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慎重勇者・超人高校生・本好きの下剋上・のうきん・けものみち ~西欧中世風異世界を近代化せんとする2019秋アニメ評!

『異世界かるてっと』 ~原典『幼女戦記』・『映画 この素晴らしい世界に祝福を!-紅伝説-』・『Re:ゼロから始める異世界生活 氷結の絆』・『盾の勇者の成り上がり』・『劇場版 幼女戦記』評  ~グローバリズムよりもインターナショナリズムであるべきだ!
『アズールレーン』 ~中国版『艦これ』を楽しむ日本人オタクに一喜一憂!?(はしないけど序盤は良作だと思う・笑)
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『慎重勇者~この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる~』・『超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!』・『本好きの下剋上 司書になるためには手段を選んでいられません』・『私、能力は平均値でって言ったよね!』・『旗揚!けものみち』 ~西欧中世風異世界を近代化せんとする2019秋アニメ評!

(文・T.SATO)
(2019年10月27日脱稿)

『慎重勇者~この勇者が俺TUEEE(ツエエエ)くせに慎重すぎる~』


 2019年秋のアリガチな西欧中世ファンタジー異世界転移モノの深夜アニメの1本。なのだが、序盤を観るかぎりでは実に面白い!


 近年の異世界ファンタジーは、異世界そのものの珍奇さよりも、そのようなファンタジーに逃避して擬似的な万能感にひたる弱者男子である自分の性格類型を皆でメタ的に自覚して、自身の鏡像でもある情けないニートやヒッキー(引きこもり)などのコミュ力弱者の奇行ぶりで笑いを取りに行くことで、古典的なファンタジーを王道とするならば、変化球の作品ばかりになっているけど、本作はそこにさらにヒネりを入れてみせたといったところか?


 まず、主人公の勇者が今ではアリがちなニートやヒッキー上がりではない。その対極ともいえる身長180センチ超の低音ボイスで寡黙な黒髪長髪のナイスガイな日本人青年である。
 TVゲーム的に各種スペックを中空に表示させるや最初から非常に高い数値も示すあたりは、ニートやヒッキーが主人公の作品でも散見するお約束のご都合主義だけど、それで有頂天になってエラぶって昂ぶって天狗になってしまわずに、実に強い意志で自己を律して抑制もできるストイックな人格者であるあたりは、ニートやヒッキー主人公の対極ともいえる。


 そこまでは尊敬すべきなのだが、彼を召喚した天界の女神さまが、今すぐにでも彼を勇者として異世界救済の旅に遣(つか)わそうとしているのに、それを断ってみせる! 天界にある彼の履歴書に「アリエないほど慎重」と書かれていたのを地で行くがごとく、まずは異世界救済の下準備として、腕立て・腹筋などの筋トレに1週間を費やしてしまうので、物語自体が始まらないのだ(笑)。


 加えて、彼を現世から召喚した女神さまもまたキョーレツである。見た目はお上品に取り澄ました見目麗しくて両肩や豊乳の胸の谷間をモロ出し&ミニスカな白い羽衣チックなドレスをまとった金髪の新米女神さまなのに、その中身・メンタルは人間の俗物そのモノ。
 「日本では異世界転移モノのラノベが流行っていて話が早いから」と、今までも今回も「日本の若者」を召喚したとする(笑)。召喚した今回の若者勇者クンが長身のクールなイケメンで裸の上半身が筋骨隆々な姿を見るや、「あら、イイ男♡」と我を忘れてニヤけた垂れ目になって口の脇からヨダレを垂らして、後ろを向いて両手で自身の金髪をナデて整えだし、こんな男と熱愛を演じてみたいとキスシーンを身悶えしながら妄想する(笑)。
 もちろん仮にも女神さまなので、表面的には威厳を装って召喚した勇者クンに異世界救済のご託宣を瞑目して垂れつづける。垂れつつも、「勇者クンは自分の美貌にゾッコンのハズ!」と自慢・自己愛・自己陶酔にふけりながら、勇者クンの方をチラ見しているあたりも笑ってしまうのだが、本作の真骨頂はココからだ。


 勇者クンが表情も変えずにイケメン低音ボイスでいわく、


「珍妙なモノにイキナリそんなことを云われてもな」
「ホントウに神ならお前がそのナントカいう世界を救えばイイだろう」
「拒否権はナイのか?」
「自由裁量権はナイのか?」
「ルール改定のための選挙権はナイのか?」
「ちなみにその世界で死んだら、俺はドーなる?」(……笑)


 それらに対する金髪女神さまの反応が、美顔をクシャクシャに崩して、


「珍妙!! それってワタシのこと!?(怒)」
「(イケナイッ、威厳ッ。女神としての威厳ッを保つのよッッ!)」
「(勇者クンの壁ドンせまりに対して)まさか、私を? ダメよ~、ダメダメ~(誤解に基づくリアクション)」
「あッアァ~、シックス・パック(勇者クンの割れた腹筋のことを英語発音で・笑)」
「(シャワー直後の勇者クンを見て)セクシ~ィ、それに石鹸のイイ匂いィ(鼻血を流してる・笑)」


 勇者クンの反応もやはりシリアスな低音ボイスでいわく、


「(差し入れのお握りに対して)得体の知れない者が作った得体の知れないモノか?」
「お前が先に喰え。毒が入っているかもしれんからナ」
「即効性の毒は入っていないか」
「(金髪女神を模した人形型のブザーに)コイツに爆弾が仕掛けられたりは……」


 異世界に降臨してからも、


「驚いたナ、そんな(金髪女神の)露出狂みたいな格好でよく普通に挨拶できるモノだ」
「(挨拶した善良そうな村人に対して)さっきの奴がオカシいのでは? 実はモンスターだったりとか」
「たとえモンスターでなくても、殺人鬼などの凶悪犯罪者の可能性もある……」(爆笑!)


 疑り深い勇者クンの言動に、金髪女神さまはイチイチ調子を狂わされる(笑)。一応、異世界では悪い魔女とも壮絶なバトルを繰り広げるのだけど、本作のキモはバトル中においても展開されて、終始つづいていく慎重勇者クンと金髪女神さまの掛け合い漫才にあるのだ。


 コレをブーストするのが、金髪女神さまがアキれたり、ニガ笑いしたり、眉間や額にシワを寄せたり、ついには怒り狂ったり、クチを尖らせたりする、ギャグ漫画的に豊かな顔芸作画の数々。作画的には多分、高品質ではナイのだろうが、崩した顔面にはそんなモノは必要ナイ(笑)。


 同季の異世界転移モノの深夜アニメ『旗揚(はたあげ)! けものみち』(19年)の原作者が先に手掛けたラノベ原作の大ヒットアニメ『この素晴らしい世界に祝福を!』(16年)でニートの青年を天上界に召喚したのはイイけれど、手違いで自身も下界の異世界へ降臨してパーティーに同行するダメガミ(駄女神)ことユカイな水の女神・アクアさま(声・雨宮天)の素っ頓狂さもそーとーなギャグだったけど、本作はそれを踏襲しつつも、その上を行くキョーレツさ!


 それに加えて、金髪女神さまの顔芸にカブるのは、基本はキンキンで華のあるお姉さまボイスなのに、慎重勇者クンの突拍子もナイ言動に対して、言葉が詰まったり、焦って声がウラ返ったり、怒りで次第にやさぐれたダミ声セリフと化していき、沸点に達して絶叫したかと思ったら、イイ男を見てミーハーにウキウキしだすと妙に口調の抑揚が激しくなり語尾のイントネーションも尻上がり、チヤホヤされるとホッホッホッと浮かれ出す、実に三枚目的で汚れキャラクターでもあるような愉快な声の演技が、本作のギャグをさらにブーストしている!
 金髪女神さまを演じるのは中堅・豊崎愛生(とよさき・あき)。大ヒット深夜アニメ『けいおん!』(09年)の女子高生主人公・平沢唯の芝居からも早10年。随分と遠い地点に来たモノだ(笑)。
この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる 1 (ドラゴンコミックスエイジ)
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『超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!』


 2019年秋のアリガチな西欧中世ファンタジー異世界転移モノの深夜アニメの1本。なのだが、序盤を観るかぎりでは実に面白い!


 高校生にして世界最高の発明家少女、高校生にして世界最高の剣豪少女、高校生にして世界最高の医者少女、高校生にして世界最高の事業家少年、高校生にして世界最高のマジシャン美少年、高校生にして世界最高のジャーナリストいや忍者少女、高校生にして世界最高の政治家少年(日本国首相!・笑)。


 そんな超人高校生たちが搭乗したジャンボジェット機異世界の山間に墜落! 妖精耳や獣人耳をした山間村落の亜人たちに救助される。助命してくれた村落の人々の恩義に報いるため、ひいてはこの異世界で成り上がるために、小はマヨネーズ(笑)を製造し、中は剣術や忍術に体術や手品で粗暴な傭兵どもを撃退、発明家少女が造った飛行機に積んでいた超小型原子炉(笑)の電力&飛行機の残骸やポーキサイト鉱脈でアルミ工場を作って、改造スマホで連絡を取り合い、中世都市の商業組合の独占を崩すために市長の弱みを握って営業許可証を発行させて、庶民の居住区の近くで安売り商売を開始して、その奇抜な手法に興味を覚えた商業船団とも契約を結んでいく……。


 てなワケで、異世界で万能感にひたるのだとしても、魔物や魔王退治によるアクションのカタルシスによる万能感ではなく、ラノベ原作の深夜アニメ『狼と香辛料』(08年)や2ちゃんねる投稿小説出自の深夜アニメ『まおゆう魔王勇者』(13年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200123/p1)などの、西欧中世の商業や流通に統治や平和維持を題材とした、やや知的で知略的な方面でのサクセス・ストーリーといった様相も呈してくるけど、あの2大名作と比するとハイソで風情もある絵柄&背景ではなく、もっとお気楽でマイルドなデフォルメ萌え絵柄と作風にストーリー展開ではあるともいえる。


 こう書くと安っぽそうな作品だけど、「帳簿の数字だけ見ているリストラ」よりも「ビジネスには関係者の信用も必要」とばかりに「リストラされた人材を味方に付けての流通路の逆独占」で独占的商業組合とも戦ってみせたりとも来たモンだ。ついでに敵対商会をつぶすことで視聴者に勝利のカタルシスも味あわせてくれるのか!? と思いきや、敵対商会とも共存共栄を提案し、しかして彼は博愛の平和主義者なのかと思いきや、自分や自陣営のファーストありきであり、かつマクロ経済学的な持続可能な共栄をも見越していた深謀遠慮であったとも描いていく。


 ならば、現実主義的な実利を言祝ぐだけの作品なのかと思いきや、人間としての尊厳を守るために、あるいは亜人たちが云う「奴隷的屈服による平和よりも、たとえ貧乏や生命の危険にあっても互助&独立自尊の共同体を確保するための戦いを優先する」気概にほだされて、商売や人命的には少々の損を覚悟で、横暴な領主や貴族を相手にした武力闘争にも乗り出してしまう。


 引きガネを引いてしまった以上は、左翼革命幻想があるワケでもないけれど、西欧中世的な王制を革命で打倒して市民社会を到来させなければ、自身たちの身の安全もナイだろうというばかりの展開ともなっていくのだ!


 まぁそれでもドコまで行っても、ラノベにかぎらず物語作品全般が究極的にはご都合主義ではあって、程度の問題に過ぎないのだけれども、ストーリー展開以前の基本設定の次元、あるいはアバンタイトルで超人高校生7人を紹介した時点で、ポッと出の解決策ではなく伏線はすべて配置されているともいえるのだし、そもそも高校生にして世界最高の人材がウンヌンといっている漫画チックな設定を公言した瞬間に、あるいは作品タイトルの時点で、そーいうモノだと思って観ることになるので、作品内でのご都合主義に対する反発を和らげる予防線もできている……とも思うけど、万人がそのように思うとはかぎらないのが、作品レビューのムズかしいところではある(笑)。
超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!


本好きの下剋上 司書になるためには手段を選んでいられません』


 2019年秋のアリガチな西欧中世ファンタジー異世界転移モノの深夜アニメの1本。なのだが、序盤を観るかぎりでは実に面白い!


 厳密にはナマ身のままでの異世界「転移」ではなく、不慮の事故での死後に異世界へ「転生」したのでもなく、異世界の別人に「憑依」してしまったといったところ。加えて、主人公はニートやヒッキー(引きこもり)などの弱者男子ではなく、読書が大スキなシットリとした女子である。つまり、本作は勇者による魔物や魔王退治の物語ではナイのだ。


 控えめで対人関係面での礼節も感じられる文学少女的な弱者女子像は、こんなヒ弱なボクでも受け容れてくれるやもしれない!? と弱者男子が妄想を託すに充分な存在ではあるけれど、意外と彼女らは夢見がちな性向がウラ目に出て面喰いだったりもするモノなので(爆)、皆さんも彼女らを過度に美化した果てに幻滅で終わる前にいさぎよくアキラめよう。彼女らにも男を選ぶ権利はある。我々キモオタ男子は選ばれやしないのだ(笑)。


 転生した先の西欧中世風異世界でも、本さえあれば生きていける、読書だけできれば心を満たすことできる、心を知的・文学的世界に遊ばすことができると自身を慰めた、5才の幼女になってしまった彼女だが、恐るべきことに気が付く。この父母と幼い姉の4人で貧しい庶民が慎ましく暮らす西欧中世城郭都市内の木造5階建てアパート群の彼ら一家が住まう狭い室内には、ナンと書物が一切ナイのだ!(汗)
 どころか、石造りの建造物が立ち並ぶメインストリートの商店街に吊された小さな木製看板の数々には店名などの文字もなく、図像で商っている商品の種類を示しているだけなのだ! 周囲に訊いてみると紙すらナイようでもある! ひょっとして文字すらナイ!?(値札用の数字だけはあります)


 絶望しそうになったところで、広場で肉屋がニワトリを包丁で屠殺(首チョンパ!)している現場を見掛けて、ショックで失神(笑)。自身の発案で近くにあった質屋さんの店頭に自ら押しかけ、母と姉が買い物を済ますまでの休憩を申し出る。快く引き受けた質屋さんの店頭で目撃したのは「革表紙の本」!
 それは没落貴族が質に入れたモノであり、この世界に本屋などはなく本は筆写して作る超高額なモノであることを質屋のオジサンの言で知る。#2では、城郭都市の出入口で門番の仕事をしている父に忘れモノのお弁当を届けて、その詰め所で羊皮紙の存在も知る! しかして、羊皮紙1枚のお値段が庶民の月給と同額!


 一度は落胆する彼女だが、父の同僚から石板をもらい受けることで文字の学習を始めて、「パンがなければケーキを食べればイイじゃない?」とのたまったとされるフランス革命の断頭台で露と消えたマリー・アントワネット王妃のごとく(?)、「本を読みたければ自分で本を作ればイイじゃない?」と思い直す。そう、蔡倫が紙を発明しグーテンベルグ印刷機を発明したように、本作は彼女が紙や印刷機といった文明インフラを発明するところから始めて、書物を大量生産してみせる壮大な物語でもあるらしいのだ!


 ……イヤイヤイヤ、「本を読む行為」「本を書く行為」「本を作る行為」には各々で「越えられない壁」がある別モノの行為なのでは? とは思うモノの、そこにツッコミを入れ出してしまうと、本作の壮大な構想も成立しなくなるので、ソコは微量な違和感をいだきつつもスルーする。あるいは、天は二物・三物を与えたもうたで、彼女は読むのも書くのも作るのもスキなのだと我々は好意的に解釈しようではナイか!?


 なぞとイジワルなことを書いてしまったけど、少々引っかかったのはその点だけである。前世である現代日本では図書館への就職が決まっていたのに、蔵書の崩落の下敷き(!)になって死んでしまったらしい彼女は、いまわのきわに「来世でも本が読める生活をしたい!」と願ったおかげか、ウス暗い木造の一室の粗末なベッドに寝ている幼女として覚醒。その事態に内心では戸惑うもマンガ・アニメ的に大騒ぎしてドタバタすることもなく(笑)、冷静に事態を理解しようと寝たままで分析にコレ務めるあたりも、本作の作風・基調・トーンを象徴している。


 当初は意味不明な外国語にしか聞こえなかった、この異世界での母親の言語が急に理解できるようになった瞬間、前世における日本の母親の記憶が急速にウスれていくことも実感し「ゴメンなさい、さようなら(大意)」と小さな悲しみとともにつぶやくのも、瓜型植物を絞って抽出した油&香草を水に溶かしてシャンプーにしてアタマを洗ってカユみを取ると同時に髪の毛をツヤツヤとさせるのも、電気・ガス・水道もナイので井戸の水を汲んで運び、幼女だからオマルでの用足しも命じられる、万事が不潔で臭気にも満ちた中世の生活、ガタガタ道なので馬車の荷台でしゃべっていると舌を噛むゾと父に注意されたり、前世の記憶を基に姉よりもウマくデザインにも凝った編みカゴを作ったら姉が嫉妬&悔しさで泣き出してしまうあたりの不都合&不便の数々も(笑)、中世とは異なった意味での無慈悲なスクールカースト最底辺で劣等感&厭世観で苦しんで、現世からサッサとオサラバして異世界で勇者としてノビノビと万能感にひたりたい、我々男性オタクとは異なる発想から来る作劇で、新鮮ですらある。


 しかし、オタク女子やBL好き女子が好むような明治時代や戦国時代でイケメン文化人や戦国武将たちにチヤホヤされる作品群(笑)とも異なった生活ディテールへのこだわりではあり、オタク文化寄りというより文学少女寄りの女子の発想といったところか?
 と同時に、ご近所の同世代の男のコたちとの交流にドギマギして「イイ歳してそんなことされた経験がナイから対処に困る~。奥ゆかしくて恥ずかしがりなワタシには心臓に悪すぎる~」と内心でゴロゴロと羞恥にまみれて転がり回っているあたりはいかにもオタク女子ではある(笑)。


 ただ、ココまでていねいだと、憑依された側の元々の幼女の意識はドコに行ってしまったのであろうか? 元の幼女のことを気の毒に思わないのであろうか? ということが少々気にかかるけど、そのへんに斟酌しだしても、ストーリーが本作りの話に収斂していかずに煩雑になるので、ご都合主義でもスルーをしてあげよう。


 アニメ製作は亜細亜堂で、カントクは本郷みつる。我々ロートルオタクにとっては、シンエイ動画の『エスパー魔美』(87年)や『チンプイ』(89年)に『クレヨンしんちゃん』(92年~)や『ドラえもん』(79年~)といった、ややファミリー層向けのアニメやその劇場版のベテラン監督さんといったイメージで、亜細亜堂も子供向けアニメの『忍たま乱太郎』(93年~)以外のマニア向け深夜アニメは、ググってみるとココ10年でもオリジナル企画の良作『終末のイゼッタ』(16年~私的には大傑作!・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20201101/p1)&ラノベ原作の『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術』(18年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20201206/p1)の2本しかナイので、本作も本体とは別働部隊の作品単位で契約したスタッフ&臨時スタジオで製作しているのではナイのかなぁ?(単なる憶測です・汗)
 先の2本の深夜アニメと比すると背景美術や人物作画面ではやや劣るとは思うモノの――もちろん平均以上のクオリティではある!――、映像至上の作品ではなく、ていねいな演出&ストーリー展開で魅せていく作品ではあろうから無問題!


 そのように私的には高評価だったのだけど、本稿執筆の参考用にググってみると、本作も小説投稿サイト出自であり、原作信者が「原作と比するとアレもコレも端折られていて駆け足展開でイマイチ!」と酷評しているレビューも相当数あるネ(汗)。
 まぁ、ウン十年前も前からある既視感あふれる原作との比較論ではあり、それも正当な批評ではあろうけど、優れた原作を知らなければ無問題の良作だとは思うのだ。原作既読の方々にも可能であれば、原作の忠実な再現を尺度とするような凡庸なレビューではなく、30分1クールや2時間映画の尺に落とし込む際の取捨選択の巧拙やアレンジにテーマ的深掘りの有無を論じるようなレビューが普及することを切に祈りたい(笑)。
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第一部 「本がないなら作ればいい! 1」 本好きの下剋上 第一部 (コロナ・コミックス)
「本好きの下剋上 司書になるためには手段を選んでいられません」 DVD Vol.1


『私、能力は平均値でって言ったよね!』


 2019年秋のアリガチな西欧中世ファンタジー異世界転移モノの深夜アニメの1本。なのだが、序盤を観るかぎりでは実に面白い!


 本作の略称は「脳みそキン肉」の略称とも同じである「のうきん」であるそうナ(笑)。本作もまた珍しく(?)異世界転移モノなのに、主人公は少女であり勇者ではナイ。
 馬車を雇って王都にやってきた、ボリューム豊かな薄紫色の長髪ツインテ&リボン、白い長袖ブラウスにワンピースの濃紺系ロングスカートで、ヤンチャ過ぎない範疇での元気さを絵的にアピールした、ほっぺたプニプニ系なキャラデザの12才の可愛いらしい女のコが主人公。


 彼女が石造りの建造物が立ち並ぶ王都の広場で「おのぼりさん」的にキョロキョロして独り言まで大声で発して周囲の笑いを誘い、名作洋画『ローマの休日』(53年)オマージュの観光名所でハシャぐサマで、多幸感とともに作品世界の紹介&キャラの人となりの紹介をも兼ねさせているのもアリがちではあるけど、基本を端折って判りにくくなってしまった素人クサい作劇の作品も散見される中では好印象ではある。


 ご都合主義でもこの散策で、のちにパーティーを組むことになる、女剣士のお姉兄さん(おねにいさん)、赤髪リボンのツンデレ魔法使い少女、巨乳で癒やし系のお姉さんと遭遇するのも、「作劇のいろは」に忠実ではある。


 加えて#1の中盤にて、彼女は前世の日本ではヒトよりもお勉強ができてややクールな黒髪ロングの外見だったためか、敬遠されて友人ができずに(ひとり)ボッチであったことが明かされることで――ただし両親や妹との関係は良好であったとそのキャラを微調整もすることで記号的なコジらせているボッチキャラにも陥らせずに――、シャイなコミュ力弱者でもある我々オタク視聴者の共感・肩入れ・感情移入もイッキにグイッと胸をツカむように獲得してみせる(笑)。


 前世の彼女は異世界転生モノの定番で暴走トラックから子供や子犬を救って落命し――昭和の時代のウルトラマンと合体する青年たちとも同じだネ!――、天上界で神さまによる特典付きの転生をゲットする。
 彼女が望んだこと。それは「平均値」! 平均値の能力で生まれて、妬まれずに同世代の友人たちといっしょに楽しく生活できる幸福をゲットすることにあったのだ。


 そんな彼女が魔法学校に入学する前段として一泊した宿屋の幼女の帰宅が遅いことから、ヒトハダ脱いで幼女探しに邁進、王都で子供さらいが最近横行している事実も知って、お姉兄さまや赤髪リボンや巨乳癒やし系とも再遭遇して、共同戦線で子供たちを救うに至る展開はコテコテでも楽しめる。


 とはいえ、本作はイイ意味でのマンガ・アニメ的なギャグ作品でもある。元々は現代日本人でもある彼女は、赤髪少女のことを「ツンデレ」呼ばわりして通じず、先の幼女を誘拐した洋画『マッドマックス』シリーズ(79年~)やら劇画『北斗の拳』(83年)でも観たようなパンクな服装の悪党どもをソレと酷似だと指摘して、お付きの妖精クンに「いま何か(フラグが)立ちませんでしたか?」と問われれば「立ったってクララが?」とボケ返す(笑~名作アニメ『アルプスの少女ハイジ』(74年)ネタですので念のため)。


 極め付けは「平均値」の意味である。彼女が意図していたのは――我々も通常そのようにイメージしているのは――、数学用語でいうところの多数派が位置する「最頻値」であったのだけれども、本作における「平均値」とはこの異世界で最大最強の存在であるドラゴンのちょうど「半分」の力という意味であったことが明かされて、結局は彼女こそが劇中内ではほぼ最強であり、彼女は平凡な幸福をツカみたいがためにその正体や能力を隠したがっていたのであった(笑)。


 てなワケで、#1は非常に面白かったのだが、魔法学校に入学を果たして先の3人とも再会~寄宿舎でも相部屋となった#2~3以降はさほどでもなく、作画や背景美術の面でも質が下がっており、一発ネタのやや出オチ気味な作品であった気がしないでもなくて……。
私、能力は平均値でって言ったよね! 1 (アース・スターノベル)
私、能力は平均値でって言ったよね!


『旗揚(はたあげ)! けものみち

(文・久保達也)
(2019年10月20日脱稿)


 最近の深夜アニメは異世界転移モノがあまりにも多すぎ、いささか食傷気味の感があるのだが、コレはそれらとは一線を画した独特の個性を放っているかと思える。


 本作で異世界にまぎれこむのは、60年代末期から70年代初頭に起きたスポーツ根性アニメブームの渦中(かちゅう)に放映され、当時はまだ幼かった筆者も「変身ヒーロー作品」として楽しんでいたプロレスアニメ『タイガーマスク』(69~71年・東映動画→現東映アニメーション よみうりテレビ)の主人公ヒーローを模した、ケモナーマスク=柴田源蔵(しばた・げんぞう)なる覆面(ふくめん)プロレスラーだ。


 それも世界タイトルマッチの試合中にトップロープから相手のレスラーめがけて高々とジャンプした途端、大勢の観衆の前で光の粒子と化し、リングから忽然(こつぜん)と消滅してしまうのだ。


 いつの間にかケモナーマスクは異世界の宮殿の中にいた。彼を「勇者」と呼ぶ金髪ロングのお姫様は、この世界で暴れている魔獣=邪悪な「けもの」を退治してほしいと頼むが、これに怒ったケモナーマスクはお姫様にいきなりジャーマン・スープレックス――相手の背後から両腕を回して腰をつかみ、そのまま相手を後方へと投げ、体が反(そ)った状態でおさえつけるプロレス技――をキメてしまい、お姫様の高貴な尻(笑)が丸出しに。その固められた状態で描かれたお姫様の尻がなんとも美尻で……(以下略)


 なぜケモナーマスクはそんなに怒ってしまったのか? 実はケモナーマスクは大のけもの好きであり、ペットショップを開くのが夢なのだ。実際由緒(ゆいしょ)正しき雑種(笑)の子犬をペットとして飼っており、「ひろゆき」と名づけているのだが(爆)、よく見るとケモナーマスクのマスクはその「ひろゆき」をモチーフにしてデザインされているどころか、リングにまで連れてきてしまうほどであり(笑)、「ひろゆき」も異世界に道連れにされてしまうのだ。


 なので、彼のいささか度を超えたケモノ好きはまさにけものフェチ(笑)と呼ぶにふさわしく、その偏執(へんしつ)的な愛情と、けものが魔獣として恐れられている異世界とのあまりの温度差が本作最大のキモとなっている。


 おそらくプロレスが存在しないと思われるその世界で、けもののマスクに黒いパンツ1枚のケモナーマスクは街の人々から変態呼ばわりされてしまい(笑)、マスクを脱いで源蔵の姿となるが、そんな彼を「パンイチ野郎」(爆)と呼ぶ、黄色のショートボブヘアに猫耳を生(は)やした、本作では一応敵役のセクシーなネコ型の獣人が近づいてきた。


 一瞬「猫耳ぃ~~♪」と喜んだものの、その隣にいた兄貴分のオオカミ獣人はネコ獣人が人間の少女と猫のハイブリッドであるのとは違い、まさに直立したオオカミといった趣(おもむき)であり、源蔵はネコ獣人には目もくれず、「おまえフワフワやんけぇ~~~!」とオオカミ獣人に襲いかかり、その喉(のど)元をスリスリして悶絶(もんぜつ)させてしまう(笑)。


 また高利貸しに借りたカネを返せずに売り飛ばされそうになっていた、グレー髪ロングヘアのスレンダーな美少女を見かけても無関心だった源蔵だが、その少女がオオカミの耳と尾を生やしていることに気づいた途端、高利貸しのオヤジをブチのめしてオオカミ少女を助けることに(笑)。


 さらにギリシャ神話に登場する3つの頭を持つ犬の怪物・ケルベロスの群れが現れたと耳にした源蔵は「1頭で3倍おいしい!」(笑)と、退治しに来た人々の前で「ヒャッホ~~~♪」と狂喜し、ケルベロスのリーダーをフォールしてニオイをクンクン嗅(か)ぎまくる……


 普段の源蔵はいかにもプロレスラーらしい威厳(いげん)に満ちた表情に渋い声と語り口なのだが、けものを見かけた途端に一転して顔も声もフヌケになるギャップの激しさには爆笑必至であり、ここまでバカを徹底されると実にすがすがしいものがある(笑)。


 魔獣=けものが恐れられているこの世界でけものの魅力を人々に伝えるために、源蔵が高利貸しから助けだしたオオカミ少女と資金を貯め、この世界でペットショップを開くことを決意することで幕となる第1話を観る限り、単なる異世界トルファンジーとはまったく異なる展開となることがおおいに期待できるだろう。


 それにしても半裸姿の主人公が「獣人」と取っ組み合うさまは、古い世代からすると『仮面ライダーアマゾン』(74年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20141101/p1)を彷彿(ほうふつ)としてしまうが、ケルベロスといえば『仮面ライダーX(エックス)』(74年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20141005/p1)にも同名の敵怪人が登場していた(笑)。
TVアニメ「旗揚! けものみち」オープニング・テーマ 「闘魂 (ファイト)! ケモナーマスク」


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.83(19年11月3日発行))


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  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191030/p1(当該記事)

2020~13年アニメ評! 『はたらく魔王さま!』『魔王学院の不適合者~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~』『まおゆう魔王勇者』『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術』『百錬の覇王と聖約の戦乙女(ヴァルキュリア)』 ~変化球の「魔王」が主役の作品群まで定着&多様化!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20201206/p1

2017~18年アニメ評! 『魔法使いの嫁』・『色づく世界の明日から』 ~魔法使い少女にコミュ力弱者のボッチ風味を加味した良作!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20201129/p1

2020年冬アニメ評! 『異種族レビュアーズ』 ~異世界性風俗を描いたアニメで、性風俗の是非を考える!?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200327/p1

2019年秋アニメ評! 『アズールレーン』 ~中国版『艦これ』を楽しむ日本人オタクに一喜一憂!?(はしないけど良作だと思う・笑)

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191027/p1

2018年秋アニメ評! 『ゴブリンスレイヤー』 ~レイプに売春まで!? 周縁のまつろわぬ民は常に憐れで正義なのか!?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200209/p1

2017~18年アニメ評! 『異世界食堂』『異世界居酒屋~古都アイテーリアの居酒屋のぶ~』『かくりよの宿飯』 ~西欧風異世界×現代日本の食 その接合は成功しているか!?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20211205/p1

ヴァイオレット・エヴァーガーデン』TV・外伝・劇場版 ~大傑作なのだが、「泣かせのテクニック」も解剖してみたい!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20211108/p1

『GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』1期&2期  ~ネトウヨ作品か!? 左右双方に喧嘩か!? 異世界・異文化との外交・民政!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20211010/p1


[関連記事] ~TVアニメ評!

2021~19年アニメ評! 『古見さんは、コミュ症です。』『川柳少女』『ひとりぼっちの○○生活』 ~コミュ力弱者の女子を描いた3作の成否(笑)を問い詰める!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20220717/p1

2021~19年アニメ評! 『五等分の花嫁』(1&2期) ~ベタでも高みに到達。告白された男子側でなく女子側の恋情で胸キュンさせる

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20220329/p1

2021~18年アニメ評! 『からかい上手の高木さん』『上野さんは不器用』『宇崎ちゃんは遊びたい!』『イジらないで、長瀞さん』 ~女子の方からカマってくれる、高木さん系アニメ4本評!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210516/p1


2021年秋アニメ評! 『境界戦機』『メガトン級ムサシ』『マブラヴ オルタネイティヴ』『サクガン』『逆転世界ノ電池少女』『闘神機ジーズフレーム』『蒼穹のファフナー THE BEYOND』『EUREKA/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』 ~2021年秋8大ロボットアニメ評!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20221030/P1


2020~21年5大アイドルアニメ評! 『IDOLY PRIDE(アイドリープライド)』『ゲキドル』・『22/7』『推しが武道館いってくれたら死ぬ』・『おちこぼれフルーツタルト』

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20220410/p1

2020~15年アニメ評! 『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続』『ようこそ実力至上主義の教室へ』『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』『月がきれい』『俺を好きなのはお前だけかよ』『弱キャラ友崎くん』 ~コミュ力弱者の男子を禁欲・老獪なヒーローとして美化した6作!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20220724/p1


2020年秋アニメ評! 『ひぐらしのなく頃に 業』『無能なナナ』『憂国のモリアーティ』『禍つヴァールハイト -ZUERST-』『池袋ウェストゲートパーク』『NOBLESSE -ノブレス-』『アクダマドライブ』『100万の命の上に俺は立っている』『魔女の旅々』 ~シブめの良作が豊作の2020年秋アニメ9本評!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20220910/p1

2020年秋アニメ評! 『ストライクウィッチーズ ROAD to BERLIN』『戦翼のシグルドリーヴァ』 ~同工異曲のメカ×美少女モノでも、活劇的爽快感の有無や相違はドコに起因するのか!?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20220821/p1

2020年秋アニメ評! 『ラブライブ! 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』(1期) ~チームでなく個人。百合性など先行作との差別化にも成功!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20220403/p1

2020年夏アニメ評! 『宇崎ちゃんは遊びたい!』 ~オタクvsフェミニズム論争史を炎上作品のアニメ化から俯瞰する!?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200802/p1

2020年春アニメ評! 『文豪とアルケミスト ~審判ノ歯車~』『啄木鳥探偵處』『文豪ストレイドッグス』 ~文豪イケメン化作品でも侮れない3大文豪アニメ評!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20220213/p1

2020年冬アニメ評! 『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』 ~『まどマギ』が「特撮」から受けた影響&与えた影響!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200329/p1

2020年冬アニメ評! 『異種族レビュアーズ』 ~異世界性風俗を描いたアニメで、性風俗の是非を考える!?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200327/p1

2020年冬アニメ評! 『映像研には手を出すな!』 ~イマイチ! 生産型オタサークルを描くも不発に思える私的理由

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200325/p1

2020年冬アニメ評! 『ヒーリングっど♥プリキュア』終盤評 ~美少年敵幹部の命乞いを拒絶した主人公をドー見る! 賞揚しつつも唯一絶対の解とはしない!?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20220928/p1


2020~19年アニメ評! 『ダンベル何キロ持てる?』『推しが武道館いってくれたら死ぬ』 ~ファイルーズあい主演のアニメ2本評!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210418/p1

2020~19年アニメ評! 『私に天使が舞い降りた!』『うちのメイドがウザすぎる!』『となりの吸血鬼さん』 ~幼女萌えを百合だと云い募って偽装(笑)する3大美少女アニメ評!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20220710/p1

2020~18年アニメ評! 『22/7』『推しが武道館いってくれたら死ぬ』『音楽少女』『Re:ステージ! ドリームデイズ♪』 ~アイドルアニメの変化球・テーマ的多様化!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200621/p1

2020~13年アニメ評! 『はたらく魔王さま!』『魔王学院の不適合者~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~』『まおゆう魔王勇者』『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術』『百錬の覇王と聖約の戦乙女(ヴァルキュリア)』 ~変化球の「魔王」が主役の作品群まで定着&多様化!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20201206/p1


2019年秋アニメ評! 『アズールレーン』 ~中国版『艦これ』を楽しむ日本人オタクに一喜一憂!?(はしないけど序盤は良作だと思う・笑)

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191027/p1

2019年秋アニメ評! 『慎重勇者~この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる~』『超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!』『本好きの下剋上 司書になるためには手段を選んでいられません』『私、能力は平均値でって言ったよね!』『旗揚!けものみち』 ~2019秋アニメ・異世界転移モノの奇抜作が大漁!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191030/p1(当該記事)

2019年夏アニメ評! 『Dr.STONE』『手品先輩』『彼方のアストラ』『かつて神だった獣たちへ』『炎炎ノ消防隊』『荒ぶる季節の乙女どもよ。』 ~2019年夏の漫画原作アニメ6本から世相を透かし見る!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210411/p1

2019年春夏アニメ評! 『ノブナガ先生の幼な妻』『胡蝶綺 ~若き信長~』『織田シナモン信長』 ~信長の正妻・濃姫が登場するアニメ2本他! 『超可動ガール1/6』『女子かう生』

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210404/p1

2019年冬アニメ評! 『五等分の花嫁』『ドメスティックな彼女』 ~陰陽対極の恋愛劇! 少年マガジン連載漫画の同季アニメ化!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20201018/p1

2019年冬アニメ評! 『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』 ~往時は人間味に欠ける脇役だった学級委員や優等生キャラの地位向上!?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190912/p1

2019年冬アニメ評! 『スター☆トゥインクルプリキュア』 ~日本人・ハーフ・宇宙人の混成プリキュアvs妖怪型異星人軍団! 敵も味方も亡国遺民の相互理解のカギは宇宙編ではなく日常編!?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191107/p1


2019~17年アニメ評! 『異世界かるてっと』 ~インター・ユニバースの原典『幼女戦記』『映画 この素晴らしい世界に祝福を!-紅伝説-』『Re:ゼロから始める異世界生活 氷結の絆』『盾の勇者の成り上がり』『劇場版 幼女戦記』評 ~グローバリズムよりもインターナショナリズムであるべきだ!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210912/p1

2019~16年アニメ評! 『ブレイブウィッチーズ』『ガーリー・エアフォース』『荒野のコトブキ飛行隊』『終末のイゼッタ』 ~美少女×戦闘機×銃器のアニメ四者四様!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20201101/p1

2019~15年アニメ評! 『純潔のマリア』『リヴィジョンズ』『ID-O』『コードギアス 復活のルルーシュ』 ~谷口悟朗監督作品アニメ4本評!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210502/p1

2019~13年アニメ評! 『せいぜいがんばれ! 魔法少女くるみ』『魔法少女 俺』『魔法少女特殊戦あすか』『魔法少女サイト』『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語』……『まちカドまぞく』 ~爛熟・多様化・変化球、看板だけ「魔法少女」でも良作の数々!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20201122/p1


2018~19年アニメ評! 『女子高生の無駄づかい』『ちおちゃんの通学路』 ~カースト「中の下」の非・美少女が主役となれる時代!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200301/p1

2018~19年アニメ評! 『7SEEDS』『A.I.C.O. Incarnation』 ~NETFLIXお下がりアニメ2本評!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210509/p1

2018年3大百合アニメ評! 『あさがおと加瀬さん。』『やがて君になる』『citrus(シトラス)』 ~細分化する百合とは何ぞや!?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191208/p1

2018年秋アニメ評! 『SSSS.GRIDMAN』前半評 ~リアルというよりナチュラル! 脚本より演出主導の作品!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20181125/p1

2018年秋アニメ評! 『SSSS.GRIDMAN』総括 ~稚気ある玩具販促番組的なシリーズ構成! 高次な青春群像・ぼっちアニメでもある大傑作!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190529/p1

2018年秋アニメ評! 『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』#1~10(第一章~第三章) ~戦争モノの本質とは!? 愛をも相対視する40年後のリメイク!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20181208/p1

2018年秋アニメ評! 『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』 ~ぼっちラブコメだけど、テレ隠しに乾いたSFテイストをブレンド

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190706/p1

2018年秋アニメ評! 『ゴブリンスレイヤー』 ~レイプに売春まで!? 周縁のまつろわぬ民は常に憐れで正義なのか!?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200209/p1

2018年夏アニメ評! 『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』 ~声優がミュージカルも熱演するけど傑作か!? 賛否合評!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190728/p1

2018年春アニメ評! 『ヲタクに恋は難しい』 ~こんなのオタじゃない!? リア充オタの出現。オタの変質と解体(笑)

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200216/p1

2017~18年アニメ評! 『魔法使いの嫁』『色づく世界の明日から』 ~魔法使い少女にコミュ力弱者のボッチ風味を加味した良作!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20201129/p1

2017~18年アニメ評! 『異世界食堂』『異世界居酒屋~古都アイテーリアの居酒屋のぶ~』『かくりよの宿飯』 ~西欧風異世界×現代日本の食 その接合は成功しているか!?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20211205/p1


2017年秋アニメ評! 『結城友奈は勇者である-鷲尾須美の章-』 ~世評はともかく、コレ見よがしの段取りチックな鬱展開だと私見(汗)

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190926/p1

2017年夏秋アニメ評! 『はじめてのギャル』『僕の彼女がマジメ過ぎるしょびっちな件』 ~オタの敵・ギャルやビッチのオタ向け作品での料理方法!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20201220/p1

2017年夏アニメ評! 『ようこそ実力至上主義の教室へ』1期・総括 ~コミュ力弱者がサバイブするための必要悪としての権謀術数とは!?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20220925/p1

2017年夏アニメ評! 『地獄少女 宵伽(よいのとぎ)』 ~SNSイジメの#1から、イジメ問題の理知的解決策を参照する

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191201/p1

2017年春アニメ評! 『冴えない彼女の育てかた♭(フラット)』 ~低劣な萌えアニメに見えて、オタの創作欲求の業を美少女たちに代入した生産型オタサークルを描く大傑作!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191117/p1

2017年春アニメ評! 『正解するカド KADO: The Right Answer』 ~40次元の超知性体が3次元に干渉する本格SFアニメ。高次元を材としたアニメが本作前後に4作も!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190929/p1

2017年春アニメ評! 『ID-0(アイ・ディー・ゼロ)』 ~谷口悟朗×黒田洋介×サンジゲン! 円盤売上爆死でも、宇宙SF・巨大ロボットアニメの良作だと私見

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190924/p1

2017年春アニメ評! 『ゼロから始める魔法の書』 ~ロリ娘・白虎獣人・黒幕悪役が、人間×魔女×獣人の三つ巴の異世界抗争を高踏禅問答で解決する傑作!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191128/p1

2017年冬アニメ評! 『幼女戦記』 ~異世界近代での旧独vs連合国! 新自由主義者魔法少女vs信仰を強制する造物主!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190304/p1

2017年冬アニメ評! 『BanG Dream!バンドリ!)』 ~「こんなのロックじゃない!」から30数年。和製「可愛いロック」の勝利!(笑)

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190915/p1

2016~18年アニメ評! 『怪獣娘ウルトラ怪獣擬人化計画~』1期&2期、映画『怪獣娘(黒)~ウルトラ怪獣擬人化計画~』評!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210919/p1

2016~18年アニメ評! 『チア男子!!』『アニマエール』『風が強く吹いている』 ~チア男女やマラソン部を描いたアニメの相似と相違!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190603/p1

2016~17年アニメ評! 『くまみこ』『ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?』『ネト充のススメ』 ~コミュ症女子を描いた3作品の成否は!?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20201213/p1


2016年夏アニメ評! 『ラブライブ!サンシャイン!!』 & 後日談映画『ラブライブ!サンシャイン!! Over the Rainbow』(19年) ~沼津活況報告 & 元祖に負けじの良作と私見

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200628/p1

2016年夏アニメ中間評! 『ももくり』『この美術部には問題がある!』『チア男子!!』『初恋モンスター』『Rewrite』『ReLIFE』『orange』

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160903/p1

2016年春アニメ評! 『迷家マヨイガ-』 ~現実世界からの脱走兵30人! 水島努×岡田麿里が組んでも不人気に終わった同作を絶賛擁護する!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190630/p1

2016年春アニメ評! 『マクロスΔ(デルタ)』&『劇場版マクロスΔ 激情のワルキューレ』(18年) ~昨今のアイドルアニメを真正面から内破すべきだった!?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190504/p1


2015~16年アニメ評! 『それが声優!』『ガーリッシュ ナンバー』 ~新人女性声優たちを描くも、地味女子・ワガママ女子を主役に据えた2大美少女アニメ評!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20220703/p1

2015~16年アニメ評! 『GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』1期&2期  ~ネトウヨ作品か!? 左右双方に喧嘩か!? 異世界・異文化との外交・民政!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20211010/p1


2015年秋アニメ評! 『ワンパンマン』 ~ヒーロー大集合世界における最強ヒーローの倦怠・無欲・メタ正義・人格力!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20190303/p1

2015年秋アニメ評! 『コンクリート・レボルティオ~超人幻想~』 往年の国産ヒーローのアレンジ存在たちが番組を越境して共闘するメタ・ヒーロー作品だけれども…

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20190302/p1

2015年秋アニメ評! 『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』 ~長井龍雪岡田麿里でも「あの花」「ここさけ」とは似ても似つかぬ少年ギャング集団の成り上がり作品!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191105/p1

2015年夏アニメ中間評! 『GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』『六花の勇者』『おくさまが生徒会長!』『干物妹!うまるちゃん』『実は私は』『下ネタという概念が存在しない退屈な世界

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20150901/p1

2015年春アニメ評! 『響け!ユーフォニアム』 ~良作だけれど手放しの傑作だとも云えない!?

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160504/p1

2015年冬アニメ評! 『SHIROBAKO』(後半第2クール) ~アニメ制作をめぐる大群像劇が感涙の着地!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160103/p1


2014年秋アニメ評! 『SHIROBAKO』(前半第1クール) ~アニメ制作の舞台裏を描く大傑作爆誕

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20151202/p1

2014年秋アニメ評! 『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞(ロンド)』 ~ガンダムSEEDの福田監督が放つ逆「アナ雪」! 女囚部隊に没落した元・王女が主役のロボットアニメの悪趣味快作!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191222/p1

2014年秋アニメ評! 『ガンダム Gのレコンギスタ』 ~富野監督降臨。持続可能な中世的停滞を選択した遠未来。しかしその作劇的な出来栄えは?(富野信者は目を覚ませ・汗)

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191215/p1

2014年秋アニメ評! 『失われた未来を求めて』『天体(そら)のメソッド』 ~絶滅寸前! 最後の「泣きゲー」テイストの2大深夜アニメ! 良作なのに不人気(涙)

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20220918/p1

2014年春アニメ評! 『ラブライブ!』(第2期)

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160401/p1


2013~14年3大アイドルアニメ評! 『ラブライブ!』『Wake Up,Girls!』『アイドルマスター

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20150615/p1

2013年秋アニメ評! 『WHITE ALBUM 2』 ~「冴えカノ」原作者が自ら手懸けた悲恋物語の埋もれた大傑作!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191115/p1

2013年秋アニメ評! 『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-』 ~低劣な軍艦擬人化アニメに見えて、テーマ&萌えも両立した爽快活劇の傑作!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190922/p1

2013年秋アニメ評! 『サムライフラメンコ』 ~ご町内⇒単身⇒戦隊⇒新旧ヒーロー大集合へとインフレ! ヒーロー&正義とは何か? を問うメタ・ヒーロー作品!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20190301/p1

2013年夏アニメ評! 『げんしけん二代目』 ~非モテの虚構への耽溺! 非コミュのオタはいかに生くべきか!?

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160623/p1

2013年春アニメ評! 『這いよれ!ニャル子さんW(ダブル)』

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20150601/p1

2013年春アニメ評! 『惡の華』前日談「惡の蕾」ドラマCD ~深夜アニメ版の声優が演じるも、原作者が手掛けた前日談の逸品!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191006/p1

2013年冬アニメ評! 『まおゆう魔王勇者』『AMNESIA(アムネシア)』『ささみさん@がんばらない』 ~異世界を近代化する爆乳魔王に、近代自体も相対化してほしい(笑)

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200123/p1

2013年冬アニメ評! 『ラブライブ!』(第1期)

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160330/p1


2012年秋アニメ評! 『ガールズ&パンツァー』 ~爽快活劇に至るためのお膳立てとしての設定&ドラマとは!?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190622/p1

2011年春アニメ評! 『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』 ~別離・喪失・齟齬・焦燥・後悔・煩悶の青春群像劇の傑作!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191103/p1

2011年冬アニメ評! 『魔法少女まどか☆マギカ』最終回「わたしの、最高の友達」 ~&『フリージング』『放浪息子』『フラクタル

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120527/p1

2010年秋アニメ評! 『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』 ~萌え対象かつオタの自画像! 二重構造化させた妹を通じたオタ社会の縮図!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20121015/p1


2008年秋アニメ評! 『鉄(くろがね)のラインバレル』 ~正義が大好きキャラ総登場ロボアニメ・最終回!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090322/p1

2008年春アニメ評! 『コードギアス 反逆のルルーシュR2』 ~総括 大英帝国占領下の日本独立!? 親米保守vs反米保守!?

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20081005/p1

2008年春アニメ評! 『マクロスF(フロンティア)』(08年)#1「クロース・エンカウンター」 ~先行放映版とも比較!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080930/p1

2008年春アニメ評! 『マクロスF(フロンティア)』最終回評! ~キワどい最終回を擁護!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091122/p1

2008年冬アニメ評! 『墓場鬼太郎

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080615/p1


2007年秋アニメ評! 『機動戦士ガンダム00(ダブルオー)』 ~第1期・第2期・劇場版・総括!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100920/p1

2007年秋アニメ評! 『GR ジャイアントロボ』 ~現代風リメイク深夜アニメだが、オタク第1世代の東映特撮版への郷愁も喚起!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080323/p1

2007年春アニメ評! 『ゲゲゲの鬼太郎』2007年版

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070715/p1


2006年秋アニメ評! 『天保異聞 妖奇士(てんぽういぶん あやかしあやし)』 ~幕末目前の外れ者集団による妖怪退治! 頭デッカチな作りだがキライになれない…

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070317/p1

2006年夏アニメ評! 『N・H・Kにようこそ!』

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061119/p1


2005年秋アニメ評! 『BLOOD+(ブラッド・プラス)』

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20051025/p1

2005年春アニメ評! 『英国戀(こい)物語エマ』

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20051022/p1

2005年春アニメ評! 『創聖のアクエリオン』 ~序盤寸評

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20051021/p1


2004年秋アニメ評! 『機動戦士ガンダムSEED DESTINY(シード・デスティニー)』 ~完結! 肯定評!!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060324/p1

2004年春アニメ評! 『鉄人28号』『花右京メイド隊』『美鳥の日々(みどりのひび)』『恋風(こいかぜ)』『天上天下

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20040407/p1

2004年冬アニメ評! 『超変身コス∞プレイヤー』『ヒットをねらえ!』『LOVE♡LOVE?』『バーンアップ・スクランブル』『超重神グラヴィオン ツヴァイ』『みさきクロニクル ~ダイバージェンス・イヴ~』『光と水のダフネ』『MEZZO~メゾ~』『マリア様がみてる』『ふたりはプリキュア

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2003年秋アニメ評! 『カレイドスター 新たなる翼』 ~女児向け・美少女アニメから真のアニメ評論を遠望! 作家性か?映画か?アニメか? 絵柄・スポ根・複数監督制!

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2003年春アニメ評! 『妄想科学シリーズ ワンダバスタイル』『成恵(なるえ)の世界』『宇宙のステルヴィア』『ASTRO BOY 鉄腕アトム

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20040403/p1

2003年冬アニメ評! 『ストラトス・フォー』『ガンパレード・マーチ ~新たなる行軍歌~』『MOUSE[マウス]』『ぱにょぱにょ デ・ジ・キャラット』『陸上防衛隊まおちゃん』『朝霧の巫女』『らいむいろ戦奇譚

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#アニメ感想 #2019秋アニメ #2019年秋アニメ #慎重勇者 #この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる #超人高校生 #超余裕 #超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです #本好きの下剋上 #のうきん #私能力は平均値でって言ったよね #けものみち #旗揚けものみち
本好きの下剋上・慎重勇者・超人高校生・のうきん・けものみち評 2019異世界転移・奇抜傑作!
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アズールレーン ~中国版『艦これ』を楽しむ日本人オタクに一喜一憂!?(はしないけど、序盤は良作だと思う・笑)

『ガールズ&パンツァー』 ~爽快活劇に至るためのお膳立てとしての設定&ドラマとは!?
『ストライクウィッチーズ 劇場版』
『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-』 ~低劣な軍艦擬人化アニメに見えて、テーマ&萌えも両立した爽快活劇の傑作!
『慎重勇者』『超人高校生』『本好きの下剋上』『のうきん』『けものみち』 ~2019秋アニメ・異世界転移モノの奇抜作が大漁!
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アズールレーン』 ~中国版『艦これ』を楽しむ日本人オタクに一喜一憂!?(はしないけど、序盤は良作だと思う・笑)

(文・T.SATO)
(2019年10月27日脱稿)


 旧海軍の艦船を擬人化・女体化したオンラインゲーム&アニメ『艦隊これくしょん―艦これ―』(13年・15年にTVアニメ化)の中国パクリ版『アズールレーン』(17年)。
 明らかなパクリなのに、ナゼか日本でも即座にオタ間では大人気となり、同人誌即売会でも『アズレン』のパロディや二次創作同人誌にコスプレがあふれかえって、イベントの一角・シマを占める一大ジャンルとなっている。そのTVアニメ版が2019年秋に早くも登場!


 旧敵・日本の旧海軍をモチーフとしたゲーム『艦これ』にハマる中国人オタクに、それをパクって中国版『艦これ』を作ってしまうオタク上がりの中国人ゲーム会社。さらには、日本の旧敵(汗)である中国によるパクリだとわかっていても、いちいち手に取って憤慨するなどのケツの穴の小さいことはせずに、シャレのめして手に取って試してみて、ゲームやキャラが相応に魅力的であれば楽しんでみせる日本のオタクユーザー。
 しかもよく観てみると、メイド・イン・チャイナの作品なのに、中国海軍の艦船がチョイ役でしか出てこない。コレはやはり、美少女×戦車の深夜アニメ『ガールズ&パンツァー』(12年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190622/p1)で、旧日本陸軍の戦車が出てこなかったこととも同様で、双方ともにメカミリタリ的には自国のソレらが魅力的な戦艦や戦車じゃナイからで……(爆)。


 加えて主人公集団は中国の現・仮想敵国でもある米英モチーフであり、クールな主役美少女でもある水兵さんのモチーフは米空母・エンタープライズ!(それでイイのか!?)
 ……エッ、第2次大戦時の中国は米英と連合してたからOKだって? それは現・台湾の中華民国のことで、中国共産党政府じゃナイですヨ~。


 日中ともにナショナリズムとは真逆な、祖先や現役軍隊の英雄的行為にドロを塗り、旧敵や現・仮想敵国に塩を送るような利敵行為で、実に卑屈で乞食のような売国的な振る舞いが跋扈していて……君たちには「誇り」というモノがナイのかヨ!?(笑)


 ……なーんてネ。


・紀元前のペルシャ戦争を許すまじ、と今のギリシャが今のイランに謝罪を要求!
・その逆にアレキサンダー大王のせいで我がペルシャ帝国は滅亡したのだ、などとイランがギリシャマケドニアに賠償を請求!
・蒙古襲来で都市まるごとの大虐殺の憂き目にあったから、中国・中東・欧州の人民がモンゴル人の乗馬姿すら見たくない!
・ナポレオンのフランス革命輸出戦争のせいで国土が荒廃したから、欧州&ロシアの人々がフランス国旗&国歌を見たくも聴きたくもない!
・フランク人(フランス人)から見ればゲルマン人(ドイツ人)は平均身長が10センチも高いからやや怖い!
・先住民のパレスチナネイティブ・アメリカン(インディアン)に全土を返還して、イスラエルアメリカ人民は彼の地から撤収しろ!


 などとヤリ出したならばキリがない(笑)。


 いやまぁ日韓関係どころか、周辺諸国に真摯に謝罪したから和解が済んでいると日本の左翼が長年云ってきたドイツに対して、ギリシャポーランドが今さらな損害賠償を求める動きも近年活発化(汗)してきているのでシャレにならんけど。そのうちに相互扶助の条約も結んでいたのに独ソ2国と敵対するのはヤバいからと英仏に見捨てられたポーランド第2次大戦終結後にドイツ寄りにズラされた国土を東欧寄りに回復させろ! なぞと云い出したら、世界中がドーなってしまうんでしょうかネ?
――などと云いつつ、現在進行形で民族浄化(民族抹殺)の憂き目にあっているクルド人チベットウイグルの人々が独立国家を樹立できる日が来ることを数百年単位では切に願っておりますけれども――


 世代が交代すれば先の大戦の恨みもなくなるというご高説を述べる方もいるけれど、北方を占領した異民族と和平を結んだ南宋の宰相を「売国奴だ!」と800年以上も銅像まで作って皆でツバを吐き掛けつづけている隣国や、加害者と被害者の関係は1000年経っても変わらないと公言している別の隣国もあって、良くも悪くも水に流して忘れてしまう日本人こそが例外で、謝罪をしようがすでに当の異民族国家が滅びていようが(爆)、800~1000年ということはイコール永遠に許す気もナイらしい民族の方が世界標準・スタンダードだとなると「恨みは深いムー原人」(汗)で、世界に平和が到来する日は絶望的ではありますナ……。


 そう考えると、ロジック・原理・スジを通した正義を主張することも大いに大切ではあるけれど、それによって大きな破壊・分断・不幸が惹起されたり、複数の相矛盾するそれぞれでスジが通った正義が並立、共存もできないのであれば、正義と人命を天秤にかけて、新教(プロテスタント)と旧教(カトリック)が殺し合って人口が1/3に激減した17世紀ドイツ30年戦争の直後みたいに、原理や正義や宗教の話題はカッコにくくって棚上げし、議論のネタには挙げずに口を濁すことを暗黙の空気・了解とする灰色決着。実は日本的ムラ世間(汗)にも通じる「寝た子は起こすな」「空気は乱すな」「なぁなぁ」なグレーのままでの妥協。
 同意できない部分はクサいモノにはフタで、それ以外のところから「公共圏」を構築していった西欧近代のように、万能な解決策ではナイし偽善であり欺瞞であるやもしれないけれども、人命には変えられない以上は、グレーなままのモヤモヤな妥協も一方策としてはあながち間違ってはいないのやもしれないネ。


 そのように善悪では割り切れない歴史を知ることで、「赤勝て白勝て、巨人か阪神か」レベルを超えた「メタレベル」から鳥瞰。自国・旧敵国・第3国をも手のひらに乗せて転がせて、その勢力均衡的なパワーポリティクス・角逐をも、必要悪としての肯定と同時に批判的な視点も込みでも見下ろすことで得られる複眼的な境地や諦観。
 具体的な方策がナイ使えない空想的平和主義ではなく、遺恨が残ったままでも即座に戦争には陥らないグレーな妥協で灰色のままで共存・共生していく実用的な歴史的叡智に開眼させてくれる実作品と、元々はナショナルなモノなのに非ナショナルにたわむれる日中のオタクたちの真に世界を平和へと導いていくヒントがあるやもしれないポストモダンな寛容。
 それこそが本作『アズールレーン』現象の本質なのやもしれない!?



 ……なぞと、我ながらアキレることに、心にもナイことを即興で自動的・ブギーポップ的につらつらと書いています(オイ)。
 そんなメタ的な高踏境地に至れるのは特殊少数の奇人変人だけであり、庶民・大衆・愚民の皆さんの圧倒的大多数は3個以上の事物になると、もう数えられずに「いっぱい!」とパンクしてしまう原始人・未開の土人ですからネ(爆)。
 右でも左でもない第3項! 要素要素に分解して、Aの議題では右が正しく、Bの議題では左が正しく、Cの議題ではドチラにも理があり、Dの議題では左右共に正しくない……みたいな話は大キライであろうし、双方からコウモリのごとく裏切り者扱いされるのが関の山ですよネ。
 当方個人の乏しい人生経験からもそれを痛感してますけど、ニヒリズムに陥るのもイヤなので、この世の悪をマイナス100からマイナス50に留めるためにも、微力ながらもコレからもムダな蘊蓄トークをつむいでいく所存です(汗)。


 ……いやまぁ実のところ、本作はそんなに大それたことを語るに足る素材ではなく、単なるおバカなアニメだけれどもネ。
 軍艦の砲塔・艦橋・甲板を身体の各所に装備した白いセーラー服の水兵さんのカッコウをした美少女多数が海面を滑走しながらバトルする作品ごときが高尚なワケがない!(笑)


 しかし、それであってもこの作品は面白い。
 人間大サイズの美少女キャラたちが出撃とともに変身するや、質量保存の法則を無視して洋上に浮かぶ全長数百メートルサイズの艦船が消失して、美少女たちのヨロイ型パーツとなって装着!
 明るい大海原をスピーディーに滑走して、手っ甲の甲板からミニ飛行機が飛び出したり、それを巨大化させてドダイYS(?)として横座りに腰掛けて飛行する!
 航空戦力や主砲の砲撃よりもやっぱり剣や弓矢の方が必殺ワザであり(笑)、アクロバティックなパース強調のアングルやカット割りで海面をジャンプしてその身をヒネって空中回転しながら各自が攻撃を繰り出してカメラもグルグルと360度移動しながら、迫力&爽快感のあるバトルを披露してくれる、実によくできた娯楽活劇作品たりえている!
 本来あるべき『艦これ』アニメ版がココにある!?
 ……まぁ心の奥底では、艦娘に変身せずに巨大艦船や航空戦力を用いて戦った方が合理的だし戦闘力も高いんじゃネ? と思わないでもないけれど、それは云わないお約束ゥ(笑)。


 明るい陽光下にある白っぽい港湾都市で、ナマっぽいリアルな女子像ではなく、キャラデザも口調の語尾も記号的な、見た目からしてトロそうな幼女・無口無表情美少女・性格良さげな従順少女が続々と登場。
 八重歯に吊り目の元気少女も性悪なギャルの域には達せずに安全に回収されてしまう範疇の元気さで、彼女らは他の一般ジャンルの美少女アニメに登場しても違和感ナイ既視感あふれるモノではある。
――悪口ではないですヨ。単なる「類型」には留まらずに「典型」の域にたりえているという意味でのホメ言葉です!――


 コレらのチビチビや中背以下の小粒な美少女キャラ連は駆逐艦巡洋艦に相当し、ごていねいにも初登場時には画面の1/4以上を占めるような巨大な字幕テロップで所属陣営・艦種・艦船名が表示され、陣営ごとに色や書体も変わるので、そのキャラ名は暗記ができなくともその人となりはだいたいわかった(笑)。
 #1では有象無象の中小艦娘たちの小競り合いの末に、最後に真打ちである大空母の艦娘たちが登場してバトルすることで、敵味方双方のキャラの階層構造も自然と了解させることに成功している。


 空母や戦艦などの巨大艦船に該当する美少女キャラは先の『艦これ』同様、クールな8頭身の長身キャラにほぼ統一。『艦これ』における加賀や赤城に相当するのが空母エンタープライズちゃん――一部キャラは彼女のことを「ちゃん」付けにする。上官相手であろうに(笑)――。
 我々ジャンルファン的にはTVアニメ版『進撃の巨人』(13年)で主人公少年に姉のように接する無口でも無敵な黒髪戦闘美少女・ミカサや、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』(18年)の健気な主人公少女の印象が強烈な石川由依エンタープライズを演じることで、イキり立ったり熱血芝居をしているワケでもないのに、ボイスの面でも底に秘めた強さが感じられてくる。
 だけでなく、周辺キャラに「彼女は強いけど脆そうで危うい。捨てバチに過ぎる戦闘をしている(大意)」という人物批評をさせることで、そのような自己犠牲的な戦闘に走らせる彼女にドラマ性を感じさせて伏線・フラグとしているあたりもウマい。


 本作『アズレン』でも『艦これ』同様、この世の外から来た無国籍で黒くてワルい、無条件で倒しても罪悪感をいだかなくても済むような記号的なワルもの戦艦が登場しているけど、『艦これ』とは異なる要素として、第3勢力といおうか当面の主敵として、日本(重桜)とドイツ(鉄血)の艦船がワルものとして登場している。
 先の『艦これ』では加賀と赤城が神社の紅白袴の巫女さんをアレンジした長身クールな姿で擬人化されていたけど、本作でも日本の艦船はやっぱり加賀と赤城が2トップ。ただし、巫女さん&九尾のキツネを掛け合わせたキャラデザで、ワルものとしての役回りではある。
 しかし、単なる憎々しげなだけの悪党ではなくカッコよさも残しており、近年ではギャラのランクが上がりすぎたかココぞというときの重要脇役やお姉さん的なキャラで登場することが多くなった00年代の人気声優・中原麻衣や10年代の人気声優・茅野愛衣などの主役級声優がボイスを当てることで、格上感や敵なりの美学やスジを醸すことにも成功。


 米エンタープライズを秘かに監視するようでも、直前の戦いでのキズが癒えていないのに出撃してしまう姿に「自己犠牲的な天性からのお人好し」であることも見抜いて「彼女のことを放っておけない」と補佐するようにも変心していくホルスタイン巨乳メイド(笑)の英軽巡洋艦ベルファストに、同じく00年代の人気声優・堀江由衣を配したこととも含めて、予算面でも潤沢なことがわかる。


 ちなみに『艦これ』アニメ版では主役がキャラデザ的に華がある赤城や加賀ではなく、駆逐艦・吹雪であったけど――新人成長物語を描きたいのもわかるが、その地味なセレクトもまたアクション面で地味になった理由かとも思うけどいかがか?――、吹雪を演じたロシア&ソ連マニアでもある上坂すみれちゃんは、本作では戦艦クイーン・エリザベスを演じていて、その役回りも11才の女王さま! 戦艦の変身なのに、リアルで大英帝国の女王さま(爆)でもあるらしい。
――もちろんココでツッコミを入れて笑ってくださいというネタであろう(笑)――


 今だから云うけど(当時も云ってたけど・汗)、私的には『艦これ』アニメ版はヒドかった――評価する方々にはゴメンなさいだけど――。
 いや別にミリタリズムな意匠をしていて右翼的だからダメだというのではナイ。民主的な話し合いではなくバトルで物事に決着を付けてる時点で、ありとあらゆる娯楽活劇作品は前近代的・封建的な遺物でしかアリエない。かの『ウルトラセブン』(67年)#12を封印した被爆者団体が「作品テーマが反核であろうが、話し合いではなくバトルで解決している基本構造を持つ作品であるあたりでダメだ(大意)」と同作全体を全否定した際の50年前からある根源的な批判ロジックに尽きるのだし、それが一番正しいとも思うのだ。
――ただまぁ、筆者個人は無抵抗・非暴力の絶対平和主義者ではナイので、このテの批判は痛くもカユくもないけれど(笑)――


 『艦これ』アニメ版はヘンに気をまわして右翼的・軍国主義的に取られないようにと抑制し、旧海軍の末路も暗示させたいのか、陰気クサい悲壮感が漂った。それにより敵味方・善悪のメリハリにも乏しくなったことで、アクションや勝利のカタルシスも欠如して、どころか各話の起承転結・メリハリ感すら減殺されていたと私見する。
 記号的なキャラデザの美少女多数が最初から悲壮感を漂わせても、手足に軍艦型の武装をまとっている時点でナンセンス(笑)。
 ムズカしいことはともかく、各話のAパートでは旧海軍のそれを模した古式な宿舎を舞台にキャッキャウフフな記号的やりとりの日常を、Bパートになったら警報が鳴ってワンダバ的な発進&出航シークエンスやナゾの敵艦との一進一退の攻防の末に、様式美的で美麗なる必殺ワザのシーンを配置して、各話のラストでカタルシスを強制的に発生させる変身ヒーローものや合体ロボットアニメのような作りにしておけばよかったんじゃネ?


 それ以上のテーマ的な挑戦や悲壮感は、作品世界やキャラ造形が盤石に確立されたシリーズ後半や終盤でヤレばイイものを、ヘンに最初から背伸びをしたことで、それが上滑りしただけのグダグダ作品へと成り果てて……。
 後日談映画『劇場版 艦これ』(16年)では伏線もなく唐突に敵戦艦たちの正体が自身の同族たちが沈没したあとの成れの果て・鏡像であったと明かして、意外性やテーマ的深みも出したかったのであろうけど、取って付けた接ぎ木の感は否めない……。
 などといった見解は、筆者個人の独断的な感想ではナイ。当時のアニメ感想クラスタ界隈でもよく見掛けた感想でもあった。


 ただし、アニメ売上クラスタでは、「作品はクソだけど(爆)、物語的審美眼はナイいわゆる動物化している萌えブタたちが買い支えることで、ドラマ面でも優れていた『ガルパン』の3~4万枚の大ヒットの域には及ばないけど、2~3万枚の域には行くだろう」との勝ち馬予想も出ていて、実際にもその通りになったことで、作品的にはともかく商業的には相応の成果を収めたとはいえるだろう。
 その伝で云うならば、作品としては『艦これ』より優れていても(?)、二番煎じである本作『アズレン』が『艦これ』の円盤売上の域に達することもムズカしそうではある。作品批評と売上とは別モノであることをイヤでも痛感させられるけど、その売上で製作者たちが食べているのも事実である以上は、売上それ自体の批評=売上批評や、作品の質&売上を正比例させるための方策や理論の構築なども必要となっていくのではあるまいか?


 米英vs日独の構図。そして、双方の陣営内部でも多彩な対角線的人間関係を作っている点でも、キャラを並列に列挙してお団子状態になっていただけの『艦これ』アニメ版と比したら、『アズレン』アニメ版のポイントは高いが、大海原を見下ろす岸壁上の草原でスパイ活動中であった日本の艦船少女・綾波と米英の艦船少女2名の幼女チックな交流、戦場での再会、撤収命令での離別の際の声掛けなど、コテコテのパターンではあるけれど、コレが両陣営の和解の糸口、巨悪に対して一致団結する端緒となって、「ジャンプ」漫画的な共闘のカタルシスで終盤を盛り上げていくのですかネ?
 脚本は今をときめくゲーム会社・ニトロプラス鋼屋ジン(はがねや・じん)で、特撮方面では『仮面ライダー鎧武(ガイム)』(13年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20140303/p1)のサブライターでもあったけど、序盤を観るかぎりでは多彩なキャラクターシフトを構築できてはおり、人間関係&心理の変遷もハラまれている長編ドラマ性やシリーズ構成面での種まきやネタの仕込みに抜かりはナイようだ。


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.83(19年11月3日発行))


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『惡の華』前日談「惡の蕾」ドラマCD ~深夜アニメ版の声優が演じるも、原作者が手掛けた前日談の逸品!

『惡の華』 ~2013年4大ぼっちアニメ評 『ローゼンメイデン』『琴浦さん』『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』
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 2019年9月27日(金)から映画『惡の華(あくのはな)』実写映画版(井口昇カントク&岡田麿里脚本!)が公開記念! とカコつけて……。深夜アニメ版『惡の華』(13年)の前日談を描くドラマCD『惡の蕾(あくのつぼみ)』(13年)評をアップ!

惡の華』前日談「惡の蕾」ドラマCD ~深夜アニメ版の声優が演じるも、原作者が手掛けた前日談の逸品!

キングレコード
(文・久保達也)
(2014年1月15日脱稿)


 異色の大傑作、クラスで(ひとり)ボッチに転落していく少年を描いたマンガ原作の深夜アニメ『惡の華』(13年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20151102/p1)で描かれた物語の1年前、中学1年生だった登場人物たちの「日常」について、原作者の押見修造自身がマンガのかたちで書き下ろしたエピソードを音声ドラマ化した「プロローグ」を収録している。


 「春日高男編」「仲村佐和編」「佐伯奈々子編」「山田・小島編」「木下・麻友編」「PTA編」(笑)の6トラックから構成されており、ボーナストラックとして、アニメ本編で使用された音源を集めた「仲村罵声集」(爆)、および「中二病座談会~キャストトーク~」も収められている。


「春日高男編」


 「春日高男編」では、自室でマンガに夢中になっていた冴えない主人公少年・春日高男(かすが・たかお)に、「中学生の時に読んで世界が変わった」と、父がボードレールの詩集『悪の華』(1857年・ISBN:400325371XISBN:4102174036ISBN:4087601978)を手渡すという、全ての「発端」となる場面が描かれる。
 「これ面白いの?」と半信半疑で読み始める高男であったが、「ご飯よ」と呼び続ける母の声が全く聞こえなくなるほどに、いきなり高男の世界は変わってしまう。
 学力的には優等生の奈々子でさえも、「やっぱり難しいよ」と理解できなかったほどなのだから、やはり高男は『悪の華』にすぐさま共感してしまうほどに、すでに現実世界に息苦しさを感じていたというところであろう。


「仲村佐和編」


 「仲村佐和編」では、「ハエが1匹、ハエが2匹……」と数えていた本作の悪のヒロイン、デブで眼鏡の荒(すさ)んだ中学生少女・仲村佐和(なかむら・さわ)のもとに、やはり父が夕食だと呼びに来るが、この時点ですでに佐和の部屋の扉には、


「はいるな クソムシ」


と書かれていたのである。


 父がこれを叱りつけると、佐和は父に


「おまえはハエを殺せるのか!」


と叫び、部屋を飛び出してしまう。


 そして佐和は高男と出くわし、高男に


「ウンチバエ!」(笑)


と叫んで去っていく。


 佐和の心の中では、この時点でこの街にあふれる「クソムシ」どもをできることなら「始末」してやりたいという想いが渦巻いていたということなのか?


 すでに佐和はそうとうヤバい境地に達していたのだが、こうなると、佐和の「小学生編」(笑)をどうしても観たい、と思わずにはいられなくなってしまう。


「佐伯奈々子編」


 「佐伯奈々子編」では、学校行事のマラソン大会で、本作の善のヒロインであるお上品な少女・奈々子が友人の木下亜衣・三宅麻友とともに、ブルマー姿で走る途中――麻友がハミパン状態になる描写がある(笑)――、高男が泣きそうな顔をして、草むらの中で何かを探している姿に出くわす。


「ほっときなよ、あんな奴」


と亜衣が制止するも――マジでこいつだけは……(笑)――、奈々子は亜衣と麻友を先に行かせ、高男の探しものを手伝うことになる。


高男「山田の野郎、ぶっ殺す! おれの魂を……」


 高男は、なんとマラソン大会で『悪の華』を読みながら走っていたのであり(爆)、それをからかった友人の山田が、高男から本をとりあげ、草むらの中に投げ捨ててしまったのである(笑)。


高男「なんて美しい……ふとももが……シャンプーのにおいが……」


 奈々子が本を一緒に探し、見つけてくれたことで以来、高男は奈々子に夢中になってしまうのだが、高男はこのとき、「ファム・ファタール」(運命の女)とつぶやいている。
 そもそも中学1年生でこんな言葉を知ってること自体、高男はやっぱただ者ではない。


「山田・小島編」


 主人公少年・高男の友人たちを描く「山田・小島編」では、山田の自宅で高男と小島がゲームで遊び、小島が帰ったあと、山田がいかにも中学生男子らしいトークで高男をいじり回す場面が描かれる。


山田「サセ子とかいねぇかな。2万円くらいでやらせてくんねぇかな?」(笑)


 拒絶反応を示す高男に、山田はいつもどうやって自慰をやってるかを尋ね、自分はエロ動画をおかずにしていて、このへんにノートパソコンを置いて……などとやらかし、あくまでも高男がどうやっているのかを、しつこく聞き出そうとする(笑)。


 本編では女子生徒たちが体育の時間にブルマー姿であり当初、筆者は原作者の押見が1981年生まれであることから、本作の時代設定を氏が中学生であった1994~96年頃だと考えていた。
 だが、よく観ると高男の自宅にあるテレビはワイドテレビであり、そこに映る漫才師がオフィス北野に所属する米粒写経というコンビがモデルであることから、今回ノートパソコンが描かれているのも当然であり、時代設定は明らかに現代なのである。
 つまり、『惡の華』という物語を成立させるために、すでに21世紀には教育現場で絶滅しているはずのブルマーが、あえて描かれているのである。


 それはそうだろう。もし奈々子の体操着が、現実世界で体育の時間に使用されている、色気も何もないハーパンであったなら、高男はそんなもん盗まなかったのでは? と考えざるを得ないのである。
 そもそも現代の中高生男子たちは、体育の時間に女子のあんな姿を見て、果たして欲情するのだろうか、という素朴な疑問もあるし、せめてアニメやゲームなどの「仮想世界」で描かれる学園生活くらいは、ブルマーを絶滅させるな! と思えてならないものがある(笑)。閑話休題


 それはともかく、奈々子の母を演じる土井美加(世代的には『超時空要塞マクロス』(82年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/19990901/p1)のヒロイン・早瀬未沙役が最も印象深い)は、この場面に対し、「中学生の男の子ってあんな話してるの!?」と驚いていたとか(笑)。


「木下・麻友編」


 善のヒロイン・佐伯奈々子の友人たちを描く「木下・麻友編」では、亜衣が初めてブラジャーを買うために麻友を近所のスーパーに付き添わせたところ、母の買い物についてきた高男と下着売場で出くわしてしまう。こんな「間の悪さ」も実に高男らしい。
 「なんでこんなとこいるの?」「盗撮とかしようとしてたんじゃないの!?」――ホントにマジでこいつだけは……(笑)――と、亜衣は徹底的に高男を疑う始末。


 そして、高男が持っていた『悪の華』の表紙を麻友が気味悪がり、高男が去ったあと、亜衣は


「ホント気持ち悪い! ああいう奴がエロい犯罪とかするんだよね!」


と、勝手に決めつけてしまう!


 やっぱマジでこいつだけは……(爆)


「PTA編」


 そして「PTA編」では、意外にも、高男の母と奈々子の母が、すでに仲の良い様子であることが描かれている。
 校内の作文コンクールで奈々子が入賞したこと、高男が気味の悪い本ばかり読んでいること、などの「日常」が、二人の主婦の間で延々と語られる。
 本編でもそうであったが、高男の母を演じる小林愛の、あまりにも生活感にあふれた演技によって、たとえ絵がなくとも、「井戸端会議」の情景が、見事なまでにありありと浮かんでくる。


 そこに佐和の父が現れ、二人と挨拶をかわす。


佐和の父「思春期って、本当に難しいですね」


 そう切り出した佐和の父は、佐和が学校のことを何も話してくれないため、娘がどう過ごしているのかわからないが、もし良ければ高男と奈々子にうちの佐和と仲良くしてほしい、と高男の母と奈々子の母に頭を下げる。
 ふたりは「うちの子でよければ。ねぇ」などと快諾するのだが……


 本編を観る限り、高男も奈々子も、この1年、佐和とはほとんど関わりがなかったように描かれている。つまり、ふたりの母は、佐和の父から受けた依頼を、息子や娘には一切話さなかったのだと、解釈せざるを得ないのである。
 すでに「問題児」として悪評が立っていたであろう佐和を、うちの子供に関わらせたくはない……親としては至極当然な反応ではあろうが、これがまた、佐和をますます「狂気」へと駆り立ててしまったのである。
 そうした生徒に救いの手を差し伸べようと、大人たちが真剣に考えてあげるのが、本来の「PTA」という場ではないのだろうか?


中二病座談会」


 本編の世界観と絶妙にリンクした、実に聴き応えのあるドラマCDであったが、巻末の「中二病座談会」(笑)がまた、まさに『惡の華』の世界観を、声優たちが現実世界ですでに築き上げてきたかのようなトークであふれていた。


・高男を演じた植田慎一郎は、中学時代すごくモテたいという願望から、「対女子用質疑応答マニュアル」を作っていたとか(爆)。
・山田を演じた松崎克俊は、人気者が中心のきらびやかなグループではなく、それに入れなかった、鬱屈したどんよりとしたグループ(笑)にいたらしいが、その陰のグループからも孤立しないため、特に興味もなかった洋楽を必死で聴いて話を合わせてたとか(笑)。
・小島を演じた浜添伸也は、自分がただ者ではないと思わせたかったがために、読んでも理解できないような小難しい本を常に携帯していたという、まさに高男のような中学生時代を送っていたとか(爆)。
・麻友を演じた原紗友里は、どのグループにも入れなかったことに対し、自分が仲間はずれなのではなく、自分が他の生徒を仲間はずれにしているのだ、と自身を慰めていたとか(笑)。


 あまりに痛い話が続出した末、奈々子を演じた中堅のアイドル声優日笠陽子が「人類はみな変態」(爆)と締めくくるのには、まさに『惡の華』を演じるにふさわしいメンバーたちかと思えた。


 それにしても、佐和を演じた伊瀬茉莉也(いせ・まりや)が、あまりに普通に可愛らしい声であるのには、「仲村罵声集」が直前に収録されていることもあり、仰天することしきりである――実際ルックスも到底、佐和とは結びつかないほどの可憐さである。ググってみると、女児向けアニメ『Yes! プリキュア5(ファイブ)』(07年)と続編『Yes! プリキュア5 GoGo(ゴーゴー)』(08年)で、小柄可愛い系のキンキン声で金髪ツインテールの黄色いプリキュアキュアレモネードも演じた御仁である――。あそこまで低音でドスのきいた声が演じられるとは見事というより他にない。


 筆者の天敵である(笑)亜衣を演じた上村彩子(うえむら・あやこ)もまた然りである――こちらもググってみると、アイドル集団・AKB48(エーケービー・フォーティエイト)の初期(第2期生・06年)メンバー出身だそうな――。


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.67(14年4月13日発行))


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 2019年9月20日(金)からアニメ映画『HELLO WORLD(ハロー・ワールド)』が公開記念! とカコつけて……。
 『HELLO WORLD』の脚本・野崎まど(小説家)が手懸けた深夜アニメ『正解するカド』(17年)評をアップ!


正解するカド KADO: The Right Answer』 ~40次元の超知性体が3次元に干渉する本格SFアニメ。高次元を材としたアニメが本作前後に4作も!

正解するカド』 ~合評1


(文・T.SATO)
(17年4月28日脱稿)


 今どき珍しい本格SFアニメが登場。
 ただしセル画ライクなCGアニメ。だけど、指摘されなきゃCGアニメだとはパッとは判らないほどのナチュラルさ(少なくとも筆者には・汗)。
 別項で加齢ゆえかSFに対する個人的な関心がウスれている……なぞと書き散らしてしまったけど撤回します。この作品はスゲェ!


 表面に複雑な幾何学模様を浮かばせてそれを常時変化させている、数キロ四方の超巨大で金属チックな輝きを放つ正立方体が宙空に突如出現! 羽田空港にゆっくりと垂直着陸して、離陸寸前の200名が搭乗した旅客機を内部に吸収してしまう!
 ただちに日本国政府が、首相・閣僚・霞ヶ関のお役人・科学者らも陣頭指揮を取って、対処にコレ努めるも徒労に終わる。
 万策尽きたかと思ったそのとき、旅客機に搭乗していた若手エリート外交官とナゾの青年が正立方体の上面のカドに出現して、人類に「ヒトよ……」と呼びかける……。


 未知なる存在に対して日本政府が対応するリアルシミュレーション、そして官房長官ゴジラ大好きの政治家・石破さん、首相も西暦2000年前後に活躍した故・小渕首相にソックリなので、ドーしたって昨年の怪獣映画『シン・ゴジラ』(16年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20160824/p1)を想起する。が、ググってみると本作の製作発表はそれを遡ること2015年11月(汗)。
 まぁ映画の神さまのイタズラか、本作放映開始の翌月2017年初夏には『メッセージ』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20170516/p1)という似たような趣向の巨大物体が出現するハリウッドのSF映画も公開されるしネ……。
――もっと云うなら、巨大円盤が飛来して、人類が地球もろとも高次な存在によって強制進化させられちゃう古典SF『幼年期の終り』(53年)という前例もありましたけど――


 とはいうものの#2以降、タバコ吹かしたバリバリなキャリアウーマンでベラんめい口調の姉御セリフをしゃべるマンガ・アニメ的な記号的キャラクターでも出てきたら、この作品のリアリティの階梯&品位はイッキに下がって台無しになるやもしれないから――いや別ジャンルの作品であれば、そーいう記号キャラもキライじゃないけれど(笑)――、#1の段階では様子見の判断保留でいたのだが……。#3まで視聴したけど、この作品はガチな異星人とのファースト・コンタクトもので、このままの路線で行くようだ!?


 しかも、異星人(?)は「宇宙の外」から来たというので、エリート外交官がそれを――「4次元」以上の空間という意味での――「高次元」世界から来た……と意訳・翻訳するものの、人間たちとコミュニケートしやすいようにヒトの姿を取っているナゾの青年は、それは正しくない翻訳だとのたまう(笑)。
 いやいやいや。3次元の「宇宙の外」なり、この「宇宙よりも上位の空間」があるのなら、それは充分「高次元」空間と呼んでもイイっしょ! というSFオタクや元・科学少年たちのツッコミの先を行く、あくまでも「既知」ではなく「不可知」なモノとして超存在を描写しようとするスレたセンスも本作は垣間見させてくれる!


 いやぁたしかに若いころにワクワクした「価値転倒」や「視点の拡大」といった知的快感をもたらすSFマインドって、こーいうモンだったような気がするねェ(遠い目)。


 んで、かつてのSFファンは――筆者も含めて――、


「自分が面白いと思った、あるいは感動したSF的興趣は普遍的なモノであり、ゆえに全人類(笑)も同じように面白いと思うに違いない!」


と素朴に思い込むような傾向があった。


 それはウラを返せば、SFや科学が理解できない人種に遭遇するや、「信じられない」「バカじゃねーの」とケーベツに走りがちな傾向のモノであったようにも思うのだ――筆者個人の経験を一般化するなってか?(汗)――。


 歳月を経て思う。SF的興趣に感度があるのは全人類の1~2割程度の恐怖奇形人間だけであると。しかもSFというジャンルは、日常生活では非論理的かつフワッとして感覚的な、例えば女のコとの即興の軽口会話などを苦手とする人種が、「世界」や「宇宙」の「縮図」を早分かりしてスゴロクでアガリになった気分になるための慰謝ツールに過ぎなかったのではないのかと(爆)。
 そうは思うものの、こんな作品を見せつけられてしまうと、我が体内のSFの血が騒ぎだす(笑)。


 もちろんショボいビジュアルやキャラデザでは本作の興趣は台無しになってしまうので、大作アニメにふさわしいビジュアルの高精細さが本作に説得力を与えていることも指摘しておかないと大変だ。


 と、ここまで書いておいてナニだけど、主人公が若手外交官であることからもわかる通り、本作はSFよりも外交交渉がメインになるような気配もある。まぁSF至上主義者ではナイので、面白ければドコの方向に行こうとイイけれど。


 しかし、70~80年代の宇宙SF全盛の時代ならばともかく、今季の覇権アニメになれる予感もまったくしないなぁ(笑)。


 エッ、あの女性役人のメインヒロインも、荘厳なオープニング主題歌の歌唱も、またまた『海賊戦隊ゴーカイジャー』(11年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20111107/p1)のゴーカイイエローことM・A・Oちゃんなの!?


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.69(17年5月4日発行))


正解するカド』 ~合評2


(文・久保達也)
(2017年6月8日脱稿)


 羽田空港を飛び立とうとする旅客機の中で、


「ひさしぶりの海外ですね!」


とはしゃぐ、スーツ姿の後輩ビジネスマン(?)の花森に、


「目先の利益だけで相手を打ち負かすのではなく、双方に利益が得られるように交渉すべき」


などと、先輩の真藤(しんどう)が工業用地買収を成功する秘訣(ひけつ)について語る……


 何の予備知識もなしに第1話の冒頭を観て、これはイケメンの先輩後輩コンビを主人公にしたビジネスアニメ(笑)でも始めるつもりなのか? と思いきや……


 ふたりの眼前で、突然謎の巨大な立方体が空から姿を現し、やがて七色に輝く透明な不定型生物らしきものが機内に侵入! 乗客たちは次々にそれに飲みこまれ、遂に旅客機そのものが巨大な立方体に吸いこまれてしまう!


 これを観て筆者の脳裏(のうり)に浮かんだのは、羽田空港に着陸寸前の旅客機が、東京上空に現れた未知の空間に吸いこまれるところから物語が始まる『ウルトラQ』(66年)第27話『206便消滅す』である。
 つまり、かなり久々の直球ストレートな「SF」マインドにあふれた導入部を観ただけで、もう心が踊らずにはいられないものがあったのだ!
 古いタイプの特撮マニアたちが『ウルトラQ』を「SF」扱いする行為に対して、いやあれは「怪獣もの」で「SF」じゃないから、そのような論法は一見高尚なようでも「怪獣もの」よりも「SF」を上位に見立てて、「怪獣もの」を自立・独立した1ジャンルではなく「SF」の下位のサブカテゴリ―に隷属させてしまう行為でもある! と否定的な立場の筆者ではあるものの、やはりこういうノリを観て「SF」だ! 「SF」だ! と大騒ぎしたくなる気持ちは、確かに理解できなくもないのだなぁ(爆)。



 ただ、これだけではマニアたちがよく云うところの「既視感」バリバリの展開ということになるので、個人的に本作に対して目新しさを感じた点を少々。
 まず、本作のヒロインが、単に事件の傍観(ぼうかん)者となってしまいがちな普通のOLとかではなく、政府の危機管理センターに勤める、紺色ショートボブヘアの有能なキャリアウーマンであることだ。
 ここで注目したいのが、ヒロインが行方不明になった旅客機の乗客名簿を見て「真藤くん!?」と驚くことで、実は外務省のお役人である真藤とは旧知の間柄であることを端的に示すとともに、今後ふたりが恋人関係へと進展するであろうことを匂(にお)わせる、なかなか心憎い演出である。
 つまり、「真藤くん!?」とは叫んでも、「花森くん!?」とは叫ばないのだ。決して後輩の花森のことが、ヒロインにとってどうでもいいというワケではなく、本作ではあくまで二の次の存在ということなのだ(爆)。


 先述した『ウルトラQ』のヒロインで、主人公・万城目淳(まんじょうめ・じゅん)の一応の恋人として描かれた江戸川由利子(えどがわ・ゆりこ)に置き換えても、「淳ちゃん!?」とは叫んだだろうが、淳の後輩・戸川一平のことは案じつつも、そんな単なる友人に対しては「一平くん!?」とは叫ばなかったであろうから。
 まぁ女性とはそういう生きものなのだ、とのプチ主張も、やや垣間(かいま)見えるような気もするが(笑)。



 で、別の意味で女性のある種の残酷さを垣間(かいま)見せてくれるのが、謎の巨大立方体に旅客機が飲みこまれたことが明らかとなり、政府の対策会議が騒然となる中、国全体を揺るがすほどのこの危機的状況こそ、自身の探求心を最大に満たしてくれるものだとして、うれしくてしかたがないようにしか見えない女性科学者の存在である。
 リアル系のキャラが大半を占める中、パープル髪でやや萌(も)え度が感じられるメガネっ娘(こ)の科学者は、謎の立方体の解説を政府のお偉い方に得意げに早口でまくしたて、次から次へとメカを投入して立方体の壁を破る方法を現地で調査したあげく、陸上自衛隊朝霞駐屯地(あさか・ちゅうとんち)から戦車を出動させ、あまりにも気楽に


「撃っちゃってくださ~い」


などとのたまうのだ。


 もう旅客機の乗客の安全とか、立方体の中に潜む謎の存在からの反撃とか、な~んも考えてない(爆)。


 戦車の砲弾でさえも壁を突き破ることができず、それが跳ね返されてボトンと落ちる描写は、本来なら驚愕(きょうがく)すべきところなのであろうが、それすらも女科学者が


「神です~!」


と喜ぶさまは、もう単なるギャグにしか見えない(大爆)。


 ただ、その甲斐(かい)あって立方体のカド(角)に突然入り口ができ、階段を上がって中から真藤が出てくるのだが、それに続いて立方体の主が遂に姿を見せる!


 まさかタイトルの「カド」ってここからきてるのか? 「正解」も「政界」とかけあわせているような気もするし(笑)。


 もちろんセミの頭に両手がハサミという、初代『ウルトラマン』(66年)の代表的宇宙人・宇宙忍者バルタン星人みたいなのがいまどき出てくるハズもなく、髪も顔色も衣装もひたすら白いイケメン宇宙人が登場するのだが、そいつがまた日本政府に対し、「地球人よ」ではなく、「ヒトよ」と呼びかけるのだ!
 おまえだってヒューマノイドなんだから、立派に「ヒト」じゃねえかよ(爆)。


 いや、これがまた実に心憎いところで、こいつの正体は、おそらくは冒頭に出てきた透明な不定型生物であり、それが地球人とコンタクトしやすいように「ヒト」の姿に変身しているのだと思えるワケで、「ヒトよ」なる呼びかけこそが、その最大の証(あかし)なのだろう。


 しかし、こいつの名前が「ヤハクィザシュニナ」って……舌噛(か)んでまうやないか!(笑)


 そんなワケで、往年のハリウッドのSF映画『未知との遭遇(そうぐう)』(77年・日本公開78年)のような第1種接近遭遇――小学生のころ、このフレーズにはワクワクせずにはいられなかったものだ!――、ファースト・コンタクトものであり、地球人対宇宙人のハデなドンパチが繰り広げられるものではなさそうだ。
 むしろ日本政府対ヤハクィザシュニナによる、双方に利益が得られるような話し合い、つまり「交渉」が主軸に描かれるということが、冒頭の用地買収云々(うんぬん)なる真藤と花森のビジネス会話に伏線として描かれていたワケで、これまた実に心憎いものがあるのだ。


 まぁ、政界の群像劇となると、映画『シン・ゴジラ』(16年・東宝)をどうしても彷彿(ほうふつ)としてしまうワケで、そうなると既視感云々は拭(ぬぐ)えなくなってしまうのだが。
 そういや『シン・ゴジラ』にも、早口でまくしたてる理系女子が出てましたねえ。もっともあちらの場合は、終始無愛想(ぶあいそう)な表情をしてましたけど。まぁ、彼女も本当はゴジラが出現したのがうれしくてたまらなかったのを、隠すためだったんでしょうが(大爆)。


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.78(17年6月18日発行))


後日付記:『正解するカド』中後盤評 ~「高次元」に材を取った、『宇宙戦艦ヤマト2202』・『機動戦士ガンダムNT』・『GODZILLA 星を喰う者』・『アントマン』!


(文・T.SATO)
(2019年9月27日執筆)


 とはいうものの#2以降、タバコ吹かしたバリバリなキャリアウーマンでベラんめい口調の姉御セリフをしゃべるマンガ・アニメ的な記号的キャラクターでも出てきたら、この作品のリアリティの階梯&品位はイッキに下がって台無しになるやもしれない……


 などと語ったそばから、いやすでに、「撃っちゃってくださ~い」「神です~!」とはしゃいでいる、パープル髪で萌え系のメガネっ娘の科学者であり、マンガ・アニメ的な記号キャラがいるじゃん(爆)。


 彼女に違和感をいだかずにスンナリと受け入れて、先の発言をしているあたり、当方がいかに記号的な美少女アニメに毒されてしまっているのかがよくわかる(汗)。


 それはさておき、宇宙人ならぬ高次元人との「外交交渉」が主軸となるのやも……という憶測は「勇み足」であったようだ。
 本作は高次元人がもたらすアイテム――永久機関(永久電力)や、高次元感覚や並行宇宙感覚の獲得による睡眠不要、重力・運動・物質の制御装置――への驚きや、超巨大立方体・カドの羽田空港から郊外への大移動などのスペクタクルが中盤の主眼となり、最終的には高次元人が主人公男性に恋慕(?)するような展開ともなっていく。


 この最後の高次元人が主人公男性といおうか、人間という低次な「知性体」の劣情も含んだ複雑怪奇な「情緒」のナゾに興味を覚えて傾注していく姿が、古典SF的な機械やロボットの反乱モノにも通じる「知性」よりも「感情」や「人間性」の賞揚という、既成感あふれるパターンに回収されてしまったともいえる。
 よって、そこに引っ掛かりを覚える御仁もいてイイとも思う。筆者個人もクールでドライなシミュレーションSFに徹することができなかったという感もある。


 けれども、出来上がった作品を擁護するならば、「情緒」賞揚や「人間」賛歌になりつつも、並行して高次元世界から見た大宇宙や地球の生命の歴史や、そこに高次元生命体がすでに宿っていた劇中内事実なども美麗な映像&音楽の力で描写しているので、テイストとしてはそんなにベタついて湿ったノリではなく、クールで乾いてハイブロウ(高尚)でスペクタクルな本作のカラーは維持できてもいて、ナマっちょろい感じには堕していない。
 よって、コレはコレで筆者にとっては、作品が空中分解してしまったというような酷評の感慨はいだいておらず、最善のオチではないにせよ次善としては許容範囲のオチでもあって、大スキという作品ではないけれどもキライでは決してナイという位置付けとなる。



 ジャンル作品の神様のイタズラか、4次元以上の高次の空間に住まう超越的存在が、我々が住まう3次元世界に干渉してくる作品がこの2017年には奇しくも2作品も本邦ジャンル作品には登場した。
 ハイブロウなSF深夜アニメの本作『正解するカド KADO: The Right Answer』に登場したヒト型の超生命体と、往年の超ヒットアニメのリメイク『宇宙戦艦ヤマト2202(ニーニーゼロニー) 愛の戦士たち』(共に17年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20181208/p1)に登場した美女・テレサのリブート版だ。


 前者においては、3次元世界はあくまでもタテ・ヨコ・高さという3乗(3次元)の広がりに基づいた集積回路&処理速度という物理的限界に知性体の脳ミソや計算機は束縛されているけど、「3次元世界」の37乗倍の広がり&処理速度を持つ世界から飛来したと超生命体が終盤で明かしたことから、彼らは3+37ということで「40次元」という超高位な高次元空間から飛来した存在であったと比定できる。
――古代ギリシャの哲学者・プラトンが唱える「イデアの世界(理念・メタ・天上世界・あの世)」=「本体」と、「この世(物質の世界)」=「影絵」の関係に例えれば、超生命体の本体は40次元の高次元空間にあって、『正解するカド』#1冒頭にて登場した不定形な生物も、40次元存在である40乗の広がりを持った超々立体の本体が3次元世界に単純化・平面化(3次元立体化)されて写った「影絵」であったといえる――


 後者においては、原典では「反物質」のヒト型生命体という設定で、しかして電荷が逆である「反物質」と「物質」が接触したら物理的に対消滅が発生して大爆発が生じてしまうのに、テレザート惑星は「物質」組成であり、そこに住まう知的生物・テレサが「反物質」であるのは、当地では惑星の「物質」素材由来(多分)であったハズの原始生命が「反物質」であるテレサにどのようにして進化ができたんだよ! という、往時でも筆者のような可愛くない科学少年であれば(笑)、少々ツッコミどころはあった設定ではあった――その一点の瑕疵(かし)をもって、『2202』の原典『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』(78年)を全否定しているワケではないので念のため。むしろ傑作だと思ってます――。


 40年後のリメイク『2202』では、さすがにこの設定のままではムリがあると思ってだろう。知的生命体の高次な精神活動は脳ミソ以外にも、3次元的には超々ミクロの世界に折り畳まれているようにも解釈できる「高次元」空間とも通じている、波とも粒ともつかない超々ミクロの「量子」レベルのゆらぎや共鳴などの振動現象にも依拠して「意識」や「知的活動」が発生しているという、真偽は定かならず証明もできそうにない最新トンデモ科学仮説におそらくは則ったのであろう。
 その「量子」レベルの真理を技術化し、精神の力を物理的な力に変換するテクノロジーで近隣星域を支配して、やがて肉体を捨てて全テレザート星人が合体した集合知の精神生命体となり「高次元世界」の上方へと上り詰め、「高次元」からは低次の「3次元世界」の「時間」すら可視化して認識もできるがために、我らが「3次元宇宙」の過去~未来までをも見通せる超生命、劇中での文学的レトリックだと「この世」と「あの世」の狭間にいる超存在として定義され直すことで、筆者のようなウザすぎるマニアによるツッコミの隙を減らしている(笑)。


――ちなみに、アリ男ならぬアメコミ洋画『アントマン』(15年)&続編『アントマン&ワスプ』(18年)でも、ミクロ化できるスーパーヒーローの「ミクロ化」の部分をさらに推し進めて、それが超々ミクロな「量子」の域にまで達したことで、時間・空間・高次元の境界もあいまい・混在の極微な世界で四半世紀も前に行方不明になったヒロインの母親探しネタを一方に据えて、「量子」経由での精神活動への干渉という設定を用意することで、「夢でのお告げ」などの古典的な作劇を正当化している。今や「高次元」は「ナンでもあり」や「精神主義」をそれっぽく可能とするジャンル作品におけるマジックワード・万能兵器となったのだ(笑)――


 逆に3次元世界の側から4次元以上の高次元空間に精神が拡張していったのが、巨大ロボットアニメ「ガンダム」シリーズの1本たるアニメ映画『機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)』(18年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20181209/p1)である。
 本作では死者の霊とも交流でき、物理法則を超えて隕石落としさえ防ぐまでに、後付けでインフレ・拡張していった「ニュータイプ」(新人類)の概念を、コレまた30年後の後付けの後付け(笑)で、過去作の該当シーンのバンクフィルムも多用して「何もかもすべて懐かしい」というロートル観客の「思い出補正」作用も援用しつつ、未知の金色ガンダムの影響で時間が局所的に逆行したかのごとき部品破損が発生する追加能力も作って、やはりニュータイプは「時が見える」ような時間・空間を超えた4次元以上の高次元世界にまで精神が上昇したがゆえの能力だと再定義。
 サイコフレームなるバイオコンピューター素子を封じた金属装置も技術者の思惑(おもわく)&理論を超えて、精神の力を物理的な力に変換する媒介となって、それが物理法則を超えた超常現象をも惹起。金色ガンダムの少女パイロットも「完全なるニュータイプ」として彼岸の彼方の高次元世界へと立ち去り、肉体を消失して思念だけでサイコフレーム経由にて金色ガンダムを操縦し、物理限界を超える亜光速で飛行可能とする!
――同時に高次元世界や思念だけの存在を劇中で肯定することで、死者の霊との交信にもSF的根拠を与えていた――



 平成になってからも、遺伝子操作をされた超生物や、日本を守る護国聖獣、あまたの星間文明を滅ぼしてきたギドラ属と呼ばれる宇宙怪獣種などなど、さまざまな新解釈でリメイクされつづけてきた金色の三つ首怪獣・キングギドラ
 フル3D-CGアニメ映画『GODZILLAゴジラ) 星を喰う者』(18年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20181123/p1)では、別名「高次元怪獣」という新設定でリマジネーションされている。我々が住まう3次元世界・3次元宇宙ではなく、「高次元宇宙」に出自を持つ怪獣!
 なるほど! そう来たか! たしかに我々が住まうこの3次元世界とは「水平」「パラレル」の関係にある「平行宇宙」に由来する怪獣では、いかにこの「宇宙」の「外部」から飛来した存在であったとしても、原理的には我々とも対等・平等の存在にはなってしまう。
 しかし、この「宇宙」にとっては同じく「外部」の関係にあるとはいえ、我らの「宇宙」や一連の「平行宇宙」の「上部」というべき、「垂直」「バーチカル」な4次元・5次元・6次元以上の、我々の3次元世界に対して優位に立つ「超空間」「高次元」の世界や宇宙に出自を持つ、神にも近しい超越的な存在としてキングギドラを描くのであれば、コレぞまさしく地球怪獣2~3体から10体を相手にまわして、一歩もヒケを取らなかった宇宙超怪獣キングギドラのもっとも現代的な解釈ではあり、ハイブロウなSF的リマジ版に昇格したともいえるだろう!


 で、『正解するカド』の高次元生命体や『2202』のテレサの域に達してしまった本作の我らがキングギドラ
 それは箱根上空の雲海に開いた、高次元空間に通じる3つの黒いワームホールから半ば無限(!)に伸びてくる、金色の竜の三つ首だけで描かれる。キングギドラの特徴的なボディーや両翼に2本のシッポや両脚は描かれない。
 そのギドラの三つ首がゴジラのボディーにカラみつき、そして噛み付きつづけるというかたちで怪獣バトルが描かれる。


 とはいえ、それだけではどのへんが高次元の怪獣としての特性であるのかサッパリとなってしまうので(笑)、周囲のリアクションの方でギドラの特異な属性を描写する。
 人間や宇宙人などの知的生命体・生物には視認が可能でも、センサーや計器などの機械にはまったく検知不能。どころか、ギドラの周囲の時間&空間はゆがんでいるらしく、ごくごく近い未来に起きる宇宙船内の区画の爆発や生存者ゼロの反応を、センサーや計器は先んじて検知して、それに管制室のオペレーターが驚愕するなどの描写を入れることで、知的・SF的なフック(引っかかり)としつつ、ギドラの超越的な属性&脅威も描写する。
 以上の前座を踏まえて、高次のギドラ側は低次のゴジラをカラめとって締め付けることができるのに、影絵のゴジラ側が理念のギドラ側に掴みかかろうとしてもスリ抜けてしまうという非対称な異種格闘技戦となる。


 げに、ジャンル作品の神様のイタズラである(笑)。


――高次元存在ではないけど、地球人よりも高次な宇宙人として登場し、犯罪の基となる「感情」を人類から消去しようとする銀河警察ハイジャス人が登場した子供向け合体ロボットアニメ『勇者警察ジェイデッカー』(94年)終盤、真のラスボスが3次元人(=我々のこと・笑)であった『勇者特急マイトガイン』(93年)、「知恵の実」を食させて人類を強制進化しようとする宇宙人が終盤に登場した国産ヒーローをメタ的に総括した深夜アニメ『サムライフラメンコ』(13年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190301/p1)、同じく「知恵の実」を食した異世界の知性体が進化の階梯を昇った「オーバーロード」なる存在がシリーズ後半の暫定的な上級・敵怪人となる『仮面ライダー鎧武(ガイム)』(13年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20140303/p1)、地球人よりも高次な宇宙人種族である巨大ヒーロー・ウルトラマンの一族に、劇中では地球の知性体を「地球人」ではなくあくまでも「人間」と呼称させ、地球や人類の守護だけではなくその劣情も含めた「人間性」を学習することを新人ウルトラマンの任務とさせていた『ウルトラマンメビウス』(06年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060625/p1)なども想起してみたり……――


 しかし、本作『正解するカド』の円盤売上は第1巻が500枚弱の爆死。600枚弱の同期2017年春の宇宙SFロボットアニメ『ID-O(アイ・ディー・ゼロ)』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190924/p1)の不人気同様、日本のロボットアニメやSFアニメの未来は暗い……(笑)。


(了)


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GODZILLAゴジラ) 星を喰う者』 ~高次元怪獣にリブートされた宇宙超怪獣キングギドラが登場! 「終焉の必然」と「生への執着」を高次元を媒介に是々非々で天秤にかける!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20181123/p1

機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)』(18年) ~ニュータイプを精神が高次元世界に拡張した存在だと再定義! 時が見え、死者と交流、隕石落下を防ぎ、保守的家族像を賞揚の果てに消失したニュータイプ論を改めて辻褄合わせ!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20181209/p1

宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』#1~10(第一章~第三章) ~高次元存在にリブートされた美女テレサが登場! 戦争モノの本質とは!? 愛をも相対視する40年後のリメイク!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20181208/p1


[関連記事] ~SF洋画評

『メッセージ』 ~ヒトの精神が語彙・語順・文法に依拠するなら、異星人の超言語の取得で、世界認識も拡張するのか?

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『ゴースト・イン・ザ・シェル』 ~ヒトの精神は電気信号に還元できず、脳内化学物質での駆動では? 人格が代替可能なアニメ版/代替不能な実写版!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170510/p1

エイリアン:コヴェナント』 ~エイリアンの起源問題・人造人間の知性問題は枝葉! 肝はスリル&サスペンス!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20171104/p1

ブレードランナー2049』 ~人造人間の脳内彼女(汗)を発端に、新主人公vs旧主人公へ帰着!

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猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』 ~往年の『猿の惑星・征服』『最後の猿の惑星』再評価!

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アベンジャーズ/エンドゲーム』 ~タイムパラドックス&分岐並行宇宙解析!

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『BanG Dream!(バンドリ!)』 ~「こんなのロックじゃない!」から30数年。和製「可愛いロック」の勝利!(笑)

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GODZILLA 決戦機動増殖都市』 ~地球人・X星人・ブラックホール第3惑星人・インファント島民 ゴジラvsメカゴジラ!?

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サムライフラメンコ』 ~ご町内⇒単独⇒戦隊⇒新旧ヒーロー大集合へとインフレ! ヒーロー&正義とは何か? を問うメタ・ヒーロー作品!

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結城友奈は勇者である-鷲尾須美の章- ~世評はともかく、コレ見よがしの段取りチックな鬱展開だと私見(汗)

『魔法少女まどか☆マギカ』最終回「わたしの、最高の友達」
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 2019年8月30日(金)からアニメ映画『映画 この素晴らしい世界に祝福を! 紅(くれない)伝説』が公開記念! とカコつけて……。
 『この素晴』の脚本・上江洲誠(うえず・まこと)が担当した深夜アニメ『結城友奈(ゆうき・ゆうな)は勇者である』(14年)の前日談深夜アニメの劇場先行公開『結城友奈は勇者である―鷲尾須美(わしお・すみ)の章―〈第1章〉「ともだち」』(17年)評をアップ!


結城友奈は勇者である -鷲尾須美の章-〈第1章〉「ともだち」』 ~世評はともかく、コレ見よがしの段取りチックな鬱展開だと私見(汗)

(文・T.SATO)
(2017年4月27日脱稿)


 オタ向け魔法少女アニメ『結城友奈は勇者である』(14年)の劇中内先輩チームの前日談を描く作品で、今秋2017年秋に放映予定の新作アニメ#1~2の先行公開。


 原典の『結城友奈~』は、中学の部活・勇者部(笑)に集う少女たちが、実は世界を救うために幻想的な異空間で不定形な巨大オブジェのような敵と戦っている勇者であるという設定で、今流行りの文化系部活モノ(?)という一点を除くと、異空間バトルといい鬱展開といい、誰もが思っただろうが、後進のクリエイターによる「ぼくのかんがえた最強の『魔法少女まどか☆マギカ』(11年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20120527/p1)」にしか見えなかった。


 むろん後発でも後出しゆえのアドバンテージや練り込んだテーマ&作劇があるのなら文句はナイけど、世評はともかく筆者には、コレ見よがしにシリアスぶって鬱展開を入れてみせ、ハイブロウに見せているだけの段取り芝居にしか見えなくて、個人的な評価は低い――本作を評価する方々には申し訳ございませんが――。
 なので、本作への思い入れはなく、評価する資格もナイのやもしれないけど、劇場へいそいそと出掛けるのであった(汗)。


 原典同様、カネ&手間をかけた美麗な作画&異空間の幻想的な背景美術で、先輩チームのスレてない小学生時代の姿とその初陣が描かれる。
 よって、本作の特色である鬱展開もない、標準的な魔法少女モノの#1の内容のようであり、個人的には本編よりかはチョットは面白いかも……と思ったりもするのだが。かといって、多幸感や特別な冴えやキレなども見当たらないようにも私見


 体裁的には#1なので、予備知識なしの鑑賞は可能。もちろん広く薄く一般層に向けた売り方ではなく、濃い少数のオタにパンフほかの関連商品も購入させて、少しでも費用を回収しようとするビジネスモデルではある。シネコンの普及で五社協定(笑)が崩れて久しい今だからこそ可能な商売だが、観客が困るワケでも破産するワケでもないのだから、こーいう展開もアリだろう。


・黒髪ロングを後ろで結んだマジメだけどすっトボケた和風主人公は、三森すずこがやや低音のお姉さん系ボイスで演じており安定のクオリティはマル。
・金髪のトロボケ少女は、花澤香菜が本作の絵柄に相応しいやや記号的な癒し系演技でそれも良し。
・体育会系少女が最近出てきたまだ十代声優の花守ゆみりで、アニメ映画『ガラスの花と壊す世界』(16年)主演でのロリロリした小声の乙女ボイスが個人的には耳に残っていたけど、ココではガラッ八な少年ぽいボイスを披露していて少々驚き。


 主人公少女が旧海軍の艦船について語りだすと実に暑苦しい国防少女なあたりは、いかにも野郎オタ向けギャグ描写で好みが分かれそうだが(汗)。


 単独評にする気もナイのでまとめて書くけど、同年2017年4月15日公開の〈第2章〉「たましい」では、このテのアニメにアリがちな楽屋オチ臭も多分に漂わせ、3人の幸福な夏休みの合宿光景が延々描かれる――元気すぎる体育会系少女に苦手意識を持っていたとマジメ系と天然系の2人が告白するあたりは良かった――。
 もちろんスレたマニア的には、この一連の描写自体がフラグ・伏線であり、対比として壮絶なバトルが最後に来るのが予想できるけど。


 ワ~、ヒドいヒドい。敵性生物(?)によるニードルの雨アラレ攻撃を浴びて、傷つき血しぶきが飛び口から吐血して3人が倒れていく。
 そんでひとりは弁慶の仁王立ちで死んじゃいます――本作の後日談のTV本編を観てれば、誰が死ぬかも判ってるでしょうが――。
 本作のファンじゃないので、ココで泣いたら負けと思ってますけど(笑)、ちょっとだけウルッと来ないでもなく、同時に悪趣味極まりナイとも思ったり。


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.69(17年5月4日発行))


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