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俺の妹がこんなに可愛いわけがない ~萌え対象かつオタの自画像! 二重構造化させた妹を通じたオタ社会の縮図!

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 来年2013年4月(?)からの第2期放映決定にカラめた、東京MXテレビやBS11での第1期全12話再放送+ネット配信の改訂12話〜15話の再編集バージョン『俺の妹がこんなに可愛いわけがない TRUE ROUTE スペシャル版』全13話――ってことは2本くらい削るの?――の放送記念! とカコつけて……


俺の妹がこんなに可愛いわけがない』 ~萌え対象かつオタの自画像! 二重構造化させた妹を通じたオタ社会の縮図!

(文・T.SATO)
(一昨年2010年12月執筆)


 高校生であるオレの妹が中学生で、思春期にありがちロクに口もきかずに、きいても拒絶の暴言しか吐かない「ツン」属性なのに――そこまでは実にリアルな妹描写だ!――、深夜に就寝中のベッドの上から人生相談をしてくる!――ここで「デレ」属性も獲得する!――


 「自分は妹萌えエロゲーオタだ!」とカミングアウトすることで、実に楽しい虚構物語へと跳躍していくのだ!


 「こんな妹や彼女がいたら……」と自堕落にもついつい妄想してしまうようなオタの中での「ベタ層」から、作品名からして「アリエナイとわかって観てますよ!」的なメタな言い訳を必要とする「批評オタ」をも総ざらえする小ズルい作品としても仕上がっている(笑)。


 自分の趣味を共有してくれるオタクな彼女がいてくれたらば……といった男オタクの願望。
 オタクである妹に頼られて年長目線でオタク趣味の理解者として公平・理想的にジャッジしてみせる非オタな兄貴のオレ。


 しかし、現代オタクの消費ライフの戯画(ぎが)に加えて、実に深刻なダークサイドも描かれているのだ。


●当然のことながら、自分のオタク趣味を恥じており、隠してもいるオタクな妹


●トドメには、ネット上でオタ友を見つけて、3次元世界でリアルにオフ会に参加するも、そこで自分を開放してホンネで自分のスキを公言できるのかと思いきや! ……気後れ・萎縮してしまって、しゃべれなくなってしまうオタクな妹


 たいていはコミュニケーション弱者でもあるハズの男オタクたちの「ベタ」や「メタ」な「感情移入」のフック・引っかかりを多数めぐらして、特にオタクでもある妹ヒロインにはダブルどころかトリプルなミーニング・意味付け・投影なども施(ほどこ)されているのだ。



 男オタクにとっての憧憬対象でもあるコケティッシュな美少女キャラでありながらも、シャイ・内気なコミュニケーション弱者である男オタクの自己投影・自己憐憫(笑)の対象としても描かれていたという!


 彼女が中学生なのに、高額な18禁の美少女エロゲ(ーム)を所有している理由付けとしては、容姿端麗な美少女でもあってモデル業の稼ぎもあるからだとしてみせる――モデル業を両親が許可した交換条件として、「学業成績・スポーツ万能属性」までをも獲得!(笑)――。


 そしてその、いわゆるイケてる系の人種たちが集っているモデル業界を舞台の一部としたことで、そこからオタクにとっての「外部視点」までをもキチンと導入! 彼女のオシャレ系のモデル友だちから見えている、たとえ偏見が混じっていようが、オタクの異質さ・キモさ(気持ち悪さ)も逃げずに描いて客観視までしてみせる!


 とはいえ、オタクたちも、そして本作のオタクでもある妹ヒロインも、決して無垢(むく)であったり無罪であったりする人種として、単なる被害者として自己を正当化・美化だけしているワケでもないのだ。
 イザとなれば、連れ立って楽しく歩いてきたオタク友だちとは同類視をされまい! として、条件反射的についつい他人のフリをしてしまう自己保身! そして、そんな行為を採ってしまった、自分に対しての良心の呵責なども描いてみせるのだ!


 やはりオタクを描いていた大むかしの『こみっくパーティー』(01年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071021/p1)、近年の『乃木坂春香の秘密(のぎざか・はるかのひみつ)』(08年)など、本作のこのような描写こそを見習え! などと云うのは過大な要求なのであろうか?


 オタクの内実を虚構作品だとはいえ、過剰に美化して「楽園」としてのみ描くだけであるのならば――もちろん、そーいう作品もあってもイイのだけれども――、オタクたちに甘いだけの自堕落な作品だよナ、児ポ法児童ポルノ禁止法)推進者やアグネス・チャンの百倍も、君の職場にいる一般女性の同僚はオタクやアニメ絵・萌え絵をキラっている現実を思い知れよ! などと筆者のようなネジくれた人間は、同族嫌悪で叩きたくなってしまったところだったので(汗)。


 本作の作者がスゴいのか、頭のイイ編集者が作家センセイに対して入れ知恵をしていたのか、本作には筆者がツッコミを入れたくなるような、オタクに対するムダな美化といった要素が実に少ないのだ。それは感心するほどである(笑)。


 イイ歳こいて、『らき☆すた』(07年)・『けいおん!』(09年)・『涼宮ハルヒの憂鬱』(06年)の「祭」なんぞにベタに参加するかよ!? とマジで鉄壁のガードを固めている筆者なども、本作にはダマされてしまいそうだ。(←我ながら、正直に本作にはハマっていると云え!・笑)


 とはいえ、本作にはまったく隙がないワケでもない。適度に強気な性格で、ルックスにも恵まれている妹ヒロインが、自信なさげなコミュニケーション弱者であろうワケもなく、同世代のオタ同士のオフ会ではしゃべれなかった! ……などということは、真にリアルに考えてみればおおよそアリエなさそうにも思えることで、むしろ参加者の過半がオズオズとしており会話が弾んでいなかった場合には、逆に気を遣って皆に話題を振って会話を盛り上げようとしたり、お店でも声を上げて店員さんを呼んで皆の注文を差配してあげたり、鍋奉行などになったりしそうな気がするのだ(笑)。


 ただまぁ、そこまでサバけた完璧ヒロインであったのならば、妹ヒロインに発生する人間ドラマは起伏に乏しいモノにはなってしまっただろうし、そうなると彼女に対する憐憫の情や感情移入の度合いも下がってしまう。
 そして、コレは媒体の優劣の意味ではなく云うのだけど、実写作品ではなくアニメ(ラノベ)作品であるからか、リアル度は中和されることで、ふだんは快活な妹ヒロインがオフ会では気後れしてしゃべれなかったというあたりも、実は少々気にはなっても、本作の致命的な欠点だとは感じられないのだ。


 初参加のオフ会でも器用に立ち回っていたのならば、やはりオタク視聴者の憐憫対象にはなれずにドン引き、もしくは敬遠されていたかもしれないのだし(笑)。



 物語は途中から人気長寿マンガ『課長 島耕作』シリーズ(83年~)のような要素までをも導入! ギョーカイ成功物語のような一面も醸し出してくる!


 ペンネームで発表した妹オタの畸形的(きけいてき)な願望や自意識まる見せスッポンポンの稚拙(?)な小説が大ヒットを果たしてしまうのだ!――この一連のオリジナル展開が、本作の熱烈な原作ファンたちによって「原作の改竄だ!」と糾弾されていることは置いておいて――


 いくら何でも展開が飛躍しすぎで、非・リアルにすぎるだろ! と思いきや、この小説のアニメ化(!)にまつわる騒動まで描いて、そこにヒネりを入れてくることで、ストーリー展開の突飛さに手綱を引いてくれるのだ。


 原作のイビツな箇所を、万人向けに微調整せんとしようとするアニメ化のスタッフたち。しかしそれは、原作のキモをも改変する域に達していたのだ!


 ここで悪者として描かれてしまうメガネの痩身脚本家の発言。


 いわく「稚拙」「妹ばかり」「リアリティがない」「どこが面白いのかわからない」(大意……・爆)。


 妹ヒロインの小説の商業的な成功に対して、内心では嫉妬の炎を燃やしていたオタク友だちで、アマチュア同人作家でもあるゴスロリ少女こと「黒猫」もその発言に対して、心中では溜飲を下げている。……お前らはオレか!?(笑)


 あぁ、どうもスイマセン! それらの表現を発露したり好んだりする、ある種の人種の内的必然性を今まで軽視してきたワタクシが悪うございました!――ま、反省は5秒間ほどであって(笑)、今後もジャンル作品に対してのツッコミはしつづけるけど、チョットだけ自己相対視はしてみました(汗)――


 イジワルに見てしまえば、この妹ヒロインが男オタクたちが愛好する美少女たちが主人公であるエロゲマニアではなく、女オタクたち(の一部?)が愛好するBL(ボーイズ・ラブ)ファンであったのならば、この作品は妹ヒロインに対しての男オタクたちの自己投影度が下がって成立しなかっただろ!? とか、やや偽悪的に面倒クサげにしている兄貴キャラも、同季の深夜アニメ『えむえむっ!』(10年)の主役のオトコのコとも同様に、何だかんだとオトコ気があって頼りになりすぎるご都合主義も少々引っかかるところだけど(笑)、本作のメインタイトル自体が、そうしたツッコミに対する「云い訳」のバリアと化していて、正面から突破のツッコミがしにくいのだ。


 BL作品それ自体ではなく、BL作品を読んでハァハァと欲情している女オタクの姿に、我々男オタクがコーフンしているような構図もあるマンガ『となりの801(やおい)ちゃん』(06年)のような流通はオタクの中でも多数派ではないのだろう。


(↑:2012年10月・後日付記:そーでもなかったのかもしれない。美少女ハーレムアニメにBL好き美少女が混ざる割合が近年では急速に増えてきたのであった(汗)。
 ……10年後の2022年12月・後日付記:ハァハァとコーフンしているBL愛好美少女やロリ娘を愛好している美少女キャラの姿に対して、男性オタク視聴者の側が萌えているという、ネジくれた構図は今ではすっかり定着してしまいましたとサ!・爆)


 そういったことに対するセルフ・ツッコミなのでもあろう。原作未完ゆえにTVアニメ版のオリジナル点描なのかもしれないけど、本作(後日付記:2010年放映の1期)の最終展開では、これまたBL好きのオタクの妹を持っている端役の兄貴キャラなども、主人公兄妹の鏡像かつオルタナティブ版としてであろうか登場させてもいるのだ!


 妹ヒロインがネットでゲットできた同性のオタク友だちらも、


●オフ会主宰の瓶底メガネの背高の姉ちゃんの、いかにもな自身のキャラを作ってみせている、発言の末尾が「ござる」口調
●80~90年代だったならば、お姫さまロングドレス的なピンクハウス(ブランド名)の服を着ていたような性格の娘が、昨今ではそれだとバカにされてしまうので、チョイ悪(ワル)で鎧(よろ)って対人バリアにしているとおぼしき、ゴスロリ(ゴジックロリータ)黒服ファッションの黒猫美少女


といったキャラクターたちも、アニメ的なキャラ立てにとどまらずに昨今のオタクの反映・風刺図にもなりえてもいる!


 しかし、彼女ら女オタクたちもその言動や出で立ちは奇矯ではあっても(笑)、けっこう友だち思いでモラルもあって性格もイイ奴らでスキだよ! ……といった美談でオトして、この文章を終わらせるのも癪だよなぁ(汗)。


 若年オタ用語でいうところの「邪気眼」描写、和室の自室でゴスロリ少女が自作同人誌の擬古文調のセリフを自己陶酔しながら音読している奇人変人なサマを、彼女の幼い妹たちふたりが廊下からドン引きしながら、恐る恐る見詰めているシーンなどはサイコー!(笑)


 「ブラック・イズ・ビューティフル」や「オタク・イズ・ビューティフル」や「オタク・エリート説」などではなく、「オタクや女性や黒人の方でも改善すべきトコロがあるんじゃネ?」といった発言をすると、「一般大衆や男性や白人の方が悪い! 敵に利する発言をするヤツは獅子身中の虫である!」といったヒステリックな反発を返してきがちだった、大方の1960年前後生まれのオタク第1世代や70年前後生まれの第2世代的な価値観などとは異なり、オタクである自分自身に対する自己相対視・自己客演視・引いた視点が最初からナチュラルにあるあたりが、80年前後生まれのオタク第3世代のアドバンテージ・優位点だとも思うのだ。


 筆者のようなオタク第2世代のオッサンオタクからすると隔世の感ではあり、その一点においては実に成熟したイイ時代になったとも思うのであった。


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.52(10年12月30日発行))


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