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劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト 〜賛否合評2


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劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト 〜賛否合評1


劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト 〜合評4 向かう先は男と女

(文・内山和正)
(注:展開・結末を明かしております)
 『劇場版 仮面ライダー555(ファイズ) パラダイス・ロスト』はこれまでの平成劇場版『仮面ライダー』シリーズと違い、独立した単一の映画として楽しめるものを作る、そのためにライダーたちの着ぐるみと武器を除くセット・衣装・オルフェノク(いわゆる敵怪人)の着ぐるみにいたるまで変える、とのことだった。
 しかし、実のところ独立性はうすく、この作品ほどある意味テレビ版に寄りかかっている作品はないのではないか。


 たしかにテレビ版とは違い社会はオルフェノクで占められており、オルフェノクになれない「ただの人間」は隠れて生活したりゲリラ活動をしてスマートブレインと戦っているものの、テレビシリーズのあとの世界だと判断しても支障のない作られかたをしており――現在はこの映画がテレビ版の後日談ではありえないことは明確になっているものの、この映画が公開された時点のテレビ展開からすれば問題はなかった。多少人間関係が変わっている部分はあっても矛盾といえるような大きなものではなく、最終回までの間に変化したのだろうと考えられる程度――、衣装などが違うのもその世界観に沿ったものだった。


 それゆえに白倉プロデューサーや脚本の井上敏樹氏が、テレビ版とつながらない切り離された作品だと各所で明言しても、出演者の方々は(インタビューを読むところでは)後日談と捉えておられたようだ。


 テレビ版によりかかっていると僕が思った理由は、ゲストが重要な役割で出てくるとはいえ、あくまで役割が“ゲストの範囲”に過ぎず、テレビ版のレギュラーたちに影響は与えても途中で退場してしまい、物語の行方を担うのはあくまでもレギュラーであり、作品の興味の焦点が彼らのテレビ版から引きずった人間関係やその結末にあるからだ。



 この映画はこれまでの映画にあった不足感はなく、巧(うま)くまとまっていた。
 例年のように『ディレクターズ・カット版』が発売されるのかもしれないが、たとえ発売されなかったにしろこれで充分だという仕上がりであり――若干補足してほしいところといえば仮面ライダーサイガに変身するレオというキャラクターのバックボーンだが、なくてもドラマ進行に支障はない――、
 主人公・仮面ライダー555(ファイズ)こと乾巧(いぬい・たくみ)不在のなかの危機呼ぶ戦い、
 ホースオルフェノク=木場勇治(きば・ゆうじ)とクレインオルフェノク=長田結花、
 そしてテレビ版では製作費用のために再登場のむずかしいサイドバッシャーバトルモード(カイザの乗るサイドカーが変形する中型ロボ形態)の豪快な活躍。
 草加雅人(くさか・まさと)=仮面ライダーカイザのあっけない死による「これからどうなる」というスリル、
 凡人が装着すると死に至ってしまう「カイザギア(変身ベルト)を着用する啓太郎の運命は?」
 などの見どころや、
 最強の「地(ち)のベルト」をはめ仮面ライダーオーガに変身するのは、木場か草加か水原かという興味――見る前は敵側のキャラクターという可能性もあったが、見ているとこのうちの誰かが個人の事情でファイズと戦うことになるのであろうと可能性がほぼ絞られる――
 で楽しませてくれる。



 けれど不足はないが不満はある。
 単純に言ってしまうと、本作は巧と真理をいわゆる「男と女」にする、その一点へ向けてのシンプルなドラマである。そのために邪魔な者は草加もゲストヒロイン・ミナも木場も命を落としていくという作りになっている。
 テレビの『555』は「これからどうなるのだろう」という興味が強いのだが、この作品は「ミナが死ぬんだろうなぁ〜」と思っていると死に、「木場がこうなるんだろうな」と思っているとそうなる、という具合に(もちろん最初からではなくその近くになるとだが)、驚きが少ないのだ。


 木場が真理の心のなかに残るオルフェノクへの不信に苦しむところは、テレビ初期で使われて以来、無視されている他人の心の声が聞こえてくる設定を久しぶりにつかっているのが良かったが――でも他の声は聞こえていないわけで何か中途半端な能力だ。勿論(もちろん)、いつも声が聞こえていたら、疑心暗鬼の物語はつくれないからなのだろうが。第1話のトンネル、本作の河のように何か共鳴させるものが必要なのか――、偽の真理にその迷いを突かれて騙されたまま最期に至るという結末は単純でいやだった。
 テレビでは回避されそうな(と思わせておいてやるのかも)巧と木場の死闘をここで実現させたかったのかもしれないのだが。


 仮面ライダーオーガのデザインは木場に似合わないし、仮面ライダーサイガは強敵であっても重要度が低いしと、映画限定ライダーがいまひとつインパクト弱いのも不満点。サイガについては外国人イケメンライダー登場という話題づくりばかりでキャラクター的に肩すかしと思った人も多いのではないか?
 たしかに前述のように、これでもドラマづくりに支障はないものの、“悪役に違いはないがただの悪役ではなく、自分の野心=出世のために生きているのだ”というところが説明されていれば、もっと重要さが増し厚みが出たはずだ。


 というわけで、まとまりは白倉・井上・田崎トリオのライダー映画3作中最高の本作だが、強烈なインパクトでは過去2作にくらべ物足りなかったというのが結論。



 《付記》 気になる点などを箇条書き。


1.記憶喪失になり隆(たかし)として暮らす巧。
 意外にも器用に靴を造っているのがテレビ版のイメージとギャップがあるが、数多くの職を経験してきたとの設定を活かしたものだとしたら評価したい。


2.重要な秘密が明かされるというのは当然、巧がオルフェノクだったことか。
 しかし、大半の人が察していたことだろう。草加オルフェノクではなかったことの方が衝撃だった(もしかしてこちらの方が重要な秘密の本命?)。


3.今回は、
 『テツワン探偵ロボタック』(1998)のヒロイン黒川芽以(くろかわ・めい)さんとシャードック探偵事務所社長・杉薫(すぎ・かおる)の大高洋夫(おおたか・ひろお)氏、
 前作『仮面ライダー龍騎』(2002)の津田寛治氏と角替和枝(つのがえ・かずえ)さんと志田未来(しだ・みらい)ちゃん――最終回(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20021108/p1)1本前で主人公・城戸真司(きど・しんじ)の死の原因となった女の子。本作ではミナの子供時代として登場。後日付記:大ヒット作『女王の教室』(2005)や『14才の母』(2006)主演で大ブレイク!――、
 前々作『仮面ライダーアギト』(2001・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20011106/p1)の田口主将(たぐち・まさかず)氏と過去の東映ヒーローものの出演者が多数ゲスト出演。


 『ロボタック』ではレギュラーの子役の描き込み・描き分けがほぼなされず、東映メタルヒーローシリーズ中最も印象の薄いヒロインとなってしまった黒川芽以さん(終盤に至って彼女演じる橘ミサキはリーダー的存在に変化、存在感を見せ始めたが)。
 その前年97年にNHKで放送された市川森一氏脚本作品『鏡は眠らない』で、魔性の鏡に操られ人を殺す少女を演じ、子役ファンの一部に注目されてはいたものの、かなりキワドイ役でありキワモノ的に注目されるだけでは可哀想だと思っていたところ、中学生時代にローティーンアイドルとして頭角をあらわし、NHKの児童向けシリーズ「ドラマ愛の詩」(1991〜92・98〜2005)枠の『天使みたい - Twin Angel's Story - 』(2003)主演(人間とロボットの二役!)などドラマレギュラーも何本かを数え、今回東映ヒーローもの復帰を迎えた。


 彼女演じるミナが男言葉を使う設定が危ぶまれたとのことだが、女性の女言葉なんて所詮はパロディ的なもの。乱暴な男言葉を使っている人なんていくらでもいるし気にしなければならない問題なのだろうか。言葉だけでなくボーイッシュなキャラクター(実は女っぽいという類型的な)は結構似合っていたのでは?


4.今回、スマートブレイン社長の村上は中間管理職の悲哀をあらわす役まわりとなり陰の支配者が登場。過去の悪の首領・幹部の声を務められた御歴々(納谷悟朗加藤精三飯塚昭三)なので嬉しいファンも多いのだろうが、個人的にはこの処置はいや。
 テレビ版の村上にはぜひオルフェノク界の将軍様オルフェノクのモチーフは北朝鮮とのことなので)のままでいてほしい。


5.本作公開から数ヶ月を経てみると、テレビ版は本作とは流れを異にしつつ、本質的には並行しているようにも見える。
 真理のオルフェノクである仲間への不信(それが木場ではなく巧であるだけで)、真理の巧への意識の傾斜、結花たちの危機、木場勇治の「人間を守る意識」の岐路……


 流れ着く先が同じでないことを祈りたい。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2004年号』(03年12月29日発行)『仮面ライダー555』劇場版&後半合評4より抜粋)


劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト 〜合評5

(文・久保達也)
 なんか03年のやたらと暗く、重苦しくて寒かった夏を象徴したような作品。


 第二次大戦直後の闇市を思わせる人間たちの居住区で繰り広げられる映画『バトル・ロワイアル』(00年・東映)ばりの銃撃戦や、首だけで生きている村上(笑)とか、仮面舞踏会をはじめとする幾度となく繰り返される恋愛茶番劇は個人的には幼児には最も見せたくない場面だし、隣の子はガーガーいびきをかいて寝ていた(爆)。


 こういう作品を小さい内に見せてしまうから今の子供たちは就学前にヒーロー作品を嫌になって卒業してしまうのではないのか?
 これらに比べて遥かに子供っぽい作風かと思われる『ポケットモンスター』(97年)を小学生が卒業せずに視聴し続けている事実からしてそれは明白だろう(ホントにシネコンでまざまざと行列の大差を見せ付けられて「ポケモンコンプレックス」に陥っている私……)。


 製作側はよく「大人になれば良さがわかる」などと口にするが、70年代前半の変身ブーム期に放映され、当時の子供たちには難し過ぎて視聴率が低迷し、短命に終わった作品を後年になって「傑作だ」などと評価したのは一部のマニアに過ぎなかった訳で、一般層を考慮した発言とは思えない。


 『仮面ライダー龍騎』(02年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20021102/p1)の13人を遥かに上回る1万人のライダー部隊が登場しようが個々のキャラクターが描けるハズもなく、単なる戦闘員部隊に過ぎなかったし、大挙登場した何種類もの新オルフェノクもやはりモノトーンの色彩で統一され、大画面で観てもほとんど区別がつかないほどであった。
 これだけオモチャ的要素に欠けていては「子供をないがしろ」と云われても仕方がないだろう。


 クライマックスのファイズVS巨大オルフェノクとの対決は大迫力であり、「せっかくCGを使うのなら」と私がかねてから望んでいたシチュエーションの実現は嬉しかったが、それが繰り広げられたのがドーム型のスタジアムであり、オルフェノクの観衆たちがこぶしを振り上げて声援を送ったり、ブーイングを飛ばしたりする様子にはすっかり興醒めする始末(1万人エキストラの皆さんには大変申し訳ないのだが)。
 これは『仮面ライダー』(71年)第17話『リングの死闘 倒せ!ピラザウルス』についても感じることであるが、人類の存亡を巡る戦いが余興的な単なる格闘技として描かれている点(もっともオルフェノクたちにとってはその程度のものに過ぎないのであろうが)がどうにも我慢ができず、いささか悪ノリが過ぎる感が強いような気がするのだ。
 フザケ過ぎのスマートレディが全編に渡ってそれに拍車をかけていたが、どうせなら彼女なんかよりも特別出演の納谷悟朗加藤精三飯塚昭三をもっと出してほしかった。


 今回最も嬉しかったのが役立たずの兵器ばかり作る野村の開発した「変身一発」なる薬を飲んだ啓太郎が一回だけライダー(仮面ライダーカイザ)に変身できた場面であったが、どうせ悪ノリであればこの手のアッと驚くようなものをもっとやってほしかった。
 そもそも今回の設定であるオルフェノクに埋めつくされた世界なんて単なる現実社会の反映で今更何の驚きも感じないし(笑)、巧が実はオルフェノクだったなんて伏線の張り過ぎでもっと驚く訳ないし(爆)。


 なお情報誌・中部版『ぴあ』によれば、今回の名古屋地区における興行収入のランキングは公開第1週・2週共に第5位であり、第1週が第1位で第2週が第4位だった『劇場版 仮面ライダー龍騎 EPISODE FINAL』(02年 東映http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20021104/p1)の成績を下回った。
 平成『ライダー』人気にもやや陰りが見えてきた感があり、巻き返しのためにも次回作では内容面に一考を望みたいものである。



*本誌2003年号のP6とP59において、情報誌『ぴあ』の人気映画ランキングについて「観客動員数」のデータで集計している旨を記述しましたが、これは「興行収入」の誤りでした。お詫びして訂正致します。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2004年号』(03年12月29日発行)『仮面ライダー555』劇場版&後半合評6より抜粋)


劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト 〜合評6 亡国のロスト・ライダー

(文・伏屋千晶)
 「一万人ライダー部隊」「オルフェノクに支配された世界」、そして「救世主伝説」――
 というのが、今年(2003年)の劇場版『仮面ライダー555 NEXT(仮題)』の企画時に[白倉伸一郎]プロデューサーから脚本の[井上敏樹]氏と[田崎竜太]監督にリクエストされた必須の基本設定だったようです。


 たまたま、SF洋画『マトリックス リローデッド』(2003)を見た直後に、その話を耳にした私は、今回の白倉氏の企図がマトリックス・シリーズのパクリにあることに、スグに気がついてしまいました。


 即ち、「一万人ライダー部隊」とは「百人のスミス(敵のエージェント) 」のアイディアを拡張したものであり、「オルフェノクに支配された世界」とは「マトリックス」(=人類がコンピュータに支配される仮想世界)そのもの、「人類解放軍」も「ザイオン」(=マトリックスから人類を解放しようとする現実世界の人間の国)に該当します。


 さらに、人類を救う「救世主」=ファイズ/乾巧(いぬい・たくみ) は、「the One」=ネオ(マトリックス・シリーズの主人公)とほとんど同じポジションにあって、人間を見限った巧が真理を救う為だけに戦ったラストも、ネオがザイオンを捨ててトリニティー(ネオの恋人)唯一人を助ける道を選択した展開に似ています。
 ウーン、これだけ重要な要素がすべて符合していては、白倉氏も言い逃れはできまいて。



 ――という次第で、本年度の『劇場版 仮面ライダー555(ファイズ) パラダイス・ロスト』(2003)に関しては、前もってヘンな先入観を抱いてしまったので、素直な気持ちで鑑賞することはできませんでした。
 井上脚本の独壇場と化して「活劇性」が薄れてきたTVシリーズの視聴を継続するのが辛くなり始めていたことも手伝って、過剰に贅沢(ぜいたく)にして華美な「超大作」志向の弊に陥った本作に対しては、まるで好感が持てなかったんですよ、コレが。


 過去2年間のライダー映画の連続ヒットにより倍増された製作費(約2億円)に振り回されて、全体的に「ムダな描写」「無意味なCG」「余計な登場人物」が多くなり過ぎたように思われます。
 さいたまアリーナのシークエンスなど全く必要が無いし、新ライダー=〔サイガ〈殺牙〉&オーガ〈王凱〉〕も2人いた所為(せい)で、かえって印象が薄くなっています。それ以前に、2人とも機能美に欠けるデザインがダサいし、キャラクター性も薄い。
 過去2作品の劇場用ライダー=〔G4、リュウガ〕を演じた[岡元次郎]氏の欠席は、特に痛かった!


 また、せっかく8体もキグルミを新調したオルフェノクも、「戦闘員」レベルの扱いで、画面上での印象が極めて薄く、まるで有効に使いこなせていません。
 スマートブレイン配下のSWAT(スワット)チームや人類解放軍のメンバーが使用する自動小銃やバズーカ等の銃火器類の描写も、安物の刑事ドラマ並みの低レベル。
 ライオトルーパー部隊のオートバイ・アクションにしても、一般のアクション映画の水準から見れば凡庸な出来です。
 (『仮面ライダー』(1971)に於ける、怪人ジャガーマン(#53) やサイギャング(#63) との“ごく小規模な”オートバイ戦が、何故、あんなに私達の心をときめかせたのか、よ〜く考えてみて下さい)



 最も陳腐だったのは、メリーゴランドをバックに巧と真理がダンスを踊る仮面舞踏会の場面で、2人の感情描写は表層的、カメラワークも淡白に過ぎ、ロマンティックなムードは少しも感じられない。
 その余りにスカスカな画面構成に“田崎監督も鈍ったのぉ”と嘆いたものです……が、どうやら、関係筋の情報によれば、このシーンの撮影時に田崎監督とダンスの振付師との間で深刻な確執があったらしく、お座なりにアングルを決めて全景のロングと2人のアップのショットを一通り撮り終えると、田崎監督が早々に撮影を打ち切ってしまったらしい。(当初のコンテでは、もっと細かいカット割りになる予定だったとか)
 ま、いずれにしても、こんな余計な場面を挿入しようとすること自体が“ムダ”なんですけどね。本当に“必然性のある”見せ場なら、絶対にこんな“生ヌルい”撮り方はしない筈でしょう?



 とにかく、[白倉・井上・田崎]トリオの御三方には、劇場版処女作『劇場版 仮面ライダーアギト PROJECT G4』(2001・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20011104/p1)で遺憾なく発揮された“B級映画魂”を思い出して頂きたく存じます。
 少しでも予算に余裕があるのなら、怪人を一体でも多く出したい、ナパームを一発でも余分に使いたい――と、切実に念じていた平山亨プロデューサーや、故・山田稔監督の気持ちを忘れないで!
 往年の日本の特撮作品の多くは、「低予算をやりくりする工夫」から、沢山の素晴らしいアイデイアを生んできたのですからね。「カネさえかければ何でも出来ちゃう」CG技術の進歩・普及は、その意味で“両刃の剣”に他なりません。


 来年度(2004年)は、『新造人間キャシャーン』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041102/p1)・『キューティーハニー』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041103/p1)・『デビルマン』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041110/p1)・『鉄人28号』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060307/p1)・『忍者ハットリくん』と、CG技術に依存したアニメの実写化作品が目白押しですが、一体どうなることやら……?



 総じて、『パラダイス・ロスト』は、個人的には“この3年間でサイテー”の出来と感じたのですが、映画雑誌「キネマ旬報」誌によればライダー映画3作の内では最高の15億円に迫る配給収入を稼ぎ出したとか。
 これは、2003年度10月までの東映自社製作作品の中では、織田裕二主演の『T.R.Y.[トライ]』を抑えて年間トップの興行成績なのだそうです。
 当然ながら、次なるライダー&戦隊映画新作の製作も既に決定済み。3年連続で約14億円の配収をキープした実績を高く評価されて、来年度(2004年)は客足の落ちる秋季をカバーする為に9月〜10月に公開される予定です。(夏休みには、実写版『デビルマン』を上映予定。後日付記:実際には制作遅延につき、『デビルマン』は10月に封切)



 もう既にお察しでしょうが、過去2作品と同様に本作の場合も、上映時間の制限により“脚本通り”の全長バージョンから40分ほど短縮されています。


 〈劇場公開版〉は、〔巧と真理〕の描写を中心に編集作業が為(な)され、〔木場・海堂・結花〕関連のシーンがバッサリと切られていますが、例によって、来年の夏頃までには未公開シーンを追加した〈ディレクターズ・カット版〉がリリースされる予定ですから、裏切りオルフェノク三人衆ファンの皆さんも御安心を。(『キル・ビル』(2003)みたく、Vol.1とVol.2に二分割して連続上映するという手もあるんじゃないかなー)



 他社への転出が決まった田崎竜太氏にとって、この〈DC(ディレクターズ・カット)版〉の編集作業が、東映に於ける最後の仕事になる模様。
 ――さようなら、田崎監督。新天地でも、ライダー&戦隊シリーズ以上にクォリティーの高い作品をモノにされることを期待しております。
 そしてまた、東映ヒーロー番組がテンパって駄目になりかけたら、再び力を貸して下さい(マジで)。



 最後に“トリビア”ネタをひとつ。
 ――ミナ役を演じた〔黒川芽衣〕チャンのお父さんは、『爆竜戦隊アバレンジャー』(2003・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20031112/p1)の悪のヒーロー「アバレキラー」(スーツアクター・今井靖彦氏)である。
 ……へェ〜、へェ〜、へェ〜!
 [*『テツワン探偵ロボタック』(1998)で両氏が共演したのをキッカケに、翌年、黒川嬢の母堂と今井氏とが結婚したのである]


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2004年号』(03年12月29日発行)『仮面ライダー555』劇場版&後半合評7より抜粋)


[関連記事]

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[関連記事] 〜平成ライダーシリーズ劇場映画評

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