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騎士竜戦隊リュウソウジャー序盤評

平成スーパー戦隊30年史・序章 ~平成元(1989)年『高速戦隊ターボレンジャー』
『騎士竜戦隊リュウソウジャー』中盤評 ~私的にはスッキリしない理由を腑分けして解析。後半戦に期待!
『騎士竜戦隊リュウソウジャーTHE MOVIE タイムスリップ!恐竜パニック!!』 ~因縁&発端の恐竜絶滅寸前の時代に時間跳躍!
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[戦隊] ~全記事見出し一覧


合評1 『騎士竜戦隊リュウソウジャー』序盤評


(文・久保達也)
(19年4月27日脱稿)


 同一の世界観でふたつの戦隊が争うという、やや変化球的な異色作としての趣(おもむき)が強かった前作・『快盗戦隊ルパンレンジャーVS(ブイエス)警察戦隊パトレンジャー』(18年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190401/p1)につづく、「平成」の時代にスタートする最後のスーパー戦隊となった『騎士竜戦隊リュウソウジャー』(19年)は、『恐竜戦隊ジュウレンジャー』(92年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20120220/p1)・『爆竜戦隊アバレンジャー』(03年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20031111/p1)・『獣電戦隊キョウリュウジャー』(13年)を継承した、恐竜をモチーフとする戦隊である。


 今回東映側のプロデューサーを務(つと)める丸山真哉(まるやま・しんや)は、かつてメタルヒーローシリーズ『重甲ビーファイター』(95年・東映 テレビ朝日)のプロデューサー補や、『ビーロボカブタック』(97年・東映 テレビ朝日)のサブプロデューサーを務めた経歴はあるものの、特撮に関(かか)わるのは『燃えろ!! ロボコン』(99年・東映 テレビ朝日)以来、実に20年ぶりのことなのだ。
 前作の『ルパパト』が設定や世界観がかなり変則的だったこともあってか、氏の中では『リュウソウジャー』のコンセプトとして、「王道」を強く打ち出したい、との意向があるようだ。


 『ジュウレンジャー』・『アバレンジャー』・『キョウリュウジャー』のヒーロー&ヒロインのように、恐竜の鋭い牙(キバ)をモチーフにしたギザ模様がボディに描かれているものの、そのマスクは、先頃『仮面ライダージオウ』(18年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190527/p1)に変身前の主人公を演じた役者がゲスト出演したり、スピンオフのネットドラマ・『RIDER TIME(ライダー・タイム) 仮面ライダー龍騎(りゅうき)』(19年)の配信で再び世間の注目を集めている『仮面ライダー龍騎』(02年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20021109/p1)に登場したライダーたちのように、ゴーグル部分にスリットの入った騎士の仮面がモチーフであり、野性味とスタイリッシュの双方を兼ね備えたリュウソウジャーのカッコよさは、まさに「王道」のヒーローデザインとして完成されている。


 先述した『ジュウレンジャー』の敵・魔女バンドーラの一族が、1億7千万年前に惑星ネメシスに封印されたように、今回の敵となる戦闘民族・ドルイドンは、かつて古代人類・リュウソウ族と争っていたものの、巨大隕石が地球に落下したことで恐竜が絶滅した6500年前に宇宙へと逃亡、それが再び地球に襲来したことで、世界各地の神殿に封印されていた騎士竜たちと、リュウソウ族の末裔(まつえい)であるリュウソウジャーが立ちあがるという設定・世界観も、やはり「王道」の冒険ファンタジーといった趣が強いのだ。
 洞窟(どうくつ)のような神殿の中で、「今からおまえたちが、リュウソウジャーだ!」と、先代のリュウソウジャー=マスターレッド・マスターブルー・マスターピンクが、コウ=リュウソウレッド・メルト=リュウソウブルー・アスナリュウソウピンクに、リュウソウジャーを継承する儀式を描いた第1話の導入部からして、それは如実(にょじつ)に感じられた。
 それにしても、マスターレッドを演じた黄川田将也(きかわだ・まさや)も、マスターブルーを演じた渋江譲二(しぶえ・じょうじ)も、マスターピンクを演じた沢井美優(さわい・みゆう)も、全員が現在ではマニアたちが「黒歴史」にしてしまっている(汗)、実写版の『美少女戦士セーラームーン』(03年・東映 中部日本放送https://katoku99.hatenablog.com/entry/20041105/p1)の出身者であるのは、いったい何の冗談なんでしょうか?(爆)


 第1話では開幕早々、突然現れたドルイドンの戦闘員たちを相手に、先代と現役のリュウソウレッドが共闘するさまが描かれるが、マスターレッドとコウが変身して飛びかかっていくカットに「スーパー戦隊シリーズ」のロゴをかぶせる演出、そして、戦闘員が全滅して燃えあがった炎が、ふたりのリュウソウレッドを囲むかたちで、恐竜の牙を思わせる三角形となるさまを俯瞰(ふかん)してとらえた場面は、最高にカッコよかった!
 ドルイドンに生みだされた怪獣も、第1話に登場したのは『ウルトラマンX(エックス)』(15年)の序盤に出た溶鉄怪獣デマーガを彷彿(ほうふつ)とさせるデザインであり、恐竜をモチーフとする戦隊の相手には実にふさわしいと思えたものだが、満月が浮かぶ夜空を背景に、深い霧の中で、黄色い目を光らせて出現するさまを俯瞰してとらえた演出は、実に神秘性にあふれていた。
 コウと、後述するが本作の一般人のヒロイン・ういを画面手前に配し、彼らに怪獣の長い尾が合成で襲いかかったり、森林のオープンセットを進撃する怪獣を終始あおりでとらえたりと、その巨大感と臨場感は、大ベテランの佛田洋(ぶつだ・ひろし)特撮監督によって絶妙なまでに演出されており、同じ佛田監督でも、いつもの採石場に簡素なセットが組まれていた(汗)『ジュウレンジャー』の時代とは、まさに隔世(かくせい)の感がある――あのころのスーパー戦隊が、テレビ朝日にとって「お荷物」とされていたことを思えば、『ジュウレンジャー』は予算的にはかなり厳しかったと思われるのだ――。


 第1話のクライマックスで、キシリュウオー「スリーナイツ」――直訳すると3人の騎士!――は、かつて人類がドルイドンに対抗するためにつくった最終兵器=騎士竜のティラミーゴ・トリケーン・アンキローゼが、最初から合体した巨大ロボットとして、背景に炎と噴煙をあげて登場。
 CGではなく、スーツアクターが演じる着ぐるみがオープンセットを疾走(しっそう)し、ジャンプして怪獣を飛び越え、崖(がけ)から飛び上がってキックをかましたり、高速ですべりこんで剣で斬りこんだりと、キシリュウオースリーナイツは実にアクロバティックな動きを見せてくれたが、演じる藤田洋平は前作の『ルパパト』では敵組織・ギャングラーの幹部だったデストラ・マッジョを演じており、その差別化した演技にも、今回は「王道」で行こう! との氏の意識が充分に伝わってくるのだ。
 また、第2話では巨大メカ抜きで、等身大のリュウソウレッドとリュウソウブルーが宙を華麗に舞いながら、巨大怪人と都心のビル街で戦うさまが、実景に合成された怪人を俯瞰してとらえたカットを多用して描かれており、画面手前を逃げる人間たちの奥のガラス窓に怪人を合成し、そこに怪人に吹っ飛ばされたリュウソウブルーが、窓を破ってつっこんでくる臨場感もさることながら、キシリュウオーと怪人が戦うカットで、その奥にあるビルが湾曲して見える(!)という、人間の目線に生じる錯覚を、カメラで完全再現してしまった演出には仰天(ぎょうてん)したものだった。


 パイロットとなる第1話&第2話を演出したのは、近年の仮面ライダーでめざましい活躍を見せるも、スーパー戦隊への参加は今回が初となる上堀内佳寿也(かみほりうち・かずや)監督だ。
 上堀内監督といえば、ライダーでは比較的アバンギャルドな演出をやりたがる傾向が強かったが、今回は極力そうした演出をおさえ、ひたすら「王道」に徹していたのは実に好印象であった。


市井のゲスト主役の懊悩が敵怪人を産み出す設定起因で、作風にやや陰鬱な空気もあるやも……


 そんな「王道」イメージで開幕した『リュウソウジャー』だったのだが、第3話以降、個人的にはどうにも違和感があるような……
 今回の敵となるドルイドンは、人間のマイナス感情を利用してマイナソーなる怪獣・怪人を生みだすが、これは『仮面ライダー電王』(07年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20080217/p1)や『仮面ライダーW(ダブル)』(09年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20100809/p1)、『仮面ライダーフォーゼ』(11年)や『仮面ライダーウィザード』(12年)など、近年では仮面ライダー、古いところでは『ウルトラマン80(エイティ)』(80年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/19971121/p1)に見られた設定と同様のものである、って、ヒーローアニメ『SSSS.GRIDMAN(グリッドマン)』(18年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190529/p1)もそうでしたね(笑)。
 まぁ、「平成」仮面ライダーの場合は変化球であるのがあたりまえで、それがむしろ「王道」と化している感もあり(笑)、『SSSS.GRIDMAN』は深夜アニメだったから不問としておくが、こうした設定は本来「王道」ヒーロー作品であるスーパー戦隊とは、ビミョ~に相性が良くないように思えるのだ。


 第2話のゲストとして登場した、フェンシングの試合で優勝したいと思う男が、ライバルが消えればいいと願うのはそれほどでもなかった。
 だが、小学生のころ以来、自宅に友人を連れてきたことがなく、アマゾンの奥地の探検と偽(いつわ)って自らが出演する、富士の樹海(じゅかい)で撮影した動画を、ネットで配信して悦に入るような、ほとんど(ひとり)ボッチアニメの主人公みたいな、先述したういが、何をやっても中途半端(はんぱ)だからと、怪人を消滅させるために、崖から身を投げようとする、なんてのを、序盤の第3話でいきなりやるのはどうなのかと(笑)。
 この第3話の冒頭では、相棒となる騎士竜・トリケーンが心を開いてくれないことにメルトが悩む描写があったが、その後両者の間に特にドラマは描かれず、クライマックスでメルトが「頼む」と云った途端にトリケーンが共闘したのがかなり唐突だっただけに、それならういのドラマはもっとあとの回にして、この回ではメルトこそを、もっと掘り下げて描くべきではなかったか?


 つづく第4話のゲストの、仕事で忙しくて子供と遊べない父親とか、第5話で何の前振りもなく、いきなりトウ=リュウソウグリーンの旧知の存在として登場した(笑)、捨て犬や捨て猫を保護する少女など、ういも含め、彼らを取り巻く背景には、どうにも重さや暗さがつきまとう印象が強いものがある。
 それでも近年の戦隊のように、大半の怪人がお笑い系で、ベラベラとしゃべりまくるのであれば、その印象もかなり払拭(ふっしょく)されるかと思えるのだが、なんせ今回の怪人たちはゲストのマイナスエネルギーから生まれているだけに、「いちば~ん!」とか「観~ろ~!」とか「ワンワン!」(笑)など、ゲストの最も強い想いしか口にしないのだ。


敵軍団のスケール感欠如・戦隊レッドの熱血度の低さ。王道ねらいのようで微妙に王道ではない!?


 今回メインライターを務める山岡潤平(やまおか・じゅんぺい)は、アイドルグループ・AKB48(エーケービー・フォーティエイト)が主演した深夜ドラマ『マジすか学園』(10年・テレビ東京)と『AKBホラーナイト アドレナリンの夜』(15年・テレビ朝日)、集英社週刊ヤングジャンプ』に連載された学園マンガを原作とした深夜ドラマ『仮面ティーチャー』(13年・日本テレビ)などの脚本を務めてきたが、氏の経歴をザッと見た限り、世間で大きな話題となったヒット作にはさして関わってはおらず、先述したように、そのジャンルがかなり偏(かたよ)っている印象が強いものがある。
 アニメやゲームの脚本も未経験であるだけに、いきなり「王道」のスーパー戦隊を任(まか)されたことでまだ手探(さぐ)りの状態なのかもしれないが、だからこそ、第3話&第4話の中澤祥次郎(なかざわ・しょうじろう)監督とか、第5話&第6話の渡辺勝也(わたなべ・かつや)監督とか、大ベテランとして「王道とはこうあるべき!」と、もっとガンガン口出ししてくれよ、と思えるのだが(笑)。


 第6話までの時点で、ドルイドンの幹部としてタンクジョウ、毎回マイナソーを生みだすコミカルなキャラとしてクレオンが登場する以外、ドルイドンのキャラとしては戦闘員しか出ておらず、彼らの上に首領的な巨悪が存在する、といった背景の描写もないために、ドルイドンの悪の組織としての巨大さがいまひとつ伝わってこないのも、「王道」のヒーロー作品としては難点ではなかろうか?
 アジト的な秘密基地のセットすらも用意されておらず、タンクジョウとクレオンが野宿生活(笑)しているようにしか見えないのが、その最大の象徴かと。


 そもそもリュウソウジャーのリーダーであるコウ自体、「王道」を打ち出している割には比較的軽さのめだつ、熱血度が低いキャラなのだが、スポンサーのプリマハムが発売している『リュウソウジャーソーセージ』のCMでは、コウのセリフ回しがやたらと激アツであり、本編のキャラとは完全に別人に見えてしまっている(爆)。
 まぁ、特撮オタのOLが主人公のドラマ『トクサツガガガ』(19年・NHK・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190530/p1)でも、劇中劇として描かれた、架空のスーパー戦隊の番組の中盤から登場した銀色の追加戦士が、アトラクションショーでは番組とは全然キャラが違っていた(笑)ように、まだキャラが固まらないうちにCMをつくってしまったことに起因する違和感なのだが、『リュウソウジャー』を「王道」にするなら、コウのキャラは『リュウソウジャーソーセージ』に合わせるべきではないのかと(大爆)。


 ただ、第6話で怪人の毒に侵(おか)された弟のトワを救ってくれたコウに、兄のバンバ=リュウソウブラックが感謝はしたものの、「仲間とは思っていない」として、トワとともに再びコウたちと別行動をとるようになったのは、いくら「子供番組」とはいえ、序盤で対立したキャラがすぐに「みんななかよし」(笑)になる傾向が従来のスーパー戦隊では強かったのに対し、これには前作の『ルパパト』の良さを継承した印象も感じられ、登場キャラのさまざまな思惑が交錯する「群像劇」としては、今後の展開に期待してもよいのかもしれない。


稚気満々な変身演出! 明朗な恐竜ロボット特撮演出から、今後に期待したいこと!


 あとリュウソウジャーの変身場面における、彼らの足下(あしもと)で小さな騎士の姿をした多数のリュウソウルが、「ワッセイワッセイ!」と踊りまくる描写が、中年オヤジの観点からすれば、もうひたすらかわいく見えてしかたがない(笑)。


 もっとも騎士竜たちが、00年代のスーパー戦隊の中では「王道」の色が強かった『炎神(えんじん)戦隊ゴーオンジャー』(08年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20080905/p1)の相棒として登場した、乗りものと動物の特性を兼ね備えた機械生命体・炎神たちのように、にぎやかにしゃべくりまくってくれるなら、そのかわいらしさに子供たちが惹(ひ)きつけられるのみならず、それらの声を演じる声優たちのファンをも、新たな視聴層として開拓できるかと思えるのだが。
 これは先述した『仮面ライダー電王』で、主人公の野上良太郎(のがみ・りょうたろう)=仮面ライダー電王に憑依(ひょうい)していた正義側のイマジン(怪人)たちの描写で爆発的な効果をあげたものだが、戦隊にしろライダーにしろ、近年はそうした演出が見られないのは、実にもったいないように思えてならないものがある。


 なので、中盤からでもいいから、リュウソウジャーとの結束(けっそく)をいっそう強くしたことで、騎士竜たちが人間の言葉を話せるようにできないものかと。
 『リュウソウジャー』で変身やさまざまな武器として使用されるアイテムがリュウ「ソウル」(魂・たましい)と命名されているように、『ゴーオンジャー』で描かれた同様のアイテムも炎神「ソウル」と呼ばれていたのだし、当初3人で結成された戦隊に緑と黒の戦士が加わるのも、まんま『ゴーオンジャー』と同じなのだから(笑)。


 まぁ、古い世代としては、リュウソウ族の長老を演じているのが、『帰ってきたウルトラマン』(71年)で主人公の郷秀樹(ごう・ひでき)=ウルトラマンジャックを演じた団時朗(だん・じろう)というだけで、視聴意欲がマンマンであることには違いないのだけれど。
 第5話のクライマックスでは、デカい夕陽を背景に、リュウソウブラックの相棒・ミルニードルがキシリュウオーに合体した、キシリュウオーミルニードルとタンクジョウが対戦したが、世代的に佛田特撮監督も、団氏の出演で『帰ってきた』でよく描かれた、「夕焼け特撮」を再現したくてたまらなくなったのではないのかと(笑)。


(了)


合評2 『騎士竜戦隊リュウソウジャー』序盤評

(文・犬原 人)


 全体的にドラマがチャカチャカしているような気もするが、何をどう説明すべきなのかわかっている、ツボを押さえた脚本のせいで、すんなり作品世界に入っていけたような気がした。だからといって自分の好みかと言えば、実のところはそうでもないのだが。


 それでも長老(おお団時朗!)、マスターレッド(黄川田将也!)など、往年の特撮スターが客演しながら、マイナソー(ウルトラマンルーブに絡めた方がよかったようなデザインだった )に殺されるという形で無理やり世代交代を強いられる……という第1話は、『仮面ライダーV3』(1973・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20140901/p1)を見たようでもあり。


 この『星獣戦隊ギンガマン』(1998・https://katoku99.hatenablog.com/entry/19981229/p1)か『忍風戦隊ハリケンジャー』(2002・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20021110/p1)な、「世間から隔絶された」彼らに素人ユーチューバーが絡むのは当代風なんかな。彼女に絡む親族の叔父さんがフライドチキン男(吹越 満from『有言実行三姉妹シュシュトリアン』(1993))なので、芝居の方に心配はしていないのだが。


 人間のマイナス感情を糧に、エサとなる人間が消耗するまで暴れ回るというマイナソーの設定は『SSSS.GRIDMAN』(2018)というより『プリキュア』っぽいか? という気もするが、うっかり生物なり宇宙人なり異民族を設定すると抗議が来るので設定された、「精神的人外」なような気もする。


 リュウソウジャーのデザインはグッド。恐竜と騎士の甲冑を組み合わせた顔の出来は及第点だが、子供には描きにくそう。


 とりあえず今年は、気が滅入った時は「ケボーン!」と叫ぶようにしよう。「死ぬ気弾」を浴びたつもりで(そりゃ『リボーン』だ!……笑)。


(了)


合評3 長老「だって、うちケバブ屋だもん!」

(文・戸島竹三)


 レギュラーに団時朗、『ウルトラマン80(エイティ)』(80)のような怪獣の成り立ち(人間の負の感情が原因)と、円谷感満載の序盤に驚く(1話の怪獣もモロ、『ウルトラ』だし)。五人の中では、ソーセージCMの演技も異様に熱いレッドがダントツの存在感。吹越満はもう少し出番がほしい(掛け持ち出演が続くうちは無理か)。


(了)


合評4 『騎士竜戦隊リュウソウジャー』序盤評 ~初期感想。一話から三話を視聴

(文・フラユシュ)

一話。

 どちらかというと怪獣物+『星獣戦隊ギンガマン』(98年)を恐竜に置き換えたリメイク的内容。
 『ゲゲゲの鬼太郎』(18年)一話でもユーチューバー出ていたが、こちらはレギュラーか。実写でハンマーで記憶消すネタは生々しのでやめた方がいいような。

二話。

 フェンシング選手絡めた家族話。先代のこともう少し引きずるか仲間さがしかと思いきや、既に通常話。
 今回も基本おバカレッドか。まだレギュラー全員ぎこちない印象。SNSよりも子供の目撃というのがなんと言ったらいいのか……。
 で、今回ティラノサウルスメカはお笑い枠なのか? どちらかというと等身大戦闘より巨大戦闘メインのシリーズか?

三話。

 怪人説明回。で、残り二人のリュウソウジャー登場で兄弟なんだね。だが、合理的に今回の怪人の発生源の人間を殺す合理主義者か。黒の兄貴は無口のためまだキャラ読めないが緑はそうか。


 子供番組などでも長いこと描かれてきた「被害をこうむる『多数』を救うために『少数』を犠牲にする合理主義」テーマは、一部でのネット論争によると倫理学の思考実験で有名な「トロッコ問題」から来ているらしい。これはフィリッパ・フットが提起し、ジュディス・ジャーヴィス・トムソン、ピーター・アンガーなどが考察を行った。人間がどのように道徳的ジレンマを解決するかの手がかりとなると考えられており、道徳心理学・神経倫理学では重要な論題として扱われているそうだ。
 マイケル・サンデル教授の講義をまとめた書籍「これからの『正義』の話をしよう」(10年)内の記事に、この思考実験の講義があるらしいが、ジャンル作品ではわりとむかしからあるテーマなので「トロッコ問題」を扱ったクリエイターが、この書籍を全員読んでいるわけではあるまい。文庫版の発売は2011年だし。この論をサンデルが再拡散したのは2009年くらいだとの説をネットにて拾う。再拡散ということはそれ以前にもあったらしい。


 ちなみにこの問題を扱った作品をジャンル作品で初めて見たのは、記憶だけで書いているので間違いあるかもしれないが、旧『魔法使いサリー』(66年)での機関車のエピソードで、三浦綾子の実話を元にしたキリスト教神父がその身を犠牲にして機関車とその乗客を救う小説『塩狩峠』(66年・73年に松竹にて映画化)をモデルにした話であった。
 まぁその話では機関車の保存問題が主で、命の重さのテーマにはあまり重きを描いていなかったと思うが。提起はしたが答えは見た視聴者にゆだねるという感じで。おそらく脚本を担当した人がその小説を読んでネタにしたのであろうか。誤認があればオフセット印刷版までには書き足します。


(参考)
https://ja.wikipedia.org/wiki/ 塩狩峠_(小説)
 おそらくこのブームから持ってきたんだろうが、エンディング主題歌のなれあい見るかぎり、あまり尾を引く設定ではないと思う。緑がそのことを知っているということは、既にそのために人間を殺してるとしたらハードだが、今時の作品でそこまでやることはないだろう。四話以降は未視聴なのでコメントは控えますが。


(了)


合評5 『騎士竜戦隊リュウソウジャー』序盤評 ~ケボーン!! ってなに?!

(文・J.SATAKE)


 日本の放送文化の質的向上を願い、放送批評懇談会が顕彰するギャラクシー賞。その月間賞を特撮の枠をこえた見応えある人間ドラマであると、スーパー戦隊シリーズ『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』(18)が受賞!! 我々ファンからしてみれば、その魅力の一端が未見の方々に伝わる機会となったことに喜びを禁じ得ない。


 特撮作品において、人物造形とそこから生まれるドラマの充実は親世代に訴求することになるわけだが、今回スタートした第43作『騎士竜戦隊リュウソウジャー』(19)はメイン視聴者である子供たちに向けて、ヒーローの魅力・仲間と協力するチームの力・変身と合体ロボットの爽快なバトルアクションというスーパー戦隊の特色をストレートに展開する作品となるようだ。
 チーフプロデューサーは丸山真哉氏。脚本はテレビ朝日東映が製作した刑事ドラマ『遺留捜査』(17)などを手がけている山岡潤平氏。シリーズの方向性をリードする第1・2話を監督したのは、平成仮面ライダーで人物の心理を独自の画で表現し、バトルアクションもアップとスローモーションを効果的に使ったシーンを展開した上堀内佳寿也氏。新たにスーパー戦隊を担当するスタッフは、どのような王道を目指すのかが打ち出された初期編となった。


戦闘民族ドルイドン軍団! 6500万年ぶりに宇宙から襲来!


 人里離れた樹海を舞台に、戦いを繰り広げるふたつの種族。その身に城を構えたかのような巨体の魔人=タンクジョウと毒々しいキノコが機械の鎧をまとった魔人=クレオンは、銀色の鎧に身を包んだ戦闘員=ドルン兵を従え侵略を開始した。
 彼らは戦闘民族ドルイドン。6500万年前にも戦端を開いたが、地球に巨大隕石が落下したため侵略をあきらめ宇宙をさまよった。だが宇宙の過酷な環境によって、人間の生命エネルギーと負の感情をかけあわせて成長するモンスター・マイナソーを生み出す能力が発現。これをもって再び地球の支配者にならんと舞い戻ってきたのだ!


 敵は容赦なく人類と地球を狙う戦闘民族。頑丈な体躯で大剣を振るうタンクジョウは地球のマグマから力を奪い火球攻撃で騎士竜戦隊を苦しめる。


 仕事に忙殺され子供と遊んであげる時間をつくってやれない、人間の勝手な都合でペットの命を簡単に奪ってゆく……。人が毎日の暮らしで多かれ少なかれ抱いてしまう負の感情。そこから生命エネルギーを抽出しマイナソーを成長させるのがクレオンの役目だ。


 揺るぎなく倒すべき巨悪として存在することで人類と地球を守るヒーローとの対比が浮き彫りとなる。初登場シーンではタンクジョウとクレオンのほかにも幾体かのシルエットが並び立っていた。これから登場する彼らも強敵揃いのドルイドン軍団であることを期待しよう。


古代人類リュウソウ族! 因縁の敵に対し、長老や先代の遺志も継いで戦隊へ変身!


 ドルイドンに対抗し戦いを続けたのは古代人類リュウソウ族。彼らは恐竜のもつ絶大な力を借りて戦い抜いてきたのだ。隕石落下によってドルイドンは撤退、恐竜は絶滅したがリュウソウ族は最終決戦に備えて武装した恐竜=騎士竜を神殿に封印し、現代に至るまで人知れず騎士道を貫き続けていた……。
 次なる戦いに向けて世代を引き継いできたリュウソウ族だが、タンクジョウ&クレオン率いる兵団と巨大獣となったマイナソーの脅威にさらされる三人の騎士。マスターレッド(演・黄川田将也氏)マスターブルー(演・渋谷讓二氏)マスターピンク(演・沢井美優氏)は、激しい戦いのなかでその身を挺して弟子の命を守り、騎士の使命と精神を示して絶命する! 黄川田氏は『仮面ライダーTHE FIRST』(05・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060316/p1)本郷猛として主演したが、実写版『美少女戦士セーラームーン』(03)タキシード仮面の渋江氏と主人公・月野うさぎの沢井氏とともに古幡元基としても出演している。


 師弟関係は世代交代の象徴。本作の物語としてはもちろんだが、東映特撮に出演した俳優として新しい世代へ歴史をつないでゆく様をも感じ取ることができ、主人公たちへの感情移入度がより高まる。
 リュウソウ族を束ねる長老を演じるのは団 時朗氏。騎士竜の伝説を語る重厚さや、掟に厳しいところから典型的な長老かと思われたが、リュウソウ族の里が崩壊後は移動車両のケバブ屋のおやじさんとして再登場! 硬軟取り混ぜてコウたちをサポートするバイプレイヤーとして活躍してくれそうだ。 


 マスターレッドの意思を受け継ぎ騎士となったコウは「勇猛の騎士」=リュウソウレッド。長めの髪をカッチリ分けた王子スタイルの彼だが、好奇心旺盛で考えるよりまず行動するアクティブキャラだ。
 青い髪がひときわ目を引くメルトは「叡智の騎士」=リュウソウブルー。慎重に敵を観察し戦略を提案するクールキャラだ。
 コウやメルトとは幼なじみのアスナは「剛健の騎士」=リュウソウピンク。小柄な女子でありながら怪力の持ち主という定番の設定だが、仲間を信じる強い意志を持ったキャラも付加されている。


 修行なかばでドルイドンとの戦いに入った彼ら。マスターの死に直面し、強敵・タンクジョウへの憎しみを隠せない。敵怪人・マイナソー発生の理由である人の心に寄り添い、撃退するために伝説の騎士竜が眠る神殿を発見しようと東奔西走! 次々と迫る局面をくぐり抜け騎士として成長してゆく様を追うことで、ヒーローの存在意義を示す。


別働戦隊も登場! 根源のゲスト庶民を抹消すれば敵怪人も抹殺可能!?


 三人より先んじてリュウソウ族の里を離れ、騎士として修行を積んでいた二人がいた。
 短い茶髪と強い自信からついつい挑発的な口調となるトワは「疾風の騎士」=リュウソウグリーン。その一方で動物に優しく接する一面もある。
 トワの兄であり、オールバックにキッチリきめた髪型から義理堅さが滲むバンバは「威風の騎士」=リュウソウブラック。修行で身につけたのか、堅実な戦い方が合理主義であることを伺わせる。


 立場の異なる騎士の出会いがヒーローの意義・精神を問い直す。
 いまだつたない技量のコウたちを軽視するトワとバンバ。二人はマイナソー成長の原因である、生命を奪われる人物を亡き者とすれば良いと剣を振り上げる! しかしコウたちはその人の悩みに寄り添い、助けたいと手を差し伸べる……。
 バンバが言う「小を殺し大を救う」、これが現実的な救済の道でありひとつの回答だ。だがコウたちはギリギリまで努力し、地球に生きる生命を守ろうとする。ヒーローに求められる技量と精神。どちらも充実しなければ理想は実現しない、それを複数のチームで補い合うのがスーパー戦隊シリーズの意義と精神なのだ。


 勝ち負けにこだわりコウと競い合うトワだったが、全てを救いたいというコウたちの理想に伝説の騎士竜たちが応えて復活した事実を知り、反発していた自分たちも仲間だと必死に戦う姿にその心を開いてゆく……。
 バンバもコウたちの戦い方を認められなかったが、弟・トワの命の危機に接し、最後までコウとメルトの勝利を信じて待つという同じ病床のアスナの心からの言葉に、その剣を下げるしかなかった。――バンバには他にも合理主義にならざるを得ない事情があるようだが、それはまた後のようだ――


 ひとりの力は小さくとも、それを合わせれば大きな力となる。そこへ至るには意見がぶつかることもあるが、高い理想を求めて努力する心を持ち続けよう! 現実は厳しいけれどヒーローにも日常にも大切な精神を真っ直ぐ掲げることができるのが、このジャンルの特権だ。 


戦隊が寄宿する変人学者の父娘! なんと娘は引きこもりなユーチューバー!?


 コウたちを人間の世界に導くのは、地球の謎に迫る(?!)動画サイト「ういちゃんねる」をアップするため各地へひとりで足をのばす龍井うい。偶然リュウソウ族の里へ迷い込んでしまった彼女。ドルイドンとの戦いに巻き込まれたことでコウたちと関係を深めるが、引きこもりの時期を過ごしたこともある「人嫌いだけど繋がりたい」少女なのだ。
 そんなういを優しく見守るのが父・尚久(演・吹越 満氏)だ。これまで発見されていない恐竜の存在を信じ続け、学会から見放されてもフィールドワークを地道に続ける彼のひたむきさが娘・ういの心を救っている。
 この研究が各地の神殿に眠る騎士竜につながると、ういはコウたちを自宅兼研究室へ居候させる。そんな無茶も受け入れ、ういをよろしくと願い出る尚久。
 派手でドラマチックな親子関係ではないが、思いやりで互いを支える様子が見えてくる良いシーンであった。ベテラン・吹越氏の飄々とした物腰はシリアスにもコメディにもハマり、誰彼なく豆乳をすすめる小ネタキャラも着々と進行させる見事な役者さんだ。


戦隊のデザインモチーフ・変身ブレス・各種アイテム・音声ガイド・プレイバリュー!


 騎士竜戦隊のヒーローデザインは「牙のギザギザ」と「騎士の鎧」がポイント。変身ブレスレットであるリュウソウチェンジャーは恐竜の頭部に騎士のフェイスガードを組み合わせたもの。そこにリュウソウルと呼ばれる、小型の恐竜ヘッドパーツをセットすることで騎士竜のパワーがチャージされリュウソウジャーへ変身するのだ! このリュウソウルはワンタッチで恐竜ヘッドのソウルモードと、剣と盾を持った鎧騎士・ナイトモードへ変身するアイテム。画の見どころは、コウたちの周りに小さな鎧騎士たちが現れ戦意を鼓舞する踊りをするところ。変身待機音も笛と太鼓でプリミティブなイメージを補強する!


 「ワッセイ、ワッセイ! ソウ、ソウ、ソウ、ワッセイ、ワッセイ! ソレ、ソレ、ソレ、ソレ!! リュウSO COOL!」
 「俺たちの騎士道、見せてやるぜ!」


 ヒーロースーツのデザインも騎士のフェイスガードをつけた恐竜をヘルメットに落とし込み、首元中央から大きく牙をデザインしたものだ。腰ベルトのバックルは卵型のリュウソウルホルダーで、様々なタイプのリュウソウルがここから取り出される。


 リュウソウジャーのメイン武器は長剣・リュウソウケン。鍔にあたる部分に金色の恐竜がデザインされており、その口が開きリュウソウルをセット。グリップで口がガブガブすることでパワーチャージ!


 「リュウ! ソウ! そう! そう! この感じ!!」


 剣を持つ右腕から肩にかけて鎧が装着されて、様々な特殊能力を発揮することができるようになるのだ。


 ・強大な力を発揮できるツヨソウル
 ・長い鞭が伸びて攻守に使えるノビソウル
 ・瞬発力を高め高速移動ができるハヤソウル
 ・石のような堅さでその身を守るカタソウル
 ・鉄球を装備し重力を操るオモソウル


 リュウソウルは変身前でも使用でき、遙か遠くを見聞きしたり、相手に本当のことを言わせたりなど魔法のような効果もある。一方、臭い匂いをまき散らすクサソウルや、地面を磨いて敵の足を滑らせる ソウルなど使い方を間違えると正に「スベって」しまうオモシロ系もあり、玩具展開において定番となったコレクションアイテムのバラエティ化に一役買っている。


 変身アイテムの音声ガイダンスは関 智一氏が担当。『海賊戦隊ゴーカイジャー』(11)での威勢良いガイダンス以来、その特撮愛溢れる声の演技でワル中のワルから愛嬌ある怪人を演じ分け、『仮面ライダー』(71)ショッカー首領の納谷悟朗氏の声質を見事に再現するなど、現在特撮声優として欠かせない存在となっている。本作のリュウソウルはカッコ良さを追求した声はもちろんだが、クサソウルやプクソウルなどギャグ調のアイテムは思いっきりおふざけ声を披露しており、そのギャップも大きな魅力のひとつとなっている。
 『獣電戦隊キョウリュウジャー』(13)での千葉 繁氏の振り切った叫び声とサンバミュージックもかなりのインパクトを残し賛否両論であったが、それに習ったかのような本作も筆者は大賛成だ。どうせやるなら振り幅は大きく! おもちゃ箱をひっくり返したかのような賑やかさもスーパー戦隊ならではの作品カラーなのだから。


巨大獣vs等身大ヒーロー・恐竜ロボ複数・合体して戦隊巨大ロボ! 本作の特撮演出!


 巨大化したマイナソーにその身ひとつで立ち向かってゆくリュウソウジャーたち。昨年拡張された都市セットを舞台にして巨大獣と等身大ヒーローの戦いが繰り広げられる!!
 ビルの窓からのぞむマイナソーの威容に恐れおののく人々。その巨体に飛びかかり周りを巡って攻撃を続けるリュウソウジャー! 以前なら一方向からのアングルで捉えるしかなかった巨大獣とのバトルだが、ヒーローが激しく移動する様子をカメラが追い続ける画をセットとスーツアクター・CGを複合でデジタル合成することでアクティブでダイナミックなシーンとして見せることができるようになった。
 巨大獣の力と恐ろしさを示し、それに対抗しうる力=伝説の騎士竜の存在・必要性を訴える。しかし騎士竜たちにも意思があり、リュウソウジャーの騎士としての決意を見極めて動き出す「パートナー」としてキャラクターを際立たせる。


 これまでに何度もモチーフとして採用されてきた恐竜。本作では武装した恐竜=騎士竜ということで生物の曲線を活かしつつ、メカ二カルな武装パーツを取り込んだデザインとなっている。
 リュウソウレッドの騎士竜はティラミーゴ。一番の人気恐竜・ティラノサウルスをモチーフに銀色の鎧パーツと、小型のキャノン砲・ドリルを装備しているのが特徴だ。大きな口の噛みつきとテイルアタックが主な攻撃だが、ティラミーゴ単体でロボット形態へ変形することも注目ポイントだ。リュウソウレッドがリュウソウルを投擲するとグングン巨大化! ソウルモードの裏側にはロボ形態の頭部が隠されていたのだ! 胸部にティラミーゴの頭部がセットされた巨大ロボ・キシリュウオーの完成!!
 ブルーの騎士竜はトリケーントリケラトプスの角が長大な剣となっており、手足がかなり小型化されたデザインだ。
 ピンクの騎士竜はアンキローゼ。アンキロサウルスの尻尾が大きなハンマーとなり、トリケーンと統一されたサイズでデザインされている。


 トリケーンとアンキローゼはキシリュウオーの武装パーツとしても運用される。このタイプがキシリュウオースリーナイツだ! 騎士竜たちの様々な部位に共通の突起が装備されており、そこに黒色のジョイントを組み合わせることで、分離したトリケーンの剣やアンキローゼのハンマー、ティラミーゴのテイルさらには頭部までも! キシリュウオーの腕や脚部・肩などに接続して攻撃に使用することができるのだ!!
 ジョイントチェンジと呼ばれるこのシステム、各部の突起を良く見るとなつかしの組み立てブロックではないか! 突起と箱が密着する独自の「渋み」で着脱が自由自在のブロック。テレビシリーズに登場した武装のほかにもオリジナルの組み合わせで様々な武装・合体を楽しむことができる玩具となっているのだ。


 キシリュウオーのバトルアクションはスーツアクターによる激しいライブアクションの迫力が最大の魅力! 直線的な箱組のロボットに比べ、キシリュウオーはメリハリの効いた細身のデザイン。腕・脚部もスリム、さらに腹から腰部も動きやすいシンプルなラインなので膝を高くあげて走ることができるのだ! 下からあおるカメラアングルで土煙を巻き上げながら疾走するキシリュウオーの画はダイナミック! 腰を大きくひねることも可能なため、得物を振り回すアクションも映える。


 グリーンの騎士竜はタイガランス。本作オリジナルの恐竜・タイガーサウルスはほとんど虎! 牙と尻尾をランスで武装している。
 ブラックの騎士竜はミルニードル。これもオリジナル恐竜・ニードルサウルスはほぼハリネズミ! 広い背をスパイクニードルで武装している。
 彼らもティラミーゴとジョイントチェンジすることができ、さらにレッドリュウソウルの代わりにブルー・ピンク・グリーン・ブラックリュウソウルを組み替えでヘッドチェンジすることでキシリュウオートリケーン・キシリュウオーアンキローゼ・キシリュウオータイガランス・キシリュウオーミルニードルへとバリエーション展開する。これらは後の戦いではっきりと差別化する演出を期待したい。


 そして全ての騎士竜を武装したキシリュウオーファイブナイツに合体! 五人の騎士の意思がひとつとなったこの姿で強敵・タンクジョウと対決する。


 ときに厳しくときに優しく、騎士の道へ導いてくれた師匠・マスターレッドの命を奪ったタンクジョウ。その憎しみ・怒りにまかせて無謀な戦いへ突き進むコウ! マイナソーの毒によってトワ・バンバ・アスナが動けなくなるなか、作戦参謀でもあるメルトも倒れ伏す。このまま全員が敗北すれば誰が地球の生命を守るのか? 必死でマイナソーの牙を奪い解毒剤を生み出したことで、コウは悟る。
 ヒーローは個人の憎しみで戦うのではない。過去に目を向けるのではなく、未来に向かって(自らを含めた)ひとつでも多くの生命を救うための戦いをしなくてはならないのだ。コウの理想に共感してキシリュウオーの五体合体を完成させた騎士竜戦隊! 
 地球のマグマパワーを吸収したタンクジョウを地上で撃破しては周囲の市街地を壊滅させてしまう……身体を風船のように膨らませるプクプクソウルでタンクジョウを大空高く舞い上げて、全てのパワーを斬撃に込めたキシリュウオーファイブナイツの最強必殺技=ファイブナイツアルティメットスラッシュが強敵を葬り去った!!


『騎士竜戦隊リュウソウジャー』序盤総括


 コウたちの戦い方を完全に認めたわけではないが、トワの生命を救ってくれたことに頭を下げるバンバ。わだかまりは消えていないが、今後はトワがコウたちとの間を取り持ってくれるだろう。
 第一のライバル・タンクジョウとの戦いを通じて、騎士竜戦隊のヒーローとしての立ち位置を明確にしてきた初期編。ただ理想だけを見せるのではなく、現実を受け入れつつそのうえで理想に向かってゆくことが自身のみならず世界を変えてゆく……様々な情報を受け取ることができる現代。近道を選ぶことは容易いけれども、泥臭くも地道な努力が報われ人の和がひろがることが尊い
 ヒーローの葛藤を複数のキャラに振り分け、バトルアクションにのせて描いてゆく。それが重くなりすぎず熱いドラマへと昇華させるのが、本作の魅力であろう。


 本作はエンディング曲が復活! サンバ調のリズムに乗って、素顔と変身後のメンバー・さらに騎士竜たちも、舞台のかきわり風イラストやビルの屋上・野原など様々な場所で楽しく歌い踊る! 曲調・コンセプトは『キョウリュウジャー』と同じだが、明るく楽しい作風にはこうしたエンディングがベストマッチであろう。


 真正面からの直球勝負で王道のスーパー戦隊を目指す『リュウソウジャー』。これからの展開も注目してゆきたい。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2019年GW号』(19年4月29日発行)所収『騎士竜戦隊リュウソウジャー』序盤合評1~5より抜粋)


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