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SHIROBAKO(後半第2クール) 〜アニメ制作をめぐる大群像劇が感涙の着地!

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 TVアニメ『SHIROBAKO』(14年)が、東京MXにて2016年1月2日〜3日に全話一挙放映記念! とカコつけて……
 『SHIROBAKO』後半第2クール評をUP!


SHIROBAKO(後半第2クール) ~アニメ制作をめぐる大群像劇が感涙の着地!

(木曜23時30分 TOKYO MXほか 放送終了)
(文・久保達也)
(2015年4月13日脱稿)


 『SHIROBAKO』第2クールは人気連載漫画『第三飛行少女隊』の映像化権を獲得したものの、何度も「万策尽きた!」の状況に追いこまれることとなる武蔵野アニメーション――以降、通称である「ムサニ」で表記――のあまりに過酷な製作現場が、「制作進行」から「制作デスク」担当に出世した主人公・宮森あおいの視点で描かれる。


 第1クールで描かれた、オリジナルアニメ『えくそだすっ!』製作の大幅な遅れは、監督・木下が全然絵コンテを仕上げようとしなかったり、最終回の展開を突然変えようとしたりなど、社内の体制――つーか、ほとんど木下(笑)――が主たる要因であった。
 だが、今回はその木下が社員一同が驚くほど、超絶な早さで絵コンテを仕上げたり、あおいの後輩として安藤・佐藤の二人の新人女性が「制作進行」に配属されたり、業界歴5年で常に無愛想な平岡が「制作進行」として中途採用されるなど、万全な体制が敷かれていたハズなのである。


 それをおおいに揺るがせることとなったのは、『第三少女飛行隊』の原作者・野亀の担当編集者であるものの、


「いやぁ〜、変な話ぃ〜、先生締切前なんでぇ〜、忙しいんでぇ〜」


なんて調子で野亀と直接話をさせようとしないばかりか、ムサニの意向を野亀に伝えるのを怠り、勝手に自身の独断でゴーサインを出してしまったりと、ムサニを最後まで翻弄し続けることとなった、あまりにチャラい夜鷹書房(爆)の茶沢――やはりチャラいから茶沢なのか?(笑)――の存在であった。


 「いいんじゃないすかぁ〜、進めちゃってもぉ〜」と、茶沢が独断でキャラクターデザインを承認したがために、あとで知った野亀が全面的に直しを要求し、作画の作業が全面的にストップすることとなったり。
 ムサニ側がまったく聞かされてはいなかった、夏のマンガフェスティバルで流すためのプロモーション映像の製作を、茶沢が開催2週間前に突然依頼してきたり。


 あげくは原作の「ATG映画みたい」(笑)なバッドエンドに対し、木下が希望が持てるラストにしたいと、アニメオリジナルの最終展開を提案したことにも、茶沢は野亀に無断でOKを出しておきながら、野亀が改変に激怒するや、


「あれは僕的にの話」
「ゴッドの意向は絶対」


などと、すでに完成した最終回までをも作り直しを要求する!


 軽薄短小な口調や、その着崩したファッションセンスはともかく――いや、それもマジでムカつくが(爆)――、あまりに無責任な仕事ぶり、いや、全然仕事してねえクセにリア充ぶりを露呈する茶沢の姿には、平岡のように、


「ちゃんと仕事してるのに、チャンスがもらえない人間がどれだけいることか!」


と怒鳴りたくなるほどだが、第2クールがおおいに盛り上がることとなったのは、この茶沢がムサニの「敵」「悪」として設定されたことが大きいかと、個人的には思える。



 それと差別化する意味合いもあってか、第2クールでは木下が、


・CG監督の下柳に「この作品は飛行機が主役!」
美術監督の渥美には「この作品は美術が主役!」


などと、傍から見ると「どっちが主役なんだよ!」「二枚舌じゃないか!?」(笑) というツッコミの余地がある熱弁でスタッフたちを説得する。


 しかし、これは社長の丸川が語ったように、目的地に皆を導き、作る人間も観る人間も幸せになるような場所を提供すべきとする、監督としての理想的な姿であり、戦闘機を搭乗員のキャラにあわせて擬人化した動きにするなどにより、リアルさよりも絵に心象が反映されるようにしたい、などという木下の意向の表れでもある。


 第1クールにおける木下のぐうたらぶりを楽しんできた筆者としては、今回のあまりにまともすぎる木下の姿には少々残念だったりする(笑)。
 だが、『えくそだすっ!』の「演出」――テレビアニメの場合、シリーズ全体の監督ではなく各話単位の監督を指す役職のこと――を最後にムサニを退社し、今はケーキ屋に勤める本田が、ストレス太り(笑)だったムサニ時代とは一変してゲッソリと痩せたことをうらやみ、


「脂肪同盟は解消だ!」


とヌカしたり――そんな同盟は最初から組まれてはいなかったのだが(笑)――、


「俺だって200グラム痩せた!」


と自慢したり(笑)、本田が差し入れた特大のモンブランに舌鼓を打ち、


モンブランと唐揚げさえあれば他には何もいらない」――デブになるのはあたりまえだ!(爆)――


などと主張するあたり、あいかわらずだったのは嬉しかった(笑)。


木下「万策……」
本田「尽きてません!」(笑)


 その本田の指摘で野亀にメールで直接アポをとった木下は、丸川から受け取った「勝負服」――なぜかマカロニ・ウエスタン風であり、西部劇調の音楽が鳴り響く(爆)――を着こんで、あおいに「どうかご無事で」と送り出され、単身夜鷹書房に殴りこむ! 玄関前の階段でいきなりコケるのはお約束(笑)。


 1階で茶沢を


「波動腹!」(爆)


で吹っ飛ばした木下は、エレベーターで野亀のいる最上階へと突撃!


 木下は夜鷹書房幹部が浴びせたゴルフボール攻撃を素早い身のこなしでかわした末、やはり腹で跳ね返し、


「竜巻旋風腹!」(爆)


なる回転攻撃で幹部を吹っ飛ばす!


 同時期公開の映画『劇場版ウルトラマンギンガS(エス) 決戦! ウルトラ10勇士!!』(15年・松竹)でもパクっていたが、かのブルース・リー主演のカンフー映画『脂肪遊戯』、もとい(笑)『死亡遊戯』(78年)でのラスボスがいる最上階へと進んでいく過程の途中階で中ボスと戦っていくクライマックスを彷彿とさせる、これら一連のバカ演出(爆)があるからこそ、続く展開がおおいに感動を呼び起こすこととなるのである!



 第三飛行少女隊にムサニのチームワークを投影していた木下に対し、野亀は少女隊の5人のキャラクターは、自身の人格を分離して与えた「負」のメタファーであると語る――野亀が大の「人間嫌い」であることはこれまで何度か語られてきており、人気漫画家であるとは思えないような、かの太宰治みたいな風貌であり、「昭和」の文豪(文学作家)を連想させる地味な和服姿であることが、その象徴として機能している――。


 アニメ監督と原作漫画家の間には最初から見解の相違が生じていたわけであるが、戦うことに意義を見いだせず準ヒロインのキャサリンが戦死したことにより、主人公少女・アリアは飛べなくなり、別の道を模索することになるかもしれない、と野亀は主張する。
 これに対し、アリアには絶対に飛んでほしい、もう一度飛ぶ意味を見つければ? という木下の提案に野亀が同調、アリアの「守りたいと思う存在」をつくればと、ふたりの意見が一致したことにより、キャサリンの妹・ルーシーが誕生することとなる!


 「もっと早くお会いしたかった」と木下と握手をかわした野亀は、これまでムサニ側の人間と会わせようとしなかった茶沢を


「変な話ではないっ!」(笑)


と一喝、幹部が


「野亀先生の担当には向いてない」


と、茶沢をはずす意向を語る場面は、まさに「勧善懲悪」のカタルシスにあふれていた!


 これまでいくつもの会社をクビ(笑)になってきた筆者からすれば、担当を外すどころか、茶沢なんかクビにしろ! と思っていただけに、木下の今回のヒーローぶりは実に爽快に感じられたものである。


 これが木下が名づけた「ビッグ・モンブランデー」(爆)に起きた出来事であり、『三女』の最終回はルーシー登場場面を追加し、再編集を施すのみで済むこととなったのだが、その結果として木下はアリアばかりでなく、もうひとりの少女をも救うこととなったのである!



 あおいと同じく、出身高校でアニメーション同好会に所属していた少女たちのうち、


・絵麻は当初からムサニに所属し、最終回の「作画監督補佐」を任されるほどにその腕が認められ、
・みどりは『えくそだすっ!』製作時にあおいの依頼で資料を作成した実績を買われ、「制作設定」の肩書きでムサニでバイトするばかりか、脚本家・舞茸の弟子的存在となり、
・美沙は転職したスタジオカナブンでムサニの下請けとして「CG」を担当、


それぞれ『第三飛行少女隊』に関わることとなった。


 だがただひとり、居酒屋でバイトをしながら声優を続けるものの、しずかにはあいかわらず端役しか回ってこず、『三女』のオーディションにも落ちてしまう。


 居酒屋でそれを聞いた4人がおもわず沈黙してしまったり、ユルキャラの着ぐるみショーに来られなくなったスーツアクターの代わりに中に入って声を同時に演じたり、現役女子高生声優(笑)のインタビューを下宿の自室でテレビで観て、缶チューハイで飲んだくれながら


「代われ、代われ」


とボヤき、


「なんでだよう……」


と机に突っ伏してみたり……


 オープニングでも他のメンバーとは違い、ただひとり雨の中を傘をさして歩く、暗い表情をしたしずかの横顔は実に象徴的であり、筆者にとってはまさに「守りたいと思う存在」であったのだが(笑)、そのオープニング同様、しずかにも一条の光が照らされることとなる!


 木下はオーディションの際、しずかをキャサリン役の第2候補として挙げていたものの、声が少し幼いという理由で選から外したのであり、キャサリンの妹・ルーシーに抜擢するには絶好の人材、いや、「人財」となったのだ!


ルーシー「私、今、少しだけ、夢に近づきました!」


 アフレコを終え、あおいを見つめるしずかに対し、あおいがおもわず台本で顔を隠し、あふれ出る涙を抑えきれなくなる場面は、しずかにひとりだけ仲間よりも出遅れた感を与えることで、視聴者の感情移入を集中させておき、ラスト直前の大逆転で一気に泣かせてしまおうとする、実に確信犯的な、あまりに卑怯な演出技法である(爆)。



 第1クールもそうであったが、第2クールもまたそのようなかたちで、本編の最終展開を劇中アニメである『三女』のクライマックスと交錯させる演出が、盛り上がりに絶大な効果を挙げていた。


 この戦闘が終わったらやってみたいと思うことを口々に語る『三女』のヒロインたちに対し、アリアは


「私は……」


と沈黙し、


「何もないのっ!?」


と驚かれてしまう。


 ムサニのスタッフたちにアニメをつくる理由を尋ね回り、ほぼ全員が即答する中、いまだそれが見いだせないあおいではあったが、


「私にはやりたいことなんてない。それが見つかるかどうかもわからない。でも、みんながやりたいことがあるなら、それを援護することはできる」


と、自身と重ね合わせて屋上で語るアリアのこのセリフは、まさにかの『仮面ライダー555(ファイズ)』(03年)第8話『夢の守り人』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20031102/p1)における、主人公・乾巧(いぬい・たくみ)=仮面ライダー555の名セリフ、


「俺には夢がない。でも、夢を守ることはできる!」


を彷彿とさせるものである。


ロロ「これからどうしたいのか決まった?」


 海賊少女人形・ミムジーとともに、これまで漫才コンビとして神出鬼没で登場してきたクマのぬいぐるみ・ロロが、最終回『遠すぎた納品』でいまだ答えを出せないあおいに平手打ちをかまし


「ロロが変になった!」(笑)


とミムジーを驚愕させたのは絶妙なギャグであったばかりではなく、遂にあおいの決意を導くことになる!


「アニメをつくるのが好きだし、つくる人が好きだから、これからもずっと、人の心を明るく照らしていきたいです!」


 これはやはり同時期公開の映画『スーパーヒーロー大戦GP(グランプリ) 仮面ライダー3号』(15年・東映)における南光太郎(みなみ・こうたろう)=仮面ライダーBLACK=仮面ライダーBLACK RXの名セリフ、


「たとえ地を這ってでも、子供たちの夢を守るために、希望の光を照らし続ける! それが、仮面ライダーだ!」


を彷彿とさせるほどである!(笑)


 デスクとして日々の忙しさとトラブルの処理に追われるばかりであり、自分を見失いかけていたあおいが本田の口癖だった「万策尽きた!」と叫ぼうとしたその瞬間、父の看病を終えた金髪ツインテール娘である先輩の矢野が長期休暇から帰還するという描写も劇的だったが、デスクを代わってくれと頼むあおいに「目にクマができている」とアロマキャンドルを手渡し、ちゃんと寝るように促す矢野の良き先輩としての姿もまた泣かせるものがあった。


 そんな矢野はアニメ業界の人間たちを「どうしようもないカスゴミばかり」と称していたが、基本的には皆「善人」であると語っていた。


 「作画」に新たに配属された、超人見知り娘・久乃木(くのき)の「どもり」口調を、優しく通訳(笑)してあげる絵麻。


 そんな絵麻に、「自意識過剰や遠慮が原因で自分よりも才能のある人間がチャンスを失ってきた」と自信を持つように諭し、「君にしか描けない絵だね」と誉めていた初老の原画マン・杉江。


 「いつもつまんなそうな顔して雑な仕事しやがって!」とブチギレた「演出」の円(まどか)が、ふてくされた中途採用「制作進行」5年目の平岡と巻き舌口調で大ゲンカ、はずみで飛んできたタップがタローを襲おうとしたその瞬間、黒髪ショートカットのクールビューティー・総務の興津が颯爽とタップを払い落とす!――マジでカッコよすぎ!(笑)――


 そんな目に遭ったにもかかわらず、ましてや新入社員の安藤にすら、


「いっさい建設的な発言をしない」(爆)


と批判されてしまうほどのタローが、社内で孤立していた平岡を「バディ」と呼んで積極的に声をかける。


 そんなタローに飲みに誘われた平岡は遂に心を開く。自分のセクションのことばかり優先する連中に翻弄され、報われることがなかった過去について、


「俺はバカだった」


と告白した平岡に、タローはもらい泣きをしたあげく、


「大ちゃんはバカじゃないよ」


と、ハンカチを手に「表彰状」を読みあげるのである!


 平岡と専門学校で同期だった矢野は、「平岡は真面目だったからこそ理想と現実のギャップの大きさに絶望したのであり、常にやる気がなく周囲と衝突を繰り返すばかりの今の平岡を責められない」と同情する……


 原作者からキャラクターデザインのダメ出しを食らい続けて苦悩するメガネ娘・井口に対して、「自分もかつてはそうであり、自身を守るための‟鎧(よろい)”として職場でゴスロリファッションを纏(まと)うようになったのだ」と告白した、常に落ち着いた物腰の先輩であるロリータコスプレ娘・小笠原――実はアラフォーだという説もある(笑)――は「屈辱をバネに頑張れ」と彼女を励ます。


 それにしても、学生時代の部活動が囲碁部だったにもかかわらず、小笠原の「オアシス」がバッティングセンターなんて絶対ウソやろ! とつっこまずにはいられないものがある(笑)。
 それをあおいたちが『女ゴスロリ甲子園』と形容したり(爆)、井口がさっそく和服姿で「武装」するや見事にアリアのキャラクターデザインが完成し、小笠原が「ホームランです」と讃えるなど(笑)、本来なら深刻な場面となるハズのシチュエーションまでもが、こうしたバカ演出によって見事なまでに救われているのは、本作に心地良さを感じさせる要因のひとつとなりえている。



 圧巻は第19話『釣れますか?』において、すでに倒産して今はムサニが倉庫代わりに使っている「武蔵野動画」で、丸川社長があおいに聞かせた約40年前に放映されていたという設定の劇中内テレビアニメ『山はりねずみアンデスチャッキー』で制作デスクを務めていたころの回想であろう。
 1970年前後に流行した若者ファッション・ヒッピーのようにロン毛にバンダナ(!)というスタイルの若かりし日の丸川――同作の監督の方もリーゼントに色付きサングラスというスタイルで、70年代前中盤に人気を集めていたダウン・タウン・ブギウギ・バンドの宇崎竜童みたいだ(爆)――が奔走していた『アンデスチャッキー』の製作現場を、「いつも時間がなかった」「セル画は面倒だった」「でも本当に楽しかった」と丸川は振り返る。


 そこであおいが見る幻想として、武蔵野動画の社員たちが投影された『アンデスチャッキー』のキャラクターたちが吹雪の中で洞窟にこもり、苦悩や夢を語る姿が描かれる。


「いつか吹雪はやみ、青空が見える」……


丸川「やりたいことをやり続けた。気がついたらこの歳になっていた」


 これこそが本当の「リア充」なのであり、あおいがそんな「善人」たちを好きになったのも、彼らの「夢」を守ろうと決意するに至ったのも、まさに必然の成り行きである。
 むろん綺麗ごとばかりが描かれてきたわけでは決してない。むしろ群像劇として「対立」と「絶望」が再三繰り返されてきたほどであるが、その動機となるかたちで描かれてきた登場人物の内面を掘り下げる人間ドラマは絶品であり、巷にあふれるビジネス本なんかよりも勤め人としてはよほど説得力にあふれていたと思えるほどである。



 第14話『仁義なきオーディション会議!』で、ムサニ側の意向よりもブルーレイやキャラソン(キャラクターソング)のCDやイベントで稼ぎたいとスポンサーたちが声優の選考に政治的な意見を主張し続けたことで、会議が14時間(爆)もの長丁場となってしまったのは抱腹絶倒ものであった――彼らは本作最終回のエンディングである劇中アニメ『三女』の打ち上げパーティーの席でも言い争っていた(笑)――。
 だが、アニメビジネスを展開する上でキャラクター商品が売れることは必須条件であり、本同人誌などでも話題になり評価も高かったハズの作品が、DVDの売上不振で続編が製作されないこともままあるのが現実なのである。
 それを思えば、大幅に誇張された演出ではあったものの、作品の完成度よりも営業成績を優先しようとする先のスポンサーたちの主張にも、個人的には一理はあると思えてならないものがあるのだ。
 幸いにして本作の映像ソフトの売れ行きは右肩あがりで好調のようであり、1巻あたり1万枚を超える大ヒットを達成しており、スタッフにその気があれば『SHIROBAKO』第2期の製作も期待できそうだが、平岡によれば本作の劇中内深夜アニメ『えくそだすっ!』の円盤は4〜5千枚しか売れなかったらしく、続編の製作可否ラインとしてはグレーである(爆)。


しずか「なんか不思議だよねえ。だって5人揃ってるんだよ」


 打ち上げパーティーで集結した5人の美少女が、


「どんどんドーナツ、ど〜んといこう!」


と手にしたドーナツを掲げるや、それぞれから発せられた5色の光が夜空に結集、彼女たちが高校のアニメ同好会時代に製作した「七福陣」――神ではない(笑)――が乗る宝船となって飛行するラストシーンには、それが実現するさまが描かれるのを期待せずにはいられなかったものであった。


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH−VOLT』VOL.70(15年6月21日発行))


SHIROBAKO(前半第1クール&後半第2クール)

(文・T.SATO)
(15年4月20日脱稿)


 #1アバン。美少女キャラ5人組が山脈も間近に見える地方の高校の部活動にてアニメ制作!
 アマゾンが「あなたにおすすめです」と教えてくれたので(笑)たまたま読んでいた、月刊「ジャンプスクエア」連載の漫画『戦場(いくさば)アニメーション』(13年)の女のコ版かよ!? と小バカにしようと構えていたら。


 アバン明けたら2年半後。オジサン成分が異様に高い! 大量に出てくるムクつけき小太りオジサン。お眼めパッチリの美少女キャラ5人がそもそもレギュラー出演していない!(除く主人公) 彼女らは一応主要キャラだが全員集合はレア。看板詐欺アニメだ!(笑)


 動画検査・撮影監督・色指定・3DCG監督・制作進行・制作デスク・原画・作画監督キャラクターデザイナー・各話演出・シリーズ監督・ラインP(プロデューサー)・制作スタジオ社長。


 畳み掛けるように大量に出てくる膨大な老若キャラ。だが、キャラデザもイイし初期話数は毎回、初出時に役職&人物名のテロップが出るので、判別もつく!


 お仕事モノでアニメ制作業界のあるあるネタ。なのだが社会人、いや学生やニートやヒッキーでも(汗)、どころか思春期以降の少年少女であれば身につまされる、理解もできる普遍性はあると思う――実務面ではなくアオくさい演出論・演技論・作劇論を戦わせているあたりだけは、一般のお仕事にはないアートな側面かもだが、そこは視聴者が憧憬する部分として機能か?――。


 納期・多忙・遅延・残業・再スケジュール・リカバリ用の人員手配・意志疎通の齟齬・焦燥・飴と鞭でのせっつき・好悪や相性や苦手意識も含む人間関係。
 1クール全13話の劇中内深夜アニメの制作をタテ糸に、数十人の人間模様をヨコ糸とする大群像劇。だが、巧みな構成により内容は決して煩瑣にはならない。


 遅延やリテイクなどのトラブルが起きる度に描かれる、リアクションの相違による各キャラの描き分け。


・理詰めの女性作画監督/感覚派の男性作画監督。はたまたその男性作画監督/3DCG監督。双方の隔意と角逐!
・自信なさげな新人/頼れる中堅/淋しい老兵!
・日々の多忙に流される現実に悩む主人公/業界に就職できるもヤリたい仕事ができずに転職を考える友人/閑職にあり社会人の彼らをまぶしく思う夢なかばの別の友人!
・人手不足な制作進行/供給過剰な声優業界!
・採る立場/採られる立場。新入社員の採用面接!


 あまたの対極やその中間、両者や三者の対比を、同時多発で並行させ、物事も正邪で一面的には裁断せず、相反する双方に理を認めて基本、悪人を作らない!
 しかも作劇の技巧に感心させるよりも、粒立った登場人物たちの方が迫ってくる作り。#2のサブタイよろしく、みゃーもり・タロー・エリカ・平岡・デブ監督らは「ココに実在します!」とベタでも叫びたくなる。


 後半第2クールは人気漫画が原作の1クールアニメの制作がタテ糸。第1クールの胃が微妙に痛くなる納期切迫感はウスれたけど、コレはネタ反復を避け主役も成長したゆえと解釈すべきで、社会人あるあるネタは尽きずに快調!


 現実はそんなに甘くナイ的に主役の制作進行・宮森と対になるように投入された新キャラ、業界数年目のフテ腐れたイヤな奴、平岡の過去話も泣ける。
 一見、悪人でも善人オチを多用した本作。だが、戯画化(ぎがか)されてはいるものの、大手出版社のチャラい若手編集だけは終始悪役として描かれる。ココは賛否あるかも?


 劇中キャラも云う通り、たしかにアニメ業界は一般社会では使えない「カスゴミ」ばかりでも、基本は「善人」ばかりなのかもしれない。
 だが、自己を上位に見せるためだけの「根性見せろや」レベルのムダなダメ出しリテイク、パワハラ罵倒、下請けイジメ、好悪に基づく人あしらい、スケープゴートを作って結束して悦に入る人物を、実社会で散々見てきた我が身からすれば、善人ばかりとゆーのもウソくさい。だから悪役のままで終わるオチもアリだとは思うのだ。


 ただその懲罰が、ブルース・リーカンフー映画死亡遊戯』(78年)のパロディ的バトルであるのはビミョー――許すけど。現実味がありつつ漫画的ギャグも多数あった本作ではアリとも思うけど少々ひっかかる――。
 それでも直後の感涙の展開でお釣りが何倍にも来ましたが(笑)。


 5人の中では最も出遅れた赤髪ポニーテールのしずか。急遽の追加アフレコに登場したズカちゃんに虚を突かれ、当人の境遇とも重なるセリフも耳にし、宮森は眼を泳がせ台本で顔を隠して口に手を当て下を向いて嗚咽(おえつ)する……。


 何という名演技&名作画!――コチラも連られて、ついつい滂沱(ぼうだ)の涙――


 ココまでやると、「‟クオリティ至上”と‟平岡的な妥協”とで、時に後者にも理を認めろヨ」とか、「近年の月600時間労働で鬱病になり自死した制作進行の青年の事件」なども射程に浮かんでくるように思う。が、まぁそこまで拾うとハッピーエンドにできないナ。細部には小さな不満があるけれど、トータルではやはり大傑作だったと私見したい。


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.64(15年5月2日発行))


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