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怪奇大作戦セカンドファイル#3「人喰い樹」


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来週より、「『ウルトラマンタロウ』再評価・全話評!」を連載開始!

怪奇大作戦セカンドファイル#3「人喰い樹」

(07年7月21日24時10分〜55分・NHK総合)
(文・久保達也)
全然期待していなかったが……ホントにダメだった(笑)。


森林を伐採する都市開発に対する反対運動の中心となっていた男が、他の住民が次々に離反、最後のひとりとなったことに失望して首吊り自殺。
 その男と結婚を前提に交際していた女科学者が復讐のため、人間を植物に変えてしまう花粉をバラまく。
 人間が姿を消せば自然破壊はとまり、地上は愛する彼が夢見ていた理想郷となるのだ……


なんちゅう陳腐なネタ……高度経済成長がかげりを見せた70年代初めならともかく、女科学者がしつこく繰り返す文明批判と人類批判には失笑の連続……平成ウルトラ作品で散々やらかし、視聴者を辟易させたエコ・テーマをこうも飽きずに繰り返すとは……学習能力がなさすぎる。


科学犯罪を捜査する特殊チーム・SRIの活躍を描き、人間の心の奥に潜む狂気をあぶり出していた『怪奇大作戦』(68年)であるが、この十数年ほどの間に現実の世界が空想世界をとうに超越してしまっている。
 つまり、科学を悪用するまでもない一般の犯罪の中において、我々は人間の狂気を散々見せつけられてきた。そうした中で『怪奇大作戦』をリメイクするのは実に難しい作業であろう。


しかしこれではねえ……ビデオテープや携帯電話のメールを見たり、ノートに名前を書かれたら死ぬなんていう、あまりに「ナンセンス!」(好きな人々には申し訳ないのだが、筆者は幼少のころから「ホラー」というジャンルに「偏見」を持っている)な作品群が、「ジャパニーズホラー」なる立派な位置づけをされ、海外でもヒットを飛ばしているご時世において、こんな辛気臭いノリが通用するとでも思っているのだろうか?


 大体「G線上のアリア」を流したら花粉から毒性が消えるなんて、全然科学的と違うやないか!(笑) 中途半端やなあ……


「怪獣番組」だった『ウルトラQ』(66年)を、「SFアンソロジー」にしてしまった『ウルトラQ 〜dark fantasy〜』(04年)よりイタイなあ……


BSだけならともかく、NHKもよくこういうのを地上波で流す気になったものだ。
 余談だが#2『昭和幻燈小路』(ASIN:B000S6K9XE)が放映された7月14日深夜は、7月としては史上最大の大型台風が日本全土を襲っていたときであった。
 筆者は『セカンドファイル』の放映を休止して「台風情報」に切り替えるのかと思っていたが、ちゃんとオンエアしてしまったNHK、やっぱどうかしているぞ(笑)。


2007.7.22.
(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2008年準備号』(07年8月18日発行)『近作評EXTRA』合評より抜粋)


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