾフィー初代ウルトラマンウルトラセブンウルトラマンジャックウルトラマンエースのウルトラ5兄弟がタロウの両耳にあるウルトラの父ゆずりのツノ・ウルトラホーンに力を結集させたことでタロウがスーパーウルトラマンと化した映画『ウルトラマン物語(ストーリー)』(84年・松竹)の再現だ! とネット上では狂喜する声が多い。
 それはたしかにそうだし、個人的にも感動させてもらった。しかし、それ以前に『ウルトラマンタロウ』第25話『燃えろ! ウルトラ6兄弟』でも宇宙大怪獣ムルロアが吐いた黒煙に包まれた地球を救うために、タロウがウルトラ5兄弟とウルトラ6重合体(!)で身体密度を上げてウルトラタワーに安置されたウルトラベルを取り出す場面があったのだけれど、それとの共通性をあげる声は極少なのが隔世の感である。


 2000年代初頭くらいまでは見られた「ヒーローはひとりで戦うべきだ!」などという主張に至っては、まったく見られない。ヒーロー競演を大喜びする声であふれている今日は、昭和のウルトラ兄弟の設定さえ全否定するマニアが多かった時代と比すれば、個人的には天国である(笑)。


 地球を去っていくニュージェネウルトラマンたちがカメラ目線(笑)で観客にあいさつする、ウルトラマンの神秘性よりも親しみやすさを強調した描写などは、まさに今の時代のヒーローにはふさわしい演出だろう。


*結局語られなかったトレギアとタロウの因縁


 さて、ここまで百花繚乱(ひゃっかりょうらん)で実に見せ場にあふれている本作だが、個人的な感想では先述した映画『劇場版 ウルトラマンギンガS』や、映画『劇場版 ウルトラマンX きたぞ! われらのウルトラマン』(16年・松竹)、映画『劇場版 ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします!』(17・松竹・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200406/p1)などに比べて、その完成度は今一歩という感がある。その原因はいったい何なのか? 順に考察してみたい。


 まず、ウルトラマンタロウのかつての親友で、ウルトラマンヒカリらと同じく光の国の科学者だったが、闇堕ちするに至ったウルトラマントレギアとタロウの因縁に関しては、本作は『タイガ』の「完結編」であるにもかかわらず、今回もトレギアがナゼそこまでタロウへの復讐に執着するのかが、いっさい明かされることはなかったのであった。
 導入部とタイトルにつづいて、かつて魔獣グリムドが封印されていた宇宙遺跡ボルヘスの墓場にタロウが現れ、トレギアが


「かつてはこんな場所をよく探検したな」


などとタロウに語りかける描写があるが、両者の関係性が示されるのはホントにそれだけ(汗)。いったいトレギアとタロウの間に過去に何があったのか? タロウの何がそんなに気にいらないのか? タロウへの嫉妬や対抗意識だとはだいたい想像はつくものの(笑)、それをお約束でも具体的なセリフとしてトレギアにしゃべらせなければ、ドラマ的にも盛りあがらないではないか!?


 たとえば、ウルトラマンベリアルはかつてはウルトラの父の戦友であり、3万年前のウルトラ大戦争ウルトラの父とともに大活躍した功績もあったのだが、宇宙警備隊の初代隊長にウルトラの父が任命されたことでプライドが傷つけられ、さらなる強大な力を求めて光の国の人工太陽・プラズマスパークのコアを奪おうとして光の国を追放されたあげく、復讐しようと怪獣軍団を率いて光の国を襲撃しようとするも、ウルトラマンキングによって宇宙牢獄に投獄されるに至った経緯が、初登場作品の映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』(09年・ワーナー・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101224/p1)で語られていた。
 『ウルトラマンオーブ』のレギュラー悪で、『ウルトラマンZ(ゼット)』(20年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200723/p1)では「正義にめざめた」――ウソつけ!(爆)――として地球防衛軍日本支部のロボット部隊・ストレイジのヘビクラ・ショウタ隊長として活躍することでその人気が再燃中のジャグラス・ジャグラーは、かつてはガイと同様に光の勢力に身を置いてガイとは良きライバルの関係にあったのだが、その力はガイより上であったにもかかわらずガイがウルトラマンとして選ばれたことを恨んで闇の力に魅せられるようになった発端(ほったん)の物語が、『オーブ』放映終了直後に配信されたWeb(ウェブ)ドラマ『ウルトラマンオーブ THE ORIGIN SAGA(ジ・オリジン・サーガ)』(16年)で描かれた。


 『魔進(マシン)戦隊キラメイジャー』(20年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200712/p1)のレギュラー悪で、兄で宝石の国・クリスタリアの王・オラディンよりその能力は優れていたにもかかわらず、次男のためにオラディンに使われることに反発して敵組織・ヨドンヘイムの将軍となったガルザにしてもそうだ。ウルトラマンベリアルもジャグラス・ジャグラーもガルザもそうした因縁がていねいに描かれることでキャラクターとしての厚みが増し、その動機におもわず同情の余地を感じてしまうほどに観客や視聴者の感情移入を誘ったのだ。


 だが、トレギアは最後の最後まで、ついにそれが描かれずに終わってしまった。これではそのキャラクターは初期設定のままであり、設定を血肉化できていないのだ。トレギアといえば、人間態の青年・霧崎(きりさき)を演じた七瀬公(ななせ・こう)へのやや静的な演技演出にも問題はあった。『オーブ』のジャグラス・ジャグラー、『ジード』のSF作家・伏井出ケイ(ふくいで・けい)、『R/B』の愛染マコト(あいぜん・まこと)社長など、若いマニアいわく「円谷のヤベー奴ら」(笑)とネタにされるほどの半分笑ってしまうハッチャけた悪役演出も必要だったのではなかろうか?


 少なくともそこまで陰湿なキャラとなるに至った背景が、映像でも具体的に描かれていたならば、トレギアに対する印象も全然違ったかと思える。その動機を小出しで掘り下げずにただ出てきて翻弄(ほんろう)しながら戦うだけの、きわめてドラマ性が希薄なキャラとしてトレギアを終わらせてしまったのは、やはりもったいなかったのではあるまいか?
 ちなみに、『ウルトラマンタイガ超全集』(小学館・20年3月25日発売・ISBN:4091051677)には『タイガ』のシリーズ構成を務めた中野貴雄(なかの・たかお)によるトレギアの過去を描いた書き下ろし小説が掲載されている。本来のターゲットである子供たちがそんな高価な書籍を手にできるハズもなく、やはりこれは映像本編でもキッチリと描くべき性質のものだろう。そこだけ立ち読みしようにも近所の書店で全然売っていないのだが(笑)。


*悪側に「円谷のヤベー奴ら」(笑)も登場してほしかった!


 『劇場版 ウルトラマンギンガS』では、敵の新キャラとして『ウルトラギャラクシーファイト』にも再登場した超時空魔神エタルガーと、エタルガーによって故郷の星をウルトラマンに滅ぼされたというニセの記憶を植えつけられたアレーナ姫が登場した。
 『劇場版 ウルトラマンX』では、新怪獣として閻魔(えんま)獣ザイゴーグが、それを封印から解いてしまう張本人としてWebTV番組のネタのために世界を探検する男・カルロス黒崎や、ウルトラマンティガに変身をとげるに至る少年・玉城ユウト(たまき・ゆうと)らが登場。
 さらに、『劇場版 ウルトラマンオーブ』では、かつてオーブとの戦いに敗れて、体の半分を機械化して復活した奇機械宇宙人ガピヤ星人サデスや、美しいものを宝石にして奪う宇宙魔女賊(まじょぞく)ムルナウがメインの悪役として登場した。


 そうした映画限定の新キャラが、本作ではグリムド以外、本編にも特撮にもいっさい登場しなかった。そのグリムドすらもトレギアと合体しても超巨大化するのみであり、もっとそれらしい強化&最終形態に姿を変えないあたりは、画面の変化が足りなくてイマイチかもしれない。


 本作の場合、ニュージェネレーションウルトラマンの変身前の役者を総出演させるために、これ以上キャラを増やすのはたしかに限界だったかと思えるし、ギャラ予算の方だってもう限界に近かっただろう(汗)。また本作のような「お祭り映画」において、ゲストキャラ側の本編ドラマを主軸に描くことは避けて正解だったかと思える。


 ただ、人格のある憎々しげな悪役として登場するのが、いつものトレギア=霧崎のみという構図自体もいかがか? やはり、7大先輩ウルトラマンが変身前の役者さんも含めて勢ぞろいした本作としては、悪の側にも善側と拮抗するだけのボリュームが必要だったのではなかろうか?


 やはり、ここは近作の悪役を務めた役者さんたちにも功労賞として、「円谷のヤベー奴ら」(笑)こと、


・ジャグラスジャグラー
・SF作家の伏井出ケイ
・愛染マコト社長
永遠の17歳(笑)らしい美少女・ツルちゃん


の四天王が、その一部は死者をよみがえらせられる亡霊魔導士レイバトスの呪術などで復活! 彼らに往時のままの強烈な演技を再演してもらえば、客寄せ面でも善悪のメリハリ面でも効果大だったのではなかろうか!?


 個人的には、『タイガ』のセミレギュラーとして登場した、カナ社長がかつて所属していた宇宙人がらみの事件を扱う警察組織・外事X(がいじエックス)課の警部・佐倉が不在なのも、やや不満だったりする。
 佐倉を演じた風見しんごは、映画『ウルトラQ(キュー) ザ・ムービー 星の伝説』(90年・松竹)の戸川一平役を皮切りに、『ウルトラマンコスモス』(01年)の各劇場版や映画『ウルトラマンメビウスウルトラ兄弟』(06年・松竹・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070128/p1)、映画『大決戦! 超ウルトラ8兄弟』(08年・松竹・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101223/p1)などウルトラマン映画に多数出演してきただけに、出演交渉は容易に思えるのだが、やはりギャラがネックになったのだろうか?(汗)


*地球の危機なのだから市民のエキストラも必要!


 さて、不在といえば地球最大の危機がおとずれ、これまで何度も地球の危機を救ってきたニュージェネレーションウルトラマンが全員集合しているにもかかわらず、その場に一般市民の姿が皆無であり、何のリアクションも描かれなかったことも正直残念であった。


 仮面ライダークウガから仮面ライダージオウに至る平成仮面ライダーが大集結した映画『仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER(フォーエヴァー)』(18年・東映https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190128/p1)のクライマックスでは、メタフィクション的な作品世界ゆえに市民が仮面ライダーたちの存在を知っており、バトルを見守る観衆たちがそれぞれの世代にとっての最も印象深い仮面ライダーに声援を送る描写もあり、観客の代弁者として劇中内の観衆が盛りあがることで疑似的に一体感を得られる演出としてもおおいに機能した。


 ウルトラマンジードが実の父であるウルトラマンベリアルの強化形態・キメラベロスと決闘を演じた『ジード』第17話『キングの奇跡! 変えるぜ! 運命!!』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200523/p1)でも、市民がジードに声援を送る描写もクライマックスを盛りあげていたことを思えば、タイガが実の父・タロウと対戦する本作でもそれがあって然るべきだろう。


 『ウルトラマンメビウス』(06年)第1話『運命の出逢い』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060625/p1)のウルトラマンメビウス初登場場面で、


息子「あっ、ママがむかし見たって云ってた……」
父親「あぁ、ウルトラマンだ!」


などというやりとりがあったのを記憶されている方々もおられるだろう。本作のような「お祭り映画」こそ、大集結したウルトラマンたちを感慨深く見つめる代弁者としての市民の描写は必要不可欠だったかと思えるのだ。


 近年のテレビシリーズでは都市破壊場面でエキストラが大量に動員されているだけに、この処置は意外だった。たとえ1人1日1万円でも「チリも積もれば……」でギャラが問題だったのなら、それこそ「円谷プロファンクラブのみなさま」(笑)に声をかければ、ノーギャラで大画面映画にふさわしい大動員が可能だっただろうに。


 これまで各ニュージェネウルトラマンたちが住む並行宇宙を渡り歩いてきたウルトラマンゼロを、個人的には本作に登場させてほしかった。ゼロは『タイガ』テレビ本編でも第23話『激突! ウルトラビッグマッチ!』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210606/p1)に登場したことで、『タイガ』世界の市民たちにも認知されているし、


「こいつらみんな、こことは違う地球の平和を守りつづけてきたスゲぇヤツらなんだぜ」


などという調子で、右ヒジから先をグルグル廻して指差しながらゼロがニュージェネの面々を市民に紹介することでウルトラマンたちが大喝采を浴びる、などという描写をぜひ観たかったものである(笑)。


 しかし、ゼロが登場すると、場面を全部かっさらってしまって、メインゲストであるハズのニュージェネウルトラマンたちも霞んでしまい、本作のニュージェネ先輩ウルトラマンたちを立てるという焦点もボケてしまった可能性を考えると、今回は作劇的にも除外するのが正しいだろう。


 エキストラの大量動員が不可能であるならば、『劇場版 ウルトラマンオーブ』のクライマックスバトルをネットで中継していたレギュラーキャラである怪奇現象追跡サイト・SSP(エスエスピー)の夢野ナオミ・早見ジェッタ・松戸シンが、


「みんなでウルトラマンを応援しよう!!」
「せ~~~のっっっ!!!」


などと観客である子供たちに呼びかける描写で、毎年夏の恒例催事『ウルトラマンフェスティバル』、いや20世紀のむかしからアトラクショーでは付きものだった、子供たちが「がんばれ~~~!!!」と返すことで、観客に映像との一体感を喚起した演出などもアリだったかもしれない。
 しかしまぁご周知のとおり、全世界がコロナウィルスの脅威に包まれているご時世では、飛沫による感染防止のためにも、劇場でウルトラマンに声援をあげるなんぞは百害あって一利なしですな(汗)。


 ちなみに、このコロナ禍で2020年夏の『ウルトラマンフェスティバル』も中止となり、その代わりとしてYouTube円谷プロ公式チャンネル・ULTRAMAN OFFICIAL(ウルトラマン・オフィシャル)では過去のライブステージの傑作選が配信されていた。それらを鑑賞していると、コレはやはりナマで観るにかぎると実感してしまう。


 クライマックスバトルに向かうヒロユキを


「待ってるから……」


などと見送ったE.G.I.S.の面々がラストまでずっと不在となってしまうのもやや違和感があり、所詮(しょせん)は警備会社で超兵器を持っていないのだから、共闘せよとまではいわないが、せめてヒロユキらニュージェネウルトラマンの決戦を見守って、声援をひんぱんに送っているような描写は入れてほしかった。


*タイガを守るためでなく、悪と戦い宇宙を救うために集結すべき!


 先輩ニュージェネのヒカル・ショウ・大地・ガイ・リク、そしてカツミ&イサミ兄弟が、皆一様にヒロユキが宇宙人たちにねらわれていることを知って地球に駆けつけたと語るのも少々違和感があった。あの『タイガ』第1話冒頭での7大ウルトラマンVSトレギアの宇宙空間での大決戦を思えば、行動動機のスケールが小さくはないだろうか?(笑) 封印を解かれた魔獣グリムドが地球に向かったから、復活したトレギアが再度何かをたくらんでいるから、といった理由ではなく、タイガと合体しているとはいえヒロユキ個人がねらわれているからだという理由では、「公」よりも「私」としての動機で動いているようにも見えてしまう。
 ガイやリクはそんな私情でも似合うが、他のメンツは宇宙の危機を動機としたり、7人の中にもある微差を描いて、そのキャラをもう少し描き分けてもよかったのでは? もちろんジャグラー襲撃に対してはガイが! 伏井出ケイにはリクが! 愛染社長には湊兄弟が! といったシチュエーションでの助っ人であれば、もっと盛りあがったことだろうが(笑)。


 『タイガ』の最終回でタイガがトレギアを倒したことで、実はトレギアの体内に封印されていたグリムドが抜けだして、再度グリムドを封印したニュージェネウルトラマンたちがその代償として変身能力を失ったとする後日談が映像で描かれたのはよかったが、その変身前の姿である人間たちが変身能力を取り戻すために、かつて授けた自分たちの力を返してくれとヒロユキに頼みこむ描写も、やや「ウン?」と思えるものがあった。
 『タイガ』第1話冒頭ではニュージェネウルトラマンが自分たちのエネルギーをアクセサリー状にしてタイガ・タイタス・フーマに授ける描写があった。だが、それはあくまでも各ウルトラマンの片手間程度のエネルギーにすぎないだろうから、それを返してもらっただけでグリムド封印で喪失しただろう全身全霊の変身エネルギーまで復活するというのは、吊り合いが取れていないような気がする(笑)。


 タイガによってグリムドの魔力から解放されて以降のタロウにも見せ場らしい見せ場はほとんどなく、せっかくウルトラ兄弟が登場してもロクに活躍もせずに危機に陥(おちい)ってばかりだった昭和の第2期ウルトラマンシリーズの悪い点を継承している(汗)。『タイガ』の「完結編」として本作はタイガの「父超え」も意識されていたと思う。それなら父であるタロウの善に目覚めてからのカッコよい反撃も相応に描いてこそ、そのタロウをも超えた最後のタイガのスゴさを示すことが可能になるのでは?


 映画『劇場版 ウルトラマンR/B』で高校の同級生を怪獣化してしまったトレギアとの因縁対決を継承して、「トレギアは自分が倒す!」と主張するカツミとヒロユキが対立し、イサミが「まぁまぁ」などとなだめる描写が数回あった。しかし、テレビシリーズの『R/B』では弟のイサミの方がゲストキャラと対立することが多く、兄のカツミが抑(おさ)え役として描かれていた印象が個人的にはあったので、コレは逆な気がする(汗)。


 ヴィラン・ギルドの宇宙人に勝利したリクも、かつてあこがれた劇中内での特撮変身ヒーロー番組『爆裂戦記ドンシャイン』のキメポーズを「ドン・シャイン!」と披露していた。彼は特撮オタクだからいつまで経っても卒業できないのはリアルな描写かもしれないが、あれから数年は経ったハズなのでややイタい気もする(笑)。


 余談になるが、本作のパンフレットは小学館『てれびくん』編集部による編集ではなかった。従来のパンフレットは映画に散りばめられた小ネタに関する詳細な解説が楽しめたが、今回はそういう記述がほとんどない。やはりマニア上がりのこだわり編集者が担当しないと、覿面(てきめん)に誌面クオリティーが下がってしまうということか!?


*別離も描く『タイガ』真の最終回としても成立!


 そんなワケで本作は、『仮面ライダー平成ジェネレーションズ』シリーズなどのヒーロー大集合映画と比較しても、勝っていたとは云いがたい。
 しかし、意表外にも『タイガ』の真の最終回にはなっている。そして、ヒロユキをはじめとするE.G.I.S.の面々とタイガ・タイタス・フーマとの別れを描いた感動的なラストは、失礼ながら『タイガ』にさほど夢中になっていたワケではなかった筆者ですらも感慨深くさせてくれた。


 ショウ=ビクトリー、ガイ=オーブ、リク=ジード、カツミ=ロッソ、イサミ=ブルは変身前の青年主人公と変身後のウルトラマンが完全な同一人格や同一人物であり、視聴者の目線からすればその方が感情移入はしやすいという利点はあるだろう。
 ただ、未来からやってきたウルトラマンことギンガと一体化して『ギンガ』の最終回で一度は分離したものの次作『ギンガS』で再度ギンガと一体化することとなったヒカル。データ生命体と化した電脳世界のウルトラマンことエックスとユナイト(一体化)した大地。ウルトラマンと人間が別人格である彼らの物語の最後で描かれたウルトラマンとの切ない別れも、個人的には捨てがたい。


 まぁ、『X』完結編の『劇場版 ウルトラマンX』ラストは、エックスと大地をはじめとするXioのメンバーとの涙ながらの別れが描かれ、エックスが「地球に再び危機がおとずれるとき、私はふたたびやってくる!」と約束したのに、その地球の危機がすぐに来たことでアッという間に帰ってくるオチではあったのだが(笑)。
 ちなみに、ネット上ではエックスの声を声優の中村悠一(なかむら・ゆういち)ではなく、大地役の高橋健介だけが演じたことに不満の声が多数(汗)。ストーリー展開が煩雑になったり、『X』を未見の観客の混乱を避けたり、声優のギャラの節約などが理由だろうが、たしかにエックスと大地のやりとりは『ウルトラマンZ』でのウルトラマンゼットと主人公のナツカワ・ハルキの元祖のようなノリだっただけに、久々にそれを見たかったという意見もわかる。
 なお、中村は先述した『魔進戦隊キラメイジャー』ではガルザの声を熱演している。そういや兄のオラディン王の声を演じる杉田智和(すぎた・ともかず)は『ギンガ』でウルトラマンギンガの声をやっていた(爆)。


 新型コロナウィルス感染拡大防止のために政府から出された自粛要請によって公開が5ヶ月も延期されて、『タイガ』の後番組『ウルトラマンZ』の放映開始後に公開されたことで、あまりに完成度の高い『Z』と比較すると本作はやや見劣りするという意見もネット上では散見する(汗)。


 おもわぬ不幸に見舞われることとなった本作だが、ニュージェネレーションウルトラマンの華麗なる大競演を期待する向きには万全とはいわないまでも、その期待を裏切る出来でもなかった良作だったとは思うのだ。

2020.8.31.


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2020年秋分号』(20年9月27日発行)~『仮面特攻隊2021年号』(21年8月15日発行)所収『劇場版ウルトラマンタイガ』合評2より抜粋)


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