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ウルトラマンエース# 〜『エース』同人誌の歴史2


「ウルトラマンエース」総論
特撮評論同人界での第2期ウルトラ再評価の歴史概観
「ウルトラマンA 再評価・全話評!」 〜全記事見出し一覧

《ちょっと一服》『ウルトラマンA』関連アイテム3

ファミリー劇場ウルトラマンA』放映・連動連載!)
(文・久保達也)(06年11月執筆)

関連記事
ウルトラマンエース#〜『エース』同人誌の歴史1〜『A』再評価の端緒を築いた伝説の名同人誌『全員脱出!』

 http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070331/p1

*『真☆超人英雄伝』

(少年タイムス社&特撮新撰組・89年11月24日発行)
 80年代に今は亡き雑誌『アニメック』で特撮評論家・池田憲章によって連載されていた『日本特撮映画史 SFヒーロー列伝』のスタイルを模したパロディである。
 『A』全52話をシャッフルし、登場キャラを大幅に入れ替えたり、オリジナルのストーリーに仕立てたりして再構成した架空の『ウルトラマンA』を実際に放映された作品であるかのごとく(マニアたちの反応までをも妄想!)評論してしまうという、あまりに大胆な試みがなされている。
 作品紹介として添えられた画面撮り写真の数々(もちろんイラストである)を見る限りでは一見悪ふざけのような印象があるが(被害者役として何度も東宝大部屋俳優・大村千吉(おおむら・せんきち)が登場したり、岡山ロケ編の合間に撮られた星光子の水着姿とか・笑)、そこに盛り込まれた膨大なアイデアの数々は巻頭言にあるように、「ここにはきっと、あなたがずっと抱き続けていた『ウルトラピーエース』(笑*1)に対する不満へのひとつの回答があるのです」と豪語するだけのものが十分に存在し、今後の実作品に活かすべき要素に満ち溢れ、単なる一マニアの妄想には終わっていないのである!



 この本では『ウルトラマンA』の第3話は『ウルトラ5番目の弟』になっているが、なんとガス超獣ガスゲゴンが1号から5号まで5匹も登場し、それぞれが各国主要都市を襲撃する! そしてロンドンにゾフィー、ニューヨークに初代ウルトラマン、モスクワの赤の広場ウルトラセブン、パリにウルトラマンⅡ世(帰ってきたウルトラマン)、もちろん東京にはエースが駆けつけ、世界各地でバトルを繰り広げるのだ!


 そして、第11話『東京大混乱! 狂った信号』から第15話『決戦! エース対郷秀樹』に至るまで、5話連続で変身怪人アンチラ星人が化けたニセ郷秀樹と坂田次郎が登場し、最後には本物の郷秀樹(!)が登場!! ウルトラマンⅡ世に変身してエースとともにアンチラ星人を倒す!


 究極の悪の代理人を倒されたヤプールは、複数の使者に並行して作戦を進めさせる。怨念の権化・老人(ヤプール老人)、暴力型のギロン人、頭脳派・宇宙仮面と坂井青年、女ヤプール・Q……これらがセミレギュラーとして登場し、東映作品における、悪の組織の大幹部としての役割を演じるのだ!


 第18話『大蟻超獣対ウルトラ兄弟』から第29話『セブンからエースの手に』はゾフィー編となる。第19話『ゾフィからの贈り物』において、元・TAC隊員であり、山中たちの先輩である岸田仁(演・本物の『A』第12話にも岸田博士としてゲスト出演した近藤正臣を想定!)がゾフィーに変身!
 TACの技術官である、岸田の妻・香代子と弟の梅津ダンを含むインサイドストーリーがこのゾフィー編では描かれ、第29話で新兵器ゴールデンホークを完成させた香代子は病に倒れる。岸田は自分が既に死んだ存在であることを香代子に明かし、火炎超獣ファイヤーモンスを倒したゴールデンホークの威力を確かめた香代子は、岸田とダンにみとられて死んでいく。
 ゾフィーをウルトラの星に呼び戻すために地球に来ていたウルトラセブンが、エースと協力して火炎人ファイヤー星人を倒し、ゾフィーは岸田と分離してセブンとともに帰還するのであった……


 第25話『ウルトラの星に祈りをこめて』において、ついに南夕子の正体が明らかにされる! 第26話『友情の星よ永遠に』において、夕子は月星人ノーマン(演・立花直樹。ノーマンのコスチュームと性格をそのままに、彼はのちに『ジャンボーグA(エース)』(73年)で主役を演じたとか・笑)の帰還命令を受ける。
 そして第34話『怪獣対超獣対宇宙人』、第35話『太陽の命 エースの命』で山中とマヤの愛の悲劇を目のあたりにした夕子は、第36話『さようなら夕子よ、月の妹よ』において、蛾超獣ドラゴリーと幻覚宇宙人メトロン星人Jr.(ジュニア)を封じるために使用したエースバリヤーで体力を使い果たしたために命を落とし、ノーマンに抱き抱えられて仲間のいる天王星へと帰っていくのであった……


 第42話『神秘! 怪獣ウーの復活』ではエースと伝説怪獣ウーがにらみ合い、今まさに戦いが始まろうとしたそのとき、初代ウルトラマンが登場し、ウーが山に帰っていくのをはじめ、第48話『全滅! ウルトラ5兄弟』から第50話『逆転! ゾフィ只今参上』に至るまで、ウルトラ4兄弟と地獄星人ヒッポリト星人のほかにも、黒雲超獣レッドジャックと改造怪獣軍団、異次元超人エースキラーJr.が登場! 月世界で奴らとギロン人、そして異次元超人巨大ヤプールウルトラ兄弟の壮絶な連続バトルが展開される!


 最終回第52話『明日のエースは君だ!』にはハヤタ、モロボシ・ダン、郷秀樹、そして岸田仁が登場! なんと最強超獣ジャンボキングが分離し、頭から一角超獣バキシム、両腕からは気球船超獣バッドバアロンと虹超獣カイテイガガン、ほかにも信号超獣シグナリオンや、バイオリン超獣ギーゴンなど10体の超獣が出現! ヤプール最後の超獣軍団とウルトラ兄弟の一大決戦!
 そして、遊牧宇宙人サイモン星人の子供が北斗に射殺されたことで、地球の子供たちの怒りと不信を吸収して巨大ヤプールに変身する! 子供たちの「やさしさ」を守るため、北斗、そして生きていた(!)夕子が最後の合体変身をとげ、巨大ヤプールと最後の戦い!……



 一マニアの妄想として片付けるにはあまりにも惜しいほどの魅力的なファクターが散りばめられた、もうひとつの『ウルトラマンA』の物語。
 こうして見るとニセ郷秀樹編やゾフィー編、夕子の正体が発覚してからその最期までにとどまらず、なんと美川隊員と宇宙仮面の変身である坂井とのラブロマンスに至るまで、連続話を展開することで人間ドラマや感情を盛り上げる手法は、現実に平成ライダーシリーズに継承され、立派に成果をあげているのだ!
 なんといっても死んだ元隊員である岸田にゾフィーが乗り移るというアイデアは、ゾフィーの人間体の正体捜しを目玉に据えた『ウルトラマンメビウス』(06年)や、元GUYS(ガイズ)隊長・セリザワとウルトラマンヒカリの関係の元ネタではないのか!
 マニア出身の特撮業界人も近年では増えているが、この本に触発されて本当にやっちゃった人も中にはいるのかと(笑)。『メビウス』第4クールではウルトラ兄弟続々登場が期待されるが、この本にあるような形で遠慮なく、存分に描いてもらいたいものである!
 ただし! 美川隊員が吉村隊員とデキているという設定だけは、筆者は絶対に許容できんぞ!(笑)


*『RETURN(リターン)22号』

(『帰ってきたウルトラマン』研究会スタビライザー・90年12月24日発行)
 81年に結成され、現在でも活動を続けている老舗の同人である『帰ってきたウルトラマン』研究会・スタビライザーの発行。『歴代特集ウルトラシリーズ ウルトラマンA序論』と題し、17ページの小特集を組んでいる。
 会員たちの『A』に対する意見と、会長による私論を加えた評論集として構成されているが、前者は以下のような否定的スタンスのものが結構見受けられる。



・「議長!、梅津姉弟を獄門ハリツケに処す旨緊急動議します!」
・「第1話の完成度の高さからすると、どうも後半が……合体変身もやめちゃうし、ヤプールも消えちゃうし、ダン少年も消えちゃうし、であまりに中途半端でしたね」
・「この作品は初めて見たときはすごく面白かったのに、中学生のときに見たときには、すごくつまんなかった。現在やってるリピート見て原因がわかった。実験のしすぎだったんですね。ほとんどカルトムービーですぜ」
・「私にとって『ウルトラマンA』とは、ウルトラシリーズの中でも特殊な位置を占めている作品といえます。それはシリーズの変質と解体が本格的に始まった作品という悪い意味で……なのですが……(中略)
 怪獣ならぬ「超獣」という耳慣れない用語、その超獣たちの派手なだけで魅力に乏しいデザインと造形、そして子供に迎合しすぎたりスポ根ものの影響に毒されてしまったストーリー……すべては当時の私にとって、作品に対する評価を引き下げさせてしまうマイナス要素でした」



 そして会長自身、「北斗と南」「TAC」「ヤプールと超獣」「ウルトラ兄弟」という4つの売り物である設定を中途半端に使い捨ててしまったとして、ウルトラシリーズの中では想い入れは低い位置にあると告白している。


 要するに90年当時までの一般的な特撮マニアの『A』に対する感慨がここに集約されているという趣である。


 確かに「学習雑誌の漫画でいろいろ描かれた夕子退場のフォローストーリー……一人で戦うことに悩む北斗、エース打倒のために夕子に化けて北斗に近づく侵略者、夕子の危機を救うため月へ飛ぶエースなどなど、これらのパターンが一つでも描かれていれば」という意見には筆者も大いに賛同したい(現実にはやりたくてもできなかったのであろうが……)。


 しかしながら「TACが弱いチームである」というのは明らかに思い違いであり、第17話『怪談 ほたるケ原の鬼女(きじょ)』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060904/p1)でV7ミサイルで大蛍超獣ホタルンガにダメージを与え、第39話『セブンの命! エースの命!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070129/p1)で新兵器シルバーシャークで火炎超獣ファイヤーモンスを粉砕したり、第44話『節分怪談! 光る豆』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070304/p1)では鬼超獣オニデビルにゴールデンホークで大ダメージを与え、第45話『大ピンチ! エースを救え!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070310/p1)ではガス超獣ガスゲゴンをタックファルコンのレーザー攻撃で宇宙の塵と化すなど、実際には『ウルトラマンメビウス』登場の防衛組織・GUYS(ガイズ)に匹敵するほど、ウルトラマンを的確に援護したり、超獣を倒したりする描写が実に多いのである!
 「タックファルコンは良いデザインだが、“全長210m”がすべてをぶち壊している」というのもねえ……幼児は気にしなかっただろうし(笑)、子供に雑誌や書籍で新鮮な驚きを与えるには、それくらいのハッタリは必要悪だと思うのだが。


 ただし、「『A』がまっとうできなかったもののほとんどは後続のヒーローたちに受け継がれ、狙ったものに間違いはなかったことが証明されている」とし、愛情と信頼で結ばれた対等なアベック戦士の発想は東映の『宇宙刑事』シリーズ(82〜84年)に、異次元から人の心を狙う侵略者のイメージは『宇宙刑事シャイダー』(84年)のフーマなどに継承され、それらは立派に開花した、との適切なフォローに関してはまさにその通りである!


 ただねえ……最終回(第52話)を「ジャンボキングのせこい破壊活動、目立たないTAC、意味のない夕子の登場、ダンの不在」などとあげつらい、「ウルトラシリーズの最終回では文句なしのワースト1である」と断言しているのは個人的には残念以外のなにものでもない。
 地球を去るというのに坂田健や坂田アキのことをまったく回想しない新ウルトラマンこと郷秀樹、初代ゼットンが防いだスペシウム光線で倒されてしまう宇宙恐竜ゼットン二代目、「ウルトラ抹殺計画」などと触角宇宙人バット星人が口にするも、ウルトラ兄弟もウルトラの星も登場せず……と、『帰ってきたウルトラマン』(71年)の最終回(第51話)『ウルトラ5つの誓い』は、個人的にはウルトラシリーズの最終回では最もものたりない感が残るのだが……
 (もっとも「ウルトラ5つの誓い」自体は最大の収穫であり、その精神は最新作『ウルトラマンメビウス』に立派に継承されている)


*『夢倶楽部VOL.8 輝け!ウルトラマンエース

(大石昌弘・94年12月25日発行・95年8月15日第2刷発行)
 第1話『輝け! ウルトラ五兄弟』のシナリオ採録、全予告編ナレーション、当時発売されていた『カルビーテレビスナック ウルトラマンA』のおまけカード全74種類のうち72種(!・〜氏が当時集めたものとか。ちなみに筆者は当時これを店頭で見かけた記憶がない。菓子の味自体は同社の『かっぱえびせん』らしいが、大石氏によれば味は若干落としてあったような気がするとのこと・笑〜)掲載や、全52話の見所紹介などで構成されている。


 シナリオと実作品との差異(ベロクロンが登場する場所はシナリオでは広島の原爆ドームだが、『ウルトラセブン』(67年)第12話『遊星より愛をこめて』の欠番騒動(70年秋)の直後だったことから、変更になったのではないかと推測)、当初第4話として予定されていた『超獣狩り大作戦』(脚本・市川森一)紹介、ビデオソフトやLD(レーザーディスク)の詳細についてや全話視聴率(ケイエスエスが92年に発売したLD解説書からのコピー)など、どちらかといえば評論よりも資料的側面が強い印象の構成となっている。


 しかしながら『豪華なるウルトラマンエースの世界』というコラムにおいてはウルトラ兄弟の設定に関して、


 「ひとつの世界観で終わるのではなく、作品と作品との連続性を持つことでドラマの奥行きを持つのである」


 「シリーズ化されている場合、新シリーズをこれまでのものと差異を出し、またいかにして物語を視聴者に興味を持たせ、面白く見てもらおうと考えたときに、やはりお祭り的なイベント性の強いドラマがなければ飽きが来てしまうのではないだろうか。ワンパターンからの脱皮である」


 と好意的に評価を加えているが、これを実践した『ウルトラマンメビウス』が好評であることを見ても、この主張が誠に正しいものであることが証明されている。


 そして脚本家の面々もシリーズ中一番豪華であるとし、


 「“男女による合体変身”のピリオドを打ったのも市川ではなく、石堂なのである。月の妹「南夕子」が地球に再び訪れる話(『タロウ』も含め)を書いたのも彼である。メルヘンファンタジックの感覚は市川以上なのかもしれない……」


 なる記述はヌルいマニアたちには意外に思えるかもしれないが、第28話『さようなら夕子よ、月の妹よ』や第38話『復活! ウルトラの父』や次作『ウルトラマンタロウ』(73年)の諸編(エンマーゴやロードラやモチロンやピッコロやオルフィ編)を観る限りでは確かにそう思えてならないものがあり、的確な指摘であると考える。


 また『川北特撮の謎を追え!』なるコーナーもあり、第21話『天女の幻を見た!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061009/p1)で天女超獣アプラサールを吊り上げ、和製ワイヤーアクションを演出することで「怪獣プロレス」を避けていることから、のちに川北紘一氏が特技監督を務めた平成ゴジラシリーズ(89〜95年・東宝)の撮り方の基本が垣間見えるとする一方、同時進行の第22話『復讐鬼ヤプール』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061010/p1)では凶悪超獣ブラックサタンが民家をエースにたたきつけると、エースはオイルタンクをブラックサタンにかぶせる(笑)という、怪獣プロレスショーを演出していることから、意外と派手な格闘も好きなのではないかとも指摘。
 その根拠として、ボディビルで体を鍛えていたとか、『帰ってきたウルトラマン』で氏が助監督時代にウルトラマンのスーツに入ったことがあるなど、興味深い証言も紹介している。


 そして特撮作品のロケ地探訪を趣味とする特撮同人ライター・黒鮫建武隊氏による、第20話登場の客船型ホテル・スカンジナビア号の詳細なルポは、同船が05年に老朽化と観光客の減少によって営業を終了し、06年9月2日に故郷であるスウェーデンで余生を送るために曳航中、和歌山県沖で沈没してしまった今となっては実に貴重な記録となっている。


 なお、『夢倶楽部』毎号巻末に付いているお楽しみ企画『着せかえセット』(女性キャラの裸体と各種コスプレを切り抜いて遊べるようにしたもの)は南夕子ではなく、『あなただけの美川のり子』(笑)である。
 夕子よりも美川隊員派の筆者には嬉しい企画ではあるが、やはりこういうのよりも、ちゃんとしたフィギュアがほしいなあ。どっか出してくれません? 『ウルトラセブン』のアンヌ隊員ばっかじゃなくてさあ……


*『大怪獣倶楽部 第2号』

(グループG対策センター水戸・97年12月23日発行)
 本来は東宝特撮怪獣映画を研究しているグループが発行する同人誌であるが、平成ゴジラシリーズで特技監督を務めていた川北紘一氏が、初めて演出した作品が『A』であることから、『ウルトラマンA(エース) 川北特撮の黎明期』なるコーナーを設け、氏の特技監督としての「作家性」について、原点となった『A』から考証している。


 氏が演出した『A』全話(第21・22・25・26・27・30・31・36・37・40・41話)につき、のちのゴジラシリーズにおける演出のルーツと思えるような場面を以下のように紹介している。


・第21話における、天女超獣アプラサールをタックスペースのキャノピーから臨む主観カット→『ゴジラVSビオランテ』(89年・東宝)における、スーパーX2からゴジラを臨む主観カット


・第22話における、凶悪超獣ブラックサタン対エースのバトルを、画面をやや引きぎみに建物ごしに見せる演出→『ゴジラVSキングギドラ』(91年・東宝)における、新宿をゴジラが進撃するシーンの街並みをずっと引きぎみに撮る演出


・第25話における、古代超獣スフィンクスの登場シーンで体の各所(顔、胴、腕など)をアップで撮り、巨大感を演出する→『ゴジラVSメカゴジラ』(93年・東宝)における、メカゴジラの初登場シーンの同様の演出


・第37話における、鈍足超獣マッハレスの進撃を仰角で撮影→『ゴジラVSビオランテ』における、大阪ビジネスパークを進撃するゴジラを仰角で撮影


・第22話&第25話における、エースのタイマーショット、第37話でエースが発した星型のスター光線など、定番技以外の多用に見られる、光線へのこだわり→『ゴジラVSモスラ』(92年・東宝)における、横浜みなとみらい21でのゴジラモスラ・バトラの光線合戦


 以上のような点から、川北特撮の特徴として「主観」「引き」「強調」「仰角」「光線」をあげ、氏がそれらの原点を確立させた古巣の円谷プロで、当時製作されていた『ウルトラマンダイナ』(97年)においても、川北特撮を堪能させてもらいたいものだ、と結んでいる(残念ながら実現することはなかったが……)。
 とはいえひいきの引き倒しか、ウルトラ5兄弟全滅のブロンズ像のアイデアが、プロデューサーや脚本家をさておき、川北監督のアイデアであったかのように受け取れる記述には少し問題も感じるが(笑)。


 なお北斗と南がTACに入隊する前の、パン屋の運転手と看護婦姿のツーショットを描いたイラストが添えられており、「第二期ウルトラシリーズの主人公たちはヒーローである前に子供たちが頼れるお兄さん、お姉さんだった。郷秀樹、東光太郎、おおとりゲンしかり。『ティガ』『ダイナ』がこうした描写に欠けていると思うのは自分だけか?」なるコメントが付いていたが、いえいえ、決してあなただけではありません。筆者も大いに同感です(笑)。


 (当該の『ウルトラマンA 川北特撮の黎明期』の記事は好評だったそうで、初出誌の『大怪獣倶楽部 第2号』完売後、当誌の傑作記事だけを集めて刊行した『大怪獣倶楽部 EXTRA』(99年4月1日発行)にも再録を果たしている)

(編):08年8月10日(日)後日加筆

 小沼祐次氏からの08年8月2日(土)付けの書簡によるご抗議・ご要望により、氏が関わられた『ウルトラマンA』関連同人誌記事、およびウルトラ兄弟ブロンズ化の出典に関する氏の以後の取材の経緯――最終的には、川北監督ご自身から言質を得る――を、氏直筆のリストのかたちにて下記に紹介・掲載させていただきます。氏の『大怪獣倶楽部 第2号』以降の経緯を併せてご紹介しなかった点については、当該特集記事の趣旨としては不充分であり、編集者である当方ことT.SATOの資料準備・確認の手抜かりであったかと思います。伏してお詫びを申し上げる次第です。

・大怪獣倶楽部 第2号 (1997年12月13日発行)

 「ウルトラマンA 川北特撮の黎明期」として、川北紘一特技監督が特殊技術を担当された全11エピソードをイラスト等を交えて分析。

・大怪獣倶楽部 EXTRA (1999年4月1日発行)

 これまでの記事のいくつかをセレクトして構成した再録本。「ウルトラマンA 川北特撮の黎明期」は第2号の内容をそのまま再録。

・大怪獣倶楽部 第7号 (2000年8月13日発行)

 特集「川北スペシャル2000」の中で、川北監督へのロングインタビューを行う。その中で『A』第26話「全滅!ウルトラ5兄弟」と第27話「奇跡!ウルトラの父」におけるウルトラ5兄弟をブロンズ化するという演出について川北監督に伺い「元々脚本にあった」との回答を頂く。

・大怪獣倶楽部 THE BEST (2004年8月14日発行)

 再録本の2冊目。第7号の川北監督へのロングインタビューをそのまま再録。

・RETURN EXTRA 2004年冬の号 (2004年12月30日発行)

 小特集「ウルトラマンA DVD完結」の中で『ルーツ・ザ・川北特撮』を掲載。これは『大怪獣倶楽部 第2号』の「ウルトラマンA 川北特撮の黎明期」をベースに加筆・修正・再編集をしたもので、『大怪獣倶楽部 第7号』のロングインタビューの内容も当然ながら追加。


*ACTION COMICS『ウルトラマンA』

(脚本・新藤義親 作画・松久壽仁 双葉社 99年10月28日発行・asin:4575936472
 これは商業本ではあるが、脚本を担当した新藤氏が『ウルトラ怪奇大怪獣図鑑』(『怪獣ウルトラ図鑑』(秋田書店・68年5月30日発行)のスタイルを模した、『ウルトラマンタロウ』(73年)登場怪獣紹介を中心とした同人誌)などを出したサークル・スタジオパンドラの代表者でもあるので(東映メタルヒーロー特警ウインスペクター』(90年)や円谷プロの『電光超人グリッドマン』(93年)の脚本でも活躍)、特別にここに加えさせて頂くことにする。


 土星・水星・月が次々に消失、そして東京湾沿岸に20メートル級の津波が、中央連山では大規模な土砂崩れが発生する! 宇宙パトロール中の北斗と南は天の川が消滅するのを目撃するが、一連の異変は全て異次元人ヤプールの仕業(しわざ)であった!


 一方廃墟と化した東京では、怪盗・アルセーヌルパン風に山高帽・マント・ステッキで飾り立てた紳士が、水害で両親を失った子供たちの前で、子供たちのほしいものを次々に出すという不思議な魔術を披露する。子供たちの心を虜にした怪紳士は、ハーメルンの笛吹きのごとく、彼らをユートピアへと誘い出すことに成功する。


 行方不明になった子供たちを捜索する北斗と南の前に、ミサイル超獣ベロクロン・一角超獣バキシム・変身超獣ブロッケンが出現! 二人はエースに変身し、超獣たちを葬り去るが、北斗と南の前に例の怪紳士が現れ、夕子を神隠しにしてしまい、北斗を気絶させて連れ去ってしまう。


 夕子は福山市立総合病院のナースステーションにいた。それはTACに入隊する前の夕子の現実の姿だった。どうあがいても現在の現実の姿に戻ることができない夕子。
 一方、北斗は怪紳士がつくり出したユートピアにある檻の中に幽閉されていた。その眼前で行方不明になった子供たちが怪紳士に導かれ、残酷超獣チルドレスとなって人間の文明をブチ壊しに行ってしまう!


 どうしても逃れられない北斗と夕子の耳に、エースの声が響き渡る!
 「星司よ……闇で待て! あきらめずにただひたすらに待て……!! そして夕子よ……輪廻を打破せよ! そうすれば必ずそこに道は開かれる!! 銀河連邦の勇士として、我々はヤプールに屈するわけにはいかない……! 二人とも信じることだ! 信じれば必ずそこに道はある……!!」(納谷悟朗の声で読むこと!・笑)


 かつての現実通りに福山に出現したベロクロンに看護婦姿で突撃し、炎に巻かれた夕子は過去の世界からの脱出に成功し、北斗の前に現れた! 二人がエースに変身し、現実世界への「勝利の脱出」に成功した途端、チルドレスは消滅し、消えた天体や子供たちは元に戻ったのだ。
 計画を潰され、怒りに燃えた怪紳士は双竜超獣アドルフキングへと姿を変えてエースに挑むが、必殺技・バーチカルギロチンで粉砕され、ヤプールの野望は打ち砕かれたのであった。


 天体の消滅、異次元世界に連れ去られる子供たち、北斗と夕子をエンドレスで襲い続ける悪夢、街やTACをまるで遊び相手として扱うかのような超獣チルドレス……きっと作者は最も早く真船禎(まふね・てい)監督の映像美に気付いた先覚者のひとりであり、あの傑作の第23話『逆転! ゾフィ只今参上』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061012/p1)や第24話『見よ! 真夜中の大変身』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061015/p1)を彷彿とさせるこの不条理世界は、真船監督に映像化してもらうことを前提にしたシナリオだとしか思えない!(笑)


 なおこの企画は元々は93年に倒産したリム出版(92年に製作した桑田次郎原作の『8(エイト)マン』の実写版劇場作品が大コケしたことが原因らしい)が、倒産直前に発表した40冊にも及ぶウルトラシリーズ(『マン』〜『ザ★ウルトラマン』『ウルトラマン80』)漫画化計画「COMIC’Sウルトラ大全集」(当時のチラシが実家のどこかに眠っているはずである)の中の一編が陽の目を見たものである。
 画力も高く、『A』の作品世界を忠実に再現しながらもオリジナルストーリーが見事に構築されており、十分に評価の対象に値する作品となっている。
 このほかにも読みごたえのある作品が多数埋もれているに違いない。ウルトラマンシリーズ誕生40周年という記念すべき06年こそ、この壮大な企画をぜひどこかで復活させてほしかった。あまりに惜しい……


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2007年号』(06年12月30日発行)『ウルトラマンA』再評価・全話評大特集より抜粋)


『假面特攻隊2007年号』「ウルトラマンA全話評」『エース同人誌の歴史』関係記事の縮小コピー収録一覧
静岡新聞 2006年1月30日(月) 客船「スカンジナビア号」 保存へ買い取り運動 GW三島など出資募る 1億5000万目標 〜客船スカンジナビア号保存へ買い取り運動開始



(編:「『エース』商業誌の歴史」も語りたかったところですが、執筆者と編集者双方で時間や調整が取れずに断念。今後に予定している『タロウ』および『レオ』の全話評特集における「商業誌の歴史」の中で、『エース』を含めて語ってもギリギリ不適切ではないと思いますので(?)、そちらでまとめてフォローをいたす所存です)


[関連記事]

特撮評論同人界での第2期ウルトラ再評価の歴史概観

 http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20031217/p1


特撮同人誌のレビューについて(直上記事からの再録)

 本サークルでは、今回の特撮同人誌の歴史概観だけに留まらず、今後とも、現行特撮作品をレビューすると同時に、過去の特撮商業書籍や特撮同人誌の発掘や紹介やレビューを行い、それらが生み出した論法や成果を言語化・言説化・歴史化して、今後の特撮評論を行う際にも、多くの方が汎用的に参照できるモノサシとして紹介していく所存です。
 対象にされ、遡上にのぼらされる側の立場の方からは、後進のひよっ子に言及などされたくない、あるいは批評する立場の弊サークルがキライだから取り扱われたくない(笑)などのあまたの不満も多々生じるかとは思います。
 が、昨06年に逝去された『マンガと著作権』(01年・コミケットASIN:4883790894)も編集された同人誌即売会コミックマーケット代表にして漫画評論家でもあらせられる米沢嘉博氏らも前述の著席で言明されていた通り、相手がアマチュアであっても少部数であっても不特定多数に対して一度、発表・配布されたものに対しては、レビュー・批評行為の対象となると考えますし、またその際に事前に通告やお願いをする必要はないと考えます(当たり前だけど・笑)。
 先の書籍でも語られている通り、事前に当事者に内容を確認して了承をもらうようなレビュー・批評が面白いのか? 価値や意義があるのか? という動議にも通じるものですネ。
 また書籍の奥付に「引用は不可」との記述があっても、社会的には、また著作権法における習慣や判例においても、紹介・批評のための引用は認められています。
 あくまで、引用と地の文との主従・主客関係は逆転してはイケマセンが。弊同人誌編集者(本ブログ編集者)の最終責任において、その点はクリアしたものと判断して特撮同人誌レビューを、以後も同人誌(&ブログ)上にUPしていく所存です。よって、同人誌(&ブログ)でのレビューや批評・価値判断の内容や形式が不当・侮辱に感じられて、掲載をやめてほしいとの指摘が仮にあっても(今までにそーいう指摘は来たことがナイけれど・笑)、掲載を撤回するつもりはありませんので悪しからず……。
 (後日付記:クレームのある方は、知己も含めてまずはコメント欄へ。知己の場合は、郵便やFAXも可。非公開のやりとりを望む場合は、その旨をお伝えくだされば、以後の通信手段は調整いたします)



「ウルトラマンA 再評価・全話評!」 〜全記事見出し一覧






*1:編註:『ウルトラピーエース』。『新世紀エヴァンゲリオン』(95年)で名をあげた庵野秀明監督の出世作である名作ビデオアニメ『トップをねらえ!』(88年)に登場する宇宙怪獣が、劇中でオタクでもある女主人公によって「『ウルトラピーエース』に登場する超獣みた〜い」と形容されていたことからの引用だと思われる(笑)。