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男はつらいよ50 お帰り 寅さん ~中年になっても成熟せずに目だけで恋してる放浪人・寅さんは、会社や学校に帰属意識を持たないオタの元祖だ!?

追悼、大林宣彦論 ~尾道。映像派から抒情派へ。風景も作品を規定する。ツーリズム。大林作品で旅に誘われた我が半生
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 2020年4月からBSテレ東開局20周年特別企画『土曜は寅さん! 4Kでらっくす』にて、名作邦画『男はつらいよ』全49作の4Kデジタル修復版が放映中記念! とカコつけて……。
 四半世紀後の後日談にしてシリーズ第50作にして最終作『男はつらいよ50 お帰り 寅さん』(19年)評をアップ!


男はつらいよ50 お帰り 寅さん』 ~中年になっても成熟せずに目だけで恋してる放浪人・寅さんは、会社や学校に帰属意識を持たないオタの元祖だ!?

男はつらいよ お帰り 寅さん』 ~子連れ狼考(正月編)

(文・しかせん)
(2020年1月28日脱稿)


 昨2019年末は「ツブコン」こと『TSUBURAYA CONVENTION』(東京ドームシティ各種施設にて2019年12月14日(土)、15日(日)に実施)やら、『ウルトラヒーローズEXPO2020 ニューイヤーフェスティバル』(東京ドームシティ プリズムホールで2019年12月28日(土)~2020年1月5日(日)に開催)。そして、『コミックマーケット97』(東京国際展示場東京ビッグサイト-2019年12月28日(土)~31日(火))とイベント続きで、師走の忙しさがようやく落ち着き2020年を迎えた1月3日に、正月映画の真骨頂ともいえる『男はつらいよ』を観に行ってきました。


 事前の情報によるとパンフレット(1200円也)が公開早々に品薄となり都心の映画館では購入できないという声もあり、さぞかし賑わっているんだろうなと想像したけれど、びっくりしたことに郊外のシネコンでは驚きの貸し切り状態で鑑賞、またパンフレットも無事購入することができ、狐につままれたような気分。
 もうね、『寅さん』の時代じゃないのはわかってるんだけれど、やっぱり根強い人気があるから都心では早いうちに好きな人が観に来てパンフも買っちゃうんだろうな。


 そんなことを想いながらパラパラと捲ると、第7作『男はつらいよ 奮闘編』でマドンナを務めた「榊原るみ」さんの名前を発見。
 同行の小学五年生が頓狂な声をあげて、「坂田アキ」さんだぁと、記載されていた劇場公開日である1971年4月28日と『帰ってきたウルトラマン』(1971年)の放送時期とが重複している事実にも驚きつつ、有名な女優さんであったことを再認識した様子。


 歴代マドンナに彩られた映像も、我々世代ではすでに「おばちゃん」だったかっての美熟女も、寅さん4Kデジタル修復プロジェクトによって正真正銘の美女たちに蘇り、この歳になったからこそわかる彼女たちの魅力にも再注目させられ、あっという間の2時間でした。


 『お帰り 寅さん』は、往年の『寅さん』シリーズ終盤(90年代前半)の青年レギュラーだった諏訪満男(すわ みつお。演 吉岡秀隆)を中心に進んでゆくストーリーですが、寅さんがどの場面に出てくるのか楽しみにしていました。


 しかし、満男が「黒板純」――名作TVドラマ『北の国から(1981年)』での役名。実質、主人公――に見えてきて、キャラクターがどうしてもダブってしまう。これはいかんと思いつつも、2019年10月12日(土)夜9時からNHKBSプレミアム)で放送された2時間ドラマ『八つ墓村』を視聴したときもそうで、どうしても「純」に見えてきてしまう。


 そんな脚本やドラマの根本を歪曲してしまいかねない我が妄動を補うのが取り巻く女優陣で、今回の『寅さん』では同じくシリーズ終盤のレギュラーで満男のマドンナだったアノ後藤久美子ちゃんが奇跡のリバイバルで我々をアッ! と驚かせてくれ、もうこれはちょうどよいくらいの熟女となって我々の目の前に現れてくれたわけなのであります。
 久美子ちゃんのこんな素敵な成長ぶりを見たら、私事で恐縮ですが高校時代にビートたけしの少年時代を描いた往年のNHK平日夜の帯ドラマ『たけしくん、ハイ!(1986年)』の話をしながら「俺の妹にしたいくらい」と言っていた假面特攻隊・初代隊長も嬉々としていたに違いなく、『寅さん』を観たいかどうかはわからないけれど、新年会やら酒の席で後藤久美子ちゃんの話で盛り上がったんだろうなぁと思ってみたり。


 とにかく『お帰り 寅さん』は後藤久美子ちゃん演じるマドンナ「及川泉」周辺のストーリー展開くらいから、『寅さん』ワールド全開でぐんぐん嵌ってしまって、これは涙なしでは観れなくなってきました。


 マズい。同行の小学五年生はそんな涙脆くなっている父親を見ては、


「また泣いてるよぉ」


って思っているに違いなく、新旧『ウルトラマン』シリーズの最終回にせよ泣かせどころでは必ず期待を裏切らずに泣いてしまうので、恒例となった〝泣きの小金治〟(桂小金治 かつら・こきんじ)司会の『それは秘密です!!』(1975~87年 視聴者が探していた肉親や恩師と涙の再会を果たす番組)と化した中年オヤジは照れ隠しをするように、帰路の空いた電車の中で親子肩寄せ合って


「こういった感情も大切なのだよ」


と真剣に話をしたり。


 またそれから寅さんのように、若かったころの旅の日々を思い出し、あの旅の空で出会った美女たちは今頃どうしているんだろうかと自身の思い出を映画に投影させつつ、同世代の男が主人公の映画だったからこそ、正月からいろいろと考えさせられてしまいました。


 しかし、満男クンと泉ちゃんのストーリーもこれでおしまい。それぞれ家族のもとに帰ってゆきます。
 マドンナたちも皆、その後に幸せをつかんで今頃は幸せでいることでしょう。「もちろんリリーさん(演 浅丘ルリ子。リリーは第11作・15作・25作・48作のマドンナ)も神保町のジャズ喫茶で店員のトミー(演 松野太紀)を雇ってのんびり余生を楽しんでいたり」だから、『寅さん』という物語も彼らの未来への物語とともに完全に終わってしまったんだろうなぁ。50話にも及ぶ旅の途中で。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2020年冬号』(20年2月9日発行)所収『男はつらいよ50』評より抜粋)


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