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鉄人28号・05年映画版


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(05年3月19日封切)

鉄人28号・05年映画版①

(文・Y.AZUMA)
 2005年03月26日、キネカ大森で12:35の回を鑑賞。40人程度はいるキネカ3にお客さんは私たちを含めて10人程度。


 以前見た映画館の予告編では、壊れたビルの瓦礫の前でジャガイモ顔の男の子が操縦機を持っていた。
 「さぁて、見に行くかなぁ、どうしようかなぁ」と思案投げ首、逡巡したのは事実である。


 だって『鉄人』だよ。アニメなら原作からの大胆な飛躍が出来るけど、実写じゃあなあ、最近の旧作アニメ等の実写化は一勝二敗一引き分け(それぞれどれかは各自考慮して)だからなぁ、と気が引けていた。しかし、T.SATO主宰が本作品を含めて後で28号特集を検討しているとのことなので、前売り券を二枚買って妻と駅前まで行き、見たのである。


 まず、映画のあらすじ。
 多分現在の東京、突然、全長20mの巨大ロボットが飛来し、芝増上寺に着陸。東京タワーをねじり上げた後、日比谷通り辺りを低空で飛び去り、その周囲に甚大な被害を与えて行った。このロボット・ブラックボックスを操るのは元コンピュータ会社社長卓見零児(たくみ・れいじ)。
 何やら新しい世界を作るため、すべてを破壊し去ることを目標にしているらしい。都内の小学校に通う金田正太郎君の母親もこの災害に巻き込まれていた。その正太郎君の前に綾部と名のる怪しげな老人が現われ、彼は父親や祖父が研究していた「鉄人28号」の操縦をすることになる……。てなところ。


 では、感想。
 面白かった。
 特撮映画としての面白さもさることながら、少年の成長譚として成功しているのである。
 「これはジュブナイルよ。」と妻。確かに監督の冨樫森は、文芸系の映画を撮る人らしく、上手くまとまっている。 そのへんの評論は、妻に任せ、私はマニア向けのオタなところをひとくさり。

配役編

薬師丸ひろ子が小学六年生の母親役を演じていた。妙に強烈な存在感なのだが、お芝居は『野性の証明』(78)のままだ。きっと大女優だ。


・その薬師丸ひろ子阿部寛の間の正太郎君が、がじゃいも君のような池松荘亮君である。
 『ラストサムライ』(03)に出ていた男の子で只今売り出し中、今は声優もやっているそうだ。


・芝増上寺に着陸したブラックボックスを見上げて腰を抜かしている寺男(僧侶じゃないよね)は、誰かと思えば蛍雪次朗師匠じゃありませんか。『ガメラ』三部作(95〜99)でことごとく怪獣と最初に出会って人生が狂った元刑事役を好演し、あまつさえ『ゴジラモスラキングギドラ 大怪獣総攻撃』(01)でも最初に怪獣に出会う役を振られた同氏。今回は過去の悪縁を振り払うために仏門に帰依した元刑事が不運にも怪物に五度目の遭遇と相成った役なのではないかと勝手に解釈いたしました。今後、怪獣映画等では「怪獣等に真先に遭遇する不運な市民」の役を一人のキャラクターとして全部さらってしまうのではないかと内心危惧しております。個人的には「平成の大村千吉」の称号がピタリと考えます。


・中村嘉津雄が渋い芝居をしていたが、運転手役の村松利史がものすごく良いポジションを占めていた(だってセリフを喋らないであれだけの存在感を出せるのだからタダモノではないと思ったら、東京ボードビルショー出身でWAHAHA本舗を立ち上げた人だって)。
 「『サンダーバード』のパーカーみたい」と妻。


香川照之(社長・卓見零児)はまるで坂本龍一劣化コピーのような姿になっていた。でも、あの抑えた演技があの世界では光っていた。


伊武雅刀が警視総監で柄本明が警視庁の課長じゃ帝都の治安は絶対守れん。中澤裕子が部下じゃもっとダメだ。


村雨研二がここにも出ていた。今回は刑事役。


・ブラックオックスの声が林原めぐみだった。ちょっと卑怯だ。


・鉄人バージョンアップ時に来た職人さんたち。それから、バージョンアップ作業の描写。
 妙にリアルだった。日本の産業と経済の原点ここにアリって感じか。

音楽編

・音楽は千住明。つまり04年のアニメ『鉄人28号』と全く同じ音楽が使われていた。なんか妙なタイミングだ。
・『正太郎マーチ』は正太郎君とお友達が商店街を自転車で走るシーンで使用。これも良いタイミングでした。

小道具編

・正太郎君が自宅で読んでいる本は「怪人二十面相シリーズ・青銅の魔人」(ポプラ社刊・旧版)。裏表紙がトランシーバーを持つ小林少年の絵の例の本である。彼の学級文庫にはそんな古い本が並んでいるのか。

東京の町編

・ブラックオックスの着陸地点は芝増上寺。『キングコングの逆襲』(67)でメカニコングが戦った場所でもあり、特撮の古戦場である。


・オックスちゃんがひねっちゃった東京タワー(築46年)。やはりここも特撮のメッカ。今回はタワー下の駐車場にあったはとバス。どこまでが実写でどこからが特撮(意地でも「CG」とは言わん)かを想像するのもマニアの特権だ。


・東京の道路上の低空飛行は平成『ガメラ対ギャオス』を彷彿とさせる。


・オックスと28号の初回戦が丸の内とは良く考えた。「♪ビルの街にガオー」という主題歌があるけれど、鉄人が発表された50年代の日本にあった「ビルの街」は、東京には丸の内にしかなかったんだから。


・鉄人が叩きつけられて破壊される国会議事堂。あの正面玄関をぶっ壊した悪い奴は、他に『キングコング対ゴジラ』(62)のデカ猿くらいか。


・ブラックオックスが隠れている場所は、多分中目黒の目黒川貯水池。地下に九階建てマンションと同じ大きさの空間をコンクリートで作った場所である。

メカ編

・「予告編ではあのCGの鉄人、アルミ缶みたいでペコペコしてた感じで違和感あったけど、実際に観たら全然気にならなかった。」とは妻の言葉。確かにそうだ。



 今回の映画版『鉄人28号』、キーワードは「少年の成長譚」と「ジュブナイルSF」。この切り口で料理されていた。今後、『鉄人』は歌舞伎十八番と同様、いろいろな切り口で語られるのだろう。
 追伸、上映前買ったパンフ(昔の光文社版カッパ・コミクスをモチーフにした愉快なもの)を読んでいた。横山光輝の解説がポイントを掴んだ適切なものだったので、「分かっている人が書いているんだな」と思い、文末を見てみると坂井由人さんが書いていた。

(了)
(特撮同人誌『假面特攻隊2006年号』(05年12月30日発行)『鉄人28号』2005年実写映画版 合評①より抜粋)


鉄人28号・05年映画版②

(文・C.AZUMA)
 映画を観終えた時、特撮映画ってこんなにも軽やかで多くの可能性を秘めているんだなと思った。「特撮を使って理想を描いた、直球勝負の映画」


 怪獣映画というよりは、子供向けの文学を映像化したみたいだった。小説の行間を見せてくれた感じ。不勉強で知らなかったのだが、冨樫森監督は魚住直子の『非・バランス』(01)、ひこ・田中の『ごめん』(02)を映画化していた。
 この二作品の原作はヤングアダルト、ジュヴナイルとか呼ばれ、小学校高学年からの十代を主な読者層としている。これらは広義の意味で児童文学に含まれることがあるけれど、童話(例えば『いやいやえん』(62))でもなく、那須正幹の『ズッコケ三人組』(78〜04)のような児童向け作品ともちょっと違う、十代を主な読者層としているライトノベルとも異なる。
 このニュアンスの違いを伝えるのは難しいなぁ……大人が読む小説的な文学の香気を持ちながら児童文学に見られる向日性や希望を含んでいる作品と言えばいいのだろうか……まぁ、そういう種類の作品の読後感と今回の『鉄人』を見終えた時の感想が似ていた。


 今回の『鉄人28号』は正太郎君の半ズボンに象徴される男の子の世界の物語。(正太郎君が転校した先の学校は男子校みたいだったしね)
 友情を育むこと、他人を思いやること、誠実さや真心、親孝行などがてらいもなく描ける世界。真顔でいうと少々気恥ずかしいものが特撮映画という手法を用いて表現されていた。己の悲しみに心を閉ざし、未来を信じられなかった敵が自滅してしまったのが象徴的だった。
 原作の『鉄人28号』(56)自体がバラエティに富んでいるのだから、こんな夏休みの冒険譚みたいな映画な作品世界もあってよいのだろうと思える。
 真っ直ぐに明日を信じて生きていく子どもの世界、誇りを持って生きている大人達、それらが特撮映画で描かれることで、このジャンルの可能性を示してくれていた。

(了)
(特撮同人誌『假面特攻隊2006年号』(05年12月30日発行)『鉄人28号』2005年実写映画版 合評②より抜粋)


鉄人28号・05年映画版③

(文・T.SATO)(誌面余白アナうめ短文原稿)


 「鉄人は、武器を持たないロボットなんだ!!」


 との予告編のセリフを聞いたとき、「ケッ、武器がなくても、巨大ロボ自体が危険極まる暴力装置じゃねーか!」と、ついツッコミを入れたヒト、お友だちになりましょう。
 いやまぁ、そんな発想をしなかったヒトともお友だちになれなくちゃアレですが(笑)。しかしそんなに平和主義的にイイ子ちゃん優等生になりたいんスかね〜。いやまぁ筆者も宣伝担当だったら、心にはなくとも俗耳に入りやすそうなら、このコピーを嬉々として使いそうだが(汗)。
 人間も日本を含む世界中の各国も、天使じゃなく悪事を犯す可能性がある以上、武器や警察に軍隊は必要悪として認めて、シビリアンコントロールすればイイんだョ。


 作品自体は特撮ファン的にいうなら、良質の『ウルトラマンコスモス』(01年)か第1期『ウルトラ』の飯島敏宏監督の子役編のような、さわやかジュブナイルで好印象。
 大方の特撮ファンは実景+CGをキラうが、大衆はミニチュア+着ぐるみ特撮をチャチがると思うし、重厚軽妙半ばなロボ戦にも満足。無骨な鉄人が超電磁スピンやダイターン3のような空中スピンキックをかましてもナニでしょ?
 正太郎が鉄人を操縦する理由を、開発者の息子ゆえの血縁で済まさず、一度見たものを細部まで思い出せる力ゆえと設定するのは合理的。ちなみにこの能力は実在し、かの酒鬼薔薇聖人が有名(彼の場合、母のシツケをアリアリと思い出し・汗)。マニア向け『月刊マガジンZ』ではなく、『コロコロコミック』『コミックボンボン』など児童誌とミックスしなかったのが誠に残念。

(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2006年号』(05年12月30日発行)『鉄人28号』2005年実写映画版 合評④より抜粋)


『假面特攻隊2006年号』「鉄人28号」2005年版・関係記事の縮小コピー収録一覧
朝日新聞 2005年4月1日(金) 文化欄「映画」鉄人28号 ロボットの地味な格闘に驚き 〜映画評(小原篤
朝日新聞 2005年5月11日(水) 「記者席」鉄人28号ロボ、ときめき再び 〜べンチャー企業が鉄人製作販売・身長38センチ35万円2000台の注文達成


朝日新聞 2004年4月18日(日) マンガ家・横山光輝さんを悼む「面白さ」追い時代超越 米沢嘉博 評論家 〜テーマやメッセージ性はない・大衆娯楽・「読み物」の力・マンガを読むことの快楽
朝日新聞 2004年4月21日(水) 読者投稿欄「声」横山光輝さん親子で感謝!・中学生の息子は図書室で「三国志」を発見、級友にも啓蒙・44歳主婦
朝日新聞 2004年5月18日(火) 文化欄「惜別」横山光輝さん「鉄人28号」「三国志」の漫画家 マーチが似合う作風開拓 〜生い立ち業績・競馬が趣味・「孫子」を同時代の孔子と比較しつつ描きたいと数年前から構想するも果たせず

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