(ファミリー劇場『ザ★ウルトラマン』放映開始記念「全話評」連動連載開始!)
#8『ヒカリ隊員の秘密が盗まれた!?』
宇宙忍者バルタン星人登場
(作・荒木芳久 演出・安濃高志)
(サブタイトル表記の他、モンスター怪獣ミコノス登場)
(視聴率:関東12.3% 中部13.5% 関西9.5%。
以上、ビデオリサーチ。以下、ニールセン 関東14.2%)
(文・内山和正)
(1997年執筆)
謎のUFOを追ったヒカリは、UFOが開けた穴から出現した怪獣ミコノスに襲われ変身して戦う。
その光景を撮影している謎の男。彼はテレビ局に戦いの映像を売り込み、ウルトラマンの秘密が写されていると告げる。あせったヒカリは男を追うが……
(以上、ストーリー)
バルタン星人の登場は予告編やサブタイトルで視聴前に判っているので、男が星人であることもヒカリをおびきだすつもりであるのも容易に察しがつく。
が、『ウルトラセブン』(67年)39〜40話『セブン暗殺計画(前後編)』の分身宇宙人ガッツ星人が豪力怪獣アロンを使って行なったように、あるいは『帰ってきたウルトラマン』(71年)37話『ウルトラマン夕陽に死す』の暗殺宇宙人ナックル星人が再生ベムスターや再生シーゴラスを使って行なったように、ウルトラマンジョーニアスの戦力を分析するためにミコノスを使ったのかと思ったら、単におびきだしフィルムを作るためだった。
ある意味アロンよりも可哀想な怪獣といえるかもしれない。まあ、どっちも可哀想か?
採取した様々なエネルギーを使って、仕掛けをこらした家でヒカリを殺そうとするあたりの描写は、鹿の首の剥製の絵がリアルタッチであったりしてなかなか魅力を感じた。
科学警備隊のマスコットロボット・ピグでさえ探知できなかったため、ヒカリのUFO目撃が信じられないというあたりは、直前の7話『攻撃指令 目標はピグ!!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090613/p1)でピグの探知能力の優秀性が描かれていただけに(脚本家が意識して書いたかは不明……おそらく意識していないのだろうが……結果的に)、より重大さを感じさせる。
おびきだしの方法がマスコミを利用して正体を公表するのではないかと、ヒカリの不安を煽るものなのが巧妙。
世間の人々にウルトラマンの戦いを興味本意に見てほしくないとの科学警備隊の感情や、隊員目当ての罠ではと推測して、戦いの場所の山岳地の調査や登山者の調査(普通の人が撮影できる場所ではないため)を部下に命じるアキヤマキャップ(隊長)の指揮者ぶりなど、ディティールがわりと描かれているのが良い
(調査の結果に説明不足の部分もあるのは残念だが)。
ヒカリのピンチを隊員たちが救い、そのあとで彼らはストップ光線(正式名称不明……初代バルタンも使った能力)で動きを止められてしまい、ヒカリが変身して一人戦うというのはヒーローと防衛軍の関係の諸相を描くヒーローものの理想パターンのひとつといえるかも。
※:製作No.9『恐怖の人食い家』
シナリオでは、ミコノスの別名は「おとり怪獣」名義。
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(当該記事)