假面特攻隊の一寸先は闇!読みにくいブログ(笑)

★★★特撮・アニメ・時代劇・サブカル思想をフォロー!(予定・汗)★★★ ~身辺雑記・小ネタ・ニュース速報の類いはありません

忍風戦隊ハリケンジャー 〜ゴウライジャー賛否!

忍風戦隊ハリケンジャー 〜前半評・サタラクラ!
救急戦隊ゴーゴーファイブ 〜前半合評2・ゴーゴーファイブ前半総括 &ゴーカイ#23
救急戦隊ゴーゴーファイブ 〜前半合評1・ゴーピンク巽マツリ & 7月の傑作群!
轟轟戦隊ボウケンジャーVSスーパー戦隊 〜アカレッド! &ゴーカイ#21
轟轟戦隊ボウケンジャー 〜30作記念にふさわしいか!?
星獣戦隊ギンガマン 〜6人目・黒騎士ヒュウガ! &ゴーカイ#20
特捜戦隊デカレンジャー 〜地獄の番犬・デカマスター!
特捜戦隊デカレンジャー終了評 〜6人目・デカブレイク! ゴーカイ#19
爆竜戦隊アバレンジャー後半合評 〜アバレキラー君臨! &ゴーカイ#18
爆竜戦隊アバレンジャー前半合評 〜アバレキラー登場! &ゴーカイ#17
忍風戦隊ハリケンジャー後半合評 〜6人目・シュリケンジャー! &ゴーカイ#16
百獣戦隊ガオレンジャー後半合評 〜6人目・ガオシルバー! &ゴーカイ#15
スーパー戦隊シリーズ 〜全記事見出し一覧


 『海賊戦隊ゴーカイジャー』(11年)#25「海賊とニンジャ」に、『忍風戦隊ハリケンジャー』(02年)のハリケンレッド・椎名鷹介(しいな・ようすけ)こと塩谷瞬、ハリケンブルー・野乃七海(のの・ななみ)こと長澤奈央、・ハリケンイエロー・尾藤吼太(びとう・こうた)こと山本康平、なんとハリケンジャーのメイン3人が全員登場記念!
 ついでに敵・ザンギャック帝国の行動隊長(ゲスト怪人)として、キョーレツな個性(笑)を誇った宇宙忍群ジャカンシャ六の槍サタラクラの息子・サタラクラJr.と、同じく七の槍サンダールの息子・サンダールJr.も、オリジナル声優で登場記念!
 (ファースト『ガンダム』の好敵手・赤い彗星シャアこと池田秀一が声を演じる最強のサンダールが前後編の前編でヤラれちゃったのは少し残念だけれども、巨大手裏剣をヘリコプターの羽にも見立てたハリケンの緑色の3号ロボ・天空神をほうふつさせる、“ハリケンジャーの大いなる力”こと小型の新ロボ・風雷丸の強さを描写するには致し方ないだろう!)


 ……とカコつけて、『忍風戦隊ハリケンジャー』前半賛否合評を発掘UP!


忍風戦隊ハリケンジャー 〜前半評2

(文・鷹矢凪弥寿士)
(02年7月執筆)

所感『忍風戦隊ハリケンジャー

 実は今個人的に一番楽しみにしているヒーロー番組が、この『忍風(にんぷう)戦隊ハリケンジャー』(02年・以下『ハリケン』)である。
 別にあてつけではないが前作『百獣戦隊ガオレンジャー』[01・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20011113/p1]の難点を悉(ことごと)く克服していると見える。いや、それを抜きにしても確かに面白い。


 やはり正義・悪問わず人物描写がしっかりしているからであろう。
 特に巻之七「雷とニンジャ」あたりから顕著になってきた疾風(はやて)流の戦隊ハリケンジャーと迅雷(いかづち)流の戦隊ゴウライジャーの軋轢(あつれき) → 共闘。
 この過程描写にじっくり時間がかけられ、しかもそれを通して各人の性格が浮き彫りにされているのが巧(たく)みである。


 有体に言ってしまえば“楽天VS悲壮”或(ある)いは“明朗VS深刻”という構図なのだが、下手な馴れ合いよりは逆説的に仲間意識の大切さを訴えていると感じられる。


 そんな構図にも巻之二十「パンチと好敵手(ライバル)」にて一応の区切りが着けられた。
 結果的にハリケンジャーの前向きな大胆さが、ゴウライジャーの重過ぎる拘泥(こうでい)を凌駕した形になるわけだ。
 が、ハリケンジャーにもこの葛藤は良い意味での緊張感を及ぼしたようだ。尤(もっと)も、その後も一同は常に一緒ではなく、着かず離れずの状態であることが却(かえ)って説得力を生んでいる。


 続いて日向(ひなた)おぼろ博士について。
 “スーパー戦隊シリーズ”三人目の女性司令官(格)キャラである。
 が、先達である『鳥人戦隊ジェットマン』[91]の地球防衛軍スカイフォース・小田切綾長官が時折見せた柔軟さと、『ガオレン』の巫女(みこ)・テトムが発揮した好奇心旺盛さとを程好くミックスしたイメージを湛(たた)えている。
 ただその分、先輩連と比べ「やる時はやる」という気概が今のところ不足している感じなのがちょっと惜しい。



 それを補うためにおぼろの父である日向無限斉=ハムスター館長がいるのだが――父のキャラを立てるため、父と差別化するために「やる時はやる」という気概をあえて減らしたのだろう――、配役がベテラン俳優・西田健(にしだ・けん)氏であることを慮外視しても、父娘ふたりの二段構えの後見役は絶妙のバランスと言えよう。


 悪側については、取敢えず可も無く不可も無しである。
 欲を言えば、折角(せっかく)の顔出し女性幹部二人態勢なのだから、享楽派のフラビージョと慎重派のウェンディーヌの対照性をもう少し強く打ち出しても良いのでは。


 その意味、巻之十九「大箱と風雷巨人」でついに敗れ倒れた敵幹部・チュウズーボに“花丸”を手向けてやる採点役の女幹部・フラビージョの姿は、ちょっと意外な面が覗(のぞ)き好印象を得られた。


 そして巻之二十一「仮面とナゾナゾ」より、成長した“暗黒三の槍”マンマルバに加え、飛び抜けた剽軽(ひょうきん)者である異色の敵幹部=“暗黒六の槍”サタラクラが登場、それぞれの変化が楽しみである。


 更に正義側にも第六の戦士“シュリケンジャー”参戦という情報があり、夏の劇場版『忍風戦隊ハリケンジャー シュシュッとTHE MOVIE』[02・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20021112/p1]公開と併せて、今後の展開に期待したい。

【2002/7/18】


(了)
(特撮同人誌『仮面特攻隊2003年準備号』(02年8月11日発行)〜『仮面特攻隊2003年号』(02年12月29日発行)所収『忍風戦隊ハリケンジャー』前半合評4より抜粋)


忍風戦隊ハリケンジャー 〜前半評3

(文・仙田 冷)

ぼたもちを食う資格

ハリケンジャーとゴウライジャーの対立の解消
ハリケンジャーの巨大ロボ・旋風神とゴウライジャーの巨大ロボ・轟雷神の合体である轟雷旋風神の出現
・敵幹部チュウズーボの戦死に新幹部サタラクラの登場


 と、新展開を迎えている本作。ここらで序盤を総括しておこう。


 一言で言うと、ハリケンジャーの未熟さが際立つが故に、微妙にフラストレーション(欲求不満)が溜まる展開だった。


 初期においては、面白いことは面白いのだが、ハリケンレッド・椎名鷹介(しいな・ようすけ)達がハリケンジャーとなった偶然の経緯や、おぼろが次々に開発する超兵器が、一種の「タナボタ」感をかもし出し、微妙な苛立ち(いらだち)も感じさせていた。
 この辺の気分は、前作『百獣戦隊ガオレンジャー』(01年)で感じたものに似ているかも知れない。


 それだけに、巻之二十「パンチと好敵手(ライバル)」におけるゴウライジャーのカブトライジャー・霞一甲(かすみ・いっこう)がハリケンジャーを評した「タナボタ(棚からぼた餅)」発言は実に至言である
 (余談だが同話では、一甲の意外な大人気なさも見所か)。



 で、ゴウライジャー登場後は、暫(しばら)くハリケンジャーが彼等にやり込められる展開が続き、見ていてストレスが溜まった。
 いささか無茶な矢継ぎ早の商品展開を逆手に取り、これまでタナボタ式に勝ち進んできたハリケンジャーの戦士としての資質と覚悟(一甲の言を借りれば「ぼたもちを食う資格」の有無)を問うという意味では、見事なシリーズ構成とも言える。
 が、それにしても1クール目の後半殆(ほとん)ど負けっぱなしというのはどうかと思う。
 だからこそ巻之十二「テッコツと父娘」におけるハリケンジャー側の作戦勝ちのカタルシスがあると言われればその通りなのだが。


 巻之十六「霧と予言装置」から巻之十八「父と兄弟の絆」にかけてのバトルフィールド三部作を経て、ハリケンジャーとゴウライジャーの対立関係は一応の解消を見た。
 だが、それが必ずしも和解とか共闘には結びつかないことに、安直な展開を極力廃そうとする姿勢が垣間見えて好感度が高い反面、微妙なもどかしさというか、プチストレスを感じるのも事実。


 何とかしてゴウライジャーと親しくなろうとする天真爛漫な鷹介が、妙に図々しく、或いは馴れ馴れしく見えて、そこにプチストレスのツボを押されてしまったりもしている。


 そんなこんなで、私にとっての本作は今のところ、面白くはあるが何か苛立つという、奇妙な感慨の作品になっている。
 まだ放送は半年以上残っているのだから、その間にハリケンジャーが「ぼたもちを食う資格」を手に入れてくれれば問題はないのだが。


(了)
(特撮同人誌『仮面特攻隊2003年準備号』(02年8月11日発行)〜『仮面特攻隊2003年号』(02年12月29日発行)所収『忍風戦隊ハリケンジャー』前半合評5より抜粋)


忍風戦隊ハリケンジャー 〜前半評4

(文・内山和正)

満足できぬナゼの気持ち?

 1997年度の『電磁戦隊メガレンジャー』以降、続いてきた武上純希氏と小林靖子さんが交互で『スーパー戦隊シリーズ』のメインライターを務める形式。
 だが『百獣戦隊ガオレンジャー』(2001)で子供受けする番組に「戦隊」が戻ったいま、小林さんにまたマニア受けする重い世界観をやられてしまったのでは個人的にはイヤだなと思っていた。


 そうしたら彼女が平成『仮面ライダー』シリーズ(https://katoku99.hatenablog.com/archive/category/%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%80%E3%83%BC)の方、『仮面ライダー龍騎(りゅうき)』(2002・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20021109/p1)へ行くという(現状ではそちらの方が合っていると思う)。
 しばらく特撮もののメインライターを離れていた宮下隼一(みやした・じゅんいち)氏が本年2002年の『忍風戦隊ハリケンジャー』の担当になったのでひとまずは安心し、あとはその子供番組・変身ヒーローものとしての内容面での可能性に賭けた。


 でも本当は、近年の山口亮太氏とか赤星政尚氏とか酒井直行氏とかサブライターをつとめてこられた方たちを昇進させて新鮮さを狙うとか、一時期の陰の功労者といわれ「戦隊」でのメインライター昇進をのぞまれながらも『仮面ライダークウガ』(2000・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20001111/p1)のメインをつとめたためにしばらく「戦隊」を離れておられた荒川稔久(あらかわ・なるひさ)氏(本作で「戦隊」復帰)の『クウガ』とはちがうタッチでのメイン担当を望みたかった。
 (後日編註:荒川氏は翌2003年度の『爆竜戦隊アバレンジャー』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20031113/p1)にて戦隊メインライターに初登板)


 結果的には近年めずらしいほど多くの脚本家が参加してしまい、それ自体はいいにしても誰がメインかわからなくなってしまったような状況は個人的には好ましいことではない。


 90年代中盤から製作費の関係で、俳優が演じる素顔の悪役がほとんど出なくなってしまった。
 その少ない素顔悪役の席を毎年お色気系の若い女性が占めているのが個人的には好ましくなかった。
 悪行を目的とせず、「戦隊」抹殺にのみ動く凛々しい女性戦士とか邪悪な幼女だとか無気味な老婆だとかもっと工夫があれば良いのだが、どうしても女性がひとりだけいるというのは「女がいると嬉しいぜ」的な発想になりがちだ。
 以前の東映側のプロデューサーはアダルトビデオマニアだとも言われていたので仕方ないかとあきらめていたが、プロデューサーが変わってからも踏襲されているのはつまらない。


――編註:ご存じの特撮マニアも多いとは思いますが、さかのぼること70〜80年代の特撮悪女ヒロインであれば、にっかつロマンポルノの出身者であったりしました。職業に貴賤はないともいいますが、ジャリ番組に出演してくれてしかも悪役を務めてくれる中堅どころの女優さんは、作り手の趣味やシャレもあったのでしょうが(笑)、今も昔もおのずと限られてくるところがあるのでしょう――


 女性を減らせということではなくて、「戦隊」側の女性戦士は『星獣戦隊ギンガマン』(98年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19981229/p1)以来ひとりの体制が5作品続いているが、そろそろ二人に戻してほしいと思う
 (三人以上でもいいが、メインターゲットの視聴者の男児たちや、そのママの主婦たちにとってはイヤだろうから・笑)。
 男性悪役もむかしは個性的な面々がドラマを面白くしてきたし、そのあたりをやりくりしてマンネリにせずいろいろなバリエーションで魅せてほしい……


 ここ数年そう思ってきたのだが、今年は悪側の女性が二人という変化球を持ってきた。
 ハリケンジャーをひさしぶりの三人組とし、残りの二人分をゴウライジャーという別個の戦隊としたことで、やがてともに戦うことになるまでの短期間だけとはいえ、ゴウライジャーというひさしぶりの素顔の男性悪役を誕生させたことは評価したい。


 忍者ものでありながら、前作『ガオレンジャー』の動物型メカ(精霊)・パワーアニマル人気を受けて、動物モチーフとされているハリケンジャーたち。
 ハリケンジャーのモチーフの動物が鳥・イルカ・ライオンと『超獣戦隊ライブマン』(1988)と同じなのからして、ゴウライジャーにはライブマンたち3人が救えなかった悪になってしまった旧友たちを救って、ともに戦っているイメージが投影されているのかもしれない。


 そう考えてみれば、頭脳面では劣っていても人間味豊かなライブマンたちと、頭脳面では優れていても人の心を捨てて敵組織・武装頭脳軍ボルトに入ってしまったケンプたちとの対立が、忍者として成長過程にあるハリケンジャーと能力に優れているものの善悪を充分に学べなかったゴウライジャーの争いに重ねあわせて見ることもできる。


 でも改心後のゴウライジャーの描き方が脚本家によってニュアンスが違うのは、それぞれに面白いとはいえ抵抗がある。



 館長がハムスターから人間の姿に戻れないのは、犬の姿から戻れないおなじく忍者ものの子供向け合体ロボットアニメ『元気爆発ガンバルガー』(1992 〜『絶対無敵ライジンオー』(1991)にはじまる合体ロボアニメ・エルドランシリーズ第2作)を意識したものだろうし(?)、多重に過去作品を取り入れた作品というところか。


 ハリケンジャーはフリーター・演歌歌手・介護士と表の職を持っている設定だが、職を持たせてしまったことは良かったのだろうか。
 たしかにいくらでもエピソードをつくれそうな職業ではある。
 しかしそれをやっていては忍(しのび)の任務を描けないため、割とはじめのころから職業人では兼務できそうもない潜入捜査をやってしまっている。
 こうなっては職業ものであることが宝の持ち腐れというか、邪魔になってしまって……
 ゴウライジャーのふたりが肉体労働で稼ぎジムで身体(からだ)をきたえているのは説得力があって良いのだけれど。


 幹部のうち二人がそれぞれ生物忍者怪人・メカ忍者怪人をあやつる設定ながら、どちらも動物モチーフのためあまり違いがないのも物足りない。
 片方の幹部が殉職し新幹部が登場したため、今後どうなるのかはもう少し見てみないとわからないが。


 趣向的には多くの取り柄(とりえ)を持ち、ドラマのレベル的にも『ガオレンジャー』より上だろうとは思う本作だが、ごく個人的には『ガオ』の興奮のあとでは気持ち良くのれず、好きにはなれない(嫌いでもないが)。
 『ガオ』をもう一年やろうとのテレビ局側からの誘いを東映がことわってプライドを通したらしいが私的にはもう一年やって欲しかったくらいだ(もちろんムリだとはわかっている)。


 今夏の劇場版『ハリケンジャー』である『忍風戦隊ハリケンジャー シュシュッとTHE MOVIE』(2002)は、東映メタルヒーロー重甲ビーファイター』(1995)ゲスト歴のある子役上がりの吉野紗香(よしの・さやか)さん。
 同時上映『劇場版 仮面ライダー龍騎 EPISODE FINAL』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20021104/p1)は、『燃えろ!! ロボコン』(1999)に美少女ロボット・ロビーナちゃん役でレギュラー出演していた加藤夏希(かとう・なつき)さんと、個人的にはまるでお里帰りのような新鮮味のないメインゲスト。


 去年の映画『百獣戦隊ガオレンジャー 火の山、吼(ほ)える』(2001・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20011112/p1)の元ジャニーズ光GENJI(ゲンジ)・大沢樹生(おおさわ・みきお)や、同時上映『劇場版 仮面ライダーアギト PROJECT G4』(2001・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20011104/p1)の小沢真珠(おざわ・まじゅ)みたいに、「この人がヒーローものに出るの!!」というような驚きが欲しかった。


(了)
(特撮同人誌『仮面特攻隊2003年準備号』(02年8月11日発行)〜『仮面特攻隊2003年号』(02年12月29日発行)所収『忍風戦隊ハリケンジャー』前半合評6より抜粋)


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忍風戦隊ハリケンジャー 〜前半合評1

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忍風戦隊ハリケンジャー 〜前半合評2

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忍風戦隊ハリケンジャー最終回 〜終了合評

  (近日中にUP予定!)