(2018年9月16日(日)UP)
『アベンジャーズ/エンドゲーム』 ~タイムパラドックス&分岐並行宇宙解析!
『マイティ・ソー バトルロイヤル』 ~新敵出現で宿敵の悪神が正義に協力!(笑) 欧米も実は神仏習合だ!?
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『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』
(2017年5月12日(金)・日本封切)
世界的に好評だが私的にはイマイチ。軽薄ヒーローもの全般にいえる作劇的弱点!
(文・T.SATO)
(2017年6月17日脱稿)
リーダーは一応地球人のウスい無精ひげ&モミアゲの30代で永遠の思春期(笑)だとのたまう軽薄な白人男性だが、顔面を緑色にメイク(化粧)塗りしただけの宇宙人ヒロインに、全身グレー色の怪力デブの宇宙人、アライグマ型宇宙人(?)や、やはりチビチビ盆栽サイズの樹木型赤ちゃん宇宙人などといった安っぽいB級テイストのキャラクターがチームを組んで、銀河を守護するスーパーヒーロー(?)として活躍する作品。
原典コミックの初出は1969年だそうだから、単純計算で御年48歳!?――今回の映画のメンバー自体は2008年版が出自だそうだけど――
バットマンなどのアメコミヒーローはシリアスだけど、日本のスーパー戦隊などはオチャラケで……なぞと平成の初頭には舶来信仰が一部にあったようにも思うけど(今でもある?)。アメコミだって、色物ヒーローがおるやんけ!(笑)
来年2018年公開予定のアメコミヒーローが66人(!)も登場する大集合映画『アベンジャーズ』PART3『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20180619/p1)にも、本作のメンツが登場するそうだ。
地球というかアメリカ限定(笑)で活躍するアイアンマンやらキャプテンアメリカやらスパイダーマンやらと、銀河を舞台に活躍する可愛い超小型の樹木型宇宙人やチビチビのアライグマ型宇宙人に、顔面を緑色に塗っただけの宇宙人ヒロインらとの奇跡の共演。
超人たちの強大すぎて二次災害ももたらすパワーを国家なり何らかの組織が管理すべきか否かをめぐって、アベンジャーズたちアメコミヒーロー同士が2大陣営に別れての内紛劇が描かれたばかりだというのに、オチャラけたファンキーな宇宙人ヒーローたちと共演してしまうのは、世界観の整合性や双方の作品のリアリティの階梯(かいてい)からしてムチャクチャだとは思うものの、筆者は別にリアリズム至上主義者ではないので、多少ゴーインでテキトーで辻褄が合っていなくても、それを上回る共演&共闘のカタルシスがあるのなら、お祭り作品なのだからそれはそれでイイとは思う(笑)。
で、本作の原題は『~:リミックス』ではなく、劇中で登場するお気に入り曲をミックスしたカセットテープ(笑)のラベルに手書きされていた文言にひっかけた『~Vol.2(ボル・ツー。ボリューム・ツー)』だったのだそうで。それを日本側の興行会社が「本作はネームバリュー面で他のアメコミヒーローとは劣るので、『Vol.2』だと第1作目を未見の観客にますます敬遠されるから、そうは取られないようにオリジナルともリメイクとも取れるような副題に改題したのだとか……。
熱狂的なアメコミ信者のみなさんはこの処置に憤(いきどお)っているようだけど、それは世間が狭いと思うし、筆者個人はこの処置が正解だとも思う。筆者も3年前の2014年に公開されたという第1作目の洋画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』については「そんなのあったっけ?」的にその存在自体が記憶にありませんから(爆)。第1作を観ていないから『Vol.2』はまぁイイか、と思うメンタルはごくごくフツーの人情だとも思います。
そんな筆者が本作について語るのは非常におこがましいのだが……。
内容は非常にカンタン! 難解さのカケラもナイ!(笑) 第1作目を観ていなくても問題なし!(多分) 映像面、異星の背景美術や宇宙人たちのデザインも、カラフルポップというよりも原色ケバケバの極彩色で色彩設計されている。
ただ、まぁダメダメではないし、このままでもイイのだけれども、ビジュアル&アクション面ではカネ&手間をかけているので、その方面にチャチさはないから、アメコミ信者や舶来映画信奉者はそれだけで思考停止してしまって、本作をホメてしまうようにも思うけど、作劇的な緻密さはなく(笑)非常にテキトーな作りの作品だとも思う。
個人的には、この作品のキャラクター&作風の軽妙な良さを活かしつつも、もう少し各キャラクターたちの動機面・行動原理面を強化すれば、暑苦しいヒーロー性や勧善懲悪性、悪をやっつけるカタルシス・爽快感をもっと強化できそうなものを……といった印象。
まぁ彼らには最低限の正義感しかナイ! 世界を守るためや大義を守るために戦っているのではなく、実に私的な理由だけで戦って、結果的に銀河を守れているだけ! といったナンセンスさを強調したいのはわかる。まぁそれでもイイのだけれども、個人的には彼らにももう少しだけ正義感はあって、テレ隠ししているけど最後の最後にそんな彼らでも見過ごしにできない悪事があって義憤にかられて戦う! みたいな作劇の方がイイと思うのだけれどもなぁ――軽薄ヒーローもの全般に云える話であって、この作品にかぎった話ではないけれど――。やっぱそのへんで、最後の最後で爽快感が、ひいては物語の抑揚が足りていないようにも思うのだ。
ストーリーは、今や35年以上も昔となってしまった(!)1980年のアメリカの片田舎に遡って、白人主人公の父母のなれそめ時代を描写する――80年代前半に日米ともに若者間で短髪の時代が訪れるも、1980年は日米ともまだ70年代の長髪の流行を若者は引きずっていた時期なので、それを忠実に再現しているのは、あの時代に物心が付いていたオッサンの世代人的にも感心(笑)――。
続けて、宇宙のドコかのモノトーンの白黒タイルだったかに覆われた円柱のテッペンだかで、巨大宇宙怪獣(!)とガーディアンズ・オブ・ギャクラシーの面々がラジカセで80年代の洋楽ロックをかけながら、ペチャクチャとひたすら言葉遊びのムダ話(笑)をしつつ戦って、カメラもひたすらヨコ移動しながら数分間の長廻しで1カットに収めていくバトルシーンもスゴい!
で、金粉メイクの宇宙人たちから依頼されていたこの仕事を成功させて、彼らの母星に賞金を受け取りに行ったものの、現地でアライグマ型宇宙人が万引き(汗)してしまったことで、金ピカ宇宙人の大艦隊がガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの小型宇宙船を襲撃してきて、かろうじて逃げ切ってナゾの惑星へと不時着――ちなみに、万引き描写も、コレが非現実的な異星での小動物型宇宙人の所業だからギャグになるけど、ヒューマノイド型宇宙人の所業だったらイヤ~ンな感じが増してシャレにならないだろう(笑)――。
そこで出会ったダンディーでファンキーな初老のオジサンが、実は白人主人公の父であり、ナゼに母を捨てたのだ!? というお話をあまり湿っぽくはやらずに、母のことは愛していたけれど……というお話になる。
しかも彼の正体は、「天界人」(笑)というコレまた単なる宇宙人ではなく、それを超越した高次元な存在らしくて、彼の人間としての姿は仮初めのものであり、その本体はとある惑星そのもので(!)、そのユートピアの惑星にガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの面々は招待されることになる……。
で、共に2017年春の洋画『メッセージ』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170516/p1)や深夜アニメ『正解するカド KADO:The Right Answer』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190929/p1)とは異なり、ヒーローものである以上は悪役を設定してソイツをやっつけなければならない(笑)。そのジャンル的都合論で(批判じゃないヨ)、本作における高次元人はヒトをヒトとも思わない悪辣な正体を最後に現わし(笑)、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの面々も立ち上がって戦う! といった展開になる。とはいえ、その出自の半分は「天界人」であったことが判明し、実父そのヒトから直々に特訓を受けて超能力も開花させた白人主人公は今後もますます無敵だネ! ……といったトコロが本作の大雑把なストーリー。
他にも実父のお付きのメイドキャラとして、元AKBの秋元才加(あきもと・さやか)が声をアテている、昆虫的な触覚を生やした痩身の東洋人ぽい黒瞳がちの宇宙人との交流、メインヒロインの妹でもあり、姉に恨みをいだくどころか殺したがってすらいるという(汗)因縁の姉妹対決なども並行させている。
前作からの連投とおぼしき、主人公の育ての親であり、コレまた役者さんの顔面を青塗りメイクしただけの安っぽい宇宙海賊さんも出てくるけど、強いて云うなら、本作は「出来の悪い産みの親より、出来の良い育ての親!」がメインテーマ(?)で、それが白人主人公のメインの心情ドラマとしてもかろうじて成立している。けれども、それも言い訳クサくて、そもそもこの作品はテーマ&ドラマをうんぬんするような作品ではないナ(笑)。
その他にも、大ベテラン役者、シルベスタ・スタローンが出てきたり、白人主人公の「心の父」が80年代海外TVドラマ『ナイトライダー』(82~86年・日本放送87年)であり(オイ!)、その役者さんが登場したりといった小ネタも仕込む――筆者が鑑賞したのは吹き替え版であり、共にささきいさお御大(おんたい)がキチンと正しく声をアテておられました(笑)――
エ~、本作を愛する方々には誠に申し訳ございませんけど、筆者個人の本作に対する評価はあまり高くない。フザけた作風それ自体ではなく、フザけた作風の洗練度、フザけた作風がやや空回りといったあたりに少々の難を感じて、同じくマーベル・コミックスの多弁症でフザけたアメコミヒーロー洋画『デッドプール』(16年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160705/p1)あたりと比すると、作劇術的には数段落ちるようにも思う。
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