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トクサツガガガ(TVドラマ版)総括 ~隠れ特オタ女子の生態! 40年後の「怪獣倶楽部~空想特撮青春記~」か!?

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トクサツガガガ』(TVドラマ版)総括 ~隠れ特オタ女子の生態! 40年後の「怪獣倶楽部~空想特撮青春記~」か!?

(文・久保達也)
(2019年3月30日脱稿)

「特撮オタ女子」が主人公のドラマ、NHKで放映!


 小学館ビッグコミックスピリッツ』で2014年から連載中の丹羽庭(たんば・にわ)原作の漫画作品『トクサツガガガ』が、NHK金曜22時の『ドラマ10(テン)』の枠にて実写ドラマ化され、2019年1月18日から3月1日にかけて全7話が放映された。


 『トクサツガガガ』は職場では女子力が高いと思われている一見フツーのOLだが、実は特撮変身ヒーローをこよなく愛する隠れ特撮オタク・仲村叶(なかむら・かの)=通称・仲村さんが主人公だ。毎日職場に弁当を持参することも仲村さんが周囲から女子力が高いと思われる理由のひとつだが、それは日々の生活で必死に節約をして円盤を買うためであり、会社の飲み会なんぞムダな出費でしかないのだ。
 (ひとり)ボッチアニメ『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』(13年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20150403/p1)で、主人公のスクールカーストの最底辺女子高生・黒木智子=もこっちが「喪女(もじょ)」と定義されたように、仲村さんの弁当持参は「女子力」ではなく、「女死力」(爆)なのである。そもそも一般層はブルーレイやDVDを「円盤」などとは呼ばないだろうが、ほかにもイチオシのキャラを意味する「推(お)し」とか、児童向け雑誌の愛読者全員サービスDVDの通称「読サ」など、オタの間でしか通用しない特殊用語が一般の視聴者向けに字幕で解説(笑)される配慮は好印象だった。


 なお、ドラマ版の脚本を担当した田辺茂範(たなべ・しげのり)は、美少女の姿をした動物たちを描いた大ヒットアニメ『けものフレンズ』(17年)のシリーズ構成・脚本を務めていたが、製作がビデオコンテ方式に変更されて以降、実質的なシナリオは監督のたつきが担当することとなったため、現在はスタッフクレジットから田辺氏の名が除外されている。ちなみに氏が主宰(しゅさい)する劇団の名は「ロリータ男爵(だんしゃく)」である(爆)。


かつて放映された「特撮オタ男子」が主人公のドラマ


 特撮オタを主人公としたドラマとしては、毎日放送・TBS系の深夜ドラマ枠『ドラマイズム』にて2017年の6月に全4話が放映された『怪獣倶楽部(クラブ)~空想特撮青春記~』(17年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20170628/p1)の存在が前例としてあげられる。これは70年代半(なか)ばに活動していた実在の特撮同人グループ・怪獣倶楽部をモチーフにした実話を含むフィクションであり、特撮オタの大学生の主人公・リョウタが、世間では完全に「子供向け」とされていた怪獣番組を大人たちが堂々と語れる場所として存在した怪獣倶楽部に青春を捧(ささ)げる日々が描かれ、ひそかに交際していた彼女・ユリコに怪獣好きであることを告白できないばかりか、ユリコとの交際を倶楽部のメンバーに知られたら「裏切り者」(笑)として追放されるのでは? などとその二重生活にリョウタが葛藤(かっとう)するさまが、当時の時代の空気を忠実に再現するかたちでドラマ化されたものだった。


 あの時代から40年以上が経過し、実在した怪獣倶楽部の活動の功績もあり、現在では「怪獣番組=特撮番組」自体はかろうじて世間でも市民権を得られたような感があるが、いまだに仲村さんのような隠れ特撮オタが多く存在するのは、怪獣倶楽部の健闘もむなしく、残念ながら「特撮オタ」の方は「昭和」から「平成」へと時代が移ってもまだまだ市民権を得てはいないということだ(大汗)。
 『トクサツガガガ』もまた隠れ特撮オタならではの仲村さんの苦悩がコミカルに描かれているのだが、『怪獣倶楽部~空想特撮青春記~』と大きく異なるのは、最初から怪獣倶楽部という同好の仲間が集まる最良の居場所を得られていたリョウタに対し、当初は仲村さんには仲間・理解者の存在がなかったことと、まだ学生で自身のオタ趣味を隠さねばならない相手が彼女のユリコくらいで済んでいたリョウタと違い、社会人の仲村さんは会社の同僚全員に、就職を機に離れて住むこととなった母親など、その相手があまりにも多すぎることなのだ。


特撮オタ「あるある」(笑)


 第1話『トクサツジョシ』の後半で描かれた同僚たちからのカラオケの強要は、仲村さんが「いちばん苦手なノリ……早く帰りたい」(笑)と嘆(なげ)いたように、社会人の隠れオタなら苦い記憶があるだろう。若い世代に人気のアーティスト・サカナクションを怪人の名前と思ってしまうほど(爆)、世間一般でウケているものに疎(うと)いがために、特撮ヒーローソング以外に全然歌えない仲村さんは困り果ててしまう。
 私事で恐縮だが、小室哲哉(こむろ・てつや)の楽曲が全盛を極めていた90年代半ば当時、筆者はまだ充分に若かったにもかかわらず、職場の同僚たちに強引に連れていかれたカラオケ店で「ヒューヒュー!」などと盛りあがっていた連中のことが理解できないどころか、それらの歌を全然聴いたことがなかったために(汗)、歌うことを強要されるや、やむなく「昭和」の歌謡曲を何曲か披露、おもいっきりその場をシラケさせたものだった(爆)。


 ガチャガチャ自販機でカプセルトイを買いたいものの、周囲の目が気になってしまい、人目につかない場所にある自販機を捜し回ってみたり。
 オマケのヒーローフィギュアを目当てにファーストフード店で子供向けのセットを注文するも、そこに同僚のチャラ男が現れたことで、やむなく女児向けのアクセサリーをもらうハメになり、姪(めい)のために買った(笑)と苦しい言い訳をしてみたり。
 職場では使わない黒ブチメガネをかけて徹夜してヒーローものを観ていたために、疲れきっていた表情を通勤時に後輩男子から指摘され、夜遅くまで資料に目を通していたなどと大ウソをついてみたり(笑)。
 「休日は何してるの?」「何にお金使ってるの?」とたずねられ、返答のしようがなかったり(汗)。
 ヒーローのアトラクションショーを観に来たクセに、仕事の休憩中にたまたま通りがかったひまつぶしのOLを装(よそお)ってみたり(爆)。


 そんな「隠れオタあるある」に苦悩する仲村さんを、劇中で仲村さんが夢中になっているスーパー戦隊の最新作『獅風怒闘(しっぷうどとう) ジュウショウワン(獣将王)』、そして仲村さんが幼いころにリアルタイムで観ていたメタルヒーロー『救急機エマージェイソン』――往年のメタルヒーロー『特捜ロボ ジャンパーソン』(93年)が基であることは云うまでもない――のヒーローたちが、仲村さんにしか見えない存在として現実世界に現れて、仲村さんの危機を救うこととなるのだ!


劇中ヒーローの「本物」志向!


 先述した『怪獣倶楽部~空想特撮青春記~』は、円谷プロの全面協力を得たことにより、幻覚宇宙人メトロン星人・分身宇宙人ガッツ星人・宇宙恐竜ゼットン・幽霊怪人ゴース星人などウルトラマンシリーズの人気怪獣・宇宙人が、常にリョウタに寄り添うリョウタにしか見えない存在として登場したが、『トクサツガガガ』で劇中劇として描かれた『獅風怒闘 ジュウショウワン』と『救急機エマージェイソン』も架空のヒーロー番組ではあるものの、登場するヒーローのマスクやスーツの造形・番組の演出などは、スーパー戦隊メタルヒーローを実際に製作した東映の協力を得ているのだ。
 これまでに多くのスーパー戦隊を手がけてきたレインボー造形企画が造形を担当した、ジュウショウワンのシシレオー=レッド、トライガー=ブルー、チェルダ=イエローのデザインは、『恐竜戦隊ジュウレンジャー』(92年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20120220/p1)・『百獣戦隊ガオレンジャー』(01年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20011113/p1)・『爆竜戦隊アバレンジャー』(03年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20031111/p1)・『獣電戦隊キョウリュウジャー』(13年)などのヒーロー&ヒロインのように、牙(きば)のある恐竜や猛獣が大きく開けた口をマスクのゴーグル部分のモチーフとしており、牙状の三角形やギザ模様が全身に描かれているのも、先述した作品群の主人公たちと共通する意匠(いしょう)となっている。特にシシレオーのデザイン・造形は、頭部にライオンのたてがみを模(も)した突起が複数つけられている以外は、『キョウリュウジャー』のキョウリュウレッドに酷似(こくじ)した印象が濃厚であり、まさに本家ならではのリアル感にあふれていた。


 また、ジュウショウワンの敵で狼(おおかみ)をモチーフにした幹部怪人・ゲンカ将軍とエマージェイソンを演じたのは、『仮面ライダーBLACK(ブラック)』(87年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20001015/p2)や『仮面ライダーBLACK RX(ブラック・アールエックス)』(88年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20001016/p1)の主人公ライダーを皮切りに、「平成」仮面ライダースーパー戦隊メタルヒーローシリーズなどで数多くのヒーローや怪人を演じてきたスーツアクター・岡元次郎であり、トライガーは『宇宙戦隊キュウレンジャー』(17年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20180310/p1)のホウオウソルジャーや、『快盗戦隊ルパンレンジャーVS(ブイエス)警察戦隊パトレンジャー』(18年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190402/p1)の敵組織・ギャングラーの幹部怪人デストラ・マッジョなどを演じた若手の藤田洋平が、ジュウショウワンの追加戦士・セロトル=シルバーは『大戦隊ゴーグルファイブ』(82年)の時代から活躍する大ベテラン・蜂須賀昭二(はちすか・しょうじ)が務めるなど、「中の人」までもがジャパンアクションエンタープライズに所属する、「本物」が揃えられていたのだ!


 スーパー戦隊のロケ地として定番で使われる栃木県栃木市にある岩船山の採石場跡地にて、「轟(とどろ)きの青! トライガー!」「疾風(はやて)の黄! チェルダ!」「闘志の赤! シシレオー!」「われら、獅風怒闘! ジュウショウワン!」との名乗りやバトルアクションを撮影するに至るまで、『トクサツガガガ』が劇中ヒーローの「本物」志向にこだわったのは、我々のような特撮オタを満足させるためというよりは、むしろ放映枠の『ドラマ10』が、普段は一般層に向けたドラマを放映していることが大きかったのではあるまいか?
 平日21時に放送されている報道番組『NHKニュース9(ナイン)』のキャスターたちが「では今夜はこれで失礼します」と視聴者に頭を下げた直後に、第1話冒頭で描かれた劇中劇『ジュウショウワン』がつづいたのは、なかなかシュールなものがあった(笑)。


 ところで、特に中高年の一般層にはウチの両親なんかもそうだが、とりあえずNHKをつけっぱなしにする人々が多いかと思われる。日曜20時に放映される大河ドラマの直後に放映される20時45分のニュースが、視聴率ランキング上位20位以内にちょいちょいと顔を出すのは、まさにそういうことだろう。つまり、『NHKニュース9』につづいて、そのままNHKでいいやとついでに『トクサツガガガ』を観ていた視聴者に、バラエティ番組などで見られるようなヒーローもののパロディコントのようなチャチな映像を見せてしまったら、さすがにチャンネルを変えられるのがオチだろう。
 これほどのクオリティの映像ならば一見、女子力が高い仲村さんが夢中になるのもうなずけると一般層の視聴者たちに説得力を与えて、主人公の仲村さんにも感情移入をさせるためには、劇中ヒーローを最大限にカッコよく見せる演出はやはり不可欠だったかと思えるのだ。


劇中劇と絶妙にリンクした展開


 「一般的なものを楽しまないツケだ!」とか「盛大にオタバレするがいい!」などと、ジュウショウワンの敵でカラオケのモニターを顔にした怪人・カラオケ怪人までもが現実世界(?)に現れて仲村さんをあざ笑う! 先述したヒーローたちに比べるとこのカラオケ怪人の造形はかなり簡素な印象が強かったが、近年のスーパー戦隊でもこんな確信犯の昭和的な安っぽいギャグ系怪人が原点回帰の再評価(笑)で登場するのも当たりまえになっていることを思えばまったく違和感がなく、むしろリアルに見えたほどだ(笑)。昨2019年秋の深夜枠で放映されて大ヒットしたヒーローアニメ『SSSS.GRIDMAN(グリッドマン)』(18年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190529/p1)の敵首領だったアレクシス・ケリブもそうだったが、カラオケ怪人の声を務めた稲田徹(いなだ・てつ)の絶好調なコミカル演技もまた然(しか)りだ。


 カラオケ怪人に襲われた仲村さんの前に、幼いころにあこがれたエマージェイソン――やはり『SSSS.GRIDMAN』で、悪側から正義側へと転じたキャラ・アンチの声を務めた鈴村健一がナレーションと兼任した――が現れて、「生活を守るために正体を隠すのは、悪ではない!」と勇気づけた!
 これに奮起した仲村さんは迷いを捨てて、その場にいる同僚たちは皆が『エマージェイソン』のリアルタイム世代だからと、意を決してその主題歌を熱唱しだす!
 その最中にもエマージェイソンは、「テンションは抑(おさ)えぎみに」「英語の歌詞はニゴせ」「テレビサイズで流れない部分は捨てろ」(爆)などと、仲村さんの背中にオタバレを避けさせるためのメッセージを贈りつづける! 「オタク・ソングを熱唱」しつつも「オタバレを避ける」ためにする、一粒で二度オイシい方策の絶妙なる両立! 男性社員を中心にその場はおおいに盛りあがり、仲村さんはカラオケ怪人を岩船山の採石場(笑)で見事に打ち倒したのだった!


 このように隠れオタの仲村さんが危機に陥(おちい)るたびにジュウショウワンやエマージェイソンが現れる以外にも、同じものをわかちあえる仲間がほしいと願った仲村さんが『ジュウショウワン』でのシシレオーとトライガーが初めて出会った場面をつい回想してしまったり、後述する銀ブチメガネをかけて終始無愛想な仏頂面(ぶっちょうづら)であり一見お局(つぼね)さま風の同僚・北代(きたしろ)さんを仲村さんが「(同じ趣味の)仲間?」などと思いこむ場面などに『ジュウショウワン』でシリーズ途中から登場する追加戦隊ヒーロー・セロトルに「君は、獣(けもの)のオーラを感じたのか!?」などと問いかけるシシレオーの場面を挿入するなど(笑)、仲村さん個人の日常ドラマと『ジュウショウワン』の劇中ストーリー展開をリンクさせた演出が、視聴者の感情移入を誘うには絶妙なものとなっていたのだ。
 また、あまたのボッチアニメのように本作は仲村さんのモノローグが多用されているのだが、特撮オタであることがバレそうになるたびに表向きはクールを装いつつも、内心ではテンション高めに暑苦しくボヤきまくる仲村さんを演じた小芝風花(こしば・ふうか)の演技は絶品かと思えた。


 実は原作漫画では仲村さんは美人寄りでも、もっと長身でムダには媚びていない系の女性といったイメージである。よって、小芝風花のイメージとは異なるところもあるのだ。しかし、地上波のテレビで放映される作品としては、大衆視聴者に「彼女が困っていて少々かわいそうだから応援してあげたい」、あるいは非オタの女性層もしくは特撮オタク以外の女性オタクたちも「美人寄りでルックス面では少々恵まれているから何とかなりそうじゃん」あるいは「美人寄りでルックス面では少々恵まれているからプチ反発」といった感情を惹起させないという意味でも、本作がテレビドラマ化にあたって仲村さんを齧歯類系の小柄アイドル的な小芝風花としたことは――他のふたりのオタク女子たちもそうだったが――正解だったと思える。


特撮オタ仲間の「追加戦士」たち


 通勤電車でたまたま見かけたトライガーのキーチェーンマスコットをカバンにつけた年上女性をひそかに「トライガーの君」――この呼び方がまたリアル!――と呼んで、なんとか彼女を仲間にしたいと願う仲村さん。しかし、仲間はほしいけどオタバレはしたくないとまさに隠れキリシタンのようなジレンマを抱(かか)えているだけに、自身もシシレオーのマスコットを身につけることで同じ『ジュウショウワン』のファンであることを「トライガーの君」に気づいてもらおうとするのが、なんともまたいじらしい……
 そのためにガチャガチャ自販機の前でがんばっていたことで、仲村さんは最後の1個となったシシレオーのマスコットをねらっていた小学3年生のメガネ男子と運命の出会いを果たす。しかし、「トライガーの君」に対し、彼のことをホラー映画『オーメン』(76年・アメリカ)に登場した悪魔の子・ダミアンと呼ぶのは、いくらなんでもヒドすぎるだろ(笑)。まぁ、ダミアンはダミアンで仲村さんのことを、知り合った当初は「カプセルの人」と呼んでいるのだが(爆)。


 めでたくダミアンを特撮オタの仲間としてゲットした仲村さんだが、親に強制された塾(じゅく)に通うのを嫌がっていたダミアンは、塾に通うには遠回りになる地下通路をジュウショウワンの秘密基地に見立てて自身をそのメカニカルスタッフだと思いこむことで、「この通路を通ると、塾へ行くのがちょっとだけ楽しい」と仲村さんに語る。
 この場面でも「エマージェンシー」とのアナウンスとサイレンが流れる中で、赤いヘルメットと隊員服姿のダミアンがジュウショウワンとともに出動し、シシレオーが「今日の算数は手強(ごわ)そうだぞ」などとダミアンに語りかける妄想(もうそう)が描かれていた。
 先の『SSSS.GRIDMAN』に登場したレギュラーキャラである特撮オタの男子高校生・内海将(うつみ・しょう)も、ひそかに恋していた同級生の美少女・新条アカネが実は悪だったという終盤で判明するツラい現実にしっかりと向き合っていたものだ。そんなダミアンが「君もいっしょに出動するぞ!」などと、先述した北代さんに対して苦手意識があった仲村さんに心の変遷(へんせん)をもたらして、ダミアンの方も「カッコいいね! ダミアン隊員」などと呼びかた仲村さんにVサインで応(こた)えてくれるという第3話『ツイカセンシ(追加戦士)』後半の描写は、個人的には本作のベストかと思えるほどの名場面だった。


 そのダミアンの協力を得たことでシシレオーのマスコットを入手した仲村さんは、やはり電車内にてアイコンタクトで「トライガーの君」に気づいてもらうことに成功した! この際にマスコットのチェーンが揺れるのを強調した音響演出も、まさに運命の出会いを象徴しており実に秀逸(しゅういつ)だった。
 途中の駅で降りた「トライガーの君」は車内の仲村さんに向かって手を振る際に、いつのまにかトライガーに変身していたが(笑)、第2話『トライガーノキミ』にてジュウショウワンショーの会場で仲村さんは「トライガーの君」とバッタリ出会って、彼女の名前が吉田さんであることを知る。
 いっしょにショーを観ることになったふたりは最初はぎこちなかったものの、先述した『SSSS.GRIDMAN』の内海もそうだったが、好きな作品や推しキャラの話をしているうちに急にイキイキとして目を輝かせて、テンション全開で熱く語りだす生態描写は実にリアルだ(笑)。
 特に吉田さんは第1話から一見おとなしいお嬢さま風であることが強調されていただけに、その激変ぶりが顕著(けんちょ)だったが、自身が中学生のころに観ていた『エマージェイソン』を仲村さんが就学前に観ていたことを知って「年が10近く違うってこと!?」と衝撃を受けた吉田さんが、ややテンションが下がってしまう演技も絶妙だった(笑)。ググってみると、演じた倉科(くらしな)カナもまたすでに30を超えていたという事実には、「いつのまに……」とこちらも衝撃を受けてしまったが(爆)。


特オタ「女子」と「男子」の違いとは?


 ところで、以降の仲村さんと吉田さんの会話に注目してみると、


・『ジュウショウワン』の魅力はキャラクター!
・殺陣(たて)がカッコいい!
・変身やロボ戦こそが魅力!
・追加戦士の弓矢がいい! 弓キャラ最高!(笑)


といったことをワイワイキャッキャと話しており、ドラマやテーマに関してはほとんど口にしてはいなかったりする。


 ちなみに吉田さんはトライガーについては「融通(ゆうづう)がきかない不器用なキャラだが、筋はキチンと通すところが魅力だ」と語っていた。これもまた、先述した『怪獣倶楽部~空想特撮青春記~』で毎回描かれた喫茶店での怪獣倶楽部の会合にて、メンバーたちが怪獣番組のドラマやテーマについて熱く語っていた描写とは大きく異なっている。これは時代の違いというよりは、性差別的になるかもしれないが、オタ女子とオタ男子の違いだと解釈すべきものだろう。


 「80年代をリードする(笑)ビジュアルSF世代の雑誌!」をキャッチコピーに1980年1月に朝日ソノラマから創刊された雑誌『宇宙船』では、当初は当時放映されていたスーパー戦隊や『宇宙刑事』シリーズ(82~84年・東映 テレビ朝日)といった東映の新作シリーズを完全に無視していたが(汗)、戦隊シリーズ超電子バイオマン』や『宇宙刑事シャイダー』(ともに84年・東映 テレビ朝日)が放映された80年代半ばあたりから編集者に後年の脚本家・會川昇(あいかわ・しょう)が加入したことで、ようやくそれらをチラホラと扱うようになり、読者投稿欄でもそれらの変身前を演じる役者たちや現在のジャパンアクションエンタープライズの前身・ジャパンアクションクラブに所属するアクション俳優たちに対するオタ女子たちの熱いラブコールが見られるようになったものだった。
 飛んで、「平成」ウルトラマン3部作(96~98年・https://katoku99.hatenablog.com/archive/category/%E5%B9%B3%E6%88%90%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%A9)の放映当時も、オタ男子がそのドラマやテーマについて語っていたのに対して、オタ女子の方は防衛組織の隊員について誰がいいとか誰が好きとかを語ることが圧倒的に多くて――これは当時の本誌も例外ではなかった。つーか、今の本誌にはナゼ女性のライターがいないのか?(爆)――、70年代末期に起きた空前のアニメブームの中でオタ女子が『宇宙戦艦ヤマト』(74年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20101207/p1)の主人公・古代進がいいだの『機動戦士ガンダム』(79年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/19990801/p1)の美形敵役シャア・アズナブルがカッコいいなどといった、それこそ「推し」のアニメキャラ語りの延長線上にあるものだったのだ。


 それらを嘆かわしいと思っていた時期が筆者にもあったので決して無罪ではないのだが、我々も子供のころはドラマやテーマよりも変身後のヒーローそのものをカッコいいと思っていたように、オタ女子たちの見方があながち間違っていたとは云えなかったのだと考え方を改めてもいるのだ。ヒーローがカッコいい! 変身前の青年主人公たちもカッコいい! むしろ、それこそが特撮ジャンルの本質を突いているのではなかろうか!? そして、ムサいオタ男子たちが騒いでも世間からはキモがられるだけだが、それよりかは見栄えがよいオタ女性たちが騒いでくれたことで、世間における特撮ジャンルのステータスが上がったのも事実なのだ(笑)。
 ドラマやテーマよりも平成仮面ライダーの悪役たちを「ネタキャラ」として消費したり、『ルパンレンジャーVSパトレンジャー』の朝加圭一郎(あさか・けいいちろう)=パトレン1号を「圭ちゃん」などと呼び、それがネットのホットワードと化して盛りあがったりする近年の傾向からすれば、実はオタ女子の方がオタ男子よりも昔から特撮番組の真の魅力についてキチンと語っていたのではあるまいか!?


苦悩していたのは「特オタ」ばかりではなかった!


 つづいて、吉田さんの勧(すす)めで仲村さんがあるイケメン俳優が好きな同僚の女子に、その俳優が無名時代に出ていた特撮ヒーロー作品を観せることで「仲間」にしようとする。しかし、仲村さんが本当に観てほしかった変身場面や巨大ロボ戦をその女子は「退屈パート」(笑)として飛ばし観してしまい、「1クール分をアッという間に観た」として貸した翌日には円盤を返されて、その作戦は失敗に終わってしまう。
 その同僚とのやりとりをよりによって職場の飲み会の席でやらかした仲村さんは、あやうく同僚たちにヒーローもののDVDジャケットを見られそうになるものの難を逃(のが)れて、とっさにそばの席にいた北代さんに「趣味は何か?」とたずねてしまうのだ。しかし、「いい年をしてマンガ・ゲーム・ぬいぐるみ・オモチャとかに夢中になっているような痛々しい連中を見ていると、趣味なんかなくてもいいと思ってしまう」と冷酷な口調で語った北代さんは、「興味もないのに、その場しのぎで趣味聞くってどうなんですかね?」と仲村さんに痛烈な一撃を浴びせ返すのだ。


 災難はこれだけではなかった。吉田さんと『ジュウショウワン』の追加戦士・セロトルのショーを観に来ていた仲村さんは、セロトルと握手している現場を北代さんに目撃されるばかりか――おもわず仲村さんの手に力が入ってしまい、セロトルが痛がる演技が芸コマだ(笑)――、「会社にも変なオモチャ持ってきてるよね?」と、すでに特撮オタであることが北代さんにバレていたことが発覚する!
 第1話のラストで仲村さんと吉田さんが「仲間」となった電車にすでに北代さんが乗り合わせていたり、第2話のラストで仲村さんが誤ってロッカールームの床に落としたカプセルを北代さんが拾ったりと、伏線は充分に張られていたのだが、覚悟を決めた仲村さんが「好きなものに年齢とか性別とか関係ない」との持論を主張するや、北代さんは「まわりはそういうふうに思ってないよ」と語るのであった……


 第4話『オタクノキモチ』の冒頭にて、北代さんが回想するかたちで語られた、仲村さんに対する北代さんの態度・行動の動機には実に重たいものがあり、大半の視聴者が感情移入をせずにはいられなかったことだろう。
 某企業で営業として務めていたバリバリのキャリアウーマンだった北代さんは、会社の同僚との飲み会に同席させた友人の女子大生・みやびさんに同じ男性アイドルグループの大ファンであることをバラされてしまい、職場内でアイドルオタであることをイジられまくった末に退職を余儀(よぎ)なくされて、みやびさんとも絶縁状態となっていたのだ。北代さんが落としたパスケースにそのアイドルグループのトレードマークが入っていたことで、仲村さんは北代さんがドルオタ(アイドルオタク)であることを知り、自身もされたら最も困るような、北代さんが隠していることを無神経にホジくり返していたことを自覚して罪悪感にさいなまれる……


 いい年をして特撮オタをつづけていることの言い訳として、我々も心の中で「誰にも迷惑はかけていない」などと主張したりするのだが、知らず知らずのうちにこんな迷惑をかけてしまう可能性もあることを我々は肝(きも)に銘(めい)じておくべきなのかもしれない。
 それにしても、キャリアウーマン時代の北代さんはどう見てもリア充にしか見えず、現在のお局様みたいな北代さんとは完全に別人と化したかのように見えてしまう、彼女を演じる木南晴南(きなみ・はるか)の演じ分けは実に見事だった。特に第3話のラストで、仲村さんが手渡そうとしたパスケースを即座にひったくり、「ハ? あなたが仲間?」と眉間(みけん)にシワを寄せる表情演技は絶品!


 ちなみに北代さんが夢中になるアイドルグループを演じたのは、名古屋を拠点(きょてん)に活動する実在のアイドルグループ・BOYS AND MEN(ボーイズ・アンド・メン)だそうであり、実は『仮面ライダー鎧武(ガイム)』(13年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20140303/p1)で主役のライバルでもある副主人公・駆紋戒斗(くもん・かいと)=仮面ライダーバロンを演じた小林豊もそのメンバーのひとりなのだ。筆者は特撮とは何の関係もないイベントで氏のトークをたまたま見かけたことがあるのだが、実際の氏は戒斗とは正反対の完全なチャラ男だった(爆)。


 「心狭(せま)いなアタシ……」とパスケースを見つめた北代さんは、アイドルグループのライブ会場にてみやびさんと初めて出会った日のことを回想する。アイドル好きに年齢なんて関係ないと、あのとき仲村さんのように語っていたみやびさんから「会って謝りたい」とのメールが北代さんに届いた。ふたりの仲を仲村さんと吉田さんが取り持つことで、特撮オタ女子2名とアイドルオタ女子2名が合体をとげて、第5話『ウミノジカン(海の時間)』ではこの4人で旅行に出かけるほどにその関係性は劇的に変化する。最高の仲間たちに恵まれることとなった仲村さんだが、まだ最大の敵が待ち受けていたのだ。


「価値観」の違いの果てに……


 第1話から回想で再三点描されてきたように、仲村さんが幼いころから特撮好きであることを毛嫌いしてきた母・志(ふみ)が、第6話『ハハノキモチ』では正月になっても実家に帰省しない(!)仲村さんを見かねて突然上京してきた。特撮グッズであふれかえった部屋には入れるワケにはいかないと、仲村さんは兄の助言で高級料亭で志と会うことになる。しかし、その前に合いカギを使うことですべてを知ってしまった志は、仲村さんを散々ののしったあげくにビンタを食らわし、仲村さんの部屋から持ってきたシシレオーのフィギュアを破壊してしまう! これに逆ギレした仲村さんは「じゃかましいクソババア!」と志を殴り返し、もう親でも子でもないとタンカを切る!


 この場面は一部では賞賛の声があがっているようだが正直、筆者は正視できないものがあった。私事で恐縮だが、筆者ももう何十年も前の若かりしころに、コレとほぼ同じケンカを両親とやらかしたことがあったからだ(汗)。バブル景気の絶頂期に大学を卒業して東京に就職した筆者はいろいろあって5年ほどで実家に戻らざるを得なくなり、大量の荷物を整理しているときに事件は起きた。男のひとり暮らしだったのに荷物があまりに多いことを不審がった母が部屋に入ってきたとき、筆者はまさにダンボールから大量のフィギュアや書籍、今はなき映像ソフト・レーザーディスクやCDなどを出している最中だった。

 
「まだこんなん持ってたん!?」「恥ずかしいと思ってるんでしょ、自分でも!」「30すぎてもロクでもないことしていくつもり?」「ひとりになるよ!」……


 それはベテラン女優・松下由樹が演じた志の仲村さんに対する罵倒(ばとう)とほぼ同じだった。あのときの母も志と同じ表情をしていた。松下の演技はあまりにもリアルにすぎたのだ。幸いコレクションを破壊されることも暴力の応酬(おうしゅう)もなかったものの、仲村さんのごとく「まちがってるとか、これっぽっちも思わない」と主張した筆者に、父は「その考えが変わらないなら、3日以内に出ていけ」と通告した。筆者は大量の荷物を放置したまま、必要最小限の衣類と生活用品だけを手にして翌日、実家をあとにしたのである。


 とはいえ、その直後の1995年1月17日に阪神・淡路(あわじ)大震災と同年3月20日に地下鉄サリン事件が起きた。そのあまりの惨状に、前者には特撮怪獣映画の都市破壊映像、後者には東映変身ヒーロー作品の悪の組織によるテロ行為といった、自身が愛好してきた特撮ジャンル、そして自分自身の本質的な不謹慎性を痛感してしまった筆者は、このときにはじめて偏見が混在したものではあっても両親の自分に対する怒りを理解できたような気がしたために、しばらくヤメオタとなる……


特撮嫌いは「悪」なのか?


 序盤から『ジュウショウワン』の敵・ゲンカ将軍――特撮好きで、東映変身ヒーロー作品の常連声優・関智一(せき・ともかず)が声を務めた――の姿と重ね合わせて描かれたほどに、志は仲村さんに「女の子らしさ」を押しつける「悪役」とされてきた。
 ただ、志はいささか極端な例だろうが、大抵の親は自身の子供に対して大なり小なりその価値観を押しつけるものではないのだろうか? 大学時代はずっと玩具店でアルバイトをしていた筆者は、店頭でそんな事例をさんざん見せつけられたものだった。もし特撮オタが親になったら、子供にも特撮番組を押しつける人間が多いだろうが、子供にそれを否定されたとしたら、やはり悲しい気持ちになるのではなかろうか?


 その人相の悪さから仲村さん個人は避けてきたものの、女児向けアニメ『プリキュア』シリーズ(04年~・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20201227/p1)がモデルとおぼしきヒロインアニメ『ラブキュート!』が好きなことが発覚したために、仲村さんの仲間となった駄菓子屋の店主である任侠(にんきょう)さん――もちろん見た目から仲村さんが内心で読んでいるアダナ――の母親のような、理解のある親の方がむしろ珍しい部類だろう。
 小学生のころからガタイは大きかったのに、その内面は乙女チックであった任侠さんが『ラブキュート!』を観ていたら、母親が部屋に入ってきたためにあわててテレビを消した任侠さんに「なんで消すの? 観てたんでしょ?」と声をかけ、再度テレビをつけて「おもしろい?」と問いかける母親…… 好ましくないと思いつつも決してそれを否定しなかった任侠さんの母親はまさに親の鏡であるのかもしれない。


 また私事で恐縮だが、幼稚園のころに近所に男の子みたいな女の子が住んでいた。そのコはいつも男子に混じって仮面ライダーごっこウルトラマンごっこをして遊ぶばかりか当時、ブルマァクから発売されていた怪獣ソフビや怪獣図鑑ソノシートなどを大量に所有していたのだ。しかも、そのコの通園バッグにはウルトラマンエース対宇宙怪獣エレキングの見事な刺繍(ししゅう)がされており、そのコが持っていた特撮巨大ヒーロー『マグマ大使』(66年・ピープロ フジテレビ)のお面には実物のマスク同様にタテガミが縫いつけられていたほどだったのだが、それらはそのコの母のお手製だったのである。そのコの母は娘に「女の子らしさ」を強要するどころか、男の子みたいな娘の趣味を積極的に支援までしていたほどなのだから、仲村さんからすればなんともうらやましいところだろう。
 しかし、子供は親を選べないというきわめて当然のことを思えば、「毒親(どくおや)」の域に達した親もいるので縁を切った方がよい場合も少数はあるのだろうが、そこまでの域に達してはいないのであれば妥協して、あまり親に対して恨(うら)みつらみをつのらせるのではなく、不満はあっても縁は切らずに独立・下宿して距離を置くだけにとどめたり、テキトーに右から左へと流していったりすることも必要だろう。任侠さんの母も「子供を心配しない親はいない」と語っている――とはいえ、その心配の方向性が子供を過度に虐待することにつながることがあるのも事実なので、そこは堂々巡りとなるのだけど(汗)――。


 最終回(第7話)『スキナモノハスキ』で、特撮好きであることを志に否定されつづけてきた仲村さんは、自身もまた「女の子らしさ」を否定されるつらさをずっと志に感じさせていたのだとようやく気づくこととなる。「これはもう必要ない」と劇中劇でシシレオーが刀を投げ捨てる描写が実に象徴的だが、老いた親と青壮年期の子供との力関係によってもその最適解は異なってくるのだが、少なくとも老いて弱ってきた親に対して手をあげるような組み合わせのケースであれば、それは軽々しく賞賛すべきではないと筆者には思えるのだ。
 まぁ、筆者が「あのとき」の両親の年齢に近づいてきたこともあるだろうし、仲村さんがいまだにトラウマとなっているほどの、大事にしていた幼児誌『てれびくん』や『テレビマガジン』ならぬ『てれびキッズ』(笑)を志が焼きイモのたき火(爆)にくべてしまったような目にあった人々の気持ちも、痛いほどによくわかるのだけれども。


NHK名古屋放送局はオタばかり?(笑)


 青いシャツに白のベストと、誰がどう見ても『仮面ライダーV3(ブイ・スリー)』(73年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20140901/p1)の主人公・風見志郎(かざみ・しろう)の姿をした店員――演じた宮内洋(みやうち・ひろし)の特別出演は、我々以上にある特定の世代の一般視聴者をおおいに喜ばせたことだろう――がいる書店にて、仲村さんが『てれびキッズ』を堂々と、いや、甥(おい)へのプレゼント設定(笑)で買う場面で『トクサツガガガ』は幕となった。


 そして、最終回が放映された2019年3月1日に行われて大盛況となった緊急ファンミーティングの会場にて、本作を製作したNHK名古屋放送局の局長自らが、続編つくる気マンマン! であることをアピールしたそうだ。
 なお、当日の朝7時40分から放送されたNHK名古屋の製作による『東海北陸あさラジオ』では、『ジュウショウワン』の主題歌と併用されることで劇中劇とドラマをリンクさせることにおおいに貢献(こうけん)した、かつて『仮面ライダーウィザード』(12年)の主題歌も担当したゴールデンボンバーによる『トクサツガガガ』の主題歌『ガガガガガガガ』とカップリング曲の『こんにちは孤独』――タイトルに反して、こちらも王道のヒーローソングだ!――が流されて、本作の最終回の放映日であることをPRしていた。
 ちなみに、残念ながら本稿を執筆している当日に最終回を迎えてしまったこの『東海北陸あさラジオ』は、担当者の趣味なのだろうがオタッキーな選曲をすることが多くて、先日もアニメソングの大王・ささきいさおの代表作である『宇宙戦艦ヤマト』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101207/p1)第1作目のエンディング主題歌『真赤(まっか)なスカーフ』と『ザ☆ウルトラマン』(79年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/19971117/p1)のエンディング主題歌『愛の勇者たち』をカップリングで流していた。まぁ、こんな調子なのだから、またなんかやらかしてくれるだろう(笑)。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2019年春号』(19年3月31日発行)~『仮面特攻隊2020年号』(19年12月28日発行)所収『トクサツガガガ』合評4より抜粋)


『假面特攻隊2019年春号』「トクサツガガガ」関係記事の縮小コピー収録一覧
・各話視聴率:関東・中部・関西全話&平均視聴率
中日新聞 2018年12月6日(木) 特撮オタク女子 コミカルに NHK名古屋制作「トクサツガガガ」(制作発表)
中日新聞 2019年1月18日(金) トクサツガガガ(新)NHK後10・00(TV欄・紹介記事)
中日新聞 2019年1月25日(金) トクサツガガガ NHK後10・00(TV欄・紹介記事)
朝日新聞 2019年2月1日(金) 試写室 トクサツガガガ(TV欄・紹介記事)
・NHK名古屋放送局「トクサツガガガ」宣伝絵(写真)ハガキ


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げんしけん二代目』 ~非モテの虚構への耽溺! 非コミュのオタはいかに生くべきか!?

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160623/p1

トクサツガガガ』(TVドラマ版)総括 ~隠れ特オタ女子の生態! 40年後の「怪獣倶楽部~空想特撮青春記~」か!?

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