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『サマーウォーズ』 〜合評1
(文・Y.AZUMA)
2009年9月12日(土)、新宿バルトで13時50分の回を鑑賞。
「ほぼ単館上映だから、早く行ったほうが良い」との妻の言葉に従い、11時過ぎに映画館に入り席を予約。
すると、約3時間も前なのに、後ろのほうが少しあいているだけ。
傑作アニメ映画『時をかける少女』(06年・ASIN:B000MEXAOM・ASIN:B000MEXAOC・ASIN:B001871AG2)の「細田守監督の新作」という前評判の通り、大人気だなと思いながら見てみた。
そう、結論。
面白いことは面白いんだけれど、ポイントが絞れていない。そんな感じか。
ストーリーは、明瞭。
暴走したシステムを制御するため、長野の旧家の一族がそれぞれの能力と智恵を結集して立ち向かうってなところ。
でも、脚本がまとまり切っていない。
そのため、たくさん出てくるキャラクターの交通整理が出来ず、説明も類型的。
じゃあ、宮崎アニメのように、ストーリー性を蹂躙するような映像のド迫力で見せる訳でもなく、アニメーションのダイナミズムも中途半端。
説明しづらいので、卑怯な方法。
このストーリーを『クレヨンしんちゃん』(92年)でやってみる。
おねえさんにつられて、長野の旧家にやって来たしんちゃん一家。
たくさん出てくる家族も、しんちゃんの「ぞうさん」等の突飛な行動で、それぞれの個性(生真面目、おおらか、短気、それから序列や位置関係など)が明白になる。
そして、侵入してくる「悪」と一家との戦い。これも、しんちゃんの眼を通すことにより、シンプルな構造に分解され、より明白に、明確になってくる。
想像して出てくるお話は、ちょうど劇場版「クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡」(97年)の基本構造と劇場版「クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶ 踊れ!アミーゴ!」(06年)のサンバの戦いを混ぜ合わせのようなストーリーになりそうな感じである。
つまり、「しんちゃん」のキャラクターが使えない通常の映画なら、野原一家が無意識に説明してくれる映画の骨格(プロット、キャラクター)を、丁寧で簡潔にストーリーに盛り込む必要があるはずである。
この映画、その部分が不十分であった気がする。
その他、感じたこと。
・細かなホントがない
強引なウソをつくために細かなホントを並べる必要があるのだが、それもない。
あんなシステムの大混乱の中、真先に錯綜するだろう電話のシステムが平然と動いていることに、先ず拒絶感が出てきた。
・キャラクターが生きていない
観ていない人がいるので詳しく書けないが、あのおばあさんをあの段階でああするとは、作劇上の致命的な間違いである。
そのため、本来ならストーリーとして徐々にまとまっていくはずの一家の意識の収斂が出来なくなっている。現実はそうかも知れないけれど、お話で意味も無くやってはいけない。
「この監督は、原作を生かして作るほうが向いているかも知れない。」と妻。
とにかく、本当に次回作に期待したい。
『サマーウォーズ』 〜合評2
(文・C.AZUMA)
面白いし、ステキな場面もあるのに、なんだかなぁ…… と、いうのが正直な感想。
世界的な危機が迫っているにも関わらず、淡々とした日常生活をおくっていた人々が一転して危機に立ち向かう、という見所は分るんだけどねぇ……
大家族の中で邪険にされている侘助(わびすけ)さん(41歳)って、先代当主が浮気した相手の子どもといっても、実際は孫の年代なんだし、おばあさんは彼を引き取る時、どんな気持ちだったんだろうか。
彼と兄弟、従妹にあたる人たち(女子高生ヒロイン・夏希以外の人)は彼に良い感情を抱いていないのは分かるけれど、そんなに一方的な見方しかできないのだろうか。
自衛隊の備品を勝手に持ち出してきた人がいたけれど、犯罪じゃないのかしら。
そういう点はこだわらずに観る、例えば「クレヨンしんちゃん」のようなタイプの映画なのに、こだわって観る私がヘンなのかしら。
などなど、一箇所引っ掛かると次々気になってしまい、時間を忘れて「楽しむ」ことができなかった。
仮想世界OZ(オズ)のデザインの一部が、アーティスト村上隆の作品に似てた気がする。細田監督は村上隆と一緒に仕事をしたこともあるし、まぁ気にしなきゃいいんでしょうね。
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