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ウルトラマンエース3話「燃えろ! 超獣地獄」


「ウルトラマンA 再評価・全話評!」 〜全記事見出し一覧


ファミリー劇場ウルトラマンA』放映開始記念・連動連載!)
(脚本・田口成光 監督・山際永三 特殊技術・佐川和夫)
(文・久保達也)


 「あっ! 空が割れる!」


 そう、今回登場する一角超獣バキシムは青い空を突き破って現れる。山中隊員曰(いわ)く「そんなバカなことがあるか!」(笑)と云いたくなるような現象だが、超獣が異次元人ヤプールによって次元の裂け目から送り込まれてくるという設定をストレートに描いたバキシム登場シーンは強い説得力が感じられる名場面である。
 バキシムによって航空機が撃墜され、それをみすみす逃してしまったことから南夕子隊員は竜隊長に一週間の謹慎処分を云い渡される。「黄色い帽子をかぶった少年が吊橋から手を振るのが見えた」との夕子の証言を聞き、川べりで黄色の帽子を発見した北斗は手がかりを求めて付近の民家にたどり着く。
 そこの老夫婦に北斗は超獣の話をするや「面白いおかたじゃ」(笑)と歓迎されてしまうが、東京にミサイル超獣ベロクロンや古代超獣カメレキングが出現している事実を老夫婦が知らないほどそこは世間から隔絶され、ほぼ廃村状態となっていた。


 高度成長期に人々が職を求めて続々と都会に進出したために当時は全国的に山村の過疎化が問題になっていたころでもあり、老人が歌う民謡(?)をバックに荒れ果てた村の風景を描写するシーンはさながらミニドキュメンタリーといった趣だ。
 ちなみにデジタルウルトラプロジェクトから発売中のDVD『ウルトラマンA』Vol.1(asin:B00024JIU2)の解説書の中で、熊谷健プロデューサーは山際監督のことを「良心的で、学校の先生のような真面目な人なんですよね。(中略)テーマをきちっと捕まえて、それを表現する人なんですよね。娯楽作品ではない、非常に真面目な格調の高い作品を撮る人です」と評している。


 老人に勧められるままに酒を飲んだあとにタックアローを操縦して燃料切れで不時着した北斗はこれまた隊長から一週間の謹慎を食らうが(笑)、あとに村を再調査に来たTAC一同が乗ってきたタックファルコンが怪しい少年によって放火され、搭載するタックアローを守るために北斗はいとも簡単に謹慎を解かれる。
 一方ガラ空きになったTAC本部をバキシムが襲い、夕子は美川隊員の「私の判断で」これまた簡単に謹慎を解かれる。一見無責任なようにも思われるが、TACの状況判断の的確さ、危機管理能力の高さが今回の一連のシーンから垣間見える。
 これまでのウルトラシリーズでは防衛組織の本部は最終回まで襲撃されることがなかったが(笑)、第3話にして早くもTACの裏をかいて基地を襲撃してしまうヤプールの侵略計画の緻密さもさることながら、それに負けじと岸壁が割れて迎撃ミサイルが次々と出現するTAC基地、女性である美川隊員や梶をはじめとする数人の白衣の兵器開発研究員だけで、大砲なみの大きさで先端にストロボが付いたような白銀色のエレクトロガンや地雷でバキシムに立ち向かうさまは実にたのもしく見える。


 なお今回の美川隊員は故障した時限爆破装置の代わりに自分が開発した時限装置を梶に手渡したり、誰も信じようとしない「空が割れた」という夕子の話に対して「私も隊員になったばかりのころは入道雲が超獣に見えたことがあるわ」(その方がヘンや!・笑)などとやさしくフォローしてあげたりとかなりの活躍を見せる。
 まあ本当に大活躍するのは次の第4話なのだが(♥)、竜隊長は彼女と北斗・南両隊員の活躍を誉めたたえ、いつも厳しい山中隊員も「そうですねえ〜」などと同調し(笑)、北斗と南が挿入歌『タックの歌』のインストゥルメンタル(演奏)とそのクロージングをバックにパトロールに出発するラストシーンは実に爽やかな印象が残る。


 それに隠れて見落としそうなのであるが、事件解決のあと美川隊員が警察からの情報として語る「少年とその両親が三日前に東京で謎の事故死を遂げた」という衝撃の事実。息子夫婦と孫が東京に出てしまったことから寂しい毎日を過ごす老夫婦の心の隙間を狙い、バキシムを可愛い孫に変身させて隠れみのとして利用し、役目が済んだらいとも簡単に老夫婦を殺害してしまうヤプールの極悪非道さは決して忘れてはならないところだ。
 それにしてもバキシムが変身した少年が老夫婦に対して放つ


 「子供の心が純真だと思っているのは人間だけだ……(!)」


 という第1期ウルトラや平成ウルトラの子供観とは真っ向から反しそうなセリフ、『チャコちゃん』『ケンちゃん』シリーズ*1を撮ってきた山際監督としては複雑な思いだったのではなかろうか……



<こだわりコーナー>
*少年がTACに追われて逃走するシーンに流れるいかにも70年代的なギターソロは、当時流行していたフォークソングの間奏部分だろうか? バップ『ウルトラマンA ミュージックファイル』(95年・ASIN:B00005H0I1)など、これまで発売されてきた『A』関連のどの音盤にも収録されたことがなく、『ウルトラマンレオ』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090405/p1)に使用された冬木透作曲のギターソロ群とは微妙に曲調が異なるように思われるが、真相をお知りの方はご一報願いたい。


*第2話では主人公・北斗が超常現象に対応し、その想定外の結果から、仲間の信用を失うピンチに陥ったが、本話の前半ではもうひとりの主人公・南夕子が同様の憂き目にあう。冒頭、タックアローから地上の少年へ手をふっていた南隊員のかわいらしい笑顔が、苦境の際には煩悶する表情へと変転している演技の振り幅にも注目。
*夕子の苦境も冷めやらぬうちに、北斗もまた敵の奸計にはめられ、タックアローを飲酒操縦して村の警察の駐在さんに事情聴取までされてしまう(笑)。その際のTACの竜隊長との電話での会話時の北斗の演技が愉快。大人になってから視聴すると、初代マンのハヤタ・セブンのダン・新マンの郷秀樹はハンサムだけれど、厳しく見れば大根役者的な一本調子の演技だともいえなくもないが、北斗星児こと高峰圭二氏の表情や演技のなんと豊かなこと(笑)。


*特撮同人誌『夢倶楽部VOL.8 輝け!ウルトラマンエース』(94年12月25日発行)によれば、少年の影法師が首の長い超獣姿になっているシーンに使用された着ぐるみは、前作『帰ってきたウルトラマン』(71年)第47話に登場した人魂怪獣フェミゴンとのこと。
*『A』の特撮は、それまでのウルトラシリーズで使用されてきた狭いスタジオではなく、東宝でも最も広い(!)巨大な第9ステージで撮影された。天井の高さと広大な富士山麓のセット、各所に点在するTACのビル施設にパラボラアンテナ群、御大・島倉二千六(しまくら・ふちむ)の筆によるとおぼしき見事な富士山のホリゾント、それに見合うボリュームたっぷり見事な造形の一角超獣バキシムの巨大さ(それをエースが巴投げ!)、最盛期の佐川和夫による全ウルトラシリーズ五指に入るかと思われるベストバウトの、光線合戦と怪獣プロレスを魅せまくる特撮演出にも注目せよ!


*第3話にして、第3の変身パターン「ストレンジタッチ!」も披露。被弾したタックアローから脱出した北斗と南が、空中でウルトラタッチ。映像自体は両者が向かい合って前転する通常のウルトラタッチを使用。


*視聴率17.8%


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2006年号』(05年12月30日発行)『ウルトラマンA』再評価・全話評大特集より抜粋)


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  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101224/p1



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*1:国際放映製作の子供向けホームドラマの人気シリーズ。四方晴美(よも・はるみ)主演の『チャコちゃん社長』(64年)から始まり、『チャコねえちゃん』(67年)で宮脇康之演じる弟のケンちゃんが初登場。以後彼が主役となる『ケンちゃん』シリーズへとシフトし、宮脇降板後も二代目・岡浩也が主演となって継続。82年の『チャコとケンちゃん』までに至るロングランとなり、ウルトラシリーズと並ぶTBSの子供向け実写ドラマの看板番組であった。