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夜は短し歩けよ乙女・夜明け告げるルーのうた ~鬼才・湯浅政明カントクのイマ半と大傑作!

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 深夜アニメ『四畳半神話体系』(10年)・アニメ映画『夜は短し歩けよ乙女』・『夜明け告げるルーのうた』(共に17年)・ネット配信アニメ『デビルマン crybaby』(18年)などを手懸けた鬼才・湯浅政明カントクが、コアなマニア層ではなく原作・絵柄・色彩的にも女性ライト層やデートムービーをねらったとおぼしきアニメ映画『きみと、波にのれたら』が2019年6月21日(金)から公開記念!(まだ観てませんけど・汗)
 同じくシンエイ動画上がりで、原作・絵柄・色彩的にも一般層・女性ライト層をもねらったとおぼしき原恵一カントクによる2ヵ月前のアニメ映画『バースデー・ワンダーランド』(19年)が個人的にはイマイチだっただけに……とカコつけて。
 アニメ映画『夜は短し歩けよ乙女』&『夜明け告げるルーのうた』評をアップ!

夜は短し歩けよ乙女夜明け告げるルーのうた ~鬼才・湯浅政明カントクのイマ半と大傑作!

(文・T.SATO)
(17年7月29日脱稿)

夜は短し歩けよ乙女


 70年代前半のフォークソング・ブーム時代の『神田川』で歌われたような四畳半の木造アパートに住まう奇人変人ビンボー学生たちの奇妙奇天烈な物語。


 みんながダサくて、身なりに無頓着で80年代中盤以降に隆盛を極めるファッション&スイーツな女子にモテるためのテニスだコンパだナンパだ! という遊び人的スキルを要求される、我々オタにとっては勝ち目も楽しみもない、高度大衆消費文化がココには(ほとんど)ナイ!
 ブ男でもムダに劣等感をいだかず古本屋に通い読書にいそしみ、同好の士と不毛な論争に明け暮れることができる……
 と賞揚したいトコロだが。おそらく彼らは、日本の大学カースト№2の京大のエリートたちだよネ!? あぁ下々の筆者はナンかムカついてきた。さぁ革命を起こしてエリートは全員ギロチンで首チョンパにしようゼ!(爆)


 本作はカルト作家・森見登美彦の原作小説をTVアニメ化して、2010年にノイタミナ枠で放映された『四畳半神話体系』のスピンオフ作品でもある。
 『四畳半』は公私ともに充実した夢の大学生活を謳歌しようとするも、ナゾの悪友の妨害にあって果たせず、無自覚に何度もタイムリープして新入生からヤリ直し、所属サークルも都度変えていくといった内容であった――SFではナイので、時間ループできる理由やその意義の説明は一切ナシ!――。
 本作は『四畳半』の主人公とは別人でも、似たような自意識過剰で内心の声が非常に饒舌(笑)な主人公を、昨2016年秋のマンガ原作の覇権TVドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の副主演でブレイク、35歳だけど童貞に見えると評された(笑)星野源(ほしの・げん)を主役声優にフィーチャー。世間へのセールスの仕方としては実にタイムリーで上手いとは思う。
 弱そうで受け身そうな坊ちゃん顔の星野にはオタの匂いがする……と思っていたけれど。先般『けものフレンズ』(17年)ガーと呟いていてオタ確定。……エッ、『アイドルマスター』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20150615/p1)のファンでもあったの?(爆)


 で、フタを開けたら、星野源も悪くはないけど、またかヨの花澤香菜演じる赤いワンピースの黒髪乙女が出ずっぱり。京都のオヤジ衆を向こうに廻して一歩もヒケを取らない酒豪ブリ。物怖じしないけどフテブテしさは感じさせない、この乙女の方が主人公に見えるヨ!(汗)
 主人公の学生クンがこの乙女と仲良くなろうとする物語っぽさは導入部だけで、あとは夜店やサーカスのテントの中の見世物のような、大学の学園祭での露店やアングラ芝居に古本市や祇園での不条理劇に終始。
 『四畳半』同様、デッサン骨格シッカリ系とは対極の、グニャグニャした描線&動きが、作品のリアリティの階梯を押し下げて――批判じゃないヨ――、時空も歪ませ一晩のうちに、何軒もハシゴして何十本も飲み干し、中がバーになっている移動する高層神輿まで登場し、突如スーパー台風が襲来してもOKな世界観を構築できている。


 萌えアニメファン的にはアウトオブ眼中であろう半面、プチインテリオタクやサブカルマニア連中にはウケが良さそうな作品だけど、個人的にはイマイチ、イマ半かなぁ。『四畳半』を映画的にブローアップして、ナンセンスな超時空歪曲シーンのボリューム&尺を増量していったら、少々冗漫になってしまった……というのが、筆者のごくごく個人的な印象。

「夜は短し歩けよ乙女」 DVD 通常版
「夜は短し歩けよ乙女」 Blu-ray 特装版


(了)


夜明け告げるルーのうた


 同じく湯浅政明カントクの手になる、本作公開の前月である4月に公開されたアニメ映画『夜は短し歩けよ乙女』がごくごく個人的にはイマイチ、イマ半だったもので、あまり期待はしていなかったのだが……。個人的には心の底からスナオに楽しめた!


 入り江の周囲が急峻な崖に囲まれた漁港を舞台に、音楽が聞こえるや下半身が魚の尾ビレから人間の両脚に変化して、超高速でステップ踏んで踊り出す、白痴的で元気な幼女の人魚や多数の犬魚(爆)が登場。しかも、音楽が鳴り止むや、両脚は魚の尾ビレに戻ってしまう。「志村、うしろ! うしろ!」の世界だ(笑)。


 彼らと出逢った男子高校生ふたり&女子高生ひとりが、人魚の幼女とバンド活動でセッションし、漁港の人々や地元のお偉いさんたちに、都会で夢破れたUターン組のオジサンやお姉さんも巻き込んで、人魚で町興ししようと奮闘して生じるトタバタ作品でもある。


 メインキャラである茶髪ツインテールの女子高生は、我々オタク男子が苦手そうな実に快活で目立ちたがりなギャル。だが、デッサン骨格シッカリ系ではないグニャグニャ不定型な下手ウマ的キャラデザなものだから、作品世界が自然主義的リアリズム(笑)に寄るワケもなく、現実世界では公共心や他人への繊細な配慮などナイ、虚栄心に満ち満ちた私的快楽至上主義者であるギャルの本性は、ココでは消臭されて鼻につかない(多分)。


 音楽活動を通じた人魚との交流の際には、周囲に寒天かコンニャクみたいな長方体状に切り取られた数メートル四方のカラフルな海水が出現! 何のSF的説明もなく物理法則を完全に無視して、宙を波打って移動し、主人公少年の自室を満たして水びたしにしたり、海面上に林立する。あげくの果てにご当地の人魚伝説の呪いか、漁港に徐々に潮が満ち、半ば海没していくことで大騒動!
 膨大なおサカナさん多数が踊り狂うイカレたビジュアルといい、不条理ストーリーの果てに少年少女たちの魂を込めた歌唱が最後に配置されてワケわかめの感動が襲ってくる。


 冷静に考えると細部はデタラメで、グニャグニャ描線のキャラたちの勢いもある歪んだ構図&動きも込みで、情動をコントロールされてダマされているだけでは? と思うものの、それすらも気持ちイイ(笑)。
 いやまぁデタラメだけじゃなく、高校生の周辺の青年や父兄に爺ちゃんたちにも、簡にして要なドラマ的見せ場も用意されていたことは指摘しておく。


 とはいえ、この作品の罪ではナイし、ナイものねだりではあるけれど、絵柄的にも一般層には人畜無害のオシャレ系デートムービーとしては若干敬遠されて、サブカルお文化層にしかアピールしていないのか、客の入りはよくないようだ。
 まぁそれを云い出したら、我々が愛する萌えアニメの番外編にTVやOVAの劇場先行上映作品などは、美少女萌えキャラクターのビジュアルを介して、そのウラにいる我々キモオタの弱者少女しか愛せないイビツな性癖が透かし見えてしまうのか(笑)、一般層やデート客がもっともキモがる類いのモノだろうし、一部作品を除いて最初から全国10館程度の上映でしかナイけれど。


 「夜」や「海」のイメージで、宣伝ポスターや本作のビジュアル自体も暗色系や青色系にしたのだろうけど、あの絵柄はそのままに、南洋チックな明るい極彩色や中間色の色使いであったなら、本編のユカイな作風ともマッチして、もっとライト層やヌルい一般層も集客できたように思えなくもない。封切終盤での世界的アニメ賞の受賞もあまり追い風にはならなかったようで、そのへんは残念。
 もちろん宮崎駿カントクのアニメ映画『崖の上のポニョ』(08年)における「海」や「人魚」の不定型描写とも通じるものはあるけれど、内容はまったく別モノの一本の映画作品としてリッパに成立していると思うし、快作だとも思う。

「夜明け告げるルーのうた」 DVD 初回生産限定版


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.79(17年8月12日発行))


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