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ラブライブ! The School Idol Movie 〜世紀の傑作!? それとも駄作!?


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 TVアニメ『ラブライブ!』1期(13年)、2期(14年)につづく、同一世界の別のスクールアイドルグループを主人公に据えたTVアニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』(16年)放映開始記念! とカコつけて……
 劇場版『ラブライブ!The School Idol Movie』(15年)合評をUP!


 新作『ラブライブ! サンシャイン!!』自体は、神傑作のオリジナルとどうしても比べられて、人気的には苦戦すると思うし、初作#1の神懸った出来と比すると、新作#1は正直ツカミには弱かったとは思います(汗)。


 初作における母校廃校の危機、アキバの巨大液晶ビジョンでのスクールアイドルとの邂逅の衝撃といった、主人公女子の二重のダメ押しでの動機付け。
 廃校が夢の中での出来事だったと勘違いして、♪タラッタラッタラッタ〜と廊下を笑顔でスキップするも、現実に直面して二度目(笑)の衝撃を受ける主人公女子のオッチョコチョイな性格描写。
 それに振り回されていく、同学年の幼馴染女子2名のリアクションの違いによる描き分けと関係性。
 「ドラマ性」というよりかは「キャラクター性」。


 そんな観点から比較すると、新作の主人公女子も、生家の旅館で、ムズカしいことは考えないコだけども(多分)、明るく元気に物怖じせずに、小走りがちでまめまめしく家のお仕事・客仕事も一生懸命、手伝ってます! 「このコはこんなコだよ!」みたいな「絵や動作で見てわかる」健気さなどをまずは延々と綿密に描写して、視聴者の認知度や好感度をアップさせる! というような方法論。
 技巧的なストーリーよりもキャラクター性重視の展開で、そのキャラの存在感を増させて、あとはそのキャラが劇中内にて自律的に動き出してくれれば、彼女らのいかにもな言動で楽しませる! というような持っていき方のほうが良かったんじゃネ? などという「反語」的な感想も抱いてはしまいましたが(笑)。
 あとは、本作は「リアリズム」よりも「象徴・寓意」の方を優先する世界観ですよ〜と言明する意味もある、歌って踊る「ミュージカル演出」も#1ラストのみならず、#1序盤や中盤からあった方がよかった気もします。
 が、ナンにせよ、まだ放映も始まったばかりですので、勇み足の感慨ですから、気長に生温かく見守っていきたいとも思います。


合評1 『ラブライブ! The School Idol Movie』

(文・T.SATO)
(15年7月26日脱稿)


 TVアニメ放映開始から2年半。本作がこんなにも巨大化して、映画興行3週連続第1位までをも達成するとは!――アメコミ洋画『アベンジャーズ』が来なけりゃ、もっと行けた!?―― 嬉しくって涙がチョチョ切れらぁ。


 志が高かったハズの「アニメ新世紀宣言」から35年目がこんなに惰弱(だじゃく)でイイのか!? とも一方では思うけど(汗)。
 ブームとは恐ろしい。周辺層やライト層にも微妙に越境して浸透。地元のシネコンで日曜昼に観たら、小中高女子や部活帰りジャージ女子、若干の子連れファミリー層までも!
 昨年初夏の金曜夜、超満員の終電に漫画『私モテ』――『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』(13年)――の主人公少女の現実版みたいな、仕事帰りのグレーのスーツの化粧っ気のナイ痩身女子が乗車してきて、『ラブライブ!』の音ゲー(ム)を始めたときには、「女子ライバーってこーいう娘か」(汗)と思ったモノだけど。以降、シネコンや電車で非オタ女子やヤンキーDQN(ドキュン)男が音ゲーしてるのを見かけるようになり。


 ケッ、ニワカどもめ! オレなんか2年半前から本作を観てたんだゾ! と浅ましいことを心の中で叫んでしまう――我ながら心が狭いけど(笑)――。


 全国で部活の延長チックな女子高生アイドルが勃興し始めたとゆー世界観で、母校の廃校を阻止せんがために立ち上がった9人の女子高生! とゆーのが本作劇場版の前日談たるTVアニメシリーズでの物語。
 アニメ1期で廃校を阻止し、2期ではスクールアイドル対抗ラブライブで優勝も果たす。


 濃密な時間を共に過ごした彼女らは、アイドルユニット・μ’s(ミューズ)としての活動はこの9人以外ではアリエナイ、それを大切にしたいと3年生組の卒業をもって解散を決める。
 終盤目前、近寄る別離の予感の中、真冬の夕陽の海辺でコラえようとしてもコラえきれずに抱き合って号泣する9人……――書いていてもウルッと来る(笑)――。


 春〜夏を描いた1期、秋〜来春の卒業をも描いた2期。人気が出たのだからもっと引き延ばしてほしかったのだが――作り手もココまでヒットするとは思わなかった?――、2期最終回ラストで取って付けたような急展開があって、劇場版の来年公開を告知!


 イベント的山場も人間ドラマ的山場もすでに描き切った本作はもう描くモノがないハズ。あとはファンムービーとしてキャラ見せ&歌唱中心でスカスカな内容を予想した。そして実際にその通りであった(笑)。


 前半はラブライブ主宰者に招聘されて保護者もなしにニューヨーク観光&かのタイムズスクエア(!)でライブ!
 後半は日本に凱旋帰国するや時の人となっていて、ついにはアキバの歩行者天国を占拠して、ライバルのアイドルグループ・アライズや、全国のスクールアイドル数百名で今度は順位争い関係なしに一斉に歌唱!


 超展開だが、個人的には面白い! 盛り上がる!


 盤石な確立されたキャラ。
・元気少女
・天然少女
・心配性キマジメ女子
ツンデレ女子
・白米大スキ少女
・「にゃ」語尾少女
・にこにー
・元生徒会長
・スピリチュアルデブ(悪口じゃないです。グラマーで母性あふれる副会長・ノンたんも大スキです・笑)。


「ダレカタスケテ〜!」
(チョットマッテテ〜!)
(真姫ちゃん可愛い、かきくけこ!)
(かしこい可愛い、エリーチカ!)。
 ……カッコの中は筆者の心の中の声で、本編にはありません(汗)。


 いやもう主人公女子の誤字脱字メモのせいで3人だけ間違ったボロい安ホテルに着いちゃうとか、無事に合流しても心配性キマジメ女子は当たり散らして大声でオイオイ枕に突っ伏して泣いてるとか、主人公女子だけ一瞬ハグれたら逆行きの地下鉄に乗ってしまい対向車両の窓から皆が驚愕とかの漫才コントの数々。


 合間合間で突如ミュージカル時空にも変化!
 まぁ第1期#1冒頭からミュージカル仕立てだし、2期#1ラストでも主人公が「雨止めぇぇー!!」と叫んだら陽が差してきて前途洋々な高揚感あふれるピアノBGMが流れてくる、リアリズムよりも精神主義・根性の方が勝利する世界観だと言明してたので無問題!


 もう解散を決めたのにブレイクして人々に求められてしまったことで、彼女らが改めて今後の選択肢を検討し直すとゆー、作品それ自体ともカブるメタ的な一応のドラマもある。しかし大局では選択は覆らない。


 最後のライブは幻想なのか、翌年度ラブライブ・ドーム開催にゲストで呼ばれた姿なのか、主人公と元生徒会長の妹たちによるアイドル研究部の部室での新入部員への説明会も、明けて4月なのか9人全員が卒業した2年後なのかもボカされる。
 脱ぎ捨てられたステージ衣装は写しても、飛び立った9人のその後の姿は写さないエンドロール。湿ってはいないけど寂寥感がタマらない。
 ホントに終わりみたいじゃネーか!?――終わりです(汗)――


 徹底的に終わりっぽく描いて卒業・解散・神格化を醸すのも演出としてはアリだろうが、同一世界の同じ時代の別グループを描いた新たな物語などで、彼女らとニアミス再会できるよネ!?


(了)


(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.65(15年8月14日発行))


合評2 『ラブライブ! The School Idol Movie』

(2015プロジェクトラブライブ! ムービー)
(文・久保達也)
(昨15年7月6日脱稿)


 筆者は都合3回鑑賞したが、映画を観に行くというよりは、スクールアイドル・μ's(ミューズ)のライブに、毎週月曜のメンズデーを利用して通いつめている、そんな感覚だった。
 そうした観点から、筆者が感じた本作の魅力についてあげてみる。


【音楽性】


 ニューヨークでステージの場所を探すμ'sを、突然の雨が襲う。あきらめてホテルに帰ろうとするメンバーたちだが……


凛「大丈夫にゃぁ!」


 1年生のショートカットの元気娘・星空凛(ほしぞら・りん)が雨の中に飛び出していく!
 普段から語尾に「にゃぁ」を付けて話すわりには、設定でも特に猫好きというワケでもない凛――それどころか、設定では嫌いな食べ物は魚である(爆)――が、今回は両手を猫招きのポージングにして、降りしきる雨の中を元気に踊り出す!
 そこにタクシーから降りてきた、筆者イチオシ(笑)の1年生で赤い髪の西木野真姫(にしきの・まき)と、オープンカフェでお茶を飲んでいた、同じく1年生で白米フェチ(爆)の小泉花陽(こいずみ・はなよ)が、傘を手に凛に加わり、舞台となったアパートの住人たちがバックダンサーと化す!
 夜のレインボーブリッジを背景に、河川敷で歌い踊る3人の姿で、1年生部員の楽曲
・『Hello,星を数えて』
は締めくくられる。


 こうしたミュージカル的な、リアリズムとはかけ離れた演出は、テレビシリーズ第1期(13年)や第2期(14年)でも時折見られたが、それを学園群像劇と華麗に調和させた作風こそが、その高い「ドラマ性」以上に、『ラブライブ!』最大の魅力のひとつだと、筆者には思えるのである。


 ニューヨークでのライブ映像が無料動画配信サイトで流れたのを機に、帰国するや大勢のファンに取り囲まれ、身動きがとれなくなるμ's。
 そこからどう脱出するかを思案する3年生部員たち、元生徒会長の金髪クウォーター・絢瀬絵里(まきせ・えり)、黒髪の元副会長・東條希(とうじょう・のぞみ)、見た目はロリで黒髪ツインテール矢澤にこが赤いサングラスをかけるや、
・『?←HEARTBEAT』
のPV(ピーブイ。プロモーションビデオ)へと転じる演出は、ほとんどウルトラアイを着眼してウルトラセブンへと変身するモロボシ・ダンのようだ(笑)。


 にこがセンターを務めることで、舞台がにこの幼い妹や弟のいる自宅へと転じるのも、第2期第4話『宇宙No.1アイドル』の流れを継承しており、秀逸な演出であるといえよう。


 ニューヨークで他のメンバーとは違う行き先の地下鉄に乗ってしまうという、いつもながらのドジっコぶりを発揮する、μ'sのリーダーでセンターを務めるサイドテールの元気少女で2年生部員・高坂穂乃果(こうさか・ほのか)が、街頭で偶然出くわすことになる、日本人女性の謎のストリートシンガー。
 その謎のシンガーが歌いあげる、あまりに見事なジャズボーカルの圧倒的なライブ感には、穂乃果でなくともおもわずひきつけられずにはいられない!
 こうしたキャッチーな演出にあふれていたこともまた、『ラブライブ!』の大きな魅力のひとつであり、それは今回の劇場版でも散見されたのである。


【キャラクター性】


 ニューヨークで滞在先のホテルの名を穂乃果が誤って伝えてしまったことにより、2年生部員の園田海未(そのだ・うみ)・南ことりと凛が乗ったタクシーが、本来泊まるハズの高級ホテルとは違う、ボロボロのホテルに到着してしまう。


 屋上の装飾がガラガラと崩れていくのを眼前にしながらも、


ことり「なんか……違うような……?」


と、トロトロと可愛らしい声でどこまでも天然ボケを発揮することり(爆)。


 一方、穂乃果のせいで危うく命を失うところだった! などと、大袈裟にガミガミと穂乃果を怒鳴り散らしたあげく、今さらながらにショックがよみがえったせいか、


海未「お〜いおいおいおい」(笑)


とベッドに泣き伏す海未。


 こうしたリアクションを絶妙に対比させることにより、各キャラクターの違いを浮き彫りにし、まさに生命を吹きこむかのごとく演出されているのは、見事と言うよりほかにない。


 また、滞在先で毎日パンばかり食べさせられることに嫌気がさしたご飯フェチの花陽が、白米を恋しがる場面はあまりにベタではあるものの、ここにおける


花陽「白米はサブじゃなくて主食!」


をはじめとする花陽の一連のセリフは、よく聞いてみると2015年現在放映中の『手裏剣戦隊ニンニンジャー』(15年)に登場する6人目の戦士、キンジ・タキガワ=スターニンジャーのごとく、60年代から70年代の映画やドラマにおける、外国人俳優たちのヘンテコな日本語セリフみたいなイントネーションなのである(爆)。


 これは花陽の声を演じる久保ユリカのアドリブである可能性も高いが、これもまた、あれだけ駄々をこねたのに結局は出されたパンを一口齧るや「これおいしい!」と食べてしまうというギャグを、単なるベタには終わらせず、秀逸なパロディへと昇華させているのである!



 さらに、空港に車で送ってくれた父親に、真姫が目を閉じてキスをねだったり(!)、第2期終盤で3年生が欠けたμ'sの存続に最も強硬に反対していたハズの作曲担当の真姫が、ひそかにμ's最後の楽曲を用意していたことが明らかになったり!
――それを希に知られるのが、真姫の入浴中(!)のことであり、真姫がタオルで髪を拭きながら照れ隠しもあってか少々気だるげに、譜面を見たのかと希を問いつめる場面は、筆者的にはあまりにたまらん(爆)――


 クールビューティーツンデレ娘として描かれてきた真姫が、幼い子供ならばともかく高校生になってもまだ出がけにパパにキスしてくれる、実はファザコンの甘えん坊であることがこの映画で発覚するのは、第2期第2話『優勝をめざして』で描かれた、一見冷めている真姫が高校生にもなっていまだにサンタクロースの存在を信じているという衝撃の事実(!)
――これには、にこでなくとも「あの真姫がよ!」などと、おもわずおちょくりたくなるが(爆)、そのギャップがまた真姫に対する我々の「萌え」感情を惹起する!(笑)――
に、より真実味を与える効果をあげているかと思える。


 素直でなく、自己表現が苦手なことから、周囲に冷たい印象を与えがちな真姫は、μ'sの中である意味我々のようなオタク種族に最も近いように思えるのであり、それこそが筆者が真姫に魅力を感じる理由だったりする(爆)。


 また、μ's存続問題の件にせよ、


穂乃果「限られた時間の中で、精一杯輝こうとするスクールアイドルが好き!」


という考えによって、穂乃果たちは「μ's解散」という結論を貫き通したものの、それでも揺れ動いてしまうのが、いわゆる乙女心というものではあるまいか?
 決して一枚岩ではなく、こうした多面性を与えられることにより、μ'sのメンバーたちは、より輝いたスクールアイドルとなり得ていたように思えるのである。


【背景映像】


 実際のダンサーの踊りをモーション・キャプチャーすることによって製作された、μ'sの華麗なダンシング! こそ、『ラブライブ!』最大の魅力のひとつであるが、決してそればかりではない。


・μ'sがジョギングする朝の公園の爽やかな光景、
・超大型のトレーラーが行き交うハイウェイ、
・海を走る自由の女神の観光船……


・μ'sが見下ろす摩天楼の夜景、
・巨大な駅構内やネオンが輝く盛り場を行き交う大勢の群衆、
・ヘッドライトを点けて交差点をカーブする自動車のあまりに自然な動き……


 ニューヨークという巨大な街の、スケール感、異国情緒、そして、昼間と夜間では微妙に異なる顔を見せるさまが、実際に行ったことは筆者もないが(笑)、絶妙なまでにリアルに描きだされている!
 これはもう、完全に「アニメ」を超越してしまっている!
 デジタル技術のあまりの進歩には、古い世代としては、やはり驚嘆の声をあげずにはいられなかったのである!


【夢の競演】


 穂乃果がスクールアイドルを結成するキッカケとなり、第1期・第2期を通してμ's最大のライバルとして描かれる、UTX学院のスクールアイドル・A―RISE(ア・ライズ)のみならず、クライマックスでは日本全国のスクールアイドルたち数百人が秋葉原に大集結!
 全スクールアイドルが新曲
・『SUNNY DAY SONG』
を熱唱するさまは、まさに圧巻の一言に尽きる!


 これは個人的には映画『仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦』(12年・東映)のクライマックスで、全仮面ライダーと全スーパー戦隊が数百人集結したさまを彷彿とさせられたものである!
 あのとき、隣の席にいた3歳くらいの女の子が「いっぱい! いっぱい! いっぱい! いっぱい!」と、文字通りに小躍りして喜んでいたものだが、筆者は今回、そんなふうに喜びを体で表現したいという衝動に駆られたものである(爆)。


【アニメ映画史上最大の駄作かも!?】


 そんなワケで、当初から本作をライブ感覚で楽しもうと考えていた筆者からすれば、これほど素晴らしい見世物はない! と、おおいに満足させられたものである。
 しかしながら、本作を映画として、ドラマとして、そして、テレビシリーズで描かれてきた物語の総決算としての完成度を期待していた、決して少なくはない観客にとっては、「アニメ映画史上最大の駄作」「おおいなる蛇足」「クソ映画」として映ったようである。


・「計画も準備も親の承諾もないままに、女子高生たちだけでいきなり海外に行ってしまう」(笑)
・「いまどきの女子高生は、泊まるホテルの名前をわざわざ紙に書いて伝えない。迷子になってスマホで連絡とらないのも不自然」(笑)
・「ライブ場所がタイムズスクエアというのも、そんなに気軽に借りられる場所なのか?」(笑)


などという正論、もとい重箱の隅つつきに過ぎないような批判は論外である(笑)。


 また、冒頭であげた凛の「大丈夫にゃぁ!」にはじまるミュージカル仕立ての演出に対し、


・「あまりに雑でつながりのない、唐突な映像の切り替え」
・「アパートの住人の迷惑も考えずに、凛が非常識にも夜中に大声ではしゃぎ回る」(爆)


などと批判している者たちは、映画『サウンド・オブ・ミュージック』(65年・20世紀フォックス)を観たこともないほど、ミュージカルというものをまったく理解していないのであろう。


【「ドラマありき」か!? 「キャラ萌えありき」か!?】


 だが、そんな中で、どうにも気になった意見がある。


・「しっかりとした物語があるからこそ、キャラや歌が生きて、素晴らしいライブになると思う」


 これは、草創期のマニア向け書籍『ファンタスティックコレクション No.11 ウルトラセブン SFヒーローのすばらしき世界』(朝日ソノラマ・79年1月20日発行)の「総論」の中で、アニメ特撮評論家・池田憲章(いけだ・けんしょう)先生が書いていた、


「特撮映画は、特撮以上に本編の部分が重要となる。
 映画にとっては、まずストーリーとドラマだ。
 すばらしい特撮シーンも、特撮に至るまでのドラマの盛り上がりがあってこそ、はじめて生きるのである」


なる主張と、論旨はほぼ、いや、完全に同じである。


 「変身ヒーロー作品」「怪獣番組」「子供番組」の市民権向上のため、36年も前に特撮マニアが唱えた古クサい「リアリズム」や「人間ドラマ至上主義」を、本来は「萌え」欲求を満たすために製作されたハズの「アイドルアニメ」「美少女アニメ」「深夜アニメ」に対し、平成のこの世にラブライバー(笑)が声高に叫ぶとは。
 では、しっかりとした「物語」の盛り上がりがなければ、μ'sの「キャラクター」や「楽曲」は、生きては来ない存在にすぎないのであろうか?
 それは断じて「否」である。「ドラマ性」が多少弱かったり「リアリズム」に乏しかったとしても、「キャラクター」や「楽曲」の魅力で間が持ってしまって、楽しく鑑賞できることは十分にありうる。


 そもそも『ラブライブ!』のプロジェクトは、2010年6月に雑誌『電撃G'sマガジン』(KADOKAWA アスキー・メディアワークス)でストーリー連載が開始されたことに端を発し、今回の劇場版でちょうど5年を迎えるという、意外に長い歴史を誇っている。
 そのストーリー連載の開始直後の2010年8月に、それこそ「AKB総選挙」のごとく、PVのセンターをファン投票で選ぶ「総選挙」が企画され、1stシングル『僕らのLIVE 君とのLIFE』が発売されている。
 つまり、連載ストーリーもロクに展開されないうちから早くもそうした動きがあったということは、『ラブライブ!』は「まず人間ドラマありき」ではなく、「まずキャラ萌えありき」から始まった作品なのである。


 以後、2012年末までの2年半の間に、PVを収録したDVD付きCDが続々発売、μ'sを演じる声優たちによるライブステージやWebラジオなどの展開があり、テレビシリーズ第1期がスタートしたのは、そのあとの2013年1月のことである。
 今回の劇場版から遡ればちょうど折り返し地点にあたる時期であり、『ラブライブ!』がドラマ性の高い作品としてファンから認知されることとなったのは、その長い歴史のわずか後半の期間にすぎないのである。
 つまり、これは元々のキャラクターや楽曲・PVの完成度の高さや、声優たちの人気とパフォーマンスに、むしろ物語・ドラマの方があとからついてきたということではあるまいか?


【「ドラマ性」重視にも弊害はある!?】


 穂乃果の音ノ木坂学院廃校阻止という目的と、スクールアイドルをやりたいという意思が、さまざまなキャラを巻きこみながら展開していく第1期の物語は、確かに筆者にとっても魅力的である。
 そこから『ラブライブ!』の世界に入り、第1期に想い入れが強いファンたちの中には、今回の劇場版の、あまりのドラマ性の低さ(爆)に衝撃を受け、世界観を台無しにされたと、憤ったり失望したりしている者が多いようだ。


 実は彼らの意見には半分くらいは共感している。それどころか、「あなたのおっしゃるとおりです!」などと、おもわず同調したくなるような意見も散見される(笑)。


 だが、『ラブライブ!』最大の魅力とは、果たして「ドラマ性」の高さのみに尽きるものなのであろうか?
 それも魅力の中のひとつ、とするのならまだ良いのだが、それを絶対視するあまりに、今回の劇場版や、テレビシリーズ第2期を酷評するというのはいかがなものか?
 これでは特撮ジャンルで言うならば、「昭和」の1960年代・第1期ウルトラマンシリーズのファンが、1970年代・第2期ウルトラマンシリーズを「ドラマがない」――実態はむしろまったく逆であり、どころか第2期ウルトラは「子供番組としては重苦しい人間ドラマをやりすぎた」ことに功と罪があったりして、事態は錯綜しているのだが(爆)――などと批判していたのと同じ現象を、ただひたすら繰り返すだけではないのだろうか?


 この際正直に書いてしまおう。
 あくまで筆者の個人的な、第1期終盤の展開に対する感想である。
 無理がたたってステージで倒れてしまった穂乃果を気遣い、μ'sはラブライブ! の出場を辞退してしまう。
 目標を見失い、傷心した穂乃果は、ことりが海外留学の件を相談しようとしていたことにも気づかない始末。
 あげくに穂乃果は「スクールアイドルを辞める」と主張し、海未に「あなたは最低です!」と平手打ちをくらう。
 ハッキリ言って、こうしたあまりにシリアスにすぎる展開には、個人的にはおもいっきりひいてしまったのである。


 当初の構想では、第1期でμ'sをラブライブ! に出場させる案もあったようだが、京極尚彦監督の「少女たちの成長物語をきちんと描きたい」との意向によって、前述したとおりに変更されたらしい。
 だが、『ラブライブ!』に「刺激」や「興奮」よりも、美少女たちの「キャッキャウフフ」を眺めたり「アイドルソング」を聞いて脳内を蕩(とろ)けさせ「安息」や「癒し」を得る「萌え」要素のみを期待していた筆者にとっては、当初からのドラマ性の高さに関しては「おもわぬ拾いもの」だと喜んだものの、第1期終盤の展開には「アイドルアニメ」としてはいささかやりすぎ、という感が否めなかったのである。


【「リアリズム」よりも「快感原則」に奉仕した「物語」】


 μ'sの物語として、描くべきことはテレビシリーズですべて描き尽くされた、というのは、ラブライバーの共通認識だったハズである。
 だから今回の劇場版に、まともな物語がないのは、最初からあたりまえのことなのである(爆)。


「この9人だからこそ、μ'sとしての意味がある。だから、ひとりでも欠けたら、それはμ'sじゃない!」


という、3年生の卒業に伴っての劇中でのμ'sの強い意志は、やはりファンとしても尊重したい。
 だが、それでもオレたちは、μ'sのステージをまだまだ観たい! と身勝手にも願う全国のラブライバーの声に応えるために、今回の劇場版は企画されたと思えるのだ。
 だから最初から無理がある、破綻しまくりの展開であるのもあたりまえなのである(笑)。


 前半部分の「μ'sニューヨークに行く!」に関しては、それこそアイドルCDの初回限定盤に付属するDVDの映像特典として収録されているような、「アイドル珍道中」ものとして、μ'sのファンなら素直に楽しむべき性質のものであるだろう。
 クライマックスにせよ、絵里・希・にこが、卒業式後のギリギリ3年生でいられる1ヶ月たらずの短い期間に、穂乃果たちが全国を駆け回ってスクールアイドルを数百人も集め、全員分のお揃いの衣装を用意して、全員でレッスンを重ね、秋葉原の公道を占拠するなんぞ、リアルに考えたら絶対にできるワケがないのである(爆)。


 それでもμ's本当の(笑)ラストライブを観せてくれたスタッフたちには、感謝こそすれ、文句をつけるなどというのは、筋違いもはなはだしいのではあるまいか?
 これでは「さらば」だの「永遠に」だのと(爆)、毎回「最後」を謳(うた)いながらも新作が製作され続け、そのたびにファンから酷評されまくった、往年の某宇宙戦艦のアニメと同様の運命をたどることになりそうで、今から頭が痛い(笑)。


【小さな不満。今までの巧妙なビジネス展開を次作へと繋げ!】


 本作は公開から3週連続で興行ランキング第1位を獲得し、劇場では関連グッズの棚が常にスカスカ状態であった――これはホントに幸か不幸か。売り切れでなかったら、カネもないのにバンバン買いまくるに決まっているから(笑)――。さらに劇中で流れた挿入歌のシングルCD3種全てが、オリコンチャートの上位にランクインするのみならず、有線放送で流れまくったことには、昼メシを食いながらニタニタせずにはいられなかった(笑)。
 これは当然映画自体の出来というよりは、これまでの『ラブライブ!』プロジェクトの巧妙な戦略の成果であり、筆者の趣味人としてのホームベースである特撮ジャンルの作り手たちに向けて言うなら東映円谷プロも見習うべきものであるだろう。
 仮にもファミリー向けの変身ヒーロー映画が、オタ向け深夜アニメ劇場版の足元にもおよばない成績しか稼げないという厳然たる事実は、いい加減に恥じるべき段階にきていると思えてならないものがあるのだ。


 その意味では、今回上映終了後に何ひとつ「特報!」が流れることがなかったのは、強いて言うなら筆者が本作に感じた唯一の不満である
――あとニューヨークで披露した
・『Angelic Angel(エンジェリック・エンジェル)』
が、他のμ'sのPVに比べ、真姫の出番が極端に少なかったのも気にいらなかったが(爆)――。


 『ラブライブ!』の派生作品として、『ラブライブ! サンシャイン!!』なる新企画が既に始動している。公式サイトでもその詳細が発表されているのだから、このブームと熱気を少しでも長く継続させるためにも、露骨だろうと声の大きな少々の信者的ファンの反発を買おうと、『サンシャイン!!』に関するお披露目、観客誘導としての字幕だけでの「告知!」すらも流さないというのは、商売としては上手くないし、長年の『ラブライブ!』プロジェクトの巧妙な商業展開「らしくない」と思えてならないものがあるのだ。


 そして、筆者としては、それとは別に、まだまだμ'sのライブを観せてもらいたい、と願わずにはいられないのである。


 真姫がひそかに用意していた
・『僕たちはひとつの光
――「ほのかな」「にっこにこ」「星空」「海」「小鳥」など、メンバー全員の名前が巧妙に織りこまれた歌詞には素直に感動! 真姫はどうするのかと思ったら、「時をまき戻して」……山田くん、座布団3枚!(爆)――
をμ'sが披露するラストシーン、これは劇中で語られる架空の「アキバドーム」で行われた、「本当の」ラストライブであるだろう。


 だが、これは3年生がまだ所属していた時期に行われたものなのか、それとも第3回ラブライブ! に特別ゲストとして招かれた際の限定再結成だったのかは、いっさい語られることはない。
 そうした部分は、受け手が行間を読むべき性質のものであるのかもしれない。
 それでもファンの数自体が膨大であり、安定した収益も期待できることを考えれば、やはりそれに至る物語を続編として描くべきであり、μ'sファンが再び「愛」を共有できる場を再度提供してほしいと、当面はμ'sファンを「卒業」できそうもない筆者は思えてならないのである。


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH−VOLT』VOL.71(15年8月14日発行))



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