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少女☆歌劇 レヴュースタァライト ~声優がミュージカルも熱演するけど傑作か!? 賛否合評!

『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない ~ぼっちラブコメだけど、テレ隠しに乾いたSFテイストをブレンド!
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 2019年7月から昨夏の深夜アニメ『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』(18年)が「スタァライト夏休みプロジェクト」と銘打って再放送中記念! とカコつけて……。『少女☆歌劇 レヴュー・スタァライト』評をアップ!


『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』 ~声優がミュージカルも熱演するけど傑作か!? 賛否合評!

『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』 ~賛否合評1・『少女革命ウテナ』の劣化コピーでも本家の作品群よりは上かも? 最上級の美麗なルックだが内容的にはイマ半か?

(文・T.SATO)
(2018年8月2日脱稿)


 宝塚や今は亡きSKD松竹歌劇団みたいな、少女だけの歌あり踊りありのお芝居学校を舞台とした作品。と要約してイイのか? 多分違う(笑)。
 すでにBSやCSでは先行して、三森すずこら声優たちがアニメと同じ役柄を務める2.5次元の舞台版も放映されている。筆者は録るだけ録って観てはいないけど(笑~ググってみると、舞台版の方が原作扱い!)。


 毎回の各話ラストでは、少女2~3名が知られざる学校の地下劇場に突如拉致される。「アタシ 再生産」の巨大字幕とともに、美麗なバンク映像で長々と描かれる、カラフルな軍服か制服もどきのミニスカ衣装が、自動機械や自動ミシンで衣料から裁断、超高速で裁縫され、金具類の鋳造描写まである不条理な変身シーンが描かれる。
 ロートルのアニオタなら皆が思うだろうが、「セーラームーン」シリーズ2年目の『セーラームーンR』(93年)以降や『少女革命ウテナ』(97年)、『輪るピングドラム』(11年)に『ユリ熊嵐』(15年)などを手掛けた幾原邦彦カントクのスタイリッシュで様式美的・前衛芸術的な演出へのオマージュでもあるだろう。
 ついでに云うなら、『ウテナ』はともかく『ピングドラム』『ユリ熊嵐』での長尺不条理バンク映像は、自己模倣・劣化コピー・少々クドめ、キャラデザが萌えというより少女漫画系で、女性ファンもゲットしようとイロ目を使っているのもわかるけど、今の女オタの好みの絵柄とも違うのでは? という感じで、筆者個人は評価していなかったので(異論は受付ます・汗)、本作の塩梅&尺の取り方くらいがちょうどイイ。


 そして、ナゾの軍服・戦闘服に身を包んだ少女たちが、主役・センターだかメンバー選抜をめぐって、低音ボイスでしゃべる動物のキリンさんの審査員が見守る中、即興演劇だか剣戟バトルだかをくりひろげる。
 良くも悪くも歌&踊りがある作品は、集客的にも強いよネ。あわよくば、2.5次元演劇や、巨大ライブも開催して、スマホ音ゲー(ム)でも集金ができる。それの何が悪い。誰も不幸になってないゾ。ファンたちも確信犯で消費・蕩尽してるのだ! と思いつつも、長いモノ・流行りモノには巻かれたくない反発心からまた、別種の作品が誕生したりもするので、本作みたいな作品に反発する輩のメンタルもわかるし、半分同意もするけれど。


 製作はあまた(ほとんど?)の深夜アニメの製作委員会やスポンサーに名前を連ねるカードゲームのブシロードで、ついには主幹事会社の立場で、歌モノ・アイドルものの変化球として、昨17年にはガールズバンドを主題にしたゲーム&深夜アニメ『バンドリ! ガールズバンドバーティー!』を放ったが、続けて本作ではミュージカルを主題にしてみせたといったところか?
 しかも、前者は作劇的には良くても、少々低予算の並作画作品という感があったけど、本作は明らかにカネ&手間をかけた美麗かつアクションもある高作画作品になっている! てなワケで、前宣伝の段階からメジャー感も醸せていたワケだが……。


 ウ~ム。映像的には一級でも、お話の方は何やら索漠・散漫とした印象を受けなくもないのは筆者だけか? それとも、筆者もイイ歳こいて少々前衛ぶったメジャー感ある作品にムダに無意識に反発せんとして目が曇ってしまったか?(汗)


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.72(18年8月11日発行))


『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』 ~合評2・多数のキャラを見事に描き分け! 百合的三角関係も描くが、キモは各話ラストの不条理舞台劇バトル!

(文・久保達也)
(2018年11月24日脱稿)


 歌劇を扱ったアニメとしては、個人的には♪ていこ~くかげきだん~という主題歌が妙に耳に残る『サクラ大戦(たいせん)』(00年)を連想してしまうが、その「ていこくかげきだん」の実体は、帝国「歌劇」団の皮をかぶった秘密部隊・帝国「華撃」団だった。
 まぁ、「過激」の意味もこめられていたような気もするが、本作は近年過剰(かじょう)気味なアイドルアニメのヴァリエーションに見えながらも、実はこの『サクラ大戦』的な戦闘美少女を主役にしたバトルファンジー路線に対するオマージュこそが、製作側が最もやりたいことであるのだろう。


 筆者が歳(とし)を食ったことが大きいのだろうが、近年の深夜アニメは第1話を観ただけでは主人公や主要キャラの名前が覚えられず、エンディングのクレジットで確認せざるを得ないものが多いような印象が強い。
 それらに比べると、本作の第1話で主要キャラが出席番号と名前を名乗りながら次々とレッスン場に入ってくるのが実に親切に思えたのみならず、ショートカットの娘はリーダー格、金髪モデル体型のコはスター級、パープル髪のメガネっ娘(こ)は負けず嫌いなど、キャラ同士のちょっとしたやりとりや仕草のみで視聴者に知らしめてしまう演出は、個人的には好感度が高い。


 いくらブシロードの製作とはいえ、オレンジとブラウンの中間色のショートボブヘアを髪飾りで結(ゆ)わえた、「はぁ~」「てへぇ~」なんて調子でやや天然ぶりを垣間(かいま)見せる、アイドルアニメ『ラブライブ!』(13年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20160330/p1)の主人公・高坂穂乃果(こうさか・ほのか)をまんまパクったような主人公の元気少女・愛城華恋(あいじょう・かれん)が、歌劇学校のルームメイトである青髪ロングヘアでおっとりした少女・露崎まひる(つゆざき・まひる)の大きな胸に、ストレッチの最中に顔を埋(うず)めるや、まひるが至福の表情でにんまりするだけで、「華恋ちゃん大好き!」であるのを描写しているのも絶妙だ。
 アイドルアニメのみならず、近年めだつ女性同士の恋愛を描いた百合(ゆり)ものの要素までをも導入しているのは心憎いが、そんな華恋とまひるの関係性が、第1話で早くも揺らぎはじめることとなる。


 イギリスの王立歌劇学校(爆)から転校してきた、黒髪ロングヘアに星の髪飾りをつけた、華恋曰(いわ)く「クール&ミステリアス」な美少女・神楽ひかり(かぐら・ひかり)は、実は華恋が幼いころに撮ったツーショット写真をいまだに自室に飾っているほどのおさななじみだ。
 その写真にも示されているのだが、かつて華恋が贈った星型の髪飾りを、ひかりがいまだにつけてくれていることに、華恋が感動の意を表しても、ひかりはただ一言、「別に……」。
 『ラブライブ!』では穂乃果の教育係(笑)的な側面もあった、やや潔癖性(けっぺきしょう)で神経質な同じく黒髪ロングの美少女・園田海未(そのだ・うみ)を演じていた三森すずこ(みもり・すずこ)が、海未とはまったく異なる演技で、穂乃果みたいな華恋とからむのも要注目だ。


 こんな華恋とひかりのやりとりを見ているだけでパニックになり、これまでふたりで暮らしてきた寮の部屋に、よりによってひかりも同居させると主張する華恋に「絶対ムリ……」とつぶやくまひる。そして、「迷惑なら」と、ひとりで住むことを選んだひかりもまた、華恋と同じ写真をいまだに大事に持っているのだ。
 この百合的な三角関係はもちろん男性オタを狙い撃ちにしたものだが、彼女らのデリケートな関係性を作品の縦軸としてうまく描写できれば、『ラブライブ!』同様に男性キャラが皆無(爆)でも、女性オタをもゲットできるやもしれない。


 だが、製作側が本当にやりたいのはここからだ。


 寮で姿が見えなくなったひかりを捜していた華恋はエレベーターに乗りこむや、超高速で地底深くに墜(お)ちていき、レヴュー=歌劇の客席に放りこまれる。その舞台では、ひかりと負けず嫌いのメガネっ娘が、先述した『サクラ大戦』みたいな軍服に身を包み、剣術バトルを繰り広げていた!
 ナゼかキリンの姿で低音の中年ボイスで語るそこの支配人(?)によれば、ここは歌劇のオーディション会場であり、華恋みたいに自分は到底スター級の同期生に追いつかないなどと嘆(なげ)くような向上心がない者が来る場所ではない、などと華恋を追い返そうとする。


 それに突然奮起した華恋は、「アタシ 再生産」なる字幕(爆)につづき、縫製(ほうせい)工場というよりは、赤い鉄が流れる溶鉱炉やプレス機械などがカットバックされる中でつくりだされた、軍服と制服のいいとこ取りみたいな萌(も)え衣装を装着するという、まさに『仮面ライダービルド』(17年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20180513/p1)みたいな変身を遂(と)げる!
 変身描写のラストに、多数のカラフルなルージュ(口紅)が並んでいることで、かろうじて女の子らしさが演出されているのはポイントが高い。


 「第99期生、愛城華恋! みんなをスタァライトしちゃいます!」と、華恋がスーパー戦隊みたいな名乗りをあげると同時に勇壮かつ可憐(かれん)な挿入歌が流れだし、華恋は舞台を超高速で駆け抜け、メガネっ娘が連射する多数の短剣をかわし、宙を蝶(ちょう)のように舞って蜂(はち)のように刺す! って、絶対人間業(わざ)じゃねぇよなコレ(爆)。『ビルド』の上堀内佳寿也(かみほりうち・かずや)監督以上にアバンギャルドな演出かも(笑)。


 この『少女☆歌劇』もあまたのアイドルアニメ同様に、声優たちが演じるキャラの衣装に身を包んで繰り広げるライブならぬレヴューが展開されているが、やはりバトル場面はワイヤーアクションで再現されるのか? 声優にも若干(じゃっかん)の運動神経が必要とされるなんて、エラい時代になりました(笑)。


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.81(18年12月29日発行))


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