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特捜戦隊デカレンジャー37話「ハードボイルド・ライセンス」


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Episode.37 ハードボイルド・ライセンス

(04 10/31放送 脚本 荒川稔久 監督 渡辺勝也


(文・さかもと晄)

ストーリー

 踏切で列車の通過を待つ若い女性がひとり。警報機はカンカンカンと赤く明滅を続けている。
 その女性めがけ、暗がりからシュルシュルと伸びる謎の触手が。からみつかれた女性は意識を失い、身体に咲いた白い花が青に染まってゆく。


 宇宙警察地球署デカベースでは、非番のホージーデカブルー)がおめかしをしている。どうやら、これからデートらしい。
 普段見ぬホージーの姿に、センちゃん(デカグリーン)は目をパチクリ。
 テツ(デカブレイク)によると、ホージーは“特キョウ昇進試験”の第四次試験までクリアし、あとは実地の最終試験に臨むばかりだという。公私ともにノリノリのホージーを、テツは「マーベラス」と褒め讃えるのだった。


 酒場でギターを弾き語る若い女性がひとり。長い黒髪がひときわ目を引く。名はマイク星人テレサ(演・田中千絵)。
 歌を聴きながらグラスをかたむけていたホージーの傍らに寄ると、テレサは「宝児さん」と呼んだ。
 そこへ現れた青年はテレサの弟・クロード(演・辻本祐樹)。病気がちな姉の身を案じ、迎えにきたようだ。それに加え、クロードはホージーに対してささやかな敵意を抱いてもいた。
 テレサはポツリとつぶやく。


 「私は好きなの…………歌うことが」


 明くる日、姉弟ふたりが暮らすアパートへとやってきたホージー
 ところが、タイミング悪しく緊急通信が受信された。ポイント047でOLが襲撃され、怪しげな人物に職務質問を試みた警察官2名が重傷を負わされたとのこと。
 現場に駆けつけたデカレンジャーは、強化形態スワットモードを展開。熱感知システムを駆使し、異星人らしき犯人を発見した。
 華奢な外見以上に強力な犯人の抵抗に遭い、やむなくハイブリッドマグナムで射撃するデカブルー。右腕から緑色の血を流しながらも、犯人は黒い闇の中へと姿を消した。


 司法解剖の結果、被害者の屍体から“ある特定の栄養素”だけが抜き取られていたことが判る。
 ホルス星人ヌマ・O(オー)長官の報告では、類似事件が七つの惑星にて数十件発生し、広域指定事件に認定されたという。


 「48時間以内に解決せよ」


 これがホージーに課せられた最終試験。スワンの分析の結果、遺留品から容疑者はマイク星人の男性と想定された。イヤな予感と胸騒ぎが、ホージーの裡(なか)を去来する。


 右腕に怪我を負いながら、クロードがテレサの待つ部屋へと帰ってきた。
 傷ついた弟の様子に、何か危険な隠しごとを直感するテレサ。姉を心配させまいと、優しい嘘をつくクロード。
 ふたつの心が交錯する中、ホージーが捜査に訪れた。クロードの右腕の傷を見たホージーは、彼が連続女性殺害事件の重要参考人であることを告げる。
 両親をスペースシップの事故で亡くし、残された姉弟で生きてきたこと……。頑張って、苦労を重ねて、また頑張って医者になれたこと……。「危険な放射線が出ている」と噂の鉱山惑星カイガミラで働き、テレサが身体を壊したこと……。その姉を救うため、白い花を青く咲かせる物質を集めていること……。
 クロードの口から語られるひとつひとつが、ホージーの胸に楔(くさび)を打ち込んでゆく。
 ホージーがためらう隙を突いて、逃亡するクロード。


 ふらふらと街をさまようクロードだったが、花を咲かせる恰好の標的を見つけると、マイク星人の姿で狙いをつける。
 ……と、襲撃寸前、まだ幼き弟の靴ひもを結んでやる姉の姿に、自らを重ねて手を止めた。
 悲鳴を上げる姉を背に、一目散で街中を逃げ回るクロードの異様な風体。人々の恐怖と好奇の視線が、その身に突き刺さる。


 再びテレサのもとを訪れるホージー。今まさにドアノブに手をかけようとした瞬間、またもや緊急通信が。今度はポイント315。


 ゴロゴロと雷鳴が轟き、稲光とともに雨も降り出した。
 デカブルーにチェンジしたホージーが、クロードを発見する。暫しの緊張がふたりの間に走り、それに耐えられなかったクロードは、邪魔な通行人を蹴散らすように駆け出した。
 ……乾いた銃声が一発。ホージーの後を追ってきたテレサが見たものは、変わり果てたクロードの亡骸だった。


 ただ、静かに涙を流すだけのテレサ。ただ、黙って見ているだけのホージー。ただ、ざんざんと雨が降りしきるだけ。
 後日、特キョウの金バッジを辞退したホージーは、クロードが眠る墓地を訪ねる。そこで会ったのは……。
 ふたりをつなぐ言葉は、もう何もなくなっていた。


解説

 遠く耳をすませば、聞こえてくるよデスのララバイ。
 ……すみません。よい話に水を差すようなマネをして。


 世の中には“換骨奪胎”という言葉があります。決してパクリではなく、あくまでもアレンジを強調するものです。
 パクリとアレンジの線引きは誰も明確にできません。同様に、“エピゴーネン”や“リスペクト”などの概念もあやふやな感じです。


 脚本の荒川稔久(あらかわ・なるひさ)は、おそらく元ネタと仮定される作品群が好きなのでしょう。
 (編註:本話でなら、『怪奇大作戦』(S43・円谷プロ)#5「死神の子守唄」、#25「京都買います」。ラストバトル無しなど)


 好きならば何をしてもゆるされる? ゆるされるのです(キッパリ)。
 それこそ『秘密戦隊ゴレンジャー』(S50)から戦隊シリーズをリアルタイムで観てきた人たちには理解しづらいでしょうが、往年の名作ドラマ・アニメ・漫画になじみのない“ファン”は、年齢に関係なく増加しています。
 そんな層にとっては、今観たものがすべてであり、過去に溯って学習するなど無意味で面倒な行為でしょう。


 ならば! 手練(てだれ)の連中が好んできたあれやこれやを、彼(彼女)らの食しやすい形で提供するのもひとつの手かも知れません。
 一定レベルのクリエイティビティを備え、また運よく作品を作る側に回れた人たちは、進んで“換骨奪胎”をすべきです。もちろん、それは義務でも使命でもなく、権利なのです。


 さて、やっと本題に入ります。Episode.34、35から続く“THE 70’S”決定版といった雰囲気の今話です。
 カラオケ全盛の今日、酒場での弾き語りで日給いくらになるのか気になりますが、ともかくテレサのルックス、生業(なりわい)、棲み家(すみか)……どれをとっても70年代的です。


 歌こそ「七人の旅する娘が、蜂に刺されたり、熊に食われたり」というアレとは異なり、ちょっぴり『昭和ブルース』(名作刑事ドラマ『非情のライセンス』〈S48・東映〉主題歌。歌うは主演・天知茂。オリジナルのブルーベル・シンガーズ版も哀切なフォークで聴かせます)入ってますが。


 ……ああ、サブタイトルはここからなのね、と勝手に納得してはいけませんか?
 ライセンス=特キョウの金バッジ、と想起させるバックミーニングも気がきいています。


 また、今話は映像的にも凝っており、色にこだわった演出は欝としたムードの彩りとなっています。
 『百獣戦隊ガオレンジャー』(H13)から3作品、CGが多用された、よくいえば賑やかな、悪くいえば軽々しい作品が続いてきました。いつしか忘れられていた作り手の「物語を綴る喜び」と、観る側の「ドラマを求める姿勢」。基本に立ち帰った『戦隊』から、今後も目が離せません。


(了)
(初出・特撮同人誌『特捜戦隊デカレンジャー評全集Vol.II』(04年12月30日発行)〜『仮面特攻隊2006年号』(05年12月30日発行)『特捜戦隊デカレンジャー』合評2 #25・34〜37評に収録より抜粋)


『假面特攻隊2006年号』「特捜戦隊デカレンジャー」関係記事の縮小コピー収録一覧
朝日新聞 2005年1月11日(火) 週間TV表「見ましたよ」 〜視聴者投稿合評・29歳主婦はハマる・7歳女児・51歳男性はデカマスターの剣殺陣が東映黄金期時代劇映画を彷彿・36歳主婦は単なる勧善懲悪ではない
中日新聞 2004年3月12日(金) 「ミニみに」連帯感を子供らに 〜デカレッド載寧龍二インタビュー
・読売新聞 2004年4月8日(木) TV欄投稿「特捜戦隊―」で童心に帰る 〜39歳会社員
・読売新聞 2004年5月31日(月) TV欄投稿「親も楽しめる「特捜戦隊―」」 〜32歳主婦



特捜戦隊デカレンジャー』平均視聴率:関東7.1%・中部10.1%・関西7.1%
 (平均視聴率EXCEL表計算:森川由浩)


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