假面特攻隊の一寸先は闇!読みにくいブログ(笑)

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ウルトラマンギンガ番外編「残された仲間」傑作! ~『ギンガ』総論・マイナスエネルギーを材とした『80』『ギンガ』比較

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 ウルトラマンギンガも客演する映画『劇場版ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス』(20年)が公開中記念! とカコつけて……。
 『ウルトラマンギンガ』(13年)番外編評を発掘アップ!


ウルトラマンギンガ』番外編「残された仲間」傑作! ~『ギンガ』総論・マイナスエネルギーを材とした『80』『ギンガ』比較

(文・久保達也)
(2014年3月30日脱稿)

実は初代の「闇のエージェント」、マグマ星人登場!(笑)


 この「番外編」は思わぬ「拾いもの」であった!
 『ウルトラマンギンガ』(13年)全11話が終了して約2ヶ月後、2014年2月26日放送の『新ウルトラマン列伝』第35回において、『ギンガ』の「後日談」が描かれることとなった。
 もちろん『劇場スペシャル』第2弾、公開が押し迫った映画『ウルトラマンギンガ 劇場スペシャル ウルトラ怪獣☆ヒーロー大乱戦!』(14年・松竹)の「前日談」としての「つなぎ」の意味合いが大きかったこととは思う。


 だが、この「番外編」。正直これまでの『ギンガ』の中で、個人的には一番面白かったのである(笑)。


 本作『ギンガ』では、ラスボスである「闇の支配者」ダークルギエルの命令を遂行する悪の中間管理職の立場の「闇のエージェント(代理人)」として、歴代ウルトラシリーズに登場してきた人気悪役宇宙人が人間大サイズで暗躍してきた。
 そして、それに最初に選ばれたのは『ギンガ』前半シリーズの第1話~6話に登場した宇宙海人バルキー星人……ではなく、実はサーベル暴君マグマ星人であった! ……という明らかに「後付け」ではあろうけど(笑)、そうであっても不思議ではないというありうべき設定で、意外な新事実が本話の前半でマグマ星人自身の回想によって描かれる。
 しかもこのマグマ星人、背景にライトアップされたキレイなレインボーブリッジが見える夜の河川敷(かせんじき)で、それとは対照的になんとも侘(わび)しく火鉢(ひばち)に当たりながら、野良猫と会話することで寂しさをまぎらわせているのである……
 そして、腹には首からヒモで吊したお財布(さいふ)をブラ下げている(爆)。ちなみにこの野良猫の名前はネコギラス(笑)というそうだ。


 「闇のエージェント」としての使命をバルキー星人に横取りされたあげく、彼に「おつかい」を頼まれる始末だったマグマ星人は、バルキー星人の後任を目指すべくバーベルで肉体トレーニングに励む!


 そこに携帯電話が鳴る。なんと着メロは『ウルトラマンレオ』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090405/p1)の主題歌!(笑) 同族の別個体ではあるが、マグマ星人が初登場したのは『レオ』第1~2話の前後編であったことを踏まえたメタなギャグである。
 ちなみに、この前後編に登場した兄弟怪獣レッドギラス&ブラックギラスが、先のネコギラスの名前の元ネタでもある(笑)。


 そして、その電話の主は『ウルトラセブン』(67年)が初出である異次元宇宙人イカルス星人の同族別個体! バルキー星人の後任は自分であると宣言する!


 イカルス星人は『ギンガ』前半シリーズ(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200819/p1)の最終回である第6話と『ギンガ』後半シリーズの筆頭である第7話の間の出来事である映画『ウルトラマンギンガ 劇場スペシャル』(13年・松竹・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200820/p1)で「闇のエージェント」を務めたキャラだ。
 もちろん我々視聴者は、バルキー星人の後任がイカルス星人であることを知っている。イカルス星人の後任がナックル星人であることも知っている。そして最終回(第11話)に至るまでマグマ星人が一度も「闇のエージェント」に昇格して登場した試しがないことも知っている(笑)。
 可愛そうなマグマ星人。つまりは彼の鍛錬(たんれん)が実らないことを我々視聴者は知っていることから来る、あくまでもコミカルなものではあるものの、軽妙なペーソス(哀感)も濃厚に漂ってくる。


 そして、ウルトラマンゼロと行動をともにするヒーロー・グレンファイヤーの声を務め、映画『平成ライダー昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feats.(フィーチャリング)スーパー戦隊』(14年)では故・納谷悟朗(なや・ごろう)そっくりの厳(いか)めしい声(!)で昭和の10号ライダー・仮面ライダーZX(ゼクロス)(『10号誕生! 仮面ライダー全員集合!』(84年))の敵組織・バダン大首領リメイク版の声も演じてみせた、我々同様の特撮オタクでもあり七色の声音(こわね)を使い分ける実力派中堅声優・セキトモこと関智一(せき・ともかず)がやや低音で片言のトボケた感じで演じるイカルス星人は、いちいち発言の語尾に「イカ」を付けまくったあげくに、


イカを買ってきてくれなイカ?」(笑)


などとマグマ星人にヌカして、バルキー星人同様に見下してきた果てに「おつかい」のパシリ(使いっ走り)扱いにする始末。


 目と口元が露出していることで、スーツアクターの表情の演技までもが読みとれるマグマ星人だが、この際の憮然(ぶぜん)とした表情演技がなんともたまらん(笑)。


 時は流れる。遂にはマグマ星人が云うところの「おネエ野郎」だった『ギンガ』後半シリーズ第7話~10話(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200825/p1)での「闇のエージェント」を務めた暗殺宇宙人ナックル星人・グレイや、彼らの首領である「闇の支配者」ことダークルギエルまでもが敗れた!


「これからどうすればいいんだ?」


と嘆くマグマ星人だが、話相手の野良猫にまで逃げられてしまう――この猫の演技がまた絶品!・笑――。


サーベル暴君マグマ星人 VS 残された仲間・健太&千草!


 商店街をトボトボとさまようマグマ星人を、超低予算作品の都合かテレビシリーズ正編からの連続登板を果たすことができたのはこのふたりだけである、レギュラーの少年・健太とサブヒロインの少女・千草(ちぐさ)が目撃!
 追跡を敢行するが、なぜか人々はマグマ星人に誰も気がつかない。それもそのハズであり、マグマ星人の姿は健太と千草にしか見えておらず、ほかの人々には人間体の姿として映っていたのである!


 この人間体がまた「暴君」どころか、我々みたいな種族のさえない男というのが絶品である(爆)。


 ウルトラマンたちにウルトライブ(変身)できる能力を獲得した健太と千草のふたりだけに、マグマ星人の真の素の姿(正体)が見えるという超能力描写――やはり超低予算作品の都合か、透視能力を表現するマグマ星人とその人間体とのオーバーラップ合成などは使われてはいないが・笑――。
 ウルトラマン自身やウルトラマンと合体・同一化した人間たちにはSF的・超常的な特殊能力が備わるという、子供たちがワクワクしてあごがれをいだきそうな設定を、マグマ星人との遭遇の場面でここぞとばかりに有効活用!
 商店街という生活感まるだしな「日常」の中に、いかにもウルトラシリーズ的な少しだけ不思議で怪しい「非日常」感といった風情を醸(かも)し出すことにも成功しており、この一連は秀逸(しゅういつ)ですらあると思える。


 バイト情報誌(笑)を見ていたマグマ星人に意を決して声をかける健太だが、


「おまえらがいなけりゃ、こんなミジメな思いは!(怒)」


と、マグマ星人は逆上して右腕にハメたおなじみのサーベルを振り回して健太と千草を追いかけ回しはじめる!
 さらにマグマ星人初代ウルトラマンをその最終回で倒した最強怪獣でもある宇宙恐竜ゼットン(!)のスパークドールズ(人形)を取り出し、千草を闇に包んでゼットンダークライブ(巨大化変身)させようとする!


マグマ星人「どうせおまえもオレと同じだろ? そばに力を持つ者がいなけりゃ、自分じゃなにもできゃしないんだ! 万年パシリ(使いっ走り)のオレが云うんだから間違いねえ!」


千草「健太は違うよ! あんたなんかといっしょにしないで!」


 闇の中でもがく千草に、健太が必死に呼びかける!


健太「負けるな千草! 千草がアイドルになったら、オレがカメラマンになって、何枚でも写真を撮ってやる!」


 健太の呼びかけに、千草は遂にダークスパークから発せられる闇をふりほどいた!


 物語作品一般に必然的・宿命的にハラまれている、「主人公」や「脇役」といったヒエラルキーカースト制度
 「主人公」を立てるためにも、「脇役」は割を食ったり足を引っ張ったり「人質要員」になって助けられる役回りを割り振られることで少々イヤ~ンな感じを醸してしまうことは、物語作品一般の定め・運命でもあるのだろう。
 しかし、だからといってアキラめてそれに開き直ってしまってもいけないのだ。それもまた程度問題なのである。「主人公」と「脇役」といった優劣がある関係性を露骨に芸もなくベタに100対ゼロとして表現してしまってもよいものなのか? それとも「脇役」にも五分の魂なり60対40なりでの活躍の場を与えることで、カースト制度や脇役キャラの不遇感を完全解消することは不可能だとしても、少しでも「有用」なところも見せることで緩和をしてみせることは作劇上、必要なことではあるまいか!?


 ここではマグマ星人・健太・千草は一旦はそれぞれ「主人公」や正義なり悪なりの「トップキャラ」には決してなれない存在であり、「そばに力を持つ者がいなければ、自分ではなにもできない」という意味においては同列・同等であり鏡像のような関係であると、痛いところを正しく突いてくる!


 しかしそれでもなお、健太と千草のふたりのキャラを悪役のマグマ星人よりも上位に立てようと画策するならば(笑)、先のテーゼの論理的反転として、「そばに力を持つ者がいなくても、誰かや社会に頼ることなく自分自身でなにかを成し遂げようと努力をしてみせる!」という趣旨のテーゼを高々と掲げるしかなくなってくるのだ!
 そしてそのことによって、健太と千草の人物像をマグマ星人よりも道義的には優れたものとして賞揚することもできるのだ! ドラマ的・テーマ的なクライマックスをこの場面で一度つくってみせることもできるのだ!


 この描写、『ギンガ』第10話『闇と光』で主人公・ヒカルが闇の世界からメインヒロイン・美鈴を取り戻そうとして、延々と痴話(ちわ)ゲンカを繰り広げた場面よりも、個人的には盛り上がりもテーマ的な説得力もあったように思える。


 ちなみに設定では千草は幼いころからずっと健太のことが好きだったそうだ。それを考慮すればこのシーンは、テレビシリーズ本編でも語られてきた千草のアイドル志望や健太のカメラマン志望をここでおさらいするだけでなく、第4話では闇落ちして海底原人ラゴンにダークライブ(巨大化変身)して暴れ回ってしまった千草が今回は自身の意志の強さでそれを回避できたことの心理的な成長をも示すのみならず、健太の幼い恋情告白の吐露をもダブル・トリプルで含意させていたことにもなり、それもまた成功していたとも思えるのだ!


サーベル暴君マグマ星人&宇宙恐竜ゼットン VS 初代ウルトラマンウルトラマンティガ


 マグマ星人、やむなく自身がゼットンダークライブ(巨大化変身)! ゼットンの着地は大胆にも実景に合成されている!


マグマ星人「オレの運気が右肩下がりなのは、あの街のせいだ!」


 空中に浮遊するゼットン、空から本作『ギンガ』の舞台でもある降星町(ふるほしちょう)を攻撃しようとする! ゼットンの背面を画面手前に配し、その目線で街を俯瞰(ふかん=見下ろ)したカットが圧巻!


 そのとき健太と千草の想いに呼応したかのように彼らの手元に、先端にウルトラマンティガ初代ウルトラマンのスパークドールズが装着した状態である変身アイテム・ギンガスパークが出現した!!


健太「オレたちがやるんだ!!」


 健太がティガに、千草が初代マンにウルトライブ(巨大化変身)!!
 ティガと初代マン、ゼットンを怪力で押しまくりながら超高速で地球を飛び出し、月へと向かう!


 地球を背景に「ティガ&初代マン VS ゼットン」の激闘が月面で展開する!
 初代マンが後ろから羽交(はが)い締めにしたゼットンにティガが必殺技・ゼペリオン光線を発射しようとするや、ダークライブしていたマグマ星人ゼットンから分離!! 背後から初代マンを急襲する!
 以降、「マグマ星人ゼットン VS ティガ&初代マン」という、非常にレアな組み合わせでもある夢のタッグマッチ戦ともなるのだ!


 だが、ウルトラマンへのライブ時間の制限から、ティガと初代マンの胸中央のカラータイマーが青から赤へと変わり、激しく点滅をはじめる!
 マグマ星人、その隙(すき)に降星町=地球に向け、ゼットンに超遠距離砲を発射させる!
 ティガと初代マン、地球の盾となり、ゼットンが放った1兆℃(!)の炎を全身に浴びてしまう!


 ふたりの我が身を犠牲にした行為に驚くマグマ星人に対し、「降星町には美鈴も友也もいる、ヒカルもそのうち帰ってくる、街に手出しはさせない!」と、地球を背景に正義のタンカを切るティガ&初代マン!
 本作『ギンガ』における守るものの象徴でもある「降星町」。そして、メインヒロイン・美鈴。ライバル青年・友也。ウルトラマンギンガにウルトライブ(変身)する「選ばれし者」の資格がある主人公青年・ヒカル。彼らのことも決して忘れずに言及することで、この作品があくまでも『ギンガ』の一編であったことも強調される!
 そして、彼らを守りたいという想いこそが、ここ一番の踏ん張りどころとなることで、健太と千草が意地を張ってでも戦うべき「動機」がここであらためて再確認もされていく!
 これこそまさに公共心に満ち満ちた、他者を守るために自己を犠牲にすることも厭(いと)わないヒーローたる者の普遍的かつ王道の発言&行動でもある!


 ここに至るまでの月面での一連のバトル演出は超低予算作品であるにも関わらず、特撮演出やアクション演出にちょっとしたセンスがあるからだろう。同じく月面を舞台にした映画『ウルトラマンメビウスウルトラ兄弟』(06年・松竹・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070128/p1)冒頭で描かれた究極超獣U(ユー)キラーザウルスVS初代マン・セブン・ジャック・エースのウルトラ4兄弟のバトルに負けないほどの盛り上がり感がある!


 瀕死(ひんし)の状態でガックリとひざまづいたティガと初代マンに、マグマ星人がトドメを刺そうと右腕にハメているサーベルを振り下ろそうとする!
 そのマグマサーベルをガッチリと押さえつけ、ティガと初代マンを守る光の剣・ギンガセイバー!
 健太と千草の最大の危機にウルトラマンギンガが「未来の世界」から帰ってきてくれたのだ!
 ゼットンの強固な光学バリヤーをも打ち破ることができる、ギンガが両腕をL字型に組んで放つ必殺光線・ギンガクロスシュートを浴び、大爆発をあげて吹っ飛ぶマグマ星人ゼットン


 ここでメデタシメデタシで終わってもよいのだが、本作はさらなる変化球でもうひとつのスリルを与える。
 ティガと初代マンの活動エネルギー限界を示すカラータイマーの点滅が一層激しくなるのだ! エネルギーが切れて元のナマ身の人間に戻ってしまっては、健太と千草は地球に帰るどころか月面の真空で窒息死してしまう!
 ティガと初代マンのウルトライブ(変身)が解けようとした瞬間、ギンガは健太と千草を無事地球に連れ戻した!


 そして、スパークドールズになったマグマ星人ゼットンも、先の『ギンガ』最終回のラストで他の怪獣・宇宙人たちが戻っていった宇宙へとギンガが連れていってくれた。


マグマ星人「ありがとうございやす!」(笑)


 今回は憎めない悪役だったマグマ星人。さすがに彼を絶命させることなく、気持ちのよいハッピーエンドを迎えさせている――人形の姿のままでの帰還でイイのか!? というツッコミはさておいて(笑)――。


傑作『残された仲間』 ~マイナスエネルギーを材とした『80』『ギンガ』比較。『ギンガ』総論!


 本話は正直、前半は深夜ドラマ枠でウルトラ怪獣にコントを演じさせていた『ウルトラゾーン』(11年)みたいなユルユルなノリである。
――『ゾーン』はマグマ星人と暗黒星人ババルウ星人がクダラないことでイガみあうコーナーが個人的に好きだった。ちなみにCS放送・チャンネルNECO(ネコ)で2013年に『レッドマン』(72年・円谷プロ)が放映された際、『マグマ星人のヒーロー研究所』というコーナーが設けられていたが、スーツアクターは今回と同一人物であるように見受けられる――。


 が、中盤から急展開を遂げたかと思えば、まさかここまでカッコいいバトル作品に仕上がってしまうとは!
 初代ウルトラマンウルトラマンティガという先輩ヒーロー夢の共演による感動! そしてご町内だけの物語にとどまらず、舞台を映像的には降星町がある惑星=月面から見えている地球(笑)にまで拡大させ、疑似的に全世界的規模の危機までをも描いたように見せるスケールの雄大さ!


 個人的には『劇場スペシャル』2作品よりも、スケール感やバトルの盛り上がりの観点からすれば本作の方に魅力を感じてしまった(笑)。
 超低予算作品でもつくり手たちの痛快娯楽活劇としての勘どころを押さえるセンスや技量さえあれば、ここまでの作品ができるのである!


 いや、今回の「番外編」のような作風は、近年の平成ライダースーパー戦隊においてはすでに実現されていることではある。ギャグ系怪人の登場や――幹部級怪人に至るまで!――いささか過剰(かじょう)に思えるほどのコミカル描写が散見されながらも、


・変身ヒーローが凶悪な敵怪人と身体を張って戦い、最後には必殺技で倒すというコンセプト
・子供たちにとどまらず大人たちも、いや人間・動物一般が持っている原始的・根源的な暴力衝動の発散(もちろん正義に即したかたちでの発散・笑)
・それによって得られるカタルシス、全能感や万能感


 それらがいささかも失われてはいないからこそ、平成ライダースーパー戦隊は安定した人気を保ち続けているのであろう。


 だから『ギンガ』テレビシリーズも、ヒーローや怪獣宇宙人よりも「人間ドラマ」の方に比重が来てしまうジュブナイルドラマよりも、今回の「番外編」みたいなライトでコミカルで憎めない敵宇宙人の暗躍を主眼に据えて、各話ゲストたちのダークサイド=悪い心にスポットを当てたとしても、レギュラーの少年少女キャラたちによるアリがちでも普遍・王道ではある暑苦しい道徳的な絶叫(笑)の方で凌駕してしまうような、よくある少年漫画的なノリに徹すればよかったのに……と思えてならない。


 『ギンガ』のレギュラー子役の俳優陣は演技力もあるし、実に「いいコ」たちに見える。が、逆にあまりにスナオな「いいコ」ちゃんたちにすぎたかもしれない――かといって、あまりにヒネくれていたり不良的なコが登場してもイヤなのだが(笑)――。



 『ギンガ』最終回(第11話)『きみの未来』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200827/p1)において、闇の支配者・ダークルギエルは「絶望の“マイナスエネルギー”」という言葉を口にしていた。
 「マイナスエネルギー」。このキーワードは平成『ウルトラセブン』1996年版でも使用された由緒正しいワードだが、ウルトラシリーズのマニアならばご承知の通り、往年の『ウルトラマン80(エイティ)』(80年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971121/p1)のキーワードでもあり、同作では「人間の悪い心」=「マイナスエネルギー」が怪獣を産み出すという設定にもなっていた。
 『ギンガ』におけるダークルギエルの悪事も、結局は『80』におけるマイナスエネルギーと同等のものであり、それどころかそれを意識的・積極的に押し進めたものですらあることを示唆してもみせる「マイナスエネルギー」というキーワードを織り交ぜたこのセリフはマニアくすぐりでもあり、実に嬉しいところでもある。


 筆者は『ギンガ』が一応の学園ものとして製作されることを知った際、これは『80』学校編でせっかく花が開きかけた新たな鉱脈・可能性が、種々の事情で打ち切らざるを得なかったことに対する「リベンジ」戦であると捉えたものだった。
 だが、ウルトラマンエイティこと主人公・矢的猛(やまと・たけし)隊員が中学校の教師も兼任していた『ウルトラマン80(エイティ)』(80年)第1クールの学校編でも、不登校(登校拒否)の中学生の苦悩にスポットを当てた第2話『先生の秘密』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100507/p1)や、特定の生徒が発する失恋のマイナスエネルギーが怪獣に力を与えた第3話『泣くな初恋怪獣』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100516/p1)など、一応の「ドラマ性」はあったかもしれないが、エンタメ的にはやや陰鬱な作風になってしまっていたことも否めない。
 そして、本作『ウルトラマンギンガ』もまた結局はこの『80』序盤の弊にハマってしまったところがあったようにも思うのだ。


 少々ケチをつけてしまったが、実際のところ筆者は、当時の年長マニア向けを意識していたところが濃厚にある90年代後半のややシリアス志向な平成ウルトラ3部作や、その反対に怪獣を倒すのではなく保護するなどとマイルドに過ぎる『ウルトラマンコスモス』(01年)、そのまた真逆に怪獣との和解の余地などまったくないヘビーな『ウルトラマンネクサス』(04年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041108/p1)などと比すると、本作『ウルトラマンギンガ』のことを個人的には好ましくすら思ってもいる。
 ジュブナイルドラマでありながらも、まがりなりにも「悪の軍団」を設定することで「善VS悪」の図式を強調し、「中堅幹部」も交代していく変化のあるシリーズ構成を採用したり、完全なる1話完結ではなく各話のゲスト怪獣を倒したあとでもラストや終盤に次回への強烈なヒキともなる、巨大ロボット・ジャンキラー(=ジャンナイン)の挑戦や悪のウルトラ兄弟を登場させるようなパターン破り(!)も多用して、次回へと「つづく」となるようなノリの作劇も評価はしている。


 本作『ギンガ』では、悪の中間管理職の立場のキャラとして「闇のエージェント」が登場した。
 この「敵首領」とは別に悪の組織内に「中堅幹部」という役職があるという設定は、昭和の『仮面ライダー』第1作(71年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20140407/p1)の第3クールこと2号ライダー編における敵組織・ショッカーの中堅幹部・ゾル大佐の登場に端を発する。そして、この手法は日本の特撮変身ヒーローや合体ロボットアニメの敵組織の基本フォーマットともなった。


 この中でもさらに昭和の『仮面ライダー』シリーズの敵組織・ショッカーやデストロンほか、テレビアニメ『デビルマン』(72年)のデーモン一族、『マジンガーZ』(72年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200119/p1)のドクター・ヘル一味や、『ライダー』を放映していた毎日放送(大阪)側のプロデューサーの要望で『ジャンボーグA(エース)』(73年・円谷プロ)のレギュラー敵・グロース星人軍団などには、敵組織の「中堅幹部」が1~2クールごとに次々と交代していく作劇を導入!
 単なる1話完結マンネリのルーティンになりがちなこの手の作品に変化を与えて、中堅幹部との最終決戦や、敵組織の内紛劇・幹部交代劇なども構築することで、実に移り気で飽きっぽい子供たちのジャンル作品への興味関心も惹起しようとしてきた。


 悪の組織にヒエラルキー構造を与えることで敵のスケール感も増大させるこの手法は、以降のジャンル作品のスタンダードともなった。しかし、敵の中堅幹部が1~2クールごとに交代していき、その都度イベント編をつくることで盛り上がりをつくっていくという作劇は、残念ながらあまり継承されてこなかったのも事実だ。


 これらの70年代変身ブームやロボットアニメブームのジャンル作品を大量に観て育った世代が製作現場に入ってきたのが1990年代。かつて面白いと思ったことの再現を! といったところだったのだろう。子供向け合体ロボットアニメ『熱血最強ゴウザウラー』(93年)の敵組織・機械化帝国や、『星獣戦隊ギンガマン』(98年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110711/p1)の敵組織・宇宙海賊バルバンなどでは、悪のレギュラー中堅幹部がクールごとに次々と交代していく展開が試みられて、作品を娯楽活劇としてもよく盛り上げることができていた。


 しかし、我らがウルトラシリーズでは、そもそも初代『ウルトラマンからして悪の組織が登場せず野良怪獣の退治がもっぱらとされたことと、マニア評論の世界でも「ウルトラ」は単なる「勧善懲悪」ではなく時に善悪が反転することに深みがあるなどと過剰に理論武装をしたことが裏目に出てしまい、怪獣を倒すことの倫理的な是非などを過剰に気にし過ぎてもしまい、このままでは「ヒーローVS怪獣」という図式自体を自己否定するしかなくなり、どうやっても壮快な娯楽活劇作品がもうつくれないところまでの袋小路(ふくろこうじ)に陥(おちい)っていたとも思うのだ。
 そのへんのボトルネックをご破算にして解消、敵の怪獣をやっつける爽快感を回復するためには、「悪の軍団」という設定を導入して、その「敵首領」や「中堅幹部」とのお約束の馴れ合い的なマンネリ抗争劇にするしかもうなかったのではなかろうか?(笑)
 『ギンガ』本編ではそこにツバをつけた上で、その上で本作『残された仲間』では「闇のエージェント」の設定をていねいにおさらいしつつも、それ自体をふくらますかたちで、ムリがないどころか『ギンガ』の「番外編」どころではなく「正道」ともいうべきストーリーを構築できてもいる!


 『80』学校編でも、第9話『エアポート危機一髪!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100627/p1)や第10話『宇宙からの訪問者』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100704/p1)のように、「ワル」では決してないが品行方正な「いいコ」ちゃんでもない桜ヶ岡中学校の生徒たちが恋のキューピットとして小さなイタズラを繰り広げる「ドタバタ学園ラブコメ」風味だった作品群の方が、むしろクライマックスでも「ドラマ」と「特撮」が華麗に融合しており『80』序盤よりも完成度が高かったりした。
 その伝で云うと、悪役だが憎めない小悪党の域にとどめた悪の中間管理職であるマグマ星人の暗躍をコミカルに描いて、より大声を出した方が最後にバトルに勝てる少年漫画の伝統(笑)に則(のっと)って健太と千草が正義の絶叫をあげる本作『残された仲間』こそが、本来あるべき『ウルトラマンギンガ』の番組フォーマットであったとも考えてしまうのだ……

2014.3.30


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2014年GW号』(14年4月27日発行)~特撮同人誌『仮面特攻隊2015年号』(14年12月28日発行)所収『ウルトラマンギンガ』最終回評より抜粋)


『假面特攻隊2015年号』「ウルトラマンギンガ」番外編・関係記事の縮小コピー収録一覧
東京新聞 2014年4月12日(土)夕刊 祖師谷「光の国」に ウルトラ兄弟街灯に変身 3商店街 あす式典
・スポーツ報知 2014年3月14日(金) レッツゴー!! 特撮HOCHI 怪獣酒場きょう開店フォッフォッフォ 地球人に開放 川崎1年限定 (延長されて2020年現在も営業中!)


[関連記事] ~『ギンガ』の「闇のエージェント」バルキー星人・イカルス星人・ナックル星人グレイが銀河転生(笑)!

ウルトラマンX(エックス)』前半評! 5話「イージス光る時」・8話「狙われたX」・9話「われら星雲!」 ~ゼロ・マックス・闇のエージェント客演!

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[関連記事]

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ウルトラマンギンガ』番外編「残された仲間」 ~傑作! 『ギンガ』総論・マイナスエネルギーを材とした『80』『ギンガ』比較

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200829/p1(当該記事)

ウルトラマンギンガ 劇場スペシャル ウルトラ怪獣☆ヒーロー大乱戦!』(14年)

  (近日中にUP予定!)

『劇場版ウルトラマンギンガS 決戦!ウルトラ10勇士!!』(15年) ~第2期ウルトラの「特訓」「ドラマ性」「ヒーロー共演」「連続性」も再考せよ!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200404/p1


[関連記事] ~ウルトラシリーズ最終回評

ウルトラマンティガ』(96年)最終回 最終章三部作 #50「もっと高く!~Take Me Higher!~」・#51「暗黒の支配者」・#52「輝けるものたちへ」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961207/p1

ウルトラマンダイナ』(97年)最終回 最終章三部作 #49「最終章I 新たなる影」・#50「最終章II 太陽系消滅」・#51「最終章III 明日へ…」 ~賛否合評

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ウルトラマンネオス』(00年)最終回「光の戦士よ永遠に」 ~「種の存続」に殉じることの是非!

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ウルトラマンメビウス』(06年)最終回 最終三部作 #48「皇帝の降臨」・#49「絶望の暗雲」・#50「心からの言葉」 ~ありがとう!

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ウルトラギャラクシー大怪獣バトルNEO』(08年)最終回 #12「グランデの挑戦」・#13「惑星崩壊」

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ウルトラマンギンガ』最終回 ~タロウ復活! 津川雅彦もキングに変身すべきだ! ウルトラ怪獣500ソフビを売るためには!?

(文・久保達也)
(2014年3月30日脱稿)

ウルトラマンタロウ復活! 月面でのド迫力・最終決戦!


 『ウルトラマンギンガ』最終回(第11話)『きみの未来』では、本作のメインの舞台となっていた山あいに近い降星(ふるほし)小学校の卒業生たちが校歌を歌うことによって発せられた「光」が結集し、卒業生たちの「タロウ~~~~!!!」の叫びとともに、スパークドールズ(ソフトビニール人形)化しているタロウの足のウラに膨大な数の変身アイテム・ギンガスパークを次々と接触させることによるエネルギー注入によりウルトラマンタロウが遂に元の巨大ヒーローの姿へ、いや超巨大化した宿敵に対峙するために超巨大サイズで復活!
 『ウルトラマンメビウス』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070506/p1)でのタロウ客演前後編(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061203/p1)でさえJASRACジャスラック日本音楽著作権協会)への高額支払(汗)のために遂に実現しなかった『タロウ』のオリジナル主題歌が流れる中、『ウルトラマンタロウ』(73年)第1話『ウルトラの母は太陽のように』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071202/p1)において、初変身で宇宙大怪獣アストロモンスに対して変身前の東光太郎(ひがし・こうたろう)がそうであったごとくボクサーのように連続で繰り出したのが印象的なアトミックパンチを、タロウが本作『ギンガ』のラスボスであり漆黒の人型巨人である闇の支配者・ダークルギエルを相手に披露する場面はマジで感涙(かんるい)した!


 ギンガとダークルギエルのラストバトルは、最終回後の後日談である番外編『残された仲間』同様、月面で描かれた。
 ミニチュアを用意しなくてもよいという消極的な理由ではあろうものの、それが逆にバトルを宇宙的な規模にまで広げることになるという利点もある。まぁ、リアルに考えれば地球で街をブッ壊しながら戦うのは人類にとって大迷惑なワケであり(笑)、ウルトラマン的にも当然といえば当然の措置ではある。
 もっとも、「特撮」ジャンルというのは、壮大なる都市破壊描写を無責任に楽しんでしまうような本質的に不謹慎なジャンルでもあるので(爆)、毎回月面バトルをやられるのはカンベンしてほしいけど(笑)。


 その月面バトルも第1話『星の降る町』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200819/p1)におけるギンガ初登場場面でも使用された、アベユーイチ監督お気に入りの回転台に乗せて撮影したと思われる、ギンガVSダークルギエルを360度グルグルとコマのようにその場で高速回転させながら、歩行や走行せずにスベるように横移動もしていく槍術合戦(そうじゅつがっせん・ヤリによる打ち合い)は絶品である!
 激闘の末に吹っ飛んだ両者の三叉(さんさ)のヤリが画面手前に突き刺さり、その奥にロング(引き)でギンガとダークルギエルが戦うさまを描く演出もまた然(しか)り!
 ダークルギエルが敗れるとともに画面中央に刺さった赤い三叉のヤリが消滅し、画面奥に輝く青い地球を画面手前のギンガが振り返って見つめる描写も実にセンスがいい!


 特撮演出・アクション演出に関しては申し分のない出来であったと思える。だが……(汗)


商業面を考えても、最終決戦はヒーローvs怪獣軍団の集団総力戦にしてほしかった!


 が、それにしてもである。せっかく降星小学校の卒業生たちがあれだけ多く集まったのである。
 彼らの光が結集したのなら、タロウばかりではなく降星山に眠るほかのウルトラ戦士の人形たちも全員とはいわずとも相応数を復活・巨大化させてもよかったのではあるまいか!?


 いや、狙いはわかるのだが、そもそもあんなに数十人もエキストラを集める必要はなかったような気もするのだ(汗)。
 第1話に登場した悪徳産廃業者(あくとく・さんぱいぎょうしゃ)とか、第2話『夏の夜の夢』に登場したバイクでの追跡魔、第3話『双頭の火炎獣』に登場した連続放火魔の女性――放火って罪重いから、そう簡単にシャバに出ては来られないハズでは? あっ、このテの特撮ヒーローものはリアリズムで観るような作品群ではなかったですね・笑――、第7話『閉ざされた世界』&第8話『奪われたギンガスパーク』に登場した賭博(とばく)事件に関わった元ボクサーなど、ゲスト主役たちだけでも成り立ったような気もするのである。


 自身が犯してしまった罪のつぐないだとばかりに、彼らが昭和のウルトラ兄弟や平成ウルトラマンたちにウルトライブ(巨大化変身)して悪の怪獣軍団と戦ったら、それはそれで彼らのやや重苦しかったドラマもオセロゲーム的に帳消しになって、燃える展開になったのでは!?


 ダークルギエル側にしてもまた然り。
 それこそ映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE(ザ・ムービー)』(09年・ワーナー・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101224/p1)で悪のウルトラマンことウルトラマンベリアルが怪獣召喚アイテム・ギガバトルナイザーで百体の怪獣を怪獣墓場から復活させて操ったように、人形状態の怪獣たちを悪人たちのダークライブ(合体変身)抜きでの巨大怪獣軍団として復活させて操り、ウルトラ兄弟たちと集団バトルを演じさせるべきではなかったか!?


 円谷プロに着ぐるみが現存しバンダイから『ウルトラ怪獣500』として発売されている怪獣たちとしては、宇宙怪獣エレキング・宇宙ロボットキングジョー・一角超獣バキシム・異次元超人巨大ヤプール・再生怪獣サラマンドラ・超古代怪獣ゴルザ・円盤生物ロベルガーなどがいる。超メジャー級の奴らばかりだが、これらの怪獣こそ『ギンガ』最終回にせめて登場させるべきだったのでは?
 撮影現場にまる1日拘束するのだから、ひとりあたり1万円くらいはかかっているであろうエキストラを数十人も雇うくらいなら、その分の金額でスーツアクターなりそのサポートスタッフを雇うことで、これらヒーロー&怪獣の着ぐるみキャラクターの終盤での登場を拡充させるべきだったと考えるのである。


 『ギンガ』最終回が放映されたのは2013年12月18日、まさにクリスマス商戦の真っ直中(まっただなか)であった。
 そんなときにウルトラマンVS大怪獣軍団の総力戦を描くことで、『ウルトラヒーロー500』や『ウルトラ怪獣500』をガンガン売りまくろう! という発想にナゼ至らないのであろうか?


 同じころに放映された『獣電戦隊キョウリュウジャー』(13年)ブレイブ41『ヤナサンタ! デーボスせかいけっせん』&ブレイブ42『ワンダホー! せいぎのクリスマス』では、10人のキョウリュウジャーと10大獣電竜と夏休みの映画版に登場した獣電竜第0号こと古代獣電竜トバスピノまでもが勢ぞろい! 「かみつき合体」のバリエーションによってさまざまな戦隊巨大ロボットも登場! 東京・ニューヨーク・ロンドン・ハワイ・中国と世界を股(また)にかけた総力戦を繰り広げていたのである!
 スーパー戦隊シリーズでは少なくともここ15年ほど、クリスマス商戦の時期になるとそうした総力戦が描かれてきた。そうすることによって、年明けには関連玩具の主力商品が店頭からほぼ姿を消してしまうほどの好成績をおさめてきたのである!


 いや、スーパー戦隊に比べ、若干(じゃっかん)アダルトな作風の平成ライダーの年末放映作品でさえも同様である。
 『仮面ライダーカブト』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070211/p1)終盤の12月放映分には、すでに退場していたハズの仮面ライダーザビー仮面ライダードレイクを再登場させたり――かつてとは異なる別人が変身しているのだろうとの解釈が可能な範囲で!――、1~2月スタートから9~10月スタートに変わって以降の『仮面ライダーウィザード』(12年)第52話『仮面ライダーの指輪』&最終回(第53話)『終わらない物語』の番外前後編においても、新番組を控えての在庫処分一掃セールとばかりに平成全15人ライダーVS大怪人軍団との集団バトルを描いていたのである!


 昭和の第2期ウルトラシリーズ擁護派としては残念なことだけど、重傷でウルトラセブンに変身できなくなってしまったモロボシ・ダン隊長はいずれは回復して再変身が可能になって大活躍するのだろうと当時の子供たちの誰もが期待をしていたのにもかかわらず、遂に再変身させずに終わってしまった往年の『ウルトラマンレオ』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090405/p1)とは異なり(汗)、ソフビ人形の姿にされていたウルトラマンタロウを遂に復活させて敵とのバトルまで実現させたことは実に喜ばしいし賞賛にも値する。
 そのことは充二分に強調しておきたいが、その後に主人公ウルトラマンであるギンガを立てるためとはいえ、タロウをまた元の人形の姿に戻してしまうのでは……
 タロウが少々弱く見えてしまうのであって、やはり残念なのだ。


 ラスボスである悪の超人・ダークルギエルとの決着は主役ヒーロー・ギンガに譲るにしても、タロウも超巨大サイズから通常の巨大サイズに戻ったことにしてギンガと同時並行で雑魚(ざこ)怪獣たちと戦っていた方が有用感も出せるし、画面的にも賑やかになったのではあるまいか!?


「ドラマ性」>「娯楽活劇性」の構図自体を疑え!

「今回劇場スペシャルなんだから、物語っていう考え方ではなく、目で見る怪獣図鑑にしたらどうですか」

(『ウルトラマンギンガ 劇場スペシャル ウルトラ怪獣☆ヒーロー大乱戦!』劇場売りパンフレット(14年3月15日発行・松竹株式会社事業部)・原口智生監督インタビュー)



 この言葉に『ギンガ』スタッフたちの考えが逆説的に象徴されているように思える。
 この2014年3月公開の『劇場スペシャル』第2弾『ウルトラマンギンガ 劇場スペシャル ウルトラ怪獣☆ヒーロー大乱戦!』(14年・松竹)、そして昨13年9月に公開された『ウルトラマンギンガ 劇場スペシャル』(13年・松竹・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200820/p1)第1弾も、そうした趣向が凝(こ)らされた娯楽活劇性の高い作品に仕上がったとは思える。


 だが、先の原口監督の発言は裏を返すなら、その分テレビシリーズでは「物語」をしっかりとやろうというスタッフたちの意向の発露と思えてしまうのである。
 「物語」をしっかりやる、つまり「ドラマ性」を高めるためには「娯楽活劇性」は削(そ)ぎ落とさねばならない、などという古クサい考え方をどこかに残しているのではないのか? 『ギンガ』全11話を視聴し終えて感じるのは、やはりそういうことなのである。


 先に挙げた『キョウリュウジャー』ブレイブ41&42にしろ『ウィザード』第52話&最終回にしろ、たしかに「特撮演出」「アクション演出」が主体の話ではあった。
 しかしながら、だからといって決して「物語」がおざなりになっていたワケではなく、「特撮」「アクション」から自立した「ドラマ」はきちんと描かれてはいたのである。
 「ドラマ性」と「娯楽活劇性」はきちんと両立する! ということは、スーパー戦隊平成ライダーが立派に証明してくれているのである。


 にもかかわらず、悪のウルトラ兄弟ことウルトラマンダークやウルトラセブンダークが登場し、ラスボス級怪獣グランドキングも登場、少年少女たちが初代ウルトラマンウルトラセブンウルトラマンティガに変身して巨悪に立ち向かうようなイベント性がそれまでにもあったのに、せっかく復活させたタロウを活躍はさせたことはよいけれど、早々に退場させてしまうのは爽快感に欠けるというもの。
 もしも仮にギンガとタロウを共闘させたら「ドラマ性」が低くなってしまうなどと考えているくらいに円谷プロ側に旧態依然な考え方が残っているのならば、いっそのこと「ドラマ性」なんかこの際、潔(いさぎよ)く捨ててしまうべきだとさえ思えるほどである。


 それが円谷プロの「未来」のためなのである。


ギンガ「未来は変えることができる。良いようにも、悪いようにも。それを成(な)すのはきみたちだ」


 ギンガからヒカルたちに託(たく)された最後のメッセージは、そっくりそのまま円谷プロにお返ししたいほどだ(笑)。


超低予算作品でもスケール感や視覚的インパクトを!


 「娯楽活劇性」の観点からすれば、ラスボスであるダークルギエルがたかが郊外の小学校をひとつ破壊するだけというのも、超低予算作品の都合とはいえ残念ではある。
 「この星のすべての人間の時間をとめてやる!」と宣言したところで、視覚的なインパクトはあまりにも弱すぎる。


 せめて最終回くらい特撮ミニチュアを用意するくらいはできなかったものか? だからエキストラの人件費なんか削(けず)ってミニチュアのレンタルや製造費用に回せ! と云いたくもなるのだ(笑)。
 最終回後に追加で製作された『ウルトラマンギンガ』の『番外編』であるハズの『残された仲間』の方ではそのあたりがうまくクリアできていたのだから、ミニチュアに代わるようなスケール感の拡大や視覚的にインパクトを与えることは、たとえ低予算でも工夫すればいくらでもやり方はあったハズである。


 特撮映像や商業性のことをさらに云うなら、ラストで光となり降星山から宇宙へと帰っていく怪獣やウルトラマンたちも、光ではなく第1話で描かれた「ウルトラ大戦争」でダークルギエルにスパークドールズ人形にされてしまい宇宙空間をさまよう場面の反転描写として、スパークドールズ人形の姿で宇宙に帰っていく描写にした方が、幼児たちはソフビ人形がほしくなったのではあるまいか?
 まぁ、そーなると撮影や合成はいっそう手間がかかりそうだし、怪獣はともかくウルトラマンたちを人形の姿のままで宇宙に帰してしまってよいのかという問題も生じてくるが(笑)。


 ウルトラの父や母や兄さんたちなどのいわば肉親よりも、ギンガを復活させることを優先させ、ギンガにパワーを与えて再び人形に戻った自己犠牲的な姿は、タロウらしいと云えばたしかにそうとも云えはする。
 映画『ウルトラ銀河伝説』でも、悪のウルトラマンことウルトラマンベリアルによって輝きを消されそうになった光の国の人工太陽・プラズマスパークの光を最後まで守り通す姿が描かれていたから、そうしたキャラクターを継承するのもたしかに悪いことではないのかもしれない。
 『ウルトラマンA(エース)』(72年)第27話『奇跡! ウルトラの父』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061105/p1)において、タロウの実の父であるウルトラの父が最後のエネルギーをウルトラマンエースに分け与えて復活させ、自身は死してしまった姿をも彷彿とさせる……


 しかし、これは痛し痒しなのである。これではウルトラマンタロウウルトラの父が弱く見えてしまうのである。
 やはり、当時の子供たちもゲストとして初登場したウルトラの父には、圧倒的に強くて終始優勢にバトルも進めて、最後に敵を必殺技でトドメを刺してみせるくらいの壮快な大活躍で魅せてほしかったのである!


全特撮マニアの願望! 津川雅彦ウルトラマンキングに変身すべきだった!(笑)


 それはそうと、第9話『漆黒のウルトラ兄弟』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200825/p1)でタロウの存在を以前から知っていたことが発覚し、主人公青年・ヒカルと同様に「選ばれし者」の紋章が腕に浮かびあがるのをタロウに目撃されたことで、ヒカルの祖父で銀河神社の神主(かんぬし)である礼堂ホツマもまたヒカルと同様「選ばれし者」であり、ウルトラマンギンガと合体する資格もあったことが示されるというオイシい場面があった!
 そればかりでなく、美鈴・健太・千草に「これを使いなさい!」と宇宙三面魔像ジャシュラインの人形を差し出してもみせている!


 多くの特撮マニアがそう思ったであろうが、「選ばれし者」であり事情通でもあるのならば、いっそのことホツマがウルトラ一族の長老・ウルトラマンキングにウルトライブ(巨大化変身)すればよかったのに!(笑)
 津川雅彦(つがわ・まさひこ)などというおもいっきりのメジャー俳優をせっかく起用しているのだから、彼がキングに変身するのであれば、スポーツ新聞各紙の芸能トップ記事を飾るだろうし、各紙の紙面を取り上げる朝のワイドショーなどでも取り上げられたであろうから、インパクト絶大ともなる!
 これは先の映画『ウルトラ銀河伝説』でウルトラマンキングの声を小泉純一郎・元首相が務めた際のスポーツ新聞各紙やそれを取り上げた朝のワイドショーに匹敵するだけのインパクトとなっただろう!


 かつては青春スターだった山下真司(やました・しんじ)が『キョウリュウジャー』終盤でキョウリュウシルバーに「キョウリュウチェンジ!」(変身)してくれて、それがスポーツ新聞各紙の紙面を飾るご時世なのである!――山下氏にはあらためて敬意を表します!――


 あるいは、『ギンガ』のテレビシリーズではホツマの正体を明かさないでおき、


ヒカル「今度の『劇場スペシャル』で、遂にオレのじいちゃんの正体が明らかになるんだ。みんな見逃すなよ!」


などと正体バレバレでも(笑)、『ギンガ』も放映されてきた『新ウルトラマン列伝』枠で再三告知することで視聴者を映画『劇場スペシャル2』に誘導し、そこでウルトラマンキングとしての正体を明かす! なんていうアザトい商売もアリだったと思えるのである。


 ついでに、たとえばギンガは「未来から来たウルトラマン」という設定があるけど、実はキングの「未来の息子」か「孫」か「子孫」である! などというコジツケの追加設定でもつくって、子供たちやマニア向けの話題性をつくってもよかったのでは? ……エッ、ウルトラマンキングの孫は、ウルトラ兄弟の長男・ゾフィー兄さんだって!? そーいや、そーいうウラ設定もあったっけ?(笑)


 ウルトラマンメビウスウルトラマンタロウウルトラマンエイティの教え子であるとか、ウルトラマンゼロの父がウルトラセブンで師匠(ししょう)はウルトラマンレオであるとか、そうした過去の人気ヒーローと現役ヒーローに関連性を持たせた1970年代前半の第2期ウルトラシリーズの「ウルトラ兄弟」の設定を援用・拡張するかたちで、かつて夢中になった世代の心の琴線(きんせん)を揺り動かしたり、子供たちの関心を旧作にも向ける工夫が、近年のウルトラシリーズではなされてきた。
 なのに、ギンガが単に未来からやってきたというだけで出自がハッキリしないというのでは、商業展開上でも不利になると思えてならない。
 ヤンチャで不良っぽくて人間クサかった直近の主人公ヒーロー・ウルトラマンゼロとの差別化でなまじっかなキャラ付けではゼロに負けてしまうからと、6年ぶりのテレビシリーズ再開にあたってはあえて「原点回帰」とし、初代ウルトラマン的に「無個性」にして「超越性」や「神秘性」を前面に押し出したことも理解はできる。
 しかし、少なくとも近年では人間クサい、あるいは漫画アニメ的に性格が誇張されたウルトラマン像の方が勝算があったのではなかろうか?


 映画『ウルトラマンギンガ 劇場スペシャル ウルトラ怪獣☆ヒーロー大乱戦!』ではラストでほんのわずかに登場したホツマであったが、あれだけでも莫大(ばくだい)なギャラが吹っ飛ぶのであろうから(笑)、それならそこまでの営業効果をもたらすほどのなんらかの戦略――もちろん、氏がウルトラマンキングに変身することを大々的にフィーチャー!――が、フツーはあって然るべきだったと考えるのだ…… それについては非常に残念!

2014.3.30


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2014年GW号』(14年4月27日発行)~『仮面特攻隊2015年号』(14年12月28日発行)所収『ウルトラマンギンガ』最終回評より抜粋)


『假面特攻隊2015年号』「ウルトラマンギンガ」最終回・関係記事の縮小コピー収録一覧
夕刊フジ 2014年4月3日(木) ぴいぷる シリーズ老いに逆らう 篠田三郎 いぶし銀の声 誠実で真面目、安心感を与える 朗読で被災地の子供たちを励ましたい 舞台『八月の鯨』客演 5月から全国100ステージ
日刊ゲンダイ 2014年3月13日(木) 懐かしのアイドル秘話(中森明夫)第8話 ひし美ゆり子 アンヌ隊員、脱ぐ!!(今は亡き青年誌「平凡パンチ」や70年代出演作品、80年代イベントの思い出)


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『ザ☆ウルトラマン』(79年)最終回 #48「ウルトラの星へ!! 第2部 前線基地撃滅」

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『ザ☆ウルトラマン』(79年)最終回 #49「ウルトラの星へ!! 第3部 U(ウルトラ)艦隊大激戦」 ~大幅加筆!

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『ギンガ』最終回評 ~ダークルギエルが全ウルトラ怪獣大投票で101位記念!
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 『ウルトラマンギンガ』(13年)後半評を発掘アップ!


ウルトラマンギンガ』後半評 ~悪のウルトラ兄弟&ラスボス級怪獣グランドキング登場! だけれども!?

(文・久保達也)
(2013年12月10日脱稿)

変身怪獣ザラガス登場! ヒロインがレッドキングに変身! 悪のウルトラ兄弟出現!


 第8話『奪われたギンガスパーク』には、往年の人気怪獣であり映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE(ザ・ムービー)』(09年・ワーナー・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101224/p1)で復活を果たした変身怪獣ザラガスが登場!
 初登場時の背面の甲羅(こうら)に覆(おお)われた第1形態を初代『ウルトラマン』(66年)以来、実に半世紀ぶりに披露! そればかりではなく全身に膨大にあるパイプの穴状の部分からハリネズミのような長くて鋭いトゲを生やして攻撃するという、いわば第3形態ともいうべき新たな姿までもが描かれる!


 さらに、『ギンガ』シリーズ後半のレギュラー悪役であり常に人間大サイズで暗躍する暗殺宇宙人ナックル星人・グレイに、変身アイテム・ギンガスパークを奪われた主人公青年の礼堂ヒカル(らいどう・ひかる)に代わって、なんとメインヒロインの石動美鈴(いするぎ・みすず)がどくろ怪獣レッドキングにウルトライブ(巨大化変身)するパターン破り!
 美鈴には『ウルトラマン80(エイティ)』(80年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971121/p1)に登場したウルトラの星の王女・ユリアン、アニメ映画『ウルトラマンUSA』(89年・東宝http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100821/p1)に登場したウルトラウーマンベスあたりに変身してほしいと思っていたが、まさかのレッドキングとは!?(笑)


 第9話『漆黒(しっこく)のウルトラ兄弟』には、「黒いウルトラマン」こと初代ウルトラマンを模した「ウルトラマンダーク」とウルトラセブンを模した「ウルトラセブンダーク」が登場!
 映画『ウルトラマンギンガ 劇場スペシャル』(13年・松竹・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200820/p1)にも登場した「黒いウルトラマン」のバリエーションでもある暗黒破壊神ダークザギ――このキャラ自体もウルトラマンノアのカラーリングを黒くしたような存在――と同様、黒い全身にボディー上の赤いラインや赤い両眼のカラーリングは、悪役キャラクターとしてはアリがちでもやはりカッコいい!


 ゲスト悪役が悪の変身アイテム・ダークスパークでダークライブ(巨大化変身)した姿がウルトラマンダークなのだが、ヒカル青年が巨大怪獣に一度ウルトライブ(巨大化変身)してからウルトラマンギンガにウルトライブしていたように「二段変身」も披露! ウルトラセブンダークにも変身する!
 バトルの最中にマンダーク・セブンダークと自在に姿を変え、マンダークの姿では回し蹴りを、セブンダークの姿では跳び蹴りをウルトラマンギンガに見舞う!


 負傷したヒカルの代わりに、今度は美鈴ばかりではなく幼なじみのレギュラー少年・渡会健太(わたらい・けんた)とサブヒロインの久野千草(くの・ちぐさ)が3人まとめて、『ウルトラマンメビウス』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070506/p1)でウルトラ兄弟の義父である「ウルトラの父」が客演した回である第37話『父の背中』に登場した宇宙三面魔像ジャシュラインに巨大化変身!
 磁力怪獣アントラーに戦いを挑むが、3人の息が全然合わず、あの動きにくそうなジャシュラインの造形で必死にパンチやキックを繰りだそうとする姿がひたすらおちゃめ(笑)。


 そこに登場したウルトラマンギンガ、アントラーの足下にすべりこみ状態のままでキックを浴びせる! 再び現れたセブンダークとギンガのキックが空中で激突するさまがカッコいい! さらにマンダークに姿を変え、レギュラー青年・一条寺友也(いちじょうじ・ともや)が搭乗して操縦する正義の巨大ロボット・ジャンナインの飛行形態に浴びせた初代ウルトラマンの必殺技でもある八つ裂き光輪は、原典の白色とは異なり黒と赤がギザ状に交錯した配色であり、マンダークのカラーリングとも統一が取れているあたりも嬉しいところだ!
 再度セブンダークとなり、ギンガを盾(たて)にして、その背後からジャンナインにセブンの必殺技であるエメリウム光線を額のビームランプから放つヒール(悪役)ぶりもまたいい!


グランドキング出現! 少年少女が初代マン・セブン・ティガに変身して立ち向かう!


 さらにさらに! 第10話『闇と光』には、往年の映画『ウルトラマン物語(ストーリー)』(84年・松竹)でも宿敵を務めた強敵・グランドキングのマイナーチェンジ版である超合体怪獣スーパーグランドキングが登場! 我々年長の特撮マニアにとってはラスボス級怪獣の登場であって強敵感もいや増すし、もちろん歴代ウルトラシリーズの知識がない御仁や子供たちが観てもそのボリューミーな巨体で、通常編の並みクラスの怪獣とは一線を画する強敵怪獣に見えるだろう。


 画面右に「ギンガ&ジャンナイン VS スーパーグランドキング」を、画面左に健太や千草らが窓から見守る学校の校舎を合成したカットが実に圧巻!


 スーパーグランドキングの体内にはナックル星人・グレイによって美鈴が人質にとられ、ギンガとジャンナインは思うように戦えない!


 そしてナンと! 美鈴を救うために、健太がウルトラマンティガに! 千草が初代ウルトラマンに! そして美鈴の父がウルトラセブンにウルトライブ(巨大化変身)!!


 予告編でも「ウルトラ兄弟揃い踏み!」などとクレジットされていたが、M78星雲・光の国出身ではなかったハズのティガが、あまりに当然のように「ウルトラ兄弟」扱いにされている!(笑) 初代マン・セブン・ティガの「ウルトラ兄弟」とジャンナインが、共同戦線でスーパーグランドキングに立ち向かう!


 が、これだけ魅力的な要素が満載であるにもかかわらず、一応は面白いし退屈もしないのだけれども、どこか高揚感や盛り上がりが今一歩という気もしないでもない……



「初期のプロットは、ラストにティガダークが出てくる以外は全く別の話で、登場怪獣もジャシュラインだったんです。話も王道のバトルストーリー+ヒカルの成長話という感じで……。『ギンガ』は急ピッチで制作が進んでいたので、設定も含めてプロット内容が流動的に変わっていきましたね」
「(一条寺)友也(いちじょうじ・ともや)と父親のエピソードは、シリーズ後半戦に持ち越す予定で書いていたんですが、最終的にそれが美鈴と父親に置き換わりました。ちなみに初期のプロットでは友也の父親がティガダークに変身したり、ヒカルがジャンナインにライブしたりと、結構設定が違っていましたね」

(DVD『ウルトラマンギンガ』第2巻 バンダイビジュアル 13年11月22日発売(ASIN:B00DOS6M84・B00DOS6M9S)・『ウルトラマンギンガ』SPARK NOTES(スパーク・ノート) Vol.2)



 前者は第5話『夢を憎むもの』、後者は第6話『夢を懸(か)けた戦い』について、脚本を担当した赤星政尚(あかほし・まさなお)が明かしたエピソードである。
 昭和ウルトラ直系の四半世紀後の正統続編である『ウルトラマンメビウス』のシリーズ構成やメインライターを務め、本来は少年漫画的な暑苦しい王道路線の作品を得意とする氏が書いた回でさえ、いつしか友也のダークな内面を強調したように筆者には思える「ドラマ主導」の話に変貌(へんぼう)を遂げてしまっていた。
 たとえ「ギンガ&ジャンナイン VS 闇の巨人ティガダーク&宇宙海人バルキー星人」という、本来ならば大喜びすべきタッグマッチ戦が描かれていようとも……


 『ギンガ』前半戦では巨大ヒーローバトルが本編で描かれる人間ドラマの単なる「延長戦」として、それをそのままなぞるだけの機能と化しているような印象を強く感じたものであった。そうした路線は後半戦においてもやはり踏襲されてしまうのだろうとは思っていた。
 もしそれを徹底するのであれば、登場人物をしっかりと描きこまなければ、人間ドラマの「延長戦」である巨大ヒーローバトルは盛り上がらないことになる。
 あまりこんなことは本来主張したくはないのだが、『ギンガ』という作品の物語構造がそうなってしまっている以上、これは必然かと思われる。


ラスボス級怪獣や悪や正義のウルトラ兄弟登場で賑やかなのに、ドコか重たさが残る理由とは!?


 第9話でウルトラマンダークやウルトラセブンダークにダークライブ(巨大化変身)したのは実はメインヒロイン・美鈴の父親である。本編を見るとふたりがどことなくぎこちない親子関係であることはうかがえる。だが筆者にはなぜ美鈴の父親がダークライブをしたのか、正直よくわからない(笑)。
 その背景となるものが、それこそ友也の父親のように一応は描かれているのならまだいい。が、美鈴の父親は第7話『閉ざされた世界』のラストで突然フラリと姿を見せる。
 そして第9話でヒカルに対し、唐突に「支配する者とされる者」の話をして悪の仲間に加わることをもちかけ、ヒカルはヒカルで「美鈴の和菓子にかける想い云々(うんぬん)」と叫び、美鈴の父がダークライブしたセブンダークを倒す。
 よくわからない理由で戦いが始まり、よくわからない理由で戦いが終わってしまう。いくらアクション演出が優れていても、これでは個人的にはバトルを楽しめるようには思えないのである。


 第10話にしても、ウルトラ兄弟が戦い始めたかと思えば、美鈴を闇の世界から連れ戻そうとしたヒカルと美鈴の口論が延々と描かれてしまう。そればかりではなく、ヒカルの祖父で銀河神社の神主である礼堂ホツマと降星小学校の白井杏子(しらい・きょうこ)校長との間で、「闇の支配者」をめぐる長々としたやりとりが繰り出される。
 今回最もオイシイはずであるウルトラ兄弟が活躍する場面を寸断してしまうかたちで、こうした描写が頻繁(ひんぱん)に割り込んできてしまうのだ。実際、ウルトラ兄弟の活躍場面は時間にしたらほんのわずかにすぎず、ギンガ登場以前にみんな敗れてしまう。相手は「超合体怪獣」なのだからウルトラ兄弟フルボッコにしても集団いじめにはならないのだし(笑)、せめてその回のラストまでは引きずって活躍させるべきではなかったか?
 美鈴の父の「娘を想う力」とか健太や千草の「友を想う力」なんて、所詮(しょせん)はヒカルと美鈴の「愛の力」にはかなわないのだ、などと主張しているようにも思えてきてしまう。「娘を想う力」と「友を想う力」と「愛の力」すべてをストーリー上でも全肯定して、それらが結集してスーパーグランドキングを倒した方がドラマ的にもテーマ的にも盛り上がったのではなかろうか? せっかくギンガがスーパーグランドキングに豪快なジャイアントスイングかましても、これではなぁ……


 前半戦ではセミレギュラーだったホツマや校長が後半戦では毎回登場。
 さらに美鈴の父親役は80年代の青春映画系の角川映画に出演して人気を博していた好青年・野村宏伸(のむら・ひろのぶ)、建設会社の開発本部長役が『3年B組金八先生』PART2(80年)でメインヒロインの女子生徒役などを務めていた川上麻衣子(かわかみ・まいこ)と、まさに筆者ら80年代に中高生であったオッサンの世代的には「どストライク!」なキャスティングではある。だが、ホツマ役の津川雅彦(つがわ・まさひこ)、女校長役の木野花(きの・はな)を含め、あらためてマジでギャラがよく払えたなぁ(笑)。
 そのキャスティング自体はよいのだが、そんなおカネがあるのなら、スーツアクターを増やしてウルトラマンや怪獣のアタマ数を増やしたり、ミニチュアに少しでも多く予算を割り振ろうとか、そういう発想にはならなかったのかなぁ……


 実は筆者が『ギンガ』後半シリーズで最も楽しめたのは、ウルトラマンタロウをリングアナにバンダイ発売のソフビ怪獣『スパークドールズ』を観客にしてリング上で描かれた第7話のクライマックスバトルである(笑)。なんか本編を実写でクライマックスのバトルをアニメで描いた変身ヒーロー『プロレスの星 アステカイザー』(76年・円谷プロ)でアニメの世界に突入する「カイザー・イン!」みたいで(笑)。
 第7話のクライマックスは一連の『ギンガ』の中では、近年ではかなり軟化が進んで「お笑い」も許容するようになったと思われていた特撮マニア間でもかなり評判が悪いようなので(爆)、第7話のそれを面白いと思ってしまうような感性も、過度な人間ドラマ重視に批判的である筆者の無意識から来る「逆張り」に行き過ぎた感覚である可能性も高いが(笑)。


 しかし、ただでさえ『仮面ライダーウィザード』(12年)最終回前後編における平成15人ライダー勢ぞろいや、『獣電戦隊キョウリュウジャー』(13年)ブレイブ39『せいぞろい! 10だいキョウリュウパワー』における遂に10人(!)がそろったキョウリュウジャーの、文字通りの爽快な「大活躍」を観せられたあとだけに、せっかくウルトラ兄弟を出しても活躍も少ないし、やや重ための人間ドラマが絡んできて作風も重たくしてしまうのでは、見劣りしてしまうのもやむなしかと……


 最終回こそ、「感動のフィナーレ」となることを期待したい。

2013.12.10


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2014年号』(13年12月30日発行)所収『ウルトラマンギンガ』後半合評1より抜粋)


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ウルトラマンギンガ 3 [Blu-ray]

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大江戸もののけ物語 ~NHKの妖怪ドラマ。女性目線のライトドラマ風味もドー観る!?

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『大江戸もののけ物語』 ~NHKの妖怪ドラマ。女性目線のライトドラマ風味もドー観る!?

(文・田中雪麻呂)
(2020年7月30日脱稿)

『大江戸もののけ物語』 ~令和の御世(みよ)のNHKの妖怪ドラマについて。


 「寺子屋(てらこや)の爽(さわ)やか先生が、ツンデレ妖怪・天の邪鬼(あまのじゃく)とタッグを組んだ! 奇跡の相棒(バディ)が大江戸に巣喰う妖(あやかし)を打ち破るッ!!」。


 ダサダサだが、惹句(じゃっく)を仕立てるなら、そんな感じになるだろうか。


 2020年7月17日(金)夜8時から、NHKBSプレミアムで始まった『大江戸もののけ物語』がそれである。


 主人公は岡田健史(おかだ けんし)演じる、旗本(はたもと=高位のサムライ)の次男坊・新海一馬。設定年齢25歳(岡田の実年齢は21歳)。弱気で武術もニガテだが、心の優しい寺子屋(てらこや=児童のための学問所)の先生である。
 岡田は2018年に『中学聖日記(TBS系)』の有村架純(ありむら かすみ)の相手役として、千人以上の応募者の中から抜擢されたシンデレラ・ボーイである。


 天才子役として鳴らした平尾菜々花(ひらお ななか)が、お雛(ひな)という寺子屋の生徒役で一馬をサポートする。設定年齢10歳(平尾の実年齢は14歳)。
 亡母への未練断ちがたく、(何故か)廃屋で火焔型土器(かえんがたどき=縄文時代中期を代表する土器)に願いを掛けていたところ、その土器が突然粉々に割れ、中から(何故か)妖怪・天の邪鬼が姿を現す。天の邪鬼とは何事も他人と反対のことを言っては困らせる偏屈(へんくつ)な妖怪である。


 現れた天の邪鬼役は、キッズモデルから着々とキャリアを重ね、今や性格俳優の域の本郷奏多(ほんごう かなた)、29歳。(我々特撮マニア的には深夜ドラマ『怪獣倶楽部~空想特撮青春記~(2017)』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170628/p1)の主人公青年!)
 顔にはヒキツリがあり、身体中に土器を思わせる土くれが張り付いておりミイラ男の包帯のよう。イケメンの彼には初の汚れ役であろう。


 本郷といえば、かの秦(しん)の始皇帝の若き日々を描いた青年誌漫画原作の大作邦画『キングダム(2019)』で、世の女性たちの憧れのアクター・山﨑賢人(やまざき けんと)と吉沢亮(よしざわ りょう。『仮面ライダーフォーゼ(2011)』の2号ライダー・仮面ライダーメテオ役!)を向こうに回して、冷酷無残な敵役(かたきやく)として存在感を見せつけていた。
 劇中のクライマックスを迎えると、本郷が王宮の衆人環視の中で吉沢にタコ殴りされ、血反吐(ちへど)を吐いて倒れるところで映画は終わった(笑)。
 当時の資料(「キングダム新聞(日刊スポーツ新聞社 2019年4月12日刊)」)を読むと、同作の原作者・原泰久、松橋真三プロデューサーらメインスタッフ満場一致で、悪役には本郷しかいないとなり、なんとか口説き落としたとある。ボコられ役のイメージがメインスタッフ間でほぼ本郷に一致していたというのも凄い話だ(笑)。


 その前は本郷はバラエティタレントとしても名を馳せた。
 潔癖症が高じて他者の作った料理が食べられず三食が駄菓子になってしまっているという触れ込みでイジられていた。中尾彬(なかお あきら)ら重鎮(じゅうちん)で食通の先輩俳優が本郷を銘店に招待するのだが、彼は全くそれらに見向きもせず、涼しい顔で傍らからポッキーを出して噛(かじ)っていたりしていた(笑)。
 「変わり者」だというのが信憑性を帯びて業界に伝わったため、本郷が座長のTVドラマのキャスト間のSNS・LINE(ライン)グループで彼ひとりだけ外されていたことがあり、本郷本人が楽しそうにそのエピソードトークをしていたこともあった。


 いかんいかん。本郷が面白過ぎてつい彼のことばかり話してしまう。
 キャスト紹介に戻ろう(笑)。


 天の邪鬼を追いかけて来たかのように廃屋に出現したのが、妖怪仲間の猫又(ねこまた=歳を重ねた猫が化けたもの)と河童(かっぱ=水辺に棲む水怪)の両名である。
 猫又はファッションモデルでもある森川葵(もりかわ あおい)、河童は若くして人気劇団のトップだった青山美郷(あおやま みさと)がそれぞれ演じている。
 市井のお洒落な町娘と見紛う人間型の妖怪である猫又に対し、尖ったくちばしに頭には水をたたえたお皿、背中には甲羅を背負うという、古来からの伝承に忠実なビジュアルの河童は全身着ぐるみで設(しつら)えられていて、その対比が面白い。


 一馬は幼時に目には見えない「あやかし」に命を救われて以来、妖怪の魅力に取りつかれ、裏では妖怪研究者の顔も持っていた。
 天の邪鬼が招来した廃屋にお雛を追って居合わせた一馬は、件(くだん)の土器に付いていた勾玉(まがたま=古代日本の装身具。母親の胎内の胎児の形に由来するという説もある)を手にしたことで妖怪を見る能力を有するようになる。一馬は天の邪鬼ら三匹の力を借り、江戸の街に蔓延(はびこ)る悪しき妖怪を退治してゆく。


 そこに一馬を好ましく想う町娘・およう役に山田杏奈(やまだ あんな)、一馬の父親役で甲本雅裕(こうもと まさひろ)、寺子屋の和尚(おしょう)にイッセー尾形とBSの児童向けのドラマとしては、かなりの豪華キャストでストーリーは展開する。


 放送枠もこういう柔らかいものには珍しく、45分や50分ですらなくたっぷり一時間。
 コンテンツとしても充実しており、ドラマ本編が終了するや、我々的には『ウルトラマンダイナ(1997)』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971215/p1)ことアスカ隊員である歌手のつるの剛士(つるの たけし)がメインで唄う「妖怪音頭」が流れ、一馬とお雛、妖怪たちが小気味良く盆踊りをダンシング!
 それが済むとドラマ部分の「妖怪監修」担当の著述家・荒俣宏(あらまた ひろし)が登場。NHKらしく毎回テーマを変えて妖怪についての雑学・蘊蓄(うんちく)を披露。アカデミックな雰囲気で幕を引く。


 そつのない作りであり、新進俳優が凌(しの)ぎを削る、理想的なキャスティングといえる。家族で楽しく観られるプログラムでもある。そうだ、そのハズだったのだが……。


 これは個人的には失敗作に思うなぁ。
 圧倒的にセンスがないので悪目立ちしている。全5回で、現在2話目を見終わったところだが、来週また観るかどうかは分からない(笑)。 


 爽やか先生が屋根裏部屋(それは彼の自室の真上に人知れず設(しつら)えられている!)に籠(こも)るシーンが毎回出てくる。テロップで「妖怪研究室」と表示される。その時点で相当気持ちが下がる(笑)。
 室内には妖怪の研究書類が無数に、うず高く積まれている。照明設備はもちろん蝋燭(ろうそく)の灯りだけだ。鬼面(きめん)や曰くありげな瓢箪(ひょうたん)など、不気味グッズが所畝(せ)ましと吊り下がっている。
 圧巻なのは妖怪画の掛け軸だ! 蛇体(じゃたい)に怪しい女の首が生え、チロチロと舌を出している「濡れ女(ぬれおんな)」と、餓鬼(がき=餓えに苦しむ悪霊)のような体に赤いチリチリのパーマ状の頭髪を持つ「赤(あか)がしら」の二幅が掛けられている。


 一馬は幼少の折、寺子屋の和尚に与えられた「妖怪図鑑」を実直な父親に咎(とが)められ、燃やされるという憂き目に遭っている。その日から幾星霜(いくせいそう)、「妖怪研究室」は一馬の夢の所産なのだ。
 もうこの悪趣味な描写で若い女の子の視聴者たちは離れてゆく。だってキモいんだもの。主人公がオタクなんだもの(笑)。
 雑然とした「妖怪研究室」とは段違いに、一馬の自室とされている場所にはとにかくモノがない。アリバイ用の小さな書庫くらいだ。


 こういう好きなものには全てを傾注し、他者の目や気持ちに想像力が及ばないところも生粋のマニアであり、世にかくれもない異常性格者である(笑)。
 一般的には視聴者に感情移入させるために、主人公にはある程度、ノーマルな人格が求められる。伝奇ものなら尚更である。不思議な事象に翻弄されなければ、狂言廻しの役割も務まらない。


 しかし、この一馬は初回にして、自前の妖怪図鑑類を読み漁り、目的の妖怪をサクッとリストアップしてきてしまう。お雛もしっかり者だから、妖怪を見ても怖(お)じることはない。逆に、おどける河童の頭を張り倒したりしている(笑)。
 妖怪たちと対峙(たいじ)するのが、妖怪オタクと肝の座った可愛げのない子どもという二人だけである。何がしたいのか? 訳が分からない(笑)。


 役柄のキテレツさとは裏腹に、爽やか先生を演じる岡田はまだ二十歳(はたち)そこそこなのに極めて聡明な俳優である。このドラマのナビ番組で抱負を語っていたが、同席していた荒俣がその内容の確かさに感嘆していたくらいだ。


 スピーチの中で、岡田はまず


 「男尊女卑(だんそんじょひ)である時代劇なのに、一馬は女性で目下のお雛に仕切られているのが面白い。」


 と口火を切った。別のナビ番組でも岡田は


 「一馬には上から目線というものがない。お雛も妖怪の河童も、同列でハグできる性格のキャラなんです。」


 と分析している。
 ある程度収録を重ね、この作品の演出意図を岡田なりに汲み取り、稀釈された結論であるとおぼしい。


 岡田のコメントを聞き、やはり先だってNHKで放送された、『天装戦隊ゴセイジャー(2010)』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20130121/p1)のゴセイレッドこと柔和な軟弱青年(笑)のアラタを演じた千葉雄大(ちば ゆうだい)が光源氏(ひかるげんじ)役を務めた『いいね! 光源氏くん(2020)』という同趣の連続ドラマを筆者は想起した。こちらは妖怪ではなく平安時代の古典長編小説『源氏物語(1008)』の光源氏が現代の東京に現れるというタイム・スリップものである。


 色男の源氏の君がお気楽にホストの真似事をしたりと能天気なライト・ドラマかと思いきや、終盤近くになって源氏はシェアハウスをしている現代人のヒロインに


 「『源氏物語』であなたが愛した女性で、幸せになった人は誰もいないから!」


 とキレられ、理不尽に冷や水を浴びせられる(笑)。


 もうダメなのだ。男性目線はその象徴的人物であっても赦(ゆる)されないのだ。光源氏がダメなんだから、時代劇でも通らないのだ(笑)。
 令和時代のドラマにすら反映している、女性への徹底したモラルの厳しさに改めて戦慄(せんりつ)する。


 キーマンである天の邪鬼にも突っ込みどころは多い。
 そもそもリーダー格が天の邪鬼というのが、まずセンスがない(笑)。偏屈者だから話を回せないし、真意とは逆のことを言うという設定のために、ストーリーの流れを平易にできない。
 土器から誕生したシーンでは、「俺は天の邪鬼だ。」と自己紹介は何故か「正しく」していたのだが(笑)。


 天の邪鬼に扮する本郷の知名度を考えても、ドラマの真の主役は彼である。一馬役の岡田の設定年齢を上げたのも、本郷に合わせてのことだろう。
 本作オリジナルの設定も、天の邪鬼に多く付記されている。何かの呪縛で彼だけこの廃屋から出られなかったり(従って「妖怪音頭」のコーナーには、天の邪鬼だけ参加していないのだ!)、悪しき妖怪を滅ぼす度に手塚治虫(てづか おさむ)の名作妖怪時代劇マンガ『どろろ(1967)』のヒーロー・百鬼丸(ひゃっきまる)よろしく、身体から土器の土くれが熱を帯びて剥がれ落ちる描写があったりする。


 キーマンが結界に阻(はば)まれているせいで、クライマックスのバトル・シーンがヘンな感じになっている。
 強大な妖怪を向こうに回し、一馬は剣術が不得手だし、猫又と河童は戦力外だし、天の邪鬼に至っては廃屋から出られないので、一馬にテレパシーで術策を与え、念動力で遠隔地から他者を動かして加勢するという、何でもアリなくせにヘッボコなチーム編成である。
 何でいつも本郷奏多だけセットオンリーで、ロケに参加しない大御所俳優みたいになっているのかト。
 北大路欣也(きたおおじ きんや)なのかト(笑)。


 筆者がこのドラマにノれない理由が、この天の邪鬼に付記された「枷(かせ)」にもある。
 多分最終回近くで、この枷の理由が絵解きで氷解されるのであろう。それを以(もっ)てヤマ場とし、エンディングを飾る一助とするのではないか。
 しかし、それはよく練られた脚本が、伏線を回収することでカタルシス(清々しい気分)を生じせしめるものではない。最初から「違和感」を呈示し、それを取り去ることで、カタルシスの代替としている「まやかし」に過ぎない。


 前述の『いいね! 光源氏くん』もそうだった。
 ドラマの序盤は実在の人物でもない光源氏がタイム・スリップしてきたことに何ら疑義(ぎぎ)を挟まなかった展開ながら、オーラス前になって突如その件を蒸し返して状況を説明してみせ、大団円(だいだんえん)に繋げていた。


 嘘でも捏造でもないが、だからこそタチが悪い(笑)。近年のライト・ドラマには、そういうものがチラホラ見受けられていて気掛かりである。


 『大江戸もののけ物語』はどんなラストを迎えるのだろうか? やはり最終回まで見届けざるをえなくなったなぁ(笑)。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2020年真夏号』(20年8月2日発行)所収『大江戸もののけ物語』評より抜粋)


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ウルトラマンギンガ 劇場スペシャル ~ジュブナイルじゃない!? アイテム争奪コント劇で「見せ場」重視!

『ウルトラマンギンガ』序盤評 ~低予算を逆手に取る良質ジュブナイルだが、それゆえの危惧もアリ!?
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 ウルトラマンギンガも客演する映画『劇場版ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス』(20年)が公開中記念! とカコつけて……。映画『ウルトラマンギンガ 劇場スペシャル』(13年)評を発掘アップ!


ウルトラマンギンガ 劇場スペシャル』 ~ジュブナイルじゃない!? アイテム争奪コント劇で「見せ場」重視!

(文・久保達也)
(2013年9月15日脱稿)


 筆者がここ7~8年ほど在住している静岡県では上映がないので(爆)、公開初日の2013年9月7日(土)、JR桜木町駅前の横浜ブルク13(サーティーン)まで早朝から東海道線で足を延ばして、初回9時30分の回を鑑賞。


 主人公の礼堂ヒカル(らいどう・ひかる)ら、幼なじみの仲良し高校生4人組が、なんと降星山(ふるほしやま)でスパークドールズ=怪獣人形探しに没頭!


 メインヒロイン・石動美鈴(いするぎ・みすず)とレギュラー少年・渡会健太(わたらい・けんた)が見つけたのは、大蟹(おおがに)超獣キングクラブ(!)の人形!


 その写真を携帯電話で見せられたサブヒロイン・久野千草(くの・ちぐさ)は、


「この怪獣マジでキモい」


などとヌカす……(爆)


 人形化してしまったウルトラマンタロウがヒカルと千草のチームにいたら、


「これは怪獣ではない。超獣だ!」


とフォローしてくれたであろうが(笑)。


 ヒカルとタロウが存在を関知していた6体の怪獣人形を無事に集める一同。


 そこに人間大サイズの異次元宇宙人イカルス星人が出現!


 美鈴を人質に6体の怪獣人形をヒカルから奪い取ったイカルス星人は、それらの怪獣人形の足のウラの模様を、悪の変身アイテム・ダークスパークで読み込みして、次々とダークライブ!(=巨大怪獣へと変身!)


 さらに、自身の体もダークスパークでリードすることで、イカルス星人は6体の怪獣と合体し、暴君怪獣タイラントが誕生する!!(感涙!)


ジュブナイルですらない! 「気張り」のないアイテム争奪戦のコント劇! 「見せ場」重視のバトル!


 オイオイ、いつものテレビシリーズのジュブナイルな青春ドラマはいったいどこへ行ってしまったんだ!? そもそもドラマが全然ないではないか!? テレビシリーズでも毎週こんな調子でサクサクやってくれてもよいではないか!?(笑)


 『ウルトラマンギンガ』(13年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200819/p1)テレビシリーズ分割放送の前半の最終回にあたる第6話『夢を懸(か)けた戦い』で、ヒカルたちのライバル美少年・一条寺友也(いちじょうじ・ともや)が、


「『僕の夢』は、ウルトラマンギンガを倒すこと!!」


などと発言したことに対してヒカルは、


「そんなことは気張らずに、笑顔で云うもんだぜ!!」


と返していたが、そのセリフをそっくりそのままテレビシリーズの『ギンガ』にお返ししたい気分である(笑)。


 合体怪獣タイラントに魅(み)せられた者なら子供でも思いついてしまうような、これまでアリそうで実はなかったネタを、そのまま絵にしただけ(笑)の今回の映画の方が、少々肩に力が入っているような感があるテレビシリーズの『ギンガ』よりもよほど面白いということを改めて実感してしまったのであった。


 昭和ウルトラシリーズの世界観に直結していた『ウルトラマンメビウス』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070506/p1)のシリーズ構成・メインライターを担当しただけあってか、「ウルトラの父」や「ウルトラの母」にとどまらず、映画『ウルトラマン物語(ストーリー)』(84年・松竹)に登場したタロウの幼年期の姿である通称・コタロウを登場させてみたり、「ギンガ&ジャンナイン VS 闇の巨人ティガダーク&宇宙海人バルキー星人」のタッグマッチまでをも描いた赤星政尚(あかほし・まさなお)の脚本回である先に挙げた第6話ですらもが、コタロウやタッグマッチよりも友也のダークな内面の方が印象に残ってしまうほどに、『ギンガ』の作風は悪い意味で「ドラマ主導」の面が強いように感じられる。


 「円谷プロの夢」が平成ライダースーパー戦隊を倒すことであるならば(?)、やはりあまり気張ることなく、もっと気楽に笑顔で主張ができるような、怪事件ありきでそれに対するリアクションや捜査に探検、ヒーローや怪獣の魅力や能力を前面に出してバトルに決着していく作品づくりをするべきだと考える。そのための助走台として捉えるならば、今回の『ギンガ劇場スペシャル』はけっこうイイ線をいっていると個人的には思えるのだ。


 その意味では、本作では『劇場スペシャル』とばかりに大掛かりなミニチュアセットが組まれていたり、ギンガの新たな必殺技が派手にCGで描かれるということもない。テレビシリーズ並みの予算と規模でアクションや特撮が済まされているあたりは、単に超低予算作品だからだろうが(爆)、結果的には良い意味での「気張り」のなさの象徴として捉えてもいいのかもしれない――ちなみに、オープニング映像や主題歌すらも、テレビとまったく同じであった(笑)――。


 しかし、それでも「見せ場」はかなり充実しているように感じられるのだ。ウルトラマン映画としては前作にあたる『ウルトラマンサーガ』(12年・松竹・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20140113/p1)ももちろん悪くはないのだが、バトル・シチュエーションや特撮演出面では必ずしも負けてはいないと個人的には感じているくらいである。これはやはりドラマの流れに押しつぶされることなく、「見せ場」が「見せ場」として立派に機能していたからでもある。


 そして、いつものテレビシリーズの『ギンガ』並みの特撮セットだからこそ、そこにイカルス星人(60年代)・暴君怪獣タイラント(70年代)、ウルトラマンティガ(90年代)・暗黒破壊神ダークザギ(00年代)と、まさに各世代にアピールするかのような人気キャラが続々と登場することにより、相対的(笑)にスペシャルな印象が醸(かも)し出せているといった側面もあるのだ。


●等身大のイカルス星人が右手からおなじみのアロー光線を発射したり!
タイラントの猛攻にピンチに陥ったウルトラマンティガをジャンナインが救い、切断したタイラントの右腕のカマをティガがタイラント目掛けて空中高くから蹴りこんだり!
●ダークザギがあいかわらず宙に向けて吠えるようなポージングのあとに、そのままラリったアクションを展開したり!
●ヒカルがティガへ、そしてギンガへと、ウルトラマンへの「二段変身」を披露したり!


 さらには、いつもの降星山の周辺を飛び出して、ダークザギとギンガの超高速スピーディーな空中戦が、砂漠や溶岩が流れる火山地帯で展開されたり!――明らかに日本ではない! どこまで飛んでいったのだ!?(笑)―― 特撮側のヒーローや怪獣キャラそれぞれに実に華(はな)が感じられる演出が用意されていたこともまた大きいのである。


 派手派手に活躍させているヒーローや怪獣などの特撮キャラの描写と連動するかのように、本作の本編レギュラーキャラたちはまるで童心に帰ったかのようにシンプルな行動原理だけで動いており、怪獣人形探しに精を出して発見してはハシャいでみせたり、ヒーローVS怪獣バトルに一喜一憂(いっきいちゆう)したりに徹しており、いわゆる一般的な意味での「人間ドラマ」はほとんど演じてはいないのだ。そして、このことこそが変身ヒーロー作品「本来の魅力」を充実させることに大きく貢献(こうけん)していると思えるのである。


 いや、本作では本編部分でさえ、イカルス星人が化けた美鈴が両腕を前に突き出しブラブラさせる独特のポージングで、いちいち語尾にベタベタな「~イカ」をつけて話してみたり、正体がバレそうになってあわてるや、まるでネコ耳コスプレのようにニセの美鈴の頭からイカルス星人の巨大な耳が露出してしまったり、ネコ耳もといイカルス耳でバレバレなのにもかかわらず、ホンモノの美鈴を指さして、


「こっちがニセモノ!」


とヌカすなど、深刻な人間ドラマなどで見せるのではなく、そうしたコミカルな演技で見せていく喜劇的な演出がなされているのである!(美鈴ちゃんも、大幅に株が上がったぞ・笑)


合体怪獣タイラントを構成する怪獣! 初登場時はブラックキングもその一体だったじゃなイカ!?


 タイラントは周知のとおり、ウルトラ兄弟に倒された怪獣たちの怨念(おんねん)が合体して誕生した怪獣である。


 『ウルトラマンタロウ』(73年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071202/p1)第40話『ウルトラ兄弟を超えてゆけ!』での初登場以来、小学館学年誌怪獣図鑑の類(たぐ)いにおいて、


●頭は竜巻怪獣シーゴラス
●耳は異次元宇宙人イカルス星人
●腹は宇宙大怪獣ベムスター
●腕は殺し屋怪獣バラバ
●足はどくろ怪獣レッドキング
●背中は液汁超獣ハンザギラン
●尾は大蟹超獣キングクラブ


などと、タイラントの各部を構成する怪獣たちについては、現在に至るまでこのように紹介されてきた。


 しかし、いつの間にか、肝心なことが忘れ去られてしまっている。タイラントの後頭部にある巨大なツノは、用心棒怪獣ブラックキングのものではなかったのか!?


 本作で登場した着ぐるみにしろ、バンダイから発売されていた『ウルトラ怪獣シリーズ』のソフビ(ソフトビニール人形)にしろ、このブラックキングのツノはしっかりと造形されているのだ! にもかかわらず、いつしかこれが完全に無視されるようになり、誰も語ろうとはしないのである!(笑)


 本作の劇場売りパンフレットにも掲載されているように、初登場時は小学館学年誌の記事においても、


「角(ツノ)はブラックキングのものだ」


とたしかに紹介されていたのだった!


 だが、この記事をしっかりと再録しているのにもかかわらず、パンフの本文ではこの設定になんら触れていない。


 映画本編でもブラックキングは合体はおろか、登場すらしていないのだ。リアルタイムでタイラントに出会えた世代としては、いったいいつからこうなってしまったのか、不思議でしかたがなかったのだが……


 アレっ!? 先に挙げた当時の学年誌の記事。よく見ると、「角はブラックキングのものだ」と紹介しているのにもかかわらず、そこに掲載されている写真は「宇宙大怪獣アストロモンス」じゃねぇか!(爆)


 ひょっとしたら、この学年誌編集部、あるいは当時の写植屋さんの凡(ぼん)ミスが原因で、タイラントの後頭部のツノはブラックキングのものであるという設定が定着しなかったのではなかろうか!?


 こんな40年も前の当時の設定を克明(こくめい)に記憶している筆者からすれば、この設定が改変、というかスッカリ忘却(ぼうきゃく)されてしまっていることが残念でならない(笑)。


 ちなみに、『帰ってきたウルトラマン』(71年)終盤か『ウルトラマンA(エース)』(72年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070430/p1)序盤が放映されていた当時、小学館学年誌に、


●頭がブラックキング
●胴体がベムスター
●腕が岩石怪獣サドラ
●足が古代怪獣ツインテール


という合体怪獣が、それぞれのスチール写真をコラージュして掲載されたことがあったのだ!――着ぐるみではスーツアクターの頭が入っている方の、逆立ち体型のツインテールの両脚(?)のような二股のシッポである部分が上下逆転して、この合体怪獣の頼りない両脚(爆)を構成しており、千草ではないがマジでキモかったものだ(笑)――


 これなぞはまさにタイラントの「原案」とも呼ぶべきものである。やはり、こうした発想は「ドラマ性」や「テーマ性」を脚本家たちに要求したTBS側の橋本洋二プロデューサーや円谷プロ側のスタッフよりも、子供たちに日々直接に向かい合っていた小学館側の稚気満々(ちきまんまん)な童心を残した編集者たちのものであったのか! と、今日(こんにち)の観点からしても誠に興味深く感じられてくるのだ。


 その小学館のオリジナル合体怪獣の中でも、重要な頭部に位置していたブラックキングが、タイラントのツノを構成する重要な要素であったのにもかかわらず、忘れ去られてしまうとは……


 筆者は『ギンガ』第1話で、ヒカルが最初に発見したスパークドールズがブラックキングであったことを、今回の『劇場スペシャル』の伏線だとばかり思いこんでいたのに……(笑)


 6体の怪獣人形を手にして得意げのイカルス星人に対し、


「おい、イカルス星人! 肝心なヤツを忘れてんじゃないのか!?」


と、ヒカルが得意げにブラックキングの人形をイカルス星人に見せびらかす!


「おっと、こりゃイカん! そんなイカしたヤツを忘れていたとは! まっ、イッカ。そいつなしでもタイラントは充分、強イカも」(笑)


などと、イカルス星人はそれでも6体の怪獣と合体! ツノがない不完全な状態でタイラントが登場!


 ツノがない状態でタイラントが登場したことで、タイラントのツノはブラックキングのものなのだ! と40年ぶりにダメ押しして、あるいは学年誌独自の勝手な設定だったのだとしても(汗)、40年後の後出しの追加設定として(笑)、子供たちやマニア連中にも周知をはかってみせる!


 しかし、ソフビ人形を売るためにもツノがある完全体のタイラントを登場させないワケにはいかない(笑)。よって、タイラントの体内に潜んで主導権を握っているイカルス星人は、タイラントの腕こと超獣バラバの腕からクサリ付きで伸びるカマでヒカルを攻撃して、弾き飛ばしたブラックキングの人形をゲット!


 タイラントの体内でイカルス星人はブラックキングの人形をリード! タイラントの頭頂部にブラックキングのツノが生えてきて、完全体のタイラントが出現してバトルを開始!! 



 しかし、ティガとタイラントのバトルの最中に、


初代ウルトラマンレッドキング
ウルトラセブンイカルス星人
ウルトラマンジャックがシーゴラス・ベムスター・ブラックキング
ウルトラマンエースがバラバ・キングクラブ・ハンザギラン


といったように、それぞれのウルトラマンがかつての対戦相手に限定して、かつてウルトラ4兄弟がエースに超獣ブロッケンを倒す方法を伝授したように、タイラントの各部分の弱点をウルトラサイン(!)でヒカルに教えるとか!(笑)


 たとえ人形状態のウルトラマンたちはふだんは意識がなかったとしても、その瞬間だけは目覚めたことにすればよい!


 もちろんヒカルにウルトラサインは読めるはずもないから、タロウがそれらを解読してヒカルに伝える! ギンガスパークを片手に握ってさえいれば、ヒカルでもウルトラサインが解読可能になるといった設定でもよい! タロウもまた「兄さんたち、無事だったんですね!」と安心してみせる(笑)。


 タイラントの弱点に次々に攻めこむことでティガが勝利する!


 あの栄光のウルトラ兄弟たちがいささか変則的なかたちの助言だけでも助勢さえすれば、超低予算作品でも一点豪華主義的なスペシャル感! 作品自体にサラブレッドな血統感をも醸し出すことができただろう!


 まぁ、怪獣レッドキングベムスターは『ウルトラマンメビウス』(06年)の時代に造形した着ぐるみがまだ残っていたハズだから、タイラントがいきなり登場するのではなく、少しだけでも単独で暴れてほしかったとは思う。
 超獣キングクラブやハンザギランを新造する予算などはカケラもなかっただろうことは想像がつく(笑)。それらとの統一をはかるためにあえて単独で暴れさせなかったのかもしれないし、45分程度しかない短尺映画なので、泣く泣くレッドキングベムスターの登場などはオミットしているのだろう内情なども推測はできるが、それでもこのあたりは少々残念だ(笑)。


 身体の各所に強敵怪獣たちの特徴的なパーツをまとうことで、合体怪獣にそれらの怪獣たちのパワーも宿したように我々が感じてしまうのは、冷静に考えてみれば科学的・SF的ではなく非科学的・非合理的な心情である。どころか、各々(おのおの)の怪獣たちのパーツや文様などの「意匠(いしょう)」に何らかの霊的・神的・超常的なパワーを感じてしまう心性は、前近代の中世や古代ですらなく、もっと原始人的で呪術的な感性ですらあった(爆)。しかし、人間とは良くも悪くもそのような感性を失うこともまた永遠にないのだし、むしろそういった心情こそが普遍なのであって、それを積極的に活かしてみせることこそがヒーロー活劇の王道でもあるのだ!


 それが証拠に、この合体怪獣タイラントともまったく同じ発想で、映画『大決戦! 超ウルトラ8兄弟』(08年・松竹・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101223/p1)には究極合体怪獣ギガキマイラが、映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE(ザ・ムービー)』(09年・ワーナー・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101224/p1)にも百体怪獣ベリュドラが登場していた。


 『ウルトラQ』(66年)・『ウルトラマン』(66年)・『ウルトラセブン』(67年)といった第1期ウルトラシリーズの本編美術・特撮美術・怪獣デザインなどを手掛けたことで、第1期ウルトラシリーズ至上主義者たちに神格化されてきた故・成田亨(なりた・とおる)は、ハッキリとした名指しこそ避けたものの合体怪獣タイラントのことを指したとおぼしき、既存の怪獣のパーツ・パーツが合体したようなギリシャ神話の神獣キマイラのような合体怪獣の存在は、デザインとしては邪道であるとして大いに批判をしていたものだ。
 そのことで、自分のアタマで物事を考えずに先人の意見にただ屈服してそれのウケウリを繰り返すような一部の特撮マニアたちによって、このタイラントもまた酷評の憂き目にさらされていた時代も実に長かったのだ(汗)。


 しかし、1988年12月26日(月)~30日(金)までの冬休み期間中の5日間、TBSローカルで朝10時からの90分枠の特番で、初代『ウルトラマン』再放送2本立てプラス各種トリビア情報の特別番組『おまたせ! 一挙大公開ウルトラマン大全集』なる特別番組が放映された折り、その1コーナーで当時の平日夕方の帯番組『ウルトラ怪獣大百科』(88年・テレビ東京)の影響だろう、ロケ先の幼稚園の園庭で園児たちが「好きな怪獣は何か?」というインタビューに答えて「タイラント!」と口々に絶叫していたことがあったのだ!
 これを観て、筆者がタイラントにリアルタイム(74年1月4日)で遭遇した際と今現在(88年)とでも、合体怪獣といった存在に呪術的な強敵感といったオーラを感じてしまうような感性は変わらないのだな……と強く実感したものであった。


 それからでも20年もの歳月が過ぎてしまった。しかし、『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY(ネバー・エンディング・オデッセイ)』(08年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100211/p1)でライバルの青年が使役(しえき)する強敵怪獣として復活を果たしたタイラントは、今度は特撮マニアたちに特に反発を受けることもなく(汗)、どころかなぜか熱烈に好意的な歓迎まで受けて(笑)、その後は幾度も再登場を繰り返してみせる人気怪獣として復権を果たしたのであった!


巻末にはいつもの『スパークドールズ劇場』も! 短編映画『劇場スペシャル』の可能性!


 なんと、巻末には『ギンガ』テレビシリーズ本編でもおなじみの人形劇『スパークドールズ劇場』までもが用意されていた。


 そして、『ウルトラマンギンガ』放映中断ブランク後の第7話からの後半シリーズの放映が2013年11月20日に再開すること、映画『ウルトラマンギンガ 劇場スペシャル』第2弾が来年2014年3月に公開されることを、タロウや怪獣人形たちがしっかりと宣伝していたのであった(笑)。


 しかし、クリスマス商戦合わせの12月いっぱいでの後半シリーズ終了後、『劇場スペシャル』第2弾の公開まで3ヶ月近くもブランクがあるというのはいかがなものか? 『新ウルトラマン列伝』での『ギンガ』総集編の放映程度では、世間や子供たちの関心を持続させるには弱いと思えてならないのだ。


 今回の『劇場スペシャル』第1弾のような映画が超低予算で時間をかけなくとも製作可能であることが判明した以上は、近年の平成ライダーシリーズの劇場版のように数ヶ月に1本のペースで短編映画などを公開するようなことはできないものなのか? 幼児たちの集中力の限界という観点からしてもそうだが、ブランクを空けて大作長編をつくるよりも、今回のような短編映画を定期的に連打していった方が世間や子供たちの注目度も高いだろう。


 もっとも、『列伝』放送局の少なさと同様に、映画を流してくれる劇場の少なさといった問題もあるのだが(汗)、それが改善されるのもまた本作の興行成績次第といったところか?


『ギンガ』前半おさらいと、ソフビ人形ラインナップに見る『ギンガ』後半への期待!


 そのためにも、『ギンガ』後半シリーズには前半シリーズからの大幅な路線変更を望みたいところだ――撮影自体は前半シリーズとのまとめ撮りでもう終わっていることだろうが(笑)――。


 第3話『双頭の火炎獣』もそうだったが、第4話『アイドルはラゴン』もまたバトルの中に悪い意味で「人間ドラマ」を持ちこみすぎてしまっている。いくら悪意はなかったとはいえ、ドタキャンしたアイドルの代理としてメインヒロイン・美鈴がグラビア撮影に応じたことは、アイドル志望のサブヒロイン・千草を傷つけるには充分すぎるものであり、それに目をつけたバルキー星人によって千草が海底原人ラゴンと化す流れ自体はアリかもしれない――地球どころか降星町の存亡にも関わらない非常にミクロな事件であっても、何気にけっこうヘビーで残酷な展開の人間ドラマだったとも思うが(汗)――。
 しかし、特撮怪獣バトルの方はそれまでのやや鬱(うつ)な心情ドラマをいったん断ち切って、一転して壮快にやらないとヒーロー活劇としてはバランスがとれないし、カタルシス(爽快感)にも欠けてしまうのではなかろうか? それまでの本編ドラマの鬱ノリのままでバトルを展開するなよ!(笑)


 どうせなら、『タロウ』第48話『日本の童謡から 怪獣ひなまつり』でタロウが酔っぱらい怪獣ベロンにそうしたように、


「目を覚ませ、千草!」


と、ギンガがラゴンにバケツの水をぶっかけるとか(笑)、コミカルなバトルでここぞとばかりに中和してみせればよかったのに……


 とはいえ、そのドラマがいったん終わったあとのラストシーンに、悪のロボット・ジャンキラーが突如として出現してギンガを徹底的に砲撃し、飛行形態に変型する派手な見せ場の場面があったことは、そこは1話完結の予定調和を破ってみせるパターン破りの要素として、そして飽きっぽい21世紀の子供たちに対する、次回も観たくなるようなヒキ(引き)の要素としても実によかった。


 しかし、逆に云うならば、単体作品としてヒーロー活劇の尺度で観た場合に、そのドラマ性はともかく、第4話もまた第3話と同様にキツかったとは思うのだ。初期編でやや陰鬱な題材を連続で列挙させたら、やはり子供たちも一般層も今時の若い特撮マニアたちも逃げてしまう危険性が高いと思えてならないのだ。


 もっと明るくシンプルに、悪の手先の代理人である等身大のバルキー星人と鬼ごっこ(笑)をしているだけのようなノリの方がよいのに……とも思うけれどもなぁ(汗)。



 あと、正義の巨大ロボット・ジャンナインが当初の悪役姿であったジャンキラーとして、本作『ギンガ』では再登場したことには、筆者は『ギンガ』序盤評(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200819/p1)の原稿で苦言めいたことを呈してしまった。


 しかし、ジャンナインが初登場したオリジナルビデオ作品『ウルトラマンゼロ外伝 キラー ザ ビートスター』(11年・バンダイビジュアル)において、ジャンキラーがウルトラマンゼロが率いるウルティメイトフォースゼロのメンバーたちに説得されて改心してジャンナインとなった展開を思えば、『ギンガ』でもそれが踏襲(とうしゅう)されるであろうことは容易に予測されたワケであり…… 浅慮(せんりょ)を恥じるばかりである(汗)。


 当初はイヤなイヤなイヤなヤツであったものの、ヒカルに夢を持つことのすばらしさを教えられ、心が揺れ動くこととなった友也が操るメカとしては、前例踏襲主義からもジャンナインほどふさわしいものはない!(笑)
 単純にウルトラマンギンガとジャンナインが揃い踏みする姿を見ても、かねてから今時の「ウルトラ」作品ならば、防衛組織にも巨大ロボットを装備させるくらいのことをしろ! と主張していた筆者としてはやはり感慨深い!



 バンダイのソフビ人形『スパークドールズ ウルトラ怪獣500』では、2013年9月上旬に暗殺宇宙人ナックル星人・グレイが発売されている。つまり、『ギンガ』前半のレギュラー悪であったバルキー星人と交代して、このナックル星人が後半シリーズに登場するレギュラー悪となるようだ。


 2013年10月発売分のラインナップの中には、往年の『ウルトラマンタロウ』(73年)に登場したエフェクト宇宙人ミラクル星人(!)や、『ウルトラマンレオ』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090405/p1)に登場した宇宙悪霊アクマニヤ星人(!)など、第1期ウルトラシリーズ至上主義者たちには黙殺されてきたものの、昭和の全ウルトラシリーズを等しく愛してきたマニアたちにとっては中堅どころであった、驚愕(きょうがく)ものの怪獣キャラクターたちが含まれている。これらの怪獣たちが『ギンガ』後半シリーズにも登場することを期待したいものだ。


 さらに2013年11月には、映画『ウルトラマン物語』で宿敵を務めたボリューミーな巨体を誇った怪獣・グランドキングの強化形態とおぼしき超合体怪獣スーパーグランドキング(!!)が通常の倍の定価というスペシャル物件扱いで発売されるのだとか!


 今回の『劇場スペシャル』の感動ふたたび! となることを、『ギンガ』の後半戦や来春の『劇場スペシャル』第2弾に期待しつつ、本稿はこれにて幕とさせていただこう。

2013.9.15.


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2013年秋号』(13年10月6日発行)~特撮同人誌『仮面特攻隊2014年号』(13年12月30日発行)所収『ウルトラマンギンガ 劇場スペシャル』合評1より抜粋)


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