假面特攻隊の一寸先は闇!読みにくいブログ(笑)

★★★特撮・アニメ・時代劇・サブカル思想をフォロー!(予定・汗)★★★ ~身辺雑記・小ネタ・ニュース速報の類いはありません

スーサイド・スクワッド 〜アメコミ悪党大集合。世評は酷評だが佳作だと私見!

(2018年2月18日(日)UP)
『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』 〜日本のヒーロー「VS」「大集合」映画と比較!
『ジャスティス・リーグ』 〜スーパーマン・バットマン・ワンダーウーマン共演作は、ヒーロー大集合映画の教科書たりえたか!?
拙ブログ・トップページ(最新10記事)
拙ブログ・全記事見出し一覧


[アメコミ洋画] ~全記事見出し一覧
[特撮洋画] 〜全記事見出し一覧


スーサイド・スクワッド

(2016年9月10日・日本封切)

スーサイド・スクワッド』 〜合評1

アメコミ悪党大集合。世評は酷評だが佳作だと私見

(文・T.SATO)
(2016年10月22日脱稿)


 スーパーマンの何度目かのリメイク映画『マン・オブ・スティール』(13年)、その続編『バットマンvs(ブイエス)スーパーマン ジャスティスの誕生』(16年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160911/p1)、さらにそれに続く、同一世界観を舞台にしたスーパーマン亡きあとの世界で、DCアメコミヒーローの悪党どもがさらなる悪党(笑)と戦うという作品。


 ところで、世界的には酷評であるらしい本作『スーサイド・スクワッド』(16年)。
 毎度おなじみムラ世間的な同調圧力=空気を読まずに(イヤ読めてはいるけど、あえて空気を破って)、云わせてもらうと、個人的には楽しめた。


 一見さんお断りの作りではなく、冒頭の各キャラの紹介が、非常に説明的(笑)なまでにご親切で、イチイチ静止画で戦闘スペックとキャラ名の字幕付きで、属性までをもご提示。スーパー戦隊シリーズのオープニング映像並のキャッチーさ!(笑)


 バットマンの永遠の宿敵・ジョーカー以外は知らぬ存ぜぬのヌルくて疎(うと)い当方ではありますけど(汗)、多数のキャラがお団子状態で、観ていて誰が誰だかどんな性格だかが、ワケがわからなくなるということは一切なく、キャラ名は覚えられなくても、ルックスとそのキャラの人となり・息遣いで十分に理解できるように、キャラ立てして構築されており、筆者個人は作劇の技巧的にもけっこう高く評価する。


 要は強者集結のスーパーヒーロー大集合のワルもの版で、ワルよりももっとワルい強敵をやっつけるだけの内容ですけどネ。エンディングテロップ後にはキチンと抜かりなく来年2017年の同一世界観のDCアメコミヒロイン映画『ワンダーウーマン』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170911/p1)の予告編も入るし!
 このテの作品の作りとヒキはこうでなくっちゃ!(笑) コレなら「多数キャラの娯楽活劇モノ」の作劇術&「世界観消費」のためのヒキの技術においても、近年の東映ヒーロー作品越境・世界観クロスオーバーものにとっても、教科書的に参考にもなる作りかナと。


 しかし、それなら『バットマンvsスーパーマン』でも劇場で、オモテがバットマン・スーパーマンワンダーウーマン、ウラが「スーサイド・スクワッド」のメンツのクリアケースを入場者特典で配布するだけではなく、本編自体のラストに本作『スーサイド・スクワッド』の予告編も入れておくべきで、それがなかったのは抜かっていたというべきだろう!


 まぁ世評に反したこーいう物言いも、それはそれで読者にバイアス・偏向・先入観を与えてしまいそうなので、もちろん各位にあっては、ご自分の眼で実際に観て賛否を決めてくださいませ。


 ……でもこの作品も、ポップな白塗り金髪ツインテール娘(=ハーレイ・クイン 笑)が、宣伝の前面に出てこなきゃ、劇場にはけっこういた女性客も呼び込めなかったろうとも思いますけどネ(笑)。


(了)


スーサイド・スクワッド』 〜合評2

スーサイド・スクワッド』(2016年9月10日公開)

(文・くらげ)


 アメコミ映画界はマーベルとDCコミックスの戦国時代で、ヒーローばかり増える底なしの蟻地獄ですが、もうヒーローはウンザリだ! という声に答えて「じゃあ悪役ならいいでしょ?」とDCコミックスが仕掛けるのが『スーサイド・スクワッド』です。


 ストーリーは『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生(2016)』の続きで、スーパーマン不在を重く見たアメリカ政府は「ヒーローが捕まえたヴィラン(悪党)」を政府の尖兵にしようと考えます。スーパーマン以外のヒーローも佃煮にするほどいるのによほど心配性なんでしょうね。
 政府組織A.R.G.U.S.のトップである黒人女性アマンダ・ウォラー(ヴィオラ・デイヴィス)の号令で結成されるのが、ヴィランを政府の汚れ仕事に当たらせる「タスクフォースX(エックス)」で、任務の危険さ故に別名「スーサイド・スクワッド(自殺部隊)」と呼ばれます。


 集められたヴィラン


・百発百中の狙撃手デッドショット(ウィル・スミス)、
・ジョーカーの恋人のハーレイ・クインマーゴット・ロビー)、
・ワニのような皮膚のキラー・クロックアドウェール・アキノエ=アグバエ)、
・火炎を自在に操るエル・ディアブロ(ジェイ・ヘルナンデス)、
・ブーメランを自在に操るキャプテン・ブーメラン(ジェイ・コートニー)、
・縄を自在に操るスリップノット(アダム・ビーチ)


の6人です。


 彼らの監視役として同行するのが軍人のリック・フラッグ大佐(ヨエル・キナマン)と日の丸のマスクを被り日本刀で戦うカタナ(カレン・フクハラ)です。逃げると爆発する爆弾を埋め込まれ、ヴィラン達は彼らに従うしかありません。
 ジョーカー(ジャレッド・レト)も出て来ますが、スーサイド・スクワッドの一員じゃないので出番は少な目です。ジョーカー以外は誰それ状態ですね。ペンギンとかリドラーとか、もう少しメジャーどころは使えなかったんでしょうか。


 まあ悪役部隊とはいえ根っからの悪じゃないのはウィル・スミスの起用で察しは付きます。あの人悪役やりたがらないですから(笑)。娘思いのエピソードから「人は殺すけどいい人」オーラが全開で、憎めない悪党たちがヒーローに替わって世界を救う生ぬるい展開になります。
 悪役の魅力は己の欲するところに忠実で、任務や大義から自由な点だと思うんですが、任務を与えられて戦うだけなら正義のヒーローと変わりません。せっかくヴィランを主役にするならその辺を差別化して欲しかったですね。


 ヴィラン達に与えられた任務はテロリストの人質になった要人の救出ですが、実はこれはウソで、政府は古代の魔女エンチャントレス(カーラ・デルヴィーニュ)とその弟のインキュバススーサイド・スクワッドをぶつける肚でした。
 悪役の(全員悪役だけど)エンチャントレスは「魔女」というより、ホラー邦画『リング(1998)』シリーズの貞子みたいな怖さで、見るだけで呪われそうな迫力があります。
 インキュバスも向かってくる地下鉄を先頭から最後尾まで乗客ごと真っ二つにして、その流れで街一つ壊滅させるパワーに度肝を抜かれます。普通の人間じゃ勝ち目がありません。


 メンバー6人はヴィランとはいえそこまでスーパーパワーの持ち主でもないので、エンチャントレス姉弟にぶつけるには戦力不足です。
 というかこれ「政府の汚れ仕事」のレベルじゃないですね。街を壊滅させる怪物2人をスーパーマンの替わりに倒せって。
 ヴィランの中で通用しそうなのは発火能力のエル・ディアブロくらいで、百発百中のデッドショットも魔女相手じゃ効き目がなさそうだし、ブーメランとか縄とか泳ぎが得意じゃ倒せないだろうし、ハーレイ・クインの武器なんてお色気と野球のバットですからね。何の勝算があって選んだんでしょうか。


 廃墟の街を進む悪役部隊に、エンチャントレスが作り出す戦闘員たちが襲って来ます。元は人間なのでヒーローなら倒すかどうか悩む所ですが、そこは悪役なので容赦なく蹴散らします。
 人質のところまでたどり着くと、そこにいたのは何とアマンダでした。人質のフリをしてスーサイド・スクワッドを戦場まで誘導したようですが、別に本人が来なくても良かった気がします。
 あとは頼むわと帰ろうとするアマンダですが、ヘリが撃墜されてアマンダはエンチャントレスに捕まってしまいます。必要もないのに戦場に来て、人質のフリをしてたら本当に人質になってしまった間抜けな状況です。助けて、スーサイド・スクワッド!!


 アホらしくなって帰ろうとする悪役部隊に、フラッグ大佐が身の上話を始めます。フラッグ大佐の恋人のジューン・ムーン博士(カーラ・デルヴィーニュ/2役)は考古学者で、封印を解いたためにエンチャントレスに肉体を乗っ取られたこと。政府はそのエンチャントレスをムーン博士ごとスパイ活動に利用していたこと。アマンダはどうでもいいから(とは言いませんが)愛するムーン博士を取り戻すため力を貸してくれないかと。


 街を壊滅させたテロの犯人はアメリカ政府子飼いの魔女だった、という種明かしは「アメリカのテロは政府による自作自演である」という政治的メッセージかと思ったんですが、深読みのし過ぎですかね。
 魔女が世界を破滅させると聞いても「世界が何かしてくれた事なんてないし」と冷淡だったヴィランたちも、フラッグ大佐の身の上話に心を動かされ、ムーン博士の救出のためひと肌脱ぐことになります。何ていい人たちでしょう。悪役なのに。


 どう考えても悪役部隊じゃ勝ち目がないと見えたエンチャントレスとインキュバスですが、軍との連携もあり意外と何とかなってしまいます。
 呪いとか信じないタイプのバチ当たりをぶつけて正解でしたね。エンチャントレスが魔法で作り出した謎機械も破壊され、何の機械だったのか最後まで分かりませんでした。
 アマンダも救出し、ムーン博士もエンチャントレスの死体からうまいこと取り出します。犠牲者も何人か出ましたが、自殺部隊としては上々の生存率で勝利を収めることが出来ました。
 ヴィランの面々は10年の減刑(懲役300年とかなのに)と刑務所での待遇がちょっと良くなって満足です。デッドショットは娘との再会を果たし、優雅にエスプレッソコーヒーを飲みながらハーレクインロマンスを読んでたハーレイ・クインを、ジョーカーが脱獄させてジ・エンドです。


 脚本の粗は目立ちますが、アメコミDCコミックス「ジャスティス・リーグ」の番外編的な話でまあまあ楽しめました。ハーレイ・クインとエンチャントレスの不健康な色気だけでも見る価値はあります。宣伝だとハーレイ・クインばかり目立ってますがエンチャントレスもいいですよ。
 ハーレイ・クインはジョーカーと出逢う前は知的な精神科医だし、エンチャントレスもムーン博士と二重人格で、退廃的な悪女とのギャップに萌えます。


 DCコミックス映画は来年2017年にその名も『ジャスティス・リーグ』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20171125/p1)が控えてますが、これがどう転ぶかですね。ヒーローの集団劇映画ではマーベルに先を越された老舗ですが、観客としてはどっちも面白いものを作ってくれれば文句はないです。最終的には「ジャスティスリーグvsアベンジャーズ」とか作られたりして。「DCコミックスvsマーベル」の方が面白そうだけど。



(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2016年秋号』(16年10月23日発行)〜『仮面特攻隊2017年号』(16年12月29日発行)所収『スーサイド・スクワッド』合評1・2より抜粋)


[関連記事] 〜DC社アメコミヒーロー洋画評

ワンダーウーマン』 〜フェミニズムの英雄か!? 単なるセックス・シンボルか!?

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170911/p1

バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』 〜日本のヒーロー「VS」「大集合」映画と比較!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160911/p1

スーサイド・スクワッド』 〜アメコミ悪党大集合。世評は酷評だが佳作だと私見

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160912/p1

ジャスティス・リーグ』 〜スーパーマンバットマンワンダーウーマン共演作は、ヒーロー大集合映画の教科書たりえたか!?

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20171125/p1

[関連記事]

シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』 〜ヒーロー内紛劇は成功したか!? 日本特撮が立ち遅れた原因は!? 世界観消費へ!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160701/p1

デッドプール』 〜X-MENも客演! 私的快楽優先のヒーローは、日本でも80年代以降は珍しからず!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160705/p1

スパイダーマン:ホームカミング』 〜クイズ研究会(?)に所属する文化系スパイダーマンの弱者友人たち(汗)

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170901/p1

ワンダーウーマン』 〜フェミニズムの英雄か!? 単なるセックス・シンボルか!?

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170911/p1

パワーレンジャー』 〜戦隊5人に「スクールカースト」を色濃く反映! 「自閉症スペクトラム」青年も戦隊メンバー!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170715/p1



スーサイド・スクワッド [Blu-ray]

スーサイド・スクワッド [DVD]


スーサイド・スクワッド ブルーレイ&DVDセット(初回仕様/2枚組/デジタルコピー付) [Blu-ray]


スーサイド・スクワッド エクステンデッド・エディション ブルーレイセット(初回仕様/2枚組/デジタルコピー付) [Blu-ray]
スーサイド・スクワッド エクステンデッド・エディション ブルー レイセット(期間限定/2枚組) [Blu-ray]
スーサイド・スクワッド エクステンデッド・エディション 3D&2Dブルーレイセット(初回仕様/3枚組/デジタルコピー付) [Blu-ray]
スーサイド・スクワッド エクステンデッド・エディション<4K ULTRA HD&3D&2Dブルーレイセット>(初回仕様/4枚組/デジタルコピー付) [Blu-ray]
【Amazon.co.jp限定】スーサイド・スクワッド エクステンデッド・エディション 3D&2Dブルーレイセット スチールブック仕様(3枚組/デジタルコピー付) [Blu-ray]


スーサイド・スクワッド 4K ULTRA HD&2D ブルーレイセット (2枚組) [Blu-ray]



[アメコミ洋画] ~全記事見出し一覧
[特撮洋画] 〜全記事見出し一覧
拙ブログ・トップページ(最新10記事)
拙ブログ・全記事見出し一覧