ウルトラマンレオ1974 〜『ウルトラマンレオ』私論
『ウルトラマンメビウス』#34「故郷のない男」 〜レオ客演!
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(ファミ劇で「ザ★ウルトラマンのすべて」(ゲスト・伊武雅刀!……とHP等で告知されてましたが、実際には声優・柴田秀勝氏でしたがイイ内容でした……)が、5/3(日)10:30、深夜5:30、5/5(火)20:00で放映終了!)
(文・久保達也)
(08年12月執筆)
2008年5月号 森次晃嗣(もりつぐ・こうじ)(俳優 モロボシ・ダン隊長役)
当初の設定ではMAC(マック・『レオ』で活躍した防衛チーム)の隊長は川上鉄太郎という役名であったが、森次が円谷プロからの出演オファーに際し、
「同じウルトラシリーズなのだから、できればモロボシ・ダンでやりたいというこだわりがあった」
ことから、急遽モロボシ・ダン隊長に変更されたという話は、2万円の大冊『ウルトラマン大事典』(竹書房・84年2月29日発行)の満田かずほプロデューサーの寄稿など一部で結構有名な話。
今回もその件を披露していたが、これは『レオ』にとって本当に幸運なことであった。ウルトラ兄弟のように、M78星雲の出身ではなく、獅子座L77星の出身である、全く新しいウルトラマンが主人公である『ウルトラマンレオ』であるが、そこにモロボシ・ダン=ウルトラセブンが登場しているというだけで、『ウルトラセブン』『帰ってきたウルトラマン』『ウルトラマンA』『ウルトラマンタロウ』から継承された、正規の続編の物語である、と視聴者は認識することができたのだ。
そればかりではない。そこから第1話の構想が根本的に変わっていく。
「僕が変身してしまえばレオはいらない」
との森次からの提案により、ダンはサーベル暴君マグマ星人と双子怪獣レッドギラス・ブラックギラスの奇襲のために、セブンへの変身能力を失うことになる。
セブンに変身できない葛藤、そして地球の運命をレオに託すダン…… 『レオ』初期作品の骨子は森次がつくりあげたと云っても過言ではない!?
「ゲンとダンの関係はスポ根みたいで、他のウルトラとは少し違う感じがする」
と作品に対する感想を語っていたが、第6話のジープを用いた特訓にも必死でついてきた真夏竜に対し、「たいしたもんだ。あの人は本当に頑張った」と賞賛していた。
松葉杖をついて歩く芝居はバランスがとりにくく、かなり疲れたということだ。
印象に残る監督として、森次は第1・2話を担当した真船禎(まふね・ていorただし)監督を挙げ、
「あそこに沈む夕陽が私なら、明日の朝陽はウルトラマンレオ、おまえだ!」
なる名セリフをダンがゲンに放つ、夕日を見上げる場面が印象的であり、そこから師弟関係を底辺に芝居をするよう心がけていたとのことである。
第19話『よみがえる半魚人』、第20話『ふしぎな子熊座の少年』、第21話『北の果てに女神を見た!』(以上、オープニングではサブタイトルの前に『見よ! ウルトラ怪奇シリーズ』と表示される)と三話連続で行われた北海道ロケの際は、札幌の近くに在住していたいとこの家(森次自身、北海道滝川市の出身である)に真夏を誘い、メシをごちそうしたり、札幌の巨大歓楽街ススキノに飲みに行ったりした、との思い出話も語られた。
第40話『恐怖の円盤生物シリーズ! MAC全滅! 円盤は生物だった!』で作品を去ることになった際は、「ダンはどこへ行ったのかなあ。死んだのか、生きているのか……変な作品だなあ」と思ったらしいが(笑)、「でも次につなげるにはこれでいいのかなあ」と思い直したとのことであった。
森次は
「モロボシ・ダンは自分の分身」
であり、
「僕が地球上から消えない限り、ダンは不滅」
であり、
「80歳や90歳になっても変身を続けたい」
と頼もしく語ってくれた。それ見ろ! 氏はずっとモロボシ・ダンなのだ! 決して「ただのオッサン」ではないのである!(ちょっとしつこいか・笑)。
2008年6月号 冨永みーな(俳優 梅田カオル役)
海外ドラマ『大草原の小さな家』(74年アメリカ・日本放映75年)の三女キャリー、TVアニメ『魔法の妖精ペルシャ』(84年)の主人公、アニメ『機動警察パトレイバー』(88年)の女性主人公・泉野明(いずみ・のあ)役など80年代のアイドル声優で、現在では声優としてすっかりお馴染みの冨永みーなであるが、5歳の頃に児童劇団に入り、子役として活躍、梅田カオル役の当時は小学2年生だったそうである(当時の芸名は冨永美子(とみなが・よしこ))。
筆者と同い年なのだが、リアルタイムで観ていた際は、年下の女の子に見えたものだった。
「当時ウルトラシリーズを観ていたので、あれに出るんだ! と驚いた」
「トオルお兄ちゃんとはいつも一緒でよく遊んでもらっていた。本当のおにいちゃんみたいだった」
「撮影中に自転車に乗れるようになった」
「待ち時間はずっとスタッフの人に遊んでもらっていた」
など、彼女は当時子供だったならではの思い出話を楽しそうに語り続けた。
学校を休んだことはほとんどなく、登校前(!)、下校後、土日祝、夏休みと撮影に明け暮れる日々が続く、超ハードスケジュールだったようだが、おかげで大人の云うことをよく聞くようになったとか。
「ここに怪獣がいるよ〜と云われたら、それが怪獣に見えるまで見つめてました。真剣だったんでしょうね」
なんとも見上げたプロ根性である!
冨永が「一番印象に残っている作品」である第37話『怪奇! 悪魔のすむ鏡』において、カオルが繰り返し歌っていた、
♪大の字に、寝っ転がって、きれいな、星を見よう〜
なる歌は、これも『心にウルトラマンレオ』(辰巳出版・01年1月11日発行・ISBN:4886415598)のインタビューなどで一部では有名な話だが、冨永自身の作詞・作曲によるものである。
彼女は普段からロケバスの中で、自身が勝手に作った歌をよく披露していたそうだが、中でもこれがスタッフの耳にとまり、監督が「今回歌うから〜」と採用したらしい。
脚本の田口成光(たぐち・しげみつ)お得意の人情話、岡村精(おかむら・まこと)監督の前衛的な演出により、なんとも泣かせる一編に仕上がった第37話であるが、
「ひとつの思い出を大事に扱ってもらった」
と冨永は感謝の弁を語っていた。
鳥取砂丘で行われた撮影中、彼女の目に砂が入ってしまい、開かなくなってしまうというトラブルに見舞われたらしいが、ギャラリーのひとりが「母乳を目薬にするといい」と、「母乳の出る人」を連れてきてくれたおかげで、無事に難を逃れることができたという。
女性同士だから笑って話すことができるのだろうが、なんとも生々しい話であり、これには思わず放送していいのか? と思ってしまったくらいである(笑)。
第5話『泣くな! おまえは男の子』は相模湖(さがみこ・神奈川県)のピクニックランドでロケが行われた。たまたま当日は冨永の誕生日であり、誕生日のことはともかくそうしたレジャー施設に仕事で行けることが嬉しくて仕方がなかったらしいが、ロケ終了後、バスのいつも冨永が座る座席にスタッフたちからのプレゼントが置いてあったことに大感激したとか。
「本当に、皆さんに会いたいです」
と彼女が語ったほど、暖かい撮影現場だったようである。
レオのスーツアクターを務めた二家本辰巳と仲がよく、遊んでもらうことが多かったというほど、特撮の現場にも結構顔を出していたそうであり、またMAC本部のセット内や、MACメカの操縦席にも立ち入ったことがあるばかりか、特殊車両マックロディーに乗せてもらったこともあるとか。なんともうらやましい話である。
同世代の子役たちと共演したときには嬉しくて大はしゃぎしてスタッフに叱られたりしたそうだが、共演した子役の中では第5話にゲスト出演した松田洋治(同時期放映の『仮面ライダーアマゾン』(74年)では岡村マサヒコ役でレギュラー出演)や、第23話『ベッドから落ちたいたずら星人』に登場した、快人コロ星人を演じた増田康好が特に印象的であると語っていた。
ちなみにコロ星人の声は『快獣ブースカ』(66年)の主人公・ブースカや、『チビラくん』(70年)のガキンコなど、円谷作品でもよく活躍した故・高橋和枝(たかはし・かずえ)であったが、彼女を代表するキャラであった『サザエさん』(69年〜。09年で放映40周年!)のカツオ役を、現在冨永が演じているのは、なんとも不思議な因縁である。
第31話『日本名作民話シリーズ! 地球を守る白い花 花咲か爺さんより』に、白い花の精役でゲスト出演した杉田かおる(第4クール『恐怖の円盤生物シリーズ!』では美山(みやま)あゆみ役でレギュラー出演)に対しては、いつもの子役とは違い、色々と教えてくれるちょっと上のお姉さんが来た、という感想を持ったとのこと。
『パパと呼ばないで』(72年・日本テレビ)、『ボクは恋人』(74年・フジテレビ。なんと金曜19時に『レオ』の真裏で放映していた。主演は元祖ジャニーズ・アイドルであるフォーリーブスのメンバーだった北公次)などの出演で、既に杉田はこの時点で「大御所」だったから、当然といえば当然の感慨ではある。
冨永はトオルとゲンという、「二人のお兄ちゃん」に対する感慨を、
「トオルお兄ちゃんには、だまって見守ってくれる優しさを感じた」
「今思うと、トオルお兄ちゃんの気持ちが痛いほどわかりますけど、当時はそこまでやっぱり考えていなかったなあ」
「ゲンお兄ちゃんは、本当の意味の強さ、前に進む強さを持っているお兄ちゃん」
と語っていた。
他のスーパーヒーローとは違い、完璧ではないレオが、現実の厳しさをひとつひとつ克服していく姿は、今の時代にリンクし、自分を映すことができるヒーローであるとして、人々に親近感を得られるのではないか、と冨永は総括していたが、まさにその通り!
『レオ』を「とっておきの宝物」と語った彼女は、「カオルちゃんのこともちょっと気にしながら観て下さい」と視聴者に語りかけた。
まさに冨永みーなの原点である『ウルトラマンレオ』。そこにおける冨永の名演技から、彼女が声優界の「大御所」と成り得たのも必然であると思い知らされるのである。
2008年7月号 二家本辰巳(にかもと・たつみ)(スーツアクター ウルトラマンレオ役)
ウルトラマンレオのスーツアクターとして、華麗なアクションを披露してくれた二家本だが、実は当初はレオを演じる予定ではなく、第1話の撮影ではブラックギラスの着ぐるみの中に入っていたらしい。
撮影中、ウルトラセブンのスーツアクターの動きの悪さに高野宏一特撮監督が難色を示したため、「僕がやります」と志願したのがキッカケであり、今度はレオのスーツアクターの動きも悪く、ついでにレオを演じることも志願したのだそうである(!)。
ちなみに氏は以前からセブンに憧れていたらしく、志願したのも
「アイ・スラッガー(セブンの頭頂部の武器)を投げたかった!」
からだとか。その気持ち、男として痛いほどわかるなあ(笑)。
だがいざ入ってみると、怪獣をまっすぐに見るとマスクが上向きになってしまい、空を見ているような角度になってしまうため、目線を合わせるのに随分と苦労したとのことである。
実は二家本氏、第1話冒頭の城南スポーツクラブ内の空手の特訓風景の場面で、真夏竜が演じるおおとりゲンに後ろ回し蹴りで蹴られる役で顔出し出演していた。二家本氏も真夏と同様に少林寺拳法をやっていたが、レオの構えは空手の「剛柔流」であるとのことだ。
当時はブルース・リー主演の空手アクション映画が大流行していたが、それによってアクションにも大革命が起きて従来とは違うものが求められ、回し蹴りなどを披露するようになったとか。
水の中での連続バック転などもその一環かと思われ、動きにくくて大変だったそうだが、トランポリンに関しては
「得意中の得意」
であり、一切マットを敷かず、芝生だけが敷かれた状態でも、
「全然こわくなかった」
とか。実際撮影中にケガは一度もなく、
「ただ気合いだけ」
で乗りきったとのことである。
だが、さすがの氏も第4クールに登場した、操演で動く円盤生物を相手にした芝居は
「相手が呼吸がないから、タイミングがわかんない」
と戸惑い、ひとり芝居することの苦労を語っていた。
6月号で冨永みーなも語っていたが、彼女と梅田トオル役の新井つねひろはよく特撮現場を訪れていたらしく、新井を肩車している写真も残っているそうである。
1カットで長い立ち回りが演じられるのが目につく点について、「『レオ』ってすごいよね」と評される機会が多いと氏は語っていたが、これはやはりレオと怪獣が向かい合っているところをカメラがナメて移動、みたいな特徴がある矢島信男特撮監督(『レオ』では全18本を担当)の演出を指してのことかと思われる。
「とても楽しい作品なので、今聞いたことを頭に入れながら観て下さい」
とファンに語りかけた二家本。氏の驚異的なまさに体当りの演技は、おおとりゲンの特訓シーンと渾然一体となり、我々視聴者に生きる力を与えてくれるのである。
2008年8月号 ゲスト:伊藤幸雄(いとう・ゆきお)(俳優 野村猛役)
氏が野村猛(のむら・たけし)を演じるようになったキッカケもまったく偶然であり、たまたまTBSのプロデューサーに挨拶に行ったら、そこでオーディションをやってたのだとか。
役柄を作ろうなんて知恵はなく、ただ一生懸命やろうという意識しかなかったらしい。
ファーストシーンはやはり第1話冒頭の城南スポーツクラブの場面であったが、緊張しまくりであり、どんな人物像なのかもわからず、ただ必死でやってただけなど、苦労話を語った。
MACの隊員との絡みはほとんどなく、アフレコの際にしか会う機会はなかったようだが、意外や意外、モロボシ・ダン隊長役の森次晃嗣と仲がよく、『レオ』終了後もずっと付き合いが続き、結婚式の仲人までしてもらったとか! 自宅も近く、
「なんかあると、すぐ電話がかかってくる」
とのことである。
主役話である第17話『見よ! ウルトラ怪奇シリーズ 狼男の花嫁』については
「ナイトシーンが多く、機材がいっぱいで大変だった」
ほか、狼女になってしまう相手役の関根世津子は実は同じ事務所だったそうであり、
「切ないお話、ラブ・ストーリー」
だったこともあり、
「照れくさい、気恥ずかしい」
とこれまた苦労の連続だったらしいが、山本正孝監督は
「とっても優しかった」
とのことである。
印象に残る監督としては、山本氏のほか、前田勲、外山徹、深沢清澄の名を挙げ、特に前田氏と外山氏には
「ほかの番組でも使って頂いた。可愛がって頂いた」
ということである。監督から
「とにかくやりたいことをやってくれ」
と云われることが、
「役者として嬉しい」
らしく、外山監督には1時間の刑事もの(番組名不詳)においても世話になり、
「出会えて幸せだった」
と感謝の念を語っていた。
『レオ』終了直後にスタートした『秘密戦隊ゴレンジャー』(75年)で、伊藤はミドレンジャー=明日香健二を演じ、大人気を博すことになるが(戦隊シリーズでは『バトルフィーバーJ』(79年)の初代バトルコサック=白石謙作役でも有名)、
「多分、猛は僕の原点」
であると伊藤は語り、
「情熱、正義感を貫く」
姿勢が次の仕事につながったのではないか、との見解を述べていた。
「34年間ありがとうございます。僕にとっても大切な番組です。これからもよろしくお願いします」
と最後に挨拶した伊藤には、大変失礼ながら、34年前とまったく変わらないあどけなさが感じられた。きっと今でもブイブイいわせているのだろうな(笑)。
……つづきは同人誌で!!(汗)
……と云いたいところですが、数週間先の09年GWに『ウルトラ情報局』レオ編のゲストインタビューだけ抜粋して、再放送するそうです。
2008年9月号 三田三枝子(俳優 白川純子隊員役)
2008年10月号 宮坂清彦(助監督)
2008年11月号 吉田友紀(俳優 桃太郎少年役)
2008年12月号 小野ひずる(俳優 中島弥生役)
(昨年08年12月発行『假面特攻隊2009年号』掲載!・まんだらけネット通販)
2009年2月号 藍とも子(俳優 松木晴子隊員役)
2009年3月号 大林丈史(俳優 ブラック指令役)
2009年4月号 杉田かおる(俳優 美山あゆみ役)
(本年09年12月末発行『假面特攻隊2010年号』掲載予定!)
(紙幅の都合で、10年12月末発行『假面特攻隊2011年号』掲載予定!)