假面特攻隊の一寸先は闇!読みにくいブログ(笑)

★★★特撮・アニメ・時代劇・サブカル思想をフォロー!(予定・汗)★★★ ~身辺雑記・小ネタ・ニュース速報の類いはありません

ウルトラセブン ~上原正三サブライターに昇格。『セブン』後半の視聴率低落をどう見るか!?

(2024年4月21日(日)UP)
上原正三の生涯を通じた日本のTV特撮&TVアニメ史! 序章・1937(生誕)~1963年(26歳)
『ウルトラQ』21話「宇宙指令M774」 ~上原正三の生涯を通して見る『ウルトラQ』の来歴
初代『ウルトラマン』『快獣ブースカ』 ~上原正三の生涯を通して見る第1次怪獣ブームの前半
拙ブログ・トップページ(最新5記事)
拙ブログ・全記事見出し一覧


[ウルトラ] ~全記事見出し一覧


ウルトラセブン』 ~上原正三サブライターに昇格。『セブン』後半の視聴率低落をどう見るか!?

(文・T.SATO)
(2021年7月脱稿)

上原正三の生涯をたどること = 日本のTV特撮&TVアニメの歩み!


1967年・上原30歳『ウルトラセブン


 『キャプテンウルトラ』が放映終了した1967(昭和42)年10月から、後番組として初代『マン』のフォーマットを踏襲しつつも、イギリスの大人気特撮人形劇『サンダーバート』(65年・日本放映66年)のメカ特撮にも影響されて、怪獣退治の専門家集団の基地や戦闘機のメカニック性をシャープに強調、敵も怪獣よりは侵略宇宙人主体、正義の巨大超人も銀色主体から赤色主体に変えた『ウルトラセブン』が放映をスタートする。


――ごく個人的には幼児期は「怪獣」と「宇宙人」の区別もロクに付かなかったので、『セブン』は宇宙人主体という意識もなかったけど(汗)――


 本作もシリーズ前半2クール26話分の平均視聴率は30.7%にも達している。



 この10月には、少年が腕時計型の通信機で命令することで稼働する巨大ロボットが巨大怪獣と戦う東映製作の特撮作品『ジャイアントロボ』がNET水曜夜7時30分枠でスタート。
 『マグマ大使』の後番組であるフジテレビ月曜夜7時30分枠でも日本特撮株式会社製作で恐竜ネッシーを乗りこなす野生児・タケルを主人公とした『怪獣王子』も放映が開始されている。しかし、68年正月最終週から『ジャイアントロボ』がウラ番組に移動してきて苦戦。それぞれ視聴率より製作事情で半年で放映を終了している。


 ちなみに、関東地方では70年代中盤まで毎年夏休みになると午前中に『ジャイアントロボ』を再放送していたが、先の『マグマ大使』『キャプテンウルトラ』『赤影』『怪獣王子』はカラー作品なのにほとんど再放送がなかったため、関東の70年代以降の世代人にとっては馴染みがウスい。
 8月からは日テレ火曜夜7時枠で宣弘社ヒーロー『光速エスパー』、NET木曜夜7時枠で東映『忍者ハットリくん+忍者怪獣ジッポウ』も放映。



 30歳に達した上原は『セブン』では12本も担当していて、実質的にはサブライターである。


 デパートで販売している玩具の戦車や飛行機が人々を襲撃してくる#9「アンドロイド0(ゼロ)指令」、地底世界でナソの超近代的地底都市と多数の人間サイズの巡回ロボットに遭遇する迷宮風味の#17「地底GO!GO!GO!」、巨大戦車の上部に四つ脚型の巨大恐竜が一体化されて走行してくる「恐竜戦車」が鮮烈な#28「700キロを突っ走れ!」、セブンがミクロ化して幻想的な人間の体内で宇宙細菌と戦う#31「悪魔の住む花」、偽ウルトラセブンと戦う#46「ダン対セブンの決闘」。


 筆者も『セブン』をリアルタイムで体験した世代ではないのだが、いずれのエピソードもビジュアル面で幼少期から印象深いエピソードではある。


1967年・『セブン』#17~モロボシ・ダンと薩摩次郎


 このうち#17は、セブンことモロボシ・ダン隊員が初代マンのように特定の地球人と合体したのではなく、登山中に仲間を救うために我が身を犠牲にした薩摩次郎青年を救った宇宙人ウルトラセブンが、彼の姿と魂をコピーした姿であって、あくまでもセブンが逆変身した姿であることが明かされたエピソードでもある。


 小学校中学年以上の特にマニア予備軍タイプの子供はこういうヒーローの出自にまつわるウラ設定的なエピソードに執着するものなので、大いに歓迎すべき趣向ではある。


――過半の幼児はダンそっくりの青年とセブンが別個に同一画面に収まっていることの意味をロクに理解できなかったやもしれないが(汗)。もちろん、幼児だけに合わせて製作しても、小学校中学年以上が早々に卒業してしまっては意味がない。「幼児」と「児童」の両者を永遠に二股にし続ける絶妙なシーソー感覚が子供番組の作劇には求められるのだ――


 ただし、2021年に発行されるも回収・絶版となってしまった『ウルトラマンの「正義」とは何か』(青弓社・21年5月26日発行)で、著者の花岡敬太郎が2015年に実施したというインタビューで上原は、



「あの回は(監督・円谷)一さんから出た案なんだよね。こういうのをやっておかないと、先に進めないよねっていう話でやったやつなんです。(中略)金城さんの意見ではないというか(中略)、『ウルトラマン』の場合ってさ、(中略)ハヤタなのかウルトラマンなのか、というところがボカされながらやっていたわけですよ。そこをもう少しキチンとしようと」



と発言している。


 花岡はウルトラシリーズのスタッフたちも何らかの社会派的な意識や作家性を持っていたことを肯定してはいる。しかし、それが婉曲的にはともかくストレートに作品に反映されたワケではないとする。
 『ゴジラとヤマトとぼくらの民主主義』(文藝春秋・92年7月1日発行)を著した佐藤健志(さとう・けんじ)やNHK『歴史秘話ヒストリア』(10年9月15日放映分)などの思想の左右双方からのアプローチともに、モロボシ・ダンのメンタルが宇宙人セブン本人であったことから金城論を組み立てていることに疑義を呈するための傍証として、上記を挙証したものではあるのだが。


 それはともかく、このように個別具体の作品から作家論を語ろうとしても、それが脚本家個人の作家性であるのか監督やプロデューサーの意向であったかの区別については、厳密にはムズカしいことには留意すべきだろう――そうであっても微量には浮上してくる漠とした脚本家の作家性が存在することをご同輩も感じていることとは思うのだが――。


1967年・『セブン』「宇宙人15+怪獣35」


 上原の『セブン』における未映像化作品は、70年代末期の第3次怪獣ブーム下での本邦初のアニメ・特撮などのマニア向けムックが出版ラッシュだった時代に、『てれびくん別冊② ウルトラセブン』(小学館・78年11月15日号・10月15日実売)で紹介されたことで古くから有名な、製作№43である未映像化作品「宇宙人15+怪獣35」がある――川崎高こと実相寺昭雄監督との共作。実際に製作されたのは#43「第四惑星の悪夢」――。


 『セブン』後期の円谷プロの財政事情的にもおおよそ実現できそうにない大作脚本なので、最初からボツ覚悟の企画だったと憶測するが、初代『マン』に登場したバルタン星人を追跡するセブンを導入部にセブンの子分である正義のイレギュラー怪獣・ウインダム&アギラとともに怪獣&宇宙人の大軍団に立ち向かうといったストーリーである。


 後知恵で思えば、往年の『怪獣大図鑑』(朝日ソノラマ・66年11月5日発行)に添付されていた金城哲夫作のソノシート(ミニ・アナログレコード)の音声ドラマ『なぐりこみバルタン連合軍』や『大怪獣戦 決戦!!ウルトラマン』などにおける、「数十体もの怪獣軍団vsウルトラマン」の映像化という発想なのだが、心躍るではないか!?


――バルタン星人の生みの親・飯島敏宏監督は、後年の単なる悪役としてのバルタンには否定的だが、この60年代末期の時点ですでにバルタンは悪の首領であった(笑)――


 ラストでセブンは苦戦するも、大怪獣ゴードに救われる。セブンをも救ってみせる正義の新怪獣が登場!


 冷静に考えると安直な結末なのだが、同作のアラスジ&正義の新怪獣登場! といった『てれびくん別冊②』での記述に対して、子供心に実にワクワクドキドキした第3次怪獣ブーム世代の御仁も多かったことだろう。


 上原のもう一方にも確実に存在している「娯楽志向」というべきか? そうではなく、単に子供が喜ぶツボがわかっていて、技巧的に同作をものしてみせたというべきか?


――こうしてみると、『セブン』は放映当時には、過去作『ウルトラQ』や初代『ウルトラマン』とは世界観を異にする作品世界であった、とする特撮マニアたちのまことしやかな見解もまた怪しい。セブンの故郷もまた初代マンと同じくM78星雲なのであって、『セブン』のカプセル怪獣たちにも当初は、『Q』や初代『マン』の人気怪獣・パゴスやレッドキングが予定されていたように、ことさらに『セブン』を『Q』や『マン』とは異なる世界の作品だとする意識は作り手たちにはなかったのではなかろうか?――


1967年・『セブン』橋本洋二&「300年間の復讐」


 時期は前後するが、『セブン』#13「V3(ブイスリー)から来た男」でTBS側のプロデューサーが交代。宇宙から来た魔法使いの少女がお手伝いさんとして居候する児童向け大人気TVドラマ『コメットさん』(67年)――先の『怪獣王子』、途中からは『ジャイアントロボ』も参戦して、3大番組がウラ番組同士で激突した月曜夜7時30分枠!――も並行して担当していた、1931(昭和6)年生まれの橋本洋二が後任である。



「「隊長は、出動としか言わないのですか?」 (中略)どんな怪獣を登場させるか、そんなことには腐心するが、隊長のセリフについて思いをめぐらせた記憶はない。(中着)虚を突かれた思いだった。(中略)シナリオは作家だけで作るものではない。プロデューサーも参加してまとめ上げて行くものだ。それが方針となった」



 自著『ウルトラマン島唄』で上原も、橋本への強烈な印象と同作の製作方針変更についてを記している。



 地球人と交流を図ろうとしたトーク星人兄妹が300年前の地球人(日本人)に妹を殺害されて森の奥の洋館に住まいながら復讐の機会を待っている、上原の『セブン』での未映像化脚本「300年間の復讐」は製作№23なので、橋本参入以降の作品である。橋本は同作にOKを出していたということだ。こういう情念やテーマ志向の作品もOKという空気が早々に醸成されていたということか?


――同作は実際には『セブン』#23「明日(あした)を捜せ」に変更されている。これは担当の野長瀬三摩地(のながせ・さまじ)監督の意向と、トーク星人の怨霊が実体化した「悪鬼」と洋館執事の「甲冑人間」の着ぐるみキャラを2体造形する予算がネックになったのだそうだ(甲冑人間の方は#27のボーグ星人に流用)――


 この「300年間の復讐」は、後年のマニア評論がイメージする上原論にピッタリ合致するようなエピソードではある。


 世代人はご存じだろうが、先の『てれびくん別冊②』でも「300年間の復讐」が紹介されており、同書刊行の翌月には、先の竹内博主宰の同人誌『怪獣倶楽部』(75年)上がりで、80年代には児童マンガ誌『コミックボンボン』で『プラモ狂四郎』や『SDガンダム』、児童誌『てれびくん』では『ウルトラ超伝説』のマンガ原作なども務めることになる編集者・安井ひさしの尽力によって、『てれびくん』連載の居村眞二(いむら・しんじ)作画によるウルトラシリーズ・アンソロジー漫画『決戦! ウルトラ兄弟』の一編(78年12月号・11月1日実売)として早くもマンガ化されている。
 私事で恐縮だが、筆者などもこの2冊の書籍で「300年間の復讐」に遭遇した世代だ。はるか後年の市川森一脚本で製作ウラ話でもあるNHKで放映された長時間・前後編ドラマ『私が愛したウルトラセブン』(93年)ではキャストを変えるかたちで実写化も果たされた。


1967年・『セブン』後半の低落をどう捉えるか?


 70年代末期の第3次怪獣ブーム時における本邦初の特撮マニア向けムックでの記述で、『セブン』は国産SF特撮最高傑作との評価を一度は確立する。


 しかし90年代末期に、『宇宙船』Vol.83~84(98年冬号・2月1日実売、98年春号・5月1日実売)にて先の金田益美がその連載「ウルトラゾーンの時代」第10回~第11回で、『セブン』放映当時は小学4~5年生であった氏の感慨を綿密に腑分けして、「『セブン』中盤をイマイチと感じていた(大意)」と実に頷けるかたちで語ることで、ちょっとした相対化も果たされることになった。


 この指摘はアマチュア特撮評論同人ライターたちのその後の『セブン』論議にもさりげに影響を及ぼし続けている。そう、『セブン』もシリーズ後半に入った第3クールの視聴率は30%を割り20%も割り込んで急落しており、実は後年の『帰ってきたウルトラマン』(71年)における特撮マニア間では評価が芳しくない最終第4クールにおける30%目前連発にも負けていたのだ。


 しかし、戦争なども含む万事の分析がそうなのだが、後年のマニア諸氏がその原因をひたすらに内部にだけ求めていくのはやや的ハズレに思える。まして『セブン』中盤の質が極端に低かったとか、『帰マン』第4クールが逆に質が高かった、というようなことは単純には云えない。


 『セブン』の視聴率の低落には、橋本参入によるドラマ性の増強ゆえの娯楽性の減少といった理由も微量にあるだろうが、そのドラマ性の増強も後年に長じてからの特撮マニア諸氏が顕微鏡的に拡大して観ればそうであったという程度で、70年代前半の第2期ウルトラシリーズにおける青春ドラマ性や日常ドラマ性の拡充とは比較にならない。


 『セブン』中盤よりも『帰マン』第4クールの方が所帯じみたものではあっても、そのドラマ性は高いくらいなのだ(笑)――とはいえ、『帰マン』第4クールも第3クールまでと比すれば悪い宇宙人が子分の怪獣を引き連れてくるパターンでドラマ性はやや減じている。善悪のメリハリは強化されて子供向け活劇としては望ましいともいえるのだが、同時期の『仮面ライダー』ほどの活劇性や善悪のメリハリがあったワケでもない――。
 再放送世代の筆者個人は子供時代に『セブン』中盤がイマイチだったと感じたり、ご近所や同級生も含めてそのように評し合った記憶は微塵もないのだが、デザイン・色彩面でキャッチーな怪獣・宇宙人の減少が、当時の幼児はともかく児童層の視線を引きつける力を微量に減じさせていたことはアリそうだ。しかし、それであっても視聴率の低落の幅が大きすぎる。



 よって、やはり作品の外側・時代の空気・子供間での流行といった漠としたモノの方が、原因としては大なのではなかろうか?


 『セブン』後半においては、当時の幼児はともかく児童層は怪獣モノにやや飽きており、68年正月に放映開始の『ゲゲゲの鬼太郎(きたろう)』や大映製作の特撮時代劇映画『妖怪百物語』『妖怪大戦争』(共に68年)などに象徴される「妖怪ブーム」、68年4月に放映開始の梶原一騎原作による人気野球マンガのTVアニメ化『巨人の星』による「スポ根ブーム」の方に目新しさを覚えて、目移りしていったという分析が妥当に思えるが、その時代の空気を知っている世代人に改めてご教授を願いたいところではある


――この68~69年は全国的に学生運動が盛り上がった時期でもあるのだが、むろん当時の牧歌的な子供たちとは無縁のものだろう――


 その大人気番組『巨人の星』も盛者必衰、放映開始3年後には第2次怪獣ブームの到来でピー・プロダクションが製作したウラ番組『スペクトルマン』(71年)に視聴率で抜かれる日が来るのだが。


 『帰マン』第4クールの高視聴率も、同時期の『仮面ライダー』初作での1号&2号ライダー夢の共演や『シルバー仮面』に『ミラーマン』(3作とも71年)の登場でヒートしていく子供間での「変身ブーム」の高揚との連動だと見たい。


(以下、順次アップ予定!)

1968年・上原31歳『怪奇大作戦

1968年・『怪奇』#16「かまいたち

1969年・上原32歳『柔道一直線

1969年・『青春にとび出せ!』『オレとシャム猫』『どんといこうぜ!』

1969~70年・『彦左と一心太助』『千葉周作 剣道まっしぐら』

1970年・上原33歳『チビラくん』『紅い稲妻』~『仮面ライダー』前夜


(初出・特撮同人誌『『仮面特攻隊2021年号』(21年8月15日発行)所収『上原正三・大特集』「上原正三の生涯を通じた日本のTV特撮&TVアニメ史① 1970年まで」評より抜粋)


ウルトラセブン』 ~上原正三・脚本回評

(文・犬原 人)

ウルトラセブン』第9話「アンドロイド0指令」


 「おもちゃじいさん」と呼ばれる怪人物が子供の世界に現れ、銃器や兵器などのオモチャをただで配って人気を博していた。しかしそのオモチャはホンモノと同じ殺傷力を持っており、夜になると本来の機能を発揮するという危険な代物だった。そして「おもちゃじいさん」……チブル星人は、オモチャをもらった子供たちを兵士として、午前0時にクーデターを起こさせる『アンドロイド0(ゼロ)指令』を発令するのだった……。



 ……「戦争を知らない子供たちが、銃器や戦車のオモチャで無邪気に遊んでいるのを見て、戦争を経験した上原氏が何を思っていたか?」と勘繰ることもできれば、「子供たちの世界に侵入して先兵に仕立て上げ、地球征服を図ろうとする侵略者」というパターンを確立し、『戦隊』や『宇宙刑事』につながる作風が確立された! と見立てることもできる話だ。


 チブル星人のタコやイカのような細い脚を生やした頭デッカチなデザインによって、アクションが地味であったことで、子供たちにとっては特段に印象が強い回ではなく、通常回としての印象だろう。


 この「ちぶる」が、ウチナーグチ……沖縄言葉で「おつむ(頭)」を意味することは、1970年末期のマニア向けムックなどで公表されて以来、特撮マニア諸氏や怪獣博士タイプの子供たちの人口にも膾炙(かいしゃ)してきたものだ。


 「見慣れた日常が夜になると豹変し、人間に牙を向ける」というコンセプトや、「オモチャが夜になると、人間に牙を向ける」というアニミズム的なコンセプトは、「見慣れたモノが牙を剥いたら怖いでしょ?」といって、日用品モチーフの敵怪人を続出させた、はるか後年の『仮面ライダースーパー1(ワン)』(1981・東映)シリーズ後半のジンドグマ編とも同じであり、メインライターの江連卓、もしくは東映の平山プロデューサーや阿部プロデューサーによって、やはり同じような発想から生まれたものだろう。


 発想としては、平日帯番組『キユーピー3分クッキング』(1962~)のオープニングテーマ曲としての方が有名な『おもちゃの兵隊のマーチ』(1897)なり、片足の兵隊人形とバレリーナ人形の悲恋を描いたアンデルセン童話の『スズの兵隊(ブリキの兵隊)』(1838)、チャイコフスキーのバレエ曲の原作童話『くるみ割り人形(とねずみの王様)』(1816)などとも同じなのであった。


 公的には偶像崇拝アニミズムを禁止してきたキリスト教の西欧社会でも、日本の戦後の童謡ヒット曲『おもちゃのチャチャチャ』(1959)の歌詞よろしく、夜に寝静まると兵隊人形やオモチャたちが生きて活動しているという、異教的・アニミズム的な発想は魅惑的であったということであり、これまた世界共通の発想なのだろう。だから、陳腐なのだ、上原氏の独創ではないからダメなのだ、といったことではない。普遍の王道なのだということだ。


 このアイデアは上原氏も気に入っていたらしく、団地(ロケ地は神奈川県横浜市の「たまプラーザ団地」)が夜になると宇宙人の居住区になってしまう『セブン』第47話「あなたは、だあれ?」、後述の『流星人間ゾーン』(1973・東宝)、『太陽戦隊サンバルカン』(1981・東映)第6話「機械の支配する家」でも、家電製品に征服される一般家庭として幾度か描かれている。


 『サンバルカン』のこの話は、ビックカメラヨドバシカメラといった家電量販店がテレビCМを始めた時期と放送が重なっており、のちに氏が自家薬籠中のものとする「社会風刺」的な作風にもつながっていく。


 もちろん、内的な必然性や血肉が感じられる「沖縄」テーマとは異なる、そういったワイドショー的な時事問題に関する「社会風刺」を「良し」と取るのか、やや「陳腐だ」と捉えるのか、といった賛否が特撮マニア間でも分かれてきたことは言うまでもないのだが、筆者個人はこれもまた「是」とする立場なのである。


ウルトラセブン』第17話「地底GO!GO!GO!」


 とある炭鉱で起きた落盤事故に不審な点があったことから、経営会社はウルトラ警備隊に調査と救助を連絡。
 そこでモロボシダン隊員=ウルトラセブン(演・森次晃嗣)が出会ったのは、かつて自分がまだ地球防衛の任ではなく、単なるM78星雲の恒点観測員340号だったときに、最初に出会った地球人・薩摩次郎(さつま・じろう。演・同)だった。
 ウルトラ警備隊の地底戦車・マグマライザーで救助に向かった隊員たちは、そこで異様なロボットばかりがうろつく、謎の地底都市に行きついてしまう。これが事故の原因だと判断したウルトラ警備隊は、薩摩次郎を救出してのち、地底都市を爆破した。



 ……ウルトラセブンが何の目的で地球に来たのか、いかにして彼はモロボシダンという人格を作ったのか、初めて語られたエピソード。異郷であるはずの地球に、宇宙人として乗り込んだ340号は、地球人としてのアイデンティティを打ち立てるために、登山家で仲間を救うために自らザイルを切って自己犠牲に殉じる覚悟でいた勇気ある青年・薩摩次郎をモデルにセブンの地球上での姿と性格でもあるモロボシダンという人格を作ったというのだ。


 迷宮のようでもある超近代的な都市内で、人間サイズのずんぐりむっくりして機械然とした動作で歩行するロボットたちとウルトラ警備隊の面々や等身大サイズのウルトラセブンがバトルするあたりも魅惑的だ。


 そして、最後の謎の地底都市の爆破。


 当時の作り手は深くは考えておらず、とりあえす事件の元凶を破壊することでの「決着感」を出しただけだったのかもしれない。我々も幼少時にはこの処置に疑問を感じなかったものである。
 しかし、クロージング・ナレーションでさらりと可能性に触れてはいるが、これが宇宙人の侵略基地ではなく地球の先住民の都市であれば、『ウルトラセブン』第42話「ノンマルトの使者」(脚本は同郷の金城哲夫)に匹敵する、ウルトラ警備隊や我々地球人の劇中内での絶対正義性を揺るがす暴挙(=文明殲滅)だったかもしれない、などとつい考えてしまうのも、子供視聴者ではないマニア視聴者の性(さが)だろう。


ウルトラセブン』第28話「700キロを突っ走れ!」


 高性能爆薬・スパイナーを地球防衛軍が開発し、研究所から実験場まで運ぶ命令がウルトラ警備隊に下された。キル星人の妨害が予想される中、ダンの発案で同時開催のラリーに紛れ込ませようという作戦が採られる。
 しかし、レーサー役のアマギ隊員(演・古谷 敏)は、子供の頃に体験した花火工場の爆発事故を思い出し、先に走行できなくなってしまう……。



 ……上原氏が『セブン』を語る際、最も印象に残っているというのがこのエピソードだそうだ。沖縄ではごく当たり前に爆薬やミサイル・化学兵器が公道を走るトラックによって運ばれていた事実によって、本話はそれらの投影・風刺だと見る向きも多い。それはともかく、戦争がごく当たり前に日常と併存している沖縄の人間にしか書けないシナリオとして、プロデューサーには評価された一編なのだそうだ。


 「風刺」としての側面から離れれば、ストーリーの主軸は、のちに上原が手掛けた『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975)~『太陽戦隊サンバルカン』(1981)でも多用されたアイテム争奪戦や要人警護にまつわる、敵味方との攻防劇である。後年の『ウルトラマンエース』(1972)第11話「超獣は10人の女?」などもアイテム輸送の争奪戦だったが、本話がその原型だったともいえるのだ。


 実は風刺性やテーマ性などではなく、敵をあざむくにはまず味方から、といったゲーム的な要素も本話には強い。アマギ隊員のトラウマも戦争批判や米軍批判などではなく、近所の花火工場での爆発事故に伴うトラウマなのであった。そして、そのトラウマの解消が本話におけるドラマ性や人間性の表出といったところだ。


 子供の時分に観れば地味なエピソードであるともいえる。日本においては専任のカースタントがまだ確立されていなかったといったところなのか、スピード感あふれるカーアクション演出といった域には達していないあたりも、本話のゲーム的なスパイアクション風味が、映像作品としては結実しきれていないところだ。


 しかし、そんな地味な印象もまた、もう少し長じて物事が分かってきてからの小学校の中高学年以上での視聴時の感慨だろう。幼少時の本話に対する記憶は、本話のゲスト怪獣である「恐竜戦車」。こちらの存在感と、セブンとの大激闘に尽きる! 大方のマニア諸氏の幼児期の記憶でも、本話についてはこの巨大な「戦車」の上に備え付けられた四足歩行型の「恐竜」しかないといっても過言ではないのではなかろうか?


 実は製作費用の節約に伴い、この時期は当時の親会社・東宝からお下がりである特撮美術備品を利用することに伴う苦肉の策としての「恐竜戦車」であって、美術デザインを担当していた成田亨(なりた とおる)などは不本意であったそうだが……。


 上原脚本のそれまでの人間ドラマともある意味では分離したかたちで、特撮シーンそれ自体やゲスト怪獣それ自体が、単独して独立した見せ場にもなってしまう。そして、仮に「本編」ドラマ部分の脚本なり演出が不充分であったとしても、お腹いっぱいの充足感を与えてくれる。それこそが、「特撮」といったジャンルの全てではないにせよ、一方でのこのジャンルの特性・特質でもあるのだ。


 とはいえ、そのうえで上原脚本回としての作家性を無理やりにでも探って見出そうとすれば、第1話冒頭の「地球は狙われている」というナレーション(声・浦野 光)で始まり、「宇宙規模での戦時体制」になっていた『セブン』の世界観は、上原氏にとっての沖縄の現状の合わせ鏡になりうるものだったとは言えるかもしれない。


ウルトラセブン』第X話「300年間の復讐」(未映像化脚本)


 本作のヒロインであるウルトラ警備隊の友里アンヌ隊員(演・菱見百合子)が訓練中に音信不通となり、辿り着いた山荘で、トークと名乗る宇宙人に幽閉される。
 トークは300年前に地球に逃れついてきた、平和を愛する宇宙人だったが、戦国時代の日本で人々が殺気立っている中、その赤毛ゆえに鬼とみなされて、同胞を皆殺しにされてしまった。


 トークはアンヌを殺された妹・シシーと思い込み、300年間かけて作り上げた武器を手に、ふたりで地球人に復讐しようと話を持ちかける。結局、アンヌは救出され、トークもセブンに倒されるのだが、アンヌは一時でもトークと心を通わせた事実に気づき、一時の感傷に浸るのだった……。



 ……ある朝、目が覚めたら、マイノリティである自分の家を隣近所の顔見知りが、手に石や棒を持って包囲しているのではないか? という感覚。自分は最終的なところで絶対に折り合えない他人と共存していかなければならない。そしてともすれば、自分は圧倒的少数派として社会の主流からは外される。しかし、多数派はこともなげに少数派をヘイトし、ことあるごとに排除すべしと公言する……。
 私事で恐縮だが、見た目からして異なる外国人や被差別部落民ほどではないだろうが、筆者も日本ではマイノリティのキリスト教徒ゆえに、そういった感慨を共有している。


 しかし本話では、アンヌ隊員がトーク星人への同情の果てに、彼と共闘して多数派の地球人に対する復讐に加担したわけではなかった。


 さて、300年前ではないが、400年前の江戸時代の初期が上原氏の故郷・琉球王国薩摩藩が乗り込んできた時期だ(その意味で300年前は実はもう戦国時代ではなかったりする)。


 そういった歴史を踏まえれば、だからこれは平和主義者にして「まつろわぬ民」であるところの沖縄が、強者に蹂躙された怨念がそのままむき出しになった話だとは言えるわけで、そういった観点から本話は長年、マニア評論でも語られてきたことも事実なのだ。


 しかし、この関係を21世紀の日本と中国に置き換えてしまうことも可能だ。だから日本も憲法改正を、軍事力強化を! と叫ぶと作家・百田尚樹(ひゃくた・なおき)などの立場もまた、論理的には成り立ってしまうのが、今日的な観点から観た本話の弱点なのかもしれない。


 ちなみに、本編で映像化されることのなかったこの脚本だが、『セブン』シリーズ後半では脚本家陣のローテーションに参加した市川森一(いちかわ・しんいち)が、のちに番組制作当時を回想して執筆した長時間TVドラマ『私が愛したウルトラセブン』(1993・NHK)で、その一部が映像化されており、横浜の「放送ライブラリー」で閲覧することができる。



 なお、この脚本が執筆された背景として憶測されるのが、TV局側のプロデューサーとして、この時期の番組のスタッフに参入した橋本洋二の存在である。


 筑波大学(当時は「東京教育大学」)卒業後、ラジオ東京(TBSの前身)に入社し、ラジオドラマに始まり、『コメットさん』(1967・国際放映)や、後述する『柔道一直線』(1969・東映)などの児童向けドラマの制作に関わってきた。
 特撮マニアとしては、何よりも『帰ってきたウルトラマン』(1971)~『ウルトラマンレオ』(1974)の制作に深く関わって(実際には『タロウ』の前半までのようだが)、「第2期ウルトラシリーズ」のカラーを決定づけたことだ。
 その過程で、30分枠のTVドラマ『刑事くん』(1971~76)なども含めて、市川森一長坂秀佳・田口成光といった一流どころの脚本家を多数育てたことに大きな功績がある。


 後年のマニア間での呼称なのかもしれないが、これを「橋本学校」と呼称する向きも多い。上原氏はその次男坊的なポジションにいたのだ(ちなみに、長兄はラジオドラマの頃から関わってきた脚本家・佐々木 守)。


 戦争の苦難も知らず、何の問題意識も持たず、ぬくぬくと平和な中で裕福に暮らす、内向きな「現代っ子」(当時の子供たちを指した呼称)を批判する橋本の方針は、児童ドラマの作り手として、まず「子供たちに試練を与える」こと、そのために「テーマを掲げる」こと、そして何より「人間の情念を描く」ことにあった。たしかに人間ドラマ一般とはそういうものだろう。


 上原を「情念」の作家であったと評する向きも多い。それにはやや疑念もある。「情念」や「怨念」を大仰に「むき出し」にして叩きつけるような作家では決してない。やや「淡泊」だともいえなくもないからだ。しかし、「情念」がないわけでは決してない。その「情念」はもう少し抑えた感じで表出されてきたからこそ、鼻にはつかないものともなってきたのだ。
 『ウルトラQ』・初代『ウルトラマン』・『快獣ブースカ』・『ウルトラセブン』シリーズ前半の時期は基本、怪獣もの・SFもの・ホームコメディーに徹していた上原氏だった。けれど、そもそもは「沖縄」という「情念」がらみの社会派テーマで世に出ようとしていた人間だったのだ。


 上原氏にとって、この出会いは人生上の転轍機ともなっただろうことは、90年代以降のマニア評論でも衆目の一致として一般化している。自身の内的な必然性を子供向け番組のフィクションに巧妙に織り交ぜて表出してみせても、むしろそれを評価してくれる御仁に出会えた!……といったところだろうか?


 それと同時に、70年代前半の第2期ウルトラシリーズは、やや人間ドラマ的・テーマ的には重たくなりすぎてしまったり湿っぽくなってしまったきらいはあるものの……。
 そして、皮肉にも、当初は第2期ウルトラシリーズのメインライターを務めた上原は、東映特撮ヒーローものへと活躍の場を移すと、『ウルトラセブン』シリーズ後半やその次作『怪奇大作戦』に『帰ってきたウルトラマン』といった作品がまとっていた若干の重たさと暗さ、あるいはホームドラマ性などはやや脱臭した乾いたかたちで、刑事(『ロボット刑事』(1973)、荒野をさすらうロードムービー・西部劇的なヒーロー(『イナズマン』シリーズ)、職業としてのプロフェッショナルたちによるスパイアクション(『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975)といった、その活劇性やヒーロー性のカタルシスの部分が人間ドラマ性やテーマ性の部分にも負けないバランスのとれた作品をものしていくのだ。


 こういったところにも、ドラマ性やテーマ性を重視しすぎたゆえにいったんの終焉を迎えてしまった第2期ウルトラシリーズと、70年代後半にも延命を果たしていく東映特撮ヒーローといった差が出ているのだともいえるだろう。



 しかしともあれ、過去に多くの特撮マニアたちも指摘してきたとおりで、橋本氏と上原氏のふたりのディスカッションから『300年間の復讐』が執筆された可能性は高いだろう。


 そして、この怨念の方向性が、『セブン』の次作であり、ヒーローや怪獣が登場しない、あくまでも人間たちが怪奇現象を地道に解決していく『怪奇大作戦』(1968)の設定や、実際の人間ドラマ重視編へも結実していく。


 「テーマがなくてもドラマは書ける!」と、橋本にひたすら反発した市川森一の意見にも一理はある。彼の意見も正しい。ノン・テーマの作品やナンセンスな作品にも相応の良さはある。


 実際には、橋本イズムがフィクション構築のうえでの全ての方法論ではない。しかし、いずれは橋本以外の誰かが同様の試みを特撮作品に対してほどこしただろうが、少なくともこの時点では橋本が先鞭をつけて、一度は本邦特撮ジャンル作品のドラマ性やテーマ性を底上げしたことも事実なのだ。


 むろん、その試みの全てが成功したわけではなく一長一短なのである。その負の部分を上原は早めに切り上げてしまった。そして、その負の部分を悪い意味でマジメに継承しすぎてしまったのが、第2期ウルトラシリーズや、橋本氏は直接は関わってはいなかったものの『ウルトラマンレオ』の重苦しさなのかもしれない……(それゆえに、長じてからの方が重たいカタルシスが感じられてカルト的な再評価を果たしたりもするわけだが、それは子供向け作品としては手放しで絶賛できることでもないだろう)。


 そして、『怪奇大作戦』は30分ドラマながらも作品の狙い的にも純然たる子供番組だとは言いがたい。よって、明朗な夢とロマンを謳(うた)うような作品ではなかったせいか、『ウルトラQ』『ウルトラマン』『ウルトラセブン』のメインライターを務めてきた円谷プロ企画文芸室長の金城哲夫も、そして市川森一も、『怪奇大作戦』ではほとんど出番がないかたちで終わっている。


(初出・特撮同人誌『『仮面特攻隊2021年号』(21年8月15日発行)所収『上原正三・大特集』「追悼・上原正三①」評より抜粋)


[関連記事]

上原正三の生涯を通じた日本のTV特撮&TVアニメ史! 序章・1937(生誕)~1963年(26歳)

  katoku99.hatenablog.com

ウルトラQ 21話「宇宙指令M774」 ~上原正三の生涯を通して見る『ウルトラQ』の来歴

  katoku99.hatenablog.com

初代『ウルトラマン』『快獣ブースカ』 ~上原正三の生涯を通して見る第1次怪獣ブームの前半

  katoku99.hatenablog.com


[関連記事] ~歴代ウルトラシリーズ序盤評

ウルトラマンブレーザー』(23年)序盤合評 ~鑑賞前と1話の圧倒的映像&話題性! その後はオーソドックスに過ぎてやや地味か?

katoku99.hatenablog.com

ウルトラマンデッカー』(22年)前半総括 ~熱血でも『ダイナ』と別モノ!  防衛隊のGUTSグリフォン・テラフェイザーも敵怪獣を撃破!

katoku99.hatenablog.com

ウルトラマントリガー』(21年)前半総括 ~『ティガ』らしさは看板だけ!? 後日談かつリメイク! 昭和・Z・ギャラファイともリンク!

katoku99.hatenablog.com

ウルトラマンZ(ゼット)』(20年)序盤総括 ~セブンガー大活躍! 「手段」ではなく「目的」としての「特撮」!

katoku99.hatenablog.com

『ウルトラギャラクシーファイト』(19年) ~パチンコ展開まで前史として肯定! 昭和~2010年代のウルトラマンたちを無数の設定因縁劇でつなぐ活劇佳品!

katoku99.hatenablog.com

ウルトラマンタイガ』(19年)序盤総括 ~冒頭から2010年代7大ウルトラマンが宇宙バトルする神話的カッコよさ! 各話のドラマは重めだが豪快な特撮演出が一掃!

katoku99.hatenablog.com

ウルトラマンR/B(ルーブ)』(18年)序盤総括 ~ユルい作風。その玩具性・名乗りの是非。ウルトラ史上最強の空中戦特撮!

d.hatena.ne.jp

ウルトラマンジード』(17年)序盤評 ~クライシス・インパクト! 平行宇宙のひとつが壊滅&修復! その原理とは!?

d.hatena.ne.jp

ウルトラマンX(エックス)』(15年)前半評! 5話「イージス光る時」・8話「狙われたX」・9話「われら星雲!」 ~ゼロ・マックス・闇のエージェント客演!

katoku99.hatenablog.com

ウルトラマンギンガ』(13年)序盤評 ~低予算を逆手に取る良質ジュブナイルだが、それゆえの危惧もアリ!?

katoku99.hatenablog.com

ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY』(08年)#1「レイオニクスハンター」

d.hatena.ne.jp

ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』(07年)#1「怪獣無法惑星」

d.hatena.ne.jp

ウルトラマンメビウス』(06年)#1「運命の出逢い」 ~感激!感涙!大傑作!

d.hatena.ne.jp

ウルトラマンマックス』(05年)#1「ウルトラマンマックス誕生!」 ~序盤評・原点回帰は起死回生となったか!?

d.hatena.ne.jp

ウルトラマンネクサス』(04年)#1「Episode.01夜襲 -ナイトレイド-」 ~ハイソな作りだが、幼児にはドーなのか!?

d.hatena.ne.jp

ウルトラマンネオス』(00年)#1「ネオス誕生」

d.hatena.ne.jp

ウルトラマンダイナ』(97年)#1「新たなる光(前編)」~#11「幻の遊星」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971201/p1

ウルトラマンティガ』(96年)#1「光を継ぐもの」~#15「幻の疾走」

d.hatena.ne.jp

ウルトラマン80(エイティ)』(80年)#1「ウルトラマン先生」 ~矢的猛先生!

d.hatena.ne.jp

『ザ☆ウルトラマン』(79年)#1「新しいヒーローの誕生!!」 ~今観ると傑作の1話だ!? 人物・設定紹介・怪獣バトルも絶妙!

d.hatena.ne.jp

ウルトラマンタロウ』(73年)#1「ウルトラの母は太陽のように」 ~人物像・超獣より強い大怪獣・母・入隊・ヒロイン・5兄弟の正統タロウ誕生を漏れなく描いた第1話!

d.hatena.ne.jp

ウルトラマンエース』(72年)#1「輝け! ウルトラ五兄弟」 ~超獣・破壊・防衛組織結成・先輩&新ヒーロー登場を豪華に描く!

d.hatena.ne.jp

帰ってきたウルトラマン』(71年)#1「怪獣総進撃」 ~第2期ウルトラシリーズ・人間ウルトラマンの開幕!

katoku99.hatenablog.com



ウルトラセブン
上原正三の生涯を通じた日本のTV特撮&TVアニメ史 序章・1937(生誕)~1963年(26歳)!
#ウルトラマン大投票 #全ウルトラマン大投票 #全ウルトラマン #ウルトラマンデッカー



[ウルトラ] ~全記事見出し一覧
拙ブログ・トップページ(最新5記事)
拙ブログ・全記事見出し一覧

初代ウルトラマン・快獣ブースカ ~上原正三の生涯を通して見る第1次怪獣ブームの前半

(2024年4月21日(日)UP)
上原正三の生涯を通じた日本のTV特撮&TVアニメ史! 序章・1937(生誕)~1963年(26歳)
『ウルトラQ』21話「宇宙指令M774」 ~上原正三の生涯を通して見る『ウルトラQ』の来歴
拙ブログ・トップページ(最新5記事)
拙ブログ・全記事見出し一覧


[ウルトラ] ~全記事見出し一覧


初代『ウルトラマン』『快獣ブースカ』 ~上原正三の生涯を通して見る第1次怪獣ブームの前半!

(文・T.SATO)
(2021年7月脱稿)

上原正三の生涯をたどること = 日本のTV特撮&TVアニメの歩み!


1966年・上原29歳『ウルトラマン


 モノクロ作品であった『ウルトラQ』(66年)の後番組として、今度は民間人レギュラーを怪獣退治の専門家集団に変えて、そのうちのひとりの隊員を巨大宇宙人に変身させて怪獣と戦う、ヒーローものの体裁を採った初代『ウルトラマン』(66年)が同年7月から放映が開始されて、やはり平均視聴率36.8%の大人気を誇ることとなる。


 同7月には、フジテレビ月曜夜7時30分枠で手塚治虫マンガを特撮巨大ヒーローとしたピー・プロダクション製作の『マグマ大使』が、やはりカラー作品かつ2~4話で1エピソード完結形式による、地球の創造神・アースが造った金色のロケット人間・マグマ大使が宇宙の帝王・ゴアが呼び寄せた巨大怪獣と戦うフォーマットでスタート。


 こちらも視聴率30%を達成していたという記録があり、初代『マン』全39話を上回る全52話(続けて再放送12本)が放映されている。


 東映も4月からNET(現・テレビ朝日)木曜夜7時枠にて『忍者ハットリくん』実写版を放映。



 29歳となった上原は、初代『マン』では南洋の孤島を舞台に5大怪獣が登場するイベント編である#8「怪獣無法地帯」を金城との連名で担当。終盤の2大宇宙怪獣が登場して宇宙の惑星が舞台となる#38「宇宙船救助命令」の脚本も担当している。


 マニア諸氏はご承知のとおりで、初代『マン』の初期企画とは、#1のゲスト怪獣の名前にも流用された、正義の怪獣が活躍する放映前年65年の企画書『科学特捜隊ベムラー』である。


 この時点での「ベムラー ストーリー案集」では上原は、東宝ゴジラ映画に登場する黄金色の三つ首翼竜怪獣・キングギドラをモチーフにしたらしい「黄金怪鳥スバード」を提案。このプロットは『ベムラー』改め66年の年明けに上梓された正義の宇宙人が活躍する企画書『科学特捜隊レッドマン』の時期には「宇宙船救助命令」としてシナリオ化され、さらに『ウルトラマン』#38として大幅に改稿されて実現している。


 『レッドマン』では「怪獣用心棒」というエピソードも脚本化しており、先の『ウルトラマン 特撮の秘密百科』(勁文社(けいぶんしゃ)・90年6月19日発行)では「この時期の上原を象徴する娯楽脚本だ」と絶賛。
 同作は今は亡き月刊少年マンガ誌『ぼくら』で一峰大二(かずみね・だいじ)作画の連載マンガ『ウルトラマン』「怪獣ゴルダー」回としてマンガ化はされている――このゴルダーもまた黄金怪鳥のイメージ――。


 この『Q』『マン』の時期における未映像化も含む上原の作品は、いずれも新興ジャンル草創期に特有の、ジャンルのウリである「怪獣」そのものの存在や特性が主眼となっており、それとの攻防劇を主体とした娯楽性の高い作劇になっている。しかし、書き下ろしした作品数は少ない。


 先の特撮雑誌『宇宙船』Vol.76(96年春号・5月1日実売)「宇宙船談話室」でも、この時期を上原は「ペーペー」「山田正弘さんや、藤川桂介さんといった大家の原稿取り」「現場からここのところがおかしい、直してよと言って来る。それで、脚本家の先生のところに連絡すると「適当に直してください」とくる。それを我々文芸部が手を入れる。修繕屋と言ってましたよ(笑)」と語っている。


1966年・上原29歳『快獣ブースカ


 上原が本格的に活躍をはじめた作品は、初代『マン』と平行して同66年11月から日本テレビで水曜夜7時枠で放映された、円谷プロ製作でもカラーならぬモノクロ作品であった特撮ホームコメディー『快獣ブースカ』だろう。


 人語をしゃべり小学生レベルのメンタルを持ち、飛行・透明化・分身能力・光線発射などの能力も持っていて、ラーメンが大好きな人間サイズのミニ怪獣ブースカが、子供たちやご近所さんと騒動を巻き起こすご町内コメディーである。


 ブースカは「バラサ、バラサ」(喜)や「シオシオのパー」(嘆)などといった感情に応じた決まり文句を口にするが、『講談社オフィシャルファイルマガジン ウルトラマンVol.1 ウルトラQ』(05年8月25日発行)の「山田正弘インタビュー」によると、「プリプリのキリリンコ」(怒)は上原が産み出したようである。後年のマニア評論が強調するような社会派テーマ性や怨念ばかりではなく、上原には遊び心もあったのだ。


 70~80年代の初期特撮評論では、リアル&シリアス至上主義や「怪獣とは恐怖であらねばならない」怪獣恐怖論が賞揚されたために、『ブースカ』のような作品には批評的なスポットが当たらなかった。しかし、当時も相応に人気は集めており、全26話の予定が全47話に延長されている。
 対外的にそうだと謳(うた)うかはともかくとしても、前年65年にTBSの日曜夜7時30分枠で放映が開始されて大人気を博した藤子不二雄のマンガ(64年)のモノクロTVアニメ化作品『オバケのQ太郎』が視聴率30%を記録していたこと――業界では夜7時枠の『ウルトラQ』と併せて「恐怖のQQタイム」と称された――にあやかった企画でもあっただろう。


 上原は『ブースカ』では#20で初登板してから12本を担当。つまりシリーズ後半の半分を担当したから、実質はメインライターである。内8本は共作ではあるも、4本が後年の有名脚本家で1941(昭和16)年生まれの市川森一(いちかわ・しんいち)とのコンビであり、両者連名で最終回も執筆している。


 「怪獣迎撃モノ」に加えて、ある意味ではその真逆だともいえる異形のキャラが巻き起こす「コメディー」作品への挑戦。この時期の上原は学生時代の「社会派」の志とは真逆な方向に進んでいる。その作風を一度は「活劇」と「コメディー」の2極にも振り切ったのだとの総括もできる。



 ちなみに、プロデビューを果たさんと円谷プロに『ブースカ』のプロット5本を持ち込みし、そのうちの1本を上原が気に入ってくれたことがデビューにつながった旨を、月刊誌『ドラマ』№93(映人社・87年3月号)にて市川が語っている。
 はるか後年、80年前後のSF洋画ブームの折りにスピルバーグ監督による善良な宇宙人と少年との交流をファンタジックに描いた大ヒット映画『E.T.』(82年)が公開された際、上原は市川とふたりで同作を観賞したそうだが、市川は「「ET」なんて「快獣ブースカ」で掃いて捨てるぐらい作って」いて「ちょっと口惜しかった」と同誌で発言していた。



 この当時、円谷プロのスタッフは夜な夜な近くのスナックで交歓していたのは各種書籍で各スタッフが言及している。そこには打ち合わせ後のTBSの監督や外部スタッフも合流していた。
 午後8時半になると酔って他人にカラみ出す金城を避けるためにいっしょにトイレに行くフリをして中座したり、上原の結婚に夫婦で関わり当時~70年代初頭までは大ブームだったボーリングに深夜まで興じたり、映画館・有楽町マリオンの場所にあった今は亡き日劇(日本劇場)で開催された演歌歌手・都はるみのショーへ行くだけでなく彼女の名前を染めた浴衣を作っていっしょに銀座を練り歩こうとしたなどの、当時は親しく付き合っていた上原との俗っぽくも明るい若き日の逸話を、1934(昭和9)年生まれの名脚本家・藤川桂介がその自著『アニメ・特撮 ヒーロー誕生のとき』(ネスコ・文藝春秋・98年8月9日発行)にて言及している。


 藤川はのちの怪獣図鑑の第一人者・大伴昌司(おおとも・しょうじ)も在籍していた大学の放送研究会の先輩でもある飯島敏宏(いいじま・としひろ)監督の伝手で円谷プロ作品に関わることになったそうだ。なお、同著によると『ブースカ』の主題歌作詞は当時の円谷プロの支配人・市川利明(船橋三四)名義となっているが、実際には同氏の円谷プロ退職の印税でのご祝儀として、藤川が作詞したものだそうである。



 66年は10月から先の藤子マンガ原作『ハットリくん』の枠で、水木しげるマンガ原作の『悪魔くん』モノクロ実写版もスタート。


1967年・上原30歳・第1次怪獣ブームの時代


 初代『ウルトラマン』は67年4月上旬に全39話で放映終了。その後番組は変身巨大ヒーローは登場しないものの未来の宇宙を宇宙船でパトロールする宇宙服姿のキャプテンを主人公として、巨大怪獣や宇宙人も登場する東映製作のSF特撮『キャプテンウルトラ』が、円谷プロ製作の次作までのつなぎとして半年間放映されている。
 TBSと武田薬品は『Q』や『マン』と比して同作を視聴率的な成功作とは認めなかったようではあるけれど。


 上原も自著『金城哲夫 ウルトラマン島唄(しまうた)』(筑摩書房・99年10月25日発行)で、



「(中略)チャチイな、特撮」
「ま、予定通り半年で終わりだね」(中略)「キャプテンウルトラ」はミニチュアなど作り物の粗雑な面が目立った。視聴率四十%を突破して意気揚々たる円谷プロのスタッフからすれば、“わが敵にあらず”であった」



と語っている。


 たしかに上原の当時のオトナ目線での『キャプテンウルトラ』の特撮に対する感慨もごもっともだとはいえる――けれど、特撮ライター・金田益美(かねだ・ますみ)などは、『宇宙船』Vol.80(97年春号・5月1日実売)「ウルトラゾーンの時代」第7回で「(キャプテンウルトラが搭乗する宇宙船)シュピーゲル号の操演などは(初代『ウルトラマン』に登場する戦闘機)ジェットビートルを遙かに上回っていた」とも語っているが――。


 しかし、同作の平均視聴率も25.5%には達している。ゴジラよりもガメラ、ウルトラよりもライダー、といったややB級で泥クサくても、それゆえに味わいがあると感じる心性もまた、人々や子供の心の中には全員とはいわずとも相応にはあるものなのだ。先の『ブースカ』の平均視聴率が15%程度でも成功視されていたことを思えば、やはり同作も第1次怪獣ブームの一翼を担った偉大な作品ではあったのだ。


 東映はこの67年4月から関西テレビ(フジテレビ系)で水曜夜7時枠にて信長・秀吉の時代を舞台とした特撮時代劇の不朽の名作『仮面の忍者 赤影』もスタートさせ、1年間の放映期間をまっとうしている。やはり巨大怪獣も登場した同作もまた、第1次怪獣ブームを盛り上げた作品なのだ。


(以下、順次アップ予定!)

1967年・上原30歳『ウルトラセブン

1967年・『セブン』#17 ~モロボシダンと薩摩次郎

1967年・『セブン』「宇宙人15+怪獣35」

1967年・『セブン』橋本洋二&「300年間の復讐」

1967年・『セブン』後半の低落をどう捉えるか?

1968年・上原31歳『怪奇大作戦

1968年・『怪奇』#16「かまいたち

1969年・上原32歳『柔道一直線

1969年・『青春にとび出せ!』『オレとシャム猫』『どんといこうぜ!』

1969~70年・『彦左と一心太助』『千葉周作 剣道まっしぐら』

1970年・上原33歳『チビラくん』『紅い稲妻』~『仮面ライダー』前夜


(初出・特撮同人誌『『仮面特攻隊2021年号』(21年8月15日発行)所収『上原正三・大特集』「上原正三の生涯を通じた日本のTV特撮&TVアニメ史① 1970年まで」評より抜粋)


快獣ブースカ』42話「物体Xコロリン」

(文・犬原 人)


 快獣ブースカ(声・高橋和枝)たちが発行していた壁新聞『ブースカ新聞』が、『ドラえもん』(1969~1996)でいえば、スネ夫ジャイアンを足して2で割ったような敵役・メチャ太郎の発行した壁新聞『メチャ新聞』にスクープで負けてしまった。メチャ太郎は流星の写真を撮って「宇宙怪獣の襲来だ!」と騒ぎ立てていたのだ。


 ブースカの飼い主屯田大作(とんだ・だいさく……演・宮本智弘)は、負けた悔しさで特ダネを探すが、そこで新聞記事で鬼怒川(きぬがわ)の五十里湖(いかりこ)の水が一夜にして干上がったことを知る。
 ブースカの弟分で宇宙快獣のチャメゴン(声・堀 絢子(じゅんこ))は、メチャ太郎が撮ったあの流星は「コロリン」だったかもしれないよと発言した。


 チャメゴンが言うには、コロリンは水を吸って際限なく成長し、やがては何でも食べてしまう危険な生物だ。大作たちはスクープを撮るため、ブースカ、チャメゴン、そしてガールフレンドのミー子(演・中原純子)を連れて鬼怒川温泉に急行。現地で知り合ったSFマニアの宇 中人(う・ちゅうじん)と合流して、コロリン退治に乗り出す……。


(宇 中人は、在日中国人や韓国人としての本名なのか、SFマニアとしてのペンネームなのか、よくわからない怪人物だが、子供に渡すような名刺にそう書いているのだから、たぶん後者なのだろう)



 ……下町の発明少年・屯田大作が大怪獣を造ろうとしてイグアナに特殊飼料を食べさせたところ、その材料費が足りなかったために、特売の卵を使ってしまったので誕生してしまった、怪獣ならぬ「快獣」ブースカが繰り広げる、笑いとファンタジーに溢れた横丁喜劇。特撮キャラクターコメディの草分けと言っても過言ではない『ブースカ』(第1号は東映の実写版『忍者ハットリくん』(1966)だろうか? ……と思っていたら、同じ東映の『丸出だめ夫』(同)が控えていた)。
 上原氏は本作でもいかんなくその才能を開花させている。


 今回は鬼怒川・日光を舞台にした一大タイアップ編で、見せ場も特撮もふんだんに用意されている。自分がコロリンをやっつけるところを撮影しようとして、戦う前にわざわざセルフタイマーをセットするブースカのお茶目さや、宇宙に追放されたコロリンが放り込まれた太陽に、笑った顔がつけられているといったイメージの妙が光っている。


 このへんのナンセンス加減が、後年の『がんばれ!! ロボコン』(1974)や『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975)の後半はもとより、1980年代の同じ『戦隊シリーズ』における曽田博久(そだ・ひろひさ)、そして何より同じく「東映不思議コメディ」シリーズと呼ばれる一群の作品(1982~1993)でブレイクする浦沢義雄(うらさわ・よしお)に隔世遺伝的に引き継がれているともいえよう。


(初出・特撮同人誌『『仮面特攻隊2021年号』(21年8月15日発行)所収『上原正三・大特集』「追悼・上原正三①」評より抜粋)


[関連記事]

上原正三の生涯を通じた日本のTV特撮&TVアニメ史! 序章・1937(生誕)~1963年(26歳)

  katoku99.hatenablog.com

ウルトラQ 21話「宇宙指令M774」 ~上原正三の生涯を通して見る『ウルトラQ』の来歴

  katoku99.hatenablog.com


[関連記事] ~歴代ウルトラシリーズ序盤評

ウルトラマンブレーザー』(23年)序盤合評 ~鑑賞前と1話の圧倒的映像&話題性! その後はオーソドックスに過ぎてやや地味か?

katoku99.hatenablog.com

ウルトラマンデッカー』(22年)前半総括 ~熱血でも『ダイナ』と別モノ!  防衛隊のGUTSグリフォン・テラフェイザーも敵怪獣を撃破!

katoku99.hatenablog.com

ウルトラマントリガー』(21年)前半総括 ~『ティガ』らしさは看板だけ!? 後日談かつリメイク! 昭和・Z・ギャラファイともリンク!

katoku99.hatenablog.com

ウルトラマンZ(ゼット)』(20年)序盤総括 ~セブンガー大活躍! 「手段」ではなく「目的」としての「特撮」!

katoku99.hatenablog.com

『ウルトラギャラクシーファイト』(19年) ~パチンコ展開まで前史として肯定! 昭和~2010年代のウルトラマンたちを無数の設定因縁劇でつなぐ活劇佳品!

katoku99.hatenablog.com

ウルトラマンタイガ』(19年)序盤総括 ~冒頭から2010年代7大ウルトラマンが宇宙バトルする神話的カッコよさ! 各話のドラマは重めだが豪快な特撮演出が一掃!

katoku99.hatenablog.com

ウルトラマンR/B(ルーブ)』(18年)序盤総括 ~ユルい作風。その玩具性・名乗りの是非。ウルトラ史上最強の空中戦特撮!

d.hatena.ne.jp

ウルトラマンジード』(17年)序盤評 ~クライシス・インパクト! 平行宇宙のひとつが壊滅&修復! その原理とは!?

d.hatena.ne.jp

ウルトラマンX(エックス)』(15年)前半評! 5話「イージス光る時」・8話「狙われたX」・9話「われら星雲!」 ~ゼロ・マックス・闇のエージェント客演!

katoku99.hatenablog.com

ウルトラマンギンガ』(13年)序盤評 ~低予算を逆手に取る良質ジュブナイルだが、それゆえの危惧もアリ!?

katoku99.hatenablog.com

ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY』(08年)#1「レイオニクスハンター」

d.hatena.ne.jp

ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』(07年)#1「怪獣無法惑星」

d.hatena.ne.jp

ウルトラマンメビウス』(06年)#1「運命の出逢い」 ~感激!感涙!大傑作!

d.hatena.ne.jp

ウルトラマンマックス』(05年)#1「ウルトラマンマックス誕生!」 ~序盤評・原点回帰は起死回生となったか!?

d.hatena.ne.jp

ウルトラマンネクサス』(04年)#1「Episode.01夜襲 -ナイトレイド-」 ~ハイソな作りだが、幼児にはドーなのか!?

d.hatena.ne.jp

ウルトラマンネオス』(00年)#1「ネオス誕生」

d.hatena.ne.jp

ウルトラマンダイナ』(97年)#1「新たなる光(前編)」~#11「幻の遊星」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971201/p1

ウルトラマンティガ』(96年)#1「光を継ぐもの」~#15「幻の疾走」

d.hatena.ne.jp

ウルトラマン80(エイティ)』(80年)#1「ウルトラマン先生」 ~矢的猛先生!

d.hatena.ne.jp

『ザ☆ウルトラマン』(79年)#1「新しいヒーローの誕生!!」 ~今観ると傑作の1話だ!? 人物・設定紹介・怪獣バトルも絶妙!

d.hatena.ne.jp

ウルトラマンタロウ』(73年)#1「ウルトラの母は太陽のように」 ~人物像・超獣より強い大怪獣・母・入隊・ヒロイン・5兄弟の正統タロウ誕生を漏れなく描いた第1話!

d.hatena.ne.jp

ウルトラマンエース』(72年)#1「輝け! ウルトラ五兄弟」 ~超獣・破壊・防衛組織結成・先輩&新ヒーロー登場を豪華に描く!

d.hatena.ne.jp

帰ってきたウルトラマン』(71年)#1「怪獣総進撃」 ~第2期ウルトラシリーズ・人間ウルトラマンの開幕!

katoku99.hatenablog.com



ウルトラマン
快獣ブースカ
上原正三の生涯を通じた日本のTV特撮&TVアニメ史 序章・1937(生誕)~1963年(26歳)!
#ウルトラマン大投票 #全ウルトラマン大投票 #全ウルトラマン #ウルトラマンデッカー



[ウルトラ] ~全記事見出し一覧
拙ブログ・トップページ(最新5記事)
拙ブログ・全記事見出し一覧

ウルトラQ 21話「宇宙指令M774」 ~上原正三の生涯を通して見る『ウルトラQ』の来歴

(2024年4月21日(日)UP)
『シン・ウルトラマン』徹底解析 ~賛否渦巻くワケも解題。映像・アクション・ミスリードな原点回帰・高次元・ゾーフィ・政治劇・構造主義・フェミ!
上原正三の生涯を通じた日本のTV特撮&TVアニメ史! 序章・1937(生誕)~1963年(26歳)
拙ブログ・トップページ(最新5記事)
拙ブログ・全記事見出し一覧


[ウルトラ] ~全記事見出し一覧


ウルトラQ』21話「宇宙指令M774」 ~上原正三の生涯を通して見る『ウルトラQ』の来歴

(文・T.SATO)
(2021年7月脱稿)

上原正三の生涯をたどること = 日本のTV特撮&TVアニメの歩み!


1963年・上原26歳『ウルトラQ』始動


 脚本家・上原正三(うえはら・しょうぞう)26歳の年であるこの1963(昭和38)年4月に特撮製作会社である円谷プロが設立。1938(昭和13)年生まれの金城哲夫(きんじょう・てつお)も企画文芸部長として参加する。
 そして、同年には早くも円谷プロの創設者・円谷英二つぶらや・えいじ)の長男にして、TV局・TBSの社員で草創期のTV番組の演出家でもあった1931(昭和6)年生まれの円谷一つぶらや・はじめ)が中心となって、TVドラマシリーズ『UNBALANCE(アンバランス)』の企画が立ち上がっている。


 上原が27歳の年である翌1964(昭和39)年9月に同作は撮影を開始。東京オリンピックが開催された10月には体操競技での「ウルトラC」を受けて、タイトルが『ウルトラQ』に変更。
 おそらく12月に、初期製作5話分を観賞したTBS側の栫井巍(かこい・たかし)プロデューサー――演出家時代は飯島敏宏(いいじま・としひろ)監督の上司――の判断で、「SFアンソロジー」ではなく「怪獣」中心路線に変更されている。


 民間航空のセスナパイトロットとその助手に新聞社の女性カメラマンが行く先々で怪獣や怪奇現象に遭遇する『ウルトラQ』は、「単なる怪獣モノではなかった」という理論武装で持ち上げる向きも多い。


――しかし、第1世代の特撮ライター・竹内博などは自身が『Q』に多大なる影響を受けた世代だと公言しつつも、初代『マン』こそ普遍性がある傑作で、


「『ウルトラQ』は、現実問題として今見直して面白いかというと(中略)冷静な目で見れば(中略)半分くらい腐っているかもしれない」


とまで、自著『元祖怪獣少年の日本特撮映画研究四十年』(実業之日本社・01年12月21日発行)で語っているが――


 自身の幼少期の嗜好を振り返ってみても、子供たちが「SF」や「怪奇」に興味がないとは思わないが、やはりそれ以上に「ヒーロー」や「巨大怪獣」に興味を向けて執着していたことを思い出す。そう考えれば、栫井の英断こそが日本のTV特撮を隆盛に導いたとも私見するのだ。


 第2クールでは、第1クールに登場した怪獣ゴメス・ペギラ・トドラの再登場、怪獣ゴローが再登場して宇宙怪獣(ガラモン?)と戦うエピソード、パゴスvsケムール人vsガラモン、陸海空の5大怪獣トーナメントなども企画されている。コレらが実現していればさらに人気は沸騰しただろうと信じてやまない。


 この63年には、国産TVアニメ第1号『鉄腕(てつわん)アトム』や『鉄人28号』に『エイトマン』も放映。その後の数年にわたってアニメブームが訪れて、1960年前後生まれのいわゆる新人類世代(=オタク第1世代)の原体験ともなっている。
――しかし、1970年前後にTVは急速にカラー化されたために、これらのモノクロ作品は70年代にはもう再放送はされなかった。よって、オタク第2世代以降にとっては、これらの作品については馴染みがウスいことも事実だ――。


1964年・上原27歳『収骨』


 脚本家志望であれば「賞を獲れ」との円谷一の助言で同64年、上原は芸術祭一般公募部門に『収骨』で応募している。その内容は


「沖縄決戦でひとり息子をなくした北海道の母が沖縄に来ていろいろな人に逢う」


という内容だったそうだ。しかし、1937(昭和12)年の早生まれで上原と同学年である先実相寺昭雄(じっそうじ・あきお)監督の著書『夜ごとの円盤 怪獣夢幻館』(88年2月29日発行)収録「ウルトラマンを作った男――金城哲夫」(初出『潮(うしお)』82年6月号)での実相寺の聞き語りで上原は、



「(註:奨励)賞を貰(もら)ったけど、もうあんなの厭(いや)ですね。(中略)沖縄の現状を被害者の立場で訴えているのが耐えられなくってね。もっと加害者としての沖縄を書きたいと思っているんですよ。……だって今のままじゃひどく不毛でしょう。沖縄から生まれる被害者意識ドラマと内地から来る感情贖罪ドラマが、いつまでたっても平行線を辿ってしまうもの。(中略)それなら、盗みにかけちゃ天才的な奴らが米軍の貯蔵庫から落下傘を盗み出し、その糸をほぐして空罐を利用した三線(三味線のこと)を作り、歌や踊りを忘れなかったっていうようなドラマをやってほしいなあ」



とも語っている――東西冷戦真っ最中で左右双方の政治思想がまだまだ相対化されていなかった1982年の時点で、すでにココまでの左右を超越した境地に到達していたとは!――。


 ちなみに実相寺は同著で、当時の上原を「強靱な意志をおだやかな眼差しともの静かな物腰に包んだ」と評している。


 この64年は、子供向け実写スパイアクションのヒット作『忍者部隊 月光』も放映。


1965年・上原28歳『ウルトラQ』参画


 1965(昭和40)年1月に授賞式のために上京して円谷プロを訪れた上原は、金城の依頼でしばらくして円谷プロの社員となる。


 この65年の早い時期だと思われるが、「ウルトラQ プロット集」も上梓されている。


 編集プロダクション・タルカスの高橋和光が構成・編集、浅井和康・元山掌・早川優・大江春泥といったマニアの大家たちが執筆した『ウルトラマン 特撮の秘密百科』(勁文社(けいぶんしゃ)・90年6月19日発行)では、金城は同時期に『ウルトラQ』脚本№15「ペギラが来た!」の全面改訂で多忙であったために、同プロット集に収録された「クラゲモンの襲来」――未映像化作品「Oil S.O.S」のプロット――と『生きていた化石』――#24「ゴーガの像」のプロット――に、のちの準備稿の「イメージがストレートに表出」との見解から、この「プロット集」それ自体が上原によって執筆された可能性が高いと推測している。


――その後に進んだ研究や証言で、すでに真相が解明済であればご容赦を――


 上原の『ウルトラQ』における初脚本は、石油を吸収して成長するエイ型怪獣クラプトンが登場する上記の「Oil S.O.S」。上原が28歳である65年5月に同話は撮影が予定されていた。しかし、ロケ地である品川の出光石油(いでみつ・せきゆ)からのクレームで製作中止となっている。この怪獣クラプトンの造形物は同じく上原のデビュー作となった『ウルトラQ』#21「宇宙指令M774」に登場した怪獣ボスタングに改造された。


 特撮雑誌『宇宙船』Vol.76(96年春号・5月1日実売)「宇宙船談話室」での上原正三の発言によると、「宇宙指令M774」は同じく初監督を務めた1937(昭和12)年生まれである満田かずほ(みつた・かずほ)の親戚に自衛隊に在籍している御仁がいて、護衛艦を借りることが可能だとのことで執筆したシナリオだったそうである。
 先の怪獣クラプトンもはるか後年の映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』(09年)に登場した百体怪獣ベリュドラを構成する1体ともなっている(笑)――



 日本の実写TVヒーロー第1号『月光仮面』の第2部「パラダイ王国の秘宝篇」(58年5月~)に端を発する武田薬品1社提供、日曜夜7時の「タケダアワー」枠で1966(昭和41)年正月から放映が開始された『ウルトラQ』は平均視聴率が32.4%を記録する大ヒット。


 1960年代には盆暮れに東宝ゴジラ映画や怪獣映画や特撮映画が公開されることで、すでに子供間では怪獣が人気を博していた。
 しかし、奇遇にも『Q』放映直前の65年11月には映画会社・大映製作の空飛ぶカメ型怪獣が大活躍する映画『大怪獣ガメラ』もヒット。即座に続編も決定して、早くも『Q』放映中の66年4月に『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』が特撮時代劇映画『大魔神』との2本立てで公開されてこちらもヒット。
 いわゆる「第1次怪獣ブーム」が沸騰していく。そして、翌67年に映画会社・日活が『大巨獣ガッパ』を、松竹が『宇宙大怪獣ギララ』を製作する端緒ともなった。これらの怪獣映画は関東地方では1970年代いっぱいまでは盆暮れや春休みなどにひんぱんにTVで放映されていたので、70年代世代にとっても馴染みが深い。


 『Q』では上原は、先の宇宙エイ・ボスタングが登場する#21「宇宙指令M774」と貝獣ゴーガが登場する#24「ゴーガの像」の2本の脚本を担当している。



(以下、順次アップ予定!)

1966年・上原29歳『ウルトラマン

1966年・上原29歳『快獣ブースカ

1967年・上原30歳・第1次怪獣ブームの時代

1967年・上原30歳『ウルトラセブン

1967年・『セブン』#17 ~モロボシダンと薩摩次郎

1967年・『セブン』「宇宙人15+怪獣35」

1967年・『セブン』橋本洋二&「300年間の復讐」

1967年・『セブン』後半の低落をどう捉えるか?

1968年・上原31歳『怪奇大作戦

1968年・『怪奇』#16「かまいたち

1969年・上原32歳『柔道一直線

1969年・『青春にとび出せ!』『オレとシャム猫』『どんといこうぜ!』

1969~70年・『彦左と一心太助』『千葉周作 剣道まっしぐら』

1970年・上原33歳『チビラくん』『紅い稲妻』~『仮面ライダー』前夜


(初出・特撮同人誌『『仮面特攻隊2021年号』(21年8月15日発行)所収『上原正三・大特集』「上原正三の生涯を通じた日本のTV特撮&TVアニメ史① 1970年まで」評より抜粋)


ウルトラQ』21話「宇宙指令M774」評

(文・犬原 人)


 毎朝新報のカメラマン・江戸川由利子(演・桜井浩子)は、夜のクルーズ船でしゃべる人形をひろう。「私の名はゼミ。ルパーツ星人です」という不気味なメッセージに、思わず捨ててしまう彼女だった。


 しかし、その数日後、彼女の友人で民間航空のパイロット・万城目淳(演・佐原健二)と戸川一平(演・西條康彦)が飛行中に失踪して、不気味な喫茶店に辿り着く。そこのジュークボックスを介して、同じ内容の警告……「宇宙指令M774」を聞かされる。
 地球侵略の手段として、キール星人が怪獣兵器ボスタングを地球に送り込んだというのがその内容だ。


 私の話が信用できないのであればと、ルパーツ星人……中央図書館の一条貴世美を名乗る彼女に、3人でコンタクトを取る。


 彼女の話を受け、由利子らは海上保安庁に4人で出向く。巡視船はボスタングに遭遇する。


 音に敏感なボスタングは巡視船を狙って突撃。巡視船はエンジンを切って難を逃れる。


 そのボスタングが偶然通りかかった貨客船を狙ったため、船長は再びエンジン音を出してボスタングを引き付ける(船長を演じた藤田 進は、『帰ってきたウルトラマン』(71年)でもМATの長官役として出演している)。


 ボスタングは飛来してきた救援隊(航空自衛隊?)の空爆を受けて爆発四散。地球の危機は回避された。



 ……地球はすでに地球人のあずかり知らぬところで、広大なる宇宙秩序に組み込まれてしまっているのだという、SF的な世界観が明らかになっていく作品である。


 しかし、やはり白眉はラストシーンだ。宇宙の平和を守るために地球に派遣されたルパーツ星人が、履いていたサンダルを見せびらかして、


「あなたの隣にいる人も、宇宙人かもしれませんよ」


と不気味に笑いかけるショットは、もちろん価値相対主義的なSFテイスト、すでに周囲の多数派が正体を隠した宇宙人であるかもしれない、という感慨を狙ったものだろう。


 たしかにああいう見せ方をされては、同じサンダルを履いたそこらじゅうの人々がみんな宇宙人に見えてしまう。そういった感慨をもよおすことが狙いではあっただろう。



 しかし、上原個人を「宇宙の平和を守るために地球に派遣されたルパーツ星人」、すでに「多数派になっている正体を隠した宇宙人」として捉えるのではなく、今となっては俗流で陳腐化した見方かもしれない「本土人から見れば沖縄人も宇宙人の側」であると捉えるのであれば、我々ヤマトンチューへの宣戦布告だとの見方もありうるのだろう。


 異邦人としてこの国で生きてやる! と決意していたと語っている沖縄出身の上原氏が、この特撮・SFジャンルならば自分の描きたいことを書けるという確信を得たかもしれないエピソードとして、我々マニア人種がそのようにも観てしまう作品には違いない。デビュー作には作家のすべてがすでに込められているという格言を、改めて思い出す。



 なお、ヤボではあるが、新聞記者のヒロイン・由利子はともかく、しがない民間パイロットの主人公・万城目と一平に、なぜルパーツ星人はそんな重要な指令を放ったのだろうか? もちろん、それは作品の主人公だからであるのだが……。


 本話にかぎった話ではないものの、こういったヤボともいえる疑問もまた一応は正当なものではある。単発作品であれば、気にならないのだが、週1のTVドラマで毎回、偶然にも怪事件に遭遇するようでは、そのような疑問が生じてしまうこともむべなるかな、なのだ。
 本放映当時にも、そういった一般視聴者の声があったことを、何かの書籍や同人誌でのモニター調査資料の再録記事などで目にした記憶がある(もちろん、メインターゲットの子供視聴者の声ではないのだが)。


 同作の連続ドラマとしての構造面での欠陥が、週1でも超常現象に遭遇しても不思議ではないレギュラーキャラクターの集団として、次作『ウルトラマン』(1966)の「科学特捜隊」なる組織を生み出していく。


(初出・特撮同人誌『『仮面特攻隊2021年号』(21年8月15日発行)所収『上原正三・大特集』「追悼・上原正三①」評より抜粋)


[関連記事]

上原正三の生涯を通じた日本のTV特撮&TVアニメ史! 序章・1937(生誕)~1963年(26歳)

katoku99.hatenablog.com


[関連記事] ~歴代ウルトラシリーズ序盤評

ウルトラマンブレーザー』(23年)序盤合評 ~鑑賞前と1話の圧倒的映像&話題性! その後はオーソドックスに過ぎてやや地味か?

katoku99.hatenablog.com

ウルトラマンデッカー』(22年)前半総括 ~熱血でも『ダイナ』と別モノ!  防衛隊のGUTSグリフォン・テラフェイザーも敵怪獣を撃破!

katoku99.hatenablog.com

ウルトラマントリガー』(21年)前半総括 ~『ティガ』らしさは看板だけ!? 後日談かつリメイク! 昭和・Z・ギャラファイともリンク!

katoku99.hatenablog.com

ウルトラマンZ(ゼット)』(20年)序盤総括 ~セブンガー大活躍! 「手段」ではなく「目的」としての「特撮」!

katoku99.hatenablog.com

『ウルトラギャラクシーファイト』(19年) ~パチンコ展開まで前史として肯定! 昭和~2010年代のウルトラマンたちを無数の設定因縁劇でつなぐ活劇佳品!

katoku99.hatenablog.com

ウルトラマンタイガ』(19年)序盤総括 ~冒頭から2010年代7大ウルトラマンが宇宙バトルする神話的カッコよさ! 各話のドラマは重めだが豪快な特撮演出が一掃!

katoku99.hatenablog.com

ウルトラマンR/B(ルーブ)』(18年)序盤総括 ~ユルい作風。その玩具性・名乗りの是非。ウルトラ史上最強の空中戦特撮!

d.hatena.ne.jp

ウルトラマンジード』(17年)序盤評 ~クライシス・インパクト! 平行宇宙のひとつが壊滅&修復! その原理とは!?

d.hatena.ne.jp

ウルトラマンX(エックス)』(15年)前半評! 5話「イージス光る時」・8話「狙われたX」・9話「われら星雲!」 ~ゼロ・マックス・闇のエージェント客演!

katoku99.hatenablog.com

ウルトラマンギンガ』(13年)序盤評 ~低予算を逆手に取る良質ジュブナイルだが、それゆえの危惧もアリ!?

katoku99.hatenablog.com

ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY』(08年)#1「レイオニクスハンター」

d.hatena.ne.jp

ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』(07年)#1「怪獣無法惑星」

d.hatena.ne.jp

ウルトラマンメビウス』(06年)#1「運命の出逢い」 ~感激!感涙!大傑作!

d.hatena.ne.jp

ウルトラマンマックス』(05年)#1「ウルトラマンマックス誕生!」 ~序盤評・原点回帰は起死回生となったか!?

d.hatena.ne.jp

ウルトラマンネクサス』(04年)#1「Episode.01夜襲 -ナイトレイド-」 ~ハイソな作りだが、幼児にはドーなのか!?

d.hatena.ne.jp

ウルトラマンネオス』(00年)#1「ネオス誕生」

d.hatena.ne.jp

ウルトラマンダイナ』(97年)#1「新たなる光(前編)」~#11「幻の遊星」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971201/p1

ウルトラマンティガ』(96年)#1「光を継ぐもの」~#15「幻の疾走」

d.hatena.ne.jp

ウルトラマン80(エイティ)』(80年)#1「ウルトラマン先生」 ~矢的猛先生!

d.hatena.ne.jp

『ザ☆ウルトラマン』(79年)#1「新しいヒーローの誕生!!」 ~今観ると傑作の1話だ!? 人物・設定紹介・怪獣バトルも絶妙!

d.hatena.ne.jp

ウルトラマンタロウ』(73年)#1「ウルトラの母は太陽のように」 ~人物像・超獣より強い大怪獣・母・入隊・ヒロイン・5兄弟の正統タロウ誕生を漏れなく描いた第1話!

d.hatena.ne.jp

ウルトラマンエース』(72年)#1「輝け! ウルトラ五兄弟」 ~超獣・破壊・防衛組織結成・先輩&新ヒーロー登場を豪華に描く!

d.hatena.ne.jp

帰ってきたウルトラマン』(71年)#1「怪獣総進撃」 ~第2期ウルトラシリーズ・人間ウルトラマンの開幕!

katoku99.hatenablog.com



ウルトラQ
上原正三の生涯を通じた日本のTV特撮&TVアニメ史 序章・1937(生誕)~1963年(26歳)!
#ウルトラマン大投票 #全ウルトラマン大投票 #全ウルトラマン #ウルトラマンデッカー



[ウルトラ] ~全記事見出し一覧
拙ブログ・トップページ(最新5記事)
拙ブログ・全記事見出し一覧

ウルトラマンブレーザー序盤合評 ~鑑賞前と1話の圧倒的映像&話題性! その後はオーソドックスに過ぎてやや地味か?

『ウルトラマンデッカー』(22年)前半総括 ~熱血でも『ダイナ』と別モノ!  防衛隊のGUTSグリフォン・テラフェイザーも敵怪獣を撃破!
『帰ってきたウルトラマン』(71年)#1「怪獣総進撃」 ~第2期ウルトラシリーズ・人間ウルトラマンの開幕!
拙ブログ・トップページ(最新10記事)
拙ブログ・全記事見出し一覧


[ウルトラ] ~全記事見出し一覧


ウルトラマンブレーザー』序盤合評 ~鑑賞前と1話の圧倒的映像&話題性! その後はオーソドックスに過ぎてやや地味か?

ウルトラマンブレーザー』プレミア発表会

(文・ビオラン亭ガメラ


 『ウルトラマンブレーザー』プレミア発表会(2023年6月12日)を観ました。


 防衛隊が前線で活躍する映画『シン・ウルトラマン』(22年)みたいで楽しみです。デジタル着ぐるみでもないし(笑)。田口監督作品はミリタリー色、出るよね~。自主製作短編特撮シリーズ『UNFIX(アンフィックス)』(19年)とか。ホント、好きねぇ~ なんか映像も今までと違う感じで、カメラが違うんですかね?


 ウルトラマンブレーザーが大胆なデザイン。モノクロ? 赤と青が静脈、動脈で人間を表してる? とか思いました。昔のウルトラマンって「人間(のような種族)が人工太陽プラズマスパークで進化した」という設定の現代版みたい?


 主演は『仮面ライダードライブ』(14年)の悪側のボスの人ですか。頼れる大人感、イイね。長官役の加藤雅也は悪役なのかなぁ……宇宙人乗っ取られ型かもしんないけど。それもよくあるパティーンで、21世紀のウルトラシリーズでも幾つかあったけど。


 変身アイテムはオモチャまるだしだけど、なんかデカくてこちらもなかなかカッコいいけど高額…… ブレスにハメる「石」を集めてらんねーわ(笑)。「石」のデザインも『機界戦隊ゼンカイジャー』(21年)の「戦隊メダル」(劇中での名は戦隊ギア)みたいで良いね!


 しかし、最近はLED玩具ばっか。昭和のライダーベルトなんかもLED仕様で復刻したら化けるかも? 発表会恒例の「みんなで変身コーナー」。これって売上に貢献してるの?(笑) いつも皆さん楽しそうで良いですね!


 防衛隊の怪獣型巨大ロボット・アースガロン。防衛隊の怪獣型メカは『ウルトラマンZ(ゼット)』(20年)のセブンガー以降の定番化。いい傾向です。しかし、あんまり元ネタの怪獣アーストロンに似てないよなぁ…… ツノ一本にしろや! 別にアーストロンを意識したデザインではなくて、名前は後付なのかもね? 今回は二人で操縦ってのもリアル。スーパーロボット感がなくてグッド!


 そして新怪獣! 昨今の状況を鑑みると怪獣の新造は相当厳しいんだろうなと。まぁ、過去には「よりによって、このマイナー怪獣をなんで新造したんだよ!」って思うことも多々ありましたが(苦笑)。今回、少しは予算おりたのか?


 今年のスーパー戦隊が「LEDウォール」(背景は巨大な高精細LEDモニターに映したものをそのまま撮影。今ではNHK大河ドラマなどでも多用)なんてのやってますけど、あれだって要するにロケ代浮かすためであって、令和の今、特撮ものなんてコスパ最悪のTVドラマなんですよね…… 正直、毎週ミニチュア特撮やってるなんてのは狂気の沙汰なんでしょうなぁ。今は知らんけど、昔のウルトラなんて、いつも億単位の赤字だったって聞いてるし…… そんな中でよくやってるよ! 偉いよ!


 「長年やってきて、やって良いこと、悪いことが分かってきた」、「基本、明るく楽しいウルトラマン」との田口監督の発言が……(涙)。『ウルトラマンオーブ』(16年)の絶対に実現できそうもない前日談や後日談を描く全「エピソード10」構想とかな!(笑)


 今からワクテカが止まりません。放映が楽しみです~ あと、またどっかでビックカメラ京王調布店、出してあげて~(笑)


(了)
(初出・特撮同人誌『『仮面特攻隊2023年号』(23年8月12日発行)所収『ウルトラマンブレーザー』序盤合評1より抜粋)


ウルトラマンブレーザー』序盤合評1 ~『ブレーザー』序盤評

(文・T.SATO)


 今度の新作ウルトラマンは、頭部の突起が左右非対称!


 こういったデザイン上での斬新かつ変化球の試みも、7年ぶりに再開されたTVシリーズが、もう10年以上の長きにわたって放映されているゆえだろう。マニアや子供たちにとっても、シリーズが浅い段階での冒険であればともかく、10年もの作品群の重みで、少々の冒険をした程度では、「ウルトラマン一般」という「キャラクター」や「ブランド」それ自体の「揺らぎ」は相対的にも減って感じられてくるものなのだ。


 とはいえ、映画『ウルトラマンサーガ』(12年)において、ウルトラマンゼロウルトラマンダイナ・ウルトラマンコスモスが合体して誕生した強化形態・ウルトラマンサーガが、全身にウロコが生えて紫色のクスんだ色調だったのに比すれば、いかに動脈や静脈を思わせる文様があろうとも、基調はキラびやかなシルバーの体色である以上は、ヒーロー性を棄損させてはいないし、子供ウケも外してはいないデザインなのである。


 その意味では、先入観なしに見れば、悪の黒いウルトラマンことウルトラマンベリアルに似ていて、彼の実子でもあった『ウルトラマンジード』(17年)の方が、幼児には少々怖かったろうとも思うのだ(笑)。


 さらに加えて、比較対象を広げれば、平成ライダーシリーズ第3弾の段階ですでに仮面ライダーのデザインを逸脱していた『仮面ライダー龍騎』(02年)や、デザイン的にはライダーですらなく同様に頭部が左右非対称でもあった『仮面ライダーエグゼイド』(16年)などと比すれば、大した冒険ではないともいえる。あくまで、ウルトラの中では異色に見えたというだけだ。


 一見はディテールアップをほどこされてリアルに見えても、あるワク内においてだけそう感じる……といった心理ゆえだろう。とはいえ、そこも狙って新鮮さを出し、子供やマニアの耳目も集めて話題を作ることも意識はしていたろう。感情的な好悪での脊髄反射ではなく、一歩引いたり無限背進をしてみせて、他社のヒーローシリーズとも比較をすることで、見えてくる多角的な光景を指摘することこそ「批評性」であるのだ。



 #1においては、全編を夜景のビル街を舞台に、巨大怪獣に対してカラフルではなく地味な色彩の軍服を着用した特殊部隊が迎撃したり、その怪獣とウルトラマンとの戦闘だけに特化していた。いわゆる「リアル&ハード路線」の作品世界&特撮映像の実現だ。人間ドラマはほぼない。
 まぁ、ひとつの到達点ではあり、ある意味では怪獣映画『シン・ゴジラ』(16年)や映画『シン・ウルトラマン』(22年)すら超えている。しかし、スレた特撮マニアとしては、子供向けヒーローものは、適度にB級かつ明るくヌルいノリで、とはいえマイルドでもなく、巨悪に立ち向かうヒロイズムの高揚や、勧善懲悪のカタルシスもほしいので、そのかぎりではやや殺伐にすぎる感はある。しかし、そこは百も承知の確信犯での#1だろう。


 『ウルトラマンX』(15年)や『ウルトラマンオーブ』(16年)、何より『ウルトラマンZ』(20年)といった、明るくにぎやかかつヒロイックでもあった作品群のメイン監督を務めた田口清隆メイン監督が、往年の『ウルトラマンネクサス』や映画『ULTRAMAN』(共に04年)のような、リアルどころか鬱展開も入ったゆえに、子供ウケ的には失敗した作品を、今さら中二病的にガチで作るとはとうてい思えない(笑)。


 実際にも、#2ではピーカン晴天の屋外にミニチュアを持ち出しての怪獣vsウルトラマン戦を見せるどころか、ウルトラマンの必殺ワザとなる「光のヤリ」を早くも釣り竿のように用いて怪獣一本吊りをしている! #3では発熱怪獣の体表にさわって「熱っち! アッチい!」とウルトラマンが叫んでみせている! ……ごくごく個人的には「そんなこったろうと思ったゼ」(笑)。とはいえ、これは批判ではない。ホメているのだ。


 #1については「映像的にはやろうと思えば、ここまでできますよ!」といった業界やマニアに向けてのアピールや、SNS上での反響作りといった面もあっただろう。だから、#1に大コーフンしたマニア連中をさぞや失望・悲憤慷慨させているのかと思いきや……。
 筆者が観測した範疇ではそうでもなかった。好意的に受容されていますネ。今では受け手の「ライト(?)層」のマニアの方がよほどスレていた(笑)。ある意味、素朴なリアル&ハード志向が主流派であった昭和や平成も遠くなりにけり……。



(後日加筆)


 今さらですけど、同作は変身後のウルトラマンの内宇宙での顔出し主人公のセリフや表情演技がないですネ~。


 そういや、タイプチェンジもないですねェ。手持ちの武器も今のところは出てこないですネ~。


●スフィア
●悪の3超人
セレブロ
ウルトラマントレギア
●愛染社長
●SF作家先生
●ジャグラズジャグラー
●ダークサンダーエナジー
ウルトラマンビクトリー
●友也青年
●闇のエージェント……


 といったシリーズを通じたライバルや悪役もいませんねェ~(まぁ今後、登場するのかもしれませんけど)。


 ……それがイイ! と思っている方々もいらっしゃるとは思いますので、それはそれで尊重はいたします。


 しかし個人的には、そのあたりがドーなのかなぁ? ……と思っておりまして(笑)。


 1話完結の予定調和のルーティン展開だと、子供たちでも飽きてくるとも思われるし、『快傑ライオン丸』や『人造人間キカイダー』(共に72年)のむかしから第3勢力キャラを出して、(小学生レベルでの意味なのだけど)ストーリーを適度に錯綜させてパターン破りを入れてみせたり、無人格な怪獣だけではなく人格悪なども登場させて、善悪ヒロイズムな抑揚も入れておいた方が、勧善懲悪エンタメ的な高揚としてはイイとも思うけれどもなぁ。


 変身ブレスレットにハメるメダルも種類が多数あると思うのですけど、今年はそういう描写もないですねぇ。



 ハードだ! ではなく、オーソドックスに過ぎる! といった作風で、玩具の売上面でも不安だなぁ。


 でもまぁ、昨2022年度の『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』が、ヒロイズム皆無(?)の脱力系人間ドラマが中心で、個人的には同人原稿としてそう書くかはともかく、子供向けヒーロー番組としてコレはダメダメだろ!(笑) と思っていたのに比べれば、『ブレーザー』はフツーに過ぎるヒーローものなのですけれども、『ドンブラ』は『ゼンカイ』よりも売上がよかったそうなので、自分の審美眼に自信がなくなってきた(汗)。


(了)
(初出・特撮同人誌『『仮面特攻隊2023年号』(23年8月12日発行)所収『ウルトラマンブレーザー』序盤合評2より抜粋)


ウルトラマンブレーザー』序盤合評2 ~『ブレーザー』序盤評

(文・久保達也)

*「10年」もつづいた「ウルトラマン」シリーズ!


 『ウルトラマンギンガ』(13年)のスタート以来、放映が継続してきたいわゆるニュージェネレーションウルトラマンシリーズが、2023年7月8日に放映を開始した『ウルトラマンブレーザー』(23年)で早いもので「10周年」を迎えた。


 現在よりも「ウルトラマン」の人気がはるかに高かった時代に放映された、


●『ウルトラQ(キュー)』(66年)『ウルトラマン』(66年)『ウルトラセブン』(67年)の「昭和」第1期ウルトラマンシリーズの放映期間が2年8ヶ月間
●『帰ってきたウルトラマン』(71年)・『ウルトラマンA(エース)』(72年)・『ウルトラマンタロウ』(73年)・『ウルトラマンレオ』(74年)の「昭和」第2期ウルトラマンシリーズの放映期間が4年間
●『ウルトラマンティガ』(96年)・『ウルトラマンダイナ』(97年)・『ウルトラマンガイア』(98年)の「平成」ウルトラマンシリーズ三部作の放映期間が3年間


だったことを思えば、「ニュージェネレーションウルトラマン」が「平成」から「新時代」――2019年5月1日から使用されている元号は個人的に容認していない(笑)――をまたいで「10年間」も放映を継続できているのは、少なくとも営業戦略上は一応の成功をおさめてきたのだと解釈すべきところだろう。


 もっとも、「10年間」とはいっても、実際には新作のテレビシリーズの放映期間は例年7月から12月――『ウルトラマントリガー』(21年)と『ウルトラマンデッカー』(22年)は何度も総集編をはさむかたちで翌年1月まで放映が継続した――の半年間である。
 毎年1月から6月の半年間は過去作品の名場面集や再放送などで構成された『ウルトラマン列伝』(11~13年)を踏襲(とうしゅう)した番組枠でつないでいるため、実質的には新作の放映期間は通算「5年間」ということになる(汗)。


 だが、それでも先述した昭和の第1期や第2期、平成ウルトラ三部作など、「新時代」になってもいまだに根強い人気を誇っている作品群よりも放映継続期間は長いのだ。


 「ウルトラマン」は今となっては「仮面ライダー」や「スーパー戦隊」に人気面でも営業面でも圧倒的な差をつけられている印象がたしかに強い。


 それでも動画無料配信サイト・YouTube(ユーチューブ)の「ウルトラマン公式チャンネル」で配信された『ウルトラマンブレーザー』第1話『ファースト・ウェイブ』の再生回数は、2週間で724万回(!)を稼いでいるのだ。


 その注目度の高さからすれば、やはりウルトラマンは現在でも相応の人気があるのだろう。


ウルトラマンブレーザーの見た目は、たしかにカッコいい!


 さて、今回の主役となるウルトラマンブレーザーは設定では地球から遠く離れた星・M421からやってきた光の巨人とされている(劇中では今のところいっさい語られていない設定だが)。


 『ウルトラマンティガ』の世界観に似せていた『ウルトラマントリガー』や、『トリガー』の続編で同様に『ティガ』の続編『ウルトラマンダイナ』をモチーフとした『ウルトラマンデッカー』の主役ウルトラマンたちは、筆者のような中年オヤジの世代からすればトリガーはティガと、デッカーはダイナと正直見分けがつかない(汗)と思えるようなデザインだった。


 だが、ブレーザーは両目の上から頭部にかけて青い結晶体が造形され、しかも左側の結晶体はギザ上に大きく突起しており、左耳の上から左頬(ほお)にかけても同様の青い結晶体が見られる。


 胸のカラータイマーは近年のウルトラマンが凝(こ)った形状が多かったのに対して、従来の円形だがやや大きく、それを周囲から包みこむかたちでデザインされた赤と青のラインが両肩と左腕・左足に延びており、ボディ中央から右半身にかけては黒いラインが描かれている。


 ブレーザーの左右非対称のデザインは、筆者の世代的には故・石ノ森章太郎(いしのもり・しょうたろう)先生原作の特撮ヒーロー作品『人造人間キカイダー』(72年・東映 NET→現・テレビ朝日)の主役ヒーロー・キカイダーを彷彿(ほうふつ)としたほどにインパクトが絶大であり、きわめて斬新(ざんしん)で超絶にカッコいいと感じられるほどだ。


 右手から発した青い光を巨大な槍(やり)に変化させて敵に投げつける必殺技もまた然(しか)りである。やはりこれも、世代的には『帰ってきたウルトラマン』の主役ウルトラマンウルトラマンジャックがウルトラブレスレットを変形させて放つ槍状の武器・ウルトラランスやウルトラクロスを連想せざるを得ないところだ。


 だから、放映前の事前情報の時点では、個人的には『ブレーザー』に好印象をもったものだ。


ウルトラマンブレーザーの見た目はハデなのに、作風は意外に地味……


 ここで序盤の作品をごく簡単に振り返る。


●第1話『ファースト・ウェイブ』では、主人公で特殊部隊の隊長であるヒルマ・ゲントが、その他大勢の隊員たちとともに夜の大都会で巨大怪獣と交戦するさまがひたすら描かれた末にウルトラマンに変身して怪獣と戦い、勝利する。
●第2話『SKaRDを作った男』では、部隊の参謀長から怪獣対応の新設部隊・SKaRD(スカード)の隊長に任命されたゲントが面会に向かうかたちで新入隊員たちが紹介される。
●第3話『その名はアースガロン』では、世界各地で新エネルギー源の貯蔵タンクをカラにし、ついに日本に上陸してきた怪獣に対し、SKaRDが二足歩行型怪獣兵器・アースガロンを出撃させる。


 これは『トリガー』や『デッカー』でも感じたことだが、近年の「ニュージェネレーションウルトラマン」の序盤は従来の「ニュージェネレーションウルトラマン」の序盤と比較してややツカミや華(はな)に欠け、インパクトが薄いとの印象が強い。


 先述した『ブレーザー』の第1話は本編・特撮ともに全編がナイトシーン一色(!)である。その画面の暗さには『シルバー仮面』(71年・宣弘社 TBS)の故・実相寺昭雄(じっそうじ・あきお)監督が演出した第1話を彷彿としたほどだった(笑)。


 また、主人公のゲント以外にメインキャラがいっさい登場せず、あとはその他大勢の特殊部隊の隊員たちと避難民のエキストラだけなのもきわめて異例だ。
 まるで往年のゴジラ映画をはじめとする東宝特撮怪獣映画とか、あるいは映画『シン・ウルトラマン』(22年・東宝)を強く意識したかと思えるような、隊員間の職務上の事務的なやりとりばかりが繰り返される演出は、開幕としてはきわめて地味に思えてならなかった。


 さらに、ゲントのウルトラマンブレーザーへの変身は彼が「力がほしい」と思った際に、ゲントの左腕にブレーザーのデザインと同じ意匠(いしょう)の青い結晶体に包まれた変身アイテムが浮かびあがる描写だ。


 ゲントがなぜウルトラマンとして選ばれたのかを示すための、従来は定番として描かれてきたゲントとブレーザーの出会いの場面すらも、第1話では割愛(かつあい)されていた。


 そして、トリガーやデッカーと同様にブレーザーも「しゃべらないウルトラマン」だ。『トリガー』や『デッカー』では描かれていた、変身中の主人公男性がウルトラマンの体内イメージ空間で感情を発露する描写すらもない。『ギンガ』ではじめて導入されて以来、視聴者の感情移入を誘うには最適な演出として「ニュージェネウルトラマン」では常に描かれてきたにもかかわらず……



 第3話で初登場したアースガロンにしろ、映画『ゴジラ対メカゴジラ』(74年・東宝)以来、往年のゴジラ映画で再登場を繰り返したほどの大人気だったロボット怪獣メカゴジラの複製の域を出ないデザインと造形である。ブレーザーのデザインが斬新なだけにややインパクト不足だ。


 おまけに、初登場にしてはロクに活躍もしなかった。せめて前座として登場した怪獣などを倒すくらいの活躍は見せるべきだったろう。


 つづく第4話『エミ、かく戦えり』に至っては、『ウルトラマンネクサス』(04年)に毎回登場した生理的に嫌悪感が強いデザイン・造形だったスペースビーストのような怪獣に、アースガロンはその弱点の物質を投げつけるだけのために登場した。


 そういえば、先述のミレニアムゴジラシリーズに登場したメカゴジラたちは光線を発射するばかりで全然格闘しない、などと批判されたものだが、第4話のアースガロンはまさにそれだろう。
 いったいなんのために怪獣型の二足歩行スタイルの兵器にしているのか? 毎回、両腕を使っておおいに格闘すべきだろう。弱点の物質をミサイルにつめて戦闘機かバズーカで撃ちこめば済む程度の役割なら、アースガロンでなくてもよいだろう(笑)。


 そもそも本来ならアースガロンは、『ウルトラマンZ(ゼット)』(20年)に登場した防衛隊の巨大ロボット・セブンガーのように、第1話から登場させて目立たせた方がよいような、ヒーロー性もあるキャラクターではなかったか!?


*「玩具の販促番組」としては弱点だらけ?


 もちろん、アースガロンが第3話で初登場となったのは玩具販促上の都合もあるだろう。


 バンダイが最もメインの商品とするブレーザーの変身アイテムは第1話が放映された2023年7月8日(土)の発売である。アースガロンのデラックス玩具の発売をこれとダブらせるのはたしかにウマいとはいえない。


 1話のなかに多数の新キャラクターや新武装を登場させても、個々の印象が薄まってしまう。よって、話数を分けて小出しに登場させていく方が、それぞれの玩具向けキャラクターや武器などが魅力的に描けることは必然なのだから、そうであって然るべきだろう。


 加えて、第3話が放映された同年7月22日(土)は、子供たちが夏休みに突入したのと同じタイミングでもある。変身アイテムとアースガロンの発売をズラしたのは営業戦略からすれば当然のことなのだ。



 ただ、それはそれとして、玩具の販売タイミングとはズレても、たとえば第1話で怪獣に苦戦するゲントたちの眼前に、特殊部隊の誰ひとりとして知らない謎の怪獣兵器・アースガロンが突然現れ、ゲントたちの危機を救って去っていく…… あるいは、往年のスーパー戦隊『バトルフィーバーJ(ジェイ)』(79年)の序盤4話分のように建造中のアースガロンのワンカットなどを見せる…… といった描写がホンの少しでもあったなら、視聴者に次回以降への興味を持続させる絶大な効果を発揮し、玩具販促上も有利に働いたのではあるまいか?



 そもそも、そうしたナゾ解き要素以前に、


●『ウルトラマンギンガ』の闇の巨人・ダークルギエル
●『ウルトラマントリガー』の三馬鹿大将(笑)
●『ウルトラマンデッカー』の地球人に恨みをもつ未来から来訪した異星人


 「ニュージェネレーションウルトラマン」で常に描かれてきたレギュラー悪の存在が、第3話までの時点では示唆(しさ)されておらず、登場した怪獣同士の関連性なども特に描かれてはいない。


 そして、第1話で主人公、第2話でサブキャラたち、第3話でメカ兵器が小出しにされてきた序盤の展開の中では、それらのキャラクター間の因縁(いんねん)ドラマが描かれることもなく、『ブレーザー』には「タテ軸」はあるのか? とさえ思えてしまうほどだ。


 オタク第1世代の特撮マニア層の間でいまだに根強く聞かれる「ウルトラマンは1話完結形式のアンソロジーこそが魅力」などという声に今さらに応えているのだろうか?


 それに加えて、ブレーザーが怪獣を倒す必殺技が第1話から3週連続で、先述した巨大な「光の槍」のみというのは…… 他の必殺技も見せて、ヒーローの万能性を感じさせるべきなのでは? 初代ウルトラマンがほぼ毎週スペシウム光線で怪獣を倒していた半世紀以上前や、スーパー戦隊の巨大ロボットが毎週同じ必殺剣で敵を倒していた80年代とは時代が違うのだぞ。


 ちなみに、ブレーザーはタイプチェンジもしないという話だ。しかし、それではブレーザーのソフトビニール人形にはデザイン的なバリエーションがまったくなく、放映期間の半年でただ1種類の人形しか発売されないということなのだろうか? この少子化の時代に、ひとりの子供に人形1体だけを購入してもらう方法では、よけいなお世話でも売上高的には不安である。


 そのようなワケで、「本編」にしろ「特撮」にしろ画面が変化に乏(とぼ)しい上に、全体的に演出が淡々としているために、観ていてあまり熱くならない、燃えてこないクールな印象が強いのだ。


*「ウルトラマン」は「玩具の販促番組」である!


 ところで、『ウルトラマンタイガ』は実はシリーズ後半のみではなく、わりと初期編のころから陰鬱(いんうつ)で湿っぽい話が続出していた。そして、シリーズ後半ではYouTubeの公式チャンネルでの1週間の再生回数が毎回30万回程度にしか達していなかった。


 『トリガー』や『デッカー』もシリーズ後半では失速していた。しかし、それでも最低50万回程度は稼いでいた。


 よって、『タイガ』が当初は喜んでいたマニア層の多くを失望させたことは厳然たる事実だろう。だが、『タイガ』にはもうひとつの意外な事実がある。


 バンダイナムコホールディングスの決算資料で示された、2019年度の「ウルトラマン」のトイホビー売上高の実績は43億円だったのだ。


 これは『タイガ』が放映されてた2019年7月から12月の半年間を含む数字である。しかし、いまだに根強い人気を誇る『ウルトラマンオーブ』(16年)が放映された2016年度の売上高は31億円に過ぎなかった。玩具の売り上げ面では、人気だった『オーブ』をかなり上回る実績をあげていたのだ。


 やはり、相応に人気があった『ウルトラマンジード』(17年)が大きく貢献したためか、『ジード』が放映された2017年度はこれが43億円にまで上昇している。『ウルトラマンR/B(ルーブ)』(18年)が放映された2018年度は44億円となっていた。


 しかし、『タイガ』の人気自体はシリーズ後半では低迷しても、玩具の売り上げでは『ジード』『R/B』から大きく下降することもなく、ほぼ同じ水準を保っていたのだ。


 ちなみに、放映当時にマニアたちから絶大な支持を集め、個人的にも大好きだった『快盗(かいとう)戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』(18年)の実績を示す、2018年度の「スーパー戦隊」のトイホビー売上高は60億円だった。
 しかし、この数字は前作『宇宙戦隊キュウレンジャー』(17年)の実績が該当する2017年度の91億円を30億円以上も下回る数字であった。『獣電戦隊キョウリュウジャー』(13年)の実績である2013年度の144億円に比べれば、その半分以下にまで落ちこんでしまうという、実に惨憺(さんたん)たる結果だったのだ。


 そして、『タイガ』と同じ年度に放映され、ある意味では『タイガ』以上に陰鬱な作風(爆)だったとも個人的には目している『騎士竜戦隊リュウソウジャー』(19年)の実績を示す、2019年度の「スーパー戦隊」の売上高は、『ルパパト』と同じ60億円であった。『タイガ』と同様に前作から大きく数字を落とすことはなかったのだ。


 これらの事実は、YouTubeの再生回数に現れる、おそらく小学校高学年のマニア予備軍や中高生や社会人年齢以上の特撮マニア間での人気や作品評価と、作風が暗かろうとも、そういったことに対する審美眼すらまだなくて、単純にヒーローのデザインやアクションに玩具のギミック的な魅力しか見てはいないのだろう幼児層とでは、その評価や喜ぶツボも実は異なっているために(笑)、マニア人気や再生回数が単純に玩具の売り上げ低迷には直結するとは限らないことを示している。



 逆もまた真なりなのだ。たとえ円谷プロ側のチーフプロデューサーが本当にやりたかったことが陰鬱で湿っぽい人間ドラマではあっても(爆)、作品はひとりだけがつくっていくものではないし、各種インタビューなどでは最初から上の方ですでにそういう方針が決まっていたという趣旨のことを遠まわしにボヤきつつも、『タイガ』の序盤では現場の脚本家・監督・特撮監督のやりたいことや、あるいは玩具会社側のオーダー(注文)なども入ってくるので、そういった過度な人間ドラマ志向も巧妙に回避されて、画面的なにぎやかさやコミカルさでも視聴者をつなぎとめようとする絶妙な工夫が多々見られたものだった。


 『タイガ』第1話『バディゴー!』の冒頭では、ウルトラマンギンガからウルトラマンロッソ&ブルの兄弟に至るまでのニュージェネレーションウルトラマンが勢ぞろいし、レギュラー悪のウルトラマントレギアとの一大決戦が宇宙空間を舞台に描かれていた。
 さらに同話は、サーベル暴君マグマ星人・宇宙怪人セミ人間・若親怪獣ヤングマザーザンドリアス(笑)をはじめとする、筆者の世代には印象深い人気怪獣や宇宙人も多数登場した豪華な一編でもあった。


 先述したように、『ギンガ』からはじまったニュージェネレーションウルトラマンが『ブレーザー』に至るまでに「10年」も継続できた理由は、映画『ウルトラマンゼロ THE MOVIE(ザ・ムービー) 超決戦! ベリアル銀河帝国』(10年・松竹)で生み出された「多元宇宙=マルチバース」の設定も大きいだろう。
 たとえそれぞれの作品が別次元・別世界ではあっても、「ウルトラマン」作品の世界はそのすべてがゆるくつながっているとして描いてきたことで、マニアや子供たちにもその作品世界の背後にあるスケール感を実に大きく感じさせて、ワクワクさせてきたことにもあっただろう。


 『タイガ』では、あのウルトラマンタロウの息子として設定されたウルトラマンタイガをはじめ、『ザ★ウルトラマン』(79年)の主人公ウルトラマンであるウルトラマンジョーニアスと同じU40(ユーフォーティ)出身のウルトラマンタイタスに、ウルトラマンオーブやロッソ&ブルが光の戦士となる力を得た惑星・O‐50(オーフィフティ)出身のウルトラマンフーマ、都合3人ものウルトラマンが登場していた。
 主人公青年の工藤ヒロユキはこれら3人のウルトラマンへの変身が可能であった。そして、タイガ・タイタス・フーマがふだんはヒロユキにしか見えない手のひらサイズの存在として描かれて、彼らの間で繰り出された掛け合い漫才的な愉快なやりとりが、当初は若い特撮マニアの間でも大好評となっていたものだった。


 こういった要素自体は、子供や幼児層にも魅惑的で楽しい趣向であったハズだ。だからマニア層から見て、『タイガ』はシリーズ後半では番組自体が迷走しようが失速しようが、子供間での玩具の売り上げでは前作・前々作から大きく低迷することもなく、同水準をキープできていたのだろう。



 マニア層から見れば作風はやや暗くても、往年の『シルバー仮面』や『ミラーマン』(共に71年)ほどではないのだし、陰鬱な夜間撮影が多用されていたワケでもない以上は(笑)、子供や幼児はそのへんの作風やドラマ面でのことなどわかっていないものなので、「恐竜」と「騎士」のモチーフはカッコよかった『騎士竜戦隊リュウソウジャー』も、同様の理由で売り上げを確保できたといった分析もできるだろう。


 もっとも、実はこの2019年度に、ゲーム・イベント、海外展開なども含めたグループ全体売上高では、「スーパー戦隊」は「ウルトラマン」に逆転されていた! その後も低迷をつづけているために、それはそれで「スーパー戦隊」の行く末の方も心配である。
 作品それ自体の罪ではなく、時代の空気や風潮とも連動して、時代ごとに子供や幼児が好むものやあこがれるものは変わっていく。00年代のむかしであれば、10(テン)キー付きの携帯電話型の変身アイテムだったりしたが、もちろんガラケーが絶滅した今ではもうそんなことはないのだ。
 電子家電や電子パネルやスマホなどが普及しきってしまった2020年代の現代では、そういったものにも未来・非日常性・憧憬といった特別な高みなどを感じることはなくなっており、当たり前の日常になってしまった。


 そういった時代だと、メカやその延長線上にある巨大ロボットに対するあこがれなどは、ゼロにはならなかったにしても非常に目減りしてしまっていることだろう。それでは、2020年代の子供たちがワクワクするようなアイテムやモチーフとは何なのか? それについては別の機会に譲ることとしたい。


 本作のメイン監督で1980年生まれの田口清隆(たぐち・きよたか)監督が、小学生当時に観たことがあったであろう、リアルロボットアニメ『機動警察パトレイバー』(89年・東北新社 日本テレビ)に対するオマージュを本当はやりたかったという見立てもある――ネットではそれを指摘する声が多数だが、まだ小学校低学年だった氏は同時期には『ビックリマン』(87~89年)の天聖界と天魔界の数億年にわたる抗争を描いていたビックリマンシールにハマっていたそうなので、実際のところはどうなのだろうか?――。


 しかし、玩具販促のためにも、子供たちを、ひいては今時の年長マニア層を喜ばせるためにも(笑)、『ウルトラマンZ』の防衛隊の巨大ロボット・セブンガーや『ウルトラマンデッカー』の防衛隊の巨大ロボット・テラフェイザーのように、もっとアースガロンを爽快でヒロイックに大活躍させて、単独でも敵の巨大怪獣を必殺技で撃破してしまうくらいのことをすべきではなかろうか!?

2023.7.29.


追記


 『ウルトラマンブレーザー』第7話『虹が出た 前編』のYouTubeでの公式配信の再生回数が、配信開始の2023年8月26日(土)から1週間を経た同年9月2日(土)朝9時の時点で46万回にしか達していない。


 先述したように、『ウルトラマントリガー』や『ウルトラマンデッカー』も放映を重ねるごとに再生回数は減少していた。しかし、それでも少なくとも50万回には達していたし、それもあくまでシリーズ後半になってからのことだ。


 それと比較すれば、早くも序盤の時点で1週間の再生回数が50万回を下回っている『ブレーザー』は、かなり危機的な状況にあると解釈せざるを得ない。


 あえて第7話の詳細には触れないが、公式配信に寄せられたコメントで、最も「いいね!」を稼いでいたのは、以下のようなものだった。



「すごい、人間パートが分厚(ぶあつ)く丁寧(ていねい)に作ってあるから、ウルトラマンパートが終盤にたった2分しかないのに満足感がすごい」



 なにか古き良き20世紀の特撮マニアのような懐かしい意見である。筆者も含む70~80年代の特撮マニアたちはほとんどがそのような意見を語っていたものだが(笑)。


 しかし、人間ドラマを見たいのであれば、一般層向けのテレビドラマや映画を観た方がよい。いっそ、名作文学なども読んだ方がよい。社会問題を論じたいのであれば、論壇誌などにも目配せした方がよい。筆者もそうしている。


 その逆に、「ウルトラマン」作品にはドラマ性などいっさい不要だ! などと極論を云いたいのでもない。その意味では筆者も、『ブレーザー』の第1話は乾いた攻防バトルに徹しすぎていて、意図的とはいえウェットな人間ドラマが皆無であったあたりで、うるおいがなさすぎてバランス自体は悪かったと思っているくらいなのだ。だから、特撮変身ヒーローものには人間ドラマはいっさい不要だ! などといった極論も採らない。


 とはいえ、変身ヒーローや巨大怪獣やスーパーメカや特撮シーンといった非日常的な存在を目玉にしている作品では、まずはそれらを魅惑的にカッコよく魅せるべきだろう。ドラマやテーマもあってよい。しかし云ってしまえば、ドラマやテーマも、変身ヒーローや巨大怪獣やスーパーメカや特撮シーンがカッコよく見えることに奉仕すべき存在なのだ!


 そういったことを明確に言語化・意識化できているかはともかく、21世紀以降の特撮マニアの大勢はもうそのように思っていることだろう。


 だから、先に引用したコメントのように、「ウルトラマンパートが終盤にたった2分しかないのに満足感がすごい」といった基準で、「子供番組」を評価する者は現在では圧倒的な少数派であることは、『ブレーザー』の第1話が2週間で724万回もの再生回数を誇っていたにもかかわらず、第6話『侵略のオーロラ』が2週間で62万回にしか達しないほどに大激減してしまった事実からも明確であるだろう。



 ちなみに、『ブレーザー』同様に6月下旬~7月頭のスタートで、第6~7話あたりではやはり同様に前後編を放映していた近作『ウルトラマンZ』・『ウルトラマントリガー』・『ウルトラマンデッカー』では、もっと徹底した華やかな先輩ヒーロー客演編だったのだ!


●『ウルトラマンZ』第6話『帰ってきた男!』には、『ウルトラマンジード』の主人公ヒーロー・ウルトラマンジード、その後編である第7話『陛下(へいか)のメダル』にはウルトラマンジードに加えて、主人公ヒーロー・ウルトラマンゼットが勝手に「師匠」と仰(あお)いだニュージェネウルトラマンの兄貴的存在・ウルトラマンゼロが登場!
●『ウルトラマントリガー』第7話『インター・ユニバース』~第8話『繁殖する侵略』の前後編には、前作の主人公ヒーロー・ウルトラマンゼットが登場!
●『ウルトラマンデッカー』第7話『希望の光、赤き星より』~第8話『光と闇、ふたたび』には、前作の主人公ヒーロー・ウルトラマントリガーが登場!


 いずれも変身前の青年を演じた役者はもちろんのこと、それぞれの因縁の敵までもが総登場した実に豪華な前後編であった。YouTubeでの再生回数も1週間で数百万回にまで達していたのだ。


 それを思えば、「ウルトラマンパートが終盤にたった2分しかない」ドラマ主導の回などは、少なくとも序盤でやるべきではないだろう。



 また、第6話に登場した『ウルトラセブン』(67年)が初出であるオーロラ怪人カナン星人以外は、『ブレーザー』には今のところ過去のウルトラシリーズに登場した怪獣・宇宙人の再登場がない。新規にデザイン・造形された怪獣ばかりが登場している。


 もちろんこれは、近年のウルトラ作品の売り上げ好調で、予算的にも余裕が出てきたことが大きいのだろう。


 近年のウルトラ作品では、第1クール中盤に早くも先輩ウルトラマンを客演させていた手法を断ち切ったことからしても、『ブレーザー』を独立した世界として仕立てるために、あえて過去作品の先輩ヒーローや怪獣を出さないのでは? と勘(かん)ぐっている方々も多いだろう。


 しかし、第1話であれば、そういった手法は新鮮に映ったとしても、20世紀の本邦初のマニア向けムックの影響で先輩ヒーロー共演自体が悪とされたむかしであればともかく、今のマニア層にも「ウルトラ」であれ「ライダー」であれ「戦隊」であれ「プリキュア」であれ「アメコミヒーロー」であれ、先輩ヒーロー共演のイベント性それ自体が恒常化しており、そしてそれが日本だけでなく世界中でも望まれているのだ。



 既成のウルトラシリーズとは世界観を刷新させて独立した作品として行くのか? もちろん、それでも面白い作品を構築できたのであればケチをつける気はない。しかし、今のところは1話完結形式の旧態依然としたルーティンな展開がつづいており、作品にもそこまでのパワーがないようにも見える。


 それであれば、このオーソドックスな展開自体もまたフェイク・ミスリードであって、シリーズ後半では怒涛の連続ストーリーや、他の先輩ウルトラヒーローとの客演編などで驚かせたり、興奮させてほしいものなのだが……

2023.9.2.


(了)
(初出・特撮同人誌『『仮面特攻隊2023年9月号』(23年9月3日発行)所収『ウルトラマンブレーザー』序盤合評1より抜粋)


ウルトラマンブレーザー』序盤合評3 ~『ブレーザー』はツマらない!?

(文・ビオラン亭ガメラ


 原稿というほどでもない雑談ですが(汗。ぶっちゃけ、『ウルトラマンブレーザー』はツマんないですわ!


 子供にはウケてるのかなあ?


 放映されたばかりの7~8話の前後編にしてもベタもいいとこ……


 いや、ベタが悪いんじゃないんですよ。


 各地で異変 → 恩師に話聞きに行く → 人間の傲慢さを謳われ対立(このへん、耳タコでうぜー) → 怪獣呼んでたの恩師でした…… って、話が平坦すぎやしませんか?


 もうちょい伏線というか、起伏がないと今どきダメだろ?って思います。ちょっとのことでいいんで。例えば、


 恩師に話を聞きに行く → あーせいこーせいアドバイスもらう → さらに状況悪くなる → 実はアドバイスは怪獣ニジカガチを蘇らせるためのものでした! 私ひとりでは復活は困難だったので、君たちを利用させてもらったよ! ……とかさ。


 前作『ウルトラマンデッカー』(22年)でも、ゲストの女博士が怪獣をコントロールしてた! みたいな話あったけど、色々とストーリーや複雑で一理も二理もある行動動機を仕込んであって、ペンダントがどうとかなどもあったりして、話も面白かったし細部の密度もプリプリしてたよ?

 隊長が「人間だって、地球の一部だ!」と即答したのは良かったけどね。あそこで90年代~00年代あたりのの特撮変身ヒーローものの主人公は悪い意味で悩み過ぎで、その展開や悩み方自体がもうテンプレ・陳腐化していたから。


 後編では防衛隊の巨大ロボット怪獣・アースガロンが、パワーアップで両肩にバズーカ砲が付く! ということで、またもリアル寄りに過ぎる描写。地味なんですよ! パッと見では、大した火力でもなさそうでしょ?w


 もっとさ、電鋸(電動ノコギリ)とか、メーサー砲(光線砲)とかさ、ゴテゴテした装備をつけろよ! って思うんですよ。防衛隊の戦闘機なり無人飛行メカが分離して、アースガロン手持ちの剣と盾になる! とかで良いんですよ。


 本作の方向性だから仕方ないのかもしれませんが、正直ツマんねーと思います……。始まる前は楽しみだったんですが、フタ開けてがっかり。良い部分もあるけど、それ以上にツマらん要素が多すぎ。着ぐるみ有りの『シン・ウルトラマン』くらいで良かったのに……。子供向けの現行作が『シンウル』より地味でどうする!?


 ハードってわけでもなく、オーソドックスが過ぎる。


 変身アイテム・ブレーザーブレスって、LEDがめっちゃ綺麗な発色で良いおもちゃなんですよ。なんで変身にしか使わないのかなーと思いますわ。もう「他トラマン」召喚でもいいから使いまくればいいのに。
 ドラマが良ければおもちゃも売れる? 売れる売れないどうでもいいわ。良いおもちゃが大活躍する番組が観たいんだよ!(笑)


 ヲタ、もしくは一般大人ウケ狙いなんすかねぇ? 今年の『王様戦隊キングオージャー』(23年)の「もっふん」とか、東映作品ならまだしも、そこを狙わないのが「ウルトラマン」の良さのひとつだったんですがねぇ。そこの牌(パイ)ってそんなデカくないしさw


 かと思えば、前回の第6話のカナン星人なんて「機械はすべて人間に不満の感情を持っている!」なんて言い出すし。ええー!? リアル路線違うの? 『ブレーザー』の世界では機械にもアニミズム的な魂や精神が宿ってるの!? 急に80~90年代の東映不思議コメディシリーズみたいなこと言いだしたから「?」ってなりましたわ。


 いや、メカニック担当の隊員中心で、防衛隊の巨大ロボット怪獣アースガロンが活躍する回こそ、ファンタジー回にしたらあかんのでは?w こういうアニミズムでファンタジーな要素があってもいいけど、もっとボカして匂わすくらいにしときゃ許されただろうに……


 コインランドリーの乾燥機を「クルル」と名付けてるヤスノブ隊員はキモイなあ(笑) → カナン星人、全ての機械を操って地球征服する → 手を尽くすがどうにもできない → 最後は機械にも心は伝わるはず! クルルやめてくれ! → 一瞬だけ止まる → それきっかけで逆転 → クルルにも感情があったんだ! → そんなわけ……あるかも?


 くらいのニュアンスにとどめた方がしっくり来ると思うけどなあ。作風含めて。


 ギャグシーンもなんつーかサラリーマン親父ギャグ(?)っていうか。ボールペンサインのギャグとかさー。あれが各キャラクターを表現してるとか言うんだろうけどさー。メインターゲットの子供たちにはもっとベタなのが良いんじゃないですかね? 昼飯をすごい大喰らいするとかさ。
 2話でエミが喫茶店でなんかおしゃれ注文してたけど、そういうこだわりとかいらんのよ。


 防衛隊の「スカード体操」とかいった子供向け企画にも苦笑。もっと簡単な体操にすりゃいいのに(笑)。


 スカードよりウルトラマンブレーザーのが気になるんで、そっちを描いて欲しいですわ。少々乱暴な雄叫びと戦い方が仮面ライダーアマゾン(74年)ぽくてオモロいのに、今んとこはただの戦闘要員でしかないし。巨大な光のヤリを投げる必殺技はいいけど、ビームがないとやっぱ地味いわ。


 今までで合格点あげられるのは、エミ回くらいだなあ。アクションもあったし。


 アンケートでもあれば思いっきり書いてやろうかとも思うんですが(笑)、イマツブ(円谷イマジネーション)では1話しかアンケートしてないよね?


 5話と6話の間の恒例「特別総集編」は見逃してしまいました。アマプラ(アマゾンプライム)で観るか……と思いきや。総集編は配信されないんかい!?


(了)
(初出・特撮同人誌『『仮面特攻隊2023年9月号』(23年9月3日発行)所収『ウルトラマンブレーザー』序盤合評2より抜粋)


ウルトラマンブレーザー』序盤合評4 ~新たなる光の巨人の物語が始まる

(文・中村達彦)

第1話「ファースト・ウェイブ」


 宇宙甲殻怪獣バザンガが夜の池袋に出現。地球防衛隊GGFの迎撃、第1特殊機動団の隊長ヒルマゲントは、部下を率いて降下地上に降り立つ。
 バザンガ進路上に自隊を2つに分けて展開する。司令部からの作戦変更というアクシデントが起きた。部下からも大きな信頼を得ているゲントは巧みに航空部隊の掩護を得るが、部下たちが負傷する。


 ゲントは身動きができない部下たちへ駆けつけ、続いて携行した火器でバザンガを攻撃するが効き目がない。空からの攻撃も弾き返し、両腕から発射する光弾も含め圧倒的なバザンガ。動けない隊員たちが危機に。
 だが突如、ゲントの両手に輝くメダルとブレスが顕現。、両手がスパークしながら合わさった瞬間、光る巨人が出現した。


 巨人は倒れるビルを支えたあと、バザンガと戦う。威圧するように歓声を上げ、ビルへよじ登って飛びかかるなど。その姿にGGFの幹部たちは、昔から宇宙飛行士たちの間で囁かれた未確認大型宇宙人のコードネームウルトラマンを思い浮かべる。
 一進一退。バザンガの尻尾を使った猛攻に苦戦する。胸のランプが紅に目まぐるしく点滅するが、私服の女性が放ったグスタフの一弾がバザンガをひるませ、そこで逆襲、両腕を引きちぎる。
 続いて、光の槍を発生させ、投げつける! 直撃爆散するバランガ。戦い終わり、夜の空飛び立っていく巨人。直後、気を失っていたゲントは目を覚ます。部下は全員無事で、彼の手にはメダルがあった。



 脚本は小柳啓伍。『ウルトラマンZ』(2020年)の軍事考証。監督は田口清隆。『ウルトラマンギンガS』(2014年)以来、ウルトラシリーズに参加、仮面ライダーシリーズやゴジラシリーズにも関わる。樋口真嗣の後継者というべき。


 ストーリーはバザンガ出現後、駆除に向かう第1特殊機動団の様子から始まる。緊張感高まるBGMが流れる中で、隊員の会話が進む。頭に指をあてているゲント、立ち上がり率先して向かう。車の中かと思ったら航空機の中の高い空で、兵士たちの様子からゲントが高い信頼を置かれていることがわかる。そのリアルな空気感で最初から掴まれてしまった。


 舞台となるのは、豊島区の池袋で、東池袋のサンシャインビルのあちこちが撮影で使われ、訪ねたことがある方々であれば「オッ!」と思うだろう(「ウルトラマンフェスティバル」や同人誌即売会「サンシャインクリエーション」でおなじみの場所。だからサンシャインビル自体は破壊されなかったのか?・笑)。


 部下全員の生還を口にし、突然の作戦変更にも冷静に対処。上空航空部隊の援護を要請する様子。動けなくなった別隊の救助にひとり率先して向かっていくゲントの勇姿で、彼が主人公だとすぐにわかる作品構成になっている。ゲントは今回よりも前から変身能力を持っていようだ?


 怪獣バザンガは甲殻類と爬虫類の混ざり合った姿。地球防衛隊の攻撃にもダメージを受けない強靭さ、腕から発射する光弾や突きや尻尾の攻撃での戦いなど、#1に登場する怪獣として申し分ない。


 ウルトラマンブレーザーも、これまでのウルトラマンとは違うデザインと演出を見せてくれた。発光する頭部の右の部分(『仮面ライダーエグゼイド』や『華衛士F8ABA6ジサリス(センティカ・エフハチエービーエーロク・ジサリス)』に似ている)、全身は赤・銀・黒・青の複数のカラー螺旋で構成されている。
 怪獣バザンガに威嚇するように咆哮し、バザンガの攻撃にビルに駆け上ってから飛びかかって逆襲するなど、野生児のような戦いで、発生した光を槍にしてぶつける必殺技スパイラルバレードもスペシウム光線二番せんじと感じさせない。


 これまでとは違ったウルトラシリーズの幕開け。星雲賞を受賞した『シン・ウルトラマン』(2022)を意識する箇所も幾つかある。田口監督が師である樋口監督を意識して、「私だったらこうしましたが」と撮ったようにも見える。


第2話「SKaRDを作った男」


 バザンガ戦のあと、ケントはGGF日本支部司令部参謀長・ハルノレツから新たに創設されたSKaRD(スカード。特殊怪獣対応分遣隊)指揮を命じられる。光の巨人をウルトラマンブレーザーと呼ぶゲント。すでに隊員人選も進んでおり、


●バザンガとの戦いでグスタフを撃った女性・アオベエミ
●航空支援などでサポートしたナグラテルアキ
●格闘に長けたミナミアンリ


 以上の3名が加わった。最初は貧弱だった基地・車輛・火器もあっという間に揃えられていく。


 同じ頃、近海では船舶が怪獣によって沈没。出撃した潜水艦も沈められてしまった。陸地に迫って来る怪獣。エミが情報収集で先行、SKaRDは初出動準備を。江戸時代にも出現記録はある深海怪獣ゲードスは漁港・先美港に上陸する。陸からの迎撃もものともしない。


 SkaRDはテルアキが留守番を、ゲントとアンリが現地へ赴く。エミとも合流する。


 ゲードスが背中から熱を放出していることに気が付き、先行するゲント。自分の船を守ろうとするも気絶した老船長を気遣ったゲント。その時、両腕にブレーザーブレスとブレーザーストーンが発生、導かれてウルトラマンブレーザーへと変身した!


 高圧水流や触角に苦戦するが、エミとアンリの援護射撃に助けられる。不利を悟った怪獣ゲードスは海へ逃げ込む。
 しかし、ブレーザーが発生させた光のヤリ・スパイラルバレードが釣り竿になって海中深くへ。ゲードスを空高く釣り上げて。次いでスパイラルバレードが貫通する。


 帰還したゲントたちは、地下で5人目の隊員バンドウヤスノブと23式特殊戦術機甲獣アースガロンに対面する。



 前話同様、脚本は小柳啓伍。監督は田口清隆。SKaRDが創設されて、その隊員が紹介されていく話と、ゲードスが襲来する話が同時に進む。これまでウルトラシリーズはほとんど#1から防衛チームは完成して隊員メンバーが揃っていた状態であった。だが今回は、基地も隊員も1から始めなければいけない。


 ゲントにSKaRD隊長を命じたハルノ参謀長。演じるは加藤雅也。『超速パラヒーローガンディーン』(2021)ラストにも謎の男役で出演していたが(続編やらないのか?)、何かいわくがありそうで。


 時間の都合でカットしたのかもしれないが、ゲントが元いた第1特殊機動団を離れるとき、別れを惜しむ部下たちとのシーンが欲しかった。そして新しい部下たちとの出会い。エミと喫茶店で会話したり、テルアキやアンリが書類にサインなど、その他の絡みも、ぎこちなくあちこちにギャグが散りばめられていて笑ってしまう。ゲント自身にも隊長の威厳がない。


 最初にゲントと接触したエミ。バザンガへの攻撃は鼻孔に撃ち込むには、ゲントには装甲の隙間と間違って伝わったそうだが、それは意図的なものか? そもそも鼻孔が弱点と何故知っているんだ? 今後の伏線か? エミは私服姿で笑っている姿が可愛い。毎回違ったコスプレを披露するそうで。
 関西弁を喋りさりげなく車両のメンテナンスや銃のマニュアルをやってくれたヤスノブが最後に登場。同時に防衛隊の巨大怪獣型ロボット・アースガロンも登場する。その整備をする人たちもおり、5人と思ったSKaRDは大組織であった。しかし、その活躍は次回以降で。


 怪獣ゲードスの頭部は提灯アンコウ状の触覚で、深海魚の特徴をつかんだ身体と深海怪獣らしいデザインだ。海で暴れ出し、老船長が接触したことでその恐ろしさを語り、それから脅威が広がっていき、時速80ノットで先美港に上陸して蒲鉾(カマボコ)工場を襲う。怪獣出現襲来のパターンの要点を相応に抑えてドラマは動く。
 ゲードスに絞ってのドラマも観たかった。田口清隆がシナリオを手がけている連載マンガ『神蛇』(2023)を連想する。
 ブレーザーとゲードスの戦いは、エミとアンリの援護もあって勝つ。逃走したゲードスへ投げたスパイラルバレードが釣り竿になって釣り上げる『ウルトラマンタロウ』(1973)的な展開。まさに「ヘンテコリンな魚を釣ったぞ!」だ。そのオチのつけ方は好き嫌いの評価が分かれるだろう。


第3話「その名はアースガロン」


 巨大ロボット・アースガロンも加わり、SKaRDの装備は整いつつあった。その頃、ヨーロッパや北米ではプラント(工場)から液化ティーテリウムが抜かれる事件が続発していた。ゲントは新たな怪獣の脅威を予想し、出撃に備えて訓練に勤しむ。彼はかつて勤務中にウルトラマンブレーザー接触を受けた過去があった。
 怪獣がつくば市の研究施設を狙っていると予想したゲントは、アンリに戦いを想定させるが、直後に甲虫怪獣タガヌラーが沓波市に出現。防衛隊の総攻撃でタガヌラーが抜食していたティーテリウムが誘爆することを恐れ、先にあたることに。
 ゲントとアンリの搭乗したアースガロンが空へ出撃する。体内温度が上がっていくタガヌラー。ゲントは航空部隊の攻撃を中止させ、アースガロンを地上に降ろした。


 タガヌラーとアースガロンの戦い。口の荷電粒子砲がタガヌラーの右腕を切断する! 続いての肉弾戦で周囲に起こった爆発! アースガロンは機能を停止して倒れてしまう。ゲントは再起動させようと外へ出るが、ブレーザーブレスとブレーザーストーンが出現、変身する。


 タガヌラーと戦うブレーザーだが、吸食したティーテリウムで体内温度は1万度に達しており、高温に苦しむ。そのとき、ヤスノブの指示でアンリは緊急装置で尻尾のテイルVLSミサイルを発射! タガヌラーをひるませた。その後、タガヌラーは溜まったティーテリウムエネルギーを頭部のツノから放出。100万度の高エネルギーはブレーザーの制御により上空へと垂直に飛んでいく。続いてスパイラルバレードでタガヌラーは撃破された。



 本話も、脚本は小柳啓伍。監督は田口清隆。戦術機甲獣アースガロンの初陣で、『ウルトラマンブレーザー』の世界観とストーリーの基本を見せてくれた。アースガロンは、『ウルトラマンZ』(2020)の特空機、『ウルトラマンデッカー』(2022)のテラフェイザーに次ぐ、防衛チームの二足歩行のゴジラ型ロボット怪獣だ。カッコいいシーンをあちこち見せてくれた。玩具が欲しくなるアースガロン。
 起動して飛び立つ発進シークエンスは、英語のアナウンスが響き、あちこちで作業にあたる整備員の姿や動かされるアースガロンの細部が描かれ、往年の『ウルトラセブン』(1967)のウルトラホーク1号の発進シーンやその細部のカッコよさとも重なる(しかしアースガロンの重量は2万5千トン。それが最大マッハ4で飛行するのはやり過ぎのような……)。


 つくば市に到着してから、噴き出した白霧をバックに咆哮して、それを正面からアップで映ると、往年の東宝川北紘一特撮監督のような逆光。カットにはあちこち鉄の塊の力強さが出ている。武器を発射するその姿と活躍は、令和のメカゴジラといっても申し分ない。ワンダバのBGMも流れて盛り上がる。


 アースガロンを動かすSKaRD隊員たち。前半に厚いマニュアル片手にコクピットで操作の指導を受けたり、紙で作られた街で、操縦したときの模擬戦をシミュレートし、中盤以降のタガヌラーとの戦いは、隊員それぞれの活躍が描かれている。戦い終了後、テルアキが言った「良いチームにしていきましょう」は決まっている。


 隊員それぞれに屈託ない笑顔で接し、タガヌラー出現時には液化ティーテリウム管理の大川に情報収集で接し(この大川役は声優でもあり特撮作品にも多く声をあてている関智一!)、大声の全力で対しているエミと、真面目ながら小声で虫嫌いをひとり言のように言ってのける(笑)操縦担当のアンリは対照的だ。


 そしてゲント。それぞれの部下の長所を見てとり、アースガロンの到着時に、航空部隊を堂々と退かせる様子も渋い。そして、彼がウルトラマンブレーザーと出会ったのは、#1より前のことだったと回想で明かされた。


 今回戦ったタガヌラー。虫型怪獣の特徴を掴んでいる。ティーテリウムで体内温度は1万度に達し、ブレーザーも「アチチッ」と叫んでいる(笑)。でも世界各地のティーテリウムを吸い、溜まったエネルギーを最後に放出するだけで、今一つ説明不足だ。この怪獣は何がしたかったんだろう? アースガロンの引き立て役になった感がある。


第4話「エミ、かく戦えり」


 軟体怪獣レヴィ―ラが出現するが、コンテナに搭載されていた新型殺菌剤・FK1に触れて退散する。その後もレヴィーラは出現。FK1による撃退が続くが、その使用量が増えていく。FK1を作った大手化学企業ノヴァイオが怪しいと潜入調査をすることになる。
 ノヴァイオ社長・曽根崎の秘書としてエミが潜り込み、曽根崎の信頼を得る。ノヴァイオ孫会社の海生生物クリオネを改良した「人工クリオネ」がレヴィーラに似ていることや、曽根崎が元GGF科学者だったことが判明する。


 怪獣レヴィ―ラに対してアースガロンも出撃して、FK1を使って攻撃する。しかし、レヴィ―ラFK1耐久性は強くなるばかり。エミと水族館で接触していたゲントは、深まっていく疑惑から、一度調査を中止するように言うが、エミは激してしまう。


 夜間、社長室を調べ、GGFの資料を持ち出していた証拠を見つけるが、曽根崎らに見つかってしまう。レヴィ―ラは隕石に付着していた生物から作り上げ、意図的に出現させていた。FK1を使用させることだけでなく、自分に注目させ英雄視させることを狙っていた。得意げに語る曽根崎。
 だが全てが、水族館でエミが激したときから、曽根崎を引っ張り出すための芝居であった。駆けつけたゲントとエミは曽根崎らを一網打尽にする。


 乱戦の中でレヴィーラは目覚める。ゲントもブレーザーに変身! 苦戦するが、アースガロンも到着! エミのアドバイスで、液体窒素が投げられ、凍り付いたところをスパイラルバレードが突き刺さる。


 事件解決後、エミからゲントへ感謝の花束が贈られた。



 脚本は継田淳。『ウルトラマンZ』(2020)や『ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』(2021)も手がけた。監督は辻本貴則。『ウルトラマンX』(2015)から長くウルトラシリーズに関わり、セットやアクションで力の入ったカットが特徴。
 本話では、レヴィーラの怪獣アクションとエミのスパイアクションが両立して描かれていた。


 これまでのウルトラシリーズでも、初代『ウルトラマン』(1966)第10話のジラース、『帰ってきたウルトラマン』(1971)第34話のレオゴン、『ウルトラマンデッカー』(2022)第10話のネオメガスなど、人間に生み出された怪獣は存在してきた。
 しかし、レヴィーラは己を英雄視させる私欲で生み出されたことや、クリオネが元でこれまでの恐竜型怪獣とハ大きく異なった姿からか、異色の話となっている。
 くすんだ白色のカラーリングに、醜くゆがんだ女性の顔を思わせる容貌、自分を液化させ姿を消したり、即座に再生したりと異形の存在だ(#3のアンリが言ったごとく「気持ち悪い」)。


 自分を陶酔し賛美する歌まで作って自身向けに流している曽根崎。歴代ウルトラシリーズに登場してきた、自分に酔っている宇宙人キャラにも相通じている(笑)。


 ノヴァイオ社に潜入したエミの活動がメイン。社長秘書としての眼鏡のスーツ姿と、本話ラストの繁華街のギャルの姿は、口調も含めて同一人物には見えない。
 各話で違ったファッションをしていることについては、90年代に特撮ヒロインをイラストで連載解説して『空想流行通信』(97年)の著作を持っていた香坂真帆さんにどこかで取り上げてもらいたい(笑)。
 エミが夜間の社長室を捜索する姿や、その後に曽根崎の部下たち相手に凛として見せるアクションも決まっている。レヴィーラへ液体窒素をぶつける機転も利いている。


 ラスト、ゲントにピンクのガーベラの花束を渡す。ゲントの奥さんへと言っているが、本当はゲントへ。ガーベラの花言葉は「感謝」。自分を信頼して任せて、いざというときに守ってくれた上官への感謝なのだ。


 ゲントは、テルアキのハルノ参謀長への「報告しましょう」の発言に対してイヤな顔をする。苦手のようだ。交代でアースガロンを操縦し、前半ではテルアキとヤスノブ、後半ではテルアキとアンリが。両手の武装105ミリ機関榴弾砲・アースガンも披露した。


 曽根崎の撃った銃撃で配電盤が壊れ、レヴィーラが目覚めるが、御都合主義だろう。他にも複数のレヴィーラが眠ったままで、ブレーザーとの戦いのときもそのままだったが、その後、GGFに処分されたのだろうか?


第5話「山が吠える」


 GGFが開発を進めていたレールガン(=超電磁砲。すでに現実世界でも実現している科学兵器)であるメガショットの試験で、秋田県の市之字村にある訓練場へ飛んだアースガロンとSKaRD面々。


 市之字村はアンリが幼い時過ごした場所であった。メガショット設置反対を訴える女性・ミズホが、山神さまドルゴが目覚めると立ちはだかる。彼女はアンリの幼なじみでもあった。古い巻物を見せてドルゴの存在を訴えるが、確証がつかめず、メガショットとアースガロン模擬戦は実施される。


 その最中に、長い眠りについていた山怪獣ドルゴが、メガショットを背中に乗せて目覚めた。「山」そのものがドルゴだったのだ。光線をアースガロンに放ち麻痺させるも、水を飲んで二度寝に入る。しかし、1時間ほどで目覚めることが判明する。メガショットを背負ったまま暴れ出したら……。


 一同は討伐を考えるが、ミズホは撤去された祠(ほこら)にあった御神体を持っており、祠の穴に差し込めばドルゴは長い眠りにつくと訴える。東京で留守番をしていたエミの助言も後押しする。その意見を容れて、眠るドルゴの山へ登るゲントとアンリ。テルアキとヤスノブは整備員とアースガロン修理にあたる。


 ゲントたちが祠跡に着いたとき、ドルゴは目覚めて立ち上がった。地鳴りとともにバランスを失い空中へ落下するゲントは変身した。修理が成ったアースガロンが援護。ブレーザーはスパイラルバレードを折って投げつけ、メガショットを2つとも切断する。


 アンリが「眠ってけれー!」と御神体を祠の穴に差し込むと、ドルゴは眠りについた。ブレーザーに押し戻されて山に戻っていく。ミズホとアンリは笑い合い。SKaRDは帰途についた。



 前話同様、脚本は継田淳で、監督は辻本貴則。今回はアンリを中心に、舞台は東北の山村だ。クライマックスは日中で、#4とは対照的なエピソードとなった。しかし、どちらも怪獣主体である。もちろん、そこに人間が絡んでいくことで、怪獣と人間ドラマが両立して描かれていた。


 倒さずに済んだドルゴ。長い眠りで「山」と一体化したそのデザインは昭和の第1期ウルトラシリーズの怪獣デザインを手掛けた成田亨(なりた・とおる)ぽい。エピソードの方も、『ウルトラQ』(1966)と『ウルトラマン』(1966)のごとく牧歌的だ。


 「山」そのものが怪獣で、植林された草木もそっくり体毛や口ひげとなっており、角ばった四足歩行の姿に、超兵器の砲身・メガショットが載った姿は、『ウルトラセブン』(1967)第28話の恐竜戦車を彷彿とさせる。土着信仰で長く神さまと崇められていた怪獣というのは『ウルトラマンタロウ』(1973)に出てくる怪獣のようだ。


 メガショットを秋田の山村実験場で配置するのは、近年の秋田でのイージスアショア設置とも重なる。狙ったのだろう。毎時マッハ5の砲弾を毎分30発発射! 自動追尾装置も付いた優れものだ。ドルゴの背中にくっついており、ブレーザーを苦戦させた。だが実質的には固定砲台なので、どこに現われるかわからず高速で移動する怪獣に有効なのだろうか?


 前半の模擬戦では、アースガロンとメガショット、正面から手加減なく撃ち合っている。後半のドルゴとの戦いでは、空中で回転するシーンを見せ、その前にはアースガロンの首部で整備員が修理を行っているカットがあった。昭和には撮れなかっただろう。
 メガショット責任者はゲントたちに友好的で、反対しているミズホにも敵意を見せていない。メガショット設置に関してチェックしたと言い、事件後、色々な課題が見え頑張っていくと述べていた。この類の話に出てくる人は、頑迷で事態を悪化させていくのが多い。今後もメガショット開発が続けられていくが、アースガロンの武器になったりして……。


 ドルゴを記録した巻物は、科学博物館にも関連資料があるとされる。『ウルトラマンX』(2015)はじめ、作品世界観をまたいで近年の諸作に登場してきた古文書「太平風土記(たいへい・ふどき)」を連想する。


 アンリは小声でぼそぼそとした話し方で(快活なエミと対照的)、田舎にも良い感情を持っておらず、テルアキの田舎の自慢話も遮っているが、ミズホとの再会や事件の経緯から、ラストでは打ち解けていた。


 ゲントとアンリは移動指揮車両・MOPで、テルアキとヤスノブはアースガロンで帰ったが、整備員たちはどうしたのだろう?


特別総集編「巨大生物の正体を追え」


 怪獣出現を振り返り、新しい報道番組企画に取り組むTV局スタッフ。バザンガ以来の襲来する怪獣たち。その映像を観るテラシマヅサブロウタとニホンマツタクマ、バザンガ来襲でリポーターを務めたキヨシマダイラレイコ。
 この3人が怪獣や戦ってくれるウルトラマンブレーザーについて語り合う。レイコはティーテリウムを扱った大川にもタガヌラー来襲について取材し、ノヴァイオ社が生み出した怪獣や地方での怪獣騒動についても話が及ぶ。防衛隊への取材をしようと考えるが、ガードが固くて困難だったそうだ。
 サブロウタは真実を伝えるのが、俺の仕事だろうと意気込むが、報道番組はスポンサーの意向でアニメに変更になったとの連絡が入り(笑)、意気消沈する。



 脚本は足木淳一郎。2012年から『ウルトラマン列伝』(2011)以来、ウルトラシリーズには10年以上関わってきた。プロデューサーでもある。監督は「演出」名義で村上裕介。総集編であるが、本編には登場しないTV局のスタッフから、物語を別の視点から再び語らせるという描き方をしている。『ウルトラマンガイア』(1999)でもTV局の取材クルーがイレギュラー的に登場していた前例はあったが。


 映像を観ながらそれぞれが突っ込んでいる。しかし、我々が作品を観ながら思っていることとほぼ一致している。ただし、入手した映像や知っている情報も、曽根崎がレヴィーラを生んだ目的を知らないなど限られており、それらしく仕上がっている。


 今後の話数で彼らも登場するのか? SKaRDが今回のサブロウタらに取材される話はあるのだろうか? 『ウルトラマンX』(2015)第16話のごとく。


第6話「侵略のオーロラ」


 急に自動車や飛行機がコントロールできなくなる事件が相次ぐ。ヤスノブは器用で仕事熱心だが、皆の雑務を引き受けすぎてオーバーワークになる。さらにアパート近くのコインランドリーの乾燥機に「クルル」と名付け、愚痴を聞いてもらっている姿を、ゲントに見られてしまう。
 落ち込むヤスノブ。ゲントと入れ替わるようにコインランドリーに来たのは、オーロラ怪人カナン星人のハービーであった。機械を負の感情で操るオーロラ光線を乾燥機やヤスノブに浴びせる。頻発している事件もカナン星人の仕業で、レヴィーラの事件でアースガロンを知ったハービーは、ドルゴの事件でもオーロラ光線を撃ち込んでいた。アースガロンも操られて出撃してしまう。ハービーはヤスノブにも協力を呼びかける。


 拒否したヤスノブは、意思を持ったクルルが指し示した異空間を通ってハービーを追跡。ゲントもクルルからヤスノブの行き先を知らされ、テルアキ・エミ・アンリと指揮車両・MOPでカナン星人アジトに向かうが、暴走したアースガロンの攻撃を受ける。
 アジトへ突入したヤスノブはハービーに捕えられる。アースガロンはMOPを地面に放り投げ、外へ出たゲントは変身する。


 ウルトラマンブレーザーVSアースガロン。戦いの中、機械には心があると、ハービーの拘束から脱してきたヤスノブがアースガロンに呼びかける。流れ弾がアジトを直撃して、ヤスノブは吹っ飛ばされる! ブレーザーが救おうとしたが、先にアースガロンの手が伸びていた!


 スパイラルバレードが逃走する星人のアジトである宇宙船を両断する。その後、クルルを掃除するゲントとヤスノブがあった。



 三度、脚本は継田淳で、監督は辻本貴則。今回はヤスノブがメインで、ユーモアを含んだ異色のエピソード。


 『ウルトラマンブレーザー』も#6まで来た。最近のウルトラシリーズでの新たなパターンと化しつつあった、設定やストーリー、イベント編がほとんどなく、登場する怪獣も本作オリジナルが続いてきた。ややオーソドックスに過ぎる感じもあるが、怪獣に重点を置いた話が続いている。


 カナン星人は『ウルトラセブン』(1967)第24話以来の登場。むかしのアジトは灯台だったが、本作では海の近くに建つ風力発電所となっていた。メカを狂わせるオーロラ光線や、セブンが使役するカプセル怪獣ウインダムのように、コントロールされてブレーザーと戦ってしまうアースガロンなど、あちこちに原典へのオマージュを感じさせる。


 印象的なのはハービー。堂々とコインランドリーへやってきて、ヤスノブ相手に熱弁を振るう。カナン星人の衣装を示し「僕と一緒に来なよ(着なよ)!」と駄洒落を言う。考えてみれば、ヤスノブを誘わなければ、計画はうまく行っていた。アジトでは捕らえたヤスノブに、戦いに夢中になっている間に逃げられている。策士策に溺れる。だが、侵略者とはいえ、『ウルトラマントリガー』に防衛隊の一員として登場していたメトロン星人マルゥルにも被さって何か憎めない。


 ギャグ回かと思ったら、機械と人間とのドラマもあった。乾燥機を人間の友達のように話しかけている。どこかの芸人で似たような話を聞いたことがあったが(笑)。ヤスノブはクルルやアースガロンを対等な友人として接している。


 ヤスノブは暴走したアースガロンへ呼びかけ、それに応えてアースガロンも落下するヤスノブを救い、その前のMOPをつかんでいるときも、荷電粒子砲やアースガンを使ってはいない。ロボットにも心が芽生えた。
 これまでも多くのアニメ・特撮作品で、無機物の人型ロボットに心が芽生えたり、主人公とロボットとの友情ドラマが描かれてきた。『ジャイアントロボ』(1967)最終回や『ターミネーター2』(1991)のラストなど。


 他にも、ゲントが実に低姿勢でクルルにヤスノブの行き先を尋ねたり、最後まで彼と分かり合おうと努めたり、エミやアンリ同様に部下から見た理想の上司だ。そのヤスノブはオーロラ光線を浴びせられて服を脱いで半裸になったら、童顔に反してムキムキだったり、ヤスノブは勤務外では自宅アパート近くに行くのにも銃を持参していたり、ハービーの駄洒落に「おもんな(面白くない)」と返し、コインランドリーを出てカナン星人バービーを追いかけようと上半身裸のままで鉢合わせしてしまった男を演じたのは本話の担当ではないが田口清隆監督だったり、あちこちのシーンで小ネタの注目ポイントがあった。


(了)
(初出・特撮同人誌『『仮面特攻隊2023年9月号』(23年9月3日発行)所収『ウルトラマンブレーザー』序盤合評3より抜粋)


[関連記事] ~歴代ウルトラシリーズ序盤評

ウルトラマンデッカー』(22年)前半総括 ~熱血でも『ダイナ』と別モノ!  防衛隊のGUTSグリフォン・テラフェイザーも敵怪獣を撃破!

katoku99.hatenablog.com

ウルトラマントリガー』(21年)前半総括 ~『ティガ』らしさは看板だけ!? 後日談かつリメイク! 昭和・Z・ギャラファイともリンク!

katoku99.hatenablog.com

ウルトラマンZ(ゼット)』(20年)序盤総括 ~セブンガー大活躍! 「手段」ではなく「目的」としての「特撮」!

katoku99.hatenablog.com

『ウルトラギャラクシーファイト』(19年) ~パチンコ展開まで前史として肯定! 昭和~2010年代のウルトラマンたちを無数の設定因縁劇でつなぐ活劇佳品!

katoku99.hatenablog.com

ウルトラマンタイガ』(19年)序盤総括 ~冒頭から2010年代7大ウルトラマンが宇宙バトルする神話的カッコよさ! 各話のドラマは重めだが豪快な特撮演出が一掃!

katoku99.hatenablog.com

ウルトラマンR/B(ルーブ)』(18年)序盤総括 ~ユルい作風。その玩具性・名乗りの是非。ウルトラ史上最強の空中戦特撮!

d.hatena.ne.jp

ウルトラマンジード』(17年)序盤評 ~クライシス・インパクト! 平行宇宙のひとつが壊滅&修復! その原理とは!?

d.hatena.ne.jp

ウルトラマンX(エックス)』(15年)前半評! 5話「イージス光る時」・8話「狙われたX」・9話「われら星雲!」 ~ゼロ・マックス・闇のエージェント客演!

katoku99.hatenablog.com

ウルトラマンギンガ』(13年)序盤評 ~低予算を逆手に取る良質ジュブナイルだが、それゆえの危惧もアリ!?

katoku99.hatenablog.com

ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY』(08年)#1「レイオニクスハンター」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091230/p1

ウルトラマンメビウス』(06年)#1「運命の出逢い」 ~感激!感涙!大傑作!

d.hatena.ne.jp

ウルトラマンマックス』(05年)#1「ウルトラマンマックス誕生!」 ~序盤評・原点回帰は起死回生となったか!?

d.hatena.ne.jp

ウルトラマンネクサス』(04年)#1「Episode.01夜襲 -ナイトレイド-」 ~ハイソな作りだが、幼児にはドーなのか!?

d.hatena.ne.jp

ウルトラマンネオス』(00年)#1「ネオス誕生」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120226/p2

ウルトラマンダイナ』(97年)#1「新たなる光(前編)」~#11「幻の遊星」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971201/p1

ウルトラマンティガ』(96年)#1「光を継ぐもの」~#15「幻の疾走」

d.hatena.ne.jp

ウルトラマン80(エイティ)』(80年)#1「ウルトラマン先生」 ~矢的猛先生!

d.hatena.ne.jp

『ザ☆ウルトラマン』(79年)#1「新しいヒーローの誕生!!」 ~今観ると傑作の1話だ!? 人物・設定紹介・怪獣バトルも絶妙!

d.hatena.ne.jp

ウルトラマンタロウ』(73年)#1「ウルトラの母は太陽のように」 ~人物像・超獣より強い大怪獣・母・入隊・ヒロイン・5兄弟の正統タロウ誕生を漏れなく描いた第1話!

d.hatena.ne.jp

ウルトラマンエース』(72年)#1「輝け! ウルトラ五兄弟」 ~超獣・破壊・防衛組織結成・先輩&新ヒーロー登場を豪華に描く!

d.hatena.ne.jp

ウルトラマントリガー最終回 ~新世代ウルトラ各作終章の出来も含めて賛否総括! 光と闇を包摂する真理!?

『ウルトラマントリガー』前半総括 ~『ティガ』らしさは看板だけ!? 後日談かつリメイク! 昭和・Z・ギャラファイともリンク!
『ウルトラマンZ』序盤総括 ~セブンガー大活躍! 「手段」ではなく「目的」としての「特撮」!
拙ブログ・トップページ(最新10記事)
拙ブログ・全記事見出し一覧


[ウルトラ] ~全記事見出し一覧


 『ウルトラマントリガー』(21年)最終章の総集編が、再編集・総集編番組『ウルトラマン クロニクルD』(22年)にて放映記念! とカコつけて……。『ウルトラマントリガー』最終章評をアップ!


ウルトラマントリガー』最終回「笑顔を信じるものたちへ」 ~新世代ウルトラ各作終章の出来も含めて賛否総括! 光と闇を包摂する真理!?

(文・T.SATO)
(2022年2月19日脱稿)


 2013年度から始まったニュージェネレーション・ウルトラマンシリーズ第9作こと『ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA(ニュー・ジェネレーション・ティガ)』(21年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20211021/p1)。通例では7月に始まってクリスマス商戦の年末12月に完結するニュージェネ・シリーズだったのだが、同作はイレギュラーな番外の総集編を3本挟んで、歳を越えた翌年1月下旬に完結した。


 各話のゲスト怪獣よりも強い敵幹部級の存在として、シリーズを通じて登場してきた、悪のウルトラマン3人衆こと「闇の3巨人」。彼らはシリーズ終盤ではひとりまたひとりと敗退していき、悪の3人衆の筆頭である女ウルトラマンことカルミラは、闇の力を借りて超巨大怪獣と化す! その名も邪神メガロゾーア! ……というようなストーリー展開になるだろうことは、子供たちはともかく我々大きなお友だちにはミエミエであっただろう。


 ただし、ミエミエだから悪いということでもない。原典の女ウルトラマンことカミーラ同様、カルミラが3000万年越しでティガもといトリガーを妄執込みで愛していたと描かれてきた以上は、彼女とのドラマ的・バトル的な決着が本作のラストに配置されていなければ、それはそれで腰の座りの悪いオカシな作品となったことであろう。


原典『ティガ』最終回&後日談映画のシャッフル作劇!


 ところで、この邪神メガロゾーアとは、本作の原典でも『ウルトラマンティガ』(96年)最終章3部作(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961207/p1)に登場したラスボス超巨大怪獣こと邪神ガタノゾーアや、『ティガ』の後日談映画『ウルトラマンティガ THE FINAL ODYSSEY』(00年・ttp://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961209/p1)に登場した悪の女ウルトラマンことカミーラがラストで変身した超巨大怪獣こと邪神デモンゾーアのリメイクでもある。
 本作『トリガー』最終回は、一応の『ティガ』の次世代作品を謳(うた)っているので、この『ティガ』最終章3部作と『FINAL ODYSSEY』をシャッフルした作りともなっていた。もちろん、この2作品のいずれかそのまんまの内容では、子供たちはともかく大きなお友だちからはブーイングが飛ぶだろう。その逆に、あまりにも別モノであっても、それでは『ティガ』の次世代作品を謳っている意味がないとイチャモンを付けられることだろう。


 メインターゲットは今現在の子供たちである以上は、大きなお友だちの反応なぞは無視してもイイだろう。しかし、それもまた現実的には、そして人間の人情としても困難なことではある。


 そこで本作『トリガー』では、原典とは異なりラスボス怪獣はまずは新宿都心に出現させたものの、原典とも同様に最終的には海上で決戦させることになる。
 原典ではシリーズ後半の1エピソードにのみ登場した悪のウルトラマンティガことイーヴィルティガの変身前の「中の人」である青年科学者が、変身能力を失って改心したことで最終章3部作では再登場して、その人間としての頭脳だけを活かして活躍するかたちを採っていた。


 本作『トリガー』では、その立ち位置はカナリ異なるモノのお宝ハンター宇宙人・イグニス青年が「闇の残留エネルギー」をゲットして、ウルトラマントリガーの3000万年前の姿であった闇の巨人・トリガーダークへと変身! 敵対関係から和解に転じて、トリガー&トリガーダークの2大ヒーローが共闘して邪神メガロゾーアに立ち向かって、一度はコレを撃破してみせることで原典との差別化を果たしている。


『ティガ』最終回&後日談映画とも異なる新機軸部分!


 しかし、クトゥルフ神話の怪物『這いよれ! ニャル子さん』(09年。12年に深夜アニメ化・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20150601/p1)ことニャルラトホテップ、もとい細身の邪神・メガロゾーアは異形で幅広で「名状しがたい」((C)クトゥルフ神話・笑)醜悪な第2形態へと変化! トリガー&トリガーダークを打ちのめす!


 一度は撤退するトリガーたち。だが、トリガーことケンゴ隊員や怪獣攻撃隊の隊員たちの発案で、「光」単体の力だけでは「闇」に対して拮抗する程度に過ぎなくても、「光」&「闇」のダブルパワーであれば「闇」をも陵駕することが可能なのだ! という、ある意味では計量的・合理的な、別の意味では言葉のお遊び・頓知的な発想の作戦を発案!――「擬似SF性」というヤツです(笑)――
 イグニス青年がトリガーダークの「闇のエネルギー」をケンゴ隊員ことトリガーへと返すことで、「光」と「闇」の両方の力を併せ持たもったトリガー最強形態・トリガートゥルースも誕生する!


 そして、しばし優勢に活躍するも、それでも敗北(汗)して海底へと沈んでいく……。
 といったところで、原典『ティガ』の最終回とも同様に、コレら一連のTV中継を観ていた各地の子供たちが声援を送る! すると、トリガートゥルースもその光のエネルギーで充填!
 さらに、怪獣攻撃隊の空中母艦・ナースデッセイ号を中継器として、本作のキーとしても描かれてきた「エタニティ・コア」なる超エネルギーの力もチャージすることで大逆転! といったところで、いったんのオチとなっている……。


 邪神ガタノゾーアやデモンゾーアもどきの出現! TV中継を通じた子供たちの応援によるウルトラマンの復活&大逆転劇! といったところで『ティガ』らしさを醸し出しつつも、「光」のエネルギーの強大化だけで邪神を打倒できていたティガとは異なり、「光」と「闇」の両方の力と「エタニティ・コア」の力を秘めている最強形態と化すことで、『トリガー』最終回は原典『ティガ』最終回との差別化を果たすこともできていた……といった交通整理はできるだろう。


伝説化された原典『ティガ』最終回も当時は賛否両論!


 とは云うものの、もう四半世紀が経ったので往時の議論百出が均(なら)されてしまって、「総合的・最大公約数的には『ティガ』最終回は傑作だった」という見解に平均化・一般化がなされることで神格視されてはいるけれども、ココの扱いが実はムズカしい。


 往時にもうすでに大きなお友だちであった特撮マニア諸氏は覚えていることだろう。この『ティガ』最終回についても、当時は賛否両論であったことに。そして、そのようであった最終回を踏襲してしまうことに、否定とは行かなくても少々複雑な感慨を覚えるロートルな諸氏も一定数はいることだろう。


 具体的に著名人で云えば、オタク第1世代の怪獣絵師こと開田裕治(かいだ・ゆうじ)画伯などは、当時の月刊アニメ雑誌ニュータイプ』のモノクロ情報ページの最下段を数ページにわたって占拠していた、オタク業界人多数による各人の数行程度の近況報告の中で、「『ティガ』も最終回は子供がたくさん出てきて、あんなんだったしなぁ(大意)」といった主旨の否定的なコメントを残していたのだ(汗)。
 この意見が大変不愉快であったらしい、『ティガ』最終回を執筆した脚本家・小中千昭(こなか・ちあき)などは、出典の書籍は失念してしまったものの、開田との対談でノッケからソレに対する先制パンチ(反論・当てこすり)をカマしていたものである。



 当時の特撮雑誌の読者投稿や特撮評論同人界でのマニア論客たちによる賛否の論陣は整理してみせれば、以下の通りであった。


●いわく、人間の知恵&科学を用いた現実的&物理的な努力で、邪神に敗北して石化したティガを復活させてみせてこそ、非民主的で選民思想的にもなりかねない「光」なぞではなく、非力な凡人ではあっても努力を実らせることができる「人」としての民主的&自力的な解決法を賞揚できるのだ。大人たちの努力が水疱に帰したところで子供たちがオカルト・精神主義的に奇跡を起こすのであれば、それは「人」としての努力の賞揚にはならないし、旧態依然の他力&神頼みのそれに過ぎないのだ。


●いわく、「大人の観賞にも堪えうる」というような旧態依然のテーゼで、メインターゲットである子供たちをないがしろにしてはイケナイ。大人たちでも達成できなかったティガ復活が、子供たちの純真な想い&合体でこそ達成ができたのであれば、それもまた子供たちにとっては痛快でもあっただろう。


 ちなみに、筆者個人は双方の意見いずれにも組してはいない。双方の意見それぞれに一定の理はあるとも思うが、ドチラかが圧倒的に正しくて、片方が圧倒的に間違っているとは思われない。
 もちろん、不肖の筆者も作品批評の最終審判者などにはなりようがない。しかし、子供たちの想いが金色のエネルギー奔流と化して、それらが結集してティガとも合体! ティガのインナースペースの中で大勢の子供たちが同時に一斉にパンチを繰り出したり、所定のポーズを取って必殺光線を放つ姿に対して、個人的には好意的であり微笑ましく捉えてもいたのだ。


原典『ティガ』最終回における子役大挙登場が議論の的!


 けれど、同時にこうも思ってはいた。コレらの描写は幼児~小学校低学年であれば抵抗はないであろう。
 しかし、小学校中学年~中学生の時分に視聴すれば、自身よりも年下の子供たちがややタドタドしい演技でパンチを放ったり所定ポーズを取っている姿に、やはりしょせんは子役たちによる絵空事の演技に過ぎないと看て取って、気恥ずかしさ&少々の幻滅を覚えてしまったのではなかろうかと。
 されど、さらに長じて高校生以上にもなってくれば、今度は子役たちの未熟な演技も割り切って観られて、その下手ウマさもまた微笑ましくて健気なモノにも思えてきて許せてくるのではなかろうかと(笑)。


 子供にかぎらず人々や庶民の祈りが「光」のエネルギーとなってヒーローが大逆転! といった作劇は、往年の合体ロボットアニメ『六神合体ゴッドマーズ』(81年)最終回や合体ロボットアニメ『元気爆発ガンバルガー』(92年)最終回の1話前などでも先行例はあった。広義では「光」のエネルギーではなくても戦いを見守っている人々の「声援」がそれに当たるものではあった。
 よって、『ティガ』最終回は画期的なのだ! なぞという意見には少々抵抗を覚えてはいた。むろん、主人公以外の人々の尽力や祈りも決してムダではなかったという「テーマ」を体現してみせる作劇意図の具現化としての映像表現としては有効なものであったとは思うし、『ティガ』以降のジャンル作品でもこのテの作劇は一般化もしていく……。


 しかし、げに作品批評とはムズカしい。一律に子供といっても、子供たちの成長段階に応じて、その受け取るであろう感慨には相応の違いが生じてしまうモノなのだ。
 そして、筆者個人も小学校中学年~中学生の年齢の時分に『ティガ』最終回に接したならば、子供たちの光がティガに結集していくあたりはともかく、そのあとにおける子役たちがパンチやキックやポーズをタドタドしく取っている姿で興醒めしてしまったのではなかろうかとも思うのだ(汗)。
――コレが逆にTVアニメ作品で全編が最初から作画&プロ声優で統一表現されていれば、子役と大人の役者さんとの演技の技量差・リアリティーラインの相違なども発生することはないので、そこで幻滅することなどもなくスンナリと受け容れることができていたかもしれない可能性なども含めて想起する――


 てなワケで、子供の味方をしてみせたつもりであっても、それは3~4歳児だけの味方に過ぎなくて、小学3~4年生にとっての味方ではなく敵になってしまっている可能性があるのだ(爆)。安倍ちゃんやトランプのせいにもできない、自らも免れえない人間一般が持っている「原罪性」(汗)。子供番組のレビューというモノも実にムズカしい。コレは永遠のアポリア(難問)でもあり、最終アンサーにはついに至ることもないのだろう。


 『ティガ』のリメイクにして続編という命題に沿いつつも、『ティガ』とは異なる差別化された新作でもあらねばならない……。個人的にはその命題に本作『トリガー』は一応は応えてみせていたとは思うのだ。


『トリガー』最終回に弱点アリとすればソレは何なのか!?


 しかし、そのことともまったく無関係に、「大きな危機に見舞われるも、最後には大逆転で観客にカタルシスを与えること」が主目的でもある「勧善懲悪エンタメ活劇」として、『トリガー』最終章が『ティガ』最終章と比して劣って見えてしまう箇所は、まずはその前段たる「クライシス描写のスケール感の小ささ」であろう。
 まがりなりにも世界規模・地球規模での危機が起きている! といった描写を入れることで、通常回とはケタ違いの危機を描いていた『ティガ』と比すれば、『トリガー』は日本の一部で局所的な危機が発生していた……といった程度の描写に収まってしまっている。


 世界各都市での戦闘特撮をたとえ点描でも挿入するのにも工数や予算もかかるのはわかる。しかし、本作の怪獣攻撃隊・GUTS-SELECT(ガッツ・セレクト)には海外支部の存在は描かれなかったものの、その上位組織はTPUこと地球平和同盟なのだから、昭和ウルトラシリーズ以来の伝統で世界各地に支部は存在するのだろう(笑)。であれば、


●『劇場版ウルトラマンX(エックス) きたぞ!われらのウルトラマン』(16年)終盤のように、あるいは『ウルトラマンZ(ゼット)』(20年)最終章(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210905/p1)ではセリフや静止画写真のみだったものの(笑)、世界各地で同時に昭和や平成期の怪獣たちが出現しているのだとか


●邪神メガロゾーアの周辺だけしか「闇」には包まれてはいなかったようにも見えるので(汗)、『ティガ』最終章や『ウルトラマンタロウ』ムルロア前後編に『ウルトラマンジード』の最強形態登場編のように、邪神が全身から噴き出した「暗雲」で日本のみならず世界・地球の全体が「闇」に覆われてしまった……


などといった、眼で見てもスケールが大きい危機が到来しているのだと子供でもわからせる点描、ワンカットの特撮映像――加えて、闇夜の世界各都市でも各支部の戦闘機・GUTSファルコンが「闇怪獣(やみ・かいじゅう)」とも交戦中など!――も描いてほしかったモノなのだ。


 逆に云うならば、筆者がイマ半だと思ったのはその点だけだったともいえるのだ。


 そーいう意味では、『ティガ』最終章に似ているのか否や? 子供の声援をドー見るのか? 子供の「光」と「スマイル」が同質か否かなぞは二次的なことである。そこが『トリガー』という「勧善懲悪エンタメ活劇」の成否に直結していたとも思われない――そもそも「光」も「スマイル」も「ポジティブ属性」であって「正義」という言葉の云い換えにすぎない――。


 もちろん、『ティガ』肯定派&否定派である年長マニア双方がソコを気にしてしまうのは心情的にはまぁわかる。
 しかし、それら「勧善懲悪エンタメ活劇」としての本質・成否・巧拙とは無関係でしかない些事がごときに、作品や事物の本質・構造・真善美などを虚心坦懐に究明・接近していくためのロジック(ロゴス)ではなく、枝葉末節についての言葉遊び・イチャモン的な珍妙なロジック(屁理屈)を、物事を改善したいという想いよりも論敵をツブしたいといった劣情の方が勝った礼節を欠いた物言いで延々と紡いでみせている行為などは、中世キリスト教的な神学論争・空理空論にしか見えないのだ(笑)。


 仮に『トリガー』最終章に問題点があったとしても、その根本原因は些末なディテールなどにはないだろう。


「巨悪が攻めてきた!」→「巨悪に立ち向かう孤高のヒロイズム!」→「押されている!」→「反撃!」→「勝利!」


といった一連である「エンタメ活劇」の普遍の大構造に即していて、各パーツがピタッとハマったかたちでウマく描けていたのか?
 「強敵感」や「絶望感」に、そこから来る「対比」「落差」の効果としての「逆転の快感」などを十全に描けていたのか?


 それらの成否についてをこそ、「作劇術」や「批評」はキモにすべきなのであって、その他についての議論なぞは事物の本質とは無関係な些末なことだとしか思えない。


 『トリガー』最終章の弱点とは、一にも二にも「通常回」とは異なるモノとしての「最終章」にふさわしいスケール感の少々の欠如。あるいは、ラスボス怪獣がもたらす被害の小ささだろう。
 スケールも大きい巨悪や絶望感あふれる危機の「絵図」を描いてこそ、そことの対比・落差の大きさから出る「逆転劇」の壮快さ、ラスボス怪獣をも上回るヒーローの強さ、もしくはサポーターとの共闘がもたらした勝利から来るカタルシスも強くなるからだ。
 そして、それこそが「勧善懲悪エンタメ活劇」の普遍的な骨格なのである――こう書くと、実に陳腐・凡庸なジャンルなのだけど(汗)――。


 子供たちの応援だの光&闇だのスマイルだのといった議論なぞは無意味だとまでは云わないものの、「テーマ」モドキを感じさせるための意匠・トッピング・スパイスに過ぎないのであって、「エンタメ活劇」の成否の理由を論じるにあたっては枝葉にすぎないのだ。


――しかし斯界(しかい)を見るに、作品の欠点を指摘するのにあたって、壮快な「勧善懲悪エンタメ活劇」を構築するための作劇術の巧拙や活劇としての深層構造などには眼を向けずに、擬似テーマ主義的に表層的な上っ面の劇中要素をダシに道徳的に論難して、作品論をただの通俗道徳論へと堕さしめてしまうような「重力の井戸」は、やはり今でもあまりにも強いことは痛感してしまう――


近作ウルトラシリーズにもあった最終章における弱点!


 ただまぁ、最終回にふさわしい大バトル&大逆転劇の巧拙における問題点は近作にも共通することであって、実は本作『トリガー』だけにかぎった話ではなかったのであった。


 個人的にはニュージェネ・ウルトラシリーズ各作の「最終回」は、『ウルトラマンギンガ』(13年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200819/p1)~『ウルトラマンオーブ』(16年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170415/p1)や『ウルトラマンR/B(ルーブ)』(18年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20180826/p1)については、各作ごとの「通常編」よりもスケールアップされた大バトル劇で申し分がなかった。しかし、


●『ウルトラマンジード』(17年)最終章(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20180213/p1)では、ジードvsジードの父でもある黒くて悪いウルトラマンことウルトラマンベリアルと、ヒロインである刀剣女子vsベリアルと通じていたダンディーなSF作家先生との戦いが分離気味であり、後者がバトルよりも人間ドラマ寄りになることで活劇度がウスれてしまっている


●『ウルトラマンタイガ』(19年)については、作品自体にタテ糸や宿敵キャラである青黒色の悪いウルトラマンことウルトラマントレギアとの因縁要素がウスかったために、その最終章(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200112/p1)も取って付けたような少々の異物感がある


●『ウルトラマンZ』(20年)最終回(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210905/p1)なども、主人公青年&ヒロイン隊員の恋情確認の絶叫ドラマがキモなのであって、バトルとの一体化は辛うじて保たれてはいたモノの、純然たる攻守逆転劇にはなっていない。加えて、ベリアルの残骸細胞であったデビルスプリンターが意味を持ってこなかったり、宿敵たる寄生生命体・セレブロが倒すべき巨悪へと昇格していかなかったあたりにも不満


 ……などなど、各作自体の致命的な欠陥だとは云わないまでも、それぞれの作品に小さな不満を感じてはいたのだ。そして先にもふれた通りで、本作『トリガー』の最終展開や同作シリーズ後半にも上記の作品群に対するソレと同じ程度のレベルで、個人的にはいくつか小さな不満はあったということだ。


 よって、やはり1年間・全50話も放映されるTVシリーズとは異なり半年・全25話しかないTVシリーズなのだから、少々残念でも1話完結の単発ゲスト回などは極力排して、もっとメインストリームや基本設定それ自体にガッツリとカラんだエピソードだけを配置していくべきではなかっただろうか?――そのかぎりで単発話やゲスト話がほとんどなくって、基本設定や主要登場人物の人間関係を煮詰めることだけでストーリーを進行させていく近年の「仮面ライダー」シリーズはエラいと思うのだ――


ウルトラマンジード』シリーズ後半~最終章の弱点!


 『ウルトラマンジード』のシリーズ終盤回である、往年の『ウルトラセブン』(67年)#26に登場した巨大怪獣ことギエロン星獣が登場する#20「午前10時の怪鳥」なども、単発話としてはまぁ面白くはあったのだ。同作の実質のシリーズ構成を務めていた女性脚本家・三浦有為子が第1期ウルトラシリーズ的な乾いたSF的不条理感をも再現したかったのであろう気持ちはよくわかるし、それも成功していたとも思うのだ。
 しかし、そんなエピソードなぞよりも(汗)、『ジード』という作品においては、全宇宙に偏在している「幼年期放射」なる微弱電波とは何ぞや!?――その正体は宇宙サイズかつ宇宙の幼年期にまで拡散・稀釈化して、大宇宙自体を修復中であるウルトラマンキング!―― 「カレラン分子」とは何ぞや!?――それは生物の体内で幼年期放射を結晶化させて、リトルスターやウルトラカプセルとしての実体化を促進!―― 「分解酵素」とは何ぞや?――そのカレラン分子を無効にする物質!――
 一度は宇宙全体を破壊した「クライシス・インパクト」は6年前の出来事だったというのに、爆心地付近の病院で誕生した19才のヒロインの生誕にキングが干渉していたのはナゼなのか!?――光よりも速い速度で宇宙全体に拡大したことで、超光速タキオン粒子の原理でキングの身体は時間も逆行して、宇宙の幼年期の太古の時代にまで偏在していた!――
 ……といったところを、要人警護やアイテム争奪戦にカラめて、劇中設定も小ムズカしくないかたちの「絵」として説明すべきであっただろう。


ウルトラマンタイガ』シリーズ後半~最終章の弱点!


 『ウルトラマンタイガ』なども同様であった。外国人移民や難民問題を地球人の姿に変身しているゲスト宇宙人たちに仮託して描く方針を、子供向けヒーロー番組でやることを手放しで絶賛する気にはなれないモノの、その志の高さは認めよう。
 しかし、各話のドラマ性&テーマ性は高くはなってもやや陰気な作風になりがちであった以上は、主人公青年に憑依(ひょうい)していてコップのフチ(笑)などで余人には見えない小人姿でコミカルな挙動を見せていたユカイな新人ウルトラマン3人に、ゲストキャラの境遇に対する同情や論評などを加えさせるかたちでカラませて、作風を明るくしてバランスも取るべきではなかったか? 3人ウルトラマン各々の過去とゲストキャラとの境遇をオーバーラップさせるかたちで、彼らの肉付けももっと増量できたであろうし、子供たちにとってもその方がドラマ&テーマも伝わりやすかったことだろう。
 レギュラーかと思えばほとんど出なかった人間サイズの悪い着ぐるみ宇宙人集団・ヴィランギルドも、シリーズ途中で第3勢力からラスボス・トレギアの軍門に降るなどして目先の変化、敵のスケール感&攻防劇をも強調しておけば、かえって「移民・難民」問題もその説教臭がウスれてビビッドにイヤミなくそのテーマ性が浮かび上がってきたようにも思うのだ。


 タイガを昭和のウルトラマンタロウの息子だと設定、同作のラスボスであるウルトラマントレギアもタロウの旧友だとしたからには、タロウとトレギアが決別した理由を徐々に小出しに明かしていくようなタテ糸もあってしかるべきであった。
 トレギアも当初はタイガをヒヨっ子扱いにして愉快犯的に弄(もてあそ)んで、自身と戦うに足る強さを兼ね備えるまで余興的に待ったところで鼻っ柱を叩き折ることで嗜虐心を満たそうとはしたものの、予想を超えて強くなったことで焦ってホンキでツブしにかかってくる。終盤ではタロウが復活参戦するも苦戦。成長したタイガが最終的にトレギアを打倒してみせることで「父超えの物語」ともする。
 などといった、アリガチで常套的で先行きの予想が付いたとしても(笑)、カタルシスはあるビルドゥングスロマン(成長物語)としての構築をナゼに怠ってしまうのか? それらの要素が入っても、現今の「ライダー」「戦隊」と比すれば、まだまだ劇中要素は決して多くはないだろうに。


 関係各位の証言を読むに、かの実相寺昭雄(じっそうじ・あきお)カントクの会社・コダイ上がりの監督で、現在では円谷プロ側の雇われチーフ・プロデューサーを務めている北浦嗣巳(きたうら・つぐみ)の意向で、『タイガ』では昭和ウルトラシリーズ的な1話完結性を重視してしまったことのコレは弊害でもあっただろう。
 ここで玩具会社・バンダイなり円谷プロの若手スタッフの心ある誰かがダメ出しをして「オレがやる!」と手を挙げて主導権を握るべきでもあったのだ。最後は個別具体の特定個人の人格力・交渉力・声の大きさ、権力や権利の善用なのである。正しき者こそ強くあれ!


――『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』(07年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080427/p1)~『ウルトラマンX』(15年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200405/p1)はバンダイから出向の岡崎聖・制作統括。『ウルトラマンオーブ』(16年)~『ウルトラマンR/B』(18年)は現場上がりの鶴田幸伸プロデューサーが主導していたことは各位の証言で明らかだ――


ウルトラマンZ』シリーズ後半~最終章の弱点!


 『ウルトラマンZ』においてもシリーズ中盤以降は、罪のないイイもん怪獣を倒してしまった主人公青年が悩みつづけたり、怪獣攻撃隊の巨大ロボット4号が異形のラスボス合体怪獣へと変化することで、行き過ぎた武力行使や科学に軍事力への警鐘ともしていた。テーマ的には一応は誠実だともいえるし、若手役者さんにとっても演技の振り幅を体験するという意味では有意義なことだったとは思うのだ――個人的には問題視すべきなのは「用途」なのであって、「技術」や巨大ロボットそれ自体が悪だとも見えかねない描写にはやや不満もあるのだが――。


 しかし、シリーズ前半同様にもっとおバカな熱血路線で、地球外生物セレブロに寄生されている怪獣攻撃隊の研究所に所属するカブラギ青年なども、若いオタク連中いわく近作の「円谷のヤベェ奴ら」同様に、キモいけど半分は笑ってしまう演技による「ネタキャラ」的な宿敵として(笑)、彼との攻防劇を主眼に描くべきではなかったか?
 『ウルトラマンX』のシリーズ後半ではダークサンダーエナジーにてゲスト怪獣が凶暴化するパターンが採用されていたが、『Z』後半でもカブラギ青年がデビルスプリンターを使ってゲスト怪獣を凶暴化させるべきではなかったか? 少なくともラスボス怪獣の組成にはデビルスプリンターをカラめるべきではなかったか?


 そうすれば最終回では、ベリアルの息子でシリーズ前半では客演も果たしたウルトラマンジードが! 怪獣攻撃隊のヘビクラ隊長とも因縁があるのでウルトラマンオーブが! ウルトラマンゼットの両脇を固めて、変身シーンのためだけに(笑)、1シーンのみ「中の人」も登場・変身して参戦させることでイベント性をさらに高めることも可能になったハズである!?――もちろん、ラスボス怪獣に対するトドメはゼットが刺すにしてもだ!――


 ……我ながら延々と「ボクの考えた最強の○○」といった類いを披瀝しており、お恥ずかしいかぎりではある(汗)。要は自分が好む作品については採点が甘くなるのは良くも悪くも人間の常だとしても、本作『トリガー』のみならず近作に対しても甘い採点に開き直ってしまったり、欠点や弱点は無視して一言も言及しなかったり、そも気付きもしない! などといった「お友だち内閣」的な言動ではアンフェアなのである。


ウルトラマントリガー』シリーズ後半~最終章の弱点!


 ここまで記してきた通り、『トリガー』も近作と同様の問題点を抱えているのだ。シリーズ前半には登場していたデビルスプリンターならぬ「闇怪獣」といったカテゴリーの怪獣たちが、シリーズ後半には登場しないのはいかがなモノか? それこそ後半では闇の3巨人がその闇の力で、着ぐるみは既成の怪獣の流用でも別名だけは「闇怪獣」(笑)へと凶暴化させて繰り出すべきではなかったか!?


 超古代文明の実態や滅亡の要因が判然とはしなかったことも、原典『ティガ』とも共通する欠点であった――『ティガ』も放映前のマニア誌などでは「超古代文明は怪獣や宇宙人の襲撃に遭っていた」という基本設定の紹介はあったのだが、映像本編ではそのようには言及されなかったのだ(汗)――。
 『ティガ』や『トリガー』とは世界観を異にする初代『ウルトラマン』(66年)に登場した、原典に準じて3億5千万年ならぬ3億5千年(笑)のむかしから復活した超古代怪獣アバラ&バニラスを登場させたこと自体はイイ。
 しかし、トリガーや闇の3巨人とも同じ3000万年前が出自だったとマイナーチェンジし、彼らこそが『トリガー』世界の超古代文明を滅亡させた元凶だったとして、そこで超古代文明の実態も明かしていった方がよかったのではあるまいか!?――むろん、3000万年前&3億余年前の文明双方を滅ぼしていたことにしてもイイ!――
 『ティガ』の代表的な悪役でもある人間型の悪の超人・キリエル人(びと)を『トリガー』にも登場させたこともよかったのだが、原典ではキリエル人も3000万年前の超古代文明よりも古い出自であったハズで、彼らにも往時の超古代文明の実態を語らせるべきではなかったか!?


 そこまでやってくれれば、「『トリガー』は『ティガ』をも余裕で超えることができていた!」と個人的には手放しで認定したくなったのに……。
――主人公青年が育てていた、ツボミのままのお花の名前は「ルルイエ」なので(クトゥルフ神話における超古代遺跡の名前で、転じて『ティガ』後日談映画での舞台とされた)、これを悪ではなく善の存在だとして終わらせてしまったあたりもイマ半だけど、まぁ許そう(笑)――


 なお、本作『トリガー』には前作のヒーロー・ウルトラマンゼット、ネット配信作品『ウルトラギャラクシーファイト』シリーズ(19年~・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200110/p1)で主役級で活躍しているウルトラマンリブット、本作の原典であるウルトラマンティガがゲスト出演するイベント編を3編も用意した。
 その試み自体はそれ以前のシリーズとは世界観を完全に刷新していた原典『ティガ』とも異なる手法なのだけど、筆者個人はヒーロー共演や異なる世界観の連結といった要素に、物語一般の無限の豊饒性や高揚感があると見ている者なので肯定的に捉えてはいる。


――その伝で、ウルトラシリーズ50周年記念作であった『ウルトラマンオーブ』なども、『オーブ』の前作『ウルトラマンX』における21世紀以降の先輩ウルトラマンたちが数話に一度はゲスト出演するというイベント要素を継承して、昭和や平成の先輩ウルトラマンたちが数話に一度はゲスト出演するような、アニバーサーリーにふさわしい作品を見せてほしかった。しかし、各種の人気投票企画でもご承知の通り、『オーブ』は先輩ウルトラマン登場がなくても若い特撮オタク間では高い人気を保っていることも認める――


1話完結を連続形式に変える者としてのライバルキャラ!


ウルトラマンゼロウルトラマンジードに対するウルトラマンベリアル
ウルトラマンオーブに対するジャグラスジャグラー
●古いところでは、キカイダーに対するハカイダー
ライオン丸に対するタイガージョー
●近年(?)では、ゴッドガンダムに対するデビルガンダム(笑)


 世界征服などという「大義」ではなくって、実はツンデレ――ツンツンと反発しているようでもデレデレと甘えた態度も取ること――な「恋情」や「私怨」が行動原理でもあることが恒例でもあるダークヒーローやライバルヒーローたちとも同様で、前々作『ウルトラマンタイガ』におけるウルトラマントレギアなどとは異なり、本作『トリガー』における悪のウルトラマンたちである闇の3巨人も「恋情」だったり第3勢力キャラ・イグニス青年とも「因縁」を持たせたり、今時の作品の通例でシリーズ途中ではお笑い担当として「ネタキャラ」化もしつつ、本作の背骨・一本線には成りえてはいたことで、作品を空中分解の危機からは救っていた。


 その意味では、往時の特撮マニア間では3度目・4度目の再登場や最終章ではラスボスとしての決戦も待望されていたのに、原典『ティガ』には実質2回しか登場しなかったキリエル人の扱いからは進歩して、同時期の90年代中盤の東映メタルヒーローで、


●主役ブルービートに対する宿敵ブラックビートが登場した『重甲ビーファイター』(95年)
●次世代ビーファイター3人に対して悪のビークラッシャー4鎧将(しがいしょう)が登場した『ビーファイターカブト』(96年)


 あるいは、マグマ星人がレギュラー敵として登場していた内山まもる先生による学年誌連載『ウルトラマンレオ』コミカライズ(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061028/p1)の域に、2010年代以降のウルトラシリーズもようやくに到達したのだ! その伝で『トリガー』にかぎらず、ニュージェネ・ウルトラシリーズの方が平成ウルトラ3部作なぞよりも上回っているのだ! なぞというマッピング・見取り図で捉えている御仁は全然いないようだけど(笑)、ロートルな筆者はそのように『トリガー』も含めたここ10年ほどのウルトラシリーズを上位の作品としては捉えているのだ。


悪の女超人カルミラに見る、ジャンル近作での悪の救済!


 たとえば「大坂の陣」における淀殿(よどどの。幼名・茶々)は、2時間尺の映画やTV時代劇であれば単なる悪女にした方がブレずにキャラも立つ。しかし、1年間・全50話の大河ドラマであれば単なる悪女キャラだけでも飽きてくるので、愚かしくても豊臣家&息子・秀頼を守るために尽くした健気さも徐々に小出しにしていった方が、逆にキャラも立ってくるというモノなのだ。


 そのような尺数にも影響される作劇理論で(笑)、ティガとダイゴ隊員は別人であるハズなのに恋慕していた原典におけるカミーラの取って付けたような改心的な最期(さいご)よりも、トリガーダークに芽生えた良心の輪廻転生がケンゴ隊員であったとした本作における、トリガーの腕の中に抱かれての少々の「救い」もあるカルミラの最期の方がスムーズで、ナットクもできるものではあった。
 活劇的にはともかくドラマ面では妥当なあるべき決着なのだし、人間はその最期に看取ってくれる知己さえいれば、それだけで救われるモノでもあるのだろう……。
――個人的には昭和の芸人たちや名俳優・藤田まことなどの発言のように、飲んだくれてドブ川に落ちて最期は誰をも恨まず自らの滑稽さを笑いながら、明るくひとりで死んでいくダンディズムのカッコよさを世間はもっと賞揚してくれよ! なぞと思っていたりもするけれど(笑)――


 あくまでも「エンタメ活劇」としての成否をこのテの変身ヒーロー作品の批評では論じるべきだとは思うのだ。しかし、それを原理主義の域で捉える必要はないだろう。
 「悪」にはなりきれなかったジャグラスジャグラー同様に、悪の女ウルトラマンことカルミラに対しても、女児向けアニメ『美少女戦士セーラームーン』シリーズ(92年~・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041105/p1)や『プリキュア』シリーズ(04年~・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20201227/p1)に、かの庵野秀明カントクの映画『キューティーハニー』実写版(04年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041103/p1)やアメコミ洋画の最新作『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(21年・日本公開22年)などとも同じく、チンピラ三下(さんした)はともかく幹部級の悪党には彼らのやむをえなかった事情なども描いて「心理的救済」や「成仏」をも与えてみせるといった作劇。
 「エンタメ活劇」だとはいっても、そーいった作劇も二次的には許容されてしかるべきではあろうし、盲目的で独善的ではあっても「恋情」を彼女の行動原理としてきた以上はこのように落とすべきでもあっただろう。
――たとえば良くも悪くも『ウルトラマンジード』の最終回などもこのパターンであって、本作『トリガー』最終回の作劇にも通じており、「闇」をも包摂するほどの器量の大きさを持った人格への成長・大慈悲の境地がテーマ的な着地点でもあったのだ――


活劇としてはともかく、あえて光と闇のテーマ性を解題!


 「光」と「闇」の力を併せ持ったという意味を持たせるために、そのデザインのカラーリングの一部に黒を加えただけのトリガートゥルースも、おそらくは円谷側での文芸設定的な意向などではないのだろう。往年の『ティガ』後日談映画などもそうだったのだろうが、バンダイ側が玩具の金型はそのままもしくは微改修で色彩だけを変えた商品点数を増やしたいというゴリ押しで、往年の「ティガダーク」ほかや近年の「黒い仮面ライダービルド」に「白骨の仮面ライダーセイバー」などとも同様に「販促ノルマ」として押しつけられたモノでもあったことは想像にかたくない(笑)。しかし、それすらも文芸的に劇中内にて必然性があるモノだとして昇華してみせるのが、作家たるべき者の務めなのである。


 本作では「闇」を拒絶して「光」だけを賞揚するといった展開は採らなかった。たしかに「正論」「理屈」だけでもヒトは救われないところがある。「人」個々人の内にもまたまぎれもなく怒りや恨みといった「闇」の劣情なども常に湧いてきてしまうモノでもある以上は、劣情にも寄り添って「共感」を示してこそ、当人も認められたと感じて癒やされたりして、そこを経過してこそはじめて改心できるのだという心理的カニズムもあるだろう。
――ただまぁ、筆者個人について自分語りをさせてもらえば、この生きにくい世の中を「理屈」で解釈して、手のひらの上に「縮図」として載せて、「価値判断」としては肯定はしなくても「事実認定」としてはナットクをすることで、擬似的に状況よりも上位に立って安心・救いを得ようとするタイプなので、他人なぞに寄り添ってもらって支えてもらいたいとは思わないけれど(笑)――


 「光」と「闇」の力を併せ持った最強形態・トリガートゥルース。そこにも文芸的な必然性を与えようとするならば、それはもうカルミラの「闇」をも包摂してみせる所業にしかなかったことであろう。ムリやりにテーマ面・文芸面を賞揚的に抽出してみせれば、そのあたりが一応の新機軸たりえていたとはいえるだろう。


――とはいえ、先ほどの発言とは矛盾するけど、「善」と「悪」とは対等な実在であるのか? 「善」(光)だけが真の実在で、「悪」(闇)とは実在ではなく善(光)の欠乏状態にすぎないと見るのか? 「光(源)」と「陽」(=光が当たっている側の物体の表面)と「陰」(=光が当たっていない側の物体の表面=SHADE)や「影」(=地面に映ったSHADOW)に「闇」といった5階層など、神学論争的には千年一日の議論ではあったりするという意味では決して新しくはなく、古来からの普遍的な問題設定なのかもしれないが――


『トリガー』における怪獣攻撃隊の面子をドー見るか!?


 加えて本作最終回では、怪獣攻撃隊の隊員たちが最終決戦にて単なるヒーローvsラスボスとの戦いの傍観者、バトルとドラマの分離も避けるべく、邪神の力の余波で生前の意識はナシで復活した闇の2巨人も怪獣攻撃隊の空中母艦内に人間サイズで出現して白兵戦! といったかたちで、隊員たちにも活躍の見せ場を与えていた。


 なお、ググってみると、彼ら隊員たちに漫画アニメ的・記号的なキャラ付けしかなされていないことには不満の声も上がっていたようだ。……そ、そーかなぁ。往年の『帰ってきたウルトラマン』(71年)や『ウルトラマンティガ』(96年)における怪獣攻撃隊のレギュラー隊員たちのようにリアルというよりナチュラルな人間描写もイイとは思うけど、子供向け番組一般の登場人物の造形法としては適度にマンガ的に誇張・極端化もされている方に筆者個人は軍配を上げるけれどもなぁ――100かゼロかという話ではなく、両方ともにあってイイという話ですヨ――。


 過去話やゲストキャラとのカラみなどでムリに肉付けなどしなくても、単体でキャラを立てることができていたという意味では、空中母艦・ナースデッセイ号を操艦する体育会系・テッシン隊員も、無人戦闘機を遠隔操縦するややエキセントリックな女性隊員・ヒマリも個人的にはスキだし評価もしている。


『トリガー』最終回における自己犠牲テーマもドー見る!?


 本作最終回では最終決戦後にもうひとつのクライマックスが設けられている。超エネルギーであるエタニティ・コアの暴走を鎮(しず)めるために、主人公青年がウルトラシリーズではともかく昭和の特撮やアニメではよくあった自己犠牲的な行為に及ぶのだ――このあたりは偶然なのだが、同時期に放映されていた『仮面ライダーセイバー』(21年)の最終回(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20220116/p1)とも通じるものがあった――。
 ただし、それを旧日本軍的な特攻だという批判を浴びせないようにするためにか(笑)、別れの悲壮感などは極力排されてはおり、むろん特攻死などにもなっていない。


 『セイバー』とは異なりエンディング主題歌が流れ終わったあとにも彼は生還しないで終わるのだけど(爆)、映像面ではエタニティ・コアの中で眠りながらも生存はしていることが明示されて明朗なエンドとなっている……。


――むろん、最終回の数話前から本作の中CMなどでも流されてきた最終回後の後日談映画『ウルトラマントリガー エピソードZ(ゼット)』(22年)の予告編映像にて彼は元気に活躍もしているので、近い未来に無事に生還することは確定済!(笑) 作品外での情報も駆使して、過剰に湿っぽい雰囲気を与えてしまう危険の回避もできていた――


総括:『トリガー』人気の高低を何でドー測定すべきか!?


 いろいろと書いてきたが、マニア間では大人気作となった直前作『ウルトラマンZ』と往年の人気作『ウルトラマンティガ』との板挟み、双方の批判の論拠は真逆で異なるものの、そこは自覚・整理されずにフワッとした野合となることで、『トリガー』はマニア間ではカナリな矢面に立つ作品となってしまったことは事実である――『ティガ』を未見の特撮マニアの方が今となっては多数派なのだが、むろん仮に実は少数派による批判であったのだとしても、それに対しても一定の尊重はされるべきではある――。


 ただし、それら自体がまた、あくまでも大きなお友だち・年長マニア間での評価にすぎない。子供間での人気の測り方もまた実にムズカしいものではあるけれど、玩具の売上高が一応の参考にはなるのだろう。
 今年2022年には判明する2021年度のウルトラシリーズの玩具売上高の発表を待って改めての参考ともしたい。筆者個人の作品評価と玩具売上(子供人気)が相反するものであった場合でも、それはそれで虚心坦懐に受け容れて、本作に対する見解も釈明・修正していきたいとは思うのだ。
――「謝ったら負け病」の人間なぞではないので(笑)。もちろん、作品は不人気でも玩具単独の魅力だけで売上高が上がるといったこともゼロではないのだろうけど、そのようなこともまた滅多にはないであろう――


追伸


 本作『トリガー』の次作は、『ウルトラマンティガ』の次作である『ウルトラマンダイナ』(97年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971215/p1)がフィーチャーされることがすでに明かされている。『ティガ』主演のジャニーズ・長野博とは異なり、変身前の「中の人」であるつるの剛士(つるの・たけし)のギャラは相対的には安いであろうし、客寄せパンダ的にも喜んで大いに協力してくれそうではある。
 この流れで前作『ウルトラマンZ』までの作品が次々と順番に毎年リブートされるなどというようなことはないだろう。しかし、同じく「平成ウルトラ3部作」である『ティガ』と『ダイナ』はリブートされたのに、残りの『ウルトラマンガイア』(98年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19981206/p1)だけがリブートされないとなると、それはそれでかわいそうな気がしてくる。よって、『ガイア』まではリブートしてあげてもイイのでは?(笑)


追伸2


 「鵜の目 鷹の目(うのめ・たかのめ)」で作品の細部をチェックしていて、個人個人の見識としてはともかく、結果的に集合知といったモノが浮かび上がってくる巨大掲示板まとめサイトなどでの本編画像検証によれば、ウルトラマントリガーが第4形態・グリッタートリガーエタニティに強化変身した2021年10月9日(土)に放映された#12「三千万年の奇跡」の撮影日が、ヒロイン・ユナ隊員のデジタル腕時計の拡大映像(笑)にて判明している。少なくとも同話は2021年5月22日(土)に撮影されていたというのだ。
 よって、放映の約5ヶ月前には撮影がなされていたことになる。それにも関わらず、本作では3本の総集編が入った末に通常は年内で終わる放映が翌年1月に3話分もハミ出していた。


 昭和~90年代後半の平成ウルトラ3部作までの放映日ギリギリ納品の時代とは異なり、その反省に立って『ウルトラマンコスモス』(01年)以降は放映から半年ほどは先行して撮影を済ませていることは、往時からのマニア向け書籍などでのスタッフの証言でも明かされている。2010年代以降のニュージェネ・ウルトラシリーズも同様であるから、つまり『トリガー』も撮影自体は特に遅延していたとは云えないことになる。
 ニュージェネ以降は製作費を削減する大前提もあって、「本編」と「特撮」の2班体制はなくなりスタッフは「本編」「特撮」の兼任ともなっている――スタッフ・インタビューによると、コレによってやむをえずカナリの早撮りとなっているようだ――。よって、「本編」は撮影が順調ではあったものの「特撮」だけが遅延していたとも考えにくい。


 ということは、物理的な実体がある在り物・現物――役者・風景・ヒーロー・怪獣着ぐるみなど――の撮影さえできれば2話1組にて2週間ほどで撮了となるのであろう「撮影現場」側の都合ではなく、「ポスプロ」(ポスト・プロダクション=後処理=CGや合成)チーム側での不都合・遅延などがあったのであろうか?――CGや合成も予算はともかく一定以上のクオリティーを確保するためには日数を要するのだ(汗)――


 しかし、ご存じの通り『トリガー』においては、全話に登場するゲスト怪獣をすべてソフビ人形化するというバンダイ側の目論見もあった。そう考えると、多種にわたるソフビ人形の中国での製造や輸入に国内玩具店への配備などの問題で、ゲスト怪獣が登場する放映日に合わせたかたちで発売することが困難であったために総集編が3本も挿入されて、その分が翌年放映分に繰り越しになったといったことなのであろうか?――放映に連動したタイミングで都度都度に新発売にしていった方が、やはり売上もイイそうなので(笑)――


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2022年2月号』(22年2月20日発行)~『仮面特攻隊2022年号』(22年8月13日発行)所収『ウルトラマントリガー』最終回合評2より抜粋)


[関連記事]

ウルトラマントリガー』(21年)前半総括 ~『ティガ』らしさは看板だけ!? 後日談かつリメイク! 昭和・Z・ギャラファイともリンク!

katoku99.hatenablog.com

ウルトラマントリガー』(21年)中盤各話評 ~Z・リブット・ティガ客演! 『ティガ』とは似て非なる並行世界を舞台とした後日談と判明!

katoku99.hatenablog.com

ウルトラマンZ(ゼット)』(20年)中盤各話評

  (近日中に近過去日付記事としてUP予定)


[関連記事] ~久弥直樹ことハヤシナオキ(?)脚本作品評!

ひぐらしのなく頃に 業』 ~2020年秋アニメ評! 『無能なナナ』『憂国のモリアーティ』『禍つヴァールハイト -ZUERST-』『池袋ウェストゲートパーク』『NOBLESSE -ノブレス-』『アクダマドライブ』『100万の命の上に俺は立っている』『魔女の旅々』 ~シブめの良作が豊作の2020年秋アニメ9本評!

katoku99.hatenablog.com

『citrus(シトラス)』 ~2018年3大百合アニメ評! 『あさがおと加瀬さん。』『やがて君になる』 ~細分化する百合とは何ぞや!?

katoku99.hatenablog.com

『天体(そら)のメソッド』 ~2014年秋アニメ評! 『失われた未来を求めて』 ~絶滅寸前! 最後の「泣きゲー」テイストの2大深夜アニメ! 良作なのに不人気(涙)

katoku99.hatenablog.com


[関連記事] ~近作特撮・総括!

仮面ライダーセイバー』最終回・総括 ~文&武の根源、創作・物語とは何ぞや!? にも迫った逸品!

katoku99.hatenablog.com

仮面ライダーゼロワン』最終回・総括 ~力作に昇華! ラスボス打倒後もつづく悪意の連鎖、人間とAIの和解の困難も描く!

katoku99.hatenablog.com


[関連記事] ~『ウルトラマンティガ』全記事一覧

ウルトラマンティガ』序盤合評1 #1「光を継ぐもの」~#15「幻の疾走」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961201/p1

ウルトラマンティガ』最終回 最終章三部作・#50「もっと高く!~Take Me Higher!~」・#51「暗黒の支配者」・#52「輝けるものたちへ」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961207/p1

ウルトラマンティガ THE FINAL ODYSSEY』 ~賛否合評・万人が超人たりうる一般性を宿命性の物語に回帰させた是非!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961209/p1

『大決戦! 超ウルトラ8兄弟』 ~『ティガ』あっての新作だ!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101223/p1


[関連記事] ~ウルトラシリーズ最終回評

ウルトラマンティガ』(96年)最終回 最終章三部作 #50「もっと高く!~Take Me Higher!~」・#51「暗黒の支配者」・#52「輝けるものたちへ」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961207/p1

ウルトラマンダイナ』(97年)最終回 最終章三部作 #49「最終章I 新たなる影」・#50「最終章II 太陽系消滅」・#51「最終章III 明日へ…」 ~賛否合評

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971211/p1

ウルトラマンネオス』(00年)最終回「光の戦士よ永遠に」 ~「種の存続」に殉じることの是非!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120513/p1

ウルトラマンネクサス』(04年)最終回 ~中後盤評 #37「Final Episode 絆 ―ネクサス―」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060308/p1

ウルトラマンマックス』(05年)終盤・最終回・『マックス』総括! #33~34「ようこそ! 地球へ」バルタン星人前後編

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060503/p1

ウルトラマンメビウス』(06年)最終回 最終三部作 #48「皇帝の降臨」・#49「絶望の暗雲」・#50「心からの言葉」 ~ありがとう!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070505/p1

ウルトラギャラクシー大怪獣バトルNEO』(08年)最終回 #12「グランデの挑戦」・#13「惑星崩壊」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100331/p1

ウルトラマンギンガ』(13年)最終回 ~タロウ復活! 津川雅彦もキングに変身すべきだ! ウルトラ怪獣500ソフビを売るためには!?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200827/p1

ウルトラマンオーブ』(16年)最終回「さすらいの太陽」 ~田口清隆監督の特撮で魅せる最終回・ジャグラス改心の是非・『オーブ』総括!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170415/p1

ウルトラファイトオーブ』(17年)完結評 ~『オーブ』・『ジード』・昭和・平成の結節点でもある年代記的な物語!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170603/p1

ウルトラマンジード』(17年)最終回「GEED(ジード)の証」 ~クライシスインパクト・幼年期放射・カレラン分子・分解酵素・時空修復方法はこう描けば!?

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20180213/p1

ウルトラマンタイガ』(19年)最終回「バディ ステディ ゴー」 ~『ウルトラギャラクシーファイト』『スカイウォーカーの夜明け』『仮面ライダー令和』 ~奇しくも「父超え」物語となった各作の成否は!?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200112/p1

ウルトラマンタイガ』(19年)最終回「バディ ステディ ゴー」 ~タロウの息子としての物語たりえたか!?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210606/p1

『ウルトラギャラクシーファイト ニュージェネレーションヒーローズ』(19年)最終回 ~戦闘連発でも多数キャラの動機・個性・関係性は描破可能! 物語よりも点描に規定される作品の質!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210620/p1

ウルトラマンZ(ゼット)』(20年)最終回「遙かに輝く戦士たち」・後半評 ~ネタキャラが敵味方に多数登場だが熱血活劇! 2020年代のウルトラはかくあるべし!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210905/p1

ウルトラマントリガー』(21年)最終回「笑顔を信じるものたちへ」 ~新世代ウルトラ各作終章の出来も含めて賛否総括! 光と闇を包摂する真理!?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20220326/p1(当該記事)


ウルトラマンエース』(72年)最終回「明日のエースは君だ!」 ~不評のシリーズ後半も実は含めた集大成!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070429/p1

『ザ☆ウルトラマン』(79年)最終回 #47「ウルトラの星へ!! 第1部 女戦士の情報」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100328/p1

『ザ☆ウルトラマン』(79年)最終回 #48「ウルトラの星へ!! 第2部 前線基地撃滅」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100404/p1

『ザ☆ウルトラマン』(79年)最終回 #49「ウルトラの星へ!! 第3部 U(ウルトラ)艦隊大激戦」 ~大幅加筆!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100411/p1

『ザ☆ウルトラマン』(79年)最終回 #50「ウルトラの星へ!! 完結編 平和への勝利」 ~40年目の『ザ☆ウル』総括!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200508/p1

ウルトラマン80(エイティ)』(80年)最終回 #50「あっ! キリンも象も氷になった!!」 ~実は屈指の大名作!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210315/p1



ウルトラマントリガー&全ウルトラヒーロー ひみつ大図鑑 (講談社 Mook(テレビマガジン))

『トリガー』終章! 新世代ウルトラ各作も含めて総括!
#ウルトラマントリガー #ウルトラマントリガー最終回 #ウルクロD #ウルトラマンクロニクルD
『トリガー』最終回総括! 『デッカー』にトリガー客演記念!
#ウルトラマントリガー #ウルトラマントリガー最終回 #ウルトラマンデッカー
『トリガー』最終回総括 ~カルミラが全ウルトラ怪獣大投票で46位記念!
#カルミラ #ウルトラマントリガー #ウルトラマントリガー最終回 #ウルトラマン大投票 #全ウルトラマン大投票 #全ウルトラマン
『トリガー』最終回総括! 『デッカー』総集編で「トリガー」最終回紹介記念!
#ウルトラマントリガー #ウルトラマントリガー最終回 #ウルトラマンデッカー



[ウルトラ] ~全記事見出し一覧
拙ブログ・トップページ(最新10記事)
拙ブログ・全記事見出し一覧