假面特攻隊の一寸先は闇!読みにくいブログ(笑)

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ウルトラマンタロウ3話「ウルトラの母はいつまでも」


「ウルトラマンタロウ 再評価・全話評!」 〜全記事見出し一覧


(脚本・田口成光 監督・山際永三 特殊技術・山本正孝)

ウルトラマンタロウ』再評価・全話評! 連載開始!

(CSファミリー劇場ウルトラマンタロウ』放映・連動(?)連載!)
(文・久保達也)


ライブキング「フヒャハハハハ……ハ〜ハハハハ……」


 まるで笑い袋のような、人間に近い声でひたすら笑い続けるライブキング。一体何がおかしくて笑っているのか、理由は不明だ。ある意味とても恐い存在である(笑)。


 「なめとんのか〜!」とばかりにライブキングに突進するコスモリキッドだが、勢いあまって対岸沿いの建物に顔を突っ込んで転倒してしまう。


 それを見てさもおかしそうに大きな手をバタバタさせ、腹をかかえて笑い続けるライブキング。多摩川にしゃがみこみ、悔しそうに足をバタバタさせるコスモリキッドがまたカワイイ♥


 まだ笑っているライブキングに頭にきたコスモリキッドは、川沿いにあったガスタンクを掴みあげ、ライブキングのデカい腹に向かって投げつけた! 腹の上で大爆発するガスタンク! 腹の中の光太郎も大変だが、スーツアクターも命がけである。本当によくやったと思える。


健一「ZATは何をしてるんだ! 助けてよ!」


 光太郎とポチの身を案じ、ZATに食ってかかる健一。


南原「あっ! 隊長機だ!」


 そのとき空を飛んでくるスカイホエールの勇姿! 搭乗しているのは朝日奈隊長だ!


朝日奈「いいか、光太郎を救いだしたら総攻撃をかけるんだ!」
南原「しかし隊長、どうやって東を助けるんですか!?」
朝日奈「わしだってムダに年をとっちゃおらんよ。四十二歳の知恵を見ろってんだ」


 スカイホエールの機体下部からせり出したドラムから、白い粉末が大量に二大怪獣に向かって噴出された!
 ZAT隊員たちと健一の頭上にもそれは降り注がれた。ただ本編班と特撮班の連絡がうまくいかなかったのか、こちらの粉末は茶色であるのが惜しい……
 一同猛烈なクシャミをあげる!


北島「そうか、わかったぞ!」
南原「何がですか〜?」
北島「怪獣にクシャミをさせて、いっしょに東を飛び出させるんだ!」
南原「なるほどねえ……」


 光太郎を救出するために、朝日奈はコショウを1トン、ZATのツケで買い(笑)、「コショウ作戦」を決行したのである!
 「ハァ〜クションッ!」とクシャミをあげるライブキングの鼻の穴から猛烈な砂塵が吹き上がり、コスモリキッドも青い煙のような咳を口から吐き出す。火炎放射ばかりではなく、こうした凝ったギミックを着ぐるみに仕込む工夫には頭が下がり、CGお手軽光線がかすんでしまう……
 そしてライブキングが何度もクシャミをした末に、遂に鼻の穴から光太郎とポチが飛び出してきた!
 ライブキングの顔を背景に、鼻の穴からそれこそタロウの変身巨大化パターンのごとく、ポチを抱えた光太郎が画面手前に向かって勢いよく飛び出してくる合成が臨場感を醸し出す!
 土手の木の上で隊員たちに「お〜い」と力なく手を振る光太郎、膝の上にはおっとりとした表情のポチ、そして、


朝日奈「どうだ、成功したろ」


 と、ボソッとつぶやく朝日奈。


 なんともユルユル感が漂い、ほとんど緊張感ゼロである(笑)。だが、


朝日奈「東京の街に、足を入れさせるな!」


 と隊員たちに命じたごとく、ここから二大怪獣とZAT、そしてタロウとの死闘が展開されるのだ! このメリハリの強さこそが『タロウ』最大の魅力のひとつかと。


 あいかわらず猛烈なクシャミを続けて苦しむ二大怪獣にZATが決死の攻撃をかける!
 空からはスカイホエールが赤いレーザー光線を発射、地上からは隊員たちがZATガンで一斉砲撃、南原隊員は燃料が大量に詰まっていると思われる銀色のランドセル状のタンクを背負い、スーパーナパームで火炎攻撃だ!


 そのとき多摩川に架かる鉄橋を新幹線が通りかかった。クシャミが止まらずに頭にきていたコスモリキッドが鉄橋ごとそれを多摩川に叩き落とす!
 まあ普通に考えたら、大雨や大雪で運転を休止してしまう新幹線が、二大怪獣が出現してかなりの時間が経過しているのだから運転されるはずがないのだが〜笑・80年代初めの漫才ブームの頃、ビートたけしが「雪でも新幹線停まるのにどうしてゴジラで停まらないんだ」なんてネタを披露していたものだ〜、実はこの前後編、多摩川が舞台ってことであまり派手な都市破壊が見られないため、サービスカットとして鉄道破壊が描かれたのだと考えたい。
 もっとも今回のミニチュアは『A』第37話『友情の星よ永遠に』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070114/p1)で鈍足超獣マッハレスに破壊された新幹線(特殊技術は川北紘一)に比べ、やや出来は劣るような感じだが。


 そしてライブキングは多摩川から街に向かって進撃を開始する!
 それを阻止せんと、光太郎は対怪獣用の大型砲である「無反動砲」(『ウルトラマン画報 上巻 −光の戦士三十五年の歩み−』竹書房 02年10月4日発行(ISBN:4812408881)の中において、そう命名されている)を抱え、ライブキングを追撃!
 だがライブキングは口から猛烈な火炎を吐いて光太郎を襲った! 光太郎の周囲で次々に爆発炎上する火炎弾!


光太郎「まだまだ、負けないぞ!」


 燃え盛る炎の中で、光太郎はタロウバッジを高々と宙に掲げ、ウルトラマンタロウに変身! ゆるゆるムードで始まろうが、こうしたヒロイズムは決して失われることはなく、むしろ余計に輝きを放っているのである!


 華々しく登場したタロウに対し、コスモリキッドとライブキングが双方から突進! だがタロウは素早く前転してこれをかわし、二大怪獣は正面衝突!
 タロウはライブキングにパンチの嵐を見舞い、その勢いでライブキングは多摩川の上にひっくりかえる!
 それでもまだ笑っていたライブキングがタロウに猛烈な火炎を浴びせる! タロウは宙に舞い上がり、三段飛びでこれを逃れた!
 この様子を見ていたコスモリキッドがタロウに思わず舌なめずり(頭部のみのギニョールを使用し、口からベロンと舌を出し、口の周囲を舐め回すという芸コマな描写!)を見せ、着地したタロウの首を長い舌でからめとった!
 多摩川にブン投げられるタロウ! そしてライブキングがその巨大な足でタロウの左腕を踏みつけた! 起き上がろうとするタロウの足に、コスモリキッドが長い尾で一撃を加える! タロウを挟んでどつき回す二大怪獣! タロウが逃れ、勢いあまって河岸の建物の上にひっくりかえるライブキング!
 やっとの思いで態勢を立て直したタロウは、


タロウ「ウルトラ、フリーザー!」


 と叫び、水平に伸ばした右腕を一回点させ、両腕から青い冷凍光線を二大怪獣に向けて放った!
 荒垣副隊長がスカイホエールの朝日奈隊長に向け、「パンチ弾攻撃」を要請した。液体怪獣の打倒策として、光太郎が「冷凍してコチコチにして強い圧力を加えれば」と進言していたからである!
 スカイホエールの機体下部からブラ下げられた、トゲに被われた黒い鉄球が氷漬けのコスモリキッドに一撃を加えた! 遂にバラバラに砕け散る液体大怪獣!
 個々の怪獣の特性を正確に分析した対怪獣作戦は、「コショウ作戦」に続いてここでも成果をおさめたのだ!


タロウ「ストリウム光線!」


 遂に伝家の宝刀を放つタロウ!
 ライブキングは大笑いをあげながら爆発四散! だが再生怪獣という特性から、この場面はスローモーションと逆回しを用い、爆発して吹き飛ぶ破片が何度か元に戻ろうとする様子を表現するという、実に凝った試みが成され、思わず脱帽である!
 そしてひとつの破片が神社の境内に吹き飛ばされる……


南原「タロウとZATが力を合わせりゃザッとこんなもんよ!」
西田「しゃれてる場合じゃないでしょ! 東隊員を助けなきゃ!」


 あまり脱線に走らないよう、ちゃんと抑えも効いているのである。西田の方が南原より年下なのだが(笑)。


 左腕に重傷を負って包帯を巻かれ、頬に紫色の鋭いキズを負った光太郎は、パジャマ姿で白鳥家のベッドに寝かされていた。胸元に白いフリルの付いた赤いワンピース姿で現れ、心配そうに光太郎の顔をのぞきこむさおり。
 そして外では健一がポチと戯れながら……


健一「ポチ、僕といっしょにウルトラの星にお祈りをするんだ。光太郎さんの傷が早く治りますように。それから、穴の怪獣をやっつけてくれて、ありがとうございました。それから、え〜と、新学期はオール3になるように頑張ると、お母さんの星に伝えて下さい。でも本当は一番、光太郎さんの傷が治りますように……」


 前作『A』第29話『ウルトラ6番目の弟』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061120/p1)において、北斗によって「負けるもんか!」と思ったときに見える星だとされたウルトラの星。「今度こそ必ず勝ってみせるぞ!」と闘志を燃やす光太郎の勝利を信じ、ライブキングの腹に閉じこめられた光太郎の生還を信じ、そしてオール3になるように頑張ると宣言する健一の目には、やはりウルトラの星が見えていたのである!?


 光太郎の額に置かれたタオルを手に取り、汗を拭ってあげるさおり。枕元には光太郎の母のモノクロ写真が写真立てに入れられ、飾られていた。


さおり「光太郎さん、元気出して」


 献身的に看病し、光太郎を元気づけようとするさおり。だが光太郎は夢の中で、別の女性の声に励まされていたのである……


ウルトラの母「光太郎さん、元気を出しなさい。あなたの傷は、自分の限界を超えようとする努力の結果受けた傷です。そういう傷はすぐ治ってしまいますよ。いいこと、光太郎さん、やりかけたことは最後までおやりなさいよ」


 燃え盛る太陽の中に浮かび上がるウルトラの母のシルエット(ちゃんとウエストがくびれているのが秀逸!)、それは大きくなるにつれ、ウルトラの母のバストアップへと変わった。やがてそれは消えていき、『ミラーマン』(71年)のオープニングタイトルや、『ウルトラマンレオ』(74年)において、MAC(マック)のモロボシ・ダン隊長がウルトラ念力を発する際に使用された、七色の光の輪が舞い踊るイメージ映像となる。
 「ウルトラファミリーの設定がウルトラマンから神秘性を奪った」などと主張していた旧世代のマニア連中は、こうした実に神秘的な映像表現に対する感受性がゼロだったというほかにないのである。


光太郎「お母さん!」


 思わずさおりの手を取る光太郎。「やった!」とばかりに幸せ絶頂の表情になるさおり!


光太郎「きれいだ……(目を開け)なんだ夢か」


 天にも昇る絶頂から奈落の底に突き落とされ(笑)、むくれた表情になるさおりがカワイイ。マザコン男を世の女性は嫌うものだから、絶対に夢のことをさおりに話しちゃいかんぞ。見ているこっちがヒヤヒヤするわい(笑)。


 一方、夜の神社の境内に怪しい気配を感じた健一が、地面に空いた穴に耳を近づけるや、「ウヒャヒャヒャヒャ……」という不気味な笑い声を聞きつける。やがて穴は砂に埋まり、何か不気味なものが地面に痕跡を残しながら地下を進み、ニワトリ小屋に近づいていく。小屋の中の地面に穴が開き、次々とニワトリが地下に吸い込まれる!
 一転してホラー演出の極みとでもいうべき怪奇描写!
 実際『タロウ』初期登場怪獣を見ると。超獣オイルドリンカーをも腹の口から吸収してしまった宇宙大怪獣アストロモンス、人間を常食とし、液体化して移動する能力を持つコスモリキッド、自分の卵を食べた人間たちの全身に不気味な亀甲模様を浮かびあがらせ、彼らに復讐を果たそうとする大亀怪獣クイントータスといった具合に、怪獣というより妖怪に近いような怪奇色濃厚な奴が多いのである。
 第2話評でも書いたが、それらをストレートに映像化したら、とてもこわすぎて観ていられるものではない。従ってそれらをオブラートに包むような形で、コミカルな味わいや青春路線を導入し、怪奇色をやわらげようとしたとは考えられないであろうか?


 実際69年から70年にかけて円谷プロが製作した『恐怖劇場アンバランス』(07年7月27日にデジタルウルトラプロジェクトからDVDが発売・ASIN:B000PGVH3I)は第12話『墓場からの呪いの手』(ASIN:B000Q365M8)など、初期製作話の怪奇描写があまりにこわすぎ、スポンサーがつかずに放映が『タロウ』放映直前の73年1月までオクラ入りになってしまったものだ。
 大人向けに製作された作品でさえ、そういう扱いを受けたのだから、あくまで「子供向け」である『タロウ』の怪奇表現に円谷が慎重になってしまったのも当然である。
 そうした事情も把握できずに、「企画書にあった怪獣の怪奇表現の強調は完全に投げ出された」だの、「不必要なドタバタばかり」だのとかつてマニアが『タロウ』を評した件に対しては「笑止千万」というほかはない。作品を「ドタバタばかり」で埋め尽くさねばならないほど、『タロウ』登場怪獣の本質はあまりにこわすぎるものなのだ!


朝日奈「なに、怪獣が再生した? 東、おまえ傷がひどくてボケたんと違うか?」


 こうしたとぼけたセリフを入れねばバランスがとれないほど、夜の境内におけるライブキング再生の演出があまりに怪奇性に満ちあふれているということなのである!


 都内のあちこちで健一が聞いたのと同じ不気味な声が聞こえ始めた。工事現場、橋の下、ほら穴と、周囲に大量のやじ馬役のエキストラを動員する中で、ZATが調査を行う描写がリアリティにあふれて実に良い。
 そしてZATは豚やニワトリを大量に用意し、造成地でライブキングの出現を待つ「おびき出し作戦」を決行する! ライブキング接近を知らせる大型スピーカーから、例の人を食ったような笑い声が響き渡る!


北島「この声聞いてるとこっちの頭がおかしくなってくらあ!」


 頭をかきむしりながら悲鳴をあげる北島のセリフが実感がこもって実に良い。それほどライブキングの笑い声はあまりに不快なものなのだ!


西田「出たあ〜っ!」


 第2話でも用いられたが、この際もライブキングの出現はオープン撮影で地下から着ぐるみがせり出してくる手法であり、臨場感に溢れている!


 コンドル1号、ラビットパンダのバズーカ砲、そしてZATガンの一斉砲撃! ライブキングの腹が炎上(ホントにスーツアクターも命がけ!)、腹に開いた風穴から白い煙が吹き出した!(多彩なギミックに思わず脱帽!)
 カエルのような大きな手をバタバタさせ、やはりカエルのようにピョンピョン飛び跳ねながら、ライブキングが光太郎に迫る! そして攻撃でひっくり返ったライブキングが東を押し潰してしまった!
 6万5千トンの体重に押し潰されたら生きていられるはずがない(笑)。が、そういう細かいことは置いといて、必死に逃れようとする光太郎を描き、絶大な危機感と緊迫感をあおることが重要なのである!
 コスモリキッドの舌に続き、ライブキングの実物大のブツブツとした体の一部が用意されたことが絶大な効果をあげる!
 そのとき空の彼方から……


健一「ウルトラの母だ!」


 地球人の前に姿を見せるのは今回が初めてのはず。健一なんで知っとんのや〜!(笑) だが、そんなことよりも健一に抱かれたポチがウルトラの母に尊敬のまなざしを向けていることに注目してしまう! 夜の境内の地下に潜むライブキングを察知し、吠え立てていたポチのことだ。ウルトラの母が人類の味方であることをすぐに理解したのである!(つーか、ホントに芸達者な犬や・笑)。


 光太郎を救うため、ライブキングをどかそうとする母。ライブキングに潰されそうになっている光太郎の背景に、母の顔が合成されたカットが臨場感に溢れて絶品だ!
 遂に脱出に成功した光太郎は左腕の包帯をほどき、ライブキングが火炎を吐き出す中でタロウに変身! ただこのときは無言であり、のちの「タロウ〜!」の叫びも確立されていないため、この回で唯一惜しまれる場面である。
 空中からライブキングにキックを浴びせるタロウ! 顔と腹にパンチの嵐を浴びせるが、ライブキングは卑怯にもその鋭い爪でタロウの左腕を徹底的に痛めつけた!
 タロウを投げ飛ばし、火炎を浴びせるライブキング!
 愛する息子を守るため、火炎に立ちふさがるウルトラの母! そしてライブキングはタロウにのしかかり、やはり左腕を中心にその怪力で攻撃の手を加える!


ウルトラの母「マザー、光線!」


 左腕のブレスレット状の青い部分に右手を当てたあと、まっすぐ伸ばしてピンク状の光線をタロウの左腕に照射するウルトラの母。痛んだタロウの左腕はたちまちのうちに完治し、ライブキングに反撃を開始! 鋭い爪と怪力で襲いかかるライブキングにひざ蹴りを食らわして投げ飛ばした! そしてストリウム光線発射の構えを見せるが……


健一「ダメだ! ここでバラバラにしたら、また怪獣になっちゃうぞ!」


 うなずいたタロウはライブキングを宇宙に運ぼうとするが、あまりの重さに足が地面にめりこんでしまう(芸コマ!)。ウルトラの母も協力し、二人はライブキングを持ち上げたまま宇宙へと跳び上がる!


朝日奈「またしても、やられたな」


 宇宙空間でライブキングをロング映像の画面左右斜め対角線に真ん中で挟んでタロウがストリウム光線、ウルトラの母は右腕から発する黄色いリンク状の光線・マザー破壊光線をライブキングに向けて放った! 爆発四散し、遂に再生不能となったライブキング。
 ウルトラの母に勝利のVサインを見せたタロウは、ウルトラの星へと帰還するウルトラの母に手を振って見送ったあと、地球へと戻っていく。そのあと、ウルトラの母が思わず振り返り、タロウを見つめる描写が親子の絆の強さを強調する、秀逸な演出となっている。


健一「光太郎さん、まだやるの? 大丈夫?」
光太郎「君との約束を果たしに行くんだ。俺にとっては大事なことなんだよ」


 青系のボーダーシャツに白いパンツ、赤いジャンパーを羽織った光太郎が、再度ボクシングジムに挑戦しに行く。前回の際にも姿を見せた老紳士が光太郎に声をかける。


老紳士「君は確か東くんといったね。なんでもZATの隊員じゃそうじゃないか。ZATでもボクシングが役に立つことがあるのかね?」
東「いえ、ボクシングは自分のためにやってるんです」
老紳士「ボクシングもね、人生と同じなんだよ。チャンピオンになってもいつまでも戦い続けなければならないんだな。楽しみにしてますよ、東くん」


 再びリングにあがり、勝利をめざす光太郎!


健一「ジャブジャブ、ストレート! 光太郎さん、がんばれ〜っ!」


 リングサイドで勝利を信じる健一を背に、白いランニングに白いパンツ姿で、赤いグローブを構えた光太郎の爽やかな姿がストップモーションとなり、エンディングで多用された青春ドラマのようなBGMとともに物語は大団円を迎える。


 光太郎と健一、タロウとウルトラの母の強い絆を主軸にし、本格的怪獣映画、ホラー演出、コミカル路線、青春ドラマと、多彩な味わいに満ち溢れた超一級の娯楽作品である。こうした作品はストーリーの整合性とかではなく、随所に散りばめられた緻密なディテールの巧みさや、全編に溢れた勢いといったものこそを楽しみたいものである。
 随分前の同人誌だったと思うが、『ウルトラセブン』をフランス料理のフルコースに、『タロウ』を幕の内弁当に例えた文章があった。セレブの連中はきっと幕の内弁当をバカにするであろう。だがフランス料理も幕の内弁当も、双方共に味わい深いものであることに変わりはなく、優劣を決められる問題ではないと思うのである。庶民の代表として、筆者は今後も「幕の内弁当」の魅力について、セレブの連中にも理解してもらえるよう、語っていくつもりである。


つづく



<こだわりコーナー>


*ボクシングジムで光太郎に声をかける老紳士を演じたのは作家の故・寺内大吉。『野獣になるんだ』(桃園書房・73年)、『男の生きざま 強靭な精神をつくる24の行動学』(KKロングセラーズ・79年3月・ASIN:B000J8IX5W)など、光太郎が好みそうな著作もあるが(笑)、『念仏ひじり三国志 法然をめぐる人々』1〜5(毎日新聞社・82年10月〜83年8月・ASIN:B000J7J1CMASIN:B000J7HNBSASIN:B000J7GBZCASIN:B000J7EUGYASIN:B000J7CWB4)、『心のやすらぎを求めて 日本人と仏教』(みくに書房・83年・ASIN:B000J7BBTS)など、仏教関連の著作を多数残している。
(編:寺内大吉氏は、08年9月6日、心不全で逝去されました。享年88歳。合掌。小説の代表作としては、『化城の昭和史―二・二六事件への道と日蓮主義者(上・下)』(88年・毎日新聞社ISBN:4620103489・96年に中公文庫・ISBN:4122027179)になるかと思います。)


*今回のZATの戦闘を見ると、朝日奈隊長がコンドル1号やスカイホエールにひとりで搭乗し、他の隊員が全て地上攻撃というパターンで貫かれている。
 これは朝日奈隊長を演じた故・名古屋章のスケジュール調整が難しく、他のレギュラーとの共演やロケに同行することが困難だったための苦肉の策かと思われるのだが、逆に「頼もしい隊長」との印象が強く残る結果となった。


*ライブキングが出現した際、南原が吸っていたタバコを投げ捨てる描写がある。その昔は『太陽にほえろ!』(72〜86年・日本テレビ東宝)などの刑事ドラマにおいて、張りこみをしていた刑事が容疑者が姿を見せるや、タバコを投げ捨てる描写が散見されたものだが、「嫌煙権」が異常なくらいに幅をきかせた現在においては、作品内でタバコを吸う描写自体がタブーとなっている感がある。西田が南原を「タバコさかさま〜」と大笑いする場面なんか大好きなのだけれど。
 ただ飲酒にしてもそうだが、子供のころはそうした描写を番組内で観て、大人になることへの憧れ(笑)を抱いたものだけどね。健康志向も結構だが、みんなが長生きするようになって高齢化社会を迎えたからこそ、様々な問題が噴出している訳で。ヘロヘロな人生送ってきた者にとっては長生きしていいことあるのか? と真剣に思うし(笑)……と、キーを叩きながら煙をくゆらせる筆者である。



<はみだしコーナー!・『ウルトラマンA』追加情報>


 07年7月26日にテレビ朝日系列で放送された『スーパーモーニング』の1コーナー、「ニュース・テンポアップ」に、『ウルトラマンA』でTACの美川のり子隊員を演じた西恵子さんが出演した!
 老舗百貨店・三越伊勢丹資本提携の件を報じた際、東京・日本橋三越前で、街頭インタビューに答えた人の中に西さんがいたのである!
 西さんは現在日本橋で喫茶店を経営していることから、三越に通っていたとしてもなんら不思議はなく、DVDの解説書に掲載された近影にそっくりだったことから、あれは絶対に西さんご本人である!
 ただひょっとしたら、一般人にあまりいい人がいなかったことから、番組のスタッフが元・女優である彼女に依頼した「仕込み」と考えられなくもないのだが……



編:なるほど。見栄えも考慮して……。もちろん、我々オタク族はTVに写っちゃダメだよな(笑)。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2008年号』(07年12月29日発行)『ウルトラマンタロウ』再評価・全話評大特集より抜粋)


『假面特攻隊2008年号』「ウルトラマンタロウ」関係記事の縮小コピー収録一覧
静岡新聞 1973年4月6日(金) TV欄:後7・0新番組ウルトラマンタロウ ウルトラの母は太陽のように(はごろも缶詰、大同薬品提供) 〜#1を大々的に紹介・篠田三郎ペギー葉山のバッジ手渡し2ショット大写真
・「ケイブンシャの原色怪獣怪人大百科(第3巻)(昭和48年版)」(1973年)宇宙大怪獣アストロモンス
静岡新聞 1973年3月19日(月) 「新番組の紹介」頭に二本角、太陽バッジで変身、「ウルトラマンタロウ」、一層SF的に
・読売新聞 1973年4月27日(金) 「てれび街」人気上昇中のウルトラの母 〜想像図募集に10万通、4割が女児
静岡新聞 1973年3月26日(月) 最新武器持ち、奇想天外の特撮 〜怪獣にしがみついたり和製アラビアンナイト
毎日新聞 1973年4月5日(木) 木曜の夜は 金曜の夜は 〜TBS73年春の新番組広告・7〜10時台全てドラマ
静岡新聞 1973年4月6日(金) TV欄「超能力を持つ」 〜タロウ#1紹介記事


[関連記事] 〜ウルトラの母・登場編!

ウルトラマンメビウス序盤10話! 総括5 〜#9「復讐の鎧」、#10「GUYSの誇り」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060706/p1