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SHIROBAKO(前半第1クール) 〜2014年秋アニメ評


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 TVアニメ『SHIROBAKO』(14年)前半第1クールが、CSキッズステーションで放映完結記念! とカコつけて……
 『SHIROBAKO』前半第1クール評をUP!


SHIROBAKO(前半第1クール)

(文・久保達也)
(15年2月1日脱稿)
(木曜23時30分 TOKYO MXほか)


 出身高校でアニメーション研究会に所属し、いつか自分たちで製作したアニメを世に送りだそうという「夢」を、現在進行形で追い続ける5人の美少女たち。
 その中のひとりで、念願のアニメ製作会社武蔵野アニメーションに就職した宮森あおいが、劇中内での秋期の1クール深夜アニメ『えくそだすっ!』の「制作進行」職として多忙な日々を送る視点で、「万策尽きた!」が連発されるほどの(笑)、アニメ製作現場の過酷な実状が描かれる。
 それと並行して、挫折しそうになりつつも、「夢」を追い続けるあおいの仲間たちの姿が、本作では随時おりこまれるかたちとなっている。


 アニメ製作の現場が舞台であることで、登場人物が異常に多いにもかかわらず、シリーズ前半第1クール分の第12話まで視聴した時点では、いわゆる恋愛話はいっさい描かれてはいない――離婚の話は出てくるが(笑)――。
 そうした完全に「ブラック」な労働環境にいたら、恋愛を楽しむどころではない、という事実が如実に象徴されており、これはなかなかに「リアル」でもある(笑)。


 特撮でもCGによる「デジタル」特撮が主流となり、「ミニチュア」不要論も唱えられるようになった今、アニメの方でもCGの隆盛により、「作画」という「アナログ」の作業に先行き不透明感があり、若干(じゃっかん)軽んじられているような風潮にある。
 そんなご時勢を反映した「作画監督」と「CG監督」の対立劇までもが、本作ではズバリと描かれる。


 そのキッカケとなったのは、あおいと同じく制作進行を務めるものの、デリケートな人間が多いハズのアニメの現場で無神経な発言を繰り返し、
「しゃ〜す!」
と挨拶するような(笑)、軽薄短小な浮わついた金髪モヒカン刈り上げ男の太郎による、監督・作画監督・CG監督間で行われている連絡を、伝言ゲーム的に不正確に伝えたり、配慮に欠けた失礼な物言いで伝達していく彼の失言の数々であったりする。


 現実世界でも、本当にこんな奴が制作現場の混乱を招いているのかと思えるほど(爆)、業界ものとしては実に「真に迫った」世界が描かれている。
 個人的に強くそれを感じたのは、作画監督の遠藤とCG監督の下柳が、過去の人気アニメ『IDEPON(イデポン)』
――元ネタは往年のリアルロボットアニメ『伝説巨神(でんせつきょじん)イデオン』(80年・日本サンライズ 東京12チャンネル→現・テレビ東京)――
の展覧会イベントでバッタリと出くわし――どうやら武蔵野アニメ総務部の興津女史による計略だったようだが(笑)――、先述した疎遠や角逐や対立から解き放たれ、すっかり意気投合してしまう場面である。


 少年時代に観た『IDEPON』を機に、アニメの世界を志すようになった遠藤と下柳は、年若いあおいと太郎が語る、的外れな『IDEPON』の魅力に対して
「違う!」
と口を揃え(笑)、それらについて饒舌に語りだす。


 アニメという「総合芸術」をつくる過程においては、こうした同じ「想い」の共有こそ、まさに必要なのであろうかと思える。
 かつて同じアニメに夢中になった者同志として、遠藤と下柳が結束を固めることとなったのは、まさに必然というべきではなかろうか。
 そうした「想い」をまるで理解できないような太郎に、なんで制作進行をさせているのかは、確かに不思議でしかない(笑)。
 もっとも現実の職場にいたら迷惑極まりないだろうが(爆)、ひとり空気を読まずに軽口をたたき完全に浮いている太郎は、本作では絶好のコメディリリーフとして機能しており、個人的には決して嫌いではないキャラである。


 だが、現場を混乱させている最大の元凶は、あまりに「想い」が強すぎるために、『えくそだすっ!』の絵コンテを全然仕上げようとしない、「監督」としてはデブでメガネ男という、おもいっきりのステレオタイプで描かれている木下だったりするワケで(笑)。
 『えくそだすっ!』最終回の製作が完全にストップしているにもかかわらず、平気でラストの展開を突然変えようとヌカす木下に、「演出」(シリーズ全体ではなく各話単位の監督のこと)の本田は遂に業を煮やし、小便用のバケツが隅に置かれているような、まるで監獄みたいな薄暗い倉庫室に木下を監禁してしまう! って、これもホントにありそうな話だ(爆)。


 妙に「いい人」な初老の社長が差し入れた、木下が大好物の山盛りの唐揚げを、
「1枚描いたら1個あげます」
などと、木下を拷問するかのような本田の口調がマジでこわい(笑)。そもそも木下がいつも着ているボーダーシャツが、ここでは完全に囚人服として機能している(爆)。
 それでも描いてくれないことに、本田は木下を脚本家に会わせるが、
「着地点が見えればどうすればよいかわかるはず」
とアドバイスを受けたのを機に、木下はそれまでのぐうたらぶりから一転、倉庫室の中で、全身が光り輝き、恐るべき勢いで絵コンテ用紙にエンピツを走らせる!(笑)


 これと並行して描かれた、あおいの仲間・美沙の物語は、社会人としては実に身につまされるものだった。
 あおいは茶髪のショートボブで、ややキャピキャピの快活な女子として描かれているが――そのファッションがわずか数種類のものを着回しているだけ、というのも業界人としてリアルに見える――、美沙は黒髪のショートカットで、5人の中で最もおとなしそうなイメージであり、真面目で思い詰めそうな雰囲気であることが、その物語により真実味を与えることに成功している。
 せっかくCGクリエイターとなった美沙だが、就職した会社は自動車部品用のCGモデリングの仕事ばかりで、CGアニメなどの仕事はいっさいなく、先輩たちからも当分それが延々と続くという話を聞かされたために、むしろ「夢」が遠ざかるばかりだと考えるようになる。


「着地点が見えればどうすればいいかがわかるはず」
を突き詰めた結果、美沙は自身がアニメを志すキッカケとなった作品でCGを担当したヤリ手の男が若社長を務める、業績も給料もよい会社を、入社1年に満たないにもかかわらず、退職を決意するのだ。
 そこまでして「やりたいこと」がある美沙の姿に、あおいがかつて面接で落ちたアニメ制作会社の社長から言われた、
「なんでもやります、っていうのは、やりたいことが無いからじゃないのか?」
という、真逆の相反するセリフを重ね合わせる描写がまた、実に秀逸である。


 オーディションに落ちまくり、その他大勢の役くらいしかなく
――声を張り上げたら録音監督に怒られてNGになった! にもかかわらず、後輩たちからの「人気声優といっしょに仕事できてスゴい!」などという無邪気なあこがれの発言が、「夢」と「現実」の狭間で揺れて挫折しそうになっている彼女の心を残酷にえぐり出す!――、
居酒屋でバイトをしながら声優を続けるしずかや先の美沙に比べれば、一見アニメ業界に就職できて「勝ち組」であるかのように見えるあおいではあったが、いまだ「着地点」は見えないままなのである。
 あおいからすれば、日々の忙しさにただ追われるだけの自分よりも、「夢」に向かってひたむきな努力を続けるしずかや美沙の方が充実しているように見えるというのも、人間の心理としては実に「リアル」な描写かと思える。


 木下が『えくそだすっ!』最終回の展開を変更したことにより、自社だけでは処理しきれなくなった追加の原画を他社やフリーの原画マンへ依頼するため、クリスマスムード一色となった街を、あおいは「マッチ売りの少女」ならぬ、「原画売りの少女」(笑)となってさまよい続ける。
 雪の中で倒れてしまったあおいが見た幻想として、いくらモザイク入り(笑)とはいえ、鉄腕アトムドラえもんオバQどころか、ガンダムやザクまでもが原画を描いている(爆)描写は、著作権にうるさいご時世でよくやったものだと驚くばかりである。
 加えて、あおいが原画を依頼するため、ようやくたどり着いた往年の大人気ロボットアニメ『新世紀アバンギャルドン』――放映年も95年(笑)――の菅野光明監督がまた、髪型もメガネもボソっとした喋りも、おそらくは自宅ではジャージ姿であろうことも含め(笑)、完全にかの庵野秀明監督本人であるとしか言いようがない(爆)。


 その菅野から
「武蔵野ならいるだろ」
と指摘された「天才」がまた、それまでの回で自分には萌え系は描けないと、武蔵野アニメーションに在籍しながらも、すでに隠居したような日々を送っていた、初老のアニメーター・杉江というのがまた、よいオチとなっている。
 往年の『宇宙戦艦ヤマト』(74年)の毎回のラストのように、「納品まであと○日」(笑)と字幕でタイムリミットが示される中、全社一丸となって最終回の製作に動きだし、ギリギリ納品に間に合うまでの一連の流れは、まさに「感動」の嵐である!
 パトカーの大群に追われた主役の3人の美少女アイドルが、ドーム型スタジアムのステージでスポットを浴び、銃撃を浴びせる警官たちをファンたちが阻止する中、無事に脱出に成功するという、『えくそだすっ!』最終回のクライマックスを、最終回の制作と納品に交錯させる演出が、それをより深く、大きなものとするために絶大な効果をあげている!


 あおいがアニメ業界を目指すようになったのは、幼いころに再放送で観た『山はりねずみアンデスチャッキー
――先述した杉江が、かつてこれのオープニングの原画をひとりで3日で描いたという「杉江3日伝説」(爆)を、あおいが菅野から聞かされるオチもまた格別。余談だが、元ネタの『山ねずみロッキーチャック』(73年・ズイヨー映像 フジテレビ)は、『世界名作劇場』の中では筆者が最も想い入れが強い作品でもある――
がキッカケであったが、あおいが果たしてその「着地点」を何とするのか、そのためにどうしていくのかを、今後もぜひ暖かい目で見守っていきたいものである。
 まぁ、「着地点」がいまだ見えないために、何をすることもないような筆者みたいな奴には、見守られたくはないだろうが(爆)。


 それはそうと、「夢」を語り合った5人の美少女キャラが、高校時代に結束を固める姿として描かれた、皆で円陣を組んで右手に持ったドーナツを掲げて天を見上げて、
「どんどんドーナツ、ど〜んといこう!」
と、声を張り上げるさまを、久々に全員が再会したしずかのバイトする居酒屋で再現する俯瞰カットが、個人的にはたまらない(笑)。


 アニメ同好会のメンバーが全員美少女だなんて、非「リアル」以外の何物でもない(爆)。
 だが、優秀なスタッフが大手に引き抜かれたり、人気原作漫画の争奪戦が麻雀屋で描かれたり、絵コンテを撮影した画面でアフレコをしたり、初老の効果マンがたまたま現れたあおいに怪獣の声をやらせる(笑)など、80年代末期のトレンディドラマのブームと並行して当時数多くつくられたテレビ局業界もののテレビドラマよりも、よほど「リアル」な本作のような作品は、「美少女」の要素でもないことには訴求力に欠けるような気がしないでもない。
 あおいの部屋に飾られている、海賊少女みたいな眼帯の人形とクマのぬいぐるみが、あおいの内心や自問自答の声の代弁として会話して動くという「ありえねえ」(笑)描写もまた、そのために付加されているのであろうし、それらは制作費の主要回収源である映像ソフトが売れるためには欠かせない要素でもあるのだ。
 それは続編が製作されるための、実に「リアル」な話でもある(笑)。


 ところで本作の映像ソフト第3巻には、実際にシャレで製作された劇中内深夜アニメ『えくそだすっ!』第1話「出エジプト」ならぬ「出トーキョー」が映像特典として収録されているが、マニアにはネットで散々酷評され、PTAやBPOにも問題視されたために、木下が長年干されるキッカケになったという『プリンプリン天国』こそ、ぜひ収録してほしいものだけど(爆)。


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH−VOLT』VOL.69(15年2月8日発行))



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