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妖怪シェアハウス ~アマビエ人気に便乗!? お岩さん・座敷童・酒呑童子・ぬらりひょんと現代で同居! 侮れない佳品!

『大江戸もののけ物語』 ~NHKの妖怪ドラマ。女性目線のライトドラマ風味もドー観る!?
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『妖怪シェアハウス』 ~アマビエ人気に便乗!? お岩さん・座敷童・酒呑童子ぬらりひょんと現代で同居! 侮れない佳品!

(文・田中雪麻呂)
(2020年8月23日脱稿)

コロナ禍で大人気の妖怪・アマビエについて。


 新型コロナウイルスの蔓延(まんえん)で、エンタメ・シーンは何ヵ月も「ほぼ封殺」された。ハリウッド映画も、ディズニー作品も、ドラえもんも戦隊ヒーローも疫病が相手では成す術(すべ)がなかった。


 しかしその中でただ一人、否(いや)一匹、ブレイクしたキャラクターがいた。


 アマビエだ。伝承の妖怪(ようかい)である。


 魚の身体に、長い髪の毛のようなもの(身体が光っている描写だという説もある)と、長い嘴(くちばし)のようなものを付けた顔を持つ幻獣だ。


 幕末に近い江戸時代(弘化3年/1846年)の肥後国(現・熊本県)の海に強い光とともに出現し、豊作・疫病に関する予言をしたという。
 この妖怪の姿絵(すがたえ)が疫病を退散させるという伝説から、2020年3月からアマビエの図像がSNS上で大流行、翌月4月から令和時代の厚生労働省の啓発キャラクターとして、当時のアマビエの姿絵のまま起用されたのだ。


 アマビエは魚体だが、吉凶を人間に伝えて助ける妖怪としては、やはり身体は魚で人間の頭部を持つ「人魚(にんぎょ)」が全国的に有名である。アマビエが出現した時期と同じく、奥州(現・東北地方)では頭に角(つの)を2本生やし胸元に貝を3つ付けた美女の人魚が出現、疫病発生を予言している。それより20年も早い尾張国(現・愛知県)には、やはり2本角を持った美形の人魚「姫魚(ひめうお)」が出現。コレラの防疫に尽力したとされる。


 ちなみにアマビエは、妖怪をテーマにした漫画を多く描いた漫画家・水木しげるの作品にはすでに1984年に登場し、彼の作品のひとつ『ゲゲゲの鬼太郎』のアニメ版(第5シリーズ。2007年)ではセミレギュラーとして活躍している。


 コロナ禍が半年余り続き、その間に筆者は芸能というものが実は如何(いか)に脆弱(ぜいじゃく)なものであるかを思い知らされた。それは発信する側はもとより受け手側の余裕のなさも尋常(じんじょう)ではなく、色々考えさせられた。


 結局、コロナ禍で勝ち残ったのが、お札(ふだ)に描かれた古(いにしえ)の幻獣とは! とどのつまり、人間は江戸時代から何ら文化的には進歩していないのではないか。個人的にはある種、痛快ではあったが。


 一流の娯楽とされているありとあらゆる作品は、緊急時においては何の安らぎも受け手には与えることができず、逆に著名な俳優・演出家の代表者たちは芸も見せずに、国に一方的に救いを求め、またはかつての観客たちから如何に言葉巧(たく)みにカネを引っ張ろうかと腐心している始末であった。


善なる疫病退散妖怪が隆盛のご時世に、深夜ドラマ『妖怪シェアハウス』が登場!


 そんな時節だからであろうか。2020年8月1日(土)深夜から怪(あや)かしが集う連続ドラマ、その名も『妖怪シェアハウス』が放送されている。否(いや)、時節に合わせるならシェアハウスは避けるか(笑)。


 仕掛人は芸能事務所・オスカープロモーション古賀誠一テレビ朝日の敏腕(びんわん)プロデューサー・内山聖子(うちやま さとこ)。
 主要スタッフがバタバタ辞めていくブラック企業の噂のあるオスカーの代表と、東山紀之(ひがしやま のりゆき)主演の『必殺仕事人』シリーズ(2007~)や『ドクターX(エックス)~外科医・大門未知子(だいもん みちこ)~(2012~)』で、ニッポンのTVドラマを決定的にダメにしたA級戦犯のコンビだ(笑)。
 さぁ、どうなるか(笑)。


 主演は『トクサツガガガ(2019)』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190530/p1)で、けなげな特撮オタ女子OLを演じた小芝風花(こしば ふうか)。気弱で運気も最低なヒロイン・目黒澪(めぐろ みお)が信頼していた彼氏に裏切られ、有り金すべてを掠(かす)め取られ、疲労困憊(ひろうこんぱい)で神社で倒れ込んでしまう。


 澪を救ったのが、古民家シェアハウスに住まう四谷伊和(よつや いわ)(演・松本まりか)。しかし伊和は江戸時代の怪談噺(ばなし)の『四谷怪談(よつやかいだん)(1825)』で有名な幽霊の「お岩さん」その人であった……というのが概要(笑)。


 もちろんお岩さんと住んでいるシェアメイトも怪かしであり、座敷わらし(演・池谷のぶえ)、酒呑童子(しゅてんどうじ)(演・毎熊克哉)、ぬらりひょん(演・大倉孝二)と東西の有名妖怪が詰めている。シェアハウスの井戸(いど)を伝って、日本各地の妖怪が集まって来るという設定もある。


 そこに女性視聴者層も大いに意識して、シェアハウスと隣接する神社のイケメン神主(演・味方良介)、澪のスパルタ上司(演・大東駿介)の二人が、澪を中心に恋の鞘(さや)当てを繰り広げるという布陣(ふじん)でご機嫌を伺(うかが)うのだが。


 やはり目を奪われるキャラは、妖怪たちだ。


 彼らは丑三つ時(うしみつどき=午前2時頃)を過ぎると醜怪な妖怪態に変じるのだが、それとは別に人間態の姿も持ち、現代の日本に溶け込んで生活している。


 お岩さんはお洒落なアイパッチで片目を隠した美貌のナース。ハウスのムードメーカー。虐げられる女性を見過ごしにできず、妖怪と人間の垣根を越えても助力しようとする。


 寮母然(りょうぼ ぜん)としたオバサンの座敷わらしは料理をはじめ家事を万端整える。何かと江戸時代に喩(たと)えてモノを言うのが癖。自分は妖怪ではなく「精霊」だという優位感を強く持つ。


 酒呑童子(劇中では鬼の頭領とされている)は赤ら顔のワイルド系の美青年。真贋(しんがん)を見分ける目を持ち、オークション会社の鑑定士として重用されている。


 ぬらりひょんはスーツ姿で頭には七色のターバンを巻いた怪人物。弁護士と経営コンサルの資格を持つインテリで、顔相も診(み)る才人。ハウスの頭脳的存在である。


 やっぱり、ぬらりひょんを演じる大倉孝二の存在は出色だなぁ。
 大倉孝二。身長187センチ、体重78キロ。今やコメディリリーフとしては欠かせない貴重な俳優である。
 長駆(ちょうく)であるのに威圧感を感じさせない物腰、脚本のニュアンスを現場で無理なく生かせる技術、自身のオーラを自在に点(つ)け消しできる器(うつわ)の大きさと、可能性のカタマりのような役者である。
 2002年に公開され、当時の映画賞を総ナメにした青年誌漫画原作(1996)の実写映画『ピンポン』で、主役に軽妙に絡むアクマ(左久間学)役で注目されて以来、ずっと第一線で各作品を彩ってきた実力派である。 


 ぬらりひょんという妖怪は、そもそも鬼とか座敷わらしみたいに確(かく)としたビジュアルの雛型(ひながた)がない怪かしであった。過去の文献を当たっても「大きなクラゲやタコを妖怪と見立てたものであろう」くらいの記述に過ぎない。
 前述した水木しげるが自身の作品で活躍させたために国民的な人気妖怪、転じて大出世して「妖怪の総大将」(笑)に登り詰めたと言ってよい。
 それを説得力を以て演じせしめた大倉の才能に改めて敬服する。


 #1~3まで観てみたが、ストーリーは「刑事ドラマ」の形式に一番近いだろうか。澪や彼女の周りの女性がワルい男に騙されかけるが、フェミニストの妖怪たちが立ち上がり、事なきを得るという筋立てだ。


 妖怪に蹴散らされる悪漢は、柾木玲弥(#1/二股&寸借詐欺男)、蕨野友也(#2/不倫&パワハラ男)、渋谷謙人(#3/成り済まし詐欺男)と、当代一流の二枚目俳優たちが演じている。彼らを妖怪態のお岩さんらが追い回し、心に深いトラウマを与え、悪事を遂行できない心理状態にまで追い込む。


 同時に妖怪らは騙される女性側の方をもあまり信用していない。従って心囚(こころとら)われている女性たちには、妖怪たちは彼らの捜査網をすべて使って、まず動かぬ証拠を提出して彼女らの洗脳を解く。
 ドライにクールに、しかし然程(さほど)苦労するでもなく、着々と証拠固めをしていく妖怪たちは不気味で、どこか可笑(おか)しい。


 お岩さんに救われた澪だが、シェアメイトが総員、人間である彼女をウェルカムかというとそうではない。
 酒呑童子ぬらりひょんも必要以上に人間と関係することによる「障(さわ)り」に心が休まらない。「二千年の禁を破っては……。」という台詞が妖怪側から発せられる。言葉通りに受け取れば、妖怪は古代ローマ時代、日本でいうなら弥生時代から存在しているのか?(笑)
 しかし澪も一文(いちもん)無しで、妖怪シェアハウスに身を寄せるしかない。居たたまれない雰囲気になるが、適宜(てきぎ)にお岩さんや座敷わらしがフォローに回り、澪はまた妖怪たちと寝食を共にする。
 こういう処(ところ)、昭和の青春ドラマの趣(おもむき)があり、ペーソス(哀感)溢れる泣き笑いの文芸であり、懐かしい感じがする。


 懐かしい、といえば44年ぶりであろうか。このドラマで「ゲキメーション」に再会したのだ!


 「ゲキメーション」とは、「劇画」と「アニメーション」を組み合わせた造語(ぞうご)である。
 平板な二次元の「アニメーション」ではなく、「絵」と「絵」を立体的に組み合わせて奥行きを出したり、登場人物を「切り絵」にして個別に動かしたり、火が燃えるシーンでは実際に絵の中に炎を合成したりと、とにかく臨場感を第一に設(しつら)えられた映像表現である。


 有名な作品としては、1976年にテレビ東京(当時は東京12チャンネル)で24話に渡って連続放送した『妖怪伝 猫目小僧(ねこめこぞう)』がある。
 漫画家・楳図かずおの原作漫画(1967)を元に、時代や設定を変更して製作された。当時の技術賞も獲得し、後年VHSビデオソフトや全話のLD-BOX(レーザーディスク・ボックス)がリリースされるなど、話題となった作品である。


 『妖怪シェアハウス』では、この「ゲキメーション」はお岩さん・酒呑童子らメインキャラの紹介VTRの体裁で流された。絵柄も心なしか楳図かずお寄りである。


 エンディング・テロップを追っていくと「ゲキメーション/宇治茶(うじちゃ)」の文字が!
 筆者は浅学なので知らなかったのだが、宇治茶監督は何年も前から劇場版の「ゲキメーション・ムービー」を何本も製作し、大評判を受けていた新進のクリエイターであった。
 この「ゲキメーション」を見られるだけでも、このドラマを観る甲斐はある。怪奇もののファン・楳図かずおファン・昭和レトロファンには必見である。


 と、#4の放送(8月22日)の予告を見た処、満を持して妖怪「アマビエ」がゲストで登場する(笑)。
 演じるは、ジャンルものでも多く怪人・妖怪役をこなしてきた個性派俳優・片桐仁(かたぎり じん)! ドレッドヘアに四角いメガネを掛け黄色い嘴(くちばし)を口にカジュアルに張り付けている。予告を見ただけでもふざける気満々である(笑)。


 令和の妖怪ドラマは、昭和ドラマの哀愁も味方につけていた。侮(あなど)れない作品といえる。


(了)
(初出・当該ブログ記事~特撮同人誌『仮面特攻隊2020年秋分号』(20年9月22日発行)所収『妖怪シェアハウス』評より抜粋)


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