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作詞家・阿久悠 〜追悼

阿久悠(07年8月1日逝去・享年70歳)

(文・久保達也)


 「歌謡曲」が死語になって久しいが、70年代から80年代にかけて、「昭和」の歌謡曲黄金時代に活躍した作詞家・阿久悠(あく・ゆう)が尿管がんのために亡くなった。


 氏は67年に作詞家としてデビューしており、66年生まれの筆者は物心ついたときには氏の作品を耳にしていたことになる。その象徴となる曲が、『ママとあそぼう! ピンポンパン』(66〜82年・フジテレビ)のエンディングにおいて、体操のおにいさん・金盛勢や、河童のカータン、子供たちによって演じられた『ピンポンパン体操』であった。


 既に日本レコード大賞を授賞した尾崎紀世彦また逢う日まで』(71年)や、森昌子の『せんせい』(72年)などを発表し、ヒットメーカーとなっていた氏であったが、それらの曲は知らなくとも、幼稚園児だった筆者の耳には♪ズンズンズンズンズンズンズンズン、ピンポンパンポン〜、という氏が作詞した歌詞が毎日届いていたのである。


 72年の晩秋、当時円谷プロのプロデューサーだった熊谷健氏が、『ウルトラマンタロウ』(73年)の主題歌の作詞を阿久悠に依頼した際、実は阿久の息子の名前が「太郎」であり(『タロウ』第9話「東京の崩れる日」の原案・深田太郎)、氏から「俺は息子に聴かせるつもりで作るよ」と快諾を得たという。
 当時TBSプロデューサーだった橋本洋二は、阿久が書きあげてきた詞を見た時点で、今までとは違うカラーの主題歌ができるという実感を得たらしい。


 「ツブちゃん(円谷一)の詞には良い意味でも悪い意味でも臭みがあるんだよね。最初に阿久悠さんの詞を見たときは、その呪縛から解かれたなという気はしましたね。本当にストレートにこちら側の意図を汲んでくれてましたからね。阿久悠という人は頭のいい人だと思ったよ。なんせ、その時点では企画書しかないんだからね」
 (デジタルウルトラプロジェクト・DVD『ウルトラマンタロウ』Vol.10(asin:B0009J8HK2)より)


 氏の予感の通り、実際東京レコードが3ヶ月間だけ独占発売した主題歌レコードは、初回プレス30万枚を一気に売り切る(!)大ヒットとなったのだ。


 作詞活動にあたり、「時代の気分」を歌詞に託し、後年聴いたときにその「時代の空気」が甦るように心がけたという阿久悠が、『タロウ』と同時期に作詞した特撮ヒーロー作品の主題歌には、まさにそれが反映されたものが散見される。



『ファイヤーマン』(73年) *歌詞2番
 沈む大陸 逆巻く海よ 大都市さらう 竜巻嵐 何かがこの世に起こっているぞ……


スーパーロボット マッハバロン』(74年)
 悪の天才が時に野心を抱き 世界征服を夢見た時に 君はどうする 君はどうするか君は 蹂躙(じゅうりん)されて黙っているか……


ウルトラマンレオ』(74年) *歌詞2番
 突然嵐が巻き起こり 突然炎が吹き上がり 誰かの予言が当たるとき 何かが終わりを告げるとき……


 従来の主題歌が全編に渡ってヒーローの勇姿を表現した歌詞が多かった中、こんな歌い出しで始まる主題歌は当時としてはかなり異色であったが、小松左京原作『日本沈没』(73年・東宝asin:B0000A4HS4)や、五島勉ノストラダムスの大予言』(74年・祥伝社asin:B000J8BVU6)などの終末ブーム、第三次中東戦争によるオイルショックや、日本赤軍による連続企業ビル爆破事件など、当時の世相は特撮ヒーロー作品の主題歌にまで暗い影を落としてしまったのである。


 成長して一時特撮ヒーロー作品から離れていた頃、人気のあったピンク・レディー沢田研二のヒット曲の大半は阿久悠が手掛けたものだった。そして筆者を再びジャンル作品へと向けるキッカケとなった『宇宙戦艦ヤマト』(74年)のリバイバル・ブーム(77年)、第3次怪獣ブーム到来で製作された『ザ★ウルトラマン』(79年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971117/p1)、どちらも主題歌は阿久悠の手によるものであった。06年に亡くなった伊福部昭宮内国郎のメロディー以上に、筆者の耳には幼少の頃から若かりし頃に至るまで、常に阿久悠の詞がこびりついていたのである。


 氏が作詞した『ウルトラマンUSA』(87年・アメリカ、89年・東宝asin:B00005EF15http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100821/p1)の主題歌タイトルのように、阿久悠はまさに「昭和」の時代を華麗に駆け続けた人物であった。


 「時の中を走りぬけて」



(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH−VOLT Vol.37』(07年8月18日発行)より抜粋)