(文・T.SATO)
(07年12月執筆)
Kawaii! JeNny(かわいい!ジェニー)
地元TV神奈川、土曜深夜のアニメ5、6連発の時間帯。秋の夜長に新番アニメがはじまったかと思いきや……、特撮人形劇かよ!
旧タカラ(現タカラトミー)から発売されていた女児向け着せ替え人形・ジェニーちゃんを用いた、ジェニー・アキラ・なでしこの3人の女子高生が、秘密組織の軍服姿のムサいオッサンにスカウトされて、チャーリーズエンジェルならぬスイーツ・エンジェルスに変身!
オシャレとスイーツ(笑)(=甘いお菓子)を地球からなくさんとするシスターBと、クマさん・クマくん・クマちゃん(…)らが結成した悪の秘密結社に対してメカや武器で戦う物語。
製作は東宝で、現場は東宝定年後の川北紘一特技監督率いるドリーム・プラネット・ジャパン。脚本は今では御大(おんたい)な、放送作家あがりでそのむかしは『巨泉・前武のゲバゲバ90分!!』(69年)や『カリキュラマシーン』(74年)、『ルパン三世(新)』(77年)や東映不思議コメディシリーズを手掛けてきた浦沢義雄!
よもや川北カントクと浦沢がいっしょに仕事をする日が来ようとは。お二方とも爺さんの域に入りつつはあるが。
もう基本設定からしてアホだと斬り捨ててもイイところだったけど、コレがまた私的にはスゴい面白い!
おバカな悪の結社の作戦に、キレてる腹黒(はらぐろ)なヒロインたちがワガママいっぱい文句いっぱいに立ち向かう!(笑)
しかも声優がアニメファン的にも意外と豪華なハズ。主演の人気アイドル声優・野川さくらの腹黒ヒートアップな演技がハマるハマる、ハマってて笑える。
宿敵シスターBはネットアイドル(?)出身で舌足らずな元気声が特徴の、声優デビュー後数年は何を演っても『ナースウィッチ小麦ちゃんマジカルて』(02年)にしか聞こえなかった桃井はるこ。幅が出て高飛車な高笑い悪女演技もできるようになりました(笑)。
♪ハ〜ィ、ハ〜ィ、ハイ・エナジ〜!
ふたりでED(エンディング)曲(ASIN:B000VT9AXI)も熱唱!
(OP(オープニング)曲(ASIN:B000VT9AWY)はモモ〜イひとり)
往年の『サンダーバード』(65年イギリス・日本放映66年)同様、メインが人形だからこそ相対的にミニチュア美術にもある種のリアリティが宿るのか、自然光に近い強い照明の効果も一因か、映像的にはけっこうイイ。
そして何よりコメディゆえ、ギャグのテンポの間やナンセンスな飛躍映像も笑わせるためのキモになってくるけど、コレもまたバツグン!
ただこのへんのセンスは還暦すぎの川北カントクによるものとは思えない。やっぱ助監連中ほかの絵コンテなり人形操演者の手腕によるものではないのかな? おそらく制作費を安くするため、総監督みたいな総括的なポジションでいるのだろうけれど。
ただ特撮雑誌『宇宙船』でのインタビューで老骨は引退して若い者に活躍させた方がイイ(大意)と発言しながら、実際には『超星神』(03〜06年)シリーズにおいて、平成『ウルトラセブン1999最終章6部作』(99年)の特撮監督も経験した満留浩昌氏がずっと助監。本作でも同様ですかね?
かたや『超星神』のアクション監督は、『仮面ライダーBLACK RX』(88年)の敵幹部・ダスマダー大佐こと松井哲也・殺陣師(たてし)の配下とおぼしき複数人による交代制だったというのに(汗)。
古いマニアなら知っている平成ゴジラ川北組参加者でもあって、たしか大昔の土曜深夜のアマ映像作家のコンペ番組『エビ天(三宅裕司のえびぞり巨匠天国)』(91年)でも放映された今井聡氏の『ドリーム戦隊バービーV(ファイブ)』、『ドリームエンジェル・ジェニーV』が本作の基なのだろうけど、ならばなおさら彼も監督を経験させてあげればイイものを。彼らももう40越えでしょ?
ただアニメの押井守カントクの人形愛じゃないけど、近年のジェニーちゃん人形は美少女アニメの萌え的な方向で特化・洗練されていて、真剣に見てると何気に吸い込まれそうになるのは筆者だけ? コレが人形の久月だったら怖いけど。そのテの人形マニアの気持ちが少し判った(笑)。
ただ人形には純化された可憐さはあっても、身体性や少女性に肉体的存在感は当たり前だけれども希薄。人形劇ならぬ役者劇で、それらの要素が一応は存在する作品は……
MAGISTER NEGI MAGI(マギステル・ネギ・マギ) 魔法先生ネギま!
魔法学校出身の10歳の眼鏡チビ少年が31人の女子中高生の担任になるマンガ(03年)の2度のアニメ化(05・06年)後の実写化。
オタ間で大ヒットしたハーレムマンガで、筆者なぞは設定からしてもうイヤでイヤでスルーしてて、でも深夜放映されてたアニメ版の主題歌『ハッピー☆マテリアル』(05年・ASIN:B000758Y2E)はちょうど就寝前のタイミングだったのでよく聞いていて。
♪ 光る 風〜を〜 追い〜越したら 何が待〜って い〜るのかな?
オリコンで上位に入っても歌番組では紹介されず、若いオタらによる抗議運動が起きたことは記憶に新しい(笑)。
ちなみに、竹熊健太郎が15年ぶりに放つヒット漫画の続編『サルまん2.0(サルでも描けるまんが教室)』(07年)では、『ネギま』を参考にすると2007年のSF大会で発言(汗)。
製作は『牙狼〈GARO〉(ガロ)』(05年)のディープサイド。シリーズ構成は荒川稔久。
それにナンとアクション監督が設けられ(阿部光男)、女の子たちがクダラナイ諍いからアクションに転じて舞踏的な、いやけっこうシャープかつスピーディーなバトルを見せてます(笑)。
魔法がらみで特撮(VFX)もチョコチョコと。ロケハンの勝利か魔法学校や古い大学みたいな女子高校舎のフンイキもよし。意外と観られるナと。原作・アニメファンには非難轟々のようだけど。
ハーレムマンガがキライと云いつつ、本作実写版を平気で観てるのは、要はグラビアアイドルや女優志望の若い姉ちゃんがキャピキャピと多数登場してるのは、かしましくて華があってスキだなあと。こう書くと、自分はハーレムアニメファンと実は大差がないか、隣接していることも自覚させられるけど(笑)。
少女性よりもう少し肉体性や躍動性が強くなると……
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キューティーハニー THE LIVE
通常ひとりワクなのに4人全員が巨乳グラビアアイドルだった日テレジェニック2006出身の原幹恵ちゃん主演。4人ともマニア好みじゃんと思いきや、全員大手の芸能プロ所属だったんだって!? てな話はドーでもよいですが。
ついでに特撮関連では、『時空警察ヴェッカーD−02(ディーオーツー)』(02年)の小倉優子や、実写版『美少女戦士セーラームーン』(03年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041105/p1)のセーラーヴィーナス・小松彩夏(こまつ・あやか)ちゃんも、出演時の同年中に日テレジェニックにエントリー(汗)。
原幹恵以外にもさりげに巨乳グラドル水崎綾女(みずさき・あやめ))ちゃんが出演(などと書いてるとホントにみっともないが)。って、ハニーと同格の変身美少女アンドロイド役だったのかよ!
70年代のスケバンや女囚さそり色は一掃された、実写映画版につづくポップでライトで無垢なハニーが健康おイロケで、オープニング主題歌からバストと胸の谷間を強調、おしりを突き出しフリフリ。
80年前後には胸を押さえつけていた日本人女性も、90年代前半には ♪A子さんがB子さんに、C子さんもD子さんに(笑)、バッグの肩掛けひもで胸の谷間も強調するようになり、93年は女子高生が制服をミニスカ&ルーズソックスに改造、95年にはヘソ出しルックが出現し、90年代後半には一部で半ケツ・見せパンルックまでもが登場し……、資本主義に先導されて嘆かわしいかぎり。日本もホントによい時代になったものだ(…ドッチだよ!?)。
製作はコチラもディープサイド。総監督は、雨宮慶太の映画『未来忍者 慶雲機忍外伝』(88年)に主演し、昨今は渡米して『パワーレンジャー』シリーズ(93年〜・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080518/p1)の監督や、『仮面ライダー THE FIRST』(05年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060316/p1)、『GARO』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060317/p1)のアクション監督でもアクロバティックな突きと蹴りと舞いのあまりに見事かつ舞踏的な殺陣を見せてくれている横山誠カントクがついにメインで登板!
最初はソフトでマイルドなお色気アクションだけかと思いきや、やはりだんだんスゴい動きになってきた!
ハニーと同格の変身美少女アンドロイドで3人組集団になるのは、華を増やして少しでもキャッチーにするための営業的要請からだろうと思うけど、まあそれはそれで変身ヒロインがひとりだけだとドラマ的にもさして膨らまないからよいでしょう。
てかハニーに好意を持つスレンダー上品お嬢さま変身ヒロインの妄想がレズの域に達していて、そこでお約束反復ギャグの笑いを取るのって、『鋼鉄天使くるみ』(筆者が観たのは実写版『鋼鉄天使くるみpure』(02年))のキャラでもいなかったか?(『くるみpure』は荒川稔久メイン脚本作品だが、荒川さんにお呼ばれしたのか、井上敏樹センセも参加して全編まるまるクイズ大会とかのワケわかめな話を散々やっていた・笑)
さらに肉体性とお色気が高まると……
ZENアクションTV
07年10月開始番組じゃないけど、7月から東京MXテレビの金曜深夜26時より放映中!
こんな番組が深夜に放映されてるなんて、最近まで気付かなんだ(笑)。よく特撮雑誌とかに広告出してる、アダルトビデオもどきの特撮戦隊ヒロインパロディレーベルのひとつと思われる……。
とはいえ、このZEN(禅)ピクチャーレーベルというのは、Hはなしの18禁でもないマイルドレーベルでもあるらしい。
まあ変身ヒロイン、広く今風に云えば、戦闘美少女に対する倒錯した愛着・偏執は、ハズかしながら筆者にもわからなくはないけれどフツウ、大のオトコはそれにベタベタにハマったり淫したりはしないもの……。
理性で押さえて遠ざけておくもの(しかもそんなに苦労と抑制心を必要とする行為でもない・笑)。観る前はナニかがありそうだと思っても、作品を観てしまえば、Hと同じで大したものはナイ仏教でいう“空”みたいなもんだし(そうか?・笑)。
番組の内容はすでにDVDで発売されている30分数話単位の同レーベルの作品を毎週放映していくというもの。
だいたい内容は特撮戦隊ヒロインもどきのコスチュームのお姉さんが戦って、敵につかまって拷問にあったりして、喘いでいる……というもの(ただし、マイルド)。
試しに同社のホームページを見てみると……。大爆笑!
同工異曲の作品をこんなに毎月膨大にリリースしているだなんて! とはいえ、メチャクチャに稚拙な出来というワケでもなく、適度なドラマもあって、個人的にはそれなりに観られる。ごくごく個人的には結構気に入ってもいる(笑)。
でもコレはヘタウマのよさかなあ(私的には)。もっと演出や演技が良かったら却ってヒキそうシラケそう。
ドラマやテーマでなく、萌えの原型みたいなトコで結構批評的に触発されてたりもするんだけれども。まあ恥部を晒すようなことを書くかどうかは別として(笑)。
以上、ドチラかというと(ドチラかといわなくても)、男性野郎オタク向けの深夜特撮群。
でもそれだけでは狭すぎる。そこに急遽現れたのが……
風魔の小次郎
コレは私的には意外なダークホースかも。
今さら80年代前中盤の「週刊少年ジャンプ」の人気漫画だった作品を実写作品化。内容は学園もの + 不良の学校間抗争もの + 忍者(笑)。
そしてひたすらに敵味方チーム集団の抗争劇が……といっても要は学ランを着た十代の忍者青年たちが奇想天外な物理法則を無視した忍術(というか秘術や超能力。でも主に木刀・笑)を尽くして戦いつづけるというもの。
だけれども、コレはアキさせない。面白い。まあオトナになってから思えば、これは漫画家・横山光輝(よこやま・みつてる)センセイや集団抗争忍法小説の山田風太郎(やまだ・ふうたろう)センセイの世界に、「少年ジャンプ」的な熱血を加味したものだな、とも因数分解できるけど、だとしても攻防戦の普遍の面白さが味わえる。
しかも21世紀のVFXでこそチャチくない忍術映像が可能になったことを思えば、題材のナンセンスさ自体もまったくもって古くない。
製作は『超星神』シリーズ同様、東宝の下請けでゼネラル・エンタテイメント。その系列のカントクさんも参画。
そして何より敵味方の忍者学生どもがみんなイケメンお兄さん。主人公だけは甘くてかわいいヤンチャ系弟キャラというのも集団ヒーローもののキャラシフトではまさにそこを狙うべし!
特撮マニア的には、悪の学園の戦闘隊長が『ウルトラマンネクサス』(04年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060308/p1)主役・孤門(こもん)隊員の川久保拓司! 正義側忍者の長が『超星艦隊セイザーX』(05年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060712/p1)のクールヒーロー・イーグルセイザーこと西暦2500年の未来人・アド役の進藤学(しんどう・がく)! 夢の対決!(笑)
そいでまあ当たるも八卦、当たらぬも八卦だけど、土6アニメのソニーミュージック&ANIPLEX(アニプレックス)も制作に絡んで主題歌(ASIN:B000VY11L2・ASIN:B000VY11KS・ASIN:B000WPD3GQ・ASIN:B000WPD3GG)を宣伝し、放映終了後には舞台公演(ASIN:B0015YEKHO)もやるそうで、ニッチ(すき間)狙いとはいえ、確実に女性層を狙うのはアリだろう(モチ野郎でも観られる)。
新たなビジネスモデルのプロトになってほしいものだ。
- アーティスト: TVサントラ,小次郎(村井良大),竜魔(進藤学),麗羅(鈴木拡樹),霧風(古川雄大),項羽(坂本直弥),壬生攻介(藤田玲),飛鳥武蔵(川久保拓司),アンティック-珈琲店-,ON/OFF,小龍(坂本和弥)
- 出版社/メーカー: アニプレックス
- 発売日: 2007/12/19
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後日付記:『風魔の小次郎』は明らかに制作側(SonyMusicやANIPLEX(アニプレックス))が意図的に女性層を意識したイケメン深夜特撮だったようで。
同ワクにて同体制で、『仮面ライダー響鬼(ヒビキ)』(05年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070106/p1)の少年・明日夢(あすむ)クンこと栩原楽人(とちはら・らくと)クンや、『ウルトラマンガイア』(98年)のウルトラマンアグル・藤宮博也役や『仮面ライダー龍騎』(02年)の仮面ライダーライア・手塚海之(てづか・みゆき)役に『仮面ライダー THE FIRST』の仮面ライダー2号・一文字隼人(いちもんじ・はやと)役の高野八誠、『仮面ライダー555(ファイズ)』(03年)の重要悪役、最初は仮面ライダーデルタに変身していた敵怪人ドラゴンオルフェノク・北崎役や『牙狼〈GARO〉(ガロ)』の銀牙騎士・絶狼(ゼロ)・涼邑零(すずむら・れい)役の藤田玲も主役級で出演する『RHプラス』(08年1〜3月)。
そして、先にあげたイーグルセイザー・アドこと進藤学がラスボス役、『ウルトラマンネクサス』(04年)の西条凪(さいじょう・なぎ)女副隊長役のさとうやすえも途中からレギュラー出演する『東京ゴーストトリップ』(08年4〜6月)を継続して放映中。
まぁ、ある意味このテの女性向け……というよりマニアの女性向け作品は、そこいらの男性向け作品よりよほどオトコくさかったりもするのだが……(笑)。
……だれも待ってなくても、後日に各作品の最終回評など、当該記事に加筆予定(汗)。