『ラブライブ!』・『Wake Up,Girls!』・『アイドルマスター』 2013~14年3大アイドルアニメ評
『ラブライブ! School Idol Project』(第1期) 〜2013年冬アニメ評!
『ラブライブ! The School Idol Movie』 〜世紀の傑作!? それとも駄作!?
『ラブライブ!サンシャイン!!』 & 劇場版『Over the Rainbow』 ~沼津活況報告 & 元祖に負けじの良作と私見!
『22/7』『推しが武道館いってくれたら死ぬ』『音楽少女』『Re:ステージ!ドリームデイズ♪』 ~アイドルアニメの変化球・テーマ的多様化!
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TVアニメ『ラブライブ!』第2期(14年)再放送が、第1期(13年)再放送に引き続いてNHK・Eテレにて2016年4月〜6月にかけてテッキリ放映されるもの! と思いきや、放映されないでやんの記念! とカコつけて……(まぁいずれはヤルだろうと思うけど(汗)。後日付記:4月上旬にはNHKの公式ホームページ上でも不親切にも情報がありませんでしたが、実際には4月中旬から放映開始!) 『ラブライブ!』(第2期)評をUP!
『ラブライブ! School Idol Project」(第2期)
(2014 プロジェクトラブライブ!)
(文・久保達也)
(2015年6月16日脱稿)
第1話『もう一度ラブライブ!』冒頭、音ノ木坂学院理事長から、廃校が決まりかかっていた学園を存続することが、講堂で全校生徒に正式に発表される。
前生徒会長となった絢瀬絵里(あやせ・えり)が客席で拍手を続ける中、舞台袖から新生徒会長で、学園のスクールアイドル・μ′s(ミューズ)のリーダー・高坂穂乃果(こうさか・ほのか)が壇上に登場!
穂乃果はなんと、マイクを高々と宙に飛ばし、それをキャッチすることで自己紹介をはじめる!
続いて歌いながら学園内各所を回る穂乃果の姿と、それに合いの手をうつ生徒たちと、場面は現実世界から完全にミュージカル調のものへと変貌を遂げる!
第3話『ユメノトビラ』。スクールアイドルの頂点に立つユニット・A―RISE(ア・ライズ)のPV(プロモーション・ビデオ)が巨大モニターで流れる中、それを見上げる穂乃果の手を、A―RISEのリーダー・綺羅ツバサがこっそりと掴み、雑踏の中をくぐり抜けてかっさらう!
アイドル好きでは誰にも負けない1年生部員の小泉花陽(こいずみ・はなよ)と、元スクールアイドルでアイドル研究会の部長・矢澤にこだけがこれに気づき、ふたりのあとを追う!
第9話『心のメロディ』。「ラブライブ!」最終予選当日、無情にも大雪となり、生徒会行事を終えてから会場に向かおうとしていた穂乃果・園田海未(そのだ・うみ)・南ことりの2年生部員たちは、交通機関のマヒにより、積雪の中を会場まで徒歩で向かうことに!
あまりの猛吹雪に心が折れそうになった穂乃果に、普段はおっとりとした、天然ボケ少女として描かれることりが、その甘ったるい可愛らしい声で「あきらめちゃダメ!」と叫ぶ!
そして、全校生徒が雪かきすることで会場までの道を確保! その声援の中、会場まで全速力で駆ける穂乃果・海未・ことり!
無事にたどりついた、大きな雪の結晶のようなステージで、それぞれが心の声で「○○が好きで」とつぶやき、そのパフォーマンスを盛大に繰り広げるμ′s!
こうした実にキャッチーな、視聴者をひきずりこまずにはいられない演出が、やはり本作では第1期に続いて光るものがあったように思える。
もっとも第1話ではCM明けに、実際には穂乃果は頭の中が真っ白となってしまい、せっかく考えた新生徒会長就任の挨拶を、全て忘れてしまっていたことが判明する(笑)。
それを厳しく叱責する海未、優しく励ますことりと、この序盤を観るだけでも主役級のキャラの概要が、第1期を視聴していない者でも、それとなくわかるようになっているのは秀逸である。
同じアイドルアニメである某作品の第1話は、登場キャラの自己紹介が延々と続くだけのものとなっていたが――作品名を伏せようがバレバレだな(爆)――、果たしてどちらがより視聴者の注目を集めることとなるかは、陽を見るより明らかではないのだろうか。
にこそっくりの妹と弟――最終回『叶え! みんなの夢』に登場する母親までもが、にこにクリソツであることに、1年生部員の星空凛(ほしぞら・りん)は、故・赤塚不二夫原作の漫画『おそ松くん』(1962年)のキャラクター・イヤミのごとく、「シェーッ!」のポーズで驚いている(笑)――が登場し、にこが妹と弟に、μ′sは自分のバックダンサー(爆)だと偽っていたことが判明する第4話『宇宙No.1アイドル』(笑)。
修学旅行に行った2年生たちが、台風直撃による飛行機の欠航でステージまでに戻れなくなり、穂乃果の代わりに凛が急遽センターを務めることとなる第5話『新しいわたし』。
なんとも対照的なサブタイトルだが(笑)、前者では、にこの自宅に多数貼られたμ′sのポスターが、センターがにこであるかのように加工されていたり(笑)、妹や弟が遊ぶモグラたたきのモグラたちに、μ′sのメンバーの似顔絵が描かれている(爆)――ただし、第9話でにこを送り出す弟が、メンバーをモチーフにした自製の9個の雪だるまをにこに見せる場面は、ベタだが実に感動的である!――など、どこまでも虚勢をはる、にこのいかにもな実像が描かれる。
だがそれも、部員の相次ぐ脱退により、一度はスクールアイドルを断念せざるを得なかったにこが、幼い妹や弟にはそれを言い出せなかったためだと悟ったメンバーたちは、妹や弟のために、にこのソロ最後のステージ(笑)を設定するという、なんとも粋なはからいを見せるのだ!
また後者では、幼いころに女の子っぽくないと男子にからかわれたことがトラウマとなり、リーダーやセンターには向いてないと苦悩する凛が、いちばん女の子っぽいのは凛かもしれない、とメンバーたちに背中を押されることにより、センターに立つことを決意!
一旦は凛の幼なじみの花陽にセンターを任せることに決まり、凛が一見安堵するような素振りを見せるものの、花陽のフリルいっぱいのドレス姿――今回は他のメンバーが全員タキシード姿の男装であることが、より効果をあげている――を見て、自分も本当はそんな女の子らしい服を着てみたい、という凛の胸の内を、花陽が看破する描写が実に秀逸である!
凛がステージの壇上でスポットを浴びるや、「かわいい!」との声援が炸裂! その後の凛は、練習着や私服に女の子らしい服を着用することとなる。
キャラの内面を掘り下げるドラマ性の高さばかりではなく、これらで展開される群像劇は、PVの完成度の高さとともに、その回の主役の見せ場を最大限に盛り上げるように演出されているのである!
一方、第6話『ハッピーハロウィーン』は、「アキバハロウィンフェスタ」の特別ゲストに招かれたことで、インパクトを与えようとμ′sがイメチェンをはかろうとするものの、今のままがいちばんいいと結論づける話ではあるが、制作スタッフたちがμ′sメンバーたちをいじくり回して遊ぶために作劇されたような内容である(笑)。
スピリチュアルな東條希(とうじょう・のぞみ)にタロットカードで「CHANGE」を出させ(笑)、「部活系アイドル」として、
・ツンデレな赤髪少女の西木野真姫(にしきの・まき)に新体操部――「ハロウィンフェスタ」における「子悪魔」的な衣装や、第10話『μ′s』冒頭の初詣場面における和服姿も含め、筆者的にはたまらん(爆)――、
・海未に科学部(笑)などのコスプレをさせたかと思えば、
・アメリカのハードロックバンド・KISS(キス)のような、白塗り化粧の悪魔的なヘヴィメタ軍団となって生徒たちをひかせてしまい、それが元で理事長に呼び出しをくらったり(爆)。
また、『獣電戦隊キョウリュウジャー』(13年)ブレイブ37『リベンジ! ゆうれいデーボス軍』などでも描かれたような、「キャラ総入れ替わり」も、ファンサービス以外の何物でもない(笑)。
絵里が花陽の「大変ですぅ〜!」の口調をマネた末、「みんなが〜……ヘンよ」でシメるのは、絶妙なギャグとなっていた(爆)。
第7話『なんとかしなきゃ!』で、ダイエットに励まざるを得なくなった穂乃果を他人事のように気の毒がり、特大おにぎりをパクついていた花陽が、自身も体重が増えていたことが発覚するというオチもまた格別。
そして、海未に課せられたランニング中、発見した弁当屋に入ろうと誘う穂乃果、手をクロスして必死に拒絶する花陽を、セリフ無しで「ハァハァ」と漏れる、ふたりの荒々しい息づかいのみで描いた末、穂乃果が指した「黄金米」ののぼりを見て、花陽が満面の笑みとなり(爆)、ふたりで禁を破ることとなる演出は絶品であった。
しかし、第6話のラストで穂乃果の妹・雪穂が衝撃を受けた一枚の紙片が、単なる穂乃果の健康診断の結果であることが第7話で明らかにされるという、初期の平成仮面ライダーシリーズのごとく、次回へと視聴者の興味を持続させる、ハッタリ演出は実に鮮やかである(笑)。
第8話『私の望み』で、作詞を担当する海未に恋愛経験がないために、これまでμ′sにはなかったラブソングをつくろうと、恋愛映画を研究するメンバーたち。
・絵里・ことり・花陽が涙を流す一方で、
・いびきをかいて寝ている穂乃果と凛(笑)。
・そして、「恥ずかしすぎる!」と画面から目をそらし続け、キスシーンを観たくないばかりに電源を切ってしまう海未(爆)。
第1期から視聴し続けた者としては、それぞれのいかにもなリアクションには爆笑することしきりであった。
この回で恋愛イメージを膨らませようと試みた、好きな男子にプレゼントを渡すロールプレイングの中でも「あんただけにあげたんじゃないんだからね」などと、素直でないクールビューティなお嬢様として描かれてきた真姫が、第2話『優勝をめざして』で、高校生にもなっていまだにサンタクロースの存在を信じている純真な面が発覚したり――それをププッと笑ってからかおうとしたにこは、「それは真姫ちゃんの人生を左右する重罪だよ!」と普段は暴走役なのに止め役にまわった穂乃果に諫(いさ)められる(爆)――、しっかり者の元・生徒会長の絵里が、実は暗い場所が苦手であるという子供じみた弱点があるなど、シリーズが進展するにつれて彼女らの別の意外な一面を描くことにより、キャラクターに厚みと広がりを持たせていることは秀逸である。
第6話の後半で、μ′sはこのままでいいと語る穂乃果だが、その理由はメンバー全員がそのままで十分に個性的であり、それを互いが時間をかけて知り、受け入れてきたから、というものであった。
また、いつも衣装の製作を押しつけられていやだと思わないかとの、にこからの指摘に、ことりは「私には私の役目がある。ムダになるとは思わない」と答えている。
第8話では、小学生のころから転校を繰り返したことで友人ができなかった希が、初めて共感できた存在が絵里であったことが語られる。
設定では関西出身ではない希が、絵里に初めて話しかけようとした際、「あたし」ではなく、「うち」を一人称として使ったのは、同じ想いがあるのに、どうやって打ち解ければよいかわからない絵里に対するとっさの行動だったのであろうが、それが功を奏したことで、以後の希が日常会話を関西弁で徹しているのは、実にリアルな演出である。
そんな希から見ても、同じ想いを共有しつつも、自己表現も対人関係も不器用だった少女たちが、時間をかけて理解し合うことで結束を固め、それぞれの役割を立派に演じられることとなったのは、希が言うようにやはり「奇跡」であり、μ′sはこの9人以外には考えられないのである。
紅茶カップに浮かぶ希の顔が笑顔に転じる芸コマな描写や、降ってきた雪をメンバーたちが手で受けとめ、各自がひとことづつ言葉を紡ぎだしていくことで最終予選用の曲が完成し、全員で曲をつくりたいという、希の望みが実現する演出は実に感動的だが、やがて直面する現実的な問題に対する彼女たちの答えは、すでにこの時点で出ていたのではなかろうか。
第11話『私たちが決めたこと』で、穂乃果の提案で日曜日にメンバーの行きたい場所全てを回ったμ′sは、最後に穂乃果の希望で、誰もいない海に行くことになる。
夕焼けに染まる海を前に、2年生と1年生は、3年生が卒業したらμ′sをおしまいにする、と声を揃えて3年生に宣言する!
真姫「スクールアイドルは続けるけどμ′sは終わりにしたい。にこちゃんのいないμ′sは、あたしがいやなの!」
これまでにこと対立することが多かった真姫がそれを叫ぶからこそ、その決意は説得力にあふれたものとなる!
駅近くの証明写真機の狭いスペースに強引に入りこみ、プリクラのごとく記念撮影を強行する少女たち(笑)。
そして、夕闇に染まるホームで、9人全員が、遂にこらえきれずに号泣する……
どうやっても泣いてもらうぞ! と言わんばかりに畳みかけられる、あまりに卑怯な演出の数々には、無駄な抵抗をしてもしようがない(爆)。
第12話『ラストライブ』で、9人が揃う練習最後の日であることに名残惜しく、本戦前夜なのに、なかなか帰宅しようとしないメンバーたちは、穂乃果の提案で学校でお泊まりすることに!
夜の学校という、ある意味「異空間」で「最後の晩餐」をした少女たちは、屋上から夜景を眺め、そこで生活する見知らぬ人々に想いを馳せ、「みんな観てね!」と叫ぶ!
μ′sは見事優勝を遂げるが、ここで穂乃果が第1期第3話『ファーストライブ』のラストで絵里に語ったセリフ「このまま誰にも注目されないかもしれない」を回想する演出が、見事に係り結びとなっており、より感動を大きくすることとなっている!
沸き起こるアンコールの声に応えたのは、第1期のオープニング映像をそのまま流用したものであったが(笑・後日付記:全編に渡って微改修されているらしい?)、筆者が本作を追い続けることとなったのも、μ′sの衣装・ダンス・ステージ演出と、そのあまりの完成度の高さがキッカケだったからである。
最終回『叶え! みんなの夢』。生徒会長として卒業生に送辞を語る穂乃果が、言葉よりも歌で心が通じ合えると、真姫のピアノ演奏で歌い始め、海未・ことり・凛・花陽も歌いだし、やがて会場が大合唱となる大団円は、まさに圧巻の一言に尽きる。
穂乃果「やり遂げたよ。最後まで」
μ′sの活動は終了してしまったが、
にこ「こんなにたくさん助けてくれる仲間がいるんだから」
と、にこに指名され、新部長に昇格した花陽、そして花陽に副部長に指名された真姫――「別にいいけどぉ〜」と顔を横に向けるような、一見投げやりでヒネた姿がまたカワイイのである(笑)――が率いる、雪穂と絵里の妹・亜里沙が新たに加入したアイドル研究会による、「みんなで叶える物語」の幕開けが、今から待ち遠しくてならないものがある。
ラブライブ! 1 <特装限定版> [Blu-ray]
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