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ルパンレンジャーVSパトレンジャーVSキュウレンジャー ~イマ半か!? 近年のVS映画や往年の戦隊映画と比較考量!

平成スーパー戦隊30年史・序章 ~平成元(1989)年『高速戦隊ターボレンジャー』
『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』前半合評 ~パトレン1号・圭一郎ブレイク!
『4週連続スペシャル スーパー戦隊最強バトル!!』 ~『恐竜戦隊ジュウレンジャー』後日談を観たくなったけど、コレでイイのだろう!?
『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー オリジナルプレミアムドラマ』 ~安易なネット配信の番外編だと侮るなかれ。TV正編のらしさ満載!
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[戦隊] ~全記事見出し一覧

映画『ルパンレンジャーVSパトレンジャーVSキュウレンジャー』 ~イマ半か!? 近年のVS映画や往年の戦隊映画と比較考量!

(2019年5月3日(金・祝)・東映系公開)


(文・久保達也)
(19年6月6日脱稿)

東映ビデオの新たなブランド・「東映V CINEXT」


 2019年2月に惜(お)しまれつつも放映を終了した、スーパー戦隊シリーズ・『快盗戦隊ルパンレンジャーVS(ブイエス)警察戦隊パトレンジャー』(18年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190401/p1)と、その前作・『宇宙戦隊キュウレンジャー』(17年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20180310/p1)の世界観をクロスオーバーさせた映画『ルパンレンジャーVS(ブイエス)パトレンジャーVS(ブイエスキュウレンジャー』(19年・東映ビデオ)が、2019年5月3日から3週間の期間限定で公開された。


 本作は東映ビデオが1989年にオリジナルビデオ作品のレーベルとして立ち上げた「東映V CINEMA(ブイ・シネマ)」――2019年で30周年!――を、劇場公開と映像ソフトの発売で展開する新たなブランド・「東映V CINEXT(ブイ・シネクスト)」の一環として製作されたものである。
 「V CINEXT」の第1弾は、先述した『キュウレンジャー』と、かつてのスーパー戦隊メタルヒーローシリーズの世界観をクロスオーバーさせた映画『宇宙戦隊キュウレンジャーVSスペース・スクワッド』(18年・東映ビデオ)、第2弾は『仮面ライダービルド』(17年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20180513/p1)の2号ライダー・仮面ライダークローズを主役にした『ビルド NEW WORLD(ニュー・ワールド) 仮面ライダークローズ』(19年・東映ビデオ)であり、本作はその第3弾にあたる。
 ちなみに2019年秋公開予定の第4弾は、『仮面ライダービルド』の3号ライダー・仮面ライダーグリスが主役の映画『ビルド NEW WORLD 仮面ライダーグリス』(19年・東映ビデオ)であり、今回の上映後に流された予告編には、子供たちから歓声があがったものだ。


ウルトラマン映画より小さな興行規模(汗)


 この「V CINEXT」は、『スペース・スクワッド ギャバンVSデカレンジャー』(17年・東映ビデオ)や、『仮面ライダーエグゼイド』(16年)の続編三部作・『仮面ライダーエグゼイド トリロジー アナザー・エンディング』(18年・東映ビデオ)など、基本的にはオリジナルビデオ作品として製作されながらも、ハクをつけるためにごく一部の劇場で上映も行った興行形態を継承・発展させたものだが、その当時よりは若干(じゃっかん)劇場の数も増えたとはいえ、やはり興行の規模はかなり小さい。
 とにかく客が入らないとされているウルトラマン映画でさえ、最新映画『劇場版 ウルトラマンルーブ セレクト! 絆(きずな)のクリスタル』(19年・松竹・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190407/p1)の上映館は全国で160館ほどあったのだが、この『ルパンレンジャーVSパトレンジャーVSキュウレンジャー』の上映館は、全国でわずか40館弱、つまり、『劇場版ルーブ』の4分の1にも満たない劇場でしか上映されなかったのである。
 私見ではあるが、人気面では『ルーブ』は『ルパパト』や『キュウレンジャー』の4分の1にも満たないかと思われる(爆)。それを思えば、今回の『ルパンVSパトVSキュウ』の興行規模は、やはりあまりにもキャパが小さすぎたのだ。


 筆者はスーパー戦隊仮面ライダーの劇場版を、在住する静岡県静岡市の繁華街(はんかがい)にあるシネシティザートで鑑賞しているが、先述した「V CINEMA」の内、ここで上映されたのは『仮面ライダーエグゼイド トリロジー アナザー・エンディング』のみであり、『スペース・スクワッド ギャバンVSデカレンジャー』も、『宇宙戦隊キュウレンジャーVSスペース・スクワッド』も、『ビルド NEW WORLD 仮面ライダークローズ』も上映されず、今回の『ルパンVSパトVSキュウ』もまた然(しか)りであった。
 今回は公開がちょうどGW(ゴールデン・ウィーク)の最中、しかも、2019年は改元にともなう特別措置(そち)で10連休となったため、筆者は実家に帰省した際に、愛知県名古屋市の109シネマズ名古屋で観ようと思っていたのだが、なんと公開初日の5月3日から5日までは、1日5回の上映が、すべてネット予約のみで全席売り切れとなってしまったのだ!
 ただでさえ最も収容人員の少ないシアターが割り当てられたうえに、上映劇場のない近隣(きんりん)の岐阜県三重県のファンがそこに殺到することは充分に想定の範囲内だったのだが、109シネマズはネット予約の決済をクレジットカードでしか受け付けていないために、いつもニコニコ現金払い(笑)の主義でカードをいっさい持たない筆者は、どうすることもできなかったのである――ちなみに行きつけのシネシティザートは、ネット予約でも現金払いが可能なので本当に助かっている――。
 連休中に名古屋・栄のオアシス21――特撮オタのOLが主人公のドラマ・『トクサツガガガ』(19年・NHK・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190530/p1)を製作したNHK名古屋放送局のすぐ近くだ――で開催されたイベント・『ゴジラ・ウィーク・ナゴヤ』――あまりにも展示物が少ない、ショボいイベントだった(笑)――に行った5月4日に109シネマズに立ち寄り、すでに残りわずかとなっていた5月6日の初回の席をなんとかおさえることができたが、その時点でパンフレットも各種グッズもすべて売り切れであり、当日はかろうじて入場特典のシールをもらえたのみであった。
 そして、一部大きなお友達もいたとはいえ、あまりに小さなシアターを埋めつくした客のほとんどは、スーパー戦隊のメインターゲットである就学前の幼児を含む家族連れだったのだ。


 周知のとおり、スーパー戦隊の劇場版は2018年以降、それまで毎年1月中旬以降に公開されていた、放映終了間近の現行作品と前作の世界観をクロスオーバーさせ、2月にスタートする最新作のお披露目(ひろめ)の役割も兼ね備えた、いわゆる「VS」映画と、毎年3月下旬の春休みの時期に、仮面ライダーとコラボレーションするかたちで公開されてきた「スーパーヒーロー大戦(たいせん)」シリーズが廃止されてしまった。
 その結果、少なくともマニア間では人気も評価もきわめて高かったにもかかわらず、『ルパパト』の劇場作品は、放映中の2018年8月に公開された映画『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー en film(アン・フィルム)』(18年・東映)ただ1本のみとなってしまっていたのだ。
 これではファンの間で飢餓(きが)感が高まるのは必然であり、今回の『ルパンVSパトVSキュウ』に客がドッと押し寄せ、キャパオーバーとなることは充分に想定できたハズではないのか?


 いや、「V CINEXT」は、本来はスーパー戦隊仮面ライダーのコアなファンに向けた、大人向けのオリジナルビデオ作品のブランドなのですから、子供を連れて観に来られても困ります、なんて云い訳は通用しないだろう。
 『忍風(にんぷう)戦隊ハリケンジャー』(02年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20021110/p1)や『特捜戦隊デカレンジャー』(04年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041112/p1)、『炎神(えんじん)戦隊ゴーオンジャー』(08年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080824/p1)の「10年後」を描いたオリジナルビデオ作品=「10 YEARS AFTER(テン・イヤーズ・アフター)」シリーズは、まだ「V CINEXT」ブランドが立ち上がる前の発売だったため、本当にかぞえるほどの劇場でしか上映されなかったのだが、こうした旧作の続編に関しては、興行規模が小さいのも妥当(だとう)かと思える。
 メタルヒーローシリーズ・『宇宙刑事ギャバン』(82年・東映 テレビ朝日)の続編映画『宇宙刑事ギャバン THE MOVIE(ザ・ムービー)』(12年・東映)や、『人造人間キカイダー』(72年・東映 NET→現テレビ朝日)のリメイク映画『キカイダー REBOOT(リブート)』(14年・東映)を、仮面ライダースーパー戦隊の劇場版と同じ規模で興行しても、我々のような古い世代には魅力的に映っても、若い特撮マニアや子供たちを惹(ひ)きつけることはできず、前者はともかく、後者は大きくコケてしまったのだから(汗)。


 だが、そんな旧作とは違い、『ルパパト』や『キュウレンジャー』は、現在の特撮マニアの大半を占める若い世代や子供たちにとっては、最もなじみ深い作品であり、そんな彼らが夢中のスーパー戦隊の最新作・『騎士竜戦隊リュウソウジャー』(19年)の中で予告編を流されたら、熱心な視聴者ならば、誰だって観たいと思ってしまうのが必然であろう。
 一般層の家族連れにとっては、今回の『ルパンVSパトVSキュウ』が「V CINEXT」なる興行形態なんてことはいっさい関係なく、従来の「VS」映画が久々に復活した! という程度の認識でしかないだろうから、近年の作品をコラボする場合は、やはりそれ相応の興行規模にしなければ、本来なら観てくれるハズの客層を多数切り捨てることとなってしまい、むしろ損失の方が大きくなるのではなかろうか?
 実際少なくとも名古屋では大入り満員でも、ウルトラマン映画ですらランクインするミニシアターランキングでも圏外(けんがい)であり、ネットでググっても本作に対するコメントがブログやツイッターなどでもあまり出てこないほどであり、これでは口コミで客を呼ぶことも期待できないのである。


*「VS」映画としての達成度は?


 これは興行面ばかりでなく、内容面についても同じことがいえる。所詮(しょせん)は一部の熱心な視聴層に向けたファンムービーとして製作されてきた、従来のオリジナルビデオ作品であれば、リスペクトたっぷりのマニアックで内輪ウケの強い描写にあふれるばかりで、スーパー戦隊の大きな魅力であるハズの、合体ロボVS巨大怪人のバトルも描かれないほどに、ヒーローバトルのカタルシスに著(いちじる)しく欠ける内容であっても、個人的にはさほど問題視はしなかった――ホントにそうか?(笑)――。
 だが、あくまでハクをつけるために一部の劇場でのみ上映していたころに比べれば、「V CINEXT」の立ち上げにより、コアなマニア以外にも多くの目に触れることとなった以上、いくらオリジナルビデオ作品とはいえ、ファンムービーとしての要素を少々おさえてでも、スーパー戦隊の本来のメインターゲットである子供たちを、惹(ひ)いて離さない内容にシフトしていくべきかと思えるのだ。
 ルパンレンジャー、パトレンジャー、ルパンエックス=パトレンエックス、キュウレンジャー、そして意外や意外、『動物戦隊ジュウオウジャー』(16年)のジュウオウザワールド=門藤操(もんどう・みさお)までもが加わった、総勢20人(!)のスーパー戦隊が次々と名乗りをあげるクライマックスは確かに圧巻だったのだが、そこに至るまでの展開で、印象に残るアクション演出や特撮場面が、個人的にはあまりにも少なかったというのが正直な感想である。


 端的な例でいえば、『キュウレンジャー』のバランス=テンビンゴールド以外の、ガル=オオカミブルー、チャンプ=オウシブラック、ラプター283=ワシピンク、ショウ・ロンポー=リュウコマンダーといった着ぐるみキャラが、クライマックスまで出てこなかったのが、実に象徴的かと思えるのだ。
 顔出しの役者と違ってスーツアクターはスケジュール調整が難しいワケでもなく、声優はギャラも安くおさえられる(汗)のだから、これらの着ぐるみキャラを冒頭から頻繁(ひんぱん)に出すだけで、子供たちの反応はずいぶんと違うものになったかと思えるのだが、あえてそれをしなかったのは、やはり「V CINEXT」として、スタッフがやりたいことは別のところにあったと解釈すべきなのだろう。
 まぁ、そんな中でもサプライズで登場した『爆竜戦隊アバレンジャー』(03年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110613/p1)のマスコットキャラ怪人・ヤツデンワニは、今の若いマニア的にはリアルタイムで親しんだキャラであろうから、この演出は実に的確で好印象を持ったのだけれど。


*視聴対象の違いによる差別化演出とは?


 ただ、「V CINEXT」の第1弾として、『キュウレンジャー』のメインライターだった毛利亘宏(もうり・のぶひろ)が脚本を務め、坂本浩一監督がメガホンをとった『キュウレンジャーVSスペース・スクワッド』は、キュウレンジャーが二手にわかれて対立したり、先述した『宇宙刑事ギャバン』や『宇宙刑事シャイダー』(84年・東映 テレビ朝日)、『世界忍者戦ジライヤ』(88年・東映 テレビ朝日)といった、往年のメタルヒーローの二代目たちに加え、かつてのスーパー戦隊メタルヒーローシリーズの悪役たちまでもが登場したほど、サプライズ感満点だったし、それらの乱戦が繰り返される展開には、子供たちの反応もすこぶるよかったものだったが。
 ましてや2019年度は『騎士竜戦隊リュウソウジャー』が放映される前に、32組ものスーパー戦隊がトーナメント戦を繰りひろげた『4週連続スペシャル スーパー戦隊最強バトル!!』(19年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190406/p1)と題した、やはり坂本監督による前代未聞(ぜんだいみもん)のスペシャル企画が地上波で放映されただけに、やはり劇場版にはそれ以上のものを求めてしまうのが人情というものだろう(笑)。


 なお、坂本監督は『キュウレンジャー』の放映中に発売されたオリジナルビデオ作品・『宇宙戦隊キュウレンジャー Episode of(エピソード・オブ) スティンガー』(17年・東映ビデオ)も担当したが、これは坂本監督の作品とは思えないほどに、画面も作風もやたらと暗さがめだつ、少々陰鬱(いんうつ)な作品であり、かなり過激なバイオレンス描写も散見されたものだった。
 ただ、スティンガー=サソリオレンジがプロモーションビデオ風に歌う描写があったり、敵ヒロインとの悲恋(ひれん)が描かれたほどに、これはあくまでスティンガーのファンムービーとして、坂本監督が完全に振り切った演出によるものだったのだ。なんせ片手の指で足りるほどの劇場でしか上映はなかったのだから、子供の目線を意識する必要はなかったのである。
 これとは対照的に、「V CINEXT」として上映館の数が増えた『キュウレンジャーVSスペース・スクワッド』や、テレビ放映の『スーパー戦隊最強バトル!!』、つまり、多くの子供たちが目にする作品では、坂本監督は本来のオリジナルビデオ作品やネット配信ドラマ、深夜枠で放映されるドラマなどとは明確に差別化した、サービス精神旺盛(おうせい)な演出に徹するのだ。
 ちなみに『キュウレンジャーVSスペース・スクワッド』は、先述した過去のスーパー戦隊メタルヒーローシリーズの悪役たちの登場が、企画段階で一度はずされそうになったのだが、坂本監督の強い要望で残されることになったというエピソードが、『宇宙戦隊キュウレンジャー 公式完全読本』(ホビージャパン・18年9月20日発行)に記載されているが、観客や視聴者がこうしたヒーロー競演ものに求めている要素を完全に把握(はあく)した、坂本監督らしい話であるだろう。


 今回の『ルパンVSパトVSキュウ』の脚本を務めたのは、坂本監督とコンビを組んで、先述した『ギャバンVSデカレンジャー』や『スーパー戦隊最強バトル!!』を手がけた、大ベテランの荒川稔久(あらかわ・なるひさ)だが、氏は自身が深く関わった90年代から00年代の作品の続編や、それらに登場したヒーローたちの競演ものではリスペクトたっぷりの良い仕事をするにもかかわらず、『海賊戦隊ゴーカイジャー』(11年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20111107/p1)のメインライターを最後に、2010年代はスーパー戦隊を年に数本しか書かなくなったために、今回メインの戦隊にはモチベーションも愛着もわかなかったのか、ユルユル感が全体的にめだっていたが、これはいかにもマニアあがりならではの悪いクセではないのかと。
 いや、ルパンイエロー・パトレン3号・カメレオングリーン・ワシピンクが、クライマックスバトルで共闘する最中、「女子会」みたい(笑)であるとして、『ルパパト』のシェフ・宵町透真(よいまち・とおま)=ルパンブルーと、『キュウレンジャー』のシェフ・スパーダ=カジキイエローの料理を囲む「女子会」を夢想してしまう、なんてノリは、個人的にも大スキだし、母親層にもウケる描写かと思えるのだ。
 ただ、あれほど『ルパパト』で魅力的に描かれた登場キャラの良さが、今回の『ルパンVSパトVSキュウ』ではあまり感じられなかったというか、特にルパンイエロー=早見初美花(はやみ・うみか)とパトレン3号=明神(みょうじん)つかさの姿が、この「女子会」の場面くらいしか印象に残らないというのは……(笑)


*続編なら時系列を明確にすべし!


 もうひとつ本作で気になるのは、今回は時系列的には『ルパパト』が1年間に渡って放映された世界観の中の「どこか」で起きた事件という設定であり、『ルパパト』のいわゆる後日談ではないことだ。
 敵組織・ギャングラーが完全には壊滅することなく、いまだ残党の怪人が暴れつづけ、そのギャングラーからお宝のルパンコレクションを奪うために、それぞれの大事な人を取り戻したにもかかわらず、いまだに快盗をつづけるルパンレンジャーと、それを阻止しようとするパトレンジャーが、現在進行形で対立する図式を示すかたちで『ルパパト』は幕を閉じたのだから、その両者の関係性が、果たしてどのように進展・変化を遂(と)げているのか、多くの観客が観たかったのは、やはりその部分なのではあるまいか?
 これまでの慣例からしても、毎年6月になると2月に終了したスーパー戦隊の「その後」を描く続編的内容のオリジナルビデオ作品がリリースされてきただけに、これには肩透(す)かしを食らったとの感想も多いことだろう。


 また、近年では仮面ライダーの劇場版も、「第○話と第○話との間」に起きた出来事として、番外編ではなく、テレビシリーズと完全に連動する世界観であることを強調し、登場キャラやセリフ・描写などを共有する演出によって双方を関連づける手法により、視聴者を劇場へと誘導することに成功している。
 先述した『スペース・スクワッド ギャバンVSデカレンジャー』は、『宇宙戦隊キュウレンジャー』SPACE(スペース)18『緊急出動! スペースヒーロー!』放映の約1ヶ月後のリリースだったため、このSPACE18は宇宙刑事ギャバンと『特捜戦隊デカレンジャー』のメンバーがゲスト出演してキュウレンジャーと競演する、宣伝的意味合いを持つ内容となっていた。
 そして、『宇宙戦隊キュウレンジャーVSスペース・スクワッド』は、前作『ギャバンVSデカレンジャー』の続編であるばかりではなく、『キュウレンジャー』SPACE18の場面を回想として流用したり、セリフを再現することで、『キュウレンジャー』の正規の続編でもあることが強調されていたのだ。


 すでに放映を終了したシリーズの、それも時系列がハッキリしない「どこか」(笑)で起きた出来事だとか、『スペース・スクワッド』シリーズと関連づけて描かれてきた『キュウレンジャー』のメンバーがせっかくメインで登場するのに、往年のスーパー戦隊メタルヒーローとの競演が描かれないのでは、これまでの作品群とのつながりが非常に弱く感じられ、特に子供たちに対しては、スーパー戦隊を追いつづける興味・関心を薄くしてしまい、「子供番組」からの卒業を誘発するように思えるのだ。
 いっそのこと、『ルパパト』の「どこか」ではなく、放映中の『騎士竜戦隊リュウソウジャー』の「第○話と第○話との間」に起きた出来事であるとして、『ルパンVSパトVSキュウ』公開の前後に放映される回に、全員でなくてもいいから主なメンツをゲスト出演させるとか、『ルパンVSパトVSキュウ』にリュウソウジャーを出すことで、スーパー戦隊がすべてつながった「ひとつの世界」であることを、子供たちに示すべきではなかったか?


*今後の「VS」の興行をどうすべきか?


 今回の『ルパンVSパトVSキュウ』は、大変失礼ながら、従来ファミリー向けに公開されてきた映画・「VS」シリーズと、熱心なファンに向けて製作されてきた、スーパー戦隊のオリジナルビデオ作品という、これまでうまく住み分けができていた両者を、狭くて小さな家に無理やり同居させることの限界が露呈しているように思えたものだ。
 種々の事情により、「VS」シリーズをかつての興行規模で公開するのは困難であるのかもしれないが、それをオリジナルビデオ作品として製作し、かつ一応は多くの子供の目に触れるかたちで興行するのであれば、もう少し子供の目線を意識した、特撮やアクションを前面に押しだした作風にすべきではなかろうか?
 いや、「VS」シリーズは、2019年のGWの興行で30年ぶりにその名称が復活した『東映まんがまつり』(!)のメインプログラムに据(す)えることで、「V CINEXT」のように上映がない地域の子供たちを失望させることなく、日本中の子供たちに観てもらえるようにすべきだと、個人的には代案としてあげたいのである。


 東映動画(現・東映アニメーション)製作の長編アニメ映画と、実写のヒーロー作品やテレビアニメ数本をまとめて上映する、1960年代半ばから興行された東映の子供向け週間は、1969年夏以降、「東映まんがまつり」なる呼称が定着し、「昭和」の仮面ライダースーパー戦隊メタルヒーローなどの劇場版はそこで上映されていた。
 だが、元号が「平成」に入った翌年の1990年、この「東映まんがまつり」は「東映アニメフェア」と名称を変更して、東映動画製作のテレビアニメの劇場用新作のみを上映することとなり、以後特撮ヒーロー作品の劇場版は排除されたのだ。
 ゆえに『地球戦隊ファイブマン』(90年)、『鳥人戦隊ジェットマン』(91年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110905/p1)、『恐竜戦隊ジュウレンジャー』(92年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120220/p1)の劇場版は、製作されずに終わってしまった。この当時は『高速戦隊ターボレンジャー』(89年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191014/p1)が放映途中で従来の土曜18時から金曜17時30分へと「左遷(させん)」され、時間枠も30分から25分(!)に短縮となっていただけに、このリストラの連打は製作現場の士気にも強く影響したことかと思われる。
 世間がバブル景気で最も浮かれていた90年前後は、逆にスーパー戦隊が最も苦境に立たされていた時代だったのだが、これは筆者にとっては「平成」を実に象徴する事象であったように思える。89年夏に連続幼女誘拐殺人事件の犯人として逮捕された男が「特撮マニア」だったことも、これと決して無縁ではなかったのかもしれない。


 そして1993年、映画『仮面ライダーZO(ゼット・オー)』(93年・東映)と『五星(ごせい)戦隊ダイレンジャー』(93年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20111010/p1)・『特捜ロボ ジャンパーソン』(93年・東映 テレビ朝日)を併映した「東映スーパーヒーローフェア」なる興行が設けられ、1994年の映画『仮面ライダーJ(ジェイ)』(94年・東映)・『忍者戦隊カクレンジャー』(94年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120109/p1)・『ブルースワット』(94年・東映 テレビ朝日)、1995年の映画『人造人間ハカイダー』(95年・東映)・『超力戦隊オーレンジャー』(95年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110926/p1)・『重甲ビーファイター』(95年・東映 テレビ朝日)と、以後3年に渡り、長編ヒーロー映画とスーパー戦隊メタルヒーローの劇場用新作を3本立てで上映するかたちでつづいたが、興行的な不振のためかそこで打ち切りとなり、映画『百獣戦隊ガオレンジャー 火の山、吼(ほ)える!』(01年・東映http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20011112/p1)で復活を遂(と)げるまで、90年代後半にはスーパー戦隊の劇場版は、いっさい製作されることはなかったのだ――ちなみに90年代後半といえば、当時の特撮マニアの間では平成ウルトラマン三部作(96~98年・https://katoku99.hatenablog.com/archive/category/%E5%B9%B3%E6%88%90%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%A9)や、怪獣映画・「平成」ガメラシリーズ(95~99年・角川大映)が大絶賛されていたころでもあり、スーパー戦隊はそれらよりも一段低いものとされ、「平成」仮面ライダーもまだ放映されてはいなかった――。


 現在の日本特撮におけるスーパー戦隊の立ち位置からすれば、この事実は若い世代には実に意外に思えるだろうが、「VS映画」、そして「スーパーヒーロー大戦」の「リストラ」を、筆者は「東映まんがまつり」から特撮ヒーロー作品が排除されたこととつい同一視してしまい、90年代と同様に、再度スーパー戦隊苦難の時代が到来するのではないのか? と、危惧(きぐ)するものがあるのだ。
 また、「東映スーパーヒーローフェア」すらも終了したことで、劇場での居場所を失った90年代後半のスーパー戦隊が、その代わりに住むことができたのがオリジナルビデオ作品だったのだが、『超力戦隊オーレンジャー オーレVS(たい)カクレンジャー』(96年・東映ビデオ)』から『百獣戦隊ガオレンジャーVS(たい)スーパー戦隊』(01年・東映ビデオ・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20011102/p1)に至るまで、『救急戦隊ゴーゴーファイブ 激突! 新たなる超戦士』(99年・東映ビデオ)を除き、それらはすべて現行のスーパー戦隊と前作のスーパー戦隊が競演する「VS」ものだったのであり、元々スーパー戦隊のオリジナルビデオは、決して一部の熱心なファンのみに向けられたものではなかったのだ。
 これらの経緯を振り返れば、今後のスーパー戦隊の劇場作品、そして「V CINEXT」が、スーパー戦隊を未来永劫(えいごう)存続させるために進むべき道は、すでに見えているのではなかろうか?


(了)
(初出・『仮面特攻隊2019年晩夏号』(19年8月25日発行)所収『ルパンレンジャーVSパトレンジャーVSキュウレンジャー』合評2より抜粋)


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