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「げんしけん」&「ヨイコノミライ」 〜2大ヌルオタサークル漫画を読む!

『げんしけん二代目』 ~非モテの虚構への耽溺! 非コミュのオタはいかに生くべきか!?
『トクサツガガガ』(TVドラマ版)総括 ~隠れ特オタ女子の生態! 40年後の「怪獣倶楽部~空想特撮青春記~」か!?
『怪獣倶楽部~空想特撮青春記~』に想う オタク第1世代よりも下の世代のオタはいかに生くべきか!?
『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』 ~連載8年目にして人気再燃の理由を探る!


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(TVアニメ『げんしけん2』・今秋放映開始記念!)

げんしけん」「ヨイコノミライ」(&「こみっくパーティー」) 〜2大ヌルオタサークル漫画を読む!


(文・T.SATO)
(07年6月執筆)

げんしけん

 (木尾士目(きおしもく)/講談社 アフタヌーンKC)

●オタクサークル漫画を読む〜その1


 02〜06年の4年間強、『月刊アフタヌーン』に連載された大学のヌルオタサークル漫画。全9巻・全55話。
 筆者は04年秋のTVアニメ化で、本作に気付いたクチ。


 オタクサークルと聞いては、筆者にも他人事ではない。


 同系趣味の物書きオタの奇人変人があい集って、そこで初めて息がつけたり、自分を出せたり。
 たとえスミっこにいるだけでも、帰属意識が持てたり。


 一般的な若者の仲間集団にくらべれば、相対的にはテンション低めで、共通趣味が前提だから、不器用・控えめオタにとっても敷居が低くなって、コミュニケーションに踏み出しやすくなるし、そこで小さな対人成功体験も積めて、徐々にリハビリもできたり。
 ヒトによっては、そこでも違和やズレ、時に抗争、人間関係の再編も起こったり。


 M君事件の直後(89年(平成元年)、もう20年弱前・汗)、「真のオタクはコミケにはいない」との漫画情報誌『コミックボックス』誌のカラー記事の煽り文句に、オタクバッシングへの反抗でも、何という低次元での反発。
 コミケに行けない、サークルにも所属できない気後れや引っ込み思案(オレ〜汗)、絵や文を書けないオタへの配慮のなさ、彼らを切り捨てることで自らを擁護せんとする浅ましさに不快感を禁じえなかったあの日から、オタクサークルとオタはどう生くべきかは、筆者の終生のテーマなのだ!(笑)


 筆者の周囲では、TVアニメ『げんしけん』(ASIN:B0006B2C2W)よりTVアニメ『こみっくパーティー』(01・ASIN:B00005L8UH)を高く評価するオタが多い(どんな周囲や・汗)。
 理由は前者が消費者、後者はクリエイター志向だからだそうな。筆者には批評・感想や二次創作やることも、消費の一種・変種にしか見えないが。


 オタのダメさやキモさへの客観視や葛藤がない、キャラが即売会の客を含めて美形ばかりで、オレらの姿はあのデブや痩せのイヤミキャラなのに……と、同人の美点だけを描く『こみパ』に偽善と欺瞞を感じ、大仰なハリウッド調感動BGMと東京ビッグサイトの絵もツボにハマって、コレはネタアニメかと、筆者は大笑いしながら観てたものだけど。
 まぁ美少女(ポルノ)ゲームのエロ抜きTV版の微温世界に、それを求めるのがナンセンスなのは百も承知だが。


 で、そんな不満を抱いていた筆者に『げんしけん』はまさに溜飲が下がる作品だった。


 新入生サークル勧誘。オタクサークルに所属せんと説明受けたいのに、未知の集団に怖気づき話しかけを躊躇する主人公。
 所属したのに仲間オタと同類に見られたくない微妙な心理*1
 痩せの銀縁メガネの薀蓄(うんちく)オタに、オールバックちょんまげで剃り残しアゴヒゲの温厚無骨オタ、そしてヌボーッとした朴訥吃音デブオタ君。
 オタク第2世代から見た第1世代みたいな、アカ抜けない天パ長髪の初代会長(第3世代から見た第2世代?)。


 輪郭茫洋、周囲の空気・空間もドヨ〜〜ンとゆがんだ、TVに写っちゃイケナイ、唐沢俊一いわく「我々には負のオーラが漂っている!」を体現したような、いるいるあるある度の高さ!
 アイテムに美少女ゲームが加わっているのは隔世の感だけど、筆者ら中年オタの時代のメンタルと大差はナイなと。


 もちろんオタクサークルのリアリズム一辺倒ではなく、イケメンオタやそのノンオタ彼女という異分子も放り込む。
 筆者はリアル至上主義ではないし、リアルだけでは煩雑だったり物語も動き出さない以上は、異物や非リアルや他者の価値観・視点をも投げ込んで、事実よりも真実。事物にオタの特徴・実相・陰影をウキボリにしていく手法にも大賛成だった。


 部室でのTVアニメの脚本・演出の合評は、我らの似姿を見るようで不快との声も一部聞くが、自己相対化されてコケコッコー。筆者も含めて、特権的な超越・絶対の立場&視点なんてあるワケない。


 コレだ! と思いつつも、TVアニメ版後半はその輝きが失速。
 消費だけのヌルオタが、素養や内的うずきもないのに同人誌を作ってコミケに参加しようという、それはナイだろ的オチになる。


 しかし何かがあると直観が働き、昨06年の完結を契機に原作を読破した次第。……いやあ読んでよかったよ。


 TVアニメ版前半は原作に忠実。後半の不備は、原作22話までをTV12話分に強引に消化したためだったと判る。
 しかしTVアニメ化されてない原作後半は、筆者が期待したダメオタの生態や葛藤を描く物語からは逸脱していった。
 逆にオタの願望を悪い意味でストレートに描いたフィクションと化していた。いつもの筆者ならバカにするところなのだが……。


 ヤラれた! コレは切ない、温かい、悲しい、喜ばしい、美しすぎる!
 今秋、TVアニメ版も続編が放映されるそうだが、多少明かしても原作に力があると信じるので云うけど、物語は新加入の下級生、いわゆる「トラウマ少女」(腐女子だが・汗)の心をオタサーメンバーらが救う展開へとなっていく。


 まぁ特撮変身ヒーローものオタの筆者が、ベタな物語をキラうのも矛盾した話だが、オタが少女を救う(実は少女に癒されたい)ベタな願望は、その気持ちも判るけど(笑)嫌悪があるワケだ!
 しかしオタのダメさを描く前段があったゆえか、描き方が手順をしっかり踏んでいてていねいであったゆえか、本作の弱小少人数サークルのオタらは何だカンだ云っても人間関係や人情や周囲の蔑視の空気が読めるオタであるゆえか(でなければ微量にある人間関係の変遷ドラマも進展しえなかった。メインオタたちの善性が強調されるにつれ、畸形さは新加入の下級生男子が担うようになっていく)、少女のトラウマが、そしてそれに対するメンバーの動揺や奮起や躊躇や心意気が、筆者を泣かせてくれるのだ。


 それもベタな反応? 悪かったな! せいぜい酔い痴れてやるゼ!(通勤電車の中で思わず不覚にも落涙、最終間際の巻をゆっくり二読三読してしまった筆者)
 思わず、ツンデレトラウマ腐女子荻上さんや、巨乳コスプレイヤー腐女子・大野さんに刺激されて、筆者の心に「腐女子萌え属性」が開発されてしまったではないか(笑)。


 しかし物語としては美しく落着するも、それゆえオタの畸形さを描く試みは、頓挫したといえるのも事実。


 (オタクサークル漫画を読む〜その2につづく)

げんしけん DVD-BOX 1

げんしけん DVD-BOX 1

げんしけん DVD-BOX(2008年・廉価版)

げんしけん(1) (アフタヌーンKC)
げんしけん(8) (アフタヌーンKC)
げんしけん(9) (アフタヌーンKC)


ヨイコノミライ完全版

 (きづきあきら小学館 IKKI COMIX)

●オタクサークル漫画を読む〜その2


 03年秋からぺんぎん書房でWEB連載。
 05年秋に書房倒産により中断するも、昨06年夏〜秋に小学館での再刊&書下ろしにて無事完結。全4巻・全28話。
 (旧題は、「!」(エクスクラメーション・マーク)付きの「ヨイコノミライ!」)


 『げんしけん』と『こみパ』以外にもオタサー漫画がないかとネット検索をかけたら、あるわあるわ……。


 その中でも最大の話題作である本作。
 大抵のことにはダマされないぞノせられないぞと思っている筆者だが、あの『げんしけん』を上回る衝撃を早くも受ける。
 『げんしけん』で間違って開発されそうになっていた(笑)、筆者の甘ったるい「腐女子萌え属性」も消し飛んでしまった作品。
 オタの畸形さ・フリークぶりを逃げずに描いた作品がここにあった!


 まぁもっとスレたヤツらからは大したことない、露悪芸だ、『げんしけん』と同列に語るべきじゃないとの意見も聞くけど、知ったこっちゃない。コレぞリアルげんしけん、裏げんしけん、もとい黒げんしけん、カタストロフするげんしけん


 小成に甘んじて、自分をまんざらでもないと思ってる自我が肥大したオタどもは、コレを読んで悶死しやがれ!
 あぁ死にたくなってきた(笑)。劣等感の傷口に塩をなすりつけられて、イタ気持ちイイ! クセになりそう。
 筆者はこーいうのがスキだ!


 物語は高校の漫研が舞台。
 やはりアニメのオタ話がもっぱらの消費者集団に、1年なのに部長を押し付けられたサラサラ髪のさわやか銀縁メガネくんが部誌を作らんと発案(オタだが小学時代にサッカーしてた設定で他の部員に関わる能動性を担保)。
 ノリ気でない部員たち。しかし偶然から、保健室の姫であるクールな爆乳美人女高生がそれを知り、1人数頁分の部誌のアイデアを部長に進言。
 それなら出来るとヤル気が出てきて目も輝いて夢に燃える部員たち。しかし爆乳女高生はそんな彼らの自尊心と劣等感にカマをかけて弄び、潰していかんとするのだった……。


 部員たちのダメさ加減が強烈。オタのダークサイドの結晶!


 ネットの掲示板で空気読まずに論争しちゃって、アク禁(アクセス禁止)くらってもネット喫茶で続けちゃう自信満々ロン毛のイヤミな評論オタ。
 逆にオドオドビクビク自信なさげで得意もなさそでオタ集団でも目立てないウスいオタ。


 そのまた逆に自信満々アニメ声で甘えてしゃべるアホ毛のナルシス美少女オタ。
 やおい・BL(ボーイズ・ラブ)じゃない、自分が書いてるのは文学だ! とそのときだけは強弁する中性クールなショートカットのボク女


 黒髪黒メガネのジミ子ちゃんは前世心霊やおい少女。
 その親友はゴスロリデブの少女部員!


 『げんしけん』と違って、自分のスキな話には相手の都合も構わずムキになる空気の読めないオタ率高し!(笑)


 絵柄は半昔前のオタ同人絵(?)といった感で、序盤は部員の絵的描き分けもウスく(下手?)、ツカミに弱い感もあるが、話数が進むに従い筆致も流麗になっていく。


 『げんしけん』でもエロゲー買いにアキバに向かう電車でオタらが、ヤリコン後の金髪ギャル男らの会話に沈黙する対比があったけど、本作でも画材を買いに街で待合せする部員らを外部から見る視点も忘れない。


 「何あのデブ」「怖えよ」「ダッサァ〜」「きんもーっ☆」。


 あぁ本誌ライター陣とコミケ帰りに電車で移動する際、これらの声を何度聞いたことか。
 エッ聞こえてない? そりゃ幸せなこった(笑)。
 だからって卑屈にしたり小さくなる必要もなし、小さなイジメもオッケー的なノリを肯定する気は毛頭ないけれど、場をわきまえて小声でしゃべるなり、作品名は略称を用いたり、電車で同人誌を開かない配慮は必要だよネ。


 前提や価値観・価値判断が異なるのに、相手との距離や違いを手探ってスリ合わせたりせず、平気で滔々と自分の意見をさも普遍であるかのように相手に語るヤツ。自分の見識ではなく著名人とのコネ・血縁を自慢する古代・中世的メンタリティなヤツ
 (つまりは近代的合理人ではない、前近代的・ムラ世間的メンタリティの御仁っていうこと)。


 人間的な会話のキャッチボールや、そのヒト独自の見識による批評性ある会話ではなく、情報・薀蓄のみを話すヤツ(しかも、速報性に優越感をいだいて相手をオトしめ悦に入ったり)。2ちゃんの短文カキコ(書き込み)にも劣る短文でも大家気取りのヤツ。いつの時代も一定数いて絶えないよナ。


 本作でも周囲の視線に気付くオタ、気付かないオタの対比や、逆に差別されるだけの存在ではなく、オタによる創作志向のない一般ピープルへの逆差別視線も描かれる。
 オタ同士でも妬みや僻(ひが)み、女オタなら内心反発でも表は同意、共依存、友が才能を発揮すれば嫉妬に狂い友情は破綻する。


 しかしコップの外はもっと嵐。
 クラスに戻れば、弁当友達もなくギャルに疎外され、デブは身の程を知ってて異性を諦めてて。
 あぁ各キャラの境遇すべてに身に覚えが……(汗)。


 時に女の武器でコナもかける爆乳女高生(……こんな娘に惑わされてみたい、火遊びしたいと実は筆者は思ってもいるが・笑)。
 しかし部員もバカなだけではない。彼女の正体の一端を時に見透かし、彼女の心理や実存を揺るがせもする。


 さらに努力を凌駕する才能の不条理も。
 爆乳女高生による才能&努力のないオタへの憎悪。彼女の破壊願望・近親憎悪は、筆者にもよく判る。
 でも、もっと高い境地から見れば、この歳でこの程度なんだから筆者も大したことはナイしなあ。
 今後はオタ友たちにもやさしく接しよう!(笑)


 もちろん厳密な意味でリアルかといえば、そーではない箇所もあるし、物語的誇張もあるのだが、それが悪いということではなく、物語なのだから積極的にそれでよい。
 それでもある種のリアリティがなぜか醸されるのは、我々のような理性的、もとい弱気で抑制的なオタたちが、実際の言動に移して実行・表明するかはともかく、人生の途上のいつかどこかで、心の中で思った考えた感じた心理や妄想を、劇中人物たちが愚かしくも実際に演じてしまうことに、それが現実的であるかはともかく、心的にはリアリティを感じるからにちがいない。


 筆者も仮に作家になれていたら、こんなドロドロした三角四角五角形その対角線の人間関係、そしてオタの葛藤とダークサイドを描破した物語をつづってみたかったと切に思う。
 とにもかくにも、多くのオタに読まれてほしい異色名作漫画だ。


※IKKI COMI「X」は、COMI「CS」の間違いではありませんので……為念。

ヨイコノミライ! (1) (Seed!comics)

ヨイコノミライ! (1) (Seed!comics)


ヨイコノミライ完全版 1 (IKKI COMICS)
ヨイコノミライ完全版 2 (IKKI COMICS)
ヨイコノミライ完全版 3 (IKKI COMICS)
ヨイコノミライ完全版 4 (IKKI COMICS)


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.42(07年8月18日発行))

後日付記:

 上記に書いた話を、オタ友だちとの飲み会で開陳したところ、アニメ化間近(07年7月〜・ASIN:B000SQKQTG)の『ドージンワーク』(05年・ISBN:4832275569)というマンガを読むように勧められる。間違って第1巻を読んでしまったが…… コ、コレはオタクサークル漫画じゃなくって、萌え四コマってヤツだろう(汗)。まあ面白かったけど。とはいえ人生は有限なので、他に読みたい本やしたいこともあるので続巻は読まないよ(笑)。でもこの漫画が10刷以上も行ってて、『ヨイコノミライ完全版』は2刷止まりかよ。みんな買ってくれよ。ただしデカい本屋にもなかなか置いてないので、ネット通販で(笑)。


 あと、『ヨイコノミライ』では、高校生の分際で大手エロ同人にまで成り上がってるイケメンオタ、調子がよくってナンパ師でコスプレ少女を食べまくっちゃってるらしい少年部員も出てくる。
 これを見て、筆者はやっぱりオッサンオタだから、約15年前、90年代前中盤の『美少女戦士セーラームーン』(92年)大ブーム時における大手エロ同人に関する、オタ友だちから聞いた挿話を思い出した。
 男性向けエロ同人作家なんつーと、野郎ばかりで女に縁がナイんじゃないかと思いきや、意外や超大手の類いだと、売り子に女性の手伝いがいたり、主宰者のカノジョとおぼしき女性がけっこういたりしたそうな。
 (まあ『セラムン』の場合、男女双方でエロ同人に参入してきたブームだったということもある)
 それで試しに、少し話しかけてみると、けっこう気高いというか、ワタシは大手同人のカノジョやその取り巻きなのよ的な意識が透けて見えてくるような、お高くとまってる気色だったとか(笑)。
 ……一応、付言しておくと、その話しかけた友人は、キミってセーフじゃん的な風貌なので、そこのところで露骨に嫌悪を持たれたゆえ、ということではないと思う。
 オタの世界でも極少数ではあるけれど、バンドの取り巻き少女みたいな現象や自意識の持ち方をしている女のコの例もあった、という歴史的証言でした(なーんて、今でもけっこうあるのかな?)


 ゴスロリ。これも好事家のみなさんがすでにいろいろと分析してらっしゃるとは思うけど、それを参照せずに印象批評の憶測で云わせてもらうと、90年代後半くらいまではチョビチョビと見かけた、コミケにヒラヒラフリフリお姫様系ファッションのピンクハウスの服を着て来場していた一部のお姉さんたちの、21世紀における精神的(性格類型的)子孫なんだよね?
 かつてであれば、お姫様・お嬢様ファッションをして満たされてたような性格類型の女のコや、女性間でのマシンガントークおしゃべりができなくってもオッケーだったような女のコたちが、世間でギャルやクールの方がカッコよくなってくると、そのスタイルやあり方がダサくなったり同性間でも見下されるような風潮ができてきて、それをベタにはできなくなるから、それに代わって、かわいさにプラス黒やチョイ悪(ワル)の意匠・衣装で鎧(よろ)ってバリアを張ってから外界と対峙するような……。女のコも大変ですねえ。


 空気読む・読めない云々(うんぬん)についても……。
 「空気」も、良く云えば前後の文脈を読んでそれに関係ある発言をすることだけど、偽ユダヤイザヤ・ベンダサンこと故・山本七平先生が、『「空気」の研究』(77年・文芸春秋。83年に文春文庫・ISBN:4167306034)にて喝破されていた通り、今風に云うなら悪い意味での日本的ムラ世間な「同調圧力」にも通じるものであり、「空気」が読めてりゃそれでオッケー、てなもんでもないのもたしか。
 でも、空気が読めずに場違いなことを云うか、空気が読めててそれに屈せずあえて異論を云うかは、やはり天と地ほども違いがあるワケで(笑)。


 「空気」が読めずに場違いなことを云う < 「空気」が読めるばかりに「同調圧力」には屈してしまう < 「空気」が読めててあえて異論も云える胆力がある


 以上のような不等式で捉えればオッケー?
 そうそう、だから安倍晋三・前首相は巷間云われる「空気」が読めなかったのではなく、読めすぎてたがゆえに、心身症になってしまったのである。お気の毒に……。
 でも、他愛ないドーでもイイ日常会話やギャグや言葉遊びしてるときには、「正論」云うのはヤボなので、そーいうときにはいくらでも合わせてりゃイイとは思うけど(自戒も込めて・笑)。
 逆に、「空気」読みすぎて臆しちゃって、コミュニケーションになかなか踏み出せないナイーブなオタの問題もあるんだけど、イイ意味での鈍感力を意識的に身に付けて、どうしても出来ないことはアキラめるか割り切って、かろうじて出来ること、小さな成功体験だけを心の中で積み重ねていくしかないですよ〜(対人的な成功体験だけにかぎらず。むしろ最初は対人的な成功体験じゃなくてよい)。失敗は一度、心の中で反省なり認識するだけで充分。過剰に気にしたり、頭の中で何度もグルグル再現、反芻して心を傷つけつづけるのは、合理的・理性的なふるまいじゃないでっせ〜(笑)。
 


 TVアニメ『げんしけん2』(07年・ASIN:B000WGUSM2)は、『1』と同様、今ではベテランで、現在は『獣拳戦隊ゲキレンジャー』(07年)のメインライターも務めている横手美智子センセがシリーズ構成。
 すでに完結した作品だからだろうが、とりあえず現時点放映#2までの段階では、原作の短縮整理は大前提としても、それをそつなくこなしつつ(まあ配分は脚本家だけで決めるものでもなく、監督やら中核スタッフの合議ではあろうけど)、エッセンスはしっかりと押さえた出来になっていると思う。


 いきなり、ツンデレトラウマ少女がもうサークルに入部してるのはどうかと思うけど、『1』と『2』の間に映像化されたOVA全3話(ASIN:B000IZJ17UASIN:B000IZJ184ASIN:B000IZJ18EASIN:B0016MIXHI(2008年廉価版))でアニメ化されてたんですか、そーですか。
 まあその描写が欠けてると、内容がわからなくなってしまうような難解な作品でもないし、『2』で原作ラストまでやるのだろうから(?)、描くべき内容のボリュームに余裕を持たすためにも良しとしましょうか。


 ただ主題歌にかぶる、『ガンダム』+“やおい”もどきの映像はどうかと思うけど(笑)。いや笑えるし、主題歌もどこか80年代リアルロボアニメっぽい女声ボーカルなんだけど、原作を知ってるヒト向けのパロにすぎないし、一見(いちげん)さんにも作品内容を判らせられるよう、偶発的なザッピング視聴で遭遇した層もヒキこんで少しでも拡大・浸透できるよう、もっと大学サークル・同人誌製作活動っぽい映像もインサートすべきなのでは? ジャンルをチョットでも拡大させるよう、多少は他者や外部も意識しないと。もったいない。


 『2』#3でも描かれた、同人屋どうしの同人誌の進呈・交換という麗(うるわ)しい習慣。見ようによっては、未開の土人うしの互酬のような習慣にも見えるが、ここでイキナシ前近代的になるけど、筆者もこの習慣がキライじゃないし、これをイヤがるヒトもほとんど見たことがない(笑・ゼロではないけれど)。
 ただ、アニメの制作会社でデスクワークしてるオタク1.5世代の特撮評論同人の先達A氏によると、寄稿者への進呈や互酬の習慣は80年代〜90年前後まではなかったとも聞く。この発言がドコまで普遍性があるかは不明だが、オタが10〜20代の学生が中心だった80年代、まだ社会人年齢ではなく正規の収入もなく小ガネしかない時代、さもありなんという気がする。そういや、筆者も縁があった老舗のTV時代劇『必殺』シリーズ研究同人誌(86年〜00年代前半)でも、寄稿者ではあっても進呈ではなく購入の形式だったな……(所帯・ライターが多いという事情もあろうけど)。


 ところで、『魔法戦隊マジレンジャー』(05年)終盤の同じく横手美智子センセの筆になる回で、マジブルー・麗(うらら)ちゃんと6人目の戦士・マジシャインことヒカル先生との、動物園での甘〜いデートシーンが描かれたことがあったけど、やはり『げんしけん』終盤にインスパイアされたものだろうと、筆者は勝手に思うことにします(笑)。


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  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961101/p1

書評『電波男』&『嫌オタク流』&『萌え萌えジャパン』 〜『嫌オタク流』肯定評(文・T.SATO)

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070318/p1

*1:「仲間オタと同類に見られたくない」という善くも悪くも複雑・矛盾した心理は、オタク第1世代(60年前後生まれ)にはわかりにくいものかもしれない。イケてるイケてない系のカーストが服飾面も含めて急速に拡大・可視化していくのは80年代中盤(リンス・整髪料・若者男子向け美容院・男性向けファッション誌もこの時期に一挙に普及)。この事態に思春期に直面したのはオタク第2世代(70年前後生まれ)以降からである。ゆえにオタクであることが、趣味の域に留まらずアイデンティティスティグマ(負の烙印)の問題にもなってしまうのは当然なんですな。ちなみに、オタクという言葉が発明されたのは83年だが、85年に夜9時台のニッポン放送のラジオ番組「三宅裕司ヤングパラダイス」で若者間に多少流通し(いるいるあるあるくらいで、若者間のやりとりでこのターム(用語)が使用されはじめたワケではない)、しかして一挙に国民レベルで普及・定着したのは89年のM君事件での報道。物の本によれば、若者間でのカーストの拡大は、欧米先進各国では1940年代にははじまっているとの説も聞くし、高度大衆消費社会化に伴う半ば必然であるならば、カーストを手放しで肯定するワケでは決してないけれど、これを覆していくのは非常にむずかしいことも覚悟・諦観していなければならない。