『第弐回 新仲見世 昭和レトロ祭り』 ~バトルフランス・バイオマン・磁雷矢! 昭和特撮ヒーロー俳優サイン会・撮影会 2018年GW!
『企画展 スーパー戦隊レジェンドヒストリー ~ゴレンジャーからリュウソウジャー、そして未来へ~』 ~神秘・恐怖から親近感・コミカルへ。日本特撮の画期にして文化・歴史となった「戦隊」!
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『昭和レトロ冬まつり』 ~月光仮面・黄金バット・帰マン・キカイダー・マッハバロン・バトルフランス・メタルダー・磁雷矢! 昭和特撮俳優座談会・撮影会 2019年師走!
(文・久保達也)
(2019年12月22日脱稿)
アイドルアニメ『ラブライブ! サンシャイン!!』(第1期・16年 第2期・17年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200628/p1)の「聖地」として、今や全国的に知名度が高くなった静岡県沼津(ぬまづ)市。そのJR沼津駅周辺では、その『ラブライブ! サンシャイン!!』が放映された2016年から駅前商店街復興事業の一環として「昭和レトロまつり」と題したイベントが何度か行われてきた。
2018年4月29日開催の『第弐(に)回 新仲見世(しんなかみせ) 昭和レトロ祭り』で行われた『昭和特撮ヒーロー俳優 サイン会・撮影会』には、
・倉知成満(くらち・なりみつ)氏=スーパー戦隊シリーズ『バトルフィーバーJ(ジェイ)』(79年・東映 テレビ朝日・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120130/p1)の志田京介(しだ・きょうすけ)=バトルフランス役
・坂元亮介(さかもと・りょうすけ)氏=スーパー戦隊シリーズ『超電子バイオマン』(84年・東映 テレビ朝日)の郷史朗(ごう・しろう)=レッドワン役
・筒井巧(つつい・たくみ)氏=『世界忍者戦ジライヤ』(88年・東映 テレビ朝日)の山地闘破(やまじ・とうは)=磁雷矢(ジライヤ)役
のお三方が招かれ、筆者も現地に出向いてサインを頂戴(ちょうだい)して、本誌でレポートもしたためたものだが、(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200503/p1)その際にはいわゆるトークイベント形式のものは残念ながら行われなかった。
だが今回の『昭和レトロ冬まつり』では、先述した倉知氏と筒井氏のほかにも、
・大瀬康一(おおせ・こういち)氏=『月光仮面』(58年・宣弘社 KRテレビ→現TBS)の祝十郎(いわい・じゅうろう)=月光仮面役
・きくち英一氏=『帰ってきたウルトラマン』(71年)のウルトラマンジャックのスーツアクター
・伴大介(ばん・だいすけ)氏=『人造人間キカイダー』(72年・東映 NET→現テレビ朝日)のジロー=キカイダー役
・妹尾青洸(せのお・せいこう)氏=『超人機メタルダー』(87年・東映 テレビ朝日)の剣流星(つるぎ・りゅうせい)=メタルダー役
・すぎうらよしひろ氏=『スーパーロボット マッハバロン』(74年・日本現代企画 日本テレビ)のオープニング&エンディング主題歌の歌手
と、あまりに豪華にすぎる顔ぶれが、沼津新仲見世商店街で昭和レトロ玩具や駄菓子などを扱う店・昭和レインボーの店主・田中剛氏の人脈によって大集結したのみならず、かつて昭和の9号ライダー『仮面ライダースーパー1(ワン)』(80年)や『10号誕生! 仮面ライダー全員集合!!』(84年・仮面ライダーZX(ゼクロス)が主役のテレビ長編)、「昭和」のスーパー戦隊やメタルヒーローシリーズなどで怪人や戦闘員のスーツアクターを経験し、現在は多方面でマルチに活躍するショッカーO野(おおの)氏の司会による「特撮俳優座談会」が行われたのだ!
O野氏の司会によるゲスト紹介では月光仮面のスーツが真っ先に登壇し、会場は興奮のるつぼと化した!
なお、トークショーは
・「1958~1979年」編
・「1980~1989年」編
の二部構成となっていた。
・前者では大瀬氏・きくち氏・伴氏・倉知氏
・後者では『バトルフィーバーJ』では神誠(じん・まこと)=二代目バトルコサックも演じた伴氏・倉知氏・妹尾氏・筒井氏
が登壇した。
国産変身ヒーロー第1号『月光仮面』に主演した大瀬氏は、オープニングの配役で「?」と表記されていたように、実は月光仮面のスーツアクターも兼任していたという事実は筆者的には初めて聞く話であった。
その初日に高い塀(へい)から飛び降りる場面を撮影中、着地した際にいきなり足を骨折したというエピソードは、『仮面ライダー』(71年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20140407/p1)で当初、旧1号ライダーのスーツアクターも務めていた主人公・本郷猛(ほんごう・たけし)役の藤岡弘(ふじおか・ひろし)が、撮影中にバイクで転倒して出演不能になったエピソードを彷彿(ほうふつ)とさせるものだ。『月光仮面』の初期エピソードで祝十郎が上半身しか映らないことが多いのは、つまりそれが理由だったとか(笑)。
きくち氏はトークの中身というよりは、たとえば筒井氏が登壇した際に
「つっついてやる!」
とその背中をつついてみたり(笑)、『ウルトラセブン』(67年)第14&15話『ウルトラ警備隊 西へ』の前後編でのみウルトラセブンのスーツアクターを務めた件を話す前に、赤ブチのメガネを変身アイテム・ウルトラアイに見立てて
「ジュワッ!」
という本家・モロボシダン隊員のおなじみの掛け声とともに着眼して変身シークエンスを再現するなど(笑)、まるで氏が顔出しで演じた『電人ザボーガー』(74年・ピープロ フジテレビ)の中野刑事のようなコミカルなキャラが印象に残り、そんなきくち氏を容赦(ようしゃ)なくいじくりまくるO野とのかけあいが実に楽しく、何度となく場内の爆笑を誘っていた。
その一方、トークショーの第1部と第2部の合間には、『月光仮面』以前の「昭和」初期の紙芝居の時代から存在していた正義のヒーロー『黄金バット』(66年に東映系で特撮映画が公開。67年にはテレビアニメ化もされた)の紙芝居がきくち氏によって実演された。
主人公の黄金バットに敵幹部のナゾー、人質となる博士の娘などの声をひとり何役も演じわける氏の芸達者ぶりはさすがであり、その名調子にはひたすら魅了された。
またクライマックスで黄金バットが少女救出のために大空を飛行する場面では、なんと氏のお手製の人形によって黄金バットとウルトラマンジャックがニアミスをする(!)という、「昭和」ヒーロー夢の競演までもが描かれたのだ。
「このつづきは来年の昭和レトロまつりで」(笑)
として『黄金バット』は締めくくられ、ぜひこのつづきというよりきくち氏の名演を観るためにまた沼津に来たいと思わせるものがあったのだが、黄金バットとウルトラマンジャックをヒーロー競演させてしまうような、「スーパーヒーロー大戦」で「アベンジャーズ」な強者集結の楽しいノリの氏の心意気を、近年のヒーロー作品の製作者たちは改めて見習うべきではあるまいか!?
さて伴氏が『キカイダー』に抜擢(ばってき)されたのは、吉川進プロデューサーの奥様が何人かいた候補者の写真の中から選んだというエピソードが語られたのだが、そんな女性目線で選ばれただけに、今回のゲストの中では個人的には伴氏が最もまぶしく見えたものだ。
近年の仮面ライダーやスーパー戦隊のイケメン俳優もいいのだが、自分が女子なら絶対に伴氏の方がいい!(爆) と思えたほどに、氏のルックスに見とれてばかりいたもので、肝心のトークの内容はあまり聞き取ることができなかった(笑)。
ただ、『キカイダー』のトランポリンアクションは、当時本名の高橋健二の名義で務め、先述した『バトルフィーバーJ』の曙四郎(あけぼの・しろう)=バトルケニア役で初レギュラーを果たした際に、師匠(ししょう)の千葉真一氏から命名された大葉健二(おおば・けんじ)氏だったと伴氏は語ったのだが、のちに『宇宙刑事ギャバン』(82年・東映 テレビ朝日)の主人公・一条寺烈(いちじょうじ・れつ)=ギャバン役で一躍有名になった大葉氏の原点であることからすれば、まさにキカイダーこそがメタルヒーローの元祖といっても過言ではないと思えたものだ。
そして伴氏と倉知氏はともに『月光仮面』を幼いころに夢中で観ていたと語ったが、「昭和」の時代に『月光仮面』から『キカイダー』や『バトルフィーバーJ』へ、『キカイダー』から『ギャバン』へとヒーローの系譜が受け継(つ)がれてきたのは、まさしくその影響力の強さゆえのものだと実感させられたものであり、「昭和」から「平成」へ、「平成」から「新時代」へと変身ヒーロー作品が継承されるに至ったほどの「昭和」の作品群の魅力を、我々はあらためて検証すべきなのかもしれない。
ちなみに伴氏と倉知氏によれば、『キカイダー』や『バトルフィーバーJ』の時代には変身ヒーロー作品の主演俳優を決めるにあたり、オーディションは特に行われてはいなかったとのことだが、妹尾氏と筒井氏はともに何の作品のオーディションだか事務所から聞かされずにとにかく行けと云われ、主演決定後にはじめて作品名を聞かされたのだとか。
そして当時はメタルヒーローとスーパー戦隊のオーディションを同時に行い、ふさわしいと思える方に振り分けていたそうであり、筒井氏は
「オレが嶋大輔(しま・だいすけ)の代わりに『超獣戦隊ライブマン』(88年・東映 テレビ朝日)をやってた可能性もある」
と語っていた(笑)――嶋氏は『ライブマン』で天宮勇介(あまみや・ゆうすけ)=レッドファルコンを演じていた――。
またO野氏によれば、当時のジャパン・アクション・クラブ(現ジャパン・アクション・エンタープライズ)にはその筋の人ですら恐れるほどのコワモテの人が多数在籍しており、妹尾氏はそうした人々に散々イビられたと、あれから三十数年を経てもなおも恨(うら)み節(ぶし)を語っていたほどだった(汗)。
さらに当時は業界の間でメタルダー=妹尾氏とキカイダー=伴氏は共演NGであることが暗黙の了解となっており、氏にはそれゆえの苦労も多々あったのだとか。
視聴率的には苦戦して放映打ち切り(汗)となった『メタルダー』ではあったが、無料動画配信サイト・YouTube(ユーチューブ)で近年全話を視聴した筆者からすれば、そんな苦悩を微塵(みじん)も感じさせなかった氏の演技は素晴らしかったと思えるし、メタルダーが倒さずに助けた敵たちがのちに味方キャラとして再三登場するような――これは『ジライヤ』もそうだったが――、決して1話完結ではない連続性を感じさせる展開は、当時としては画期的だったのだ。
――特撮ヒーローもので本格的な連続性のあるストーリーは、90年代後半の平成ウルトラ3部作からはじまったという言説が当時も、そして今でも一部に残っているが、それは東宝・円谷至上主義者の誤認であり、東映の『宇宙刑事シャリバン』(83年)や『超電子バイオマン』やその次作『電撃戦隊チェンジマン』(85年)などがすでに連続ストーリー性に着手しており、それらと比すれば平成ウルトラ3部作は後塵を拝するどころか、まだまだ単なる1話完結ものに過ぎなかったと思う――
ところで『ジライヤ』では戸隠(とがくれ)流忍術第三十四代宗家(そうけ)・初見良昭(はつみ・まさあき)氏が武芸考証を担当し、主人公・山地闘破の養父である山地哲山(やまじ・てつざん)役で出演もしていたが、闘破を演じた筒井氏はこのたび初見氏から第三十五代宗家に指名され、本物の忍者となった(!)ことが司会のO野氏から明かされ、会場から大きな拍手と歓声があがることとなった。
氏は
「別にエラい人になったワケではない」
と謙遜(けんそん)していたが、イベント終了時にゲストによって行われた餅(もち)まきならぬ駄菓子まきの際、O野氏が
「筒井さんの宗家としての初仕事は、手裏剣(しゅりけん)ではなく『うまい棒』(駄菓子)を投げることです!」
とやらかしたのには、さすがにコケそうになっていた(笑)。
さて第1部と第2部の間には『すぎうらよしひろ オンステージ』も行われ、先述した『マッハバロン』や『おはよう! こどもショー』(65~80年・日本テレビ)の枠内で放映された『行け! 牛若小太郎(うしわかこたろう)』(74年・東宝企画 日本テレビ)、アニメ『ガンバの冒険』(75年・東京ムービー 日本テレビ)の主題歌がすぎうら氏によって歌唱された。
特に『行け! 牛若小太郎』のシングルレコードのB面に収録された『来るか妖怪』をすぎうら氏がライブで歌唱するのは今回が初ということであり、元々ノラなる伝説のフォーク&ロックバンドでリードボーカルを務めていた氏が、歌謡曲の大御所(おおごしょ)・三木たかしの作詞・作曲による『来るか妖怪』を歌うのにはなんとも不思議な味わいが感じられ、まさに1970年代前半の「あの時代」でしか表現できなかったサウンドをナマで聴けたことにはおおいに満足させられた。
また同じステージで行われた『昭和歌謡ヒットパレード』では、氏が加山雄三(かやま・ゆうぞう)の『君といつまでも』(66年)と故・石原裕次郎(いしはら・ゆうじろう)の『嵐を呼ぶ男』(58年)を披露したのだが、間奏部分で前者が
「幸せだなぁ。僕は君といるときがいちばん幸せなんだ」
後者が
「この野郎! かかってこい! え~いやりやがったな、倍にして返すぜ!」
と入る、あまりに両極端なセリフをすぎうら氏がおもいっきり照れながら口にする姿は、氏の人柄の良さを象徴するかのような好印象が感じられたものだ。
プログラムの最後となった『16ミリフィルム特撮上映会』では『ミラーマン』(71年・円谷プロ フジテレビ)第40話『インベーダー移住作戦』が上映されたが、これは主人公・鏡京太郎=ミラーマンを演じ、2019年6月13日に亡くなった故・石田信之(いしだ・のぶゆき)氏を追悼(ついとう)してのものだった。
氏は先述した昭和レインボーが開店した2017年12月に開催された『昭和レトロまつり』に、今回とほぼ同じ顔ぶれの方々とともに招かれており、もしお元気であったならきっと今回お目にかかることができたのに……と、今は悔(く)やまれてならないものがある。
我々が愛した「昭和」のヒーロー俳優たちの中には、すでに鬼籍(きせき)に入られた方も大勢いる。これは大変失礼な言い方になってしまうが、お会いできるうちにぜひ会っておきたいとの想いから、今後もこうしたイベントには行ける範囲で極力足を運びたいと考える所存である。
なお『昭和特撮ヒーロー撮影会』はあまりの大行列となったことで、その後のプログラムの進行に大きな影響をおよぼしてしまったほどだったが、「昭和」の時代に彼らに夢中になったかつての少年少女ばかりではなく、『ラブライブ! サンシャイン!!』のキャラクターの缶バッジやストラップを大量にカバンに付けた若い世代の姿も多く見受けられた。
「聖地巡礼」で沼津を訪れた際に昭和レインボーに立ち寄ったのを機に今回のイベントを知ったかと思えるのだが、そんなキッカケでも若い世代に「昭和」のヒーローが伝承されることこそ重要かと思えるのだ。
『月光仮面』の主題歌『月光仮面は誰でしょう』の大合唱となったフィナーレのあいさつにて、きくち氏は
「2020年は東京オリンピックと東京パラリンピックの年、そして次の2021年は『帰ってきたウルトラマン』50周年の年です!」
とアピールし、観衆から大きな拍手と歓声がわき起こったが、改元によっていよいよ「昭和」が遠い昔となったからこそ、我々には「昭和」のヒーローを語り継(つ)いでいく責任が課せられたとの想いを胸に、沼津をあとにした筆者であった。
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