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牙狼〈GARO〉 ~序の序論・80~90年代には期待の星であった雨宮慶太カントク

『牙狼〈GARO〉 神ノ牙-KAMINOKIBA-』 ~小粒良品!
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牙狼〈GARO〉(ガロ)』 ~序の序論・80~90年代には期待の星であった雨宮慶太カントク

(文・T.SATO)
(2005年11月脱稿)
(余白アナうめ短文原稿)


 日本特撮冬の時代が70〜80年代だとすれば、その末期に登場した期待の新星のひとりが本作の雨宮慶太(あめみや・けいた)カントクであった。
 『宇宙船』誌であったか巻頭カラーグラビアに掲載された『未来忍者慶雲機忍外伝』(88年)の戦国武士や忍者が白兵戦し、お城型メカが空を飛び歩行しドンパチするビジュアルの衝撃といったら……。


 70年代後半、当時としては前代と比して圧倒的に飛躍した特撮技術をもって、ハリウッドのSF・ヒーロー大作映画が舶来。一応の一般層規模で流通する大ヒットを記録した。
 日本特撮もコレにつづき復興しなければならない。などと唱えられつつも、今となってはその善悪を一概に付ける気はないが、アニメに比すれば作品数が少なく年功序列も強かった特撮業界は期待をウラ切り停滞をつづける。
 それも崩れ『スター・ウォーズ』(77年・日本公開78年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200105/p1)以後の世代が活躍しはじめた90年前後、雨宮慶太はそれなりのカリスマオーラをマニア間に放っていたといえる(80年代における、漫画家・大友克洋の天才オーラ&ポジション&受容みたいな)。


 実際には、映像センスはともかく、氏の作る作品には弱点もあったため、90年代前中盤には早くもバッシングがはじまる。そして業界全体のセンスも底上げされた現在では、雨宮も特別な存在ではなくなった(でも今でも頭半分は抜きん出ているとは思う)。
 強引に海外にまで眼を向ければ、同世代の同様ポジションのカルト監督キャメロンやサム・ライミが現在、大家の位置を獲得したのと対照的だ。
 個人的にはこの差異を彼らの作家性ではなく、プロデューサーシステム(映画会社だけでなく保険会社から何から)に見る(タガをハメるということで。またそのシステムの有無ではなく、その優劣ということで)。


 たとえば雨宮カントク渾身の大作『鉄甲機ミカヅキ』(00年)。真偽定かならぬウワサによれば、当初は脚本が『新世紀エヴァンゲリオン』(95年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20110827/p1)などにも参加した薩川昭夫氏だったという。で、それがマズかったのか何なのか、平成『ライダー』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20011108/p1)まだきの時期の井上敏樹氏に交代したという……。
 年季の入ったマニアならば誰もが思ったことであろう。少年が主人公のジュブナイル作品なのに、よりにもよって子供や児童ドラマに関心があるとは思えない、今までジャンル作品において(メインを担当した『鳥人戦隊ジェットマン』(91年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110905/p1)、『超光戦士シャンゼリオン』(96年)にかぎらずゲスト脚本回でも)、青年男女や異形の怪人たちの愛憎葛藤劇やゆがんだ愛情友情話ばかりを、あるいはコミカル劇ばかりを書いてきた敏樹センセが、なぜ登板するのか!? と……(マイルド系や美少女系がスキな荒川稔久(あらかわ・なるひさ)センセあたりならばともかく・笑)。


 さしたる根拠もない憶測で恐縮なのだが、コレは単に、まわりのプロデューサーレベルのスタッフたちが、脚本家の個性・カラーを、マニアックでなくともイイから最低限、批評的に言語化して認識していないから……なのだろうと見る。
 せいぜい、雨宮カントクと井上敏樹センセは『ジェットマン』のメイン監督&メイン脚本で組みました、それなりにヒット、反響を呼びました、知己だから仕事もやりやすいでしょう、という表面的・皮相的な前歴&実績主義でしか見ておらず――いやまず第一段階としてはそれでもイイのだが、その次の段階として、作品の方向性と作家の方向性を勘案して、必要に応じてさらに別の判断を下してみせる、というような回路がなかった、ということなのだろう。


 だからジュブナイルなのに、ストーカーが出たりする(笑)。
 ただ2005年現在の日本の特撮界で唯一例外になるとおぼしき、積極的に大資本とそのプロデューサーシステムに乗ってみせようとしている存在は、マニアの大キライなフジテレビと組んでみせた樋口真嗣氏で……(つづく!?)。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2006年号』(05年12月30日発行)『牙狼』合評②より抜粋)


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  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20180601/p1



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