『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』 ~別離・喪失・齟齬・焦燥・後悔・煩悶の青春群像劇の傑作!
『さよならの朝に約束の花をかざろう』 ~名脚本家・岡田麿里が監督を務めるも、技巧的物語主体ではなく日常芝居主体の演出アニメであった!
『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』 ~長井龍雪&岡田麿里でも「あの花」「ここさけ」とは似ても似つかぬ少年ギャング集団の成り上がり作品!
『迷家-マヨイガ-』 ~水島努×岡田麿里が組んでも不人気に終わった同作を絶賛擁護する!
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2019年10月11日(金)からアニメ映画『空の青さを知る人よ』が公開記念! とカコつけて……。
『空の青さを知る人よ』の長井龍雪カントク&岡田麿里脚本コンビのアニメ映画『心が叫びたがってるんだ。』(15年)評をアップ!
『心が叫びたがってるんだ。』 ~発話・発声恐怖症のボッチ少女のリハビリ・青春群像・家族劇の良作!
(2015年・KOKOSAKE PROJECT)
(2015年9月19日(土)公開)
(文・久保達也)
(2015年9月24日脱稿)
脚本の岡田磨里(おかだ・まり)によれば、本作は「まずミュージカルありき」から着想され、「いきなり感情を歌い出す」というミュージカルの特質を活かすために、「歌だから感情を出せる子」=言葉を「封印」された小柄な黒髪オカッバの女子高生主人公・成瀬順(なるせ・じゅん)が生み出された、とのことである。
順が通う揚羽高校――校章のモチーフはアゲハ蝶である(笑)――が主催する地域ふれあい交流会(実質、文化祭)の演目として上演される劇中劇=順の想いをそのままミュージカルに仕立てた『青春の向こう脛(ずね)』こそが最大のクライマックスであり、そこが最大限に盛り上がるように本作の物語は構築されている。
本来自ら主役の少女を演じるはずであった順ではなく、代役の優等生でチアリーダー部部長の仁藤菜月(にとう・なつき)が舞台に立つ姿に、順の母・泉(いずみ)が嘆く。
「やっぱり、だめだったじゃない……」
「王子様と出会って、王子様を好きになって。
少女のなかに「愛の言葉」がどんどん生まれていく。
喋ることのできない少女は、それを伝えられなくはがゆく思う」
「第7幕」にそう綴ったほど、実行委員をともに務めて、優しそうでも冷めた感じの音楽関係には詳しい男子高校生・坂上拓実(さかがみ・たくみ)は順にとって、いつしか「王子様」となっていた。
その「王子様」が、よりによって文化祭の前夜、菜月から順への想いを問われ、正直な気持ちを打ち明けたのを、順は聞いて絶望する。
「王子様」を失ってしまったことで、もはや歌で感情を出す必要がなくなった順は、舞台を放り出して行方不明に。突然のアクシデント発生に、これまであまりまとまりがなかった生徒たちが、絶対にミュージカルを成功させようと、結束を固める姿。そして、責任を感じて必死に順を探し回る拓実の姿に、順の想いがこめられた「青春の向こう脛」の舞台をリンクさせた演出は最高潮に盛りあがる! やがて拓実は、「青春の向こう脛」の、すべてのはじまりとなったある場所に、順の姿を発見する……
本作は深夜アニメの傑作『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(11年・ANOHANA PROJECT・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191103/p1)を生み出した、監督・長井龍雪、脚本・岡田磨里、キャラクターデザイン・田中将賀の布陣によるものであり、原作として『あの花』の主人公たちが幼い頃に結集していた、「超平和バスターズ」の名が記されている。
『あの花』の幼なじみの主人公たちは、「超平和バスターズ」を名乗っていた頃、メンバーの少女・メンマが川に転落死したのは、自身の言動や行動が原因だったのでは? という「罪悪感」にさいなまれながら日々を過ごしていたが、本作もまた然りなのだ。
順は幼い頃、山の上にあったメルヘンチックなお城から父が出てくるのを目撃、それを泉に告げたことが原因となり、両親は離婚することになる。もちろん順に悪意があったわけではなく、幼い順がお城がラブホテルであったことを知る由もなく、ただ無邪気に「パパが王子様となった」と思いこんだだけであったのだ――車で出てきた父と浮気相手が、白馬に乗った王子様とお姫様に転じるという、現実と夢とのギャップを描いた演出はあまりに壮絶である――。
だが、泉にはそれを誰にも口外するなと云われ、父には「全部おまえのせいだ」と捨てゼリフを吐かれたのを機に、順はおしゃべりを「封印」することとなったのである――泉が父の弁当に用意していた玉子焼き(タマゴ焼き)を、順の口につっこむ姿には戦慄をおぼえずにはいられない!――。
拓実もまた、自身の進路をめぐっての対立が両親の離婚の遠因になったと考えており、自分の正直な想いを伝えるのを避けるのがいつしか当然になっていた。中学時代に一時拓実と交際していた菜月も、拓実が最もつらかった頃に助けてあげられなかったことを悔やんでいる。
彼らとともに担任の城嶋先生から強引に実行委員に指名された野球部の元エース・田崎大樹(たさき・だいき)も、自身の肘の故障によってチームが甲子園出場の夢を断たれたことを悔やみ、すっかりやさぐれたヤツになってしまっていた。
順「言葉は人を傷つける」
そんな「罪悪感」から、言葉を発すると腹痛を起こすまでになってしまった順…… あまたの(ひとり)ボッチアニメの主人公でも一応言葉を発するが、順は中盤くらいまで本当に言葉を使わない! 唯一のコミュニケーションツールは、実にせわしなくキーを打つことで発せられる携帯のメールのみなのである!
しかし、歌でならば想いを伝えられると考えるキッカケとなったのが、音楽準備室にあったアコーディオンを拝借して拓実が口ずさんでいるのを聴いたことだった。これは美少女ゲーム原作の深夜アニメの名作『WHITE ALBUM 2』(13年・PROJECT W.A.2・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191115/p1)やアイドルアニメ『ラブライブ!』第1期(13年・2013プロジェクトラブライブ!・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20160330/p1)の第1話同様、「音楽」を主人公が変わる契機として描く、実にキャッチーな定番演出ではある。
そして、言葉を「封印」した順ばかりではなく、言葉を持っているにもかかわらず、それをコミュニケーションツールとしてうまく機能させることができない、拓実・菜月・大樹らが繰り広げる、やや不器用な高校生たちの人間模様を交錯させて描かれる物語もまた、先述した作品群を彷彿とさせるように思える。
ただ、『あの花』や『ここさけ』がそれらと微妙に異なるのは、登場人物が「云いたいことは云わない」「云いたいのに云えない」と、遠慮がちな対人関係をとっているのは、彼らが皆「罪悪感」を背負っていることに起因しているためだろう。ボッチアニメ『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』(13年・やはりこの製作委員会はまちがっている。・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20150403/p1)の主人公・比企谷八幡(ひきがや・はちまん)や、『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』(13年・ワタモテ製作委員会・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20151102/p1)の主人公・黒木智子(くろき・ともこ)などかは、「罪悪感」なんぞホンのカケラもなかったのだから(爆)。
個人的に最も共感してしまったのが、意外にも実はヤンキーチックな大樹だった。拓実らが文化祭でミュージカルを演じることを提案するや、「しゃべんねえヤツがいて、できるわけねえだろ!」などと悪態をつく大樹だったが、それは野球部を弱体化させた自身を順と重ね合わせた、もどかしさの発露であったからだ。
後輩の野球部員たちが大樹の陰口を云っていたことを明かした拓実に、大樹ではなく親友でキャプテンの三嶋が「おまえに大ちゃんの何がわかるんだ!」と殴りかかろうとした描写もまた、大樹が後輩から信頼を得られないのもやむなしとウスウス感じていたことの証として機能している――大樹に対して後輩たちが腰を90度に曲げ、「すいやしぇんでしたぁ~!」と謝る、悪しき体育会系特有の姿などもあまりにリアル(爆)――。
これらはいかにも「青春群像劇」という香りがプンプンと漂っている。
「わ~た~しは~、で~き~るよ~~」
と順が突然歌いだしたことで騒然としていた教室が静まりかえったり、実行委員たちが文化祭の打ち合わせで入ったファミレスで大樹の悪口を云う後輩部員たちと鉢合わせして、
「簡単に消えろ、なんて云うな!!」
などと順が絶叫したり、ミュージカルの主役を演じることに順が無言でうつむきながらもシャッと手をあげて立候補したりする描写は――これはマジでかわいい!・笑――、実にドラマチックである。
人気少女漫画原作の深夜アニメ『好きっていいなよ。』(14年・好きなよ。製作委員会)などでも、ややイケてない性格弱者の女子たちにとってのご都合主義的ファンタジーではあるものの、やはり地味でおとなしくて意志薄弱そうな黒髪ショートの女子高生主人公・橘めいにドラマチックな描写を与えて、イケメン男子の黒沢大和(くろさわ・やまと)や竹村海(たけむら・かい)らが彼女に惹かれる契機を与えていたように、これらの劇的な描写は順の存在が拓実・菜月・大樹を次第に変えていくストーリー展開に説得力を与えている。
また、故障した自転車の代わりに拓実が自身の自転車を提供しようとするや、「学校、行くのに困るだろ」と孫を思いやる拓実の祖父・八十八(やそはち)や、いたたまれずにミュージカルの観劇を中座しようとした泉に「もう少し観ていったら」といたわりの言葉をかける拓実の祖母・シンの姿は、全編緊張感が張りつめる本作の中では絶妙なクッションの役割を果たしており、絶対に人を傷つける言葉などは使わないと思えるほどの実に暖かみのある彼らの存在は、個人的にはとても魅力に感じられたものである。
自身が企画したミュージカルがクラスを結束させるほどの影響力を示すに至った順だが、そのキッカケを与えてくれたハズの「王子様」は、もう順の手には届かない…… すでに廃業したラブホテルの一室にこもっていた順は、迎えに来た「王子様」に自身の想いを崩壊させた拓実や菜月のことを徹底的に罵倒する!
平塚先生「傷つけないなんてことはできないんだ。関われば傷つけるし、関わらないことで傷つけることもある。傷つけたと感じるのは、相手を大事に思うからこそだよ。どうでもいい相手には、傷つけたことにすら気づかない」
これは『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続』(15年・やはりこの製作委員会はまちがっている。続)における、比企谷のオールドミスの担任教師・平塚先生によるあまりに深い名セリフである。順が平塚先生に出会っていたなら「傷つけた」という「罪悪感」にさいなまれることもなく、人を「傷つける」のが当然な「言葉」というものをもっと早くに取り戻していたかもしれない――もっとも、順の担任教師・城嶋先生もまた一見、音楽教師にありがちなロン毛で軽薄な雰囲気を漂わせながらも、生徒の自主性に任せて成り行きを暖かく見守る姿は理想的な教師像であり、あまたのボッチアニメに登場する無神経な教師たちとは格が違う(笑)――。
順を傷つけてしまったという「罪悪感」から拓実は順に自身を傷つける言葉を徹底的に浴びせさせるが、それも順を大事に想うからこその行為であったろう。そのことで順は自身の言葉が家族を崩壊させたという「罪悪感」からようやく解放されることとなったのだ!
順「もうひとつだけ、云いたいことがあった」
歌ではなく「言葉」で遂にその想いを拓実に打ち明ける順!
拓実「ありがとう。でもオレ、好きな人がいるんだ」(……爆)
再び想いが打ち破られて涙を流しながらも、それでも順が拓実とともに学校へと戻っていくのはなんとも切ない……
順「わたしの声 消えたこと みんな喜んだ みんな わたしの言葉を キラってるから」
泉「違う! 私そんなこと、望んでなんか……」
体育館の客席中央を舞台に向かって歌いながら進む順が、母・泉のそばを通りかかるこの場面だけは、多くの一般観客も同様だろうが筆者もどうしてもこみあげてくるものをこらえることができなかった……
シングルマザーで保険外交員をしているために留守がちな泉の代わりに町内会費を払ってくれた順に「近所に恥ずかしいから表へ出るな」と叱ったり、先述したファミレスの一件のあとに病院に担ぎこまれた順を迎えに行った際も「たかが腹痛くらいで」「もう疲れた」などと嘆いたりと、「被害者」意識の強さばかりが描かれることで、観客に「ひどい母親だ」と本作での「悪」役としての印象が植えつけられた泉。
だが、順をそんなふうにしてしまったのは当の自身であると、泉もまたこれまで「罪悪感」にさいなまれながら生きてきたであろうことは、この場面から充分すぎるほど汲みとれようというものだ。泉もまた順に対して言葉をコミュニケーションツールとして、うまく使いこなせなかったにすぎないのではなかろうか? 先述した『ラブライブ!』第1期の金髪生徒会長・絢瀬絵里(あやせ・えり)もそうであったが、それまで「悪」役として描かれてきたキャラクターを悲劇のヒロインに一転させ、視聴者を一気に感情移入にもちこんで泣かせるというあまりに卑怯な演出が、本作でもやはり用いられていたのである(笑)。
城嶋先生が「ミュージカルは必ず奇跡が起きる」と語っていたように、泉と順の親子関係にも一条の光が照らされることとなった……
筆者は金曜夜のレイトショー上映時に本作を鑑賞したが、それにしても女性同士やカップル、年輩の夫婦といった、到底アニメファンには見えないような一般層の観客があまりにも多かった。製作にフジテレビと電通がかんでいることから、事前の宣伝攻勢はすさまじいものがあったのだろう。
内容や作品の肌ざわりももちろん幼稚ではないがマニアックでもない。これはやはり「まずミュージカルありき」から生み出された作品であることが大きかったと思える。はじめて聴かされるようなオリジナルの楽曲ではなく、『オズの魔法使い』(1939年)や『八十日間世界一周』(1956年)などの古典ともいえる名作洋画で用いられて、すでにスタンダードナンバーと化した名曲の数々が要所要所に彩りを添えて場面を盛りあげていくのは、原曲自体の普遍的なパワーも借りた音楽演出ではあるけれど、やはり一般層にも親しみをもたせつつ惹きつけるにはウマい手法であるといえよう。完全新曲ではあるが、これは本作の世界観をそのまま秋元康(あきもと・やすし)が作詞してアイドルグループ・乃木坂46(のぎざか・フォーティシックス)が歌唱した、本作エンディングに流れる主題歌『今、話したい誰かがいる』がけっこうな名曲に仕上がっていたことにも同じことがいえるだろう。
――ただ、拓実が所属するDTM(デスク・トップ・ミュージック)研究会の部室で流れていた、青江三奈(あおえ・みな)の往年の歌謡曲『伊勢佐木町(いせざきちょう)ブルース』(68年)は、いったい誰の趣味なんだ?(笑)――
我々のような内向的なオタク人種にしか需要がないと思われていたボッチアニメを、一般層に注目されるほどの作品にまで昇華させたことに、これらの音楽演出もかなり貢献していたといえるのではなかろうか?
また、順がボッチとなった発端が言葉は悪いけど「世間」じみており、従来のボッチアニメ群のように学校のクラスで疎外された経験を持つ者にしかその痛みが共感できない種類のものではないことも大きいかと思える。順が殻に閉じこもっていることを「玉子(タマゴ)の呪い」としているのは単純な発想であるようにも思えるが、近年人気となっているサンリオのキャラクター「ぐでたま」はそのものズバリ、玉子の殻から出るのを拒否している黄身(笑)をモチーフにしたものであり、これもまたさりげに普遍的な題材ではあるのだろう。
そして、『あの花』でも舞台とした埼玉県秩父市の実在する風景を、実写と見まがうばかりの空気感までもが忠実に再現された街並みや建造物などの背景美術――唯一、お城のようなラブホテルのみが明確な差別化としていわゆるアニメ的な絵で描かれているのがまた秀逸である――、自動車や電車などのあまりにリアルな3D-CGの動きも、我々のようにあまたの21世紀以降の深夜アニメでそれらの映像表現の進歩をすでに見慣れている人種たちにはともかく(笑)、アニメという映像表現に偏見をもっていたような一般層には驚きの声をもって迎えられたに相違ない。
順と大樹が距離をとりながらふたりきりでいっしょに帰路についたりとか、夕暮れの駅のホームで電車を待つ菜月に大樹がコクってみたり…… 『ここさけ』は誰もが過去に経験したり妄想したことがあるような「あの頃」ならではのトキメキ、万人が共感することしきりの描写にあふれた甘酸っぱい青春群像劇ではある。
だが、筆者の周囲を観察するかぎりでは、公開前後に『あの花』がCS放送・フジテレビTWO(ツー)で毎週水曜22時という、あの傑作を一部世間に知らしめるには絶好の条件下で再放送されたことにも一因があるような気がしている。人気テレビシリーズの劇場版ですらない、高校生たちがミュージカルをつくりあげるだけの完全オリジナルアニメ映画の『ここさけ』が、公開4週目に入っても興行ランキング第9位にランクインしているほどのヒットを記録しているのは、世間での『あの花』ブランドの高騰やマスコミ露出のみならず、本作公開に合わせた『あの花』再放送も少々の後押しをしたのではなかろうか? 私事で恐縮だが、職場の同僚の25歳のスゲェ軽い女(笑)がこの再放送で『あの花』を知って、同作に挿入された本作の予告編によって『ここさけ』を観たくてたまらないのに、彼氏が興味がないから観に行けない……なぞとボヤいていたほどだったのである――だからといって、こんな軽薄女といっしょに観に行く気はさらさらなかったが(爆)――。
近年の深夜アニメにはアニメファンだけで独占するにはあまりにもったいないような一般層にも受け入れられそうな作品が多いと個人的にはとらえている。15年6月公開の劇場版(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20160709/p1)が大ヒットした『ラブライブ!』なども、一見はオタク御用達のようでありながら老若男女にウケるウェルメイドな普遍性を兼ね備えていたその典型であるだろう。
『ここさけ』を観た今だからこそ云えることであるが、『ラブライブ!』は「まず歌唱ライブありき」の発想から、歌だからこそ素直な感情を伝えられるキャラクターとして、先述した絢瀬絵里や東條希(とうじょう・のぞみ)、西木野真姫(しにきの・まき)や小泉花陽(こいずみ・はなよ)といった、その外面と内面とが分裂したキャラクターが生み出されたのではなかったか? と思えるほどである――もちろんそんなワケがなく、「美少女キャラたちのキャッキャウフフありき」や「ギャップ萌えありき」で造形されたに相違ないのだが・笑――。
筆者がここ10年ほど在住しているテレビ東京系列や独立UHFのテレビ局がない静岡県では、本誌で論じられているような深夜アニメは地上波ではほとんどまともに放映されていないのが現状であり、『ラブライブ!』でさえも映画公開前にTBS系列の静岡放送であわてて放映されたほどであった。そんなアニメ後進地域に住む人々に対しても、そうした傑作をBSやCS放送で知らしめることで、その続編なら、あるいはそのスタッフの映画ならばぜひ観てみたい! と思わせる今回のような営業戦略が、今後ますます発展することを期待せずにはいられない。
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