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マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝 ~『まどマギ』が「特撮」から受けた影響&与えた影響!

2020年冬アニメ『映像研には手を出すな!』 ~イマイチ! 生産型オタサークルを描くも不発に思える私的理由
2020年冬アニメ『異種族レビュアーズ』 ~異世界の性風俗を描いたアニメで、性風俗の是非を考える!?
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『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』 ~『まどマギ』が「特撮」から受けた影響&与えた影響!


(文・T.SATO)
(2020年3月3日脱稿)


 2010年代のTVアニメ史に残る名作深夜アニメ『魔法少女まどか☆マギカ』(11年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20120527/p1)。
 その世界観を借りて、ご町内レベルの平和を守る女子中学生であれば、別の街々でも魔法少女たちがひそかに魔物と日夜戦っていても不思議はナイだろうと、放映当時から世界観は同じでも市町村や主人公集団を別とするマンガ作品などがメディアミックスで展開されてきた。
 本作はその手法で、本家が続編劇場版(13年)をもって完結したあとに、改めて公式の製作委員会が本格的に製作を開始した本流作品となる。


 ただし、まずはスマホゲームでの展開で、次に2.5次元のミュージカルで。ビッグタイトルのゲーム化なので、ゴールデンタイムでもフィギュアスケートの外人少女をフィーチャーしたCMをゴールデンタイムで長期にわたってバンバン流していたので、2020年冬季では一番知名度が高いオタ向け深夜アニメであることは間違いない。


 原典たる『魔法少女まどか☆マギカ』を大雑把に云えば、女児向けアニメ『美少女戦士セーラームーン』(92年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20041105/p1)以来のヒロイン戦隊vs悪の組織との攻防をハイブロウに、ヒーローロボットアニメに対するリアルロボットアニメのような手法で描きつつ、魔法少女同士も抗争する姿を描いた作品であった。
 もちろん13人の仮面ライダーがそれぞれの夢を叶えるためにバトルロイヤルしたTV特撮『仮面ライダー龍騎(りゅうき)』(02年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20021109/p1)の大ヒットの影響は大きい。この作品以降、ゲームやアニメでは『龍騎』の影響を受けた同工異曲の作品が氾濫! 同じくバトルロイヤルものの『Fate/stay night(フェイト/ステイ・ナイト)』(06年)シリーズの原作者をはじめ、作り手側も『龍騎』からの影響を公言してはばからなかったモノだけど、本作の脚本を務めたゲームライター上がりの虚淵玄(うろぶち・げん)もそれを公言。
 この作品でその実力が認められて、その後は深夜アニメ『サイコパス』(12年)、ロボットアニメ『翠星(すいせい)のガルガンティア』(13年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20140928/p1)や『仮面ライダー鎧武(ガイム)』(13年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20140303/p1)、セル画ライクな3D-CGアニメ映画『楽園追放』(14年)や『GODZILLAゴジラ) 怪獣惑星』シリーズ3部作(17~18年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20171122/p1http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20180622/p1http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20181123/p1)などで八面六臂の活躍をすることになるのはご承知の通りである。


 ただし、原典たる『まどマギ』もあまたのバトルロイヤルものと同様、作り手や評論オタが騒ぐほどに価値相対主義を訴えるものではなく、まわりがミーイズムやせいぜいが公共よりも身内・仲間・恋人のみを優先、アナーキズム(無秩序・無政府主義)やサイコパス(先天的な冷血や嗜虐的な性格異常)からバトロワに参戦していたとしても、だいたい主人公はバトルロイヤルをとめるべく邁進している善人であり(笑)、『まどマギ』の主人公も同様であってそれを貫いていく。
 『龍騎』でも『Fate』でも『コードギアス 反逆のルルーシュ』(06年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20081005/p1)などでもバトルロイヤル・システムを構築した御仁が仮に登場したとしても、その正体はチンケな小人物であったり彼なりの同情すべき動機があったり、単に時系列の最初に位置していただけであってラスボスたりえず、一応の巨悪は別に設定されたりもした。
 仮にシステムを構築した御仁を打倒できたとしても、人間の欲望や動物的本能にも根差したバトルロイヤル・システム自体は止まらずに動きつづけるあたりが、専制的な王さまや安倍ちゃんやトランプなどの人格悪を首チョンパさえすれば即座に平和が訪れるというような「革命幻想」・旧態左翼的な「階級闘争図式」――熟議による求心的な議会制民主主義ではなく、単なる遠心的な無政府主義に陥りがちなソレ――を乗り越えており、ついにジャンル作品もココまでの境地に達したか……と感慨深いものがあった。


 そう、『まどマギ』でも白い小動物型マスコットキャラ・キュウべぇはラスボスや人格悪ではなかったのである。真のラスボスと目されるべきはもっと上位の事象にあった。人間が動植物を食するように、高次元宇宙の存在であるマスコットキャラもまた人間の精神エネルギーを補給しないと絶滅してしまうという食物連鎖の生態系、あるいは劇中世界における「宇宙の法則」(システム!)それ自体! という抽象的なモノが根本原因・ラスボスであったというオチ!
――――『ウルトラマンオーブ』(16年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170603/p1)でも星間文明存続を審判する役割を務めているロボット怪獣ギャラクトロンが、高次な精神生命体などにはまだ進化しておらず低次で残酷な「食物連鎖の生態系」に留まっている存在ゆえに全地球生命を滅ぼそうとする前後編があったなぁ(汗)――――


 そんなモノは解決不能な宿痾なのだけど、そこは広義でのSF。それまでの展開における幾度もの時間ループ要素で蓄積した「因果のエネルギー」という仮想的な要素を援用して、宇宙の法則・システム・ルールの土俵それ自体をズラして改変を試みる!――単なる代案なき反体制ではなく、真の意味での民主主義的立法!――


 超過去~超未来に至るまでの歴史の大局を変えずに、人生途上における切実な選択や決断、街の平和を守るための正義感やヤリ甲斐、その過程でできた仲間・戦友たちとの小さな喜びや充実感などは肯定しつつ、魔法少女たちとマスコットキャラがその最期(さいご)に到着する運命(不幸)だけをなかったことにするために、一応の各話における暫定的な敵の化け物でもあり、古今東西に出現していた「魔女」を「魔獣」で代替し、歴史上のすべての魔法少女とマスコットキャラの両者を救う歴史改変を行なう代わりに、我が身を空間的には「宇宙」全体、時間的にも超過去~超未来を貫く「時空」それ自体に超拡張!
 神そのものではナイけれども神近き存在、魔法少女たちが死後に魔女にならずに救済を与えるように、キュウべぇの故郷よりもはるかに高次な高次元世界・天上世界から永遠に地上へ超過去~超未来へわたって干渉しつづける、既存の「宇宙の法則」の一部に新たに上書き・付加された新しい「宇宙の法則」を担う一端・概念・作用にすら昇華して、現世や歴史からはその痕跡を永遠に消滅させて、最初から存在しなかったことになってしまう究極の自己犠牲が描かれることで、視聴者に滂沱の涙をこぼさせる。


 しかしこのオチは、よりリベラルな御仁たちからは、中学生の少女ひとりにここまでの滅私奉公・キリスト的な受難を背負わせる作劇自体がヤリ過ぎで封建的ではないのか? といった反発をも惹起したものだ。
――こう書いてくると、『龍騎』の影響で誕生した『まどマギ』は、今度は『仮面ライダービルド』(17年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20181030/p1)と『仮面ライダージオウ』(18年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191020/p1)における、ライダーも怪人も存在しなかったことになった歴史改変ラストにも逆影響を及ぼしていたことが見て取れる。『ウルトラマンジード』(17年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170819/p1)冒頭でウルトラ一族の長老・ウルトラマンキングが超時空消滅爆弾で破壊された並行宇宙のひとつを救うために、そこの宇宙で宇宙大に拡大して宇宙と一体化、破壊された大宇宙自体を弥縫・縫合していたのもまた同様――


 そーいうワケで、作品世界の大ワクはすでに確定してしまっている作品なので、作劇の自由度が狭まるかもしれないのだけど、この外伝『マギアレコード』は敵の不定型生物が「魔獣」ではなく「魔女」の名称のままなので、歴史改変前の時空を舞台としていることがわかる。


 で、観てみた……。


 ウ~ム。個人的にはあまり面白く感じられないなぁ。


 たしかに安直な作りの外伝ではない。原典と同じことをしてもインパクトはナイから、別の要素――新主人公少女の世界では物理的な記録からは消えてしまっているらしい、主人公の「妹」探し――を投入して、そこで引っ張ろうというのもまぁ作劇アイデア的には正しいとも思う。
 しかし……。なにか爽快感やカタルシスがナイよなぁ。果たして、その原因とは何か?


 コレを脚本家や総監督の交代に求めるのはトートロジー・同語反復にすぎず、作劇術の分析にはなっていないだろう。
 そうか、わかってきた。筆者も先に本作の原典作品のドラマ・テーマ・SFギミックの解題などを散々にやってきていてナニだけど、そこだけを腑分け・解剖して俎上に上げてみせても、その作品のトータリティをわかったことにはなっていなかったのだ。


 やはり、ドラマやテーマ以前の作品のインフラ次元における基本フォーマットといった下部構造にも作品は規定されており、原典作品でも結局はヒロイン(魔法少女)vs敵怪人(魔女)との美麗な異空間での戦いの場面が各話のクライマックスとなることで、そこで勝利も描かれて強制的に各話にカタルシスも発生し、それにより各エピソードのメリハリや起承転結感も強めていたのであったのだ。


 そしてこの外伝作品は、各話のアクロバティックな魔法少女vs魔女との壮快な戦いの場面よりも、ドラマ・テーマを描いたシーンをクライマックスとすることで、皮肉にもかえってドラマやテーマが埋もれてしまっているのである。
 やはりインフラ・ハードウェアといった基盤、ひいてはグーデンベルグの「活字印刷」や蔡倫が発明した「紙」や勧善懲悪物語の「型」といったベースがあってこその、その上に乗っかるモノとしての「文学」や「人間ドラマ」や「社会派テーマ」や「近代的自我」やイジイジした「内面描写」なのである(笑)。
 そして、この外伝作品はヒロイズムや戦闘のカタルシスを軽視することで、かえってそのトッピングであるドラマやテーマとの相対的な落差も減ってしまって際立ってこないのだ。
 原典作品では「戦闘場面」での「異世界背景美術」や「魔女のデザイン」といった、「特撮」でいうなら「特撮班」「特撮美術デザイナー」「特撮監督」に相当する役職を担当していた「劇団イヌカレー」のメンツが脚本&監督に昇格しても、こーなってしまうとは何たる皮肉!


 古い世代のオタクが挙げる例で恐縮だけど、1970年代前半の第2期ウルトラマンシリーズでは、、それを先駆けるところの60年代後半の第1期ウルトラシリーズとは異なり、「怪獣」や「SF性」や「事件」に対する驚きよりも、時代の空気やTV局側の担当プロデューサー・橋本洋二の意向もあってドロくさい「人間ドラマ」や「社会派テーマ性」を重視した。
 しかしそれは、同時期に同じTV局の担当プロデューサーが担当した児童向け実写TVドラマ群と比しても、そのドラマ性やテーマ性がカナリ重たいものなのだ。


 憶測するに「ウルトラマン」などの戦闘ヒーローものは最後の必殺ワザで敵を倒してしまえることで、そこに強制的にカタルシスが発生して物事が晴れて見えてしまうので、むしろプロデューサーもイイ意味でそこに無意識に甘えて重たいドラマやテーマを各話の脚本家に要求し、あるいは脚本家の側も直感的にそのように執筆してしまい、それでも番組の様式美的なアクションやヒロイズムとの対比で「テーマ」の方もかえって際立ったのではなかろうか?
 そして、この機微が――筆者も含めて――判っていなかったがために、後年のマニア上がりが作ったシリアス志向・テーマ志向のジャンル作品群が概してツマラなくなってしまったのではなかろうか? ドラマやテーマの基盤となるインフラ、シリーズのフォーマット・型を作ってきた、昭和の「ウルトラマン」であれば金城哲夫(きんじょう・てつお)、昭和の「仮面ライダー」であれば伊上勝(いがみ・まさる)に対しても、そのような観点からの深掘りが改めて必要なようにも思うのだ。


 結論。筆者も先年観劇したアイドルグループ「けやき坂46(フォーティシックス)」(現・日向坂(ひなたざか)46)が演じた2.5次元ミュージカル版(18年)の『マギアレコード』の方がドラマ的にもエンタメ的にも良作だと思う(笑)。イヤ、マジで。機会があれば詳述したいと思います。


(了)
(初出・当該ブログ記事~オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.84(2020年3月8日発行予定⇒コロナ禍で即売会中止により4月5日発行))


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