(2018年9月13日(木)UP)
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シンクロナイズド モンスター
(17年11月3日(金・祝)・日本封切)
「ドラマ」と「特撮」が、非モテ男女の痴話喧嘩で究極の一体化!(笑)
(文・T.SATO)
(17年12月3日脱稿)
2017年11月3日(金・祝)。我ながら社会のメーワクのキモオタで恐縮だけど、オタ友だちと新宿バルト9で女児向けアニメ『映画 キラキラ☆プリキュア アラモード パリッと!想い出のミルフィーユ!』(17年)の夕方上映の通例的に大きなお友だちが多い回(のハズ・汗)を観に行ったら、ロビーの中型モニターで本日封切の怪獣映画の予告編が上映されている! ナンじゃコリャ! ちっとも知らないゾ。今までこの映画の予告編すら観たことがナイぞ!
ひょっとしてジャンル系雑誌では紹介されていたのやもしれないけれども……。残業三昧の仕事がデキない駄目駄目サラリーマンの筆者は書店にすら立ち寄れなくなって久しく、それらを手に取ったり立ち読みする機会もなくなっているので(スイマセン)、本作の存在も寡聞にして知らなかった次第。
結論。今年2017年のジャンル系洋画では、個人的には一番スナオに面白かったかもしれない。
都会で挫折してUターンした冴えないOL1名が、田舎で冴えない地元組の同級生男子どもとグダグダと生活する映画。
怪獣よりも人間ドラマ主導だとは云えるかもしれないけど、それにしては巨大怪獣や巨大ロボットの比重や存在感がアリすぎるので、これはジャンル作品ではない! 怪獣や巨大ロボットは添えものである! とも云い切れない。
非モテ男女どもの異性への不慣れから来る(笑)、誰と誰がいっしょにいる、ふたりの物理的距離が妙に近い、ふたりが仲良く話していることに関して、表面は平静を装っていても内心ではフツフツと沸きあがってくるプチ・嫉妬が、実は彼らも知らず、地球のウラ側の韓国はソウルで、怪獣や巨大ロボットを実体化して暴れさせていた! という設定で、「人間ドラマ」と「特撮バトル」が痴話喧嘩の実体化として究極の一体化を遂げる!(笑)
非モテ男女と書いてしまったけれども、もっと厳密に云うならば、女性主人公自身は地味な色彩の服装で多少クタビれてもいるけれど、長身痩身のスリム女子。少々ボサボサ頭のボリュームもある黒髪ロングの頭頂部を指を立ててポリポリと掻くのがクセ。
ムダに男性に媚びた感じはなくカラッとしているけど、女を捨てているタイプというワケでもない。知的な仕事もデキそうで、実際にもWeb媒体でのライターを務めていたこともある。一流を目指してはいないけど、出来れば貪欲に「仕事」も「遊び」も「恋」も! というタイプなので、ストリートに繰り出すようなギャルはともかく、お文化的なものにも関心があるようなサブカル女子などが親近感を持ちそうな女性キャラでもある。
とはいえ、品行方正な人格者ではなく、都会では男と同棲していたし、お酒で酔いつぶれて二日酔いになるような適度なダラシなさもあるあたり、ますますそのテの女子たちが親しみを持ったり、あの程度ならば崩れてみたい(笑)と憧憬させるような女子像でもあるように思う。
主演女優はジャンルファン的にはアメコミヒーロー「バットマン」映画『ダークナイト ライジング』(12年)の女怪盗役の御仁。
対するに、登場する男子どもは田舎から出たこともなく、実家のバーを継いだだけであったり、アリえたかもしれないオルタナティブなもうひとつの人生を送れなかったことを後悔してクスぶってもいる(汗)。と同時に都会で一度は成功した彼女のことを、郷土の誇りだとも思っていたと語ってみせる。
偶然にも田舎の道路で遭遇したことで、厚意と少々の下心から無職の女性主人公を店のバイトに雇ってあげた非モテ男子くんはイイ奴だとは思う。しかし、物語後半からの彼の描かれ方は容赦がナイ。女子の世界に非モテ男子はしょせんは不要というワケか?(笑)
平穏で自堕落な日々を重ねるうちに、非モテ男子の後輩のちょいイイ男の――でも頼りない――青年クンに、女性主人公が酒の勢いでちょっかい出して誘惑もして一夜のアバンチュールでつまみ食いをしてしまったことからさぁ大変!
非モテ男子くんの嫉妬&怒りの炎がメラメラと燃え上がる! コレがまた実にみっともなくて情けない姿に描かれていて、それもまたまごうことなき非モテ男子の真理・真実ではあるけれど(笑)。実際、彼のようにオモテに出して取り乱したりはしないけど、内心では取り乱すだろうから(笑)、非モテの筆者には彼の気持ちが実によくわかるなぁ(爆)。
往々にしてSF映画やアクション映画や特撮映画は、人間ドラマ部分が段取りっぽくなったり、高尚に過ぎて頭デッカチな血肉のないセリフになりがちなものだけど、この作品は人間ドラマ部分も、あくまでもナチュラルに自然に没入できるように描かれている!
巨大怪獣は、日本の往年の巨大怪獣ギャオス(翼竜モチーフ)とガッパ(河童モチーフ)の折衷のようにも筆者には見える――あくまでも私見です!――。あるいはギャオスが両翼を失い痩せ細った果てに、人間のように直立した姿のようにも見える。特に頭頂部がまっ平らの斜面で特徴的な逆三角形にもなっているだけに。
巨大ロボットも、子供向け玩具のようでありながら、実写版・映画『トランスフォーマー』(07年)や映画『パシフィック・リム』(13年)に出てくる巨大ロボットみたい……と云ったらホメすぎですかネ?
怪獣や巨大ロボットはフルCGだが、今時だからかチャチさはまったくナイ。常に夜景のビル街に出現し、巨大感も重厚感も絶品である。
とはいえ、大作映画ではないB級作品だと思って鑑賞しているから、事前にさして期待してないことから来る落差から下手ウマとして許容できるのであって、コレが大作映画のように宣伝された果てに鑑賞した日には、もしかしたら物足りなく思ったのかもしれず……。
その意味では「小粒の良品」にすぎないのかもしれないけれども、筆者個人は気に入ったし、マニアでなくとも万人が楽しめる作品に仕上がっているとも思う。