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仮面ライダーX総論  〜公私葛藤描写の先進性!

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 新番組『仮面ライダードライブ』14年10月5日(日)放映開始記念! 映画『平成ライダー昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat. スーパー戦隊』 ソフト化記念! 元祖・1号ライダー・本郷猛こと藤岡弘・御大や、X(エックス)ライダー・神敬介、10号ライダーZX(ゼクロス)・村雨良が登場記念! ……なぞとカコつけて(汗)、『仮面ライダー』第1作〜『仮面ライダーJ』までの昭和ライダーシリーズ各作評を、順次UP予定!


仮面ライダーX』総論 〜セタップ! 仮面ライダー

(文・久保達也)
(2014年3月執筆)


 早いもので、『仮面ライダーX(エックス)』(74年)の放映から2014年で「40周年」を迎えた。映画『平成ライダー昭和ライダー 仮面ライダー大戦(たいせん) feat.(フィーチャリング) スーパー戦隊』(2014年3月29日公開)において、仮面ライダーX=神敬介(じん・けいすけ)がメインキャラとして大きく扱われているのは、やはり2014年が『X』にとって、アニバーサリーイヤーであったことも大きいかと思われる。


 『仮面ライダーV3(ブイ・スリー)』(73年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20140901/p1)が元祖『仮面ライダー』(71年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20140407/p1)からの地続きの物語として描かれて、前作の世界観をほぼ踏襲(とうしゅう)していたのに対して、『X』はそれを一新して各種設定にさまざまな意欲的な試みが取り入れられていた。それらは40年を経(へ)た現在の観点からしても斬新(ざんしん)に見えるものが多く、中には平成ライダーの設定を先取りしていたのでは? と思えるものもあるくらいだ。
 そこで今回は、『X』放映40周年を記念して、いささか駆け足ではあるが、それらについてを振り返ってみたい。


*「セタップ!」(変身)とライドル(武器)導入の先進性!


・本郷猛(ほんごう・たけし)=仮面ライダー1号
・一文字隼人(いちもんじ・はやと)=仮面ライダー2号
・風見志郎(かざみ・しろう)=仮面ライダーV3


 それまでのライダーたちは、皆一定の変身ポーズをとることで変身ベルトの風車が回転し、ライダーへの変身を遂げるというパターンが踏襲されていた。


 日本壊滅をねらう謎の秘密機関GOD(ゴッド)は、人間工学の権威であった神啓太郎(じん・けいたろう)教授の研究レベルの高さに着目、協力を要請するが、それを拒否したために息子の敬介ともどもGODに殺害されてしまう。瀕死(ひんし)の神教授が自らの命を犠牲にして行った改造手術により、敬介は深海開発用改造人間=カイゾーグとして蘇って仮面ライダーXとなって、GODの野望を阻止せんと敢然(かんぜん)と立ち向かうのである!


 敬介の変身時の掛け声「セタップ!」は「セットアップ」の略である。敬介は変身ベルト以外にも「レッドアイザー」と「パーフェクター」と称する小型のサブアイテムを併用(へいよう)してXに変身する。敬介が「セタップ!」と叫ぶと、その時点で顔以外の全身はすでにXの姿へと変身している。そして、右手に持った「レッドアイザー」という両眼型のパーツが左半分だけ・右半分だけの頭部マスクに変型して順に装着されていき、左手に持っていた「パーフェクター」を口アゴの部分に下から上へとハメることで変身を遂げるのである!
――「ヤーーーッ!!」と叫んだ時点で顔面以外がライダーマンの姿へと変身しており、頭部マスクを手でかぶることで変身を完成させていた結城丈二(ゆうき・じょうじ)=ライダーマン(『仮面ライダーV3』最終第4クールに登場した4号ライダー)の変身は、Xライダーのプロトタイプ(試作)であったようにも思えてきてしまう――


 近年の平成ライダーシリーズを振り返れば、


・『仮面ライダーオーズ』(10年)のメダル
・『仮面ライダーフォーゼ』(11年)のスイッチ
・『仮面ライダーウィザード』(12年)の指輪
・『仮面ライダー鎧武(ガイム)』(13年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20140303/p1)の錠前


と、変身時に変身ベルト以外のアイテムを併用するのが当然になっている。だが、昭和ライダーシリーズではそうしたアイテムが登場したのは実質『X』のみであったことを思えば、平成ライダーの変身パターンの先駆けとなったものも、まさにこの『X』の「セタップ!」だったとさえ思えるのである。


 空中の裂け目の異空間からどデカいフルーツ型のパーツが降下してきて、ヒーローの顔面部にカポッとはまって――文章で表現すると完全にギャグシーンだとしか思えない・笑――、さらにフルーツの皮がむけるとそれが武者鎧のようなアーマーとなって全身に装着されるという『鎧武』に登場する各ライダーたちの変身シーンは、期せずしてこの「セタップ!」のバージョンアップになっていたともいえまいか?


 そういえば、初期平成ライダーシリーズのヒットにより、00年代初頭から半ばにかけてバンダイから「装着変身」シリーズと称して、昭和から平成に至るライダーたちの可動フィギュアが発売されていたものである。そうした玩具性・メカニック性、さらにはマーケティング性の原型をも、X(エックス)ライダーの「セタップ!」は先取りしていたかのようにも思えるのだ。


 そして、仮面ライダーの代名詞であった「ライダーキック!」以外にも、『X』ではライドルと称する武器が新たに加わった。通常は変身ベルトの脇に装備されており、これを引き抜いて4つのボタンを押すことにより、ライドルスティック(棒術)・ライドルホイップ(短剣)・ライドロープ(敵を捕獲するロープ、あるいは電磁ムチとして使用)・ロングポール(そのまんま・笑)に変化するという万能武器である!


 登場するやライドルを引き抜いて、ライドルホイップで「X」の文字を宙で切り刻んで、その残像が合成される中で、


「Xライダーーー!!」


と見得(みえ)を切るXの名乗りは、バツグンにカッコいい!


 ライドルの各種変形の中でも、主に多用されたのがライドルスティックとライドルホイップであった。『X』の企画書には


「彼の戦闘法の主なパターンは、剣法的な戦いとなります」


との記述がある。


 実際には最初の『仮面ライダー』の時点において、第8話『怪異! 蜂女』で旧1号ライダーが戦闘員から奪った短剣を使って、秘密組織ショッカーの女怪人・蜂女(はちおんな)と見事な剣術を演じるなど、すでにこうしたアクション演出は何度も行われてはいた。しかし、『X』ではこれをメインで描こうとしたのである。もっとも昭和ライダーの殺陣(たて)を担当していたのが、時代劇でのアクションを多く手がけていた大野剣友会(おおの・けんゆうかい)であったことを思えば、これは至極(しごく)自然な流れでもあったのだろう。


 また、70年代前半に加熱した「変身ブーム」において、圧倒的な強さを誇っていた『ライダー』ではあったが、インパクトの強い新必殺ワザを導入することにより、乱立する変身ヒーロー作品と少しでも差をつけようとするねらいは当然あったことと思われる。


 さらに、ライドルはそのまま武器として使用するばかりでなく、やはりライダーの代名詞である「Xキック!」に華(はな)を添えるためにも使われていたのである! ライドルスティックを空中高く放り投げるや、それが空中に固定された鉄棒のようになり(ここは子供心にインチキだとは思ったものだが、それでもカッコいい・笑)、そこで大車輪のように回転することで加速をつけて跳躍し、空中で全身を「X」字型に広げることでエネルギーを集中――ここでもXライダーの全身に「X」の文字が合成される!――、そこから「Xキック!」を蹴りこむという、実に派手で豪快な極めてインパクトの強い必殺ワザを描くことにも、このライドルは貢献していたのである!


 昭和ライダーでは剣術をメインにしたアクションは、『X』以外では『仮面ライダーBLACK RX』(88年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20001016/p1)において、RXがやはり変身ベルト・サンライザーから引き抜いて使用した光の剣・リボルケイン、RXが二段変身したバイオライダーの剣・バイオブレードが描かれたにとどまっている。
――なんと『RX』ではリボルケインが「決めワザ」として使われて、「RXキック!」はリボルケインで敵怪人にトドメを刺す際の前座に使用するという「逆転現象」が起きていた! これはやはり、レーザー剣で敵怪人にトドメを指すようになった『宇宙刑事』シリーズ(82〜84年・東映 テレビ朝日)にはじまるメタルヒーローシリーズの影響が濃厚だったことがうかがえるし、原点回帰志向であった前作『仮面ライダーBLACK』(87年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20001015/p2)との差別化の意図もあったのだろう。しかし、こうした作品自体のクオリティーとは関係がないものの仮面ライダーシリーズとしてはパターンな破りな要素が『RX』に対する当時の特撮マニアからの糾弾を呼んでいたのである。RXがバイオライダーやロボライダーにタイプチェンジするという、まさに平成ライダーの先駆けとなった設定すらもがまたしかり。そうなんですよ。やはり80年代のマニアって、そうだったんですよ、川崎さん!(80年代に流行った当時の某・芸能レポーターの言い回しです・汗)――


 だが、平成ライダー諸作品においては、主人公ライダーが「剣術アクション」を披露するのが当然となり、ある意味で「ライダーキック!」以上にインパクトが強く見えるほどにバトルに華を添える存在となりえている。これも元祖はやはり『X』のライドルなのであった。


*GODの神話怪人、アポロガイスト=ダークヒーロー登場の先進性!


 昭和から平成に至るまでライダーシリーズの敵怪人といえば動植物がモチーフというイメージは世間に根強いだろうし、実際に大半の怪人がそうである。しかしながら、『X』では敵組織の名称がGOD(Government Of Dark(闇の政府)の略称)=「神」であることからか、「ギリシャ神話」に登場する「神々」や「怪物」の姿を敵怪人のモチーフにしている。現在の観点では実に優れたデザインに見えるのだが、筆者にかぎらないと思うが小学校低学年でリアルタイムに見た際には、馴染みの薄いモチーフでいささか抽象的に見えてしまい、Xライダーの派手さに比べるとイマいちインパクトが薄いように感じてしまっていたのも事実ではある。


 だが90年代以降、テレビゲームの世界では神話をモチーフにした世界観やキャラクターがさまざまなかたちで登場し、現在ではすっかり世間に浸透している。それからすれば、このGODの神話怪人こそはまさに「早すぎた傑作」であり、現在であれば世間に充分に受け入れられると思われるのだ――だから映画『仮面ライダー大戦』ではGOD怪人も復活させてほしかった!――。


 また、


・『仮面ライダークウガ』(00年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090907/p1)に登場した敵集団・グロンギが、超古代の戦闘民族として設定されたことから、動植物をモチーフにしながらもどこか神話風に見える衣装を身につけた姿で怪人がデザインされていたり、


・『仮面ライダーウィザード』でも人々の精神世界=アンダーワールドの中に登場したファントム怪人――ここでは怪人というよりかは「怪物」の姿で描かれていた――が、海外ファンタジー作品に登場しそうなクリーチャー、それこそ神話に登場しそうな怪物の姿であったり、


などといったことを思えば、GODの初期の怪人たちが神話をモチーフとした選択自体は、決して誤りではなかったと考えられるのだ。



 さて、第8話『怪!? 小地球・中地球・大地球』~第21話『アポロガイスト最後の総攻撃!!』に至るまでは、GOD秘密警察第一室長・アポロガイストが登場する! 云うならば悪の組織の大幹部であるわけだ。しかし、元祖『ライダー』の悪の組織・ショッカーやゲルショッカー、『V3』の悪の組織・デストロンなどは、幹部たちは時折り前線で怪人や戦闘員の陣頭指揮をとることはあっても、基本的にはライダーとの戦闘には加わらず、怪人に変身して戦うのは自らの進退を賭けてライダーとの最後の決戦に挑むときのみにとどまっていた。


 だが、アポロガイストは、赤い鉄仮面のマスク、右手にアポロショットなる銃を、左手にガイストカッターなる盾(たて)を装備しているという、最初から戦闘モードとしてデザインされていること自体が、それまでの大幹部とは一線を画していた。


 さらに、アポロガイストは人間体としても登場する! そして、人間体から「アポロ・チェンジ!」の掛け声でアポロガイストへと変身するのだ! 変身前も常に白のスーツをビシッと着こなすダンディーなキザ野郎として描かれている。しかも、そのスーツ姿のままでバイクを乗りこなしたりもする。そのスタイルはレイモンド・チャンドラーの小説を愛読して常に立ち居振る舞いにハードボイルドを気取っている『仮面ライダーW(ダブル)』(09年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100809/p1)の主人公・左翔太郎(ひだり・しょうたろう)の姿に近いものがあるのだ――さすがにアポロガイストは、往年の名優であるハンフリー・ボガードみたいな帽子はかぶったりはしていなかったが・笑――。
 つまり、いかにも異形(いぎょう)で悪役然とした「敵幹部」という面よりも主役の変身ヒーローとも拮抗するようなスマートでカッコいい「ダークヒーロー」だと呼称されるべき「ライバル」「好敵手」として設定されているのだ!(もちろんこれは、本作『X』も手掛けた平山プロデューサーや脚本家・長坂秀佳(ながさか・しゅうけい)も参加していた東映特撮『人造人間キカイダー』(72年・東映 NET→現テレビ朝日)の終盤に登場した、変身前の人間としての姿も持っている好敵手のダークヒーロー・ハカイダーが大好評を博したことの逆輸入だろう)


 そして、翔太郎はキザでも実はメチャメチャ「いい人」だったりするのだが、アポロガイストの方はたとえば、


・第11話『不死身の水蛇怪人ヒュドラー』の冒頭において、GOD怪人ヒュドラーが一般市民を殺害している現場にバイクで乗りつけて「つまらん遊びはやめろ!」とだけ吐き捨てて去っていったり、


・話数は失念したが、昭和ライダーの世話役として第1期ライダーシリーズを通して登場していた立花藤兵衛(たちばな・とうべえ)が経営する喫茶店フラリと現れ、アポロガイストを敬介の友人だと思いこんだ立花のおやっさんが、


「どうです。腕によりをかけたコーヒーの味は?」


と声をかけると、アポロガイストは「フン」と鼻で笑い、


「ま、こんなものですかな」


などと、あからさまにバカにした様子であったりと、もうメチャメチャ「イヤなヤツ」だったりするのである(笑)。


 終始こんな調子だから、GODの怪人たちとも折り合いが悪かった。こうしたキャラは昭和ライダーの中では極めて異色であり、ほかには次々作『仮面ライダーストロンガー』(75年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20201231/p1)の敵組織・ブラックサタンの大幹部であるタイタンが、やはりキザったらしい紳士である黒いスーツ姿の人間体として登場していた例があるくらいだ。


 だが、そうしたエキセントリックなキャラクターや、敵組織の中で幹部たちが対立を繰り返すとか、人間体の幹部が初期話数から敵怪人に変身してライダーと話数をまたいでバトルを繰り返し演じるなどは、平成ライダーシリーズにおいてはもはや定番で描かれていることなのである。そうした描写の原点をもこのアポロガイストには見いだすことができるだろう。


 アポロガイストは第14話『アポロガイストくるい虫地獄』で一度は倒される。しかし、第15話『ゴッド秘密基地! Xライダー潜入す!!』〜第16話『逆襲アポロガイスト! Xライダー危うし!!』の前後編で再改造されて復活する。そして、第21話『アポロガイスト最後の総攻撃!!』でふたたび倒されるまで登場し続けるという、当時の子供たちや後年の特撮ファンたちの記憶に残る名ライバルキャラクターとなったのだ。それゆえに、はるか後年の『仮面ライダーディケイド』(09年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090829/p1)終盤でも大ショッカーの大幹部としてリメイクされたほどなのだ。


*水城涼子=「恋人」登場、公私葛藤の先進性!


 『ライダー』における本郷猛と緑川(みどりかわ)ルリ子、『V3』における風見志郎と珠純子(たま・じゅんこ)など、なんとなく恋愛関係を思わせるような主人公とヒロインの描写も、これまでまったくなかったわけではない。だが、いかんせん1970年代の「子供番組」である以上は、そうした面が直接的に描かれることはないままに終わっていた。しかしながら、『X』第8話まで登場していた水城涼子(みずき・りょうこ)は、明確に敬介の恋人であり許嫁(いいなずけ)である、とまで設定されていたのである。


 神教授の助手であった涼子は突然に教授や敬介を裏切って、GODの工作員として暗躍することになる。しかし、涼子は実は国際秘密警察の潜入調査員であり、その行動はGODの秘密を探るためだったことがのちに明かされる。カイゾーグとなって肉体面では強化された敬介ではあったが、恋人であった涼子の裏切り行為というシビアな現実を認めることができるほどに精神面も強かったわけではない。GODによる事件が起きているのにもかかわらずに涼子のあとを追い続けて、涼子の双子の妹・霧子(きりこ)にそれをとがめられる姿までもが描かれていたのだ。



 ヒーローなのに主人公のこうした「プライベート」の方を優先してしまうような姿は、近年では『仮面ライダーウィザード』最終展開において、ウィザード=操真晴人(そうま・はると)が恋人である――と解釈してもさしつかえがないだろう――コヨミの命を救うことを、絶望して同作における知的怪人種族ことファントム怪人を生みだそうとしているゲストキャラの人間たちを守ることよりも優先してしまいそうになるかたちで描かれてはいたものでもある。こうした「公」よりも「私」を優先させてしまうヒーロー像は、平成ライダーシリーズをはじめ、近年の作品には多い傾向ではあるのだが、実は早くも70年代中盤に放映された『X』ではそれが描かれていたのである!


 しかも、企画書では劇中のように、涼子の正体が国際秘密警察であったとされるのではなく、


「GOD工作員は、頑として断り続ける教授に業(ごう)を煮やして、遂に涼子にその矛(ほこ)先を向けたのだ。巧みな脅迫に切羽(せっぱ)詰まった涼子は、遂にその手を汚してしまったのだ」


と、ホントウに神教授と敬介を裏切ったことになっており(!)、


「恋人を裏切った苦悩の涼子を追い求める敬介の、人間でない人間の苦悩」


などと、当初の『X』では改造人間としての苦悩ばかりではない、二重の苦悩を背負ってしまった敬介が、つい恋人(=「私」としての欲望)の方を追い求めてしまうといった、当時の子供番組としては実に濃厚な「人間ドラマ」を描こうとしていたのである。


 だが……


*見よ! Xライダーの「大変身」=大きな路線変更!!(笑)


 昭和ライダーシリーズにかぎらず、故・平山亨(ひらやま・とおる)がプロデューサーを務めた1960〜70年代の東映ヒーロー作品では、故・伊上勝(いがみ・まさる)に第1話の脚本を任せるのが常であった。


 しかし、『X』の第1話『X.X.Xライダー誕生!!』の脚本を担当したのは、この2014年に劇場作品としてリメイクされる『人造人間キカイダー』に途中参加し、伊上降板後にはメインライターとなって大いに作品を盛り上げた、のちにあまたの一般向けテレビドラマでも名をなす脚本家・長坂秀佳であった。このことからしても、『X』はそれまでの仮面ライダーシリーズとはガラリと趣(おもむき)を変えようとしていたことがうかがえる。



「いや、あまりにも変えすぎたから、やっぱり元に戻そうということになったんじゃないかと思うんだよね。オレとしては変えてるつもりじゃないんだけど、前の『仮面ライダー』を観てないからさ(笑)。’(引用者・中略)やっぱり、(オレの)態度が悪かったんじゃない?(笑) それで降ろされたんじゃないかと、オレは勝手に思ってるんだけど」

(『KODANSHA Official File Magazine(講談社オフィシャルファイルマガジン) 仮面ライダー Vol.5』(講談社・04年11月10日発行・ISBN:4063670945)「果てしなき闘いのドラマ」〜『仮面ライダー』脚本家列伝〜 「消え去る設定と長坂秀佳」)



 『キカイダー』で主人公のジローとヒロインのミツコによる恋愛ドラマを描いた長坂が、『X』では路線変更によって第8話で降板したことで、涼子と霧子はGODに殺害される結末となって、敬介との人間ドラマには終止符が打たれてしまうことになる。


 この処置が決定したのは74年2月12日に行われた最初の制作会議の席上だったそうだ。しかし、『X』の放映が開始されたのは、その4日後である2月16日の土曜日なのである。つまり、放映前に第1話が関係者の間で試写が行われた時点において、早くも大きな路線変更が決定していたということになり、製作現場の混乱ぶりがうかがえようというものだ。『ライダー』シリーズに新しいフォーマットを築くという試みは、そうたやすいものではなかったというところであろう。



「もう有名な話ですけど、彼女――涼子と霧子を二役で演じた美山尚子――とは『X』が終了して1年くらい経ったころに結婚しました。もちろん、共演していた当時は何もなかったんですよ(笑)。
 ただ彼女、シリーズの路線変更の都合で急遽レギュラーからはずれることになって、そのことを先に聞いていた僕は、なんだかかわいそうになっちゃってね。
 それで、彼女を励まそうと、『X』の撮影が終わるころからつきあいはじめたんです。だから、もし彼女が降板していなかったら、今の自分の人生はなかったかもしれませんね」

(『KODANSHA Official File Magazine 仮面ライダー Vol.5』「主演俳優の素顔7」速水亮(はやみ・りょう))



 『X』では成就(じょうじゅ)することのなかった敬介と涼子の「人間ドラマ」は、『X』終了後に現実世界で描かれることとなったのである。めでたし、めでたし。


*アイテム争奪戦! 『ライダー』以前、時代劇ヒーローへの回帰! 「伊上」節炸裂!


 結局は『X』にも伊上がメインライターとして返り咲くことになるのだが、長坂が降板した次の回である第9話は『Xライダー必殺大特訓』! もういきなり昭和ライダーの定番話である(笑)。


 だが、なんといっても、伊上が『X』で本領を発揮するのは、第22話『恐怖の大巨人! キングダーク出現!!』以降の展開ではないだろうか? アポロガイストがXに敗れると同時に、アジトにGODの新幹部・キングダークがその巨人としての姿を現した! そして、キングダークはGOD科学開発局長・南原(なんばら)博士に命じて、地球上のすべての物質を「極分子」にしてしまう悪魔の兵器・RS装置を開発させる。


 それをGODに悪用されることを恐れた南原博士は、その設計図を9枚に分断して1枚を手元に残し、残りを各地に住む友人たちに郵送で託すが――他社のヒーロー作品だが『シルバー仮面』(71年)や東映の『キカイダー』の同種の設定からの引用だろう――、博士はGOD怪人サソリジェロニモに処刑されてしまう! RS装置を体内に組み込むことでキングダークが無限に活動できるようになることから、GOD悪人軍団の敵怪人たちは南原博士の友人たちを執拗(しつよう)につけねらい設計図を奪ってRS装置を完成させようと暗躍する。それを阻止せんとRS装置の設計図を守って悪人軍団との激闘を繰り広げるXライダー!


 これこそまさに、吉川英治(よしかわ・えいじ)の戦前の名作時代小説『鳴門秘帖(なると・ひちょう』(1926年・大正15)に始まり、伊上が『隠密剣士(おんみつけんし)』(62年・宣広社 TBS)や『仮面の忍者 赤影』(67年・東映 関西テレビ)などの時代劇ヒーロー作品で繰り返し描いてきた「秘宝争奪戦」であり、氏の真骨頂(しんこっちょう)なのである!



「親父のシナリオって、紙芝居的なんですよね。おいしいとこだけ羅列(られつ)するというか、シーンのつながりに理屈がないわけです。
 あの人は昔っから紙芝居が好きで、中学の時、自分で描いた紙芝居を、先生に頼まれて授業中に読んでたような人なんです。たぶん、その手法のまま(シナリオを)書いていたんじゃないかな」

(『KODANSHA Official File Magazine 仮面ライダー Vol.5』「果てしなき闘いのドラマ」 井上敏樹(いのうえ・としき))


「『赤影』なんかは、もちろん横山光輝(よこやま・みつてる)さんの原作があるわけだけども、1クールごとに、やれ霞谷(かすみだに)七人衆だ、やれ根来(ねごろ)十三忍だって、ころころ敵が変わるでしょ。
 ああいうところは全部、伊上さんにお任せ。あの人はそういうの、うまいんだよね。誰かが“『隠密剣士』にもこんな話あったぞ”なんて言ってたけど、そんなのは構わないんだよ。面白けりゃいいんだから(笑)」

(『KODANSHA Official File Magazine 仮面ライダー Vol.5』「果てしなき闘いのドラマ」 平山亨)



 「紙芝居的」、そして、「面白けりゃいい」。これらは良くも悪くも、まさに昭和ライダーを象徴した表現ではなかろうか。



「まず、設定ありき。そこにある設定を最大限に活かすというのが、オレの姿勢なんだよ」

(『KODANSHA Official File Magazine 仮面ライダー Vol.5』「果てしなき闘いのドラマ」 長坂秀佳



 そんな長坂が「紙芝居的」で「面白けりゃいい」をモットーにしていた昭和ライダーとは相性が合わずに早々に降板してしまったのは、ある意味では必然だったのかもしれない。70年代前半という時代において、昭和ライダーの基本フォーマットは新しい要素が入りこむ余地がないほどに、まさに「伊上勝の世界」としてすでに完成してしまっていた、と云っても過言ではないのではなかろうか?



 「伊上勝の世界」を象徴する「秘宝争奪戦」が展開され始めるや、『X』は設定や世界観がますます「伊上勝の世界」一色に染まっていくことになる。


 まず、GODの怪人デザインが神話に登場するキャラをモチーフにした抽象的な「神話怪人」から、従来通りの動植物と古今東西の実在・架空を問わない悪人を掛け合わせた「悪人軍団」へと変更される。ジンギスカンコンドル・ガマゴエモン・カブト虫ルパン・ヒトデヒットラー・カメレオンファントマ・アリカポネ・ムカデヨウキヒ・タイガーネロ……
 正直「悪人」と呼んでいいのか首をかしげる人物も含まれているし(笑)、コウモリフランケンやヒルドラキュラなんて「悪人」というより単なる妖怪じゃねぇか! と、すでに小学校低学年でのリアルタイム視聴時に突っ込んでいたのだが(爆)、こうした発想などはまさに「面白けりゃいい」の典型ではなかろうか?


*「セタップ」→「大変身」! 「真空地獄車」!


 そして、第28話『見よ! Xライダーの大変身!!』において怪人クモナポレオンに敗れた敬介は、仮面ライダーV3=風見志郎によってマーキュリー回路を移植されてパワーアップを果たすことになる! これにより変身ポーズではなくカット割りで魅せる「セタップ!」であった変身は、従来の先輩ライダーたちの変身のように両腕を大きく振るう変身ポーズと掛け声による「大変身!」となったのである!


 今思えば1号・2号・V3の変身は再三マネして遊んだ記憶があるのに、ライダーマンやXの変身をマネした記憶がほとんどない(笑)。現在であれば、それこそバンダイから音声ユニットを内蔵したリアルなレッドアイザーとパーフェクターが付属した変身ベルトが発売されるのであろう。
 しかし、当時ポピー(83年にバンダイに吸収合併)から発売された変身ベルトにはそこまでの機能はなかった。それ以前に当時としては、ゆっくりとタメて最後にスパッと力強く締めて見得を切るような変身ポーズよりも、細かくカット割りした映像で変身過程を見せることを主眼とした「セタップ!」は、ごっこ遊びではマネをしても決まりにくくて盛り上がりにくかったということが、子供たちもあまりマネをしなかったことの理由なのだろう。



 さらに、Xライダーはパワーアップにより、超強力必殺ワザとして「真空地獄車!」が新たにそのラインナップに加わった!



「『柔道一直線』(69年・東映 TBS)にもそんなワザあったぞ」
「そんなのはかまわないんだよ。面白けりゃいいんだから」(笑)



 伊上勝自身は参加してはいなかったが、昭和ライダーシリーズも手掛けることになる大野剣友会がアクロバティックなアクションを披露し、平山もプロデューサーを務めていた『柔道一直線』において、主人公の一条直也(いちじょう・なおや)の必殺ワザであった「地獄車」が、なんとXライダーの新必殺ワザとして採用されたのである! 怪人を抱えこんで高速で地面を前転し、怪人の頭部を何度も地面に打ちつけて戦意を喪失(そうしつ)させたところにXキックでトドメを刺す! という荒ワザであり(こうして書くと、結構グロいワザだな・笑)、バリエーションとして「空中地獄車!」「地獄車キック!」なども編み出していた。


*歴代ライダー続々客演! ライダー総登場の劇場映画も製作!


 敬介を助けに第28話で風見志郎=V3役で宮内洋(みやうち・ひろし)が出演したのに続いて、第33話『恐怖! キングダークの復しゅう!!』~第34話『恐怖の武器が三人ライダーを狙う!!』では、宮内のほかに一文字隼人=2号ライダーを演じた佐々木剛(ささき・たけし)も出演してXライダーとも共闘を果たしている!


 意外なことであるが、実はこれはテコ入れのためではなく、すでに企画書の中に、


「第5回以降、このシリーズのライダーたちが時に応じて応援登場します」


と、「特記事項」として記述されているのである!


 これはやはり、『ウルトラマンA(エース)』(72年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070429/p1)や『ウルトラマンタロウ』(73年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071202/p1)に歴代ウルトラマンが単独、もしくは勢ぞろいで頻繁(ひんぱん)に登場していたことが、児童間で大きな注目を集めていたことを強く意識したもの、と解釈してもさしつかえなかろう。


 そのわりには歴代ライダーが登場したのが、放映も終盤に入ってからというのは遅すぎる気はする。しかし、ウルトラシリーズとは違ってライダーシリーズではゲスト出演とはいえ、変身前の役者さんも出演させて変身場面を演じさせねばならない! というこだわりが当時は強かったためではなかろうか? と推測はするのだ。
 特に本郷猛=1号ライダーを演じた藤岡弘(ふじおか・ひろし)は、『X』放映当時にはすでにかなりメジャーな俳優となっており、NHK大河ドラマ勝海舟』(74年)での坂本龍馬役や大作映画『日本沈没』(73年)などにも重要な役回りで出演を果たすなど、数多くの映画・テレビドラマに出演していたために、スケジュール調整は相当に困難だったと思われる。
 結城=ライダーマンを演じていた故・山口暁(やまぐち・あきら)は、『X』放映当時は特撮ヒーロー『電人ザボーガー』(74年・ピープロ フジテレビ)に主人公の大門豊(だいもん・ゆたか)として主演していたほどであり、歴代ライダーの客演が少ない結果となったのはそうした事情によるところも大きかったのではなかろうか?



 ただし、ちょうどキングダーク編が展開されはじめたころである、74年7月25日に『東映まんがまつり』として公開された仮面ライダーXを主人公とした映画『五人ライダー対キングダーク』では、歴代ライダーの変身場面をこれまでの劇場版から流用することで見事に実現させている――よって、風見志郎=V3の変身場面は映画『仮面ライダーV3対デストロン怪人』(73年・東映)からの流用であり、その前後の場面の背景とはつながらないかたちで、映画『V3』のロケ地であった四国の大きなお寺の建物が背景にデカデカと映ってしまっている・笑――。


 また、1号・2号・V3の声は、藤岡・佐々木・宮内がかろうじてアフレコには参加できたことにより、たとえ変身場面が流用でもなんとか納得がいく仕上がりとなっている――山口だけはアフレコすら無理だったようで、ライダーマンは元祖『仮面ライダー』のごく初期に旧1号ライダーの声や多くの敵怪人の声を演じてきた池水通洋(いけみず・みちひろ)が担当している――。


 この映画もやはり脚本は伊上によるものであった。東京中の水を枯らしてしまおうとする「東京カラカラ作戦」(笑)実行のためにGOD怪人が暗躍するのを日本各地で子供たちが目撃。それらの子供たちの危機に1号・2号・ライダーマン・V3が順に駆けつけてきて最後にXライダーと合流するという流れは、まさに「紙芝居」的であり血湧(わ)き肉踊る展開ではある!


 そして、この映画で実現した「5人ライダー」に触発されてか、次々作『仮面ライダーストロンガー』の初期案は5人の新ライダーが登場するものとなった。しかし、毎日放送が難色を示したことからいったんお蔵入りとなり、あまり間を置かずに『ストロンガー』と同じ日に放映がスタートした『秘密戦隊ゴレンジャー』(75年・東映 NET)として立派に昇華(しょうか)を遂げることになったのである! もしもこの映画がなかったならば「スーパー戦隊」シリーズ自体が存在しなかったか、あるいはその登場は遅れていたのかもしれない。そう考えると、まさにこの『五人ライダー対キングダーク』は「記念碑(きねんひ)」的な作品として位置づけられるべきなのだ。


 ただ、「伊上勝の世界」であるこの映画にヒロイン役で出演しているのが、逆に伊上勝からメインライターの座を奪って「長坂秀佳の世界」としていた『キカイダー』でヒロイン・ミツコを演じていた水の江じゅん(みずのえ・じゅん)ではあるのだが……


*『仮面ライダーX』が「特撮ジャンル」に残した成果!


 『X』が企画された当初は、その方向性を従来のライダーシリーズとは様変わりさせていたのは、やはり『マジンガーZ(ゼット)』(72年・東映動画→現東映アニメーション フジテレビ・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200119/p1)の大ヒットによってスーパーロボットアニメブームが巻き起こり、特撮変身ブームが下火に向かっていた、という当時の時代背景が大きく影響していたようだ。当初は『仮面ライダー』第1作からほぼ皆勤賞で登場してきた立花藤兵衛すらもが登場しないどころか、これまでの『仮面ライダー』シリーズの世界観とのつながりを完全に断つというプランさえあったらしい。だが、そのような世界観の完全刷新もまた、子供たちが望んでいた『仮面ライダー』シリーズの在り方ではなかったことは、当時の子供たちの最大公約数的な実感でもあり、そのことは「歴史の証言」として語っておきたい。


 だが、先にもあげたように、一見は過去の『ライダー』とはつながらないかたちでスタートしたかに見える『X』ではあったものの、最終的には歴代ライダーが時折り出演するという、これまでの世界観を残すかたちにしたのは、やはり「大英断」であったようには思えるのだ。


 これにより、テレビシリーズでは終盤に至るまで歴代ライダーの客演はなかったものの、講談社『テレビマガジン』や徳間書店『テレビランド』などでは、『X』単独の扱いではなく従来のシリーズの世界観ともひとつにしたかたちでの特集が組まれることになる。「5人ライダー」として強くアピールされるカラーグラビア記事が掲載されたことが、『仮面ライダーX』にサラブレッドの血統種としてのブランド・オーラ・輝き・カリスマ性をかろうじて与えており、それが変身ブームを延命させることに貢献したとも思えるのである。


 もしも『X』が過去の『ライダー』とのつながりを完全に断ち切っていたならば、その作品世界は狭くなってしまい、V3がXをパワーアップさせることもなく、「東映まんがまつり」では『X』単独の映画が公開されていたことになる。いや、「5人ライダー」という強力なウリ・ブランドがなければ、ただでさえ変身ブームが下火になっていた中で、新作映画が製作されるどころかテレビのブローアップ版の上映で済まされていたかもしれない。それでは5人ライダーの変型たる『ゴレンジャー』どころか、次回作『仮面ライダーアマゾン』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090809/p1)、ひいては平成ライダーシリーズだって存在しなかったのかもしれないのである。


 変身ブームが衰退して競合作品が減少の一途をたどる中で、『ライダー』シリーズの一時の猛烈な勢いは衰えたとはいえ、『X』が奮闘してくれたからこそ、次作『アマゾン』や次々作『ストロンガー』も生み出されたのである。それこそが今日(こんにち)に至るまで『仮面ライダー』を「現在進行形」の変身ヒーローとして存在させてくれているとさえ思えるのだ。



 『X』にかぎらず70〜80年代の変身ヒーロー作品では、なんらかのかたちで「路線変更」を余儀(よぎ)なくされた作品が実に多く、かつてはそのことを長じて中高生以上の年齢に達したマニア諸氏からうるさく批判されることが多かったものである。だが今となっては、前期・中期・後期で、あまりにも作品の印象がコロコロ変わってしまう『X』こそが、クールごとに敵組織の幹部が代わったりヒーローのパワーアップが描かれた「伊上勝の世界」を最大限に象徴する作品であったとも思えてきており、まさに「紙芝居」的な魅力を感じるのである。


 紙芝居は1枚の紙をめくれば、ガラっと絵や場面が変わって攻守までもが逆転してしまったりもする。だからこそドキドキワクワクとして続きが見たくて見たくてたまらなくなるのであり、いつまでも飽きることがないのである。それがまさに伊上勝の「巧(たくみ)」のワザであったように思えるのだ。そうした観点から再度『X』を観直せば、恋愛ドラマ性が高い「長坂の世界」の魅力とはまた異なった、敵のライバル幹部の復活劇や敵首領の交代劇、アイテム争奪戦やヒーローのパワーアップ劇といった「娯楽活劇作品」としての強烈なる魅力も強く感じられてくるのであった。

2014.3.31.


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2014年春号』(14年4月13日発行)〜『仮面特攻隊2015年号』(14年12月28日発行)所収「『仮面ライダーX』回顧」より抜粋)


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