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ウルトラギャラクシーファイト ニュージェネレーションヒーローズ総括 ~戦闘連発でも多数キャラの動機・個性・関係性は描破可能! 物語よりも点描に規定される作品の質!

『ウルトラギャラクシーファイト』 ~パチンコ展開まで前史として肯定! 昭和~2010年代のウルトラマンたちを無数の設定因縁劇でつなぐ活劇佳品!
『ウルトラマンタイガ』序盤総括 ~冒頭から2010年代7大ウルトラマンが宇宙バトルする神話的カッコよさ! 各話のドラマは重めだが豪快な特撮演出が一掃!
『ウルトラマンタイガ』『ウルトラギャラクシーファイト』『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』『仮面ライダー令和』 ~奇しくも「父超え」物語となった各作の成否は!?
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[ウルトラ] ~全記事見出し一覧


 ウルトラマンシリーズの正統番外編であるネット配信『ウルトラギャラクシーファイト』の第2弾『ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀』(20年)が、2021年5月26日(水)にBD&DVD発売記念! とカコつけて、『ウルトラギャラクシーファイト』の第1弾『ウルトラギャラクシーファイト ニュージェネレーションヒーローズ』(19年)総括・合評をUP!


『ウルトラギャラクシーファイト ニュージェネレーションヒーローズ』総括 ~戦闘連発でも多数キャラの動機・個性・関係性は描破可能! 物語よりも点描に規定される作品の質!



『ウルトラギャラクシーファイト』総括・合評1 ~尺は短いがウルトラヒーロー共闘でまとめられたストーリー

(文・中村達彦)
(2020年2月8日脱稿)


 2019年3月公開の『劇場版ウルトラマンR/B(ルーブ) セレクト!絆のクリスタル』と2019年7月放映開始の『ウルトラマンタイガ』第1話を結ぶ作品。『ウルトラマンギンガ』(2013年)から『ウルトラマンR/B』(2018年)までのウルトラマンロッソとウルトラマンブルの兄弟、更にウルトラマンタロウをはじめウルトラ6兄弟やウルトラマンゼロウルトラマン妹のグリージョや外国で製作されたウルトラマンリブットも登場している。アクションを重視したストーリーだ。俳優は登場せず、着ぐるみスーツで占められている。
 監督は坂本浩一。海外の『パワーレンジャー』シリーズ(1993年~・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080518/p1)をはじめ、日本ではウルトラシリーズ以外にも東映特撮などを手がけている。東映でもヒーロー大集合映画を手掛けており、それぞれの見せ場を見事に作っているので、担当監督としては申し分ないだろう。


 ストーリーは各惑星でウルトラマンが襲われる事件が続発し、ウルトラマンロッソとウルトラマンブルが去ってしまった地球でも、ウルトラウーマングリージョと彼女を助けに来たゼロがウルトラダークキラーに襲われ捕まってしまう。ロッソとブル兄弟は強制的に召喚されて、昭和ウルトラ一族の故郷である光の国でウルトラマンタロウからその異変を聞かされて、彼らの妹であるグリージョの捜索に向かうが、岩の惑星ペノルで『劇場版ウルトラマンギンガS(エス) 決戦!ウルトラ10勇士!!』(2015年)に登場した超時空魔神エタルガーの攻撃を受けてしまう。同じ頃、ウルトラマンオーブウルトラマンX(エックス)、ウルトラマンジードに極似したふたりの黒い戦士の攻撃を受けていた。
 ロッソとブルを救ったのはタロウの依頼を受けたウルトラマンリブットで、他の惑星にいたウルトラマンX・ジード・オーブも駆け付けてきたウルトラマンギンガ・ウルトラマンビクトリーに助けられる。


 改めて光の国に集まるウルトラマンたちへウルトラダークキラーからのメッセージが。囚われのグリージョとゼロは惑星テンネブリスにいるという。2人を助けるため、飛び立つ7人のウルトラマン
 ウルトラダークキラーは、かつてウルトラマンたちを苦しめた強敵エタルガーやダークルギエル、ウルトラマンXやウルトラマンオーブウルトラマンジードのエネルギーを吸収して作った3体の悪のウルトラマンXやウルトラマンオーブウルトラマンジードとともにダークネスなる軍団を構成している。それらを見守る謎の影。


 テンネブリスに到着したウルトラマンたちを迎え撃つダークネス軍団。次々に敵を引き受けていくが、残ったロッソとブルはウルトラダークキラーの攻撃を受ける。だがグリージョを助けるため、エネルギーを与え続けていたゼロの姿にウルトラマンたちは奮起。各々はゼロの力を由来とする姿にタイプチェンジして、ダークネス軍団を撃破する。
 残ったダークキラーはなおも暗黒エネルギーで巨大化、ウルトラマンゼロダークネスを生み出すなど抵抗するが、ウルトラマンタロウの援護、ジードの力を借りて強化形態に変身したゼロビヨンドと、ロッソ・ブル・グリージョが合体したウルトラマングループが登場。ウルトラマンたちの一丸となっての一大攻撃で倒される。


 新鋭ウルトラマンリブットにその存在を暴かれて、ラストにウルトラマンたちの前に姿を表す、事件の黒幕である悪のウルトラマンでもあるウルトラマントレギア。トレギアを追って飛び立っていくウルトラマンたちと、ゼロとともに故郷の綾香市へと戻っていくグリージョの姿で終幕となる。



 2010年代に登場した新世代ウルトラマンたちの共闘を描いて、『ウルトラマンタイガ』の物語の直前に起きていた戦い。トレギアが黒幕であったことは周知のことであろう。歌唱グループ・ボイジャーなどが奏でる各『ウルトラマン』の主題歌BGMが劇中に流れて、否応なく盛り上げてもいる。また各所にウルトラファンをニヤリとさせる単語があちこちにありそれらも嬉しい。海外製作のウルトラマンリブットも顔見せ程度に終わっておらず、その強さを見せている。
 他にもウルトラ5兄弟とウルトラ6重合体したウルトラマンタロウがその全身を炎上させて自爆特攻するウルトラダイナマイトでダークキラーを倒した過去の戦いが、セリフのみならずきちんと映像で描かれたり、ゼロやグリージョにも見せ場が用意されているあたりもよい。もっとも最新作『ウルトラマンタイガ』の3大新ウルトラマンであるウルトラマンタイガ・ウルトラマンタイタス・ウルトラマンフーマが最後までチラリとも現われなかったのは残念だし、ウルトラマンオーブの好敵手・ジャグラスジャグラー登場が外されたのも残念だったが……。


 しかし、近年では作品ごとに異なっているはずのパラレルワールドで、その越境は容易ではないとされていたはずなのに、特に説明もなく越境ができていたり、昭和ウルトラの世界である光の国に、他の並行宇宙の世界にいるウルトラマンたちが簡単に集合してしまえるのは少し安易な気がする。何らかの説明なり秘密の次元越境が可能な人工ルートができたなどのウラ設定を作った方がよいのでは?


 ウルトラマンの敵は回りまわってウルトラマンというのがここ10年のパターンだが、同様に強敵に苦戦する中でウルトラマン同士の絆からスーパーパワーが発揮されて、超ウルトラマンが登場し、戦いに勝つパターンも目に付く。その流れは、今度の映画『劇場版ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス』でも継承されるようで……。


 飛び立った7人のウルトラマンは、変身前の俳優ごと今度の映画に登場するが、『タイガ』第1話の冒頭と『タイガ』本編の間でも時間は12年くらいが経過しているはずなので、変身前の地球人たちは12年分の歳を取っていないと矛盾が発生してしまう(笑)。次の『ウルトラマン』ではこのへんにも矛盾が発生しないように、あるいはSF的な言い訳をつけることで実は矛盾はないとするような工夫をして、そういった要素でも子供やマニアたちを疑似SF的な知的遊戯で楽しませてほしい。


(了)


『ウルトラギャラクシーファイト』総括・合評2

(文・久保達也)
(2020年1月25日脱稿)

*『ウルトラマンR/B』と『ウルトラマンタイガ』の間に起きた史実!


 2019年9月29日(日)から無料動画配信サイト・YouTube(ユーチューブ)の円谷プロ公式チャンネル・ULTRAMAN OFFICIAL(ウルトラマン・オフィシャル)にて毎週日曜朝に週1回で配信されてきた各回約5分の短編シリーズ『ウルトラギャラクシーファイト ニュージェネレーションヒーローズ』(19年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200110/p1)が、同年12月21日(日)に全13話で完結した。


 本作『ウルトラギャラクシーファイト』では、映画『劇場版 ウルトラマンR/B(ルーブ) セレクト! 絆(きずな)のクリスタル』(19年・松竹・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190407/p1)でデビューを飾った敵キャラ・ウルトラマントレギアが一応のウラのラスボスキャラである。
 しかし実質的には、パチンコメーカー・京楽が2012年にリリースした『CRぱちんこウルトラマンタロウ 戦え!! ウルトラ6兄弟』以降、同社のウルトラマンを題材にしたパチンコにラスボスとして登場してきたウルトラダークキラーが本作のラスボスキャラを務めている。


 そして、トレギアとダークキラーが手を結んでつくりだした偽ウルトラマンこと黒いウルトラマンであるウルトラマンエックスダークスネス・ウルトラマンジードダークネス・ウルトラマンオーブダークネス・ウルトラマンゼロダークネスに、歴代シリーズのラスボス級キャラである暗黒の魔神ダークルギエルや超時空魔神エタルガーたちと、『ウルトラマンギンガ』(13年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200819/p1)から『ウルトラマンR/B(ルーブ)』(18年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20180826/p1)に登場してきた、いわゆるニュージェネレーションウルトラマンたちが宇宙を狭(せま)しと激闘を繰りひろげてきた。


 最終回となったEpisode(エピソード)13のラストにて、唯一(ゆいいつ)生き残ったトレギアを追って、ダークキラーの本拠地・惑星テンネブリスを飛びだしていく7人のニュージェネレーションウルトラマンたちに、トレギアが高笑いするイメージ映像をかぶせて幕となる……
 本作は昨2018年度の直前作『ウルトラマンR/B』の後日談である『劇場版 ウルトラマンR/B』後のエピソードであり、そしてこの『劇場版R/B』で初登場したトレギアがレギュラー悪として登場した最新作『ウルトラマンタイガ』(19年)第1話『バディゴー!』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190811/p1)冒頭のウルトラマントレギア VS 7大ニュージェネレーションウルトラマンとの宇宙空間での大決戦の間に起きた史実として、両者をつなぐ役割をも担(にな)っていたのだ。


 だが、決してそればかりではない。映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE(ザ・ムービー)』(09年・ワーナー・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101224/p1)でデビューを飾って、2010年代のウルトラシリーズではニュージェネレーションウルトラマンたちを常に支える頼もしい先輩としても描かれてきたウルトラマンゼロを起点とした、後輩ウルトラマンたちの「人物相関図」が点描されることで、本作は『ギンガ』以降のニュージェネレーションウルトラマンの総決算ともなりえていたのである!


*登場キャラ全員をカッコよく描いてみせる、感覚的なようで実は技巧的な作劇&演出!


 映画『劇場版R/B』で女子高生・湊アサヒ(みなと・あさひ)が初変身したウルトラウーマングリージョを、Episode1では『R/B』の舞台となっていた並行宇宙の地球である日本の綾香市(あやかし)で、ウルトラダークキラーからその身を呈してかばって以降、本作でのゼロはEpisode10に至るまで、ダークキラーがつくりだした無限の闇・ダークキラーゾーンの中でグリージョとともに囚(とら)われの身となってしまっている。


 これはたとえば、『ウルトラマンA(エース)』(72年)第13話『死刑! ウルトラ5兄弟』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060803/p1)にゲストとして登場したウルトラ4兄弟=ゾフィー初代ウルトラマンウルトラセブンウルトラマンジャックのように、せっかくマイナス宇宙にあるゴルゴダ星に全員が集結したのも束の間(つかのま)、ロクな活躍も見せないうちに異次元人ヤプールによって十字架に磔(はりつけ)のままになってしまったり、第26話『全滅! ウルトラ5兄弟』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061030/p1)では地獄宇宙人ヒッポリト星人にブロンズ(青銅)像として固められてしまったウルトラマンエースを助けに来たのに、自分たちもほとんど一矢(いっし)も報いずにすぐにブロンズ像に固められてしまったり、『ウルトラマンタロウ』(73年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071202/p1)でウルトラ兄弟の長男・ゾフィーが火山怪鳥バードンに火だるまにされたあげくにやられっぱなしだったり、ウルトラ5兄弟が暴君怪獣タイラントに次々とあっけなくやられていったりなど、同時期の70年代前半の昭和の仮面ライダーシリーズに客演した先輩仮面ライダーたちと比べると「兄さん」なのに「弱い」「情けない」といった印象がつきまとっていたのと同様だとの批判も論理的にはありえるかもしれない。


 しかし本作のゼロは、70年代前半の第2期ウルトラシリーズに客演した先輩ウルトラ兄弟たちのようには必ずしも弱くて噛ませ犬のようには見えてはいないだろう。それは単身で一方的にヤラれているような負け方では決してなく、あくまでもウルトラウーマングリージョを守るための重荷を背負ったハンディキャップ・マッチになっているというエクスキューズがある作劇、そしてそれらを適格に体現してみせているアクション演出があるからだ。
 つまり、反実仮想で暗黙裡にグリージョがこの場にいなければウルトラマンゼロはウルトラダークキラーにここまで一方的にはヤラれることはなかったハズなのだ! 敵わずとも拮抗はできたかもしれない! と視聴者の心の片隅にそう思わせるような作劇&演出ができているからでもあるからだ。



 平成仮面ライダーシリーズのヒロインたちは決して守られるだけの存在ではなく、中にはライダーに変身までするほどに活躍を見せるコもいるのとは異なり、昭和の仮面ライダーシリーズにレギュラーで登場してきた「ライダーガールズ」たちは単なる「人質要員」(笑)としての印象が強かった。グリージョも一見するとその「ライダーガールズ」のような扱いかと思われそうではある。


 だが、そのグリージョもEpisode10では


「私だってウルトラマンです!」


と叫んで、全身から強い光を放ってウルトラダークキラーとウルトラマンゼロダークネスといった2体の強敵を勢いよく吹っ飛ばしてみせる点描を入れてみせている。敵に一矢を報いてみせることで、ゼロの足を引っぱっているだけといった、ややもすれば昭和の先輩ウルトラ兄弟やライダーガールズたちのように視聴者に少々の不快感をも与えかねない印象を回避(かいひ)することにも成功しているのだ!


 これらは脚本の足木淳一郎氏や坂本浩一監督が、先述した『A』や『タロウ』のウルトラ兄弟客演編などで、当時や後年の子供たちや特撮マニアたちも感じていただろう不満や鬱憤を、ここぞとばかりに数十年後のリベンジ(笑)として解消しようとした作劇&演出だったのだろう。


 先輩ウルトラ兄弟たちがワリを喰ってしまうことで往時の子供たちをガッカリさせてしまっていた作劇とは異なり、『ウルトラギャラクシーファイト』においては先輩ウルトラ戦士やライダーガールズ(笑)にも大活躍の場面を、あるいは結局は敵に押されて負けてしまうような場面であったとしても、敵に対して一矢は報いていたり、別のキャラクターを助けたり守ったりするためのハンディキャップがあったからだ! とするようなディテール描写を随所に挟んでいっているのだ。


 「最初は負けても、最後には勝つ!」という作劇が勧善懲悪活劇の普遍ではあり、ひいては昭和のウルトラ兄弟客演編や本作『ウルトラギャラクシーファイト』でも、「アラスジ」のレベルではそこに還元されてしまう同類項のものではある。しかし、そのような「エクスキューズ作劇」や一矢は報いてみせたという「反撃アクション演出」の有無などで、作品の印象やクオリティーといったものは天と地ほどにも異なって感じられてきてしまうものでもあるのだ!
 そういう意味では「ストーリー」「アラスジ」なぞは作品の「本質」などではまるでなく、「エクスキューズ作劇」と「反撃アクション演出」の有無こそが作品のキモであり、作品の「本質」ですらあるのかもしれないくらいなのだ!



・映画『劇場版 ウルトラマンギンガS(エス) 決戦! ウルトラ10勇士!!』(15年・松竹・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200404/p1)が初出で本作でも復活した超時空魔神エタルガーを倒すために、地獄の特訓(笑)をウルトラマンギンガとウルトラマンビクトリーに課したゼロ
・映画『劇場版 ウルトラマンX(エックス) きたぞ! われらのウルトラマン』(16年・松竹)ではウルトラマンエックス・初代ウルトラマンウルトラマンティガが東京で戦っている間に、世界各地の主要都市に現れた溶鉄怪獣ツルギデマーガを倒すために歴代ウルトラマンたちとともに駆けつけたゼロ
・映画『劇場版 ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします!』(17年・松竹・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200406/p1)でもウルトラマンオーブとともに奇機械改竜ギャラクトロンと戦ったゼロ
・テレビシリーズ『ウルトラマンジード』(17年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170819/p1)ではレギュラーキャラとなってウルトラマンジードと共闘したゼロ


 ニュージェネレーションウルトラマンたちの頼もしい先輩として大活躍をさせてきたウルトラマンゼロを本作ではあえて囚われの身として描いたのは、もちろんそろそろ従来作との差別化として年輪を重ねてきたニュージェネレーションウルトラマンたちの方を逆にゼロよりも大活躍させることで、彼らもまた強く成長したのだということを描いて、視聴者にゼロの活躍とはまた別種のカタルシスも与えよう! といったところが、本作最大の目的でありコンセプトでもあったためだろう。


 恩人でもあり師匠でもあるゼロを救出するために、若き7大ウルトラマンが邁進(まいしん)する姿がひたすらカッコよく描かれる。そして、彼らにはゼロに助けられてきた「恩義」を感じているといった「行動動機」をそのセリフでも語らせてみせたり、歴代ウルトラシリーズを長年にわたって鑑賞してきた特撮マニアたちや、後追いでも歴代シリーズを鑑賞してきた特撮ファンや子供たちが、それらの作品に対する記憶までをも勝手にダブらせてしまうことまで計算したことで、単なるアクションものとしてだけでなく、クドクドとした説明ヌキでの端的な「点描」だけでも「ドラマ性」を宿らせることができているのだ。
 教科書的な意味での狭義のドラマツルギーとしては反則ワザでも(笑)、このような「点描」もまた広義の意味では「作劇的な技巧」そのものだ! といってもよいのではなかろうか!?


*「ドラマ性」を高めるためのものとしての「ヒーローの最強形態」!


 本作の終盤で、そのニュージェネレーションウルトラマンたちによるゼロへの「恩返し」の最大の象徴として描かれているのが、Episode11のクライマックスである。
 その直前回であるEpisode10でニュージェネウルトラマンたちの大活躍によって倒されたハズのウルトラダークキラーが、トレギアの力によりジャンル作品の毎度のお約束によって「質量保存の法則」を無視してデタラメにデカい姿となって復活する!――科学的・ハードSF的にはオカシいけど、ヒーロー活劇・ライトSF的には正しい作劇だと思うので、もちろん大カンゲイ・笑――


 ここでジードが


「今度はボクたちがゼロを助ける番だ!」


と、テレビシリーズ『ジード』では小型カプセルから機動される先輩ウルトラ戦士個々の超パワーを模したエネルギーであったものが、ウルトラマンギンガ・ウルトラマンビクトリー・ウルトラマンエックス・ウルトラマンオーブ本人たちのエネルギーを浴びせることで、ウルトラマンゼロをその強化形態・ウルトラマンゼロビヨンドに変化させるのだ!
 このゼロビヨンドは『ジード』の中盤ではギンガ・ビクトリー・エックス・オーブの超パワーを再現するニュージェネレーションカプセルを使うことで、ゼロが地球で合体している妻子持ちのさえないサラリーマン・伊賀栗レイト(いがぐり・れいと)が「オレに限界はねぇ!」という掛け声とともに強化変身するに至った形態であったハズだった。
 4人の新世代ウルトラマンの超パワーの結晶として、本作でもこのニュージェネレーションカプセルでの変身のバンク映像をキッチリと再現するのみならず、地球でのゼロとレイトとの間に生まれた絆をヌキにしてもゼロがビヨンドに変身できてしまった設定矛盾については、ジードはゼロに対して「レイトさんにはナイショで……」と頼みこんでいる(笑)。


 もちろん「アラスジ」レべルでいえば、ニュージェネウルトラマンたちがウルトラマンゼロに「恩返し」をするのならば、ぶっちゃけ単にウルトラダークゾーンからゼロを救出したというノルマさえ達成できれば、それだけで済むのである。
 しかし、Episode9のラストにてウルトラマンギンガ・ウルトラマンビクトリー・ウルトラマンエックス・ウルトラマンオーブウルトラマンジードに、それぞれウルトラマンゼロに対する「恩義」を端的に象徴するセリフを激アツに叫ばせながらウルトラマンゼロの力に由来するそれぞれの強化形態にタイプチェンジしていった描写を反転させるかたちで、今度は逆に後輩ウルトラマンたちの方からその力でウルトラマンゼロを強化形態に変化させるような描写を挿入することも、各ウルトラマンたちのタイプチェンジ形態をたくさん出して画面をにぎやかにしたり変化をつけようという意味ももちろんあるのだが、それだけでもないだろう。
 ニュージェネウルトラマンたちがウルトラマンゼロを単に物理的・形式的に救出ができたということのみならず、各々の想いが込められたエネルギーが注入されていくことで、その「恩返し」を具体的で「ドラマチック」な「ビジュアル」としても象徴させることができている「映像演出」にも昇華していたのだ!


 今回のゼロビヨンドは、その姿への変身からEpisode12における、ゼロ自身のネガ像でもあリ短編シリーズ『ウルトラゼロファイト』第2部『輝きのゼロ』(12年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200314/p1)が初出でもある、悪のウルトラマンであるベリアルの怨霊に憑依されたウルトラマンゼロがその全身の体色を黒色に染めた姿でもあったウルトラマンゼロダークネスの単独出現版とのガチンコバトルに至るまで、その全身が金色に光り輝いたままであり、キックの残像までもが星のようにキラキラと金色に輝くほどの演出がなされることで、テレビシリーズでは白銀主体の体色であったゼロビヨンドよりも強化されている、その全身が金色と銀色にキラキラと輝いていた最強形態・シャイニングウルトラマンゼロにも近いような形態なのだろうことも含意させている――後日付記:後付けのようだが(?)、この形態にはウルトラマンゼロビヨンド・ギャラクシーグリッターという正式名称が付与されていた――。


 もちろん最後の最後に正義の味方であるウルトラマンたちが勝利することは幼児であっても充分にわかりきってはいる(笑)。しかし、先述したように本作ではニュージェネウルトラマンたちを立てるためにもウルトラマンゼロが相対的にはワリを喰ってきたが、もちろんそれだけでも視聴者のフラストレーションが少々たまってしまうので、クライマックスではゼロにも相応のバトルを演じてもらうためにも、この処置は有効に機能しているのだ。


 父であるウルトラセブンのトサカ部分が外れてブーメラン武器となるアイスラッガーを継承する、ウルトラマンゼロの姿では2つ、ゼロの力を借りたウルトラマンオーブのタイプチェンジであるウルトラマンオーブエメリウムスラッガーでは3つあったトサカを、4つ(!)もそびえさせてそこから放ったクワトロスラッガーをゼロダークネスに向けて飛ばしたゼロビヨンド! しかし、ゼロダークネスにハネかえされてしまった金色に輝くスラッガーを、今度はその両腕の中で2体ずつで合体させて巨大な三日月状の刀2振りと化さしめた!
 ゼロビヨンドがその二刀流「ツインギガブレイク!」でゼロダークネスをスレちがいざまにブッた斬るさまはまさに時代劇や劇画調の演出となっており、斬られたゼロダークネスが燃えあがっている炎を背景に、二刀流をかまえたゼロビヨンドをあおりでとらえたカッコいいカットは最高にカタルシスが得られるものとなっている!



 先述した往年の『A』や『タロウ』のウルトラ兄弟客演編でも、兄さんたちがカッコいいところをほとんど見せずに終わるのではなく、たとえばウルトラ5兄弟を一度は全滅させたほどのヒッポリト星人相手であるのならば、いつものウルトラマンエースの必殺ワザ・メタリウム光線一発で倒せてしまっては通常編の並みの怪獣の強さしかなかったことになってしまって、子供心にも辻褄が合わなくなってしまうような矛盾した描写になってしまうのだから、そこはウルトラ5兄弟が必殺光線を一斉照射!
 もしくは超強敵・異次元超人エースキラーを倒した際のようにエースの頭頂部に4兄弟のエネルギーを照射してからエースが放つ合体光球・スペースQをここぞとばかりに再披露をすべきだっただろう!
 「敵に一矢を報いる」アクション演出を敵キャラにも援用してみせれば、合体光線やスペースQを浴びてしまったヒッポリト星人にも即座に爆発四散はさせずに、しばらくは堪え忍んでみせているさまをヒイてジラして描いてみせる「タメ」の演出を挿入することで、最後には敵キャラが爆発四散するのは確定路線だとしても(笑)、それによってヒッポリト星人がますます強く見えることで、最後の勝利のカタルシスをも倍増させることができたハズなのだ!


――歴史的な大傑作ではあるものの、一度にウルトラ一族100万人を敗退させたほどのジャカル大魔王に対して、最後にウルトラ一族の長老・ウルトラマンキングの神秘の力によって復活したウルトラ6兄弟の合体光線でアッサリ決着がついてしまう漫画『ザ・ウルトラマン』(75年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210110/p1)のラストバトルと、復活を果たした(厳密にはジャッカル四天王のひとりが進化した)ジャッカル大魔王との戦いで今は亡き暗黒宇宙大皇帝エンペラ星人のヨロイ・アーマードダークネスの一部をやむをえず着用してジャッカル破壊光線を阻止するウルトラマンメビウス! しかし、ヨロイの闇の意思に飲まれそうになってしまうメビウス! それに対抗するためにウルトラ6兄弟がメビウスとウルトラ7重合体して最強形態・ウルトラマンメビウスインフィニティーが出現! されど、宇宙の各所からヨロイの全パーツが飛来してきてメビウスインフィニティーの全身を包んでしまうという大ピンチ到来! そこに駆け付けたキングがヨロイの呪いを弱めるためにウルトラの国の秘宝・ウルトラベルの鐘の音(かねのね)を響かせる! ……といった攻防劇のつるべ打ちの一連でおおいに盛りあげてみせる、先の『ザ・ウルトラマン』の続編でもあった漫画『ウルトラマンメビウス外伝 アーマードダークネス ジャッカル軍団大逆襲!!』(08年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210117/p1)のラストバトルとの相違を例に出してみてもよいだろう――


 ハッキリ云って、「ストーリー」や「アラスジ」なぞではなくって、この手の勧善懲悪エンタメ活劇のキモとは、このようなシーソー的な秘術の尽くし合いのパワー合戦の連発や、たとえ敗退してしまうにしても一矢は報いる「反撃アクション演出」、一時的にでも耐え忍んでみせるような「タメ演出」といったディテール描写の有無によって「傑作か否か」や「名勝負か否か」の品格が決まってしまうものなのだ。むしろソコしかないともいえるのだ。
 そして、「作品批評」もまたソコを析出して語っていくことこそが、作品の「本質」にも接近していくショートカット・近道ですらあるともいえるだろう!――加えて、「読ませる文章」一般の極意といったものも、この「シーソー感覚」や「タメ演出」といったものであって、エンタメ活劇の作劇やアクション演出の巧拙のテクニックに通じているものがあるようにも思えるのだ・汗――



 変身怪人アンチラ星人が化けていた偽・郷秀樹の前に、ホンモノの郷秀樹が再登場して、帰ってきたウルトラマンことウルトラマンジャックに変身してウルトラマンエースとも共闘! アンチラ星人&サイゴン VS エース&ジャックの激闘を描く!
 火山怪鳥バードンに一度は殺害されたゾフィー兄さんも最後にはウルトラの母の力で復活して、タロウと共闘して地球最強の怪獣であるバードンをやっつける!
 暴君怪獣タイラントに太陽系の各惑星でひとりずつ対戦して敗退していったウルトラ5兄弟たちだが、最後にはリベンジのために地球に飛来してきてタロウを含むウルトラ6兄弟が組んずほぐれつの果てに超強敵怪獣タイラントを打ち負かす!


 往年の昭和の第2期ウルトラシリーズでのウルトラ兄弟客演編でも、こんなストーリーであれば往時の子供たちに失望感を与えることなく、最後には気持ちのいいカタルシスだけが残ったハズであったのだ――その伝ではそのへんの子供たちの機微をわかっていて、客演編では先輩ライダーたちをほとんどピンチに陥(おちい)らせることなく大活躍をさせてきた昭和のライダーシリーズを担当してきた東映の故・平山亨(ひらやま・とおる)プロデューサーは偉大であったのだ(氏の感覚自体が非常に子供っぽかったともいえるのだが・笑)――。


*各ヒーローの関係性&立ち位置を最大限に活かす作劇とは!?


 バトル演出のみならず、ニュージェネの中では最も後輩である『R/B』の主人公ウルトラ兄弟の兄であるウルトラマンロッソが妹のグリージョをずっと守ってくれたウルトラマンゼロに対して深々と頭を下げる演技や、先輩たちを


「(初代)ウルトラマンさん! (ウルトラマン)ティガさん!」


と敬称をつけて呼んでみたり


「お疲れさまです!」


と労をねぎらっていた(笑)オーブが、


「ゼロさん、大丈夫ですか?」


などと語りかける描写は、鼻につく域には達していないがやや不遜(笑)だったギンガ――というかギンガと合体している地球人青年・礼堂ヒカル(らいどう・ひかる)――がゼロに対してもタメ口だったり、基本的には腰が低い常識人キャラであるジードがその看板番組ではずっと共演してきたゼロに対してだけは先輩というよりかは友だち感覚(笑)で接している中では、先輩に対する敬意の象徴としては実に印象強く残るものであり、それぞれのキャラクターたちの個性やゼロとの関係性のちょっとした相違を端的に示してもいる名演出ともなりえている。


 そのゼロが右手を後頭部に当てながら頭を左右にコキコキと動かす、「あ~疲れた」とでも云いたげな妙にオッサンくさい仕草(爆)を見せる演出・演技も、すでにデビューから10年が経過して、ニュージェネウルトラマンたちからすればゼロが立派な大先輩=レジェンドウルトラマンと化していることを最大限に象徴する秀逸(しゅういつ)な描写にもなりえている。
――その寿命が数万~10万年単位にも達するウルトラ一族にとっての10年間などは、地球人の寿命100歳で単純換算してみせれば人間にとっての半日にも満たないくらいの短期間なのだが、細かいことは気にするな!・笑――



 そして今回はニュージェネウルトラマンたちの中では最も年長であるウルトラマンギンガにリーダー感を与えて、先輩格キャラとして立てることにも成功していた。


 加えて、ゼロダークネスをゼロ本人にまかせて、ニュージェネウルトラマンたちがウルトラダークキラーと決着をつけようとしたそのとき、先述した『CRぱちんこウルトラマンタロウ 戦え!! ウルトラ6兄弟』などのパチンコでの展開までをも本作は前史・史実として肯定(こうてい)したことで、そのウルトラマンタロウがダークキラーの因縁の相手としても必然性をもって現れることとなったのだ!


 ウルトラマンオーブウルトラマンジード、ウルトラマンロッソにその弟のウルトラマンブルに至るまで、近年のウルトラマンが歴代レジェンドウルトラマンのパワーを使って変身するのが当たりまえとなる中で、「昭和」のウルトラマンの中では両耳から巨大なツノを生やしている強烈なルックスもあってか、キャラクターとしては根強い人気を誇(ほこ)っているウルトラマンタロウは、各ウルトラマンのタイプチェンジの一形態の元パワーのひとつとして扱われることが多かった――ロートルな筆者などよりもさらにはるかに年上である、初代『ウルトラマン』や『ウルトラセブン』などの第1期ウルトラシリーズだけを神格視してきた、今や還暦戦後の第1世代の特撮マニアにとっての『タロウ』とは、いまだに否定されるべき作品なのだとしてもだ!――。


 だが、今回もウルトラマンギンガの因縁の宿敵として再登場した悪の人型巨人・ダークルギエルが、かつてM78星雲・光の国で勃発(ぼっぱつ)したウルトラマンVS怪獣軍団との全面戦争の最中(さなか)に、ウルトラマンたちや怪獣たちもすべてを手のひらサイズの人形と化したために、『ギンガ』本編ではタロウも人形のかたちとはいえレギュラー出演することとなっていた――そして『ギンガ』終盤では、その巨人としての本来の姿を復活させていた!――。
 つまり、タロウと「相棒」として直(じか)に常に接してきたのは、ニュージェネウルトラマンたちの中では『ギンガ』の男子高校生主人公・礼堂ヒカル=ウルトラマンギンガだけだったのだ。ギンガのみがレジェンドウルトラマンであるタロウと旧知どころか実に親しい仲であった史実を踏まえた描写がここで正しくなされているのだ。


 Episode12のクライマックスでは、さらにそのギンガのリーダーとしてのキャラを立てるための作劇&演出がなされていた。


 その前段ではタロウの力を借りることで、テレビシリーズ『ギンガ』の続編『ウルトラマンギンガS(エス)』(14年)におけるタロウのデザイン意匠(いしょう)をまとった強化形態・ウルトラマンギンガストリウムへと久々に変身する!
 そして、ウルトラマンビクトリー・ウルトラマンエックス・ウルトラマンオーブウルトラマンジードもこれに合わせてそれぞれの最強形態に、ウルトラマンロッソ・ウルトラマンブル・ウルトラウーマングリージョの3兄妹はオーロラのシャワーが降り注ぐ中で手をつないで、映画『劇場版R/B』で初披露となった最強形態・ウルトラマングルーブへと合体変身をとげた!


 タロウの力を得たギンガがタロウの必殺光線でもある「ストリウム光線」を放ったのを皮切りに、ウルトラダークキラーが紫色の細いストレート光線を何重にも発射する中で、ウルトラマンビクトリー・ウルトラマンエックス・ウルトラマンオーブウルトラマンジード・ウルトラマングルーブが、レーザーブレード・電撃スパーク・七色の光輪など見た目も含めてあざやかにダークキラーに猛反撃を繰りだしていく! オーブに至ってはエックスの攻撃に隙(すき)を見せたダークキラーに「よそ見するな!」と空から急襲してキックをかますのがちょっとヒドかったりするが(笑)。
 元々無敵の強さを誇っていた悪の巨人であるダークキラーをワザワザ「超巨大化」させる手法は、アタマの硬い旧型オタたちには「近年の特撮によくあるマンネリのラストバトルだ!」と批判をするのだろうが、多数のヒーローの大活躍を気兼ねなく気持ち良く描写するためには、ラスボスがウルトラマンたちと同じサイズであると集団イジメに見えてしまうことを回避するためには絶対的に必要な演出でもあるのだ! ウルトラシリーズにかぎらずあまたのヒーロー大集合作品のラストバトルがこうなるのは必然だとさえいえるのである(笑)。


――ヒーローよりも巨大なサイズのラスボスと戦うヒーロー集団といったシチュエーションの原典は、『仮面ライダーX(エックス)』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20141005/p1)の劇場版で昭和の5人ライダーと戦ったラスボス・キングダークや、『仮面ライダーストロンガー』(75年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20201231/p1)の最終回で7人ライダーと戦った岩石大首領に、『(新)仮面ライダー(通称・スカイライダー)』(79年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210102/p1)最終回で8人ライダーと戦ったドラゴン型の巨大怪獣がその正体であったネオショッカー大首領などの、やはり平山亨プロデューサー作品であったのだ! ……いや、往年の名作特撮時代劇映画『妖怪大戦争』(68年)が元祖か?・笑――


 2019年11月28日に惜しくも亡くなられた特撮研究所矢島信男特撮監督が、『ジャイアントロボ』(67年)にはじまる東映特撮を発端(ほったん)として、外様として招聘(しょうへい)された円谷プロ製作の『ミラーマン』(71年)や『ウルトラマンタロウ』(73年)に『ウルトラマンレオ』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090405/p1)などでもそのような演出をしていたように、ダークキラーの背面を画面手前に配して、股下(またした)と両脚の間から(!)その奥にいるビクトリーをとらえて巨大感&遠近感を両立させていた特撮演出や、画面左に超巨人と化したダークキラー、その右には通常サイズの巨人であるウルトラマングルーブを配して、しかしてそれでも最強形態ではあるグルーブの強大なるパワーがもたらす攻撃をもってすれば超巨大ダークキラーでさえもが後方へと吹っ飛ばされていくダイナミックなアクション特撮などは、ダークキラーとウルトラマンのどちらかがワリを喰っているものではなく、双方の強さが同時に両立して描けてもいるカタルシスあふれるアクション演出たりえてもいるのだ!
 深読みさせてもらえば、ダークキラーを攻撃する直前のグルーブの腕の構え方にやや女性的な仕草が感じられるのも、グルーブにウルトラウーマングリージョも合体していることを表現しようとしたスーツアクターの演技、もしくはアクション監督によるディレクションではなかろうか?



「みんなのエネルギーをストリウムブレスに集めるのだ!」


 タロウの指示で、左手首のストリウムブレスにニュージェネウルトラマンたちのエネルギーを結集させたギンガストリウムは単身でダークキラーに突撃する!


「これがオレたち、ニュージェネレーションの力だ!」


 そう叫んでいる声はギンガのみならずグリージョも含めたニュージェネ勢全員の声であり、燃えさかる炎を背景にギンガの周囲に全ニュージェネウルトラマンの表情をイメージ的に合成して繰りだされた最強の必殺ワザは、タロウがその全身を炎上させて体当たりする自爆特攻ワザ「ウルトラダイナマイト」を継承した「ニュージェネレーションダイナマイト」だ!


 『ウルトラマンメビウス』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070506/p1)以来、地上波での放映に長らくブランクが空いたこともあってか玩具の売上高も半減しており、製作資金の調達には苦労したと思われる『ギンガ』では、国内特撮のミニチュアを一手に製造・保有もしているマーブリング・ファインアーツ社――東宝東映・円谷作品を股にかけて活躍した特撮美術監督である故・大澤哲三などもここの所属であった――から、都市街を組めるような大量のミニチュアセットをレンタルしてくる予算を確保できなかったためだろうが(汗)、山間部の小さな村落にある高校を舞台にしたほどに、低予算ゆえの小さな世界観や若い役者陣によるお芝居を中心とした作風には評価が分かれるところもあるだろう。
 だが、この『ギンガ』を皮切りとして毎年、ウルトラマンシリーズが製作できるようになって、その間に玩具展開的にも特撮技術的にも一定の進歩をとげていくこととなったのも一方では見逃せにできない貴重な事実の積み重ねの第一歩でもあったのだ。



 そして、このギンガをニュージェネウルトラマンたちのリーダー的な存在として本作『ウルトラギャラクシーファイト』では描いてきたのも、昭和の第2期ウルトラシリーズではウルトラ兄弟の長男であるゾフィー兄さんや次男であった初代ウルトラマンが真っ先に噛ませ犬(汗)にされてしまった、当時の子供たちも残念に思っていたその処置を反面教師にすれば、2010年代のニュージェネウルトラマンのトップバッターであったギンガこそを最も頼もしい存在として描いて、そのキャラを立ててみせる方法論がベストでもあるのだろう――その逆に近作のニュージェネウルトラマンたちはお約束でもまだまだ未熟さが残るキャラクターとして描いておいた方が、差別化としてもそのキャラが立つだろう――。


 2010年代のニュージェネレーションウルトラマンが続々と生まれる好況を生みだす発端となった『ギンガ』に対するリスペクトが感じられるところはとにかく望ましいところだ。もちろん、このギンガやゼロのみを特別扱いして、他のウルトラマンたちをつくり手のたかが個人の好悪ごときで噛ませ犬にするような不公平さなども一切感じさせずに、全ウルトラマンたちをひとりのムダもなく個性豊かに活躍させることによって、最後の最後に勝利のカタルシスが到来することになる、微に入り細をうがった至れり尽くせりの作劇で、このクライマックスは最高に高揚感があふれるものともなっていた!


*本作の仮面劇&作劇をテレビシリーズでこそ実現せよ!


 最終回であるEpisode13にて、今回の真の黒幕であるウルトラマントレギアがグリージョを真っ先に囚われの身とした理由は、先の『劇場版R/B』にてトレギアが一敗地まみれてしまった、ロッソ・ブル・グリージョの合体であるウルトラマングルーブの登場を阻止するためだったことがゼロによって語られる。そう、ここでもたしかにトレギアは以前にグルーブに負けている史実をキチンと押さえてもおり、こういう念押しの描写がまたマニア心や怪獣博士タイプの子供心をそそるものでもあったのだ!


 その場に姿を見せたトレギアのことを、『劇場版R/B』でも共演したウルトラマンジードとウルトラマンロッソが既知の存在として先輩たちに語ることで、ここでもまた本作がジード・ロッソ・ブル・グリージョの4大ウルトラマンが共闘してトレギアに立ち向かった『劇場版R/B』のすぐあとの続編でもあることが改めて示される。


 そして、トレギアとタロウがすれ違うホンの一瞬の回想カットにつづいて、


「やはり消すしかないな。タロウを、光の国を……」


とつぶやくことで、今後の展開への伏線フラグを立ててトレギアはその場を去っていく……


「これはオレたちだけの問題じゃない!」


とエックスが語ったのを皮切りに、ニュージェネウルトラマンたちが同じウルトラマンとして、彼ら自身の故郷ではないもののM78星雲のウルトラ一族の故郷・光の国を守る決意を固めるさまを象徴的、というかそのまんま即物的(笑)に描くために、円陣を組んでこぶしを合わせる7人の姿が真下からとらえられ、ウルトラマンたちはトレギアを追うためにゼロとグリージョに別れを告げる。


 兄であるロッソとブルに『R/B』の舞台であった並行宇宙の地球の平和を託されたグリージョは、当初は兄たちのことを心配するものの、「仲間を信じるのもウルトラマンの大事な資質だ……」と、Episode2でゼロにかけられた言葉を絶妙な係り結びで口にしてみせることで、『R/B』の続編として、そしてグリージョのさらなる精神的な成長までもが描かれているのがまた秀逸な作劇である。宇宙空間で浮遊しているグリージョがゼロと会話を交わしている場面では、その背景映像に地球がかなりの大きさで描かれているのも、その地球防衛の使命・責任の重さを映像演出面でも象徴する効果を高めている。



 時系列的には『ウルトラマンタイガ』直前の物語である本作『ウルトラギャラクシーファイト』の方が、製作的には同時期にテレビで放映された『ウルトラマンタイガ』よりもあとに企画も製作もスタートしているのだろうが(?)、この『ウルトラギャラクシーファイト』最終回の直後が、『ウルトラマンタイガ』第1話冒頭における光の国があるウルトラの星を眼前に控えた大宇宙空間でのトレギア VS 7大ニュージェネウルトラマン&タロウ・タイガ・タイタス・フーマの激闘シーンに直結していくこととなる……
 そのことは事前に製作側でも喧伝されてきたし、大方の特撮マニア諸氏であれば想定もできていたことでもあり、だからこそ「そこにつながってくれなければウソ!」ではある描写ではあったのだ。その意味でも『ウルトラギャラクシーファイト』最終回のラストは特撮マニア諸氏の望みも叶えてくれていた。


 そして、できれば『ウルトラギャラクシーファイト』直後の物語でもあった『ウルトラマンタイガ』の最終展開は、『タイガ』の物語の一応の終結点であるのと同時に、『ウルトラギャラクシーファイト』でのストーリー展開もすべてとはいわずとも一部は受けている壮大なる展開であってほしかったのだ。


 しかし……


 『ウルトラマンタイガ』は第1話冒頭でこそトレギア VS ウルトラ戦士団との激闘が描かれて、子供たちやマニア諸氏をおおいに狂喜させることとなったのにもかかわらず、その後の『タイガ』は本作『ウルトラギャラクシーファイト』での出来事などは想起すらされずに、どころか大宇宙スケールでのウルトラ一族の因縁錯綜劇とは接点すらほとんど持たない、作風的にも『ウルトラギャラクシーファイト』とは完全にかけ離れた作品になっていく……



 2020年3月6日(金)公開予定(執筆時点)の『タイガ』後日談である映画『劇場版 ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス』(20年・松竹)では、ニュージェネレーションウルトラマンたちが『ウルトラギャラクシーファイト』や『タイガ』第1話冒頭につづいて再び集結するのみならず、その最新の予告編では新ヒーロー・ウルトラマンレイガの誕生も告知されている。


 もちろんテレビとは異なる映画ならではの豪華な雰囲気を醸(かも)しだす意味でも先輩ヒーロー大集合という企画自体は戦略として大正解だとは思える。しかし、あの第1話があったのであれば、『タイガ』はシリーズ中盤なり終盤などではニュージェネウルトラマン全員とはいわずとも数名程度は客演するエピソードも配置しておくのが、基本設定的にも適切だったであろうに……と思えてならないのだ。


 いや、『タイガ』にかぎった話ではなく、テレビのウルトラシリーズでも年に一度だけの劇場版のみではなく、いっそのことテレビシリーズ中盤などでも地球をメインの舞台とすることからはいったん離れて、宇宙空間や地球以外のどこかの惑星を舞台として、ニュージェネウルトラマンたちが変身前の役者陣の確保ができないのであれば声の出演だけの仮面劇になってもよいので、前後編で大活躍をさせるようなエピソードを毎年つくるべきではなかろうか?
 オッサンである第2期ウルトラ世代がそのリアルタイムで、あるいはその下の世代たちでも20世紀のむかしには途切れなく放送されていた再放送などで鑑賞して、全国の小学校中で大興奮していたウルトラ兄弟勢ぞろい編! この手法は現代の子供たちにもいまだに有効であると信じて疑わないのだ!


 たとえ「バトル中心」のストーリーではあっても、そのちょっとした作劇的な技巧によって、やや頭デッカチなテーマ主導の作品となってしまった『タイガ』などよりもはるかに地に足が着いているたしかなドラマ性が感じられた『ウルトラギャラクシーファイト』を鑑賞していると、改めて手前ミソでもその持説を強く主張をしてみせる必要性を感じてしまうのだ。


 実際にYouTubeでの再生回数も『ウルトラギャラクシーファイト』の方が『タイガ』の中盤以降のエピソードの倍くらいの数字をほぼ毎回稼いでいるのだし(汗)、『タイガ』第1話の冒頭部が特撮マニア界隈(かいわい)を壮大ににぎわせていたことを思えば、1970年代の学年誌や児童漫画誌コロコロコミック』などにおける内山まもる先生をはじめとする、大宇宙を舞台にウルトラ兄弟たちが大活躍するウルトラ漫画群(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210124/p1)の数十年後の実写映像化作品ともいえる『ウルトラギャラクシーファイト』などの「多数ヒーロー登場の連続ストーリー活劇」の方法論の方こそを、むしろ今後のウルトラシリーズの「主軸」「中核」に据えるくらいでないと、もうこれ以上のウルトラシリーズ浮揚の勝算はないのではなかろうか!?


――その逆に、昭和の1話完結形式に戻って、「外国人」差別を「宇宙人」差別にヘタくそにも(失礼・汗)代入していたような『ウルトラマンタイガ』の方法論は、その志(こころざし)自体は壮とすべしではあっても、子供向けあるいは大衆向けエンタメとしてはやや問題があったのではなかろうか?・汗――


追伸


 『ギャラクシーファイト』のEpisode11から12にかけて、ゼロやニュージェネウルトラマンたちのラストバトルと並行して描かれた、M78星雲のウルトラ兄弟たちが所属する「宇宙警備隊」とはまた別の組織であるらしい「ギャラクシーレスキューフォース」の一員であるウルトラマンリブットの戦いでは、どくろ怪獣レッドキングの初代と二代目がコンビで登場するという、それこそ年季の入った特撮マニアたちの妄想にすぎなかったものがホントに映像化されてしまっていた(笑)。
 しかも二代目の方は、初代『ウルトラマン』(66年)に登場した原典が水爆を飲みこんでいた設定を忠実に再現するかたちで、ワザワザ首を太くして初代とは正しいかたちで差別化されていた! この二代目は、基本的にはやはり低予算作品で流用キャラクターや色を黒く塗り替えただけの偽ウルトラマンたちの登場で済まされてきた本作『ウルトラギャラクシーファイト』の中では珍しく、実はわざわざ新造された着ぐるみであったそうだ。
 ……おカネの使い方を誤っているような気がしないでもないのだが、ロートル・マニア的にはついつい歓迎してしまう(爆)。


――後日付記:このレッドキング初代と二代目は、『ウルトラマンZ(ゼット)』(20年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200723/p1)第11話『守るべきもの』に、早くも初代は「レッドキングA」(オス)、二代目は「レッドキングB」(メス)という、それぞれ原典や『ウルトラギャラクシーファイト』に登場した個体とは別個体として、同時に再出演を果たしていた・笑――


2020.1.25.


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2020年冬号』(20年2月9日発行)所収『ウルトラギャラクシーファイト ニュージェネレーションヒーローズ』総括合評1~2より抜粋)


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